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配列した極性基により糖を認識する人工ポリマーの開発

研究報告コード R090000081
掲載日 2009年4月3日
研究者
  • 阿部 肇
研究者所属機関
  • 富山大学 大学院医学薬学研究部
報告名称 配列した極性基により糖を認識する人工ポリマーの開発
報告概要 本研究は、有機化学、超分子化学の一分野であるホスト・ゲスト化学を基盤とする。ホスト・ゲスト化学とは、ある標的をゲスト分子として定め、それを効果的に取り込むような構造を持つホスト分子の設計・開発を研究目標とする化学である。ホスト分子がゲスト分子を取り込む作用は分子認識と呼ばれ、それは分子生物学における分子認識、すなわち生物の体の中でタンパク質やDNAなどの分子が必要な分子と会合する作用と同じ原理に基づいている。生体が行っている分子認識機能のレベルまで、人工分子を駆使して追いつき超えることがホスト・ゲスト化学の究極の目標である。生体分子の分子認識作用はその優れた機能が計測分析の分野へも応用されており、バイオセンサーやアフィニティーカラムなどはその代表例と言えよう。人工ホスト分子の性能が向上すれば、現在市販されているセンサーやカラムを置き換えることも原理的には可能である。本研究はゲストとして糖質の認識に狙いを定め、武器とする分子設計を以下のように考えた。
(1)糖質が持つ多くのヒドロキシ基(OH基)を水素結合で捕捉するために、極性基を持つ水素結合性ユニットを複数用いる。
(2)それら複数の水素結合性ユニットを剛直な繰り返し構造の中に配列・固定させて予め自由度(エントロピー)の低い構造としておき、糖質と会合する際に失われる自由度を低く抑える。
ゲスト分子が柔らかく対称性が低い構造であればゲスト分子を取り込める構造も何通りにもなるが、そのように自由度の高い状態を出発点とした場合には会合により失われる自由度が大きくなり過ぎ、分子認識へ向かう反応が不利となる。(1)(2)の分子設計、具体的には右図A,Bのようなホスト分子を用いることで糖質の分子認識を高いレベルで実現すべく本研究を行った。A,Bはそれぞれ、ピリジン環とフェノール環をアセチレン結合、ベンゼン環に固定し利用するものである。
画像

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関連発表論文 ・Waki, M.; *Abe, H.; *Inouye, M. Translation of Mutarotation into Induced CD Signals Based on Helical Inversion of Host Polymers Angewante Chemie International Edition, 46, pp. 3059-3061(2007).
・Waki, M.; *Abe, H.; *Inouye, M. Helix Formation in Synthetic Polymers by Hydrogen Bonding with Native Saccharides in Protic Media Chemistry-European Journal, 12, pp. 7839-7847(2006).
・*Abe, H.; Masuda, N.; Waki, M.; *Inouye, M. Regulation of Saccharide Binding with Basic Poly(ethynylpyridine)s by H+-Induced Helix Formation The Journal of American Chemical Society, 127, 16189-16196(2005).
・*Abe, H.; Aoyagi, Y.; *Inouye, M. A Rigid C3v-Symmetrical Host for Saccharide Recognition: 1,3,5-Tris(2-hydroxyaryl)-2,4,6-trimethylbenzenes Organic Letters, 7, pp. 59-61, (2005).
研究制度
  • 戦略的創造研究推進事業 さきがけタイプ(旧若手個人研究推進事業を含む)/構造機能と計測分析
研究報告資料
  • 阿部 肇. 配列した極性基により糖を認識する人工ポリマーの開発. さきがけ「構造機能と計測分析」領域 一期生研究報告会 講演要旨集. p.41 - 42.

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