テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

バイオマス100%の成形体

【新技術の概要】

 蒸気処理した木粉を熱プレスで型押し成形すると、木質100%のプラスチック状成形体を作ることができる(図1)。しかしその成形体は、曲げ強度は汎用プラスチックのPPやABS樹脂と同程度であるが、衝撃に弱く脆い性質であるため、用途が限られる。
 そこで本研究開発では、木質成形体を天然繊維で強化して耐衝撃性の向上を試みた。補強用の天然繊維として、リネンおよびケナフ織布を用い、蒸気処理した木粉と織布を積層して複合成形体を作製した。
 耐衝撃性は織布含有率20wt%で、木粉100%の成形体の約7倍(18kJ/m2)となった(図2)。植物繊維織布を補強材として用いることにより、成形体の耐衝撃性を向上でき、様々な分野への応用が期待できる。
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【従来技術・競合技術との比較】

 一般的に木質プラスチック(WPC)と言われている材料は、微粉砕した木粉と熱可塑性プラスチック(多くは石油由来)の混合物である。
 一方、本技術は、石油由来のプラスチックを一切使用せず、木質材料のみで成形しているため、石油資源使用を低減し、持続可能な循環型社会の創製に貢献できる。さらに、植物由来の繊維で耐衝撃性を向上でき、家電製品の筐体、自動車の内装材や文具等、様々な分野への応用が可能であると考えられる。

【本技術に関する知的財産権】

1.特許第4081579号(H20.2.22登録)
  「リグノセルロース系材料及びその利用」、出願人:愛知県、独立行政法人科学技術振興機構

【想定される技術移転】

 現時点では、プラスチック状の木質成形体の実用化は、音響機器のインシュレータ部品への製品化が行われている。本研究開発において、植物繊維との複合化により、耐衝撃性を向上することができた。
 コスト的には若干問題があるが、利用分野としては、石油系プラスチック材料の代替、あるいは枯渇している高級木材の代替として、日用品、電化製品のケーシング、自動車内装品、家具部材、楽器など、幅広い用途が考えられる。

【お問い合わせ先】

愛知県刈谷市恩田町一丁目157-1
あいち産業科学技術総合センター 産業技術センター
Tel: 0566-24-1841   Fax: 0566-22-8033
編集: JST 産学連携展開部 事業推進(募集・探索)担当
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 産学連携展開部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7
E-mail: e-mail address TEL: 0120-679-005 FAX: 03-5214-8399

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