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Specification :家畜の乳房炎予防又は改善用組成物、家畜の乳房炎予防又は改善方法、及び乳中体細胞数の低減方法

Country 日本国特許庁(JP)
Gazette 公開特許公報(A)
Publication number 特開2017-071564 (P2017-071564A)
Date of publication of application 平成29年4月13日(2017.4.13)
Title of the invention, or title of the device 家畜の乳房炎予防又は改善用組成物、家畜の乳房炎予防又は改善方法、及び乳中体細胞数の低減方法
IPC (International Patent Classification) A61K  36/232       (2006.01)
A23K  20/00        (2016.01)
A23K  30/10        (2016.01)
A61P  15/14        (2006.01)
FI (File Index) A61K 36/232
A23K 1/16 304C
A23K 3/02
A61P 15/14 171
Number of claims or invention 9
Filing form OL
Total pages 9
Application Number 特願2015-198283 (P2015-198283)
Date of filing 平成27年10月6日(2015.10.6)
Inventor, or creator of device 【氏名】石田 聡一
【氏名】リンドン エフ キニチョ
【氏名】高浦 一希
【氏名】宮崎 均
【氏名】和地 義隆
Applicant 【識別番号】391009877
【氏名又は名称】雪印種苗株式会社
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
【識別番号】515277551
【氏名又は名称】株式会社 農学研究センター
Representative 【識別番号】100154597、【弁理士】、【氏名又は名称】野村 悟郎
Request for examination 未請求
Theme code 2B150
4C088
F-term 2B150AA01
2B150AA02
2B150AA03
2B150AB10
2B150DD44
2B150DD56
2B150DD57
2B150EA03
2B150EB01
4C088AB41
4C088AC05
4C088AC11
4C088AC14
4C088BA07
4C088BA08
4C088CA02
4C088CA03
4C088MA52
4C088NA14
4C088ZC62
Abstract 【課題】抗生物質を使用することなく、安全性の高い、家畜の乳房炎の予防又は改善用組成物、並びにそれを用いる家畜の乳房炎の予防又は改善方法、及び家畜の乳中体細胞数の低減方法を提供する。
【解決手段】明日葉を含有することを特徴とする家畜の乳房炎予防又は改善用組成物、明日葉を家畜に給与することを特徴とする家畜の乳房炎予防又は改善方法、及び明日葉を家畜に給与することを特徴とする家畜の乳中体細胞数の低減方法。
【選択図】図1
Scope of claims 【請求項1】
明日葉を含有することを特徴とする家畜の乳房炎予防又は改善用組成物。
【請求項2】
前記明日葉が、明日葉の生草、搾り汁、搾り粕、溶媒抽出物、溶媒抽出粕及びそれらの乾燥物、並びにそれらをサイレージ原料として用いたサイレージ及びその乾燥物からなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記明日葉の含有量が、乾燥質量として50質量%以上である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
明日葉を家畜に給与することを特徴とする家畜の乳房炎予防又は改善方法。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物を家畜に給与する請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記明日葉の給与量が、家畜1頭当たり、1日に乾燥質量として10~500gである請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
明日葉を家畜に給与することを特徴とする家畜の乳中体細胞数の低減方法。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物を家畜に給与する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記明日葉の給与量が、家畜1頭当たり、1日に乾燥質量として10~500gである請求項7又は8に記載の方法。
Detailed description of the invention 【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜の乳房炎を予防又は改善するための組成物に関し、特に明日葉を含有する組成物、及びその組成物を含有する飼料、並びにそれを用いる家畜の乳房炎予防又は改善方法、及び乳中体細胞数の低減方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳房炎は、家畜、特に乳牛、ヤギ等の泌乳動物において、ブドウ球菌(Staphylococcus 属)、連鎖球菌(Streptococcus属)、大腸菌群(coliform)等の細菌の浸入等によって生じた乳腺組織の損傷に対する生態防御反応による炎症の総称である。炎症の程度によって、乳房に炎症や体温上昇等の全身症状等の臨床症状が認められる臨床型乳房炎、及び臨床症状は認められないが、乳中の体細胞数の上昇が認められる潜在性乳房炎に分類され、臨床型は症状によって、甚急性、急性、慢性に分類される。家畜に乳房炎が発生した場合、臨床型乳房炎に対する治療、廃棄乳、淘汰による経済的損失だけではなく、潜在性乳房炎に起因する、乳中の体細胞数の上昇による乳品質の悪化、及び泌乳量の低下によって、大きな経済的損失が生じることになる。特に乳中の体細胞数は所定の基準を満たさない場合、乳価へのペナルティが生じ、出荷停止に至る場合もある。
【0003】
乳房炎の対策として、抗生物質等の薬剤の投与による治療方法等があるが、乳中への薬剤の移行や薬剤耐性菌の増加の可能性等の危険性もある。したがって、抗生物質等の薬剤を使用しない対策が求められており、従来から、開発が進められている。例えば、特許文献1には、牛乳中への薬物残留等の問題の無い乳牛の乳房炎治療剤を提供することを目的に、酸性多糖類を含有する乳牛の乳房炎治療剤が開示されている。また、特許文献2には、安全性が高く、極めて有効な乳房炎予防剤を新たに開発することを目的に、体内でメチル基供与体として働く含窒素化合物(ベタイン等)及び脂溶性ビタミン(ビタミンE等)を有効成分とする家畜用乳房炎予防剤が開示されている。さらに特許文献3には、安価で安全性が高い乳房炎予防又は治療剤、飼料、及び乳房炎予防又は防止方法を提供することを目的に、コーヒー豆を含有することを特徴とする乳房炎予防又は治療剤、それを含有する飼料が開示されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2001-213784号公報
【特許文献2】特開2003-183180号公報
【特許文献3】特開2014-195446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、乳房炎の対策については、家畜の状態や飼育環境によって効果に差がある場合があり、酪農業界としては、選択肢が数多くあること好ましく、さらなる開発が求められている。
【0006】
したがって、本発明の目的は、抗生物質を使用することなく、安全性の高い、家畜の乳房炎の予防又は改善用組成物、及びその組成物を含有する飼料を提供することにある。また、本発明の目的は、安全性の高い、家畜の乳房炎の予防又は改善方法を提供することにある。さらに、本発明の目的は、安全性の高い、家畜の乳中体細胞数の低減方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、家畜に明日葉を給与することで、乳房炎に由来する乳中の体細胞数の上昇を抑制できることを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、上記目的は、明日葉を含有することを特徴とする家畜の乳房炎予防又は改善用組成物によって達成される。これにより、抗生物質等の薬剤を使用することによる、乳中への薬剤の移行や薬剤耐性菌の増加の可能性等の危険性のない、安全性の高い乳房炎の予防又は改善用の組成物を提供することができる。
【0009】
本発明の組成物の好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記明日葉が、明日葉の生草、搾り汁、搾り粕、溶媒抽出物、溶媒抽出粕及びそれらの乾燥物、並びにそれらをサイレージ原料として用いたサイレージ及びその乾燥物からなる群から選択される。
(2)前記明日葉の含有量が、乾燥質量として50質量%以上である。これにより、有効量の明日葉を家畜に給与し易い組成物とすることができる。
【0010】
また、上記目的は、明日葉を、家畜に給与することを特徴とする家畜の乳房炎予防又は改善方法によって達成される。これにより、抗生物質等の薬剤を使用することによる、乳中への薬剤の移行や薬剤耐性菌の増加の可能性等の危険性を回避し、安全に乳房炎の予防又は改善をすることができる。
【0011】
本発明の乳房炎の予防又は改善方法の好ましい態様は、以下の通りである。
(1)本発明の組成物を家畜に給与する。これにより容易に、有効量の明日葉を給与することができる。
(2)前記明日葉の給与量が、家畜1頭当たり、1日に乾燥質量として10~500gである。上記範囲の給与量であれば、費用対効果が高い。
【0012】
また、上記目的は、明日葉を、家畜に給与することを特徴とする家畜の乳中体細胞数の低減方法によって達成される。
【0013】
本発明の乳中体細胞数の低減方法の好ましい態様は、以下の通りである。
(1)本発明の組成物を家畜に給与する。これにより容易に、有効量の明日葉を給与することができる。
(2)前記明日葉の給与量が、家畜1頭当たり、1日に乾燥質量として10~500gである。上記範囲の給与量であれば、費用対効果が高い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、抗生物質等の薬剤を使用することによる、乳中への薬剤の移行や薬剤耐性菌の増加の可能性等の危険性のない、安全性の高い乳房炎の予防又は改善用の組成物、乳房炎の予防又は改善方法、及び乳中の体細胞数の低減方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1A~図1Cは、各泌乳牛における、明日葉組成物給与時、無給与時の乳中体細胞数の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[家畜の乳房炎予防又は改善用組成物]
本発明の家畜の乳房炎予防又は改善用組成物は、明日葉を含有することを特徴とする組成物である。明日葉(アシタバ(Angelica keiskei))は、日本原産のセリ科シシウド属の多年草であり、古くから野菜又は薬草として食されてきた植物である。明日葉は、近年、抗菌作用、抗腫瘍作用、血圧上昇抑制、脂質代謝改善、糖尿病治療効果等の種々の生理機能が認められ、機能性食材として注目されている。しかしながら、明日葉を家畜に給与することで、乳房炎を予防又は改善し、乳中の体細胞数を低減することができることについては、これまで全く知られていなかった。本発明者らは数多くの天然素材の中から、特に明日葉が、家畜の乳房炎に対して効果があることを見出したのである。上述の通り、家畜に乳房炎が発生した場合、乳中の体細胞数の上昇による乳品質の悪化等によって、大きな経済的損失が生じることになるが、抗生物質等の薬剤の投与は、乳中への薬剤の移行や薬剤耐性菌の増加の可能性等の危険性もある。本発明の組成物であれば、抗生物質等の薬剤を使用することによる危険性の恐れなく、乳房炎を予防又は改善することができる。この効果の要因としては、明確ではないが、明日葉に含まれるカルコン類等のポリフェノールまたはその他機能性化合物による抗菌作用や抗酸化活性が作用しているものと考えられる。なお、上述の通り、乳房炎は、臨床型乳房炎(甚急性、急性、慢性)、及び潜在性乳房炎に分類されるが、本発明の組成物は、いずれの乳房炎にも用いることができる。本発明の組成物は、特に潜在性乳房炎、又は慢性乳房炎に有効である。

【0017】
本発明の組成物において、明日葉としては、いずれの部位を用いても良く、例えば葉、茎、及び根の少なくとも一部、又は全部を用いることができる。また、明日葉は、明日葉の成分を含有するものであれば、そのままでも、前処理をして用いても良い。例えば、必要に応じて裁断した明日葉の生草を用いても良く、それを乾燥した乾燥物を用いても良い。また、明日葉の生草を必要に応じて加水して圧搾した搾り汁、若しくはその搾り粕、又はそれらの乾燥物を用いても良く、生草若しくはその乾燥物を水等の溶媒で抽出した溶媒抽出物、若しくはその溶媒抽出粕、又はそれらの乾燥物を用いても良い。さらに、上記のいずれかの明日葉(前処理されたものを含む)をサイレージ原料として用いて調製したサイレージ(一定の水分を含む牧草・飼料作物、食品副産物等のサイレージ原料を、嫌気的条件下で原料に含まれる糖分と乳酸菌等により乳酸発酵等させた貯蔵用飼料)又はその乾燥物を用いても良い。上記の明日葉は、必要に応じて粉砕した粉砕物を用いることができる。

【0018】
本発明の組成物における明日葉の含有量は、特に制限はなく、任意の含有量の組成物とすることができる。また、本発明における組成物は、飼料に添加して用いる飼料添加剤の形態であっても、そのまま家畜に給与する配合飼料等の形態であっても良い。例えば、上記の通り、必要に応じて前処理した明日葉の乾燥物の粉砕物をそのまま飼料添加剤の形態としても良く、その粉砕物を、後述する他の飼料用原料に、任意の配合(例えば1~99質量%)で混合した配合飼料又は飼料添加剤の形態としても良い。本発明の組成物において、明日葉の含有量は、特に飼料添加剤の形態の場合は、有効量の明日葉を給与し易い点で、乾燥質量として50質量%以上であることが好ましい。

【0019】
本発明の組成物は、明日葉の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、家畜の嗜好性、組成物の保存安定性等を考慮して、任意の飼料用原料を含有させることができる。例えば、トウモロコシ、ソルガム、オーチャードグラス、チモシー、アルファルファ、イタリアンライグラス、アカクローバー等の牧草・飼料作物、ビール粕、ふすま、大豆粕、豆腐粕、廃糖蜜等の食品副産物、小麦ストロー、稲わら等の農業副産物、尿素、アンモニア等の窒素化合物、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、炭酸亜鉛、硫酸鉄等のミネラル、クエン酸、アスコルビン酸、ビタミンE等の酸化防止剤、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤、寒天、グルコマンナン、ゼラチン等の増粘剤、ビタミンA、D、E、B1、B2、ビオチン、葉酸等のビタミン類、ハーブ、ベリー、オレンジ等のフレーバー、ぶどう糖、オリゴ糖、糖蜜等の糖類、でん粉類、微生物製剤、酵素剤等の添加剤が挙げられる。特に明日葉は、家畜の嗜好性が良好ではないため、ルーサンや糖蜜等の嗜好性の良い飼料用原料と混合し、必要に応じて上述のサイレージ等の発酵飼料化して組成物とすることが好ましい。また、本発明の組成物は、どのような形態でもよい。例えば、所定の含有量の明日葉と、上記飼料用原料とを混合した、粉末状、錠剤状、ペレット状、練り状、上述のサイレージ等の任意の形態の組成物とすることができる。

【0020】
本発明において、対象とする家畜は、乳房炎が問題になる家畜であれば特に制限はなく、牛、ヤギ、羊、豚、馬等が挙げられる。泌乳牛、ヤギ等の泌乳動物が好ましく、特に経済的損失が大きい泌乳牛が好ましい。

【0021】
[家畜の乳房炎予防又は改善方法]
本発明の家畜の乳房炎予防又は改善方法は、明日葉を、家畜に給与することを特徴とする方法である。上述の通り、家畜に乳房炎が発生した場合、乳中の体細胞数の上昇による乳品質の悪化等によって、大きな経済的損失が生じることになるが、抗生物質等の薬剤の投与は、乳中への薬剤の移行や薬剤耐性菌の増加の可能性等の危険性もある。本発明の方法によれば、抗生物質等の薬剤を使用することによる危険性を回避し、乳房炎を予防又は改善することができる。本発明の方法に用いる明日葉としては、上記組成物の説明において記載した通りである。本発明の方法において、容易に有効量の明日葉を給与することができる点で、本発明の組成物を家畜に給与することが好ましい。なお、上述の通り、乳房炎は、臨床型乳房炎(甚急性、急性、慢性)、及び潜在性乳房炎に分類されるが、本発明の方法は、いずれの乳房炎にも効果がある。本発明の方法は、特に潜在性乳房炎、又は慢性乳房炎に有効である。

【0022】
本発明の方法において、明日葉の給与量は、特に制限はなく、対象の家畜の症状、体重、年齢、種類等に応じて調節することができる。明日葉の給与量は、乳房炎を予防又は改善する効果、及び経済性の観点から、家畜1頭当たり、1日に乾燥質量として10~500gであることが好ましく、20~300gであることが更に好ましく、40~200gであることが特に好ましい。この範囲の給与量であれば、高い費用対効果で、乳房炎の発生による経済的損失を低減することができる。

【0023】
[家畜の乳中体細胞数の低減方法]
本発明の家畜の乳中体細胞数の低減方法は、明日葉を、家畜に給与することを特徴とする方法である。上述の通り、家畜に乳房炎が発生した場合、乳中の体細胞数の上昇し、乳品質が悪化し、大きな経済的損失が生じることになる。一般に、泌乳牛の乳中体細胞数は、10個/ml以下であり、2×10個/mlを超えると潜在性乳房炎が疑われ、4×10個/ml以上で乳価へのペナルティもあり、出荷が停止される場合もある。本発明の方法によれば、抗生物質等の薬剤を投与による、生乳出荷制限を回避し、乳中体細胞数を低減することができる。本発明の方法に用いる明日葉としては、上記組成物の説明において記載した通りである。本発明の方法において、容易に有効量の明日葉を給与することができる点で、本発明の組成物を家畜に給与することが好ましい。なお、乳中の体細胞数の測定は、搾乳した乳をセルカウンター等によってカウントすることによって測定することができる。

【0024】
本発明の方法において、明日葉の給与量は、特に制限はなく、対象の家畜の症状、体重、年齢、種類等に応じて調節することができる。明日葉の給与量は、乳中体細胞数の低減効果、及び経済性の観点から、家畜1頭当たり、1日に乾燥質量として10~500gであることが好ましく、20~300gであることが更に好ましく、40~200gであることが特に好ましい。この範囲の給与量であれば、高い費用対効果で、乳中体細胞数の上昇による経済的損失を低減することができる。
【実施例】
【0025】
次に本発明を実施例にて具体的に説明する。
1.明日葉含有組成物の調製
(1)明日葉フレーク(明日葉搾汁粉末)
明日葉の葉、茎を圧搾して得た搾り汁を基材(デキストリン)と混合して、噴霧乾燥し、明日葉搾汁を乾燥質量として14質量%含有する粉末を得た。
(2)明日葉ペレット1
明日葉の葉、茎の生草粉砕物を、基材(糖蜜吸着飼料)と混合して真空乾燥させ、ペレット製造機にて明日葉を乾燥質量として60質量%含有するペレットを得た。
(3)明日葉ペレット2
明日葉の葉、茎の乾燥粉砕物を、基材(糖蜜吸着飼料、ルーサン(粉)、フスマ)と混合して、ペレット製造機にて明日葉を乾燥質量として45質量%含有するペレットを得た。
(4)明日葉含有発酵飼料
明日葉の葉、茎を、脱水ビール粕、ゴマ粕、飼料米(粉砕)、糖蜜吸着飼料と共にサイレージ原料に用いて、明日葉を乾燥質量として2質量%含有する発酵飼料を得た。
【実施例】
【0026】
2.慢性乳房炎の泌乳牛に対する明日葉組成物給与の影響
慢性乳房炎又は潜在性乳房炎と考えられる乳中体細胞数が高い(3×10個/ml以上)泌乳牛13頭(A~M)について、抗生物質を使用せず、明日葉含有組成物(明日葉フレーム又は明日葉ペレット)を給与し、乳中の体細胞数の変化を観察した。明日葉含有組成物の給与は、標準的なTMR(Total Mixed Ration:完全混合飼料)給与時に、明日葉含有組成物をトップドレス(TMR上に振り掛ける)して行なった。乳中の体細胞数は、各泌乳牛から搾乳し、フォソマチック(商標)蛍光光学式体細胞数測定機(FOSS社製)で測定した。結果を表1に示す。
【実施例】
【0027】
表1に示す通り、明日葉含有組成物を給与した乳中体細胞数が高い泌乳牛13頭の内、11頭において、乳中体細胞数の低下が認められた。本結果から、明日葉を含有する組成物を給与することで、家畜の乳房炎を改善し、乳中の体細胞数を低減することができることが示唆された。
【実施例】
【0028】
【表1】
JP2017071564A_000003t.gif
【実施例】
【0029】
3.泌乳牛の分娩後の乳房炎予防に対する明日葉組成物給与の影響
潜在性乳房炎の症状が出易い3産以上の泌乳牛3頭(N、O、P)について、分娩後、明日葉含有組成物をそれぞれ給与し、所定の期間後、明日葉含有組成物の給与を停止した。その間、乳中体細胞数を定期的に測定し、経時変化を観察した。明日葉含有組成物は、Nには1日当たり明日葉含有発酵飼料を2kg(明日葉乾燥質量として40g)、O及びPには、1日当たり明日葉ペレットを100g(明日葉乾燥質量として45g)給与した。乳中の体細胞数は、各泌乳牛から搾乳し、フォソマチック(商標)蛍光光学式体細胞数測定機(FOSS社製)で測定した。結果を図1に示す。
【実施例】
【0030】
図1に示す通り、供試泌乳牛の3頭とも、明日葉含有組成物を給与中は、乳中体細胞数が比較的低く抑えられていたが、明日葉含有組成物の給与を停止すると、乳中体細胞数が増加する傾向が認められた。本結果から、明日葉を含有する組成物を給与することで、家畜の乳房炎を予防し、乳中の体細胞数を低減することができることが示唆された。
【実施例】
【0031】
なお、本発明は上記の実施の形態及び実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明によれば、抗生物質等の薬剤を使用することなく、家畜の乳房炎を予防又は改善することができ、乳中の体細胞数の増加を抑制することができるので、酪農業界における経済的損失を防ぐことができる。

Drawing
【図1】
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