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Specification :PdRu固溶体型合金微粒子を用いた触媒

Country 日本国特許庁(JP)
Gazette 特許公報(B2)
Patent Number 特許第5737699号 (P5737699)
Date of registration 平成27年5月1日(2015.5.1)
Date of issue 平成27年6月17日(2015.6.17)
Title of the invention, or title of the device PdRu固溶体型合金微粒子を用いた触媒
IPC (International Patent Classification) B01J  23/46        (2006.01)
B01D  53/94        (2006.01)
B01J  37/16        (2006.01)
B01J  37/08        (2006.01)
C07C   1/32        (2006.01)
C07C  15/14        (2006.01)
C07C  45/68        (2006.01)
C07C  49/784       (2006.01)
C07C  41/30        (2006.01)
C07C  43/205       (2006.01)
F01N   3/10        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI (File Index) B01J 23/46 301M
B01J 23/46 301A
B01D 53/36 102A
B01D 53/36 104A
B01J 37/16 ZAB
B01J 37/08
B01D 53/36 104Z
B01J 23/46 301Z
C07C 1/32
C07C 15/14
C07C 45/68
C07C 49/784
C07C 41/30
C07C 43/205 D
F01N 3/10 A
C07B 61/00 300
Number of claims or invention 11
Total pages 29
Application Number 特願2014-536592 (P2014-536592)
Date of filing 平成25年9月18日(2013.9.18)
International application number PCT/JP2013/005512
International publication number WO2014/045570
Date of international publication 平成26年3月27日(2014.3.27)
Application number of the priority 2012204292
2013046885
Priority date 平成24年9月18日(2012.9.18)
平成25年3月8日(2013.3.8)
Claim of priority (country) 日本国(JP)
日本国(JP)
Date of request for substantive examination 平成26年8月5日(2014.8.5)
Patentee, or owner of utility model right 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
Inventor, or creator of device 【氏名】北川 宏
【氏名】草田 康平
【氏名】永岡 勝俊
【氏名】佐藤 勝俊
【氏名】クトゥビ モハマド シャハジャハン
Accelerated examination, or accelerated appeal examination 早期審査対象出願
Representative 【識別番号】100107641、【弁理士】、【氏名又は名称】鎌田 耕一
【識別番号】100168273、【弁理士】、【氏名又は名称】古田 昌稔
Examiner 【審査官】西山 義之
Document or reference 特開2001-224965(JP,A)
特開2003-080070(JP,A)
特開2009-001901(JP,A)
Field of search B01J 21/00-38/74
JSTPlus(JDreamIII)
Scope of claims 【請求項1】
パラジウムとルテニウムとが原子レベルで固溶したパラジウム-ルテニウム固溶体型合金微粒子を含む、一酸化炭素の酸化触媒。
【請求項2】
パラジウムとルテニウムとが原子レベルで固溶したパラジウム-ルテニウム固溶体型合金微粒子を含む、窒素酸化物の還元触媒。
【請求項3】
パラジウムとルテニウムとが原子レベルで固溶したパラジウム-ルテニウム固溶体型合金微粒子を含む、水素ガスの酸化触媒。
【請求項4】
パラジウムとルテニウムとが原子レベルで固溶したパラジウム-ルテニウム固溶体型合金微粒子を含む、炭化水素の酸化触媒。
【請求項5】
パラジウムとルテニウムとが原子レベルで固溶したパラジウム-ルテニウム固溶体型合金微粒子を含む、鈴木・宮浦クロスカップリングの触媒。
【請求項6】
パラジウムとルテニウムとが原子レベルで固溶したパラジウム-ルテニウム固溶体型合金微粒子を含む、自動車の排気ガスの浄化用の三元触媒。
【請求項7】
前記合金微粒子の組成が、PdxRu1-x(ただし、0.1≦x≦0.9)で表される、請求項1~6のいずれか1項に記載の触媒。
【請求項8】
パラジウムとルテニウムとが固溶しているパラジウム-ルテニウム固溶体型合金微粒子を含む請求項1~7のいずれか1項に記載の触媒を製造する方法であって、
パラジウム化合物またはパラジウムイオンと、ルテニウム化合物またはルテニウムイオンとを含む第1溶液を、所定の温度以上の温度に保持した、保護剤と還元剤を含む第2溶液に混合する工程を含む、触媒の製造方法。
【請求項9】
前記第2溶液に対して前記第1溶液を噴霧することによって、前記第1溶液を前記第2溶液に混合する、請求項8に記載の触媒の製造方法。
【請求項10】
記保護剤、ポ(N-ビニル2-ピロリドン)である、請求項8または9に記載の触媒の製造方法。
【請求項11】
前記所定の温度が180℃である、請求項8~10のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。
Detailed description of the invention 【技術分野】
【0001】
本発明は、PdRu固溶体型合金微粒子を用いた触媒およびPdRu固溶体型合金微粒子の製造方法、ならびに、それを用いた有機化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パラジウム微粒子は、自動車の排気ガスの浄化用の触媒(三元触媒)として用いられている(たとえば特許文献1)。しかし、パラジウム微粒子を触媒として用いた場合、一酸化炭素などによる被毒によって性能が大きく低下することが問題となっている。また、ロジウム微粒子も同様に触媒として用いられているが、高価であるという欠点がある。
【0003】
また、従来から、合金微粒子を用いた触媒が提案されている(特許文献2および3)。また、PdRu合金微粒子の製造方法が提案されている(非特許文献1および2)。
【0004】
また、従来から、Pdなどを触媒に用いた鈴木・宮浦クロスカップリングが広く行われている。鈴木・宮浦クロスカップリング反応では、ホモカップリング反応を抑制することが重要である。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平11-207180号公報
【特許文献2】特開2005-161186号公報
【特許文献3】特表2009-545114号公報
【0006】

【非特許文献1】日本化学会第92春季年会(2012年)、講演予稿集「新規PdRu固溶体ナノ粒子の合成とその物性」
【非特許文献2】第4回分子科学討論会(2010年)の講演番号1P064(PdRu合金ナノ粒子の合成と構造)の講演要旨
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような状況において、本発明は、新規な触媒およびその製造方法を提供することを目的の1つとする。また、本発明は、本発明の触媒を用いた有機化合物の製造方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、通常は固溶しないパラジウムとロジウムとが固溶した合金微粒子を製造できること、および、その合金微粒子を新規な触媒として用いることができることを見出した。本発明は、この新たな知見に基づくものである。
【0009】
本発明は、触媒を提供し、その触媒はパラジウムとルテニウムとが固溶しているパラジウム-ルテニウム合金微粒子を含む。
【0010】
また、本発明は、パラジウムとルテニウムとが固溶しているパラジウム-ルテニウム合金微粒子を製造する方法を提供する。この製造方法は、保護剤と、還元剤と、パラジウム化合物またはパラジウムイオンと、ルテニウム化合物またはルテニウムイオンとを含む溶液を所定の温度以上の温度に保持する工程を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、一酸化炭素の酸化反応、窒素酸化物の還元反応、水素ガスの酸化反応、炭化水素の酸化反応などに対する触媒活性が高い触媒が得られる。後述するように、一酸化炭素の酸化反応に対するPdRu合金微粒子の触媒活性は、Pd微粒子、Ru微粒子、Pd微粒子とRu微粒子の混合物、のいずれの触媒活性よりも高く、顕著な触媒活性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例に関して、Pdの仕込み比と、製造されたPdRu合金微粒子中のPd比の測定値との関係を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例で作製されたPdRu合金微粒子のTEM像である。
【図3A】図3Aは、実施例で製造されたPd0.5Ru0.5合金微粒子のHAADF-STEM像を示す。
【図3B】図3Bは、実施例で製造されたPd0.5Ru0.5合金微粒子のRuの元素マッピングの結果を示す。
【図3C】図3Cは、実施例で製造されたPd0.5Ru0.5合金微粒子のPdの元素マッピングの結果を示す。
【図3D】図3Dは、実施例で製造されたPd0.5Ru0.5合金微粒子のRu+Pdの元素マッピングの結果を示す。
【図4】図4は、実施例で製造されたPd0.5Ru0.5合金微粒子の線分析の結果を示す。
【図5A】図5Aは、実施例で製造されたPd0.1Ru0.9合金微粒子のHAADF-STEM像を示す。
【図5B】図5Bは、実施例で製造されたPd0.1Ru0.9合金微粒子のRuの元素マッピングの結果を示す。
【図5C】図5Cは、実施例で製造されたPd0.1Ru0.9合金微粒子のPdの元素マッピングの結果を示す。
【図5D】図5Dは、実施例で製造されたPd0.1Ru0.9合金微粒子のRu+Pdの元素マッピングの結果を示す。
【図6A】図6Aは、実施例で製造されたPd0.3Ru0.7合金微粒子のHAADF-STEM像を示す。
【図6B】図6Bは、実施例で製造されたPd0.3Ru0.7合金微粒子のRuの元素マッピングの結果を示す。
【図6C】図6Cは、実施例で製造されたPd0.3Ru0.7合金微粒子のPdの元素マッピングの結果を示す。
【図6D】図6Dは、実施例で製造されたPd0.3Ru0.7合金微粒子のRu+Pdの元素マッピングの結果を示す。
【図7A】図7Aは、実施例で製造されたPd0.7Ru0.3合金微粒子のHAADF-STEM像を示す。
【図7B】図7Bは、実施例で製造されたPd0.7Ru0.3合金微粒子のRuの元素マッピングの結果を示す。
【図7C】図7Cは、実施例で製造されたPd0.7Ru0.3合金微粒子のPdの元素マッピングの結果を示す。
【図7D】図7Dは、実施例で製造されたPd0.7Ru0.3合金微粒子のRu+Pdの元素マッピングの結果を示す。
【図8A】図8Aは、実施例で製造されたPd0.9Ru0.1合金微粒子のHAADF-STEM像を示す。
【図8B】図8Bは、実施例で製造されたPd0.9Ru0.1合金微粒子のRuの元素マッピングの結果を示す。
【図8C】図8Cは、実施例で製造されたPd0.9Ru0.1合金微粒子のPdの元素マッピングの結果を示す。
【図8D】図8Dは、実施例で製造されたPd0.9Ru0.1合金微粒子のRu+Pdの元素マッピングの結果を示す。
【図9A】図9Aは、実施例で作製されたPdRu合金微粒子のXRDパターンを示す。
【図9B】図9Bは、実施例で作製されたPdRu合金微粒子の組成比と格子定数との関係を示す。
【図10】図10は、実施例で製造されたPd0.5Ru0.5合金微粒子のXRDパターンを示す。
【図11】図11は、実施例で作製されたPd0.5Ru0.5合金微粒子のXRDパターンのフィッティング結果を示す。
【図12】図12は、実施例で作製されたPdRu合金微粒子およびその他の微粒子について、一酸化炭素の酸化反応に対する触媒活性を示すグラフである。
【図13】図13は、実施例で作製されたPdRu合金微粒子およびその他の微粒子について、窒素酸化物の還元反応に対する触媒活性を示すグラフである。
【図14】図14は、実施例で作製されたPdRu合金微粒子およびその他の微粒子について、水素ガスの酸化反応に対する触媒活性を示すグラフである。
【図15A】図15Aは、Pd微粒子を用いた貴金属担持触媒の触媒活性を示すグラフである。
【図15B】図15Bは、Ru微粒子を用いた貴金属担持触媒の触媒活性を示すグラフである。
【図15C】図15Cは、PdRu合金微粒子(Pd0.5Ru0.5)を用いた貴金属担持触媒の触媒活性を示すグラフである。
【図16A】図16Aは、各微粒子について、窒素酸化物の還元反応に対する触媒活性を示すグラフである。
【図16B】図16Bは、各微粒子について、一酸化炭素の酸化反応に対する触媒活性を示すグラフである。
【図16C】図16Cは、各微粒子について、炭化水素の酸化反応に対する触媒活性を示すグラフである。
【図17A】図17Aは、各微粒子について、窒素酸化物の還元反応におけるT50を示すグラフである。
【図17B】図17Bは、各微粒子について、一酸化炭素の酸化反応におけるT50を示すグラフである。
【図17C】図17Cは、各微粒子について、炭化水素の酸化反応におけるT50(℃)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について例を挙げて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態および実施例に限定されない。以下の説明では、特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本発明の効果が得られる限り、他の数値や他の材料を適用してもよい。

【0014】
(触媒)
本発明の触媒は、パラジウム(Pd)とルテニウム(Ru)とが固溶している合金微粒子を含む。すなわち、本発明の触媒は、固溶体型のパラジウム-ルテニウム合金微粒子を含む。この固溶体型の合金微粒子を、以下では、「PdRu合金微粒子」という場合がある。

【0015】
PdRu合金微粒子において、PdとRuとは分離しておらず、固溶している。PdとRuとが固溶することによって、それぞれのバルクの性質とは異なる性質を示すようになる。そのため、PdRu合金微粒子を用いることによって、Pd微粒子とRu微粒子との混合粒子とは異なる触媒活性を得ることが可能である。

【0016】
PdRu合金微粒子の平均粒径は、1nm~50nmの範囲や1nm~10nmの範囲にあってもよい。また、PdRu合金微粒子の組成をPdxRu1-xの式で表した場合に、xは、0.01≦x≦0.99や、0.1≦x≦0.9や、0.3≦x≦0.7を満たしてもよい。これらの粒径や組成比は、製造条件を変えることによって容易に調整できる。

【0017】
PdRu合金微粒子は、一酸化炭素の酸化触媒として用いることができる。Pdは、自動車の排気ガスの浄化用の触媒として用いることができるが、一酸化炭素による被毒が問題となっている。PdRu合金微粒子は、一酸化炭素の酸化触媒としての機能を有するため、PdRu合金微粒子を排気ガスの浄化用の触媒として用いた場合、一酸化炭素による被毒の影響を抑制することが期待される。

【0018】
また、PdRu合金微粒子は、様々な触媒作用が期待され、たとえば、酸化触媒や還元触媒としての利用が期待される。たとえば、窒素酸化物(NOx)の還元触媒、炭化水素(HC)の酸化触媒および水素ガスの酸化触媒として用いることができる。そのため、PdRu合金微粒子は、自動車等の排ガスの浄化触媒や、燃料電池の電極触媒として利用することが期待される。以上のように、PdRu合金微粒子は、一酸化炭素の酸化触媒、窒素酸化物の還元触媒、炭化水素の酸化触媒、および水素ガスの酸化触媒からなる群より選ばれる少なくとも1つの触媒として用いることができる。

【0019】
PdRu合金微粒子は、鈴木・宮浦クロスカップリングの触媒として用いてもよい。別の観点では、本発明は、PdRu合金微粒子を触媒として用いて鈴木・宮浦クロスカップリングを行う、有機化合物の製造方法に関する。

【0020】
鈴木・宮浦クロスカップリングによってカップリングされる化合物およびカップリングの条件に特に限定はなく、公知の化合物および条件を用いてもよい。カップリングされる化合物およびカップリングの条件について以下に例示するが、本発明は以下の化合物および条件に限定されない。

【0021】
(鈴木・宮浦クロスカップリングの例)
鈴木・宮浦クロスカップリングでは、有機ハロゲン化物などの有機化合物と有機ホウ素化合物とがカップリングされる。以下では、有機ホウ素化合物を「化合物(B)」と記載し、有機ホウ素化合物とカップリングする化合物を「化合物(A)」と記載する場合がある。

【0022】
典型的な化合物(A)は、R1-Xの式で表される。R1の例にはアリール基が含まれ、たとえば、フェニル基や、置換基が結合したフェニル基、トリメチルシリル基、トリフラート、トシル基が含まれる。Xの例にはハロゲン基が含まれる。典型的な化合物(A)の例には、ハロゲン化アリールが含まれる。化合物(A)の一例は、以下の式(I)で表される。

【0023】
【化1】
JP0005737699B2_000002t.gif

【0024】
上記式(I)において、R2の例には、水素原子、メチル基、メトキシ基、アセチル基、シアノ基、フルオロ基、ニトロ基が含まれる。また、Xの例には、I、Br、Clが含まれ、IおよびBrが好ましく用いられる。

【0025】
化合物(B)は、ボロン酸、ボロン酸エステル、アルキルボランなどの有機ホウ素化合物である。典型的な化合物(B)は、R3-Gの式で表される。R3の例にはアリール基が含まれ、たとえば、フェニル基や、置換基が結合したフェニル基が含まれる。Gの例には、-B(OH)2(ボロン酸)、およびそのエステル、および-BRab(RaおよびRbはそれぞれアルキル基であり、同じであってもよいし異なっていてもよい)が含まれる。化合物(B)の一例は、以下の式(II)で表される。

【0026】
【化2】
JP0005737699B2_000003t.gif

【0027】
上記式(II)において、R4の例には、水素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、フルオロ基、ニトロ基が含まれる。

【0028】
なお、上記式(I)および(II)では、パラ位に置換基が導入される例を示しているが、それらは他の置換位置に導入されていてもよい。

【0029】
化合物(A)と化合物(B)とをクロスカップリングさせることによって、異なる化合物を結合できる。R1とR3とが異なる場合(たとえばR2とR4とが異なる場合)、化合物(A)と化合物(B)とをクロスカップリングさせることによって、異なる原子団を結合できる。鈴木・宮浦クロスカップリングでは、化合物(A)同士の反応および化合物(B)同士の反応を抑制してクロスカップリング反応の収率を高めることが重要となる。なお、出発材料に含まれる化合物(A)と化合物(B)とは、等モル量であってもよいし、いずれか一方を多くしてもよい。たとえば、出発材料に含まれる化合物(B)のモル数を化合物(A)のモル数よりも多くしてもよい。

【0030】
本発明の好ましい一例では、溶媒中において、PdRu合金微粒子(触媒)および塩基の存在下で化合物(A)と化合物(B)とをクロスカップリングさせる。このとき、反応を促進させるために溶媒を加熱してもよい。

【0031】
塩基および溶媒に特に限定はなく、鈴木・宮浦クロスカップリングで用いられている公知の塩基および溶媒を用いてもよい。塩基の例には、実施例で述べる塩基が含まれる。また、溶媒の例には、実施例で述べる溶媒が含まれる。溶媒は、保護剤(後述するPVPなど)を含んでいてもよい。

【0032】
PdRu合金微粒子を触媒として用いる場合、PdRu合金微粒子を担体に担持させてもよい。担体に担持することによって、反応中のナノ粒子の凝集を抑制することができる。担体に特に限定はなく、公知の担体を用いてもよい。たとえば、担体として、アルミナ(Al23)、二酸化チタン(TiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化セリウム(CeO2)、酸化プラセオジム(Pr611)などの粒子などを用いてもよい。

【0033】
また、PdRu合金微粒子は、担体に担持させずに触媒として用いてもよい。PdRu合金微粒子を溶液中で触媒として用いる場合には、PdRu合金微粒子を保護剤(後述するPVPなど)で保護してもよい。

【0034】
(触媒の製造方法)
PdRu合金微粒子の製造方法の一例を以下に説明する。この製造方法は、保護剤と、還元剤と、パラジウム化合物またはパラジウムイオンと、ルテニウム化合物またはルテニウムイオンとを含む溶液を所定の温度以上の温度に保持する工程を含む。当該所定の温度を、以下では、「温度(T)」という場合がある。

【0035】
保護剤の例には、ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)(以下、「PVP」と記載する場合がある)が含まれる。還元剤の例には、トリエチレングリコールなどの多価アルコールが含まれる。パラジウム化合物の例には、K2[PdCl4]、Na2[PdCl4]、H2[PdCl4]などが含まれる。ルテニウム化合物の例には、RuCl3・nH2O、Na2[RuCl6]、K2[RuCl6]、(NH43[RuCl6]、Ru(NO)(NO)3などが含まれる。

【0036】
保護剤がPVPである場合、溶液中に含まれるPVP中のモノマー単位のモル数は、溶液中に含まれるPd原子およびRu原子の合計のモル数の1~10倍の範囲にあってもよい。

【0037】
温度(T)は、たとえば180℃や190℃や200℃であってもよい。溶液を保持する温度は、180℃~230℃の範囲や180℃~220℃の範囲にあってもよい。温度(T)以上の温度に保持する時間は、PdRu合金微粒子が生成する時間であればよく、たとえば1秒以上であり、5秒~1時間の範囲にあってもよい。

【0038】
上記工程によって、PdRu合金微粒子が生成する。生成した合金微粒子は、必要に応じて洗浄や担体への担持を行う。これらの工程に特に限定はなく、公知の方法を採用してもよい。このようにして、本発明の触媒が得られる。

【0039】
本発明の製造方法の一例を以下に説明する。この一例では、まず、PVPのトリエチレングリコール溶液(1)と、パラジウム化合物およびルテニウム化合物の溶液(2)とを準備する。溶液(2)は、水溶液であってもよい。パラジウム化合物およびルテニウム化合物は、後述する実施例で用いられる化合物であってもよい。

【0040】
次に、溶液(1)と溶液(2)とを混合し、得られた混合液を、温度(T)以上の温度に保持する。このましい一例では、温度(T)以上の温度に加熱した溶液(1)に溶液(2)を噴霧することによって、溶液(1)と溶液(2)とを混合する。混合液を温度(T)以上の温度に所定の時間保持することによって、PdRu合金微粒子が得られる。
【実施例】
【0041】
以下では、実施例によって本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0042】
(PdRu合金微粒子の作製)
組成比が異なる複数種のPdRu合金微粒子を、以下の方法で作製して評価した。
【実施例】
【0043】
まず、保護剤として機能するPVP1.0mmolを、還元剤および溶媒として機能するトリエチレングリコール100mlに溶解させることによって、溶液(1)を調製した。また、K2[PdCl4]とRuCl3・nH2Oとを、水40mmlに溶解させることによって、水溶液(2)を調製した。このとき、K2[PdCl4]とRuCl3・nH2Oとが合計で1.0mmolとなるように水40mlに溶解させた。そして、水溶液(2)に溶解させるK2[PdCl4]とRuCl3・nH2Oとのモル比を変化させることによって、組成比を変化させた。具体的には、溶解させたK2[PdCl4]とRuCl3・nH2Oとのモル比をy:1-yとすると、yを、0.1、0.3、0.5、0.7、0.9および0.95に変化させた。
【実施例】
【0044】
次に、溶液(1)を200℃に加熱した。そして、200℃の溶液(1)に水溶液(2)を噴霧装置で噴霧することによって混合液を得た。噴霧終了後、混合液の温度を200℃に5~15分間保持した。たとえば、Pd0.5Ru0.5の合金微粒子を作製する場合には、5分間保持した。その後、混合液を室温まで放冷させた後、混合液中の合金微粒子を遠心分離によって溶液から分離した。このようにして、組成が異なる複数種の合金微粒子を作製した。なお、比較のため、Pdのみからなる微粒子、およびRuのみからなる微粒子も上記と同様の方法で作製した。
【実施例】
【0045】
得られた合金微粒子について、元素分析を行った。元素分析の結果を図1に示す。図1の横軸は、水溶液(2)におけるPdの仕込み比(上記yの値をパーセントで表示したもの)を示す。また、図1の縦軸はエネルギー分散型X線分析(EDX)によって測定されたPdの割合を示す。図1に示すように、形成されるPdRu合金微粒子の組成は、水溶液(2)における仕込み比とほぼ等しかった。そのため、以下では、水溶液(2)に溶解させたK2[PdCl4]とRuCl3・nH2Oとのモル比を、そのままPdRu合金微粒子の組成比として示す場合がある。
【実施例】
【0046】
得られた合金微粒子の透過型電子顕微鏡像(TEM像)を、図2に示す。また、TEM像から算出した平均粒径を、表1に示す。平均粒径は、TEM像中の粒子(少なくとも300個)の粒径(長径)を実測し、その平均を算出するという方法で算出した。なお、A±Bnmという表記のAは平均粒径を表し、Bは標準偏差を表している。
【実施例】
【0047】
【表1】
JP0005737699B2_000004t.gif
【実施例】
【0048】
(元素マッピングおよび線分析)
上記の方法で得られたPd0.5Ru0.5合金微粒子について、エネルギー分散型X線分析(EDX)による元素マッピングと、線分析とを行った。HAADF-STEM(High-Angle Annular Dark-Field Scanning Transmission Electron Microscopy)による像、および、元素マッピングの結果を図3A~図3Dに示す。図3Aは、HAADF-STEM像を示す。図3B、図3Cおよび図3Dは、それぞれ、Ru、Pd、およびRu+Pdの元素マッピングのデータを示す。また、線分析の結果を図4に示す。
【実施例】
【0049】
図3BのRuの分布と図3CのPdの分布は共に、粒子全体に均一に広がっている。すなわち、図3A~図3Dは、RuとPdとが分離して存在しているのではなく、粒子全体を通して両元素が均一に分布していることを示している。また、図4A~図4Dも同様の結果を示している。すなわち、図3A~図3Dおよび図4のデータは、Pd0.5Ru0.5合金微粒子中において、PdとRuとが原子レベルで固溶していることを示している。
【実施例】
【0050】
Pd0.1Ru0.9合金微粒子、Pd0.3Ru0.7合金微粒子、Pd0.7Ru0.3合金微粒子、およびPd0.9Ru0.1合金微粒子の元素マッピングの結果を、図5A~図8Dに示す。図5A、図6A、図7Aおよび図8AはHAADF-STEM像を示す。図5B、図6B、図7Bおよび図8Bは、Ruの元素マッピングのデータを示す。図5C、図6C、図7Cおよび図8Cは、Pdの元素マッピングのデータを示す。図5D、図6D、図7Dおよび図8Dは、Ru+Pdの元素マッピングのデータを示す。いずれの場合でも、1つの粒子内においてPdとRuとが分離して存在しているのではなく、粒子全体を通して両元素が均一に分布していた。これらの結果は、組成が変化しても、固溶体型のPdRu合金微粒子が形成されたことを示している。
【実施例】
【0051】
上述したPd0.5Ru0.5合金微粒子のX線回折パターン(XRDパターン)を図9Aに示す。なお、図9Aに示す結晶構造の割合は、測定されたXRDパターンからリートベルト解析で算出した。図9Aに示すように、組成の変化に対応して、XRDパターンのピークがシフトした。
【実施例】
【0052】
Ru微粒子はhcp構造を有し、Pdナノ粒子はfcc構造を有する。XRDパターンから、PdRu合金微粒子の構造は、Pdの割合が増加するにつれてhcp構造からfcc構造へと変化している。すなわち、Pdの割合が増加するにつれてhcp構造の割合が減り、fcc構造の割合が増えている。
【実施例】
【0053】
ここで、hcp構造およびfcc構造は共に最密パッキング構造であり、両構造において原子間距離が等しい場合には、hcp構造のa軸の格子定数に21/2(ルート2)をかけた値がfcc構造のa軸の格子定数と等しくなる。そこで、図9AのXRDパターンから、組成比と格子定数との関係を求めた。hcp構造のa軸の格子定数に21/2(ルート2)をかけた値、hcp構造のc軸の格子定数、および、fcc構造のa軸の格子定数と、組成比との関係を、図9Bに示す。
【実施例】
【0054】
図9Aに示すように、Pdの割合が30原子%~70原子%の範囲にあるPdRu合金微粒子ではfcc構造およびhcp構造が共存している。しかし、図9Bに示すように、fcc構造における平均原子間距離と、hcp構造における平均原子間距離とはほぼ同じであった。このことは、PdRu合金微粒子中のfcc構造の部分およびhcp構造の部分は、結晶構造は異なるが組成比がほぼ同じ固溶体であることを示している。また、組成が変化するにつれて格子定数がほぼ線形的に変化している。これらの事実は、各合金微粒子中において共存するhcp構造およびfcc構造のいずれもが、溶液中における仕込み比とほぼ同じ組成比を有する固溶体であることを示している。
【実施例】
【0055】
以上のように、作製されたPdRu合金微粒子において、Pdの部分およびRuの部分がそれぞれfcc構造およびhcp構造に分離しているわけではなく、fcc構造およびhcp構造のそれぞれにおいてPdとRuとが固溶していることが、実験データによって示された。
【実施例】
【0056】
Pd0.5Ru0.5合金微粒子のXRDパターンを図10に示す。図10には、Pd(fcc構造)とRu(hcp構造)のXRDパターンをあわせて示す。図10の一部拡大図に示されるように、Pd0.5Ru0.5合金微粒子の回折ピークは、fcc構造およびhcp構造の回折ピークからシフトしている。このデータは、上述したデータと同様に、固溶体型の合金微粒子が形成されていることを示唆している。
【実施例】
【0057】
Pd0.5Ru0.5合金微粒子のRietveld解析の結果を図11に示す。Pd0.5Ru0.5合金微粒子のXRDパターンについて、fcc構造およびhcp構造の2つの成分を用いてフィッティングを行った。PdとRuとは原子番号(電子数)が2つしか変わらないため、XRDパターンの回折強度からは区別できない。そのため、両構造の初期構造における各原子位置での金属組成比をEDXによって得られた金属組成比で固定して解析を行った。
【実施例】
【0058】
算出されたfcc成分の格子定数(a=3.872オングストローム)は、バルクのPdの格子定数(a=3.8898オングストローム)より小さかった。また、算出されたhcp成分の格子定数(a=2.720オングストローム、c=4.391オングストローム)は、バルクのRuの格子定数(a=2.70389オングストローム、c=4.28168オングストローム)より大きかった。これらのことは、Pd0.5Ru0.5合金微粒子が固溶体型の合金微粒子であることを示している。なお、fcc構造とhcp構造の存在比は、約4:6と算出された。
【実施例】
【0059】
PdとRuとは、通常、ほとんどの組成比で固溶体を形成しない。しかし、本発明の製造方法によれば、上述したように固溶体型のPdRu合金微粒子が得られた。この理由の1つとして、製造方法に特徴があることが挙げられる。また、この理由の1つとして、製造されたPdRu合金微粒子の粒径がナノメートルオーダーであり、バルクとは異なる物性を有することが考えられる。
【実施例】
【0060】
(実施例1)一酸化炭素の酸化反応に対する触媒活性
上述した方法で作製したPdRu合金微粒子(Pd0.5Ru0.5)について、一酸化炭素の酸化反応に対する触媒活性を評価した。
【実施例】
【0061】
[触媒の調製]
以下の方法で、PdRu合金微粒子(Pd0.5Ru0.5)を用いた触媒を調製した。まず、乾燥後の合金微粒子を所定量秤量し、これを精製水に投入して超音波で処理することによって、合金微粒子の分散液を得た。このとき、秤量する合金微粒子の量は、元素分析によって予め求めた各金属の含有量を元に計算して決定した。この分散液に、800℃で5時間予備焼成したγ-アルミナの粉体(触媒学会参照触媒JRC-ALO8)を加え、マグネットスターラーを用いて12時間撹拌した。撹拌後の液をロータリーエバポレータに移し、減圧下で60℃に加熱し、粉体状になるまで乾燥させた。その後、得られた粉体から完全に水分を除去するため、120℃の乾燥機内に粉体を8時間静置した。乾燥後の粉体を乳鉢で充分に粉砕した後、一軸成形器によって1.2MPa、5分間の条件で円盤状に成形した。得られた成形物を破砕し、その後に篩にかけることによって、直径180~250μmの粒状にした。このようにして、Pd0.5Ru0.5合金微粒子を担体(γ-アルミナ)に担持させた貴金属担持触媒(担持量:1wt%)を調製した。
【実施例】
【0062】
また、比較のために、PdRu合金微粒子の代わりに他の微粒子を用いることを除いて上記と同様の方法によって、貴金属担持触媒を作製した。PdRu合金微粒子の代わりの微粒子として、Ru微粒子、Rh微粒子、Pd微粒子、および、Ru微粒子とPd微粒子との物理的混合物を用いた。
【実施例】
【0063】
[活性測定]
CO酸化反応に対する触媒活性は、固定床流通式の反応装置を用いて測定した。まず、ペレット状にした触媒75mgを、内径7mmの石英製反応管に石英ウールを用いて充填した。この反応管に、室温でHe/CO/O2/の混合ガス(He/CO/O2=49/0.5/0.5 ml・min-1)の供給を開始した後、触媒層を100℃まで加熱した。触媒層が100℃に到達してから15分後に反応管出口からガスを採取し、熱伝導型検出器付きのガスクロマトグラフを用いて生成物を分析した。分析終了後、触媒層の温度を10℃上昇させ、15分後に再度生成物を分析した。この操作を繰り返しながら、COが完全に消費されるまで触媒層の温度を上昇させた。実験終了後は、反応管をHeでパージしながら室温まで放冷したのち、触媒を取り出した。
【実施例】
【0064】
さらに、組成がPd0.3Ru0.7、Pd0.7Ru0.3、Pd0.1Ru0.9およびPd0.9Ru0.1であるPdRu合金微粒子を用いて上記と同様の方法で触媒を調製し、上記と同様の方法でCO酸化活性を測定した。
【実施例】
【0065】
測定結果を図12に示す。図12は、二酸化炭素に変換された一酸化炭素の割合を示す。図12に示すように、PdRu合金微粒子は、最も触媒活性が高かった。Pd:Ru=1:1である合金微粒子の触媒活性が最も高かった。図12の結果において、PdRu合金微粒子の触媒活性が、Pd微粒子、Ru微粒子、Rh微粒子、Pd微粒子とRu微粒子の混合物、のいずれの触媒活性よりも高いことは注目に値する。このことは、固溶体型のPdRu合金微粒子が、Pd単体およびRu単体とは異なる性質を示すことを示唆している。そのため、固溶体型のPdRu合金微粒子は、従来にはない様々な応用が期待され、たとえば様々な反応に対する触媒としての利用が期待される。
【実施例】
【0066】
(実施例2)窒素酸化物の還元反応に対する触媒活性
上述した方法と同様の方法でPd0.5Ru0.5合金微粒子、Pd0.1Ru0.9合金微粒子、およびPd0.9Ru0.1合金微粒子を用いた貴金属担持触媒を作製し、窒素酸化物(NOx)の還元反応に対する触媒活性を評価した。また、比較のために、PdRu合金微粒子の代わりに他の微粒子を用いることを除いて上記と同様の方法によって、貴金属担持触媒を作製した。PdRu合金微粒子の代わりの微粒子として、Ru微粒子、Pd微粒子、および、Ru微粒子とPd微粒子との物理的混合物を用いた。
【実施例】
【0067】
NOx還元反応に対する触媒活性の評価は、固定床流通式の反応装置を用いて行った。具体的には、まず、ペレット状にした触媒200mgを内径7mmの石英製反応管に石英ウールを用いて充填した。この反応管を装置に接続したのち、反応管をHeガスで充分にパージし、Heガス流通下において10℃/分の昇温速度で150℃に到達するまで触媒層を昇温した。触媒層温度が150℃で安定したのを確認した後、NOx/O2/CO2/CO/C36/N2の混合ガス(NOx:260ppm、O2:0.51%、CO2:6.0%、CO:1.0%、C36:1330ppm、N2:バランスガス)を、空間速度が60,000ml/(h・gcat)となるように流量を調節して供給した。この時間を反応開始時間とした。更に、混合ガス供給開始から30分後に、10℃/分の昇温速度で反応温度を200℃まで昇温し、30分間保持した。以降は、50℃昇温して30分間保持する操作を反応温度が300℃になるまで繰り返し行った。この一連の温度変化に伴う触媒層出口ガス中のNOおよびNO2の濃度をNOxアナライザーで連続して分析することによって、NOx還元反応に対する触媒活性の温度依存性を評価した。
【実施例】
【0068】
評価結果を図13に示す。図13の縦軸は、窒素酸化物の変換された割合を示す。図13に示すように、いずれの組成でも、PdとRuとを固溶体型合金にすることによる触媒活性の向上が見られた。図13の結果から、触媒活性は、Pd:Ru=0.1:0.9~0.9:0.1の範囲で最高になると考えられる。
【実施例】
【0069】
(実施例3)水素ガスの酸化反応に対する触媒活性
上述した方法と同様の方法でPdRu合金微粒子(Pd0.5Ru0.5)を用いた貴金属担持触媒を作製し、水素ガスの酸化反応に対する触媒活性を評価した。また、比較のために、PdRu合金微粒子の代わりに他の微粒子を用いることを除いて上記と同様の方法によって、貴金属担持触媒を作製した。PdRu合金微粒子の代わりの微粒子として、Ru微粒子、Pd微粒子、および、Rh微粒子を用いた。また、Ru微粒子については、含浸法による触媒も作製した。具体的には、Ru金属塩をアルミナ粒子に担持させた後に焼成することによって、Ru微粒子がアルミナ粒子上に担持された触媒を作製した。
【実施例】
【0070】
水素ガスの酸化反応に対する触媒活性は、固定床流通式の反応装置を用いて行った。具体的には、まず、ペレット状にした触媒50mgを内径7mmの石英製反応管に石英ウールを用いて充填した。この反応管を装置に接続したのち、室温で、Ar/H2/O2/の混合ガス(Ar/H2/O2=49/0.5/0.5ml/分)の供給を開始し、さらに触媒を100℃まで加熱した。触媒が100℃に到達してから15分後に反応管出口からガスを採取し、熱伝導型検出器付きのガスクロマトグラフを用いて生成物の分析を行った。分析終了後、触媒層温度を25℃上昇させた状態で15分後に生成物を再度分析した。この操作を繰り返しながら、H2が完全に消費されるまで触媒層温度を上昇させた。実験終了後は反応管をArガスでパージしながら室温まで放冷したのち、触媒を取り出した。
【実施例】
【0071】
評価結果を図14に示す。図14の縦軸は、酸化された水素ガスの割合を示す。図14には、他の微粒子を用いたときの評価結果もあわせて示す。図14の「Ru含浸法」とは、Ru金属塩をアルミナ粒子に担持した後に焼成することによって、アルミナ粒子上にRu微粒子を担持させる方法である。図14に示すように、PdRu合金微粒子は、Pd微粒子の次に触媒活性が高かった。
【実施例】
【0072】
(実施例4)鈴木・宮浦クロスカップリング
実施例4では、鈴木・宮浦クロスカップリングに対するPdRu合金微粒子(Pd0.5Ru0.5)の触媒活性を、複数の塩基を用いて評価した。なお、以下の実施例では、合金微粒子を担体に担持させずに用いた。
【実施例】
【0073】
まず、上述した方法によって、Pd化合物およびRu化合物から、PVPで保護されたPdRu合金微粒子(Pd0.5Ru0.5)を作製した。次に、このPdRu合金微粒子を試験管に入れ、さらに、4-メチルフェニルボロン酸(1.2mmol)、溶媒、ブロモベンゼン(1.0mmol)、および塩基(3mmol)を順に加えた。そして、室温(26~27℃)で10分間反応させた。溶媒には、エタノール(3mL)と水(3mL)との混合溶媒を用いた。合金微粒子は、ブロモベンゼンを基準として、PdおよびRuがそれぞれ0.25モル%(合計で0.5モル%)となるように加えた。また、合金微粒子と共に添加されたPVPの量は、PVP/(PVP+金属)で計算した場合に13.4質量%であった。
【実施例】
【0074】
実施例4では、塩基を変えて触媒活性を調べた。実施例4の反応を以下に示す。反応生成物(3)は、ブロモベンゼンと4-メチルフェニルボロン酸とのクロスカップリング反応によって生成する。反応生成物(4)は、4-メチルフェニルボロン酸同士のホモカップリング反応によって生成する。
【実施例】
【0075】
【化3】
JP0005737699B2_000005t.gif
【実施例】
【0076】
評価結果を表2に示す。反応生成物の収率は、NMRによって求めた。なお、クロスカップリング反応による生成物(3)の収率は、出発材料のうち量が少ない方の化合物の量(実施例4の場合にはブロモベンゼンの量)を基準として求めた。また、ホモカップリング反応による生成物の収率は、その出発材料である化合物の量(生成物(4)の場合には4-メチルフェニルボロン酸)の量を基準として求めた。そのため、出発材料がすべて反応した場合、クロスカップリング反応による生成物の収率とホモカップリング反応による生成物の収率との合計は100%を越える(以下の実施例においても同様である)。
【実施例】
【0077】
【表2】
JP0005737699B2_000006t.gif
【実施例】
【0078】
表2に示すように、上記の反応条件では、K2CO3を塩基として用いたときにクロスカップリングの収率が最も高くなった。
【実施例】
【0079】
(実施例5)
実施例5では、鈴木・宮浦クロスカップリングに対するPdRu合金微粒子(Pd0.5Ru0.5)の触媒活性を、反応温度および溶媒を変えて評価した。実施例5では、以下の条件で反応を行った。なお、反応の手順は実施例4と同様である。
出発材料およびその量:実施例4と同じ
触媒およびその量:実施例4と同じ
溶媒:エタノール(3mL)と水(3mL)との混合溶媒、または、N,N-ジメチルアセトアミド(3mL)と水(3mL)との混合溶媒
塩基:K2CO3(3mmol)
反応温度:表3に記載の通り
反応時間:表3に記載の通り
【実施例】
【0080】
反応生成物の収率を表3に示す。なお、以下では、エタノールを「EtOH」と表示し、N,N-ジメチルアセトアミドを「DMA」と表示する場合がある。
【実施例】
【0081】
【表3】
JP0005737699B2_000007t.gif
【実施例】
【0082】
表3に示すように、溶媒としてDMAと水との混合溶媒を用い、反応温度を100℃とした場合に、クロスカップリングの収率が最も高くなった。いずれの溶媒を用いた場合でも反応温度を100℃とした方がクロスカップリングの収率が高かった。ただし、エタノールと水との混合溶媒を用いた場合には、室温で反応させてもクロスカップリングの収率の低下が小さかった。
【実施例】
【0083】
(実施例6)
実施例6では、鈴木・宮浦クロスカップリングに対するPdRu合金微粒子の触媒活性を、合金の組成を変えて評価した。実施例6では、以下の条件で反応を行った。なお、反応の手順は実施例4と同様である。触媒には、Pd0.5Ru0.5合金微粒子、Pd0.1Ru0.9合金微粒子、およびPd0.9Ru0.1合金微粒子を用いた。これらは上述した方法によって作製された微粒子であり、PVPによって保護されている。
出発材料およびその量:実施例4と同じ
触媒およびPVPの量:表4に記載の通り
溶媒:エタノール(3mL)と水(3mL)との混合溶媒
塩基:K2CO3(3mmol)
反応温度:室温
反応時間:10分間
【実施例】
【0084】
なお、比較例として、合金微粒子の代わりにPd微粒子およびRu微粒子を用いて同様に評価を行った。反応条件の一部と評価結果とを表4に示す。
【実施例】
【0085】
【表4】
JP0005737699B2_000008t.gif
【実施例】
【0086】
表4において、PdおよびRuの量(mol%)は、ブロモベンゼンを基準とした量である。また、PVPの量(質量%)は、PVP/(PVP+金属)の式で計算された値である。これらの表示は、以下の表5においても同様である。
【実施例】
【0087】
触媒のトータルの量が同じである4-1(Pd微粒子)、4-2(Ru微粒子)および4-4(Pd0.5Ru0.5合金微粒子)を比較すると、Pd0.5Ru0.5合金微粒子を用いた場合にクロスカップリングの収率が最も高くなった。また、触媒のトータル量が同じでPdRu合金微粒子の組成が異なる4-4(Pd0.5Ru0.5合金微粒子)、4-6(Pd0.1Ru0.9合金微粒子)および4-7(Pd0.9Ru0.1合金微粒子)を比較すると、Pd0.5Ru0.5合金微粒子を用いた場合にクロスカップリングの収率が最も高くなった。
【実施例】
【0088】
(実施例7)
実施例7では、鈴木・宮浦クロスカップリングに対するPdRu合金微粒子の触媒活性を、合金の組成および溶媒を変えて評価した。実施例7では、以下の条件で反応を行った。なお、反応の手順は実施例4と同様である。触媒には、Pd0.5Ru0.5合金微粒子、Pd0.1Ru0.9合金微粒子、およびPd0.9Ru0.1合金微粒子を用いた。これらは上述した方法によって作製された微粒子であり、PVPによって保護されている。
出発材料およびその量:実施例4と同じ
触媒およびPVPの量:表5に記載の通り
溶媒:N,N-ジメチルアセトアミド(3mL)と水(3mL)との混合溶媒
塩基:K2CO3(3mmol)
反応温度:100℃
反応時間:5分間
【実施例】
【0089】
なお、比較例として、合金微粒子の代わりにPd微粒子およびRu微粒子を用いて同様に評価を行った。反応条件の一部と評価結果とを表5に示す。
【実施例】
【0090】
【表5】
JP0005737699B2_000009t.gif
【実施例】
【0091】
触媒のトータルの量が同じである5-2(Pd微粒子)、5-3(Ru微粒子)および5-4(Pd0.5Ru0.5合金微粒子)を比較すると、Pd微粒子を用いた場合およびPd0.5Ru0.5合金微粒子を用いた場合に、クロスカップリングの収率が最高値となった。また、触媒のトータル量が同じでPdRu合金微粒子の組成が異なる、5-1(Pd微粒子)、5-5(Pd0.5Ru0.5合金微粒子)、5-9(Pd0.1Ru0.9合金微粒子)および5-10(Pd0.9Ru0.1合金微粒子)の結果に示されるように、Pd0.5Ru0.5合金微粒子、Pd0.1Ru0.9合金微粒子、Pd0.9Ru0.1合金微粒子を用いた場合に、クロスカップリングの収率が最高値となった。また、Pd0.9Ru0.1合金微粒子を用いた場合にホモカップリングの収率は最低値となった。
【実施例】
【0092】
(実施例8)
実施例8では、鈴木・宮浦クロスカップリングに対するPdRu合金微粒子の触媒活性を、出発材料を変えて評価した。実施例8では、以下の条件で反応を行った。なお、Pd0.5Ru0.5合金微粒子は、実施例4と同様にPVPで保護されたものを用いた。
出発材料およびその量:以下に記載の通り
触媒およびその量:Pd0.5Ru0.5合金微粒子(0.2mg(0.08mol%Pd、0.08mol%Ru))
溶媒:N,N-ジメチルアセトアミド(3mL)と水(3mL)との混合溶媒
塩基:K2CO3(3mmol)
反応温度:100℃
反応時間:表6に記載の通り
【実施例】
【0093】
出発材料には、上記式(I)で表される化合物(A)1.0mmolと、上記式(II)で表される化合物(B)1.2mmolとを用いた。置換基R2、XおよびR4については、表6に示す。反応条件の一部と評価結果とを表6に示す。
【実施例】
【0094】
【表6】
JP0005737699B2_000010t.gif
【実施例】
【0095】
表6において符号で示されている反応生成物の構造を以下に示す。
【実施例】
【0096】
【化4】
JP0005737699B2_000011t.gif
【実施例】
【0097】
(実施例9)
実施例9では、鈴木・宮浦クロスカップリングに対するPdRu合金微粒子(Pd0.5Ru0.5)のTOF(Turn Over Frequency)を評価した。実施例9では、表7に示す条件で反応を行った。なお、Pd0.5Ru0.5合金微粒子は、実施例4と同様にPVPで保護されたものを用いた。実施例9で実施されたクロスカップリング反応を以下に示す。
【実施例】
【0098】
【化5】
JP0005737699B2_000012t.gif
【実施例】
【0099】
反応条件と評価結果とを表7に示す。なお、7-1および7-2において、Pd0.5Ru0.5合金微粒子は、ブロモベンゼンを基準として、PdおよびRuがそれぞれ0.1mg(合計で0.2mg)となるように加えた。また、式(1)で表されるp-ブロモアセトフェノン(1mmol)と、式(2)で表されるフェニルボロン酸(1.2mmol)とを反応させた。
【実施例】
【0100】
【表7】
JP0005737699B2_000013t.gif
【実施例】
【0101】
比較のために、PdRu合金微粒子以外の触媒を用いて上記クロスカップリング反応を行った。なお、出発材料は7-1および7-2と同じであるが、それらの量を変更した。具体的には、式(1)で表されるp-ブロモアセトフェノン(1mmol)と、式(2)で表されるフェニルボロン酸(1.5mmol)とを反応させた。反応条件と評価結果とを表8に示す。
【実施例】
【0102】
【表8】
JP0005737699B2_000014t.gif
【実施例】
【0103】
表7に示されるようにPdRu合金微粒子のTOFは、表8の触媒のTOFに比べて非常に高かった。
【実施例】
【0104】
(実施例10)
実施例10では、担体に担持させたPdRu合金微粒子について、鈴木・宮浦クロスカップリング反応に対する触媒活性を評価した。
【実施例】
【0105】
担体に担持させたPdRu合金微粒子からなる触媒は、実施例1と同様の方法で作製した。この触媒を用いて、表6の6-15で用いた2種類の化合物(ブロモベンゼンとフェニルボロン酸)を反応させた。反応条件および評価結果を表9に示す。なお、比較のため、表9には、表6の6-15の結果も併せて示す。なお。表9において、触媒の量としてPdの量のみを示しているが、Ruの量もPdの量と同じである。
【実施例】
【0106】
【表9】
JP0005737699B2_000015t.gif
【実施例】
【0107】
表9に示すように、担体に担持させた場合でも、PdRu合金微粒子は優れた触媒活性を示した。
【実施例】
【0108】
(実施例11)三元触媒としての触媒活性
上述した方法と同様の方法で、PdRu合金微粒子を用いた貴金属担持触媒を作製した。PdRu合金微粒子の組成は、Pd0.1Ru0.9、Pd0.3Ru0.7、Pd0.5Ru0.5、Pd0.7Ru0.3、または、Pd0.9Ru0.1であった。作製した触媒の窒素酸化物(NOx)の還元反応、一酸化炭素(CO)の酸化反応に対する触媒活性および炭化水素(C36)の酸化反応に対する触媒活性を同時に評価した。また、比較のために、PdRu合金微粒子の代わりに他の微粒子を用いることを除いて上記と同様の方法によって、貴金属担持触媒を作製した。PdRu合金微粒子の代わりの微粒子として、Ru微粒子、Pd微粒子、および、Ru微粒子とPd微粒子との物理的混合物を用いた。
【実施例】
【0109】
三元触媒としての触媒活性の評価は、固定床流通式の反応装置を用いて行った。具体的には、まず、ペレット状にした触媒200mgを内径7mmの石英製反応管に石英ウールを用いて充填した。この反応管を装置に接続したのち、自動車の排気ガスを模擬した理論空燃比のN2ベース混合ガス(NO:993ppm、O2:0.6%、CO:0.6%、C36:555ppm、CO2:14.1%、H2:0.2%、N2:バランスガス)を空間速度が60リットル/(h・gcat)(総流量 200ml/min)となるように流量を調節して供給した。混合ガスの供給開始時における触媒層の温度は室温であった。混合ガスの供給開始から10℃/分の昇温速度で触媒層の温度を室温から600℃まで上昇させながら、マルチガス分析計(堀場製作所社製VA-3000)を用い、採取したガスに含まれたNOx、COおよびC36の濃度を30秒に1点の間隔で連続して測定した。
【実施例】
【0110】
測定結果を図15A~図15Cに示す。図15Aは、Pd微粒子を用いた貴金属担持触媒の触媒活性を示すグラフである。図15Bは、Ru微粒子を用いた貴金属担持触媒の触媒活性を示すグラフである。図15Cは、PdRu合金微粒子(Pd0.5Ru0.5)を用いた貴金属担持触媒の触媒活性を示すグラフである。具体的には、図15A~図15Cの縦軸は、窒素酸化物の変換された割合、一酸化炭素の変換された割合、および、炭化水素の変換された割合を示す。なお、本実験では、低温度域で触媒上に吸着した成分(特にプロピレン)が温度上昇に伴って脱離する。このことが原因でHCの変換率が0%を下回ることがある。
【実施例】
【0111】
図15Aに示すように、Pd微粒子を使用すると、比較的低温でNOxの変換が始まるが、250℃~350℃の範囲でNOxの変換率はいったん低下した。これは、COがO2と優先的に反応するようになるためである。また、400℃付近では、Pdの失活によって、COの酸化反応は頭打ちとなった。図15Bに示すように、Ru微粒子を使用すると、NOxおよびCOの反応開始温度がPd微粒子を使用したときの反応開始温度よりも上昇した。また、C36の変換率は100%に到達しなかった。このことは、Ru微粒子のHC酸化活性が低いことを表している。図15Cに示すように、PdRu合金微粒子を使用すると、Pd微粒子およびRu微粒子と比較して、低温でNOxおよびCOの反応が始まった。また、PdRu合金微粒子は、C36分解特性にも優れていた。
【実施例】
【0112】
図16Aは、各微粒子について、窒素酸化物(NOx)の還元反応に対する触媒活性を示すグラフである。図16Bは、各微粒子について、一酸化炭素(CO)の酸化反応に対する触媒活性を示すグラフである。図16Cは、各微粒子について、炭化水素(C36)の酸化反応に対する触媒活性を示すグラフである。図16Aの縦軸は、窒素酸化物の変換された割合を示す。図16Bの縦軸は、一酸化炭素の変換された割合を示す。図16Cの縦軸は、炭化水素の変換された割合を示す。
【実施例】
【0113】
図16Aに示すように、Pd含有量が増加すると250℃付近での活性低下の挙動が強く現れた。また、Ruに10mol%のPdが加わることで活性が大幅に向上した。図16Bから、Pd含有量が多い場合に見られるCO酸化能の低下がRuの共存によって緩和されたことを理解できる。また、Ruに10mol%のPdが加わることで活性が大幅に向上した。図16Cに示すように、NOxやCOの場合と同様にPdRu合金微粒子は高い炭化水素分解活性を示した。
【実施例】
【0114】
図17Aは、各微粒子について、窒素酸化物(NOx)の還元反応におけるT50(℃)を示すグラフである。図17Bは、各微粒子について、一酸化炭素(CO)の酸化反応におけるT50(℃)を示すグラフである。図17Cは、各微粒子について、炭化水素(C36)の酸化反応におけるT50(℃)を示すグラフである。各グラフの縦軸T50(℃)は、50%の変換率を達成できる温度を表している。参考のため、Rh微粒子を用いた触媒を上述した方法と同様の方法で作製し、そのT50を調べた。各グラフには、Rh微粒子のT50、および、Ru微粒子とPd微粒子との物理的混合物のT50が破線で示されている。
【実施例】
【0115】
図17A~図17Cに示すように、PdRu合金微粒子は、NOx、COおよびHCの三成分に対して高い浄化活性を示した。特に、PdRu合金微粒子のNOx浄化能およびCO浄化能は、Rh微粒子のNOx浄化能およびCO浄化能を凌ぐ場合もあった。また、特定の組成(Pd0.3Ru0.7)では、PdRu合金微粒子のHC浄化能は、Rh微粒子のHC浄化能と同等であった。また、いずれの組成においても、PdRu合金微粒子は、PdとRuの物理混合物よりも高い活性を示した。触媒活性を高めるためには、本発明のように、PdとRuとを固溶させ、PdとRuとを接近させることが重要であると考えられる。図17A~図17Cから、好ましくはPdRu合金に含まれたPdのモル比は0.1以上0.7未満であり、より好ましくは0.1以上0.5未満である。
【実施例】
【0116】
以上のように、本発明のPdRu合金微粒子は、NOx、COおよびHCの三成分に対して高い浄化活性を示す。PdRu合金微粒子は、酸化触媒としても還元触媒としても高い活性を示す。そのため、従来の三元触媒(例えば、Pd、Pt、およびRhを用いた触媒)に代えて、貴金属としてPdRu合金微粒子を支持体に担持させることによって得られた触媒を三元触媒として使用することが可能である。場合によっては、貴金属としてPdRu合金微粒子のみが支持体に担持されていてもよい。支持体は、セラミック支持体であり、例えばハニカム状又は粒子状である。三元触媒には、PdRu合金微粒子とともに希土類酸化物などの助触媒が含まれていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、PdRu固溶体型合金微粒子を含む触媒およびPdRu固溶体型合金微粒子の製造方法に利用できる。また、本発明は、この触媒を用いた有機化合物の製造方法に利用できる。
【0118】
本発明は、一酸化炭素の酸化触媒、窒素酸化物の還元触媒、水素ガスの酸化触媒、炭化水素の酸化触媒、および鈴木・宮浦クロスカップリングの触媒からなる群より選ばれる少なくとも1つとしてPdRu固溶体型合金微粒子を使用する方法を提供できる。
Drawing
【図1】
0
【図2】
1
【図3A】
2
【図3B】
3
【図3C】
4
【図3D】
5
【図4】
6
【図5A】
7
【図5B】
8
【図5C】
9
【図5D】
10
【図6A】
11
【図6B】
12
【図6C】
13
【図6D】
14
【図7A】
15
【図7B】
16
【図7C】
17
【図7D】
18
【図8A】
19
【図8B】
20
【図8C】
21
【図8D】
22
【図9A】
23
【図9B】
24
【図10】
25
【図11】
26
【図12】
27
【図13】
28
【図14】
29
【図15A】
30
【図15B】
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【図15C】
32
【図16A】
33
【図16B】
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【図16C】
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【図17A】
36
【図17B】
37
【図17C】
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