テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

ハイブリッドソーラーコレクター

技術の背景

積雪寒冷地においては、住宅の暖房と給湯に大量の化石エネルギーが使われています。近年、地球温暖化対策とも絡み合って、代替エネルギーとしての自然エネルギー利用の重要性が高まっています。

太陽エネルギーを温水あるいは温風に変換する機器にソーラーコレクターがあります。一般に普及しているソーラーコレクターは水式と空気式に分けられます。水式太陽熱集熱器は熱容量の一番大きい水を使用しているため、大量の熱を蓄熱できますが、気象条件によってはコレクターからの放熱も大きくなります。また、寒冷地では冬季に配管が凍結破損することから、冬季の稼働率は低くなります。

一方、空気式太陽熱集熱器には熱を回収しやすいという特徴がありますが、得られた熱を蓄熱することが難しいという欠点を持っています。両者とも太陽エネルギーの何%を熱に変換しているかを示す集熱効率は約30~55%と低く、集熱効率のアップと年間の稼働率を上げることが課題となっています。

本技術はこれら両者の欠点を補うものとして考えられ、集熱効率が高く、温水と温風を同時に獲得することもできるハイブリッドソーラーコレクターを開発しました。


技術内容・特徴

ハイブリッドソーラーコレクターは熱交換器に広く用いられている黒色フィン付きパイプを集熱面として用いています。

その原理は、フィン付きパイプに水を流し、フィン付きパイプからの放熱を空気の流れによって回収する方式です。

<ハイブリッドソーラーコレクターの概要>


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回収することにより太陽熱を高効率で獲得し、回収した熱は温風として利用できる仕組みになっています。凍結する恐れがある冬季の気象条件では温風のみを利用する暖房に、暖房の不要な夏季は、昼間に温水を得て給湯に、夜間にはパイプに水を流すことによって吸引外気を冷やして冷房にと、広範囲な利用が可能となりました。

ハイブリッドソーラーコレクターの性能については、フィン付きパイプの配置が可変なハイブリッド太陽熱集熱器を製作し、ソーラーシミュレーター(陽光ランプ照射)と実際の太陽光の下でそれぞれ実験を行い、単位集熱面積当たりの効率を明らかにし、基本要素技術を確立しています。

流す温水と温風の流量バランスが良い条件においては、コレクターの総合集熱効率が最大80%と飛躍的に向上し、日射量変動がある屋外実験でも同様な結果を得ています。

特許・文献情報

発明の名称: ハイブリッド太陽集熱器
出願番号: 特願2000-029833
出願人: 独立行政法人 科学技術振興機構
発明者: 青木秀敏


応用分野

太陽熱を利用したソーラーシステムにおいては、従来、達成し得なかった太陽熱の高効率回収が可能となりました。

本システムは家庭やオフィス等において、高効率太陽集熱器として太陽エネルギーを獲得することによる暖房と給湯に利用できます。また、夏場には夜間に水を流すことによって冷房に、冬季には昼に蓄熱した温水を流して冷たい外気の加温にと、空調や換気システムの機器として、年間を通して利用頂けます。

さらに、本技術は施設園芸において、太陽エネルギーを利用した秋冬季の暖房機器として、あるいはパイプに水を流すことにより夏場のハウス内冷房と除湿にと、年間稼働率の高い農業用空調機器としても利用頂けます。

関連技術・市場情報

太陽熱利用システムは、高効率であり、代替効果(省エネルギー性)が大きい、自立分散型のエネルギー、環境負荷が少ない、費用対効果(経済性)における優位性、等多くの優れた特徴を持っています。

近年、地球規模での環境保護が求められ、中でも温暖化への対応は環境負荷の低減や省エネルギーを目的に、益々、太陽熱の利用へ期待が高まっています。

特に、最近の石油価格の高騰は、太陽熱利用を加速させるとものと考えられます。

編集: 技術移転プランナー 遠藤穂積
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 産学連携展開部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7
E-mail: e-mail address TEL: 0120-679-005 FAX: 03-5214-8399

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