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Specification :巨大胚米加工食品の製造法

Country 日本国特許庁(JP)
Gazette 特許公報(B2)
Patent Number 特許第3851934号 (P3851934)
Publication number 特開2002-354993 (P2002-354993A)
Date of registration 平成18年9月15日(2006.9.15)
Date of issue 平成18年11月29日(2006.11.29)
Date of publication of application 平成14年12月10日(2002.12.10)
Title of the invention, or title of the device 巨大胚米加工食品の製造法
IPC (International Patent Classification) A23L   1/10        (2006.01)
A23G   3/00        (2006.01)
A23G   3/34        (2006.01)
A23G   3/48        (2006.01)
A23L   2/38        (2006.01)
FI (File Index) A23L 1/10 A
A23L 1/10 102
A23G 3/00
A23G 3/00 106
A23L 2/38 102
Number of claims or invention 7
Total pages 10
Application Number 特願2001-165066 (P2001-165066)
Date of filing 平成13年5月31日(2001.5.31)
Appeal or trial number 不服 2005-003139(P2005-003139/J1)
Date of request for substantive examination 平成13年5月31日(2001.5.31)
Date of appeal or demand for trial 平成17年2月23日(2005.2.23)
Patentee, or owner of utility model right 【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
Inventor, or creator of device 【氏名】小林 明晴
【氏名】上原 泰樹
【氏名】清水 恒
【氏名】小牧 有三
【氏名】太田 久稔
Representative 【識別番号】100063565、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 信淳
【識別番号】100118898、【弁理士】、【氏名又は名称】小橋 立昌
Document or reference 特開2000-354463(JP,A)
特開昭57-177382(JP,A)
Scope of claims 【請求項1】
胚芽の重さが一般の米の約2倍以上ある巨大胚米を原材料とし、該巨大胚米の玄米を、通常の搗精網より網目の大きい搗精網を装備する精米機で玄米より巨大胚芽が離脱する程度に弱搗精して、部分精米と巨大胚芽・米糠とに分離する工程と、
分離した前記部分精米を追加搗精して完全精白米にすることで巨大胚米の精米の形態的外観の悪さを目立たなくする工程と、
分離した前記巨大胚芽・米糠を前記搗精網より篩目の細かい篩で篩分けして、巨大胚芽と米糠とを分離することによって、米糠や砕米を含まない巨大胚芽を得る工程とを有し、
分離した前記巨大胚芽及び前記完全精白米を原料として、餅・団子生地、甘酒又はおこし様菓子を製造することを特徴とする巨大胚米加工食品の製造法。
【請求項2】
前記精米機が装備する搗精網を、網目の大きさが長径2.72mm,短径1.72mmの菱形とし、前記篩の目を径1.47mmの円形とすることを特徴とする請求項1記載の巨大胚米加工食品の製造法。
【請求項3】
胚芽の重さが一般の米の約2倍以上ある巨大胚米を原材料とし、該巨大胚米の玄米を、離脱した胚芽が通過しないような細かい篩目の搗精網を装備する精米機で玄米より巨大胚芽が離脱する程度に弱搗精した後、幅1.6mmの前記巨大胚芽が通過する縦目篩で部分精米と巨大胚芽とに分別する工程と、
分別した前記部分精米を追加搗精して完全精白米にすることで巨大胚米の精米の形態的外観の悪さを目立たなくする工程と、
前記巨大胚芽及び前記完全精白米を原料として、餅・団子生地、甘酒又はおこし様菓子を製造することを特徴とする巨大胚米加工食品の製造法。
【請求項4】
前記完全精白米より製造した搗餅生地に、浸水処理をして蒸煮した前記巨大胚芽を混和して餅生地を製造することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の巨大胚米加工食品の製造法。
【請求項5】
前記完全精白米より製造した水分55%ほどの団子生地に、浸水処理をして蒸煮した前記巨大胚芽を混和するか、又は、前記完全精白米の精米粉に前記巨大胚芽を添加して混捏して水分55%ほどの生地にし、これらを蒸煮して団子生地を製造することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の巨大胚米加工食品の製造法。
【請求項6】
前記完全精白米を蒸煮した飯に、前記巨大胚芽を蒸煮して混和し、麺を加え糖化処理を行うことで甘酒を製造することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の巨大胚米加工食品の製造法。
【請求項7】
前記完全精白米を蒸煮し、麦芽によって糖化処理を行い麦芽水飴を得、この麦芽水飴に前記巨大胚芽を軽く焙煎して混和し、型どりをして冷却することを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の巨大胚米加工食品の製造法。
Detailed description of the invention
【0001】
本発明は、米の美味しい部分である胚乳部分と、栄養に優れ、各種機能成分も含み、特有の美味しさもある胚芽部分を多量に含む米加工食品が製造でき、且つ種皮・果皮などの米糠を含まないので美味さを損なうことなく、目視的に胚芽の存在がきわだち、健康食品的イメージもあり、これにより、付加価値の高い米加工食品が製造でき、食品産業の活性化に寄与すると共に、米の新用途の開発により、米の需要拡大にも寄与できる巨大胚米を用いた胚芽入り餅・団子生地、甘酒及びおこし様菓子を製造する巨大胚米加工食品の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
巨大胚米は大きな胚芽の付いた胚芽米としての利用が望まれているが、胚芽が大きい故に搗精時に胚乳より胚芽が離脱し易く、米糠の付着の少ない胚芽米の製造はできなかった。このため、巨大胚米は玄米あるいは発芽玄米としての利用法しかなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
巨大胚米の胚乳部分と胚芽を同時に食品として利用する場合、巨大胚玄米より胚芽米の製造は困難であるため、米糠の付着のない精米と砕米や米糠を含まない胚芽とに分離し、これを再度合わせた食品とする必要がある。この場合、巨大胚米の精米(胚乳部分)は胚芽の離脱痕が大きいため(図1、2参照)形が砕米様を呈し、外観品質が劣る。このため外観に影響されない利用法が必要である。また、胚芽を混合した食品には味や外観上胚芽の存在を際だたせる必要もある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、以下の手段を特徴としている。巨大胚米の玄米を通常の搗精網より網目の少し広い(大きい)搗精網(一例、長径2.72mm、短径1.72mmの菱形搗精網)を装備した精米機で玄米より胚芽が離脱する程度の弱搗精し、部分精米と胚芽・米糠を分離する。玄米より離脱した胚芽の通過しないような搗精網の細かい精米機を使用する場合には、弱搗精した米粒区分を幅1.6mmほどの縦目篩で部分精米と胚芽とに分別する。分別した部分精米は追加搗精して完全精白米を得る。一方、胚芽・米糠混合区分は篩目の細かい篩で(一例、径1.47mmの円形篩目)胚芽と米糠に篩分して胚芽を得る。
【0005】
胚芽入り餅生地を製造するには、巨大胚糯種の精米より製造した搗餅生地に、浸水処理をして蒸煮した胚芽を混和する。胚芽入り団子生地を製造するには、粳精米粉より製造した団子生地(水分55%ほど)に浸水処理をして蒸煮した胚芽を混和する。あるいは、精米粉に胚芽を添加して混捏し(生の生地水分55%ほど)、これを蒸煮する。
【0006】
胚芽入り甘酒を製造するには、巨大胚糯種精米の蒸煮米飯と分離して得た胚芽を蒸煮して混和し、麹を加え糖化処理を行う。
粟おこし様の胚芽おこしを製造するには、巨大胚糯種精米を蒸煮し、麦芽により糖化処理を行い糯米製の麦芽水飴を得る。この麦芽水飴と分離して得た胚芽を軽く焙煎して混和(からめる)し、型どりをして冷却する。
上記の方法により、巨大胚米の精米の形態的外観の悪さに影響されず、胚芽の存在を味・食感および外観上きわだたせ、且つ米糠を含まない胚芽入り餅・団子、甘酒および粟おこし様の胚芽おこしの製造を可能にした。
【0007】
【作用】
上記の手段により、本発明の巨大胚米を用いた胚芽入り餅・団子生地、甘酒および粟おこし様の胚芽おこしの製造法は以下の作用を行う。
1)巨大胚米は胚芽が大きいため、弱搗精でも玄米より胚芽が離脱する。玄米から脱離した胚芽および果皮・種皮による米糠の各々のサイズは、巨大胚米は一般の飯用米以上に差異があるため篩分の原理で容易に分離できる。巨大胚米は胚芽が離脱すると胚乳が角ばり、部分的に砕米が発生し易い。大きさが胚芽と近似した砕米は篩分により胚芽と分離し難いが、当方法の弱搗精では砕米の混入は少ない。弱搗精米は追加搗精により米糠の付着のない精米を得ることができる。
【0008】
2)巨大胚米の精米(胚乳部分)は胚芽の離脱痕が大きいため形が砕米様を呈し、外観品質が劣る。このため、おこわ(赤飯)など米粒形態を保った利用は不向きである。しかし、餅・団子生地、甘酒あるいは水飴に加工した場合は外観に影響されない。
3)精米(胚乳部分)より加工した餅・団子生地、甘酒あるいは水飴に、巨大胚米より分別して得た胚芽を混和した場合、玄米の直接加工品と異なり米糠(果・種皮)由来の不味さがない。また、胚芽が大きいため胚芽を混合した食品は味やプチプチした新食感および外観上の胚芽の存在感がきわだつ。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の技術的根拠及び実施例を添付の図及び表に基づいて説明する。本発明は以下の根拠による。
1)巨大胚米の胚芽と精米の分離
巨大胚米は胚芽が離脱し易い特性を利用し、玄米を搗精網の少し広い(一例、長径2.72mm、短径1.72mmの菱形搗精網)精米機で玄米より胚芽が離脱する程度の弱搗精し、部分精米と胚芽・米糠を分離した(ここまでは精米機の機能上自動的に分離できる)。このうち分離した部分精米は追加搗精して完全精白米を得る。一方、胚芽・米糠混合区分は前記搗精網より篩目の細かい篩で(一例、径1.47mmの円形篩目)篩分し胚芽と米糠に分離した(図3及び表1参照)。この方法によって得られる胚芽の収量は、ほぼ巨大胚玄米に占める胚芽の重量割合に近い(表2参照)。
【0010】
2)胚芽入り餅の製造例
巨大胚糯種の精米500gを12時間浸水した後、蒸煮して撹拌式小型電気餅搗器で餅生地を製造した。この餅生地の充分柔らかいうちに、一方で用意した、巨大胚米より分離して得た胚芽37g(精米の7.4%)を4時間浸水した後蒸煮し、この蒸煮胚芽が均等に分散するように撹拌混和した。この時の餅生地全体の色調は、胚芽未添加生地に比較し、胚芽により黄色度が増していた(表4参照)。また、餅生地切断面からは平均5.37個/cm の胚芽が目視的に認められた(表3参照)。
【0011】
【表1】
巨大胚米の胚芽の占める割合
JP0003851934B2_000002t.gif品種・系統 胚芽割合(重量%)
JP0003851934B2_000003t.gif巨大胚米 北陸糯米167号 7.32
一般米 コシヒカリ 3.15
JP0003851934B2_000004t.gif注)・玄米より1粒ずつ胚芽をピンセットで摘んで分離
して重量を測定 ・各品種系統とも100粒を測定
【0012】
3)胚芽入り団子生地の製造例
粳米粉で常法により団子生地(水分55%ほど)を製造し、この団子生地に前記同様にして蒸煮胚芽を混和した(精米の7.4%の胚芽を使用)。これにより胚芽入り団子生地ができた。この時の団子全体の色調は、胚芽未添加生地に比較し、胚芽により黄色度が増していた(表4参照)。また、団子生地を平滑にした表面からは平均3.95個/cm の胚芽が目視的に認められた(表3参照)。 さらに簡易な製造法としては、あらかじめ精米粉に胚芽を添加しておき、これを混捏し(生の生地水分55%ほど)蒸煮する。但し、この場合は前述方法より、生地の色調L値(鮮やかさ)はやや低下した(表4参照)。
【0013】
4)胚芽入り甘酒の製造例
巨大胚糯種の精米500gを12時間浸水し、これに64gの胚芽を4時間浸水して加え、共に蒸煮した。これを60℃に調温し400gの米麹(未乾燥品)と全体が浸る量のぬるま湯を加え、60℃で8時間糖化処理を行った。米飯はデンブン含量が多いため麹により大部分糖化するが、胚芽はデンプン含量が少ないため大部分は糖化せずに固形物として残る。このため胚芽の存在感のあるプチプチした新食感の噛む楽しさを加味した甘酒が製造できた。
【0014】
【表2】
JP0003851934B2_000005t.gif
【0015】
【表3】
JP0003851934B2_000006t.gif
【0016】
【表4】
JP0003851934B2_000007t.gif
【0017】
【表5】
JP0003851934B2_000008t.gif
【0018】
5)粟おこし様の胚芽おこしの製造例
巨大胚糯種の精米500gを12時間浸水して蒸煮し、これを60℃に調温して70gの麦芽粉と全体が浸る量のぬるま湯を加え、60℃で8時間糖化処理を行った。この糖化液を清澄処理をしてから濃縮し麦芽水飴を得た。収量は原料米とほとんど同重量であ。一方、分離した胚芽を軽く焙煎し、これに先に製造した水飴を胚芽重量の1.2倍量加え、保温しながら混和した。さらにこれを形取り、冷却して粟おこし様の胚芽おこしを製造した。
以上のように当発明の製造法の有効性が明白である。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の巨大胚米を用いた胚芽入り餅・団子生地、甘酒および粟おこし様の胚芽おこしの製造法により、巨大胚米精米の形態的外観の悪さを目立たなくし、栄養及び機能性に優れた胚芽を、胚芽の存在を味・食感および外観上きわだたせ、且つ食味を落とす米糠を含まない加工食品が製造できる。
この製造法により、以下の効果を表すことができる。
【0020】
栄養的にも優れ、機能性効果も期待できる米の胚芽を積極的に利用することを目的に育成された巨大胚米は、これまでは玄米形態での利用法しかなかった。このため、味、外観、炊飯特性が悪く利用範囲が狭かった。しかし、当発明の製造法により、精米と胚芽の食品的な利点を積極的に利用することで、巨大胚米の利用範囲が拡大できる。これにより、製菓業など食品工業の発展に寄与できるとともに、米の新規用途が拡大し、米の需要拡大にも寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】巨大胚米及び一般の飯用米の玄米と精米の輪郭を強調した写真である。両種とも玄米ではほとんど違いはないが、巨大胚米の精米では胚芽の離脱痕が大きくあたかも砕米様であり、外観品質が劣ることが明らかである。
【図2】巨大胚米及び一般の飯用米の玄米と精米の写真の輪郭をトレースしたものである。両種とも玄米ではほとんど違いはないが、巨大胚米の精米では胚芽の離脱痕が大きくあたかも砕米様であり、外観品質が劣ることが明らかである。
【図3】巨大胚米の玄米を搗精し、胚乳部分の砕粒を含まない胚芽と精米を得る工程図である。
Drawing
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2