テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

2波長励起型顕微フォトルミネッセンス測定技術

技術の背景

LED、レーザー用の積層構造半導体結晶や蛍光体において、最も重要な評価指数は内部量子効率(発光効率)である。高効率化のキーポイントは、結晶欠陥、残留不純物等によって禁制帯内に形成される非発光再結合準位をいかに低減できるかにかかっており、そのためにこれらの準位を定量的に検出、評価する手段が不可欠である。欠陥準位の評価にはこれまで電極を必要とするDLTS法が主に用いられてきた。

技術内容・特徴

試料の禁制帯エネルギーEgより高エネルギー(Above-Gap Excitation, AGE)、及び低エネルギー(Below-Gap Excitation, BGE)の2励起光を用いて、BGE-OFF及びBGE-ON時の試料PL強度の差に着目する。この差分のBGE強度依存性から、着目準位のエネルギー、密度、電子・正孔捕獲率等が測定できる。
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特長は
・顕微光学系を採用したため任意倍率でのCCDカメラによる画像観測、領域選択が容易
・選択した領域について2波長励起PL測定を容易に行うことができる。
・試料への電極取り付けの必要がない。


特許・文献情報

発明の名称:2波長励起フォトルミネッセンスによる禁制帯内準位の測定方法および装置
出願番号: 特願2001-091521(特許第3862964号)
出願人:科学技術振興機構
発明者:鎌田憲彦




応用分野

材料、デバイス製造業、特に半導体材料、発光素子、蛍光体、固体照明光源メーカーにおいて、結晶品質の評価、改善策に多くの労力が払われ、研究開発が継続的に進められている。
 近年AlGaN系半導体による紫外域LED、半導体レーザーの短波長、高効率化に関して、日米欧間で激しい開発競争が続けられている。高品質なAlNやAlGaN結晶を成長することが技術的課題であり、成長した短波長組成結晶の定量的評価を非接触、非破壊で迅速に行う必要性は高い。
またLED励起蛍光体をLEDキャップ部分に添加し、全体で白色光源とする技術的要請が強まり、こうしたLED励起蛍光体の分野でも高効率化、信頼性向上が至上命題となっている。蛍光体においても非発光再結合準位による効率低下は共通問題となりつつある。

関連技術・市場情報

近赤外域はもとより、可視域(青色、緑色、赤色)LEDや半導体レーザーは既に実用化されているが、高効率化によりさらに安価で高品質な素子が供給できれば、応用範囲はさらに拡大する。半導体レーザーは短波長化に伴い、従来の気体レーザー、固体レーザーを置き換えた科学分析用光源、高密度記録・読み出し用光源としての用途が、またLEDは既に車の尾灯にも実用化されており、今後はヘッドライト、液晶ディスプレイのバックライト、さらに一般白色照明光源としての応用が急速に拡大する。紫外域でのLEDや半導体レーザーがさらに短波長、高効率化できれば、殺菌、表面洗浄、医療、微細加工、化学反応制御といった従来の水銀灯、エキシマランプ、エキシマレーザーの領域となり、これらと比べて極めて低消費電力、高信頼、小型軽量のため、さらなる応用分野が飛躍的に拡大すると予測されている。
 LED(可視光、短波長、長波長、紫外光、白色の合計)の販売数量の推移と予測は2005年で450億個程度で、2010年には500億個に近づく予測である。このうち白色LEDは2005年は52億個であるが2010年には77億個との予想である(いずれも世界。富士キメラ総研の調査に基づく。)
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編集: 技術移転プランナー 坂本和夫
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 知的財産マネジメント推進部
〒102-8666 東京都千代田区四番町5-3
E-mail: e-mail address TEL: 03-5214-8293 FAX: 03-5214-8476

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