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プリオン凝集体の代謝産物に着目した細胞機能制御

研究報告コード R090000047
掲載日 2009年3月13日
研究者
  • 田中 元雅
研究者所属機関
  • 理化学研究所 脳科学総合研究センター
報告名称 プリオン凝集体の代謝産物に着目した細胞機能制御
報告概要 プリオン病はこれまでに有効な治療薬のない神経難病であり、その治療・予防法の開発は、近年のウシからヒトへのプリオン感染からも、急務となっている。プリオン病は蛋白質が感染源であるという点でユニークであるが、同じプリオン蛋白質から異なる疾患症状を示す“プリオン株”が存在することが、その大きな特徴である。最近、プリオン感染がプリオン蛋白質の凝集体(アミロイド)に由来することがほぼ証明され、そのアミロイド構造が異なる表現型を示すプリオン株の物理的基盤になっていることが明らかになった。しかし、どのようなアミロイドの構造的、物理的特徴がプリオン株の異なる表現型を決定しているのかは、ほとんど理解されていない。同様に、同じモノマー状態のプリオン蛋白質から、どのようにして異なるアミロイド構造ができ、ひいては異なる表現型を導き出すのか、その分子機構の詳細には不明な点が多い。本研究では、プリオン病におけるこれら重要な問題に対して、酵母プリオン[PSI+]の系を用いる。プリオン化した酵母[PSI+]は、酵母プリオン蛋白質Sup35の凝集形成によって生じ、ヒトのプリオン病と同様に、異なるプリオン株が出現する。その多様なプリオン株は、[PSI+]の系では、白からピンク色の異なる色表現型で表される。酵母プリオンは扱いやすく、遺伝学的な解析も容易なこともあり、近年、プリオン研究の発展に多大な貢献をしてきている。本研究では、プリオンにおける重要な特徴の一つである“プリオン株”に着目し、酵母プリオンSup35モノマーから、凝集初期核(オリゴマー)、アミロイド、酵母表現型のグローバルな相関関係の全容解明を目指す。本研究成果は、プリオン病など蛋白質のミスフォールディングや凝集体形成が関わる他の神経変性疾患の分子機序解明や新規な治療法の開発にもつながると期待できる。
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関連発表論文 ・Tanhka M, Collins SR, Toyama BH, Weissman JS, The physical basis of how prion conformations determine strain phenotypes. Nature, 442, 585-589(2006).
・Krzewska J, Tanaka M, Burston SG, Melki R Biochemical and Functional Analysis of the Assembly of Full-length Sup35p and Its Prion-forming Domain. J. Biol. Chem., 282, 1679-1686(2007).
・田中元雅、プリオン病の感染・伝搬におけるプリオン仮説の現状、実験医学増刊号、脳神経疾患の分子病態と治療への展開、25, 115-121 (2007)
・田中元雅、酵母プリオン[PSI+]システムにおけるプリオン株出現の物理的基盤、細胞工学2月号、26, 145-150 (2007).
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/代謝と機能制御
研究報告資料
  • 田中 元雅. プリオン凝集体の代謝産物に着目した細胞機能制御. さきがけ 3領域合同研究報告会 講演要旨集「代謝と機能制御」. p.41 - 44.

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