テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

光触媒を用いた水分解による夢の水素製造

技術の背景

化石資源は無尽蔵でなく、また地球温暖化などの環境問題などの観点からクリーンな新エネルギー資源の開発が望まれています。 最近、風力発電、太陽電池等、利用性の高い自然エネルギーの活用に向け、多数の研究が行われ、実用化が進められてきました。一方で、太陽光を利用するエネルギー変換技術として、光触媒を利用した水の分解による水素の製造は夢の新技術であり、大いに期待が持たれます。

技術内容・特徴

従来、可視光照射下での水の光分解反応は金属酸化物が活性な光触媒として精力的に研究がなされてきていますが、量子収率が0.1%(波長421nm)と非常に低く、収率の向上並びに有効波長領域の拡大が望まれています。

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酸素生成に高い活性を持つ光触媒と水素生成に高い活性を持つ光触媒を組み合わせたレドックス系の提案です。
量子効率0.3%(波長440nm)が得られます。

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今後、更なる効率の向上を含めたコスト低減に対し、企業様の協力を得つつ実用化に向けた課題の克服が大切と考えています。

特許・文献情報

(1)発明の名称:新規Z-スキーム型可視光活性な水の完全分解用光触媒系及び前記触媒を用いた水の完全分解方法
出願番号: 特願2004-8746
出願人 : 学校法人東京理科大学
発明者 : 工藤 昭彦 他


(2)発明の名称:活性効率及び活性安定性を改善した光水分解により水素を生成する可視光活性硫化物固溶体系光触媒及び前記触媒の製造方法
出願番号: 特願2004-10374
出願人 : 学校法人東京理科大学
発明者 : 工藤 昭彦 他


(3)発明の名称:硝酸イオン存在下の酸化的雰囲気においてIr酸化物系助触媒を担持させた光触媒およびその製造方法
出願番号: 特願2004-275529
出願人 : 学校法人東京理科大学
発明者 : 工藤 昭彦 他


(4)発明の名称:可視光を全吸収する水素生成のための黒色光触媒
出願番号: 特願2004-365794
出願人 : 学校法人東京理科大学
発明者 : 工藤 昭彦 他




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応用分野

現行は天然ガス改質による水素製造が主流ですが、水素1立方メートルを製造すると1.6Kg-CO2を放出します。 光触媒については、現状は酸化チタンがほとんどであり、その関連製品を含めると2005年の市場規模は1兆円と予測されます。
水素の市場は多方面に及んでいますが、本技術が実を結べば、炭酸ガスを全く生成することなく、太陽エネルギーから水素を製造し、燃料電池でクリーンな電力を造ることが可能となります。課題の克服に向け、産学官が連携し推進することが重要と考えます。

関連技術

本技術の発明者である工藤らは可視光に活性な光触媒について、硫化物系で615nmまでの広波長域を利用できる触媒を見出しました。この他、可視光の広域まで利用できるイリジウム酸化物系助触媒や光半導体にRu、Pt、Rh等の助触媒を担持した系が有効であることを見出しています。

編集: 技術移転プランナー 遠藤穂積
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 産学連携展開部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7
E-mail: e-mail address TEL: 0120-679-005 FAX: 03-5214-8399

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