TOP > 研究報告検索 > 気孔開閉と細胞膜H+-ATPaseの活性調節機構の解明

気孔開閉と細胞膜H+-ATPaseの活性調節機構の解明

研究報告コード R090000042
掲載日 2009年3月13日
研究者
  • 木下 俊則
研究者所属機関
  • 名古屋大学 大学院理学研究科
報告名称 気孔開閉と細胞膜H+-ATPaseの活性調節機構の解明
報告概要 植物は光合成を行うことによって、農作物を提供するのみならず、二酸化炭素を吸収し、酸素を産出して地球環境を整えている。植物の表皮に存在する気孔は、光合成に必要な二酸化炭素の唯一の取り入れ口で、変転する環境に応答して開閉を行うことによってガス交換を調節しており、この微少な器官が無ければ陸上植物の生存は不可能に近い。気孔を構成する一対の孔辺細胞は、太陽光、特にシグナルとして作用する青色光域の光に応答して気孔を開口させ、植物と大気間のガス交換を促進し、乾燥ストレスに曝されると、植物ホルモン・アブシジン酸に応答して気孔を閉鎖し、植物体からの水分損失を防ぐ。このように気孔は、青色光による開口、アブシジン酸による閉鎖という明確な応答を示すことから、植物の環境応答のシグナル伝達機構の研究材料として大変優れた特質を有している(図1)。これまでの研究により、私たちは、青色光による気孔開口では、植物特有の青色光受容体フォトトロピンが青色光受容体として機能しており(Kinoshita et a1., Nature2001, Ueno et al. Plant Cell Physiol. 2005)、フォトトロピンに受容された光シグナルは、細胞内シグナル伝達を経て、細胞膜のプロトンポンプ、細胞膜H+-ATPaseC末端のスレオニン残基のリン酸化とリン酸化C末端への14-3-3蛋白質の結合により活性化し、気孔開口の駆動力を形成していることを明らかにした(Kinoshita and Shimazaki, EMBO J. 1999, Kinoshita and Shimazaki, Plant Cell Physiol. 2002)。しかしながら、フォトトロピンから細胞膜H+-ATPase活性化に至るシグナル伝達の詳細については不明の点が多い。本研究では、気孔開閉のシグナル伝達、特に、フォトトロピンにより受容された光シグナルがどうのようにしてH+-ATPaseの活性化を引き起こしているのか、さらに、様々な物質輸送に関わる植物のマスター酵素、細胞膜H+-ATPaseの活性調節機構について、生理・生化学的、分子遺伝学的手法を駆使し、分子レベルで解明することを目的として研究を進めてきた。
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

R090000042_01SUM.gif R090000042_02SUM.gif R090000042_03SUM.gif R090000042_04SUM.gif
関連発表論文 ・Inoue S, Kinoshita T, Matsumoto M, Nakayama K, Doi M, Shimazaki K. Blue light-induced autophoshporylation of phototropin is a primary step for signaling. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 105, 5626-5631.(2008)
・Inoue S, Kinoshita T, Takemiya A, Doi M, Shimazaki K. Leaf positioning of Arabidopsis in response to blue light. Molecular Plant 1, 15-26.(2008)
・Shimazaki K, Doi M, Assmann SM, Kinoshita T Light regulation of stomatal movement. Annual Review of Plant Biology 58: 219-247.(2007)
・Kong, S-G, Kinoshita T, Shimazaki K, Mochizuki N, Suzuki T, Nagatani A. The C-terminal kinase fragment of Arabidopsis phototropin 2 triggers constitutive phototropin responses. PIant J. 51, 862-873.(2007)
・Takahashi Y, Kinoshita T, Shimazaki K. Protein phosphorylation and binding of a 14-3-3 protein in Vicia guard cells in response to ABA. Plant & Cell Physiology 48: 1182-1191.(2007)
・Takemiya A, Kinoshita T, Asanuma M, Shimazaki K. Protein phosphatase 1 positively regulates stomatal opening in response to blue light in Vicia faba. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103, 13549-13554.(2006)
・木下俊則、島崎研一郎 「気孔の開口を駆動する細胞膜H+-ATPase」 蛋白質核酸酵素 51, 871-876.(2006)
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/代謝と機能制御
研究報告資料
  • 木下 俊則. 気孔開閉と細胞膜H+-ATPaseの活性調節機構の解明. さきがけ 3領域合同研究報告会 講演要旨集「代謝と機能制御」. p.21 - 24.

PAGE TOP