テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

新規含窒素レドックス触媒

技術の背景

酸化還元反応は、従来、無機物質を媒体とする技術応用がなされてきているが、近年、環境調和、元素資源という観点から、含窒素レッドクス触媒が脚光を浴びている。本触媒の代表的なものとしてTEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル)が知られており、世界的に事業化され、有用ファインケミカルの工業合成等に応用されているが、安定性の改良等が望まれていた。また、新タイプのAZADO(azaadamantane N-oxyl)、及びABNO(9-azabicyclo[3.3.1]nonane N-oxyl)も開発され、AZADOについては2009年より化学試薬として上市されている。

技術内容・特徴

本技術の新触媒はアザビシクロ骨格を基本としており、化学構造的に安定性を有し、且つTEMPOでは困難であった嵩高い立体構造を有するアルコール類を効率的に酸化可能であり活性度も高いという特徴を有するため、今後の展開が期待できる。
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合成法
 本技術の触媒は、ピロリジン、ピペリジン、プロリンの誘導体を原料にして電解酸化等を経て、アザビシクロ誘導体を形成する手法により合成される。このため、TEMPO等の従来の含窒素レッドクス触媒に比べ多様な原料を使用することが可能となり、種々の誘導体の合成が可能であり幅広い用途への対応が期待できる。

反応例
 これまでアルコールをカルボニル化合物に変換する酸化反応には、クロム試薬を用いる方法、DMSOを用いる方法、超原子価ヨウ素試薬を用いる方法、TPAP(Tetra Propyl Ammonium Perruthenate)酸化による方法などたくさん報告されている。しかし、それぞれ廃棄、悪臭、爆発性、高価格等の問題点を有している。これらに比べると、含窒素レッドクス触媒は使いやすさ、環境適応性などで優位性を有し、今後の伸びが期待できる。 代表的な反応の例をTEMPOと比較して示す。

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特許・文献情報

発明の名称:含窒素レドックス触媒
出願番号  :WO2008/117871 (特願2007-084896)
出願人   :国立大学法人長崎大学(米国除く全指定国)
       松村美恵・出水庸介・尾野村治(米国のみ)
発明者   :松村功啓、尾野村治、出水庸介
文献    :(1)Efficient oxidation of alcohols electrochemically mediated by azabicyclo-N- oxyls Y. Demizu, H. Shiigi, T. Oda, Y. Matsumura and O. Onomura, , Tetrahedron Lett., 49, 48-52 (2008).
(2)Chiral azabicyclo-N-oxyls mediated enantioselective electrooxidation of sec-alcohols H. Shiigi, H. Mori, T. Tanaka, Y. Demizu and O. Onomura, Chiral, Tetrahedron Lett., 49, 5247-5251 (2008).
(3)Convenient synthesis of an enantiomerically pure bicyclic proline and its N-oxyl derivatives, Demizu, Yosuke; Shiigi, Hirofumi; Mori, Hiroyuki; Matsumoto, Kazuya; Onomura, Osamu, Tetrahedron Asymmetry 19(23), pp.2659-2665

編集: 技術移転プランナー 鷲田 弘
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 産学連携展開部
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E-mail: e-mail address TEL: 0120-679-005 FAX: 03-5214-8399

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