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2段階ビオチン化反応を利用したタンパク質解析

研究報告コード R090000049
掲載日 2009年3月13日
研究者
  • 末田 慎二
研究者所属機関
  • 九州工業大学 大学院情報工学研究院
報告名称 2段階ビオチン化反応を利用したタンパク質解析
報告概要 ポストゲノム時代を迎えた昨今、生命現象の主要な担い手であるタンパク質を分析対象としたプロテオーム解析が精力的に展開されている。このようなプロテオーム解析に、積極的に活用されている技術にプロテインタグシステムがある。プロテインタグシステムは、分析対象の標的タンパクに対してペプチドやタンパクをタグとして導入して、そのタグの性質を利用して標的タンパクの分離・分析を行う技術である。このようなタグシステムはその有用性からこれまでに様々な手法が提案され、実際に多くのタンパク質の分離・分析手段として活用されている。しかしながら、タンパク質の性状は極めて多様であるため、タグシステムとしても、性質や特徴の異なる様々な手法が提案されるべきであると考えられる。最近、私はある特異なビオチン固定化酵素反応系を発見し、この酵素反応系を利用するとこれまでのものとは特性の異なる新たなプロテインタグシステムが開発できるのではないかと考えた。この酵素反応では、ビオチン固定化酵素(BPL)がその基質タンパクであるビオチンカルポキシルキャリアープロテイン(BCCP)にビオチンを特異的に固定化する反応を触媒する。このビオチン化反応系は、これまでに様々な生物種からBPLやBCCPが単離され研究されてきており、その結果、生物種が異なってもすべて交差反応性を示し、皆同様な性質を有することがわかっている。しかし、古細菌のSulfolobus tokodaii由来のビオチン化反応系は、大腸菌由来のそれとまったく交差反応性を有していないことがわかった。さらに、この S. tokodaii 由来のビオチン化反応系では、酵素であるBPLが、反応生成物であるビオチン化されたBCCP(Holo BCCP)と極めて安定な複合体を形成することが判明した。通常のビオチン化反応ではBCCPにビオチンが付加された後、反応生成物であるHolo BCCPはすみやかにBPLから解離するのであるが、この古細菌由来のビオチン化反応では、Holo BCCPとBPLが極めて安定な複合体を形成するため、室温付近では反応が事実上、1サイクル目で止まってしまう(図1)。このような、酵素がその反応生成物と安定な複合体を形成するという性質は他に例を見ない極めて特異な現象である。このS. tokodaiiのBPL-Holo BCCP間の安定な会合は、新規な高親和性のタンパク質問相互作用と見なすことができ、この性質を利用した新たなプロテインタグシステムの開発が可能ではないかと考えた。具体的には、BCCP部位をタグとして標的タンパクに導入し、固相担体に固定化したBPLを使ってビオチン化反応を行うことにより、標的タンパクの特異的な捕捉が可能であると考えられる。また、蛍光標識化したBPLを利用してビオチン化反応を行うことにより、BCCPタグを導入した標的タンパクの蛍光標識化も可能であると考えられる。本研究では、このような特異なビオチン化反応を利用したプロテインタグシステムの開発について検討を行った。
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関連発表論文 ・Yan-Qiu Li, Shinji Sueda, Hiroki Kondo, Yutaka Kawarabayasi, A unique biotin carboxyl carrier protein in archaeon Sulfolobus tokodaii, FEBS Letters, 580, 1536-1540(2006)
・Shinji Sueda, Yan-Qiu Li, Hiroki Kondo, Yutaka Kawarabayasi, Substrate specificity of archaeon Sulfolobus tokodaii biotin protein ligase, Biochemical and Biophysical Research Communications, 344, 155-159(2006)
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/生命現象と計測分析
研究報告資料
  • 末田 慎二. 2段階ビオチン化反応を利用したタンパク質解析. さきがけ 3領域合同研究報告会 講演要旨集「生命現象と計測分析」. p.1 - 4.

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