テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

カニやエビの廃殻より単離されるキチンナノファイバー

【新技術の概要】

 キチンとはN-アセチルグルコサミンが直鎖状に連なった多糖であり、セルロースに匹敵する合成量を誇るバイオマスである。我々はカニやエビの廃殻あるいはキノコに含まれるキチンをナノファイバー(NF)の形状で単離することに成功した。
 得られるNFは10-20 nmと極めて細く均一であり、また、伸びきり鎖結晶性繊維のため物性も優れている(図1)。その製法は簡便であり、大量生産が容易である。
 キチンは水に不溶であることが弱点であったが、キチンNFは水中で均質に分散しているため、他の基材との混合が容易であり、また、用途に応じて所望の形状に加工することができる。今後、キチンNFの特徴を活かした製品が生まれると期待している。
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【従来技術・競合技術との比較】

 キチンNFはセルロースNFと類似しているが、以下の点がキチンNFの特徴である。1)精製済みの乾燥試料から容易にNFに変換できる、2)生体への親和性、生体機能を備えている、3)濾水性が高く成形性に優れる、4)カチオン性ポリマーである、5)反応性が高く表面改質や機能化が容易。
 人工的なNF製造法として電解紡糸が一般的であるが、本法で得られるキチンNFの特徴は細く均一、簡便で大量生産が容易、高配向、高結晶性等が挙げられる。

【本技術に関する知的財産権】

1.WO/2010/073758
「PROCESS FOR PRODUCING CHITIN NANOFIBER, COMPOSITE MATERIAL AND COATING COMPOSITION BOTH CONTAINING CHITIN NANOFIBER, PROCESS FOR PRODUCING CHITOSAN NANOFIBER, AND COMPOSITE MATERIAL AND COATING COMPOSITION BOTH CONTAINING CHITOSAN NANOFIBER」、出願人:鳥取大学など

【想定される技術移転】

 キチンNFの特徴的な形状と優れた物性は汎用的な素材に補強材として配合することで高性能材料へと変換できる。また、キチンの化学構造を活かして用途に応じた表面改質や機能化も可能である。
 最近ではキチンNFが皮膚のアンチエイジングおよび潰瘍性大腸炎の治療に有効であることが見出されている。これらの特徴はこれまで取り扱いの難しかったキチンの潜在的な機能を効果的に引き出すことができる。

【お問い合わせ先】

〒680-8552
鳥取市湖山町南4丁目101番地
鳥取大学工学研究科 准教授 伊福伸介
編集: JST 産学連携展開部 事業推進(募集・探索)担当
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 知的財産マネジメント推進部
〒102-8666 東京都千代田区四番町5-3
E-mail: e-mail address TEL: 03-5214-8293 FAX: 03-5214-8476

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