テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

理想的な人工腱・靭帯を生み出す生体材料tendon gel の発明・発見

【新技術の概要】

 アキレス腱断裂や膝関節の十字靭帯損傷、側副靭帯損傷は選手生命を奪い兼ねないスポーツ医学の代表的かつ重大な疾患である。
 しかし、腱・靭帯の治癒過程は未解明であり、理論的な治療法も確立されていない。今回、in vivoでありながらin vitroの便利さを兼ね備えたフィルムモデル法により腱の治癒過程を透過型電子顕微鏡により解析し、腱・靭帯を生み出す分泌物tendon gel (図1、J of Orthopaedic Res. 2011) を発見した。
 tendon gelに張力を加えると人工腱・人工靭帯が出来た(図2)。このような生体材料から産生された人工腱・人工靭帯は拒絶反応のない理想的な医療用発明品である。tendon gelにナノ材料試験機で引張試験を行い、応力―ひずみ曲線を得て、破断応力の計測にも成功した。
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【従来技術・競合技術との比較】

 腱・靭帯は膠原線維が縦列した束状物である。従来、人工腱・人工靭帯と言えば合成線維を束ねたものを意味し、生体内に移植すれば拒絶反応は必発である。今回の発明品tendon gelとこれに張力を加えて生まれた膠原線維束は生体材料なので拒絶反応は全く生じない。
 今後tendon gelを量産化し、張力の解析データに基づいて汎用型のナノ材料引張機が製造されるならば、世界初となる拒絶反応のない理想的な人工腱・人工靭帯の工業製品化が期待できる。

【本技術に関する知的財産権】

1.特開2011-217964(特願2010-90680)
「単離された、遊走性腱細胞から産生されたアモルファスなゲル状物質(tendon gel)、それから作製される人工腱および接着剤、ならびに腱の再生方法」、出願人:学校法人東海大学

【想定される技術移転】

 細胞培養法によるtendon gelの量産化を図ることができる企業、および、汎用型ナノ材料引張機を製造できる企業と連携し、tendon gelおよびこの材料から生まれる人工腱・人工靭帯の品質の安定化を図り、工業製品化を目指したい。
 なお、tendon gelを細胞培養法によって産生するための基礎データ、および、tendon gelの引張に関する測定解析データについては既に構築し始めている。従って、技術移転は円滑に行われると思われる。


【お問い合わせ先】

東海大学 産官学連携センター
TEL:0463-59-4364
sangi01(アット)tsc.u-tokai.ac.jp
<(アット)を@に変えて下さい>

編集: JST 産学連携展開部 事業推進(募集・探索)担当
問合せ先 独立行政法人科学技術振興機構(JST) 産学連携展開部 産学連携支援グループ
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