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森林衰退に係わる大気汚染物質の計測,動態,制御

研究報告コード R000000304
掲載日 2002年9月30日
研究者
  • 佐久川 弘
研究者所属機関
  • 広島大学総合科学部
研究機関
  • 広島大学総合科学部
報告名称 森林衰退に係わる大気汚染物質の計測,動態,制御
報告概要 本研究では,全国各地で森林衰退と大気汚染との関連性を調査している諸分野(気象学,大気化学,分析化学,植物生態学,植物生理学,微生物学)の研究者を組織化し「共通の視点・手法」で森林衰退の原因解明を試みた。樹木衰退の見られる4地点(丹沢・大山,乗鞍岳,瀬戸内沿岸山林,九州山岳地域)を対象に調べた。全ての地点において,大気汚染と酸性降下物あるいはそれらに由来する二次的な有害物質が,森林衰退と明確な関連性があると判断された。しかし,樹木の衰退に直接関与する汚染物質は必ずしもすべての地域において共通ではなく,気象条件,人為汚染の程度,樹種により異なることがわかった。丹沢大山モミ林および瀬戸内沿岸アカマツ林のような都市域に面した山林においては都市周辺から起原する窒素酸化物から二次的に発生した硝酸あるいはオゾン,液相OHラジカルなどの光化学物質が,そして屋久島のヤクタネゴヨウ(ゴヨウマツの一種)のように国内からの汚染が比較的少ない地域では,大陸起原の硫黄酸化物および窒素酸化物から二次的に発生した硫酸やオゾンなどが樹木の衰退を招いていることが明かとなった。乗鞍岳の亜高山樹木においては,酸性霧およびオゾンの両方が影響していることが示唆されたが,詳細は不明である。一方,大気汚染による衰退と,病害虫や森林管理の有無との相互作用に関する研究も実施し,相乗効果を評価した。その結果,瀬戸内アカマツへのマツノザイセンチュウなどの病害虫の影響は二次的なものであり,主として大気汚染/酸性霧等により活力度が低下した樹木に限られると推定した。下草刈りや間伐などの森林管理は,アカマツ林においては特に重要であり,大気汚染に加えて森林管理の放棄が,さらなる衰退を招くことが明らかとなった。以上の研究より,日本の各地で現在顕在化している森林衰退は,1960-1970年代当時の主として硫黄酸化物による急激な衰退と比べて,緩慢ではあるが着実に進行しており,今後国内においては窒素酸化物排出量のいっそうの削減を図ることが重要であるし,また同時にアジア諸国においても硫黄酸化物排出量並びに窒素酸化物排出量の削減を強力に推し進めることが重要であると結論した。
研究分野
  • 森林植物学
  • 森林保育
  • 気圏環境汚染
  • 大気質調査測定一般
  • 有害ガス調査測定
  • 汚染原因物質一般
関連発表論文 (1)Atsushi Kume, Naoko Tsuboi, Takami Satomura, Masayo Suzuki, Masaaki Chiwa, Kaneyuki Nakane, Naoki Sakurai, Takao Horikoshi and Hiroshi Sakugawa :Physiological characteristics of Japanese red pine, Pinus densiflora Sieb. et Zucc., in declined forests at Mt. Gokurakuji in Hiroshima Prefecture, Japan, Trees: Structure and Function, Vol. 14, pp. 305-311 (2000)
研究制度
  • 戦略的基礎研究推進事業、研究領域「環境低負荷型の社会システム」研究代表者 佐久川 弘(広島大学総合科学部)/科学技術振興事業団
研究報告資料
  • 佐久川 弘. 環境低負荷型の社会システム 森林衰退に係わる大気汚染物質の計測,動態,制御. 戦略的基礎研究推進事業 平成11年度 研究年報.科学技術振興事業団, 2000. p.1046 - 1052.

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