テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

チオール物質を用いて植物に蓄積する重金属量を制御する

【新技術の概要】

 食の安全を脅かす要因の一つに、有害重金属元素であるカドミウム(Cd)の農作物への蓄積がある。農作物に蓄積するCdの量を低減する技術を確立するには、植物体内におけるCdの動態を解明し、それらを人為的に制御する必要がある。これまでに行った研究では、植物の根に部位特異的に投与したチオール物質の一つであるグルタチオン(GSH)が植物体の地上部へのCdの移行と蓄積を抑制することを確認している。
 また、部位特異的にGSHを葉に与えた同様の実験では、植物体の地上部における亜鉛の蓄積量が有意に増加した。ポジトロンイメージング技術によって、GSHによって植物の地上部へのカドミウムの蓄積が抑制される様子(図1)や、亜鉛の蓄積が促進される様子を可視化することができた。
 このような実験結果は、GSHが植物の重金属動態に影響を及ぼす物質であり、GSHを用いることで、植物体に蓄積する重金属量を制御できる可能性があることを示唆している。そして、植物体に蓄積する特定の重金属含量を変えることは、農作物に付加価値を与えることに繋がる。
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【従来技術・競合技術との比較】

 チオール物質(グルタチオン)を用いて植物に蓄積する重金属量を制御する本技術は、アルカリ資材等を栽培土壌に添加する従来技術に比べ、土壌への負荷が少ない。そのため、土壌添加物が栽培する植物の生育量(農作物の収量)に与える影響を最小限に抑えることができる。また、本技術では遺伝子組み換え技術を利用していない。本技術が実用化された場合には、社会に容易に受け入れられることが期待できる。

【本技術に関する知的財産権】

1.特開2010-30939号
「植物の茎葉部分および子実へのカドミウム蓄積農業資材、および抑制方法」、
出願人:秋田県立大学

2.特願2011-16846号
「植物体の茎葉部および子実部への亜鉛蓄積促進栽培方法及び該方法により生産した農作物」、出願人:秋田県立大学

【想定される技術移転】

 チオール物質を利用する植物に蓄積する重金属量を制御する技術を肥料・化学品製造関連企業と連携することによって、高付加価値を持つ農作物の生産技術に結び付け、その実用化を目指したい。本技術の実用化は、高付加価値の農作物を生産したい生産者と安全・安心かつ機能性の食品を望む消費者の両者のニーズに応えることを可能にする。

【お問い合わせ先】

秋田県立大学 地域連携・研究推進センター
TEL: 018-872-1557、FAX: 018-872-1673

編集: JST 産学連携展開部 事業推進(募集・探索)担当
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 産学連携展開部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7
E-mail: e-mail address TEL: 0120-679-005 FAX: 03-5214-8399

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