テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

非線形バネ特性を有する新しい構造のバネ要素

技術の背景

 現在のロボットは関節が機構的に「硬い」ため、跳ぶ、走る動作に限界がある。柔らかな動作をさせるためにアクチュエータのサーボ制御能力を限界まで使い切って対処しているのが実情である。慣性力や衝撃力を動力伝達機構で受け止めるため、暴走、転倒などで制御能力を超える過大な負荷がロボットに作用した際には破損する恐れがある。柔らかなロボットを実現するアプローチの一つとして、ヒトの筋肉と同様の特性を持つ人工筋肉の研究が進められているが、反応速度が遅い、出力が小さい、強度不足などの課題がある。一方、アクチュエータおよび減速機は現状のままで、動力伝達機構に機械的な剛性調達機構を組み込む方式がある。本技術は、後者のロボットに機構的な柔らかさを付加するアプローチを目指して開発された、シンプルかつ特殊な材料・装置を用いることなく簡便に製造できる新規な非線形ばねを提供するものである。

技術内容・特徴

 本技術は産業界で広く用いられているコイルスプリング型バネと構造・特性の全く異なる、簡易で軽量型の非線形バネSAT(Stiffness Adjustable Tendon)を提供するものである。被覆である網チューブ中に弾性体としてシリコーンゴムの丸棒を挿入した構造を有する。コイルスプリング等の線形バネとは異なり、変位量が少ないうちは剛性が低く、伸びるに従って剛性が増加する非線形ばね特性を有する。SATは固体の弾性体を使用しているため高い圧力が発生しても内部弾性体が漏洩しないため漏洩防止シールが不要である。また、コイル隙間への異物侵入が原理上存在しないため安全である、作動音がしない、錆びないなどの特長がある。

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(a)非線形バネSATの構造


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(b)次世代ヒューマノイドロボットへの適用


特許・文献情報

発明の名称:ばね装置
出願番号 特願2002-335562(平成14年11月19日)
出願人: 鈴鹿工業高等専門学校長
発明者: 白井達也(鈴鹿工業高等専門学校)




応用分野

これまでの基本的な特性や動作原理の解析により広い応用範囲が期待できる。

非線形バネSATはコイルスプリングの代替品として用いることもできる。さらに動力伝達機構に組み込むことで、従来のロボット技術では実現出来なかったダイナミックな動作が実現可能になる。

非線形ばねSATの安全性、静粛性、剛性調整機能等の特長から人間と近い距離で接触する機器類、とくに介護・リハビリ分野の福祉機器、アミューズメント機器への利用が効果的である。

さらに、家庭内オフィス内機器として、イス、ソファー、ベッドなどのスプリング機能を有する機器への適用も有効である。
編集: 技術移転プランナー 苅田充二
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 産学連携展開部
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