テクニカル・アイ(特許目利きによるコラム)

サブミクロン周期構造を有する高分子-液晶複合材料による日射制御素子

技術の背景

建材の中で窓を原因とする熱損失は夏・冬で高く、それぞれ全体の約50・70%(日本建材・住宅設備産業協会資料)を占め、この低減が省エネにとって重要である。省エネ窓材には紫外遮蔽と高い可視透明性に併せ、近赤外域での高い日射制御性が求められる(図1)。
最近、複層ガラスやlow-e 膜が普及し始め、従来の単板窓ガラスに比べ、光・熱特性が向上してきたが、これらパッシブ材料は特性が固定であるので、季節によっては効果が十分発揮されない。さらに省エネ性能の向上を図るには、室内に入る日射を天候・季節に応じて制御(調光)することが求められる。

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図1 分光透過率の観点で見た省エネ窓材に求められる機能




技術内容

本技術はホログラフィック露光で形成した高分子/液晶相からなるサブミクロン周期構造を有した感温型調光材料である。これは周期構造内の液晶相が温度上昇によりネマティックから等方相へ転移することで屈折率分布が変化し光伝播方向が変わることを調光の基本原理としている。

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図2 試作した素子の異なる温度での分光透過率(一例)



技術の特徴

従来の日射制御方式・材料(クロモジェニック材料、液晶の電気的制御など)は光吸収や散乱の変化を利用している。一方、本素子は屈折率分布の変化で動作し、調光波長範囲の選択性があるため可視透過率を高く保ったまま、日射透過率を気温変化でアクティブに制御することも可能である。
また感温型で動作するため、電源など外部ユーティリティを準備する必要がなくスタンドアローンで動作し、構成が簡易で安価にすることができる。




特許・文献情報

発明の名称:太陽光透過制御素子
出願番号 :特願2007-279698
公開番号: 特開2008-134628
出願人 :産業技術総合研究所、高松工業高等専門学校
発明者 :垣内田洋 田澤真人 荻原昭文


応用分野

日射制御窓材(建築物、移動体など)。

関連技術・市場情報

日射を制御(遮蔽を含む)する窓ガラス、また断熱性の高い窓ガラスは省エネ(冷暖房費節約)と同時にCO2排出削減の社会的要請の中で需要が拡大している。選択吸収反射ガラスとしては、単板フロートガラス、安全ガラス(強化ガラス)、複層ガラスの形態であり、全体で1300-1400億円(2005年)程度の市場と見られる(図3)。
オフィスビル用選択吸収反射ガラスの需要は伸びており、30%が選択吸収反射ガラスと推測される(2005年)。安全ガラスは自動車用が大半である。自動車用強化ガラスは約90%が自動車のサイド及びリアガラス向けであり、そのうち、選択吸収反射機能を有するガラスの比率は、全体の65%と高い。複層ガラスのほとんどは単純な板ガラスによるものであるが、今後は省エネ指向とUVによる健康被害の認識が高まるにつれ、複層ガラスにおける選択吸収反射ガラス採用ニーズは高まるものと見られる。


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図3 選択吸収・反射ガラスの市場(2005以降は予測)




編集: 技術移転プランナー 坂本和夫
問合せ先 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 知的財産マネジメント推進部
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E-mail: e-mail address TEL: 03-5214-8293 FAX: 03-5214-8476

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