テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

アスベストを含む建築材料の低温分解による無害化

技術の背景

石綿は、耐熱性、耐腐食性、耐摩耗性に優れた材料ですが、その粉塵を吸入することで、肺ガン、悪性中皮腫、石綿肺を発生させることが明らかになっています。
石綿含有スレート建材等、石綿を重量の1%を超えて含有する製品はその使用が全面禁止(平成16年10月1日)となりました。
国内ではアスベストを使ったスレート建材は、既に、製造され30年を経、回収時期にあり、廃棄埋め立て問題を抱え、アスベストの無害化、有価物への転換が望まれています。

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技術内容・特徴

スレート建材中のアスベストの分解は通常、1,500℃程の高温を必要とします。耐熱性に優れた建築廃材中のアスベストを1,000℃未満の低温で融解、ガラス化する技術は従来は知られていませんでした。
アスベストを含む建築材料(スレート、石膏ボード、水道管など)は、補強材料として大量のアスベストが使用されてきました。本技術は、鉄骨などの耐火被覆材として使用されている飛散性の吹き付け材に含まれるアスベストやスレート建材中のアスベストの無害化法として開発されました。
分解液(例えば、塩化カルシウム水溶液)にスレート建材を浸けた後、700~800℃に加熱することでアスベストは分解又は融解し、非繊維化、非石綿化します。

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熱処理におけるアスベストの非繊維化



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適用分野

セメントの強化材としてアスベスト(石綿)を15~20%程度混入したスレートは、建築材料として大量に使用されてきました。1930~2002年のアスベストの我が国、全使用量は約 1,000万トン、廃材換算で約4,000万トンになります。中でも使用量が特に多いのはスレート材です。
本発明は、人体に有害なアスベストを含む建築廃材などを融解剤と加熱することで、分解又は融解させ、アスベストを無害化できます。これまでは厳重な管理型処分場にしか廃棄できなかったアスベストを含む種々の石綿製品は、安定型処分場への廃棄が可能となります。それどころか、有価物に転換することで、資源の有効活用として期待されます。
アスベストを使ったスレート建材は現在、回収時期を迎え、今後、廃材が多量に発生します。この廃材の無害化処理として本技術が開発されました。



廃棄物の処理に関する法律改正の動き

環境省において、石綿を含む廃棄物の適正処理に関する法律(平成18年2月10日公布)は無害化処理認定等が  一部改正され、平成18年10月1日施行となります。
本技術は、埋立最終処分場の逼迫解消並びに廃棄物の再資源化に大いに貢献するものと期待されています。



関連特許

(1)発明の名称: 「アスベスト含有複合材のアスベスト無害化方法」
特許番号: 第3747246号(特願2005-250599)
出願人: 独立行政法人国立高等専門学校機構
発明者: 小島 昭、藤重 昌生


(2)発明の名称: 「アスベストを含むスレート廃材の処理方法」
出願番号: 特願2004-101178
出願人: 独立行政法人科学技術振興機構
発明者: 小島 昭


その他、フロンを使った技術として

(3)発明の名称: 「アスベスト無害化処理方法」
特許番号: 特許第3769569号


(4)発明の名称: 「フロン分解物混入成形物の製造方法」
特許番号: 特許第3760193号




編集: 技術移転プランナー 遠藤 穂積
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 産学連携展開部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7
E-mail: e-mail address TEL: 0120-679-005 FAX: 03-5214-8399

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