テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

3次元放射線吸収線量分布測定システム

技術の背景

がん患者の増加傾向が著しいわが国において、外科的な治療と比較して患者への侵襲性が小さい放射線治療は今後大いに期待されている。特に、近年は腫瘍部位のみに照射線量を集中させる様々な定位放射線治療が発展しているが、正確な部位へ計画通りの線量を照射するために、3次元放射線吸収線量分布測定システムの必要性が高まっている。
 3次元放射線吸収線量分布測定システムとして現在は、特殊な有機ポリマーに放射線を照射すると、その部分が重合することを利用するもの(ポリマーゲル線量計)があるが、ファントムの作製、線量分布測定などの取り扱いの簡便性に劣るため、より簡便な測定システムが求められている。

技術内容

放射線活性を有し、また生体の軟組織に近い実効原子番号(7.3-7.5)を有する四ホウ酸リチウム系熱蛍光体を、ほぼ生体密度に近い密度1.0 g cm-3 の多孔質の板状体を作製し、これを数十枚重ねてマトリックスとして、全体を組織等価ファントム兼3次元放射線線量計システムとして用いる。
 つまり、人体軟組織等価ファントムそのものが組織等価3次元熱蛍光線量計として機能する。放射線が照射された後に板状体を1枚ずつ加熱し、得られる2次元熱蛍光熱発光像を合成して人体に照射された場合に各部分が吸収する3次元線量分布を得る。

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技術の特徴

・熱蛍光体は多数回繰り返して使用することができるため、ランニングコストが安価である。
 ・ポリマーゲル方式では、3次元線量分布を得るにはMRI装置のような大掛かりな装置が必要であるが、本技術ではより簡便な装置で3次元線量分布が得られる。
 ・蛍光板の機械的強度が高く、現場での取り扱い性が優れる。
 ・2次元線量分布測定に広く用いられているガフクロミックフィルムに比べると測定線量のダイナミックレンジが広く、種々治療レベルの線量に対応できる。





特許・文献情報

発明の名称: 熱蛍光積層体、熱蛍光板状体、熱蛍光積層体の製造方法、熱蛍光板状体の製造方法、及び放射線の3次元線量分布の取得方法
発明者: 漆山秋雄 眞正浄光 冨澤祐司
出願人: 学校法人立教学院
出願番号:特願2008-306373


応用分野

・ファントムを用いた放射線吸収3次元線量分布測定
(放射線治療計画システムの技術との連携、補完、あるいは検証・校正もある)
・2次元線量分布を測定するシート
(従来のガフクロミックフィルムに比べダイナミックレンジが広い。)



関連技術・市場情報

放射線治療患者数は近年大きく増大しており、2005年には15万人程度であったが、2016年には40万人程度に拡大すると予測されている。
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編集: 技術移転プランナー 坂本 和夫
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 産学連携展開部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7
E-mail: e-mail address TEL: 0120-679-005 FAX: 03-5214-8399

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