テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

高安定・高分解能直交フラックスゲート磁界センサ

技術の背景

磁界センサーの応用が広がり常温動作の高安定・高分解能特性も要求されているが実用化には課題も多い.本技術は0.1~0.02nTの分解能を持ち高安定でかつ小型で安価な磁界センサーを提供できる。

技術内容・特徴

常温動作で最も感度の高い磁界センサーはフラックスゲート(FG)型である.従来の平行FG磁界センサーは分解能が数nT程度で二つのコイルと大きな励磁電力が必要など問題点もある.九州大学の笹田一郎教授は直交フラックスゲートの新しい動作モードを発見し,それに直流バイアスを周期的に変転して印加することでドリフトを低減し高安定なセンサを実現したがスパイク電圧の発生,印加磁界ゼロ時の不要誘起電圧の抑制が課題となっていた.本技術は(図2)に示すようなU字コアと差動回路を用い,信号は同相,雑音は逆相合成することでこの課題を解決し高安定・高感度・低雑音磁界センサーを実現している.(図2)は試作センサーの一例で高分解能と同時に良好な温度安定度(<0.3nT)も得られている。
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(図1)U字コアを用いた直交フラックスゲート磁界センサー

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(図2)入出力特性例

特許・文献情報

発明の名称: 「磁界センサー」
出願番号: 特願2004-136530
出願人: 科学技術振興機構
発明者: 笹田一郎,臼井 崇


応用分野

直交FG磁気センサーの想定される応用を(図3)に示している.ホール素子やMR,MI素子に比し高感度,高分解能であるためこの特長を生かし,量産品では対応できないような分野での適用が考えられる.この例として(図4)にアクティブ磁気シールドへの応用を示す.ループコイルの中央にFGを配置して外来磁気を打ち消すようにループコイルの電流を制御する手法である.電子ビーム露光装置などの簡易型,低コスト磁気遮蔽への応用が期待できる.その他にも食品の中の鉄系異物検出,埋設物,埋設管漏電箇所検出等への応用も有望と思われる。

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(図3)直交フラックスゲート磁界センサーの応用

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(図4)アクティブ磁気シールドの構成例

関連技術・市場情報

高感度磁束計は単体として50万円程度で市販されている.またパーマロイ等を使う通常の磁気シールドルームは1億円程度と言われており,アクティブ磁気シールドは制御系,磁場発生コイルを含めても安価な磁気シールド装置を提供できると考えられる。

編集: 技術移転プランナー 牧本 三夫
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 産学連携展開部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7
E-mail: e-mail address TEL: 0120-679-005 FAX: 03-5214-8399

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