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内部空間を有する三次元かご状遷移金属錯体からなる内包剤

シーズコード S000005055
掲載日 2001年11月21日
研究者
  • 藤田 誠
  • 楠川 隆博
研究者所属機関
  • 名古屋大学 大学院工学研究科
研究機関
  • 名古屋大学 大学院工学研究科
技術名称 内部空間を有する三次元かご状遷移金属錯体からなる内包剤
技術概要 自己組織化により、安定性を持ったナノスケールの三次元かご状の遷移金属錯体を製造する技術を開発した。ここでは、三次元かご状構造の内部の大きさや、極性、各種親和性などにより、取り込まれるる化学物質が選択される。本技術は、有機分子の遷移金属への配位を駆動力として、遷移金属の配位様式と適度に設計された有機小分子との組み合わせにより、熱力学平衡下で安定かつ明瞭な精密分子構造を自発的に組織化させる考えに基づいている。内包剤となる三次元かご状金属錯体の遷移金属としては、白金、パラジュームなどがあげられる。この金属錯体の配位子は、その電子対として窒素原子の孤立電子対などを3個以上有しており、大きさは0.5nm - 数nm程度の化学構造的に有る程度固定された環構造を有するもので、2,4,6-トリス(4-ピリジル)-1,3,5-トリアジンなどがあげられる。三次元遷移金属錯体はエチレンジアミン白金(II)ジ硝酸塩などの遷移金属塩と配位子とを配位結合を形成させる条件下で反応させて製造される。この時、アダマンタンカルボン酸塩などのテンプレート物質を存在させて、かご状構造の中に吸収され得る物質のサイズを確認することが出来る。図1に化学反応式の例を示す。ここでは4個の化学物質を包接することが出来る錯体が得られた。さらに錯体の三次元空間には複数個の小分子が包接されることから、極小数分子を空孔内で特異的に配列させて新規な分子を発現させたり、極少数分子から巨大分子などを”ship-in-bottol”合成し、生成物を内部に閉じこめる事もできる(図2参照)。実施試験を行い、11種類の有機化合物が得られた。その内の一つでは、内包剤に1,4-ナフトキノンとシクロヘキサジエンを同時に内包し、これをD2O中で80℃に加熱して、これらの分子が付加反応(ディールス・アルダ反応)して収率80%で有機化合物が得られた(図3参照)。比較のため、この化合反応を内包剤を使用せずに無溶媒で行ったところ収率50%で目的物がえられたに過ぎなかった。このように内包剤の中に化学反応の原料となる分子を取り込ませておくと、ナノ空間の中で相互に化学反応をして目的物を高効率で製造する事ができる。従って、内包剤を化学反応の場としても使用することが出来る。
画像

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従来技術、競合技術の概要 分子をうまく設計すると、分子同士が安定な状態を求め、自ら組合わさって高次構造を作り出し、新しい機能を発現させることが出来る(自己組織化)。発明者らは、このような仕組みに着目して、分子が自然に集まる現象を解明し、設計し、このような分子の集合体を自発的に構築して、分子や物質を組み立てる全く新しい原理を確立する活動を続けている。生体系がこのような分子集合の駆動力に水素結合をたくみに利用しているのに対して、ここでは、配位結合を駆動力とする点を特徴としている。即ち、適度な結合力と明確な方向性を持つ配位結合を駆動力として精密な分子集合体を自発的かつ定量的に作ることが出来る。このような考えからこれまでにカプセル構造などさまざまな特異的な巨大構造体の自己集合を達成してきた。いずれも既存の化学合成では極めて作りにくい構造体であった。また、これらの構造体がその構造を反映した特異空間を骨格内部に有することから、分子内部空間における孤立空間の化学を展開してきた。具体的には、白金—ピリジン核(Pt(III)-Py)結合は室温では不可逆(施錠状態)であるが、塩を添加して加熱すると可逆(開錠状態)となることから分子錠の概念を創出した。自己組織化により安定性を持った分子を三次元かご状構造にし、分子錠の概念が導入出来ればナノスケールで三次元かご状分子を分子錠により任意に制御する事が出来る。一方、化学物質を包み込むものとして、ミクロスフィアやリポソーム等が有るが、これらは直径がμm単位でnm単位の分子を正確に制御できなかった。その後約0.7nmの直径を有するフラーレンや直径数nm-10nmのデンドリマが報告され、近年ナノメータスケールの化学が新しい技術として急速に進歩している。
研究分野
  • 分子化合物
  • 配位化合物一般
  • トリアジン
展開可能なシーズ 自己組織化により、安定性を持ったナノスケールの三次元かご状の遷移金属錯体を製造する技術 同作体を内包剤として利用する技術
研究の進捗状況 自己組織化により、安定性を持ったナノスケールの三次元かご状の遷移金属錯体を製造する技術を開発し、同錯体を内包剤として種々の化学物質を取り込まれること、内部を化学反応の場として利用可能な事が実験により確認された。
関連発表論文 (1)Kusukawa,T.;Fujita,M. Ship-in-Bottle Formation of a Stable Hydrophonic Dimers of cis-Azobenzene and -Stilbene Derivatives in a Self-Assembled Coordination Nanocage. J. Am. Chem.Soc.,vol.121,1998,p.53-61.
(2)Fujita,M.;Oguro,D.;Miyazawa,M.;Oka,H.;Yamaguchi,K.;Ogura,K. Nature,vol.378,1998,p.469.
(3)Ibukuro,F.;Kusukawa,T.;Fujita,M. A Thermally Switchable Molecular Lock. The Guest-Templated Synthesis of a Kinetically Stable Nano-Sized Cage.J. Am. Chem.Soc.,vol.120,1998,p.8561-8562.
研究制度
  • 戦略的基礎研究推進事業 研究領域「単一分子・原子レベルの反応制御」研究代表者 藤田 誠(名古屋大学大学院工学研究科)/科学技術振興事業団
研究報告資料
  • 藤田 誠. 遷移金属を活用した自己組織性精密分子システム. 戦略的基礎研究推進事業 単一分子・原子レベルの反応制御 第4回シンポジウム —2期・3期チームの研究進捗— 講演要旨集,2000. p.65 - 73.
出願特許   特許 国際特許分類(IPC)
( 1 ) 国立研究開発法人科学技術振興機構, . 藤田 誠, 楠川 隆博, . 内部空間を有する金属錯体からなる内包剤. 特開2000-086682. 2000-03-28
  • C07F  15/00     
  • B01J  13/02     
  • C07B  61/00     
  • C07B  63/02     
  • C07F  17/02     
( 2 ) 国立研究開発法人科学技術振興機構, . 藤田 誠, 楠川 隆博, . 三次元かご状遷移金属錯体及びその製造法. 特開2000-086683. 2000-03-28
  • C07F  15/00     

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