テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

滑らかで美しい曲線を生成するシステムの開発

【新技術の概要】

 研究責任者である三浦が研究・開発した「美しい曲線の一般式」から導出された対数型美的平面曲線と対数型美的空間曲線を用いる。
 「美しい曲線の一般式」は微分幾何学量の1つである曲率半径と、曲線長との関係を表す。対数型美的曲線は、1)曲率が単調に増加、あるいは減少すること、2)美しいとされる対数らせんやクロソイド曲線を包括的に表現できること、3)自然の美しさの要因と考えられる自己相似性に似た自己アフィン性を持つことから、意匠デザイン実務への応用が期待される。
 「美しい曲線の一般式」、さらにはその式を満足する対数型美的曲線に関する理論・技術は、日本で生まれて育った日本独自の形状処理理論・技術である。自然物や人工物の形状の特徴に関する和歌山大学の原田利宣教授らの指摘に基づき、三浦がその特徴を定量化・定式化することに成功して「美しい曲線の一般式」を満足する曲線として対数型美的曲線を提案した。この曲線を用いてデザインした例を図1に示す。
LH-2011-014_01.jpg
                             図1 デザイン例


【従来技術・競合技術との比較】

 既存の曲線に対する対数型美的曲線の技術的な優位性については参考文献に詳細に述べられている。
 点列を内挿する様々のスプライン曲線のなかで、最も有望なジェネレータ曲線の族は積分形式で定義される対数型美的曲線である、と結論付けている。
 また、その性質は美しいスプライン曲線に期待される性質のほぼすべてを持っており、美しさと局所制御性とのトレードオフを検討した結果、それが対数型美的曲線の指数(α値)により調整できることがわかった、と書かれている。この文献により、対数型美的曲線の技術的な優位性はほぼ確立された。

参考文献
R. Levien、C. Squin, Interpolating Splines: Which is the fairest of them all? , CAD & A, vol. 6, 91-102, 2008.

【本技術に関する知的財産権】

1.特願2008-148495号,PCT/JP2009/060365
「美的曲線を生成する図形情報処理装置、図形情報処理方法及び図形情報処理プログラム」、出願人:静岡大学


【想定される技術移転】

 本件に伴い市場調査も行ったが、本技術は以下に示すような全く新規の機能をもつ、初の意匠デザイン・ソフトウエアツールになると言えるのではなかろうか。
 即ち、本技術は、“美しい”曲線や曲面を入力できるのは勿論、“美しく”曲線や曲面を修正できる可能性も十分に秘めている。
 意匠デザインに対する要求の高まりは、自動車をはじめ、家電製品、日用品、生産機械や各種の部品形状等々にまで、高度なデザイン曲面を求める時代となってきた。これまでにない本技術の投入により、意匠デザイン業界の抜本的な品質の向上や、新たな規範や標準となる曲線・曲面表現法の新提案の可能性等から、企業におけるデザイン機能の在り方にも大きな変革をもたらす可能性があり、新たな市場開拓に繋がるものと言えるであろう。

【お問い合わせ先】

静岡大学 イノベーション共同研究センター
電話053-478-1718,ファックス053-478-1711

編集: JST 産学連携展開部 事業推進(募集・探索)担当
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 知的財産マネジメント推進部
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