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「肥満症」におけるエネルギー・脂質代謝制御と血管新生制御との連関の解明

研究報告コード R090000045
掲載日 2009年3月13日
研究者
  • 尾池 雄一
研究者所属機関
  • 熊本大学 大学院医学薬学研究部
報告名称 「肥満症」におけるエネルギー・脂質代謝制御と血管新生制御との連関の解明
報告概要 我が国では65歳以上の人口が4人に1人という超高齢化時代に突入し、社会が『健康長寿』を真剣に考えないといけない状況になっている。一方でインスリン抵抗性、糖代謝異常、脂質代謝異常、高血圧などが一個体に集積し階層的、相互的に連関しながら重症化し、『健康長寿』を脅かす心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患に発展する危険性が高まる「メタボリックシンドローム」という病態の増加が注目されている。実際に、厚生労働省の2004年国民健康・栄養調査では40歳から74歳までの男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームに該当し、その予備軍を含めると1960万人にのぼることが明らかにされている。このように生活習慣(ライフスタイル)が関連する疾患が増加の一途をたどり、今後益々心筋梗塞、脳血管疾患、がんなど健康長寿のみならず生命を脅かす疾患の増加が予想される。それ故、生活習慣が関連する疾患に対する有効な予防、早期診断、治療法の開発が医学的のみならず社会的にも重要な意義を持つ。生活習慣に依存した様々なストレス刺激に対して生体の恒常性を維持させ、疾患の発症を阻止しようとする生体防御システムが我々生物には備わっているが、詳細な機構解明は未だ十分ではない。近年、組織特異的遺伝子欠損マウスが自在に作製されるようになり、生体防御システムにおける個別の臓器の役割が明らかにされてきた。その成果により、脂肪組織、骨格筋、肝臓、消化管、脳、血管、血球細胞などが様々な生理活性物質を分泌して遠隔臓器、細胞の機能を調節する複雑かつ巧妙な臓器間クロストークによる生体防御システムが注目されている。そのために分子、細胞レベルで得られた成果を個体レベルで統合して理解することの重要性が求められている。近年、我々の研究によりANGPTLファミリー分子は個体レベルで様々な遠隔臓器を標的とし、多彩な機能を示すことが明らかになってきており、臓器間クロストークによる生体防御シグナルシステムで重要な役割が示唆されている。本研究では、メタボリックシンドロームの基盤病態の一つである「内臓脂肪型肥満」を研究対象に発症、進展への生体防御機構にANGPTLファミリー分子がどのように関わっているかを解明し新規治療法、診断法開発を目指した基礎研究を行う。さらに生体の脂質蓄積・分解・燃焼・消費システムにおける恒常性維持の分子基盤解明、さらには新しい代謝過程の発見、新しい生理活性代謝産物の同定、血管新生制御とエネルギー、脂質代謝制御の連関解明、新規創薬標的の特定を目指す。
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関連発表論文 ・Oike, Y., Akao, M., Kubota, Y. & Suda, T., Angiopoietin-like proteins:potential new targets for metabolic Syndrome therapy, Trends Mol. Med. 11, 473-479(2005)
・Morisada, T., Kubota, Y., Urano, T., Suda, T. & Oike, Y., Angiopoietins and Angiopoietin-like proteins in angiogenesis, Endothelium 13, 71-79(2006)
・Hato T, Tabata M, & Oike Y., The role of angiopoietin-like proteins(Angptls) in angiogenesis and metabolism, Trends Cardiovasc. Med. 18, 6-14(2008)
・Urano, T., Ito, Y., Akao, M., Sawa, T., Miyata, K., Tabata, M., Morisada, T., Hato, T., Kadomatsu T., Yano, T., Yasunaga, K., Shibata, R., Murohara, T., Akaike, T., Tanihara, H., Suda, T. & Oike, Y., Angiopoietin-related growth factor enhances blood flow via activation of the ERK1/2-eNOS-NO pathway in a mouse hind-limb ischemia model, Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 28, 827-834(2008)
・Matsuoka S, Oike Y., Onoyama I, Iwama A, Arai F, Takubo K, Mashimo Y, Oguro H, Nitta E, Ito K, Miyamoto K, Yoshiwara H, Hosokawa K, Nakamura Y, Gomei Y, Iwasaki H, Hayashi Y, Matsuzaki Y, Nakayama K, Ikeda Y, Hata A, Chiba S, Nakayama KI, & Suda, T., Fbxw7 acts as a critical fail-Safe against premature loss of hematopoietic stem cells and development of T-ALL, Genes Dev. 22, 986-991(2008)
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/代謝と機能制御
研究報告資料
  • 尾池 雄一. 「肥満症」におけるエネルギー・脂質代謝制御と血管新生制御との連関の解明. さきがけ 3領域合同研究報告会 講演要旨集「代謝と機能制御」. p.33 - 36.

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