テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

安全性の高いオレフィンの連続オゾン酸化方法

【新技術の概要】

 爆発のリスクが高いため工業的な利用が避けられてきたオレフィンのオゾン酸化反応に対して、本技術は安全性を飛躍的に高めた。
 爆発は激しい燃焼であり、燃焼の三要素(可燃物、支燃物、着火源)のうち、本法では支燃物の酸素を除去した高純度(≒100%)オゾンを用い、可燃物となる有機溶媒の代わりに液化二酸化炭素を媒体とした連続反応装置でのオゾン酸化方法を開発した。

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 オゾン酸化反応は100年以上前から利用されてきた汎用性の高い反応であるが、反応に用いるオゾンは酸素ガスをオゾン発生器に通じて得られる低純度(数%)のオゾンがO3/O2として使われ、反応試薬としてのオゾンの純度は100年間まったく顧みられなかった。

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 オゾン酸化反応はモルオゾニドが生成したのちオゾニドが生成するとされているが、この段階でラジカルと反応しやすい酸素や有機溶媒が存在すると不安定な過酸化物が生成し着火源となる。酸素を含まない高純度オゾンでは不安定な過酸化物は生成しない。
 液化二酸化炭素は高純度オゾンの希釈剤の役割と、有機物も溶解できることから安全な有機溶媒の代替となる。
 オゾニドの生成には大きな反応熱が見積もられており、オゾンの熱分解による酸素の生成を阻止するため、高純度オゾンの液化二酸化炭素溶液を熱交換が容易なステンレス細管中で基質と連続的に反応するシステムを構築した。

【従来技術・競合技術との比較】

 オゾン酸化代替法はCH2Cl2中RuCl3を触媒として過ヨウ素酸で酸化する方法であり、爆発のリスクの代わりに高価な触媒と廃棄物対策が必要であるのに対して、オゾン酸化は触媒不要で廃棄物も少なく非常に安価であるため、本技術のようにリスクが回避できれば工業的に魅力的な反応になると考える。
 高純度オゾンは最近、半導体製造研究用に高純度オゾン製造機が開発されており、工業化の場合には技術的問題は少ない。

【本技術に関する知的財産権】

1.WO 2010/095669 A1「含酸素化合物の製造方法」、出願人:宇都宮大学

【想定される技術移転】

 光学活性な医薬品原料を、テルペンなど天然由来の光学活性物質から得る方法として本技術を適用することはメリットが大きい。医薬品原料以外にも、ポリマー原料のジカルボン酸製造や界面活性剤の合成に、さらに100年來の実験室でのオゾン酸化の研究で、これまで爆発のリスクのために断念してきた多くの含酸素化合物合成を工業的に行うことが期待できる。

【お問い合わせ先】

宇都宮大学知財センター 教授 近藤三雄
Tel:028-689-6325  Fax: 028-689-6320
編集: JST 産学連携展開部 事業推進(募集・探索)担当
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 知的財産マネジメント推進部
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