テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

病原体の検査薬創製が可能な金ナノ微粒子への糖鎖導入法

【新技術の概要】

 インフルエンザウィルス等の病原体は細胞表面の特定の糖鎖を認識して細胞に結合し、感染が起こる。これら病原体を認識する糖鎖を金ナノ微粒子上に高密度に導入すると「糖鎖クラスター効果」が発現し、病原体を高感度で検出できる『検査薬』となる分子が構築できる (図1)。
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 このような分子を合成する際に問題となるのが糖鎖の導入法であるが、我々は「エステル交換反応」を利用し、僅か1段階の反応で所定の糖鎖を金ナノ微粒子表面に簡便に導入できることを明らかにした(図2)。
 この手法を用いると、精製も遠心分離のみで完了することより、非常に効率的に『高密度に糖鎖が導入された金ナノ微粒子』を合成することができる。
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【従来技術・競合技術との比較】

 従来の水素化ホウ素ナトリウムを使用する方法では、糖鎖誘導体を用いて一旦S-S結合を持つ化合物を作成する必要があったが、本手法ではそのような化合物の合成の必要はなく、糖鎖を直に金ナノ微粒子に導入できる。これとは別の従来技術では、予め金ナノ微粒子上に導入したスペーサーと糖鎖を結合させる反応が煩雑である。
 それに比べ、本技術は各種の金含有物に対して直接糖鎖を結合させるため、非常に簡便に合成操作を終えることができる。また、目的物の精製に関しても、濾過と洗浄もしくは遠心分離と洗浄などで十分で、クロマトグラフィーなどの精製操作を一切必要としないなど、量産向けの技術でもある。

【本技術に関する知的財産権】

1.特願2010-107135号
  「金含有物への糖鎖の導入法」
  出願人:国立大学法人 埼玉大学

【想定される技術移転】

 本技術は、予め作製した金含有物(粒子状、平板状など)に糖鎖を直接且つ簡便に結合させる方法であるため、各種の糖鎖に適用でき広範な応用展開が期待される。
 例えば、感染症の診断や治療などの医療分野や、大腸菌などの有無を調べる簡易検査キットとして食品衛生などの分野において大きく貢献することが期待できる。

【お問い合わせ先】

〒338-8570さいたま市桜区下大久保255
埼玉大学地域オープンイノベーションセンター
電話:048-858-9106
E-Mail:coic-jimu(アット)ml.saitama-u.ac.jp
<(アット)を@に変えて下さい>

編集: JST 産学連携展開部 事業推進(募集・探索)担当
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 産学連携展開部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7
E-mail: e-mail address TEL: 0120-679-005 FAX: 03-5214-8399

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