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Specification :屈折率測定装置及び屈折率測定方法

Country 日本国特許庁(JP)
Gazette 特許公報(B2)
Patent Number 特許第6801893号 (P6801893)
Date of registration 令和2年11月30日(2020.11.30)
Date of issue 令和2年12月16日(2020.12.16)
Title of the invention, or title of the device 屈折率測定装置及び屈折率測定方法
IPC (International Patent Classification) G01N  21/41        (2006.01)
FI (File Index) G01N 21/41 101
Number of claims or invention 3
Total pages 18
Application Number 特願2018-537152 (P2018-537152)
Date of filing 平成29年8月22日(2017.8.22)
International application number PCT/JP2017/029871
International publication number WO2018/043194
Date of international publication 平成30年3月8日(2018.3.8)
Application number of the priority 2016166544
Priority date 平成28年8月29日(2016.8.29)
Claim of priority (country) 日本国(JP)
Date of request for substantive examination 令和2年6月12日(2020.6.12)
Patentee, or owner of utility model right 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
Inventor, or creator of device 【氏名】肥後 盛秀
【氏名】満塩 勝
Representative 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100162259、【弁理士】、【氏名又は名称】末富 孝典
【識別番号】100133592、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 浩一
【識別番号】100168114、【弁理士】、【氏名又は名称】山中 生太
Examiner 【審査官】小野寺 麻美子
Document or reference 特表2009-533696(JP,A)
特開2003-57168(JP,A)
特開平9-329542(JP,A)
特開2002-357538(JP,A)
特開2005-321244(JP,A)
米国特許第5485277(US,A)
Field of search G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
DWPI(Derwent Innovation)
Scopus
Scope of claims 【請求項3】
偏光方向が異なる複数の直線偏光成分を含む光を出射する投光部と、
前記投光部からの光を一端から入射し、表面プラズモン共鳴現象を発生させる金属薄膜が一部に形成された側面で全反射させた後、他端から出射する細長柱状の導波路部と、
前記導波路部から出射された光における特定の方向の直線偏光成分を抽出する偏光フィルタ部と、
前記偏光フィルタ部で抽出される光の直線偏光成分の偏光方向を選択する選択部と、
前記偏光フィルタ部で抽出された光の直線偏光成分の強度を検出する光強度検出部と、
前記光強度検出部で検出された光強度に基づいて、試料の屈折率を測定する測定部と、
を備え、
前記導波路部には、
入射した光に含まれる複数の直線偏光成分のいずれかがP偏光となり、P偏光に対する応答がそれぞれ異なる平面状の複数の側面が形成されており、
前記導波路部の前記複数の側面それぞれに形成された金属薄膜は、
側面毎に金属の種類又は膜厚が異なり、
前記測定部は、
複数の側面各々に対応するP偏光の光強度の測定結果に基づいて、試料の屈折率を測定する、
屈折率測定装置。
【請求項4】
偏光方向が異なる複数の直線偏光成分を含む光を出射する投光部と、
前記投光部からの光を一端から入射し、表面プラズモン共鳴現象を発生させる金属薄膜が一部に形成された側面で全反射させた後、他端から出射する細長柱状の導波路部と、
前記導波路部から出射された光における特定の方向の直線偏光成分を抽出する偏光フィルタ部と、
前記偏光フィルタ部で抽出される光の直線偏光成分の偏光方向を選択する選択部と、
前記偏光フィルタ部で抽出された光の直線偏光成分の強度を検出する光強度検出部と、
前記光強度検出部で検出された光強度に基づいて、試料の屈折率を測定する測定部と、
を備え、
前記導波路部には、
入射した光に含まれる複数の直線偏光成分のいずれかがP偏光となり、P偏光に対する応答がそれぞれ異なる平面状の複数の側面が形成されており、
前記導波路部では、
前記金属薄膜が形成された長手方向に関する位置が側面毎に異なり、
前記測定部は、
複数の側面各々に対応するP偏光の光強度の測定結果に基づいて、試料の屈折率を測定するとともに、試料の位置情報を検出する、
屈折率測定装置。
【請求項5】
偏光方向が異なる複数の直線偏光成分を含む光を出射する投光部と、
前記投光部からの光を一端から入射し、表面プラズモン共鳴現象を発生させる金属薄膜が一部に形成された側面で全反射させた後、他端から出射する細長柱状の導波路部と、
前記導波路部から出射された光における特定の方向の直線偏光成分を抽出する偏光フィルタ部と、
前記偏光フィルタ部で抽出される光の直線偏光成分の偏光方向を選択する選択部と、
前記偏光フィルタ部で抽出された光の直線偏光成分の強度を検出する光強度検出部と、
前記光強度検出部で検出された光強度に基づいて、試料の屈折率を測定する測定部と、
を備え、
前記導波路部には、
入射した光に含まれる複数の直線偏光成分のいずれかがP偏光となり、P偏光に対する応答がそれぞれ異なる平面状の複数の側面が形成されており、
前記導波路部では、
面積がそれぞれ異なる複数の金属薄膜が、長手方向に沿って形成されており、
前記測定部は、
複数の側面各々に対応するP偏光の光強度の測定結果に基づいて、試料の屈折率を測定するとともに、試料の位置情報を検出する、
屈折率測定装置。
Detailed description of the invention 【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率測定装置及び屈折率測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面プラズモン共鳴(SPR)現象とは、金属表面に存在する自由電子と光が相互作用を起こし、金属と接触している媒体の屈折率に応じて光の一部が吸収される現象である。このSPR現象を利用して、石英ガラス棒(光ファイバのコア)の側面に数十nmの厚さの金属薄膜を形成し、光ファイバの一端から入射し他端から出射した光の強度を測定することで、金属薄膜と接触している試料の屈折率を測定する(例えば、特許文献1乃至4参照)。
【0003】
特許文献1乃至4に開示された屈折率測定装置によれば、駆動機構を用いて入射角度を変化させて反射強度の変化を観測することなく、光ファイバのコアに入射され出射された光の強度を測定するだけで、試料の屈折率を測定することができる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許第3991072号公報
【特許文献2】特許第5013429号公報
【特許文献3】特開2007-147585号公報
【特許文献4】特開2005-49182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、金属薄膜が形成された光ファイバのコアに光を入射して屈折率を測定する光ファイバ型の測定装置では、光源における光強度の揺らぎや、光ファイバの側面からの光の漏れによる屈折率の測定精度の低下が懸念される。
【0006】
また、このような屈折率測定装置では、一般に、金属薄膜として用いられる金属の種類や光の波長によって、測定可能な屈折率の範囲に制限がある。
【0007】
さらに、試料が移動したり屈折率が変化する位置が変動したりするような場合には、屈折率を測定するのに加え、それらの位置情報を検出したいという要求もある。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、試料の屈折率の測定精度を向上するとともに測定範囲を広げることができるうえ、試料等の位置情報を検出することができる屈折率測定装置及び屈折率測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る屈折率測定装置は、
偏光方向が異なる複数の直線偏光成分を含む光を出射する投光部と、
前記投光部からの光を一端から入射し、表面プラズモン共鳴現象を発生させる金属薄膜が一部に形成された側面で全反射させた後、他端から出射する細長柱状の導波路部と、
前記導波路部から出射された光における特定の方向の直線偏光成分を抽出する偏光フィルタ部と、
前記偏光フィルタ部で抽出される光の直線偏光成分の偏光方向を選択する選択部と、
前記偏光フィルタ部で抽出された光の直線偏光成分の強度を検出する光強度検出部と、
前記光強度検出部で検出された光強度に基づいて、試料の屈折率を測定する測定部と、
を備え、
前記導波路部には、
入射した光に含まれる複数の直線偏光成分のいずれかがP偏光となり、P偏光に対する応答がそれぞれ異なる平面状の複数の側面が形成されている。
【0010】
この場合、前記導波路部は、
前記複数の側面として、金属薄膜が形成された第1の側面と、金属薄膜が形成されていない第2の側面を有しており、
前記測定部は、
前記第1の側面に対応するP偏光を前記選択部で選択したときに前記光強度検出部で検出された第1の光強度と、前記第2の側面に対応するP偏光を前記選択部で選択したときに前記光強度検出部で検出された第2の光強度とに基づいて、試料の屈折率を測定する、
こととしてもよい。
【0011】
前記導波路部の前記複数の側面それぞれに形成された金属薄膜は、
側面毎に金属の種類又は膜厚が異なり、
前記測定部は、
複数の側面各々に対応するP偏光の光強度の測定結果に基づいて、試料の屈折率を測定する、
こととしてもよい。
【0012】
前記導波路部では、
前記金属薄膜が形成された長手方向に関する位置が側面毎に異なり、
前記測定部は、
複数の側面各々に対応するP偏光の光強度の測定結果に基づいて、試料の屈折率を測定するとともに、試料の位置情報を検出する、
こととしてもよい。
【0013】
前記導波路部では、
面積がそれぞれ異なる複数の金属薄膜が、長手方向に沿って形成されており、
前記測定部は、
複数の側面各々に対応するP偏光の光強度の測定結果に基づいて、試料の屈折率を測定するとともに、試料の位置情報を検出する、
こととしてもよい。
【0014】
また、本発明の第2の観点に係る屈折率測定方法は、
細長柱状で、入射した光に含まれる複数の直線偏光成分のいずれかがP偏光となり、P偏光に対する応答がそれぞれ異なる平面状の複数の側面が設けられている導波路部材の一端から、偏光方向が異なる複数の直線偏光成分を含む投光部からの光を入射して、前記複数の側面で全反射させた後、前記導波路部材の他端から出射し、
前記導波路部から出射された光における特定の方向の直線偏光成分を選択的に抽出しつつ、選択的に抽出された光の直線偏光成分の強度を検出し、
検出された光強度に基づいて、試料の屈折率を測定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、1本の導波路部だけで、表面プラズモン共鳴現象の発生に関連する状態がそれぞれ異なる側面で反射した光に基づく複数の測定結果を選択的に得ることができる。複数の測定結果には、側面の状態によって、外乱成分だけのものを含めたり、測定可能な屈折率の範囲が異なるものを含めたり、試料等の位置情報を検出可能な情報を含めたりすることができる。したがって、複数の側面各々での測定結果を組み合わせれば、試料の屈折率の測定精度を向上するとともに測定範囲を広げることができるうえ、試料等の位置情報を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に係る屈折率測定装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】導波路部材の斜視図である。
【図3】屈折率の測定の動作の流れを示すフローチャートである。
【図4A】金属薄膜が形成された側面に対するP偏光の向きを示す図である。
【図4B】導波路部材の側面で光が反射する様子を示す図である。
【図4C】P偏光を測定する場合の偏光板の向きを示す図である。
【図5A】金属薄膜が形成された側面に対するS偏光の向きを示す図である。
【図5B】導波路部材の側面で光が反射する様子を示す図である。
【図5C】S偏光の光強度の受光結果を測定する場合の偏光板の向きを示す図である。
【図6A】P偏光の規格化透過光強度と試料の屈折率との関係を示すグラフである。
【図6B】S偏光の規格化透過光強度と試料の屈折率との関係を示すグラフである。
【図7】図6AのP偏光の規格化透過光強度を図6BのS偏光の規格化透過光強度で除算した規格化透過光強度と試料の屈折率との関係を示すグラフである。
【図8】本発明の実施の形態2に係る屈折率測定装置の導波路部の構成を示す斜視図である。
【図9A】金属(金)薄膜が形成された側面に対するP偏光の向きを示す図である。
【図9B】金属(金)薄膜が形成された側面で光が反射する様子を示す図である。
【図9C】金属(金)薄膜が形成された側面に対するP偏光を測定する場合の偏光板の向きを示す図である。
【図10A】金属(アルミニウム)薄膜が形成された側面に対するP偏光の向きを示す図である。
【図10B】金属(アルミニウム)薄膜が形成された側面で光が反射する様子を示す図である。
【図10C】金属(アルミニウム)薄膜が形成された側面に対するP偏光を測定する場合の偏光板の向きを示す図である。
【図11A】金薄膜で反射したP偏光の規格化透過光強度と試料の屈折率との関係を示すグラフである。
【図11B】アルミニウム薄膜で反射したP偏光の規格化透過光強度と試料の屈折率との関係を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態3に係る屈折率測定装置の導波路部の構成を示す斜視図である。
【図13A】屈折率測定装置で測定可能な4つの状態を示す図(その1)である。
【図13B】屈折率測定装置で測定可能な4つの状態を示す図(その2)である。
【図13C】屈折率測定装置で測定可能な4つの状態を示す図(その3)である。
【図13D】屈折率測定装置で測定可能な4つの状態を示す図(その4)である。
【図14】屈折率測定装置で測定可能な4つの状態での測定結果(光強度の応答)を示すグラフである。
【図15】本発明の実施の形態4に係る屈折率測定装置の導波路部の構成を示す斜視図である。
【図16A】屈折率測定装置で測定可能な4つの状態を示す図(その1)である。
【図16B】屈折率測定装置で測定可能な4つの状態を示す図(その2)である。
【図16C】屈折率測定装置で測定可能な4つの状態を示す図(その3)である。
【図16D】屈折率測定装置で測定可能な4つの状態を示す図(その4)である。
【図17】本発明の実施の形態2に係る屈折率測定装置において同種で膜厚が異なる金属(銀)薄膜を用いた場合の規格化透過光強度と試料の屈折率との関係を示すグラフである。
【図18】本発明の実施の形態3に係る屈折率測定装置において濃度0~30%のエタノール水溶液をパイプラインに流したときの応答の変化を示すグラフである。
【図19】エタノール水溶液の濃度が20%から30%に変化したときの応答の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。

【0018】
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1について説明する。

【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係る屈折率測定装置1は、電源2と、投光部としての発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)3と、導波路部材4と、レンズ5と、偏光フィルタ部としての偏光板6と、選択部7と、光強度検出部としての受光部8と、受光回路9と、測定部10とを備える。

【0020】
電源2は、LED3に電流を供給する直流安定化電源である。LED3は、電源2から供給された電流により光を出射する。この光は、表面プラズモン共鳴現象を発生させることが可能な波長帯域の光であり、偏光方向が異なる直線偏光成分を含んでいる。

【0021】
導波路部材4は、光軸AXの方向(y軸方向)に細長い柱状の導光部材である。LED3は、導波路部材4の光軸AX上に配置されている。導波路部材4は、LED3からの光を一端(-y側の端部)から入射する。入射した光は、表面プラズモン共鳴現象を発生させる金属薄膜4Bが一部に形成された側面で全反射しながら導波路部材4内を+y方向に進む。最終的には、導波路部材4は、+y側の他端から光を出射する。

【0022】
レンズ5は、屈折光学系であり、導波路部材4の光軸AX上に配置されている。レンズ5は、導波路部材4から出射された光を集光して、偏光板6に入射させる。偏光板6は、導波路部材4の光軸AX上に配置されており、導波路部材4から出射された光における特定の方向の直線偏光成分を抽出する。選択部7は、駆動機構を用いて偏光板6を光軸AX回りで回転駆動することにより、偏光板6で抽出される光の直線偏光成分の偏光方向を選択する。選択部7は手動で操作されるものであってもよいし、自動で操作されるものであってもよい。

【0023】
受光部8は、導波路部材4の光軸AX上に配置されている。受光部8は、偏光板6を通過した光を受光し、偏光板6で抽出された光の直線偏光成分の光強度を検出する。受光部8は、この光強度に対応する電流を発生させる。受光部8で発生した電流は、コンデンサ9A及び抵抗9Bより成る受光回路9により電圧に変換されて測定部10に入力される。

【0024】
パイプライン11は、導波路部材4の周囲に配置されている。パイプライン11には、試料12を含む液体(溶媒)が流れている。屈折率測定装置1は、この液体に含まれる試料12の屈折率を測定する。測定部10は、受光部8で検出された光強度に対応する電圧値に基づいて、金属薄膜4Bに接触した試料12の屈折率を測定する。

【0025】
導波路部材4についてより詳細に説明する。図2に示すように、導波路部材4は、光軸AXの方向(y軸方向)に延びる細長い矩形柱状のガラス棒4Aを中心に構成されている。ガラス棒4Aの屈折率は高いのが望ましいが、例えば1.458である。ガラス棒4Aの+z側の側面が、側面4Aa(第1の側面)であり、+x側の側面が、側面4Ab(第2の側面)である。側面4Aaには、真空蒸着法等を用いて、金属薄膜4Bが形成されている。

【0026】
このように、本実施の形態では、側面4Aaでは、金属薄膜4Bが形成されており、側面4Abでは、金属薄膜4Bが形成されていない。すなわち、導波路部材4は、周方向で、表面プラズモン共鳴現象の発生状態が異なるように形成されている。言い換えると、導波路部材4には、入射した光に含まれる複数の直線偏光成分のいずれかがP偏光となり、P偏光に対する応答がそれぞれ異なる平面状の複数の側面4Aa,4Abが設けられている。

【0027】
本実施の形態に係る屈折率の測定の動作の流れについて説明する。図3に示すように、まず、屈折率測定装置1は、偏光方向が異なる複数の直線偏光成分を含むLED3からの光を、導波路部材4の一端に入射し、表面プラズモン共鳴現象を発生させる金属薄膜4Bが一部に形成された側面で全反射させた後、導波路部材4の他端から出射する(ステップS1)。続いて、屈折率測定装置1は、選択部7により偏光板6を駆動して、導波路部材4から出射された光における特定の方向の直線偏光成分を選択的に抽出しつつ、偏光板6で抽出された光の直線偏光成分の強度を検出する(ステップS2)。さらに、屈折率測定装置1は、受光部8で検出された光強度に基づいて、試料12の屈折率を測定する(ステップS3)。

【0028】
ステップS2における直線偏光成分の選択について説明する。図4Aに示すように、導波路部材4に入射した光のうち、金属薄膜4Bが形成された側面4Aaの光の入射面に平行な直線偏光成分は、その側面4Aaに対してP偏光となる。図4Bに示すように、P偏光は、特定の入射角度で金属薄膜4Bに入射すると、表面プラズモン共鳴が発生し、反射光の強度が低下し、最終的に導波路部材4の他端から出射される光強度が低下する。この直線偏光成分の光を受光部8で受光するには、図4Cに示すように選択部7が偏光板6の向きをz軸方向とすればよい。

【0029】
また、図5Aに示すように、導波路部材4に入射した光のうち、金属薄膜4Bが形成された側面4Aaの入射面に直交する直線偏光成分は、その側面4Aaに対してS偏光となる。S偏光は、特定の入射角度で金属薄膜4Bに入射しても、表面プラズモン共鳴現象が発生せず、反射光の強度が低下しない。したがって、導波路部材4の他端から出射されるS偏光は、表面プラズモン共鳴現象では低下しない。図5Bに示すように、S偏光は、ガラス棒4Aの側面4Abでも全反射しつつ、ガラス棒4A内を+y方向に進んで、導波路部材4の他端から出射される。この成分の光を受光部8で受光するには、図5Cに示すように選択部7が偏光板6の向きをx軸方向とすればよい。

【0030】
図6Aには、P偏光の規格化透過光強度と屈折率との関係が示されている。図6Aに示すように、P偏光の光強度は、試料12の屈折率に対して感度が大きく、大幅に変化する。ここでは、P偏光の光強度(規格化透過光強度)の応答曲線は、屈折率約1.380に最小値を有する曲線となった。

【0031】
また、図6BにはS偏光の規格化透過光強度と屈折率との関係が示されている。図6Bに示すように、S偏光の光強度は、試料12の屈折率が大きくなるにつれて次第に低下している。光強度の低下は、ガラス棒4Aと試料12との屈折率差に起因する光の漏れが原因であり、試料12の屈折率が大きくなるにつれて、ガラス棒4Aの側面4Ab等からの光の漏れが大きくなっていることを示している。この光の漏れは、試料12の屈折率の検出精度の低下の要因の1つとなる。

【0032】
そこで、測定部10は、ガラス棒4Aの側面4Aaの入射面に平行な直線偏光成分(P偏光)を選択部7で選択したときに受光部8で検出された光強度(図6A参照)と、ガラス棒4Aの側面4Abの入射面に直交する直線偏光成分(S偏光)を選択部7で選択したときに受光部8で検出された光強度(図6B参照)とに基づいて、試料12の屈折率を測定する。より具体的には、測定部10は、P偏光の規格化透過光強度を、S偏光の規格化透過光強度で除算し、その除算結果に基づいて、試料12の屈折率を求める。図7には、このような除算により求められた規格化透過光強度の屈折率特性が示されている。

【0033】
上述のように、本実施の形態に係る細長状の導波路部材4を用いた屈折率測定装置1は、金属薄膜4Bが形成された平板状の側面4Aaと、金属薄膜4Bが形成されていない側面4Abとを有している。そして、測定部10は、金属薄膜4Bが形成された側面4AaのP偏光の光強度からS偏光の光強度を除算して、透過光強度を補正して、試料12の屈折率を測定する。これにより、ガラス棒4Aの側面4Ab等からの光の漏れの影響や、LED3から出射される光強度の揺らぎの影響を低減して、試料12の屈折率をより正確に測定することができる。

【0034】
なお、導波路部材4について、ガラス棒4Aとしては、例えば一辺が5mmの正方形の断面を有するものを用いることができる。また、ガラス棒4Aの長さを150mmとし、金属薄膜4Bを金とし、その長さを100mmとすることができる。また、金属(金)薄膜4Bの厚さは、例えば45nmとすることができる。金属(金)薄膜4Bの厚さは、金属の種類に応じて適切な厚みとされる。さらに、LED3としては、実測波長が654nmの赤色発光ダイオードを用いることができる。

【0035】
また、パイプライン11に流す溶液としては、エチレングレコールのメタノール溶液を用いることができる。この場合、試料12はエチレングリコールのメタノール溶液となる。エチレングリコールのメタノール溶液の屈折率と濃度とは相関関係があるため、エチレングリコールのメタノール溶液の屈折率がわかれば、溶液中のエチレングリコール濃度を求めることができる。

【0036】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。

【0037】
本実施の形態では、屈折率測定装置1の構成は、図8に示すように、導波路部材4に代えて、導波路部材14を備えている点が、上記実施の形態1と異なる。具体的には、導波路部材14では、複数の側面4Aa,4Abそれぞれに金属薄膜が形成されている。さらに、側面4Aaに形成される金属薄膜と、側面4Abに形成される金属薄膜とでは、金属の種類がそれぞれ異なっている。

【0038】
図8に示すように、導波路部材14では、ガラス棒4Aの側面4Aaに金属(金)薄膜4Bが形成されており、ガラス棒の側面4Abに金属(アルミニウム)薄膜4Cが形成されている。

【0039】
図9Aに示すように、導波路部材14に入射した光のうち、金属(金)薄膜4Bが形成された側面4Aaの光の入射面に平行な直線偏光成分は、その側面4Aaに対してP偏光となる。図9Bに示すように、このP偏光は、特定の入射角度で金属(金)薄膜4Bに入射すると、表面プラズモン共鳴が発生し、反射光の強度が低下する。この成分の光を受光部8で受光するには、図9Cに示すように、選択部7が偏光板6の向きをz軸方向とすればよい。

【0040】
また、図10Aに示すように、導波路部材14に入射した光のうち、金属(アルミニウム)薄膜4Cが形成された側面4Abの光の入射面に平行な直線偏光成分は、その側面4Abに対してP偏光となる。図10Bに示すように、P偏光は、特定の入射角度で金属(アルミニウム)薄膜4Cに入射すると、表面プラズモン共鳴が発生し、反射光の強度が低下する。この成分の光を受光部8で受光するには、図10Cに示すように、選択部7が偏光板6の向きをx軸方向とすればよい。

【0041】
図11Aには、金属(金)薄膜4Bに対するP偏光の規格化透過光強度と屈折率との関係が示されている。図11Aに示すように、金属(金)薄膜4Bに対するP偏光の光強度は、試料12の屈折率で大幅に変化する。また、図11Bには、金属(アルミニウム)薄膜4Cに対するP偏光の規格化透過光強度と屈折率との関係が示されている。図11Bに示すように、金属(アルミニウム)薄膜4Cに対するP偏光の光強度は、試料12の屈折率が大きくなるにつれて次第に低下しており、極端に低下する部分は存在しない。

【0042】
図11Aと図11Bとを比較するとわかるように、金属(金)薄膜4Bに対するP偏光は、狭い範囲で屈折率に対する感度が高い。これに対して、金属(アルミニウム)薄膜4Cに対するP偏光では、試料12の屈折率に対する感度が金属(金)薄膜4Bのそれに対して低いものの、屈折率の広い範囲で、光強度が変化している。

【0043】
そこで、測定部10は、金属(アルミニウム)薄膜4Cに対するP偏光の光強度の測定結果に基づいて、試料12の屈折率の範囲を絞り、さらに、金属(金)薄膜4Bに対するP偏光の光強度の測定結果に基づいて、試料12の屈折率を詳細に測定する。このようにすれば、試料12の屈折率を広い測定範囲で、より正確に測定することが可能となる。

【0044】
本実施の形態では、側面4Aaに形成される金属薄膜4Bと、側面4Abに形成される金属薄膜4Cとで、金属の種類(金/アルミニウム)を異なるものとした。しかしながら、側面4Aaに形成される金属薄膜と、側面4Abに形成される金属薄膜とを、同じ種類の金属とし、その膜厚を異なるようにしてもよい。

【0045】
膜厚を変更する例として、2mm角のガラス棒4Aの側面4Aaに30nmの膜厚で10cmの長さの銀薄膜層(金属(金)薄膜4Bの代わりに設けられる金属薄膜)を形成するとともに、側面4Abに70nmの膜厚で10cmの長さの銀薄膜層(金属(アルミニウム)薄膜4Cの代わりに設けられる金属薄膜)を形成した。そして、受光部(フォトダイオード)8前に設置した偏光板6で偏光を選択し、応答面を選択した。

【0046】
この場合、70nmの銀薄膜に対するP偏光の受光結果では、図17に示すような曲線が得られ、屈折率1.374に最小値を有する結果が得られた。一方、S偏光、すなわち30nmの銀薄膜に対するP偏光では、図17に示すような曲線が得られ、屈折率1.395に最小値を有する結果が得られた。このように、同種の金属でも膜厚を変えることで応答を変えることができる。

【0047】
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。

【0048】
本実施の形態では、図12に示すように、屈折率測定装置1の構成は、導波路部材4に代えて、導波路部材24を備えている点が、上記実施の形態1と異なる。具体的には、導波路部材24は、導波路部材4と同様に、複数の側面を有している。さらに、導波路部材24は、金属薄膜が形成された長手方向に関する位置が側面毎に異なっている。

【0049】
図12に示すように、導波路部材24では、ガラス棒4Aの側面4Aaの長手方向中心よりも-y側の部分に金属薄膜4B1が形成されており、ガラス棒4Aの側面4Abにおける長手方向中心よりも+y側の部分には金属薄膜4C1が形成されている。すなわち、導波路部材24では、金属薄膜4B1,4C1が、隣り合う2つの側面に位置をずらして真空蒸着により形成される。測定部10は、金属薄膜4B1に対するP偏光の光強度と、金属薄膜4C1に対するP偏光の光強度との測定を行う。このようにすれば、各測定結果の組み合わせで、試料12の屈折率に加え、試料12の位置情報を測定することができる。

【0050】
導波路部材24は、試料12を含む溶液(溶媒)で満たされているものとする。例えば、図13Aに示すように、金属薄膜4B1,4C1上に試料12がなく、溶媒だけ存在する状態を、状態Aとする。また、金属薄膜4B1の上に試料12が存在し、金属薄膜4C1の上には溶媒だけ存在する状態を、状態Bとする。また、金属薄膜4B1の上には溶媒だけ存在し、金属薄膜4C1の上には試料12が存在する状態を、状態Cとする。さらに、金属薄膜4B1,4C1の上に試料12が存在し、導波路部材24を覆った状態を、状態Dとする。

【0051】
図14には、状態A乃至Dでの金属薄膜4B1に対するP偏光の光強度の応答と、金属薄膜4C1に対するP偏光の光強度の応答とが示されている。図14に示すように、状態Aでは、金属薄膜4B1も、金属薄膜4C1についても応答(光強度の低下)がない。また、状態Bでは、金属薄膜4B1について応答が現れ、金属薄膜4C1については応答がない。また、状態Cでは、金属薄膜4B1では応答がなく、金属薄膜4C1について応答が現れる。また、状態Dは、金属薄膜4B1及び金属薄膜4C1の両方に応答が現れる。

【0052】
したがって、測定部10は、このような金属薄膜4B1に対するP偏光の光強度の応答測と、金属薄膜4C1に対するP偏光の光強度の応答とに基づいて、状態A~Dのうち、いずれの状態であるかを判定することにより、試料12の屈折率に加え、試料12の位置情報も検出することができる。

【0053】
ここで、パイプライン11内に固定した2mm角のガラス棒4Aの側面4Aa,4Abに、3cmの長さで厚さ45nmの金属(金)薄膜4B1,4C1を形成した。金属(金)薄膜4B1と金属(金)薄膜4C1との間は3cmとした。そして、このガラス棒4Aを用いて、受光部8の前に設置した偏光板6で偏光を選択しつつ、試料12として0~30%のエタノール水溶液を金属(金)薄膜4B1側からパイプライン11に流したときの応答の変化を測定した。

【0054】
図18では、この応答の変化が示されている。図18には、P偏光(金属(金)薄膜4B1に対するP偏光)の受光結果と、S偏光(金属(金)薄膜4C1に対するP偏光)の受光結果とが示されている。図18に示すように、P偏光及びS偏光ともに、エタノール水溶液の濃度が上がれば上がるほど、規格化透過光強度が低下している。

【0055】
図19では、20%から30%にエタノール溶液の濃度を変えた時間T(図18参照)における応答の変化を拡大して示している。図19に示すように、エタノールの濃度が20%から30%へ変化する間に、状態A(図13A,図14)から、状態B(図13B,図14)に遷移し、さらに状態D(図13D,図14)に遷移していることが示されている。

【0056】
なお、本実施の形態では、2つの側面4Aa,4Abに形成する金属薄膜の金属を同じ種類(金)としたが、本発明はこれには限られず、側面毎に異なる金属を用いるようにしてもよい。また、側面毎に、金属薄膜の膜厚や長さを変えるようにしてもよい。

【0057】
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。

【0058】
本実施の形態では、図15に示すように、屈折率測定装置1の構成は、導波路部材4に代えて、導波路部材34を備えている点が、上記実施の形態1と異なる。具体的には、導波路部材34では、面積がそれぞれ異なる複数の金属薄膜が、長手方向に沿って形成されている。

【0059】
屈折率が同一である試料12に対する屈折率測定装置1の応答の変化量(規格化透過光強度の変化量)は、蒸着している金属の面積に比例すると考えられる。そこで、本実施の形態では、図15に示すように、ガラス棒4Aの側面4Aaの長手方向に、複数の金属薄膜4B1,4B2,4B3を設け、金属薄膜4B1,4B2,4B3の蒸着面積に、1:2:4(面積比が2の乗数となる)というように差を付け、測定部10で、応答(光強度)の変化量の比を取ることで試料12の位置情報を検出する。なお、本実施の形態では、ガラス棒4Aの側面4Abの長手方向にも金属薄膜4C1,4C2,4C3が設けられている。金属薄膜4C1,4C2,4C3は、同じ面積で、蒸着により形成されている。金属薄膜4B1と金属薄膜4C1との面積比は4:2であり、金属薄膜4B2と金属薄膜4C2との面積比は8:2であり、金属薄膜4B3と金属薄膜4C3との面積比は16:2である。

【0060】
ここで、図16Aに示すように、金属薄膜4B1,4C1の周囲にのみ試料12が存在している状態を、状態Aとする。また、図16Bに示すように、金属薄膜4B1,4C1の周囲及び金属薄膜4B2,4C2の周囲に試料12が存在している状態を、状態Bとする。また、図16Cに示すように、金属薄膜4B2,4C2の周囲及び金属薄膜4B3,4C3の周囲に試料12が存在している状態を、状態Cとする。また、図16Dに示すように、金属薄膜4B3,4C3の周囲にのみ試料12が存在している状態を、状態Dとする。

【0061】
状態Aの場合、側面4Aaに対するP偏光の光強度と、側面4Abに対するP偏光の光強度との変化量の比は、4:2(=2:1)となる。また、状態Bの場合、側面4Aaに対するP偏光の光強度と、側面4Abに対するP偏光の光強度との変化量の比は、12:4(=3:1)となる。また、状態Cの場合、側面4Aaに対するP偏光の光強度と、側面4Abに対するP偏光の光強度との変化量の比は、24:4(=6:1)となる。さらに、状態Dの場合、側面4Aaに対するP偏光の光強度と、側面4Abに対するP偏光の光強度との変化量の比は、16:2(=8:1)となる。

【0062】
このように、側面4Aaに対するP偏光の光強度と、側面4Abに対するP偏光の光強度との変化量の比は、試料12の存在する位置によって一意に決まる。このため、測定部10は、側面4Aaに対するP偏光の光強度と、側面4Abに対するP偏光の光強度との変化量の比に基づいて、試料12の位置情報を検出することができる。

【0063】
また、測定部10は、側面4Aaに対するP偏光の光強度の変化量又は側面4Abに対するP偏光の光強度の変化量を金属薄膜の面積で除算することで試料12の屈折率を検出することができる。従って、屈折率測定装置1を用いて、パイプライン11内の溶液の反応の追跡が可能となる。また、屈折率が温度でも変化することを利用して反応層中の異常反応(温度変化)の監視を行うことができる他、屈折率測定装置1を様々な用途に利用することができる。

【0064】
本実施の形態では、金属薄膜の面積を長手方向で変更したが、本発明はこれには限られない。例えば、金属薄膜の種類、膜厚等を長手方向で変更するようにしてもよい。

【0065】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、1本の導波路部材4だけで、表面プラズモン共鳴現象の発生に関連する状態がそれぞれ異なる側面4Aa,4Abで反射した光に基づく複数の測定結果を選択的に得ることができる。複数の測定結果には、側面4Aa,4Abの状態によって、外乱成分だけのものを含めたり、測定可能な屈折率の範囲が異なるものを含めたり、試料12等の位置情報を検出可能な情報を含めたりすることができる。したがって、複数の側面4Aa,4Ab各々での測定結果を組み合わせれば、試料12の屈折率の測定精度を向上するとともに測定範囲を広げることができるうえ、試料12等の位置情報を検出することができる。

【0066】
なお、上記実施の形態では、導波路部材4の周方向で表面プラズモン共鳴現象の発生に関連する側面4Aa,4Abの状態が異なる場合について説明したが、本発明はこれには限られない。導波路部材4の周方向には表面プラズモン共鳴現象の発生に関連する側面の状態が均一であり、導波路部材4の長手方向にP偏光に対する応答が異なる金属薄膜が形成された導波路部材を採用するようにしてもよい。

【0067】
上記実施の形態では、金属薄膜の金属を、金又は銀あるいはアルミニウムとしたが、本発明はこれには限られない。金属薄膜の金属として銅を用いてもよい。ここで、金属は、その用途に応じて適切に用いられる必要がある。例えば、銅は、腐食しやすく、硫化銅を作りやすいので、硫化銅を作りやすい環境で用いるのは適切ではない。また、銀は、塩化銀をつくりやすいので、塩化銀を作りやすい環境で用いるのは適切ではない。アルミニウムは表面に薄いアルミナを形成しているが、酸やアルカリと反応して腐食するので、酸性やアルカリ性の環境で用いるのは適切ではない。金は化合物を作りにくいので、反応しやすい環境で用いる場合においても最適である。

【0068】
また、金属薄膜は、異なる金属から成る薄膜を積層したものであってもよい。

【0069】
また、上記実施の形態では、LED3として、例えば、赤色の発光ダイオードを用いた。しかしながら、表面プラズモン共鳴現象が発生するのであれば、より短波長又は長波長の光を発生させるLEDを用いるようにしてもよい。

【0070】
ここで、金属薄膜と光の波長との関係についてまとめる。このような関係が、金属薄膜の種類、光の波長を選択するうえで重要な要素となる。
(1)金の場合
・赤色、赤外線発光ダイオードを用いた場合、広い膜厚の範囲で良好な応答が得られる。
・波長による最小値屈折率の変化が非常に大きい。この変化は、膜厚が厚い方が顕著になる。
・短波長の光では、表面プラズモン共鳴現象は得られにくい。
(2)銀の場合
・金と比較して、応答が大きい。
・波長による最小値屈折率の変化が小さい。
・緑色LEDでも応答(表面プラズモン共鳴現象)が見られた。
(3)アルミニウムの場合
・金、銀と比較して、広い屈折率範囲でなだらかに透過光強度が変化する。すなわち透過光強度の感度が小さい。
・光強度の落ち込みと最小値の屈折率は、波長、膜厚が変わってもそれほど変化しない。
・短波長の光でも良好な応答を示す。

【0071】
また、LED3の光を、長波長から短波長まで広い波長帯域を含む光としてもよい。金属の種類によって感度のある屈折率は異なってくるので、本発明のように、導波路部材4の複数の側面各々に、異なる金属の薄膜を形成し、様々な波長の光を入射可能としておけば、測定可能な屈折率の範囲を大幅に広げることが可能となる。

【0072】
多角形状のガラス棒は極めて製作し易く、使い捨ても可能である。このため、本発明は、測定精度を向上したり測定範囲を広げたりするのを容易にするだけでなく、コンタミネーションを防止するうえで好適である。

【0073】
また、金属薄膜の上に直鎖の高分子から成るスペーサを設け、さらにその上にフッ素樹脂膜を選択膜として成膜するようにしてもよい。フッ素樹脂膜は分子サイズの穴が存在しており、揮発性物質を透過させる。例えば、日本酒等に含まれるアルコールを試料12とする場合、フッ素樹脂膜は、糖分や有機酸などを通さず、アルコール成分だけを金属薄膜上に通す。したがって、スペーサ、フッ素樹脂膜を設けることにより、アルコール濃度を正確に計測することができる。

【0074】
試料12は、一般的には溶液(溶媒)中に含まれる成分となる。例えば、清酒、ワイン等の酒のアルコールなどを試料12とすることができる。また、エンジンオイル内に含まれるガソリンを試料12とすることも可能である。

【0075】
また、偏光板6の代わりに偏光ビームスプリッタを配置して、偏光ビームスプリッタで分割された光を別々の受光部8で受光してそれぞれの光強度を検出するようにしてもよい。このようにすれば、側面が異なる2つの光強度を同時に検出することが可能となる。また、偏光板6を回転させるなどの選択部7における駆動機構も不要となる。

【0076】
また、上記各実施の形態では、ガラス棒4Aの断面を矩形(正方形)としたが、これには限られない。ガラス棒4Aの断面形状は、長方形、菱形、台形であってもよい。また、ガラス棒4Aの断面形状は、3角形でもよいし、5角形以上の多角形であってもよい。法線方向が異なる少なくとも2つの平板状の側面があればよいのであって、その他の側面は曲面であってもよい。

【0077】
なお、側面同士の法線方向が直交していない側面同士では、一方の光強度の測定結果に他方の光強度の測定結果の成分が混入する。この場合、測定部10は、両側面の成す角度での混入成分を算出し、一方の光強度の測定結果から算出した混入成分を差し引いて、差し引いた値を、真の光強度として算出するようにすればよい。

【0078】
また、金属薄膜が形成された側面に対向する側面に金属薄膜を形成するようにしてもよい。

【0079】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。

【0080】
なお、本願については、2016年8月29日に出願された日本国特許出願2016-166544号を基礎とする優先権を主張し、本明細書中に日本国特許出願2016-166544号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明によれば、試料の屈折率の測定に利用することができる。例えば、焼酎の製造工程(蒸留、熟成、瓶詰め等)において、アルコール度数を測定する度数計に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 屈折率測定装置、2 電源、3 発光ダイオード(LED)、4 導波路部材、4A ガラス棒、4Aa,4Ab 側面、4B,4B1,4B2,4B3 金属(金)薄膜、4C 金属(アルミニウム)薄膜、4C1,4C2,4C3 金属(金)薄膜、5 レンズ、6 偏光板、7 選択部、8 受光部、9 受光回路、9A コンデンサ、9B 抵抗、10 測定部、11 パイプライン、12 試料(測定対象)、14,24,34 導波路部材
Drawing
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4A】
3
【図4B】
4
【図4C】
5
【図5A】
6
【図5B】
7
【図5C】
8
【図6A】
9
【図6B】
10
【図7】
11
【図8】
12
【図9A】
13
【図9B】
14
【図9C】
15
【図10A】
16
【図10B】
17
【図10C】
18
【図11A】
19
【図11B】
20
【図12】
21
【図13A】
22
【図13B】
23
【図13C】
24
【図13D】
25
【図14】
26
【図15】
27
【図16A】
28
【図16B】
29
【図16C】
30
【図16D】
31
【図17】
32
【図18】
33
【図19】
34