テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

ナノ秒反転パルス放電を用いた排ガス・廃水処理の省エネルギー化

技術の背景

環境意識の高まりの中、排ガス処理や廃水処理等へのプラズマ技術の応用を目指した研究が行われている。特にディーゼル排ガス中のNOxや微粒子成分の分解、塗装工程から排出されるVOCガスの分解等の為の技術として、パルス放電プラズマが注目されている。しかし、プラズマ処理システムはエネルギー効率が不十分で消費電力が大きいという問題を抱えている。最近需要が伸びているオゾン発生装置の主流である無声放電式のオゾン発生装置においても、エネルギー効率向上によるランニングコスト低減が重要な課題と認識されている。このような背景の下、プラズマ反応系のエネルギー効率向上を実現する新規技術を開発した。

技術内容

充電した同軸ケーブルの一端を直接接地することにより、ケーブル他端の電圧が急速に反転するという現象に着目し、立上り10-8秒、幅10-7秒程度の高速極性反転パルス発生装置を作製した。この反転パルス電圧を反応器内の電極に印加することにより、低い消費電力で低温プラズマを発生させることが可能であることを見出した(図1参照)。これをプラズマ発生用電源として利用することにより、従来に比べてプラズマ反応系のエネルギー効率向上が可能である。
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技術の特徴

本発明による高速反転パルス電源を放電用として利用することにより、従来の系に比べて低い電圧での放電が可能となる。これは、極性反転する前の電界下において電極近傍の固体中に電極と同極性の空間電荷が形成されているところに電極の極性が急速に反転するため、固体中の空間電荷と電極との極性が逆になり、空間電荷による内部電界が反転後の外部電界を強調することによると考えられる。このように本発明により、低い電圧で放電が可能になることから、省エネ型のプラズマ反応系が実現できる。
 実際、NOxやトルエンの分解実験において従来系に比べて高いエネルギー効率を確認した(図2参照)。この他にも、オゾン発生装置や廃水処理装置等で従来系に対して省エネルギー化が期待され、研究中である。


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特許・文献情報

(特許)
   発明の名称:放電発生装置
   特許番号 :特許第4355789号
   出願人  :国立大学法人愛媛大学
   発明者  :門脇 一則、木谷 勇
(解説)
   「極性反転パルス放電を用いた排ガス・廃水処理の高効率化」(門脇一則)ケミカルエンジニアリング Vol.54、No.5 (2009)

応用分野

VOC・脱臭処理装置、オゾン発生装置、NOx処理装置、廃水処理装置などの環境関連プラズマ反応系、あるいは半導体材料プロセスにおけるプラズマ系などが本技術の応用先の有力候補となる。特に、低温プラズマを利用しているシステムにおいては、その電源系を本技術の系に置き換えることで、エネルギー効率の向上が期待できる。

企業との連携

既存の放電装置の電源を本技術に置き換えることでエネルギー効率の向上が期待できるため、現在すでに高電圧直流電源・交流電源、直流パルス電源等を使用したプラズマ反応装置、オゾン発生装置、ストリーマ放電装置等を商品化している企業との共同研究を希望している。
編集: 技術移転プランナー 梅村鎭男
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 知的財産マネジメント推進部
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