テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

超広帯域CMOS電圧制御発振器

技術の背景

通信システムの超高速・大容量伝送が進展する中で超高速,超広帯域のデバイス開発が要求されている.本技術は通信装置の発振源として応用の期待できる新方式の超広帯域CMOS電圧制御発振器(VCO)に関するものでRF回路の1チップ化に寄与する技術を提供するものである。

技術内容・特徴

UWB(Ultra Wide Band)無線方式に見られるように超広帯域のRFデバイスが今後の通信装置の実用化に必須となってきている。従来RF回路はGaAsやSiGeなどのプロセスが主流であったが、CMOSの微細化プロセスが進展し遮断周波数が100GHzを超えるとともに雑音指数も改善されマイクロ波帯の小信号回路には十分適用できるようになってきて、CMOSプロセスの特長を生かしたアナログ・デジタル混載1チップ無線ICの開発に拍車がかかっている。
 本技術は今後の無線通信に応用の期待される超広帯域電圧制御発振器をCMOS技術で実現するものであり秋田大学の井上浩教授の研究成果である。回路の基本構成は(図1)に示すように抵抗制御CRリング発振器であるがIC化に適し、広帯域発振(比帯域特性で比較すると従来方式に比し10倍以上となる)がその特長となる。発振特性の一例を同図に示す。また位相同期発振器として1.2μmプロセスで試作したICを(図2)に示しているが、良好な発振制御特性と安定性が確認されている。



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(図1)右:回路構成  左:発振特性例

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(図2)動作検証用試作IC

特許・文献情報

発明の名称: 「リング発振器を用いた線形で広可変範囲の電圧制御発振器」
出願番号: 特願2004-123980
出願人: 科学技術振興機構
発明者: 井上 浩,宮前 亨




応用分野

試作ICは1.2μmプロセスであるため十分な高周波特性は得られていないが、最新の微細プロセスを適用すればマイクロ波帯にも適用できる。(図3)に0.18μmプロセスでのシミュレーション結果を示す。このようなVCOを用いると超広帯域FM変調器が容易に実現でき、広帯域スペルトル拡散方式の無線装置、広帯域FMレーダへの応用が可能となる。また多数の発振器を同一ICに集積化できるためマルチチャネル発振器が構成でき、周波数ホッピング方式の無線装置や各種信号処理装置の発振源としての応用が期待できる。ただし発振器としての位相雑音特性は良好でないため狭帯域無線装置の局部発振源などへの適用は困難で、あくまで広帯域特性の要求される応用に限定される。


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(図3)微細化プロセスでのシミュレーション例

関連技術・市場情報

RF・CMOSの市場は(図4)に示すように急激に立ち上がっている.プロセスはさらに進化しているので今後ミリ波帯までCMOSの応用が広がると予想される。
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(図4)CMOS・RFICの市場規模(無線LAN用)

編集: 技術移転プランナー 牧本 三夫
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 知的財産マネジメント推進部
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E-mail: e-mail address TEL: 03-5214-8293 FAX: 03-5214-8476

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