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時間と共に離合集散を繰り返す分子機械のX線小角散乱・動的構造解析

研究報告コード R090000060
掲載日 2009年3月13日
研究者
  • 秋山 修志
研究者所属機関
  • 名古屋大学 大学院理学研究科
報告名称 時間と共に離合集散を繰り返す分子機械のX線小角散乱・動的構造解析
報告概要 タンパク質や核酸といった生体高分子がひしめく細胞内、そこは非常に複雑な環境である。それら生体高分子を個々に取り出し、その構造や機能を詳細に調べる技術を我々は確立しつつある。一方で、「生命体の部品に焦点を絞った研究」だけでは、ときに生命現象の解明に不十分な場合がある。例えば、コンデンサー,コイル,抵抗といった個々の電気素子に精通していても、それら3つが電気回路として組織化されたときに生じる正弦型の減衰振動電流を予期することは容易でない(図1B)。同様に、タンパク質や遺伝子に関する個々の知識は、多様な生体高分子が渾然一体となった細胞内で起こる“生きた現象”を予測するための十分条件ではない。分子の数や種類が1つ,2つ,3つと増えて自己組織化が進むにつれ、系は単純な足し合わせで説明しづらくなり、やがて予測もつかないような時間的・空間的パターンが観察されるようになる(図1A)。まさしくこれが生きた姿(生命)であり、生物時計はその典型的な例である。地球に生息する生命の多くは精巧な生物時計を備えており、時計が発振する概日リズム(約24時間周期のリズム)を指針に、代謝・光合成といった生命活動を昼夜環境サイクルに同調させている。生物時計の特徴として、(1)自律的な概日リズムの発振、(2)光による位相のリセット機構、(3)周期が温度に依存しないこと(温度補償性)の3つが挙げられる。シアノバクテリアは3要件を満たす生物時計を備えた生命体であり、その時計は時計遺伝子群(kai)から発現される3つの時計タンパク質KaiA,KaiB,KaiCで構成される(Ishiura et a1, 1998)。時計の振り子に相当するのがKaiCであり、KaiAはKaiCのリン酸化を促進し、KaiBはKaiAの働きを抑制する(KaiCの脱リン酸化を促す)。3つの時計タンパク質とATPを混合するとKaiCのリン酸化状態が概日周期で変動し(図2)、シアノバクテリアの生物時計を試験管内で再構成することができる(Nakajima et al, 2005)。
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関連発表論文 ・Akiyama S., Nohara A., Ito K. and Maeda Y. “Assembly and Disassembly Dynamics of the Cyanobacterial Periodosome”, Molecular Cell, 29, 703-716(2008).
・Akiyama S. “Assembly and Disassembly of Cyanobacterial Clock Proteins Studied by Rea1-time Small-angle X-ray Scattering”, Journal of the Japanese Society for Synchrotron Radiation Research, in press(2008).
・Inaba K., Suzuki M., Maegawa K., Akiyama S., Ito K. and Akiyama Y. “A Pair of Circularly Permutated PDZ Domains Control RSEP, The S2P Family Intermembrane Protease of E. Coli”, Journal of Biological Chemistry, in press(2008).
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/生命現象と計測分析
研究報告資料
  • 秋山 修志. 時間と共に離合集散を繰り返す分子機械のX線小角散乱・動的構造解析. さきがけ 3領域合同研究報告会 講演要旨集「生命現象と計測分析」. p.45 - 48.

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