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Specification :金属酸化物ナノ粒子の製造方法

Country 日本国特許庁(JP)
Gazette 特許公報(B2)
Patent Number 特許第6399656号 (P6399656)
Publication number 特開2016-141613 (P2016-141613A)
Date of registration 平成30年9月14日(2018.9.14)
Date of issue 平成30年10月3日(2018.10.3)
Date of publication of application 平成28年8月8日(2016.8.8)
Title of the invention, or title of the device 金属酸化物ナノ粒子の製造方法
IPC (International Patent Classification) C01G   3/02        (2006.01)
C01B  13/32        (2006.01)
C01B  13/36        (2006.01)
C01G   5/00        (2006.01)
C01G  45/02        (2006.01)
FI (File Index) C01G 3/02
C01B 13/32
C01B 13/36
C01G 5/00 A
C01G 45/02
Number of claims or invention 5
Total pages 13
Application Number 特願2015-021067 (P2015-021067)
Date of filing 平成27年2月5日(2015.2.5)
Date of request for substantive examination 平成29年12月1日(2017.12.1)
Patentee, or owner of utility model right 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
Inventor, or creator of device 【氏名】後藤 健彦
【氏名】迫原 修治
Representative 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100138955、【弁理士】、【氏名又は名称】末次 渉
【識別番号】100109449、【弁理士】、【氏名又は名称】毛受 隆典
Examiner 【審査官】手島 理
Document or reference 特開平11-11912(JP,A)
中国特許出願公開第1799990(CN,A)
STARODOUBTSEV,S.G. et al.,Poly(acrylamide) gels with embedded magnetite nanoparticles,Microelectronic Engineering,NL,Elsevier,2003年 6月11日,Vol.69,pp.324-329
相園竜史、後藤健彦、迫原修治,高分子ゲルを反応場とした酸化鉄ナノ粒子の作製,化学工業会 第45回秋季大会 研究発表講演プログラム集,日本,化学工業会,2013年 8月16日,ZE2P31
Field of search C01B 13/14 - 13/36
C01G 3/02
C01G 5/00
C01G 45/02
C08F 6/00 - 246/00
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
Scope of claims 【請求項1】
末端のアミノ基とアクリルアミド基又はメタクリルアミド基との間に炭素数が2以上のアルキレン鎖を有するアクリルアミドモノマー又はメタクリルアミドモノマーが重合して得られた親水性の高分子ゲルに水分子の存在下で金属イオンを介在させて、前記高分子ゲルのネットワーク空間内にて金属酸化物のナノ粒子を生成させる、
ことを特徴とする金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
炭素数が3以上の前記アルキレン鎖を有する前記アクリルアミドモノマー又は前記メタクリルアミドモノマーが重合して得られた前記高分子ゲルを用いる、
ことを特徴とする請求項1に記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記金属イオンを含有する水溶液に乾燥された前記高分子ゲルを浸漬させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
水素イオンよりも酸化還元電位が大きい前記金属イオンと水酸化物イオンよりも陰イオン化傾向が大きい陰イオンとの金属塩が溶解された前記水溶液に前記高分子ゲルを浸漬させる、
ことを特徴とする請求項3に記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
アクリルアミド系の架橋剤又はメタクリルアミド系の架橋剤と前記アクリルアミドモノマー又は前記メタクリルアミドモノマーとの共重合により得られた前記高分子ゲルを用い、
前記架橋剤に対して1.5モル以上の前記アクリルアミドモノマー又は前記メタクリルアミドモノマーを加える、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
Detailed description of the invention 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物ナノ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物質の大きさがナノメートルオーダーになると、電気特性、光学特性、磁性特性などがバルク状態とは大きく異なってくる(量子サイズ効果)。この量子サイズ効果が現れるナノ粒子は、近年さまざまな分野での応用が期待されている。
【0003】
ナノ粒子の合成法の多くは、CVDを中心とする気相法と、還元や熱分解を中心とする液相法に分類される。液相法は比較的均質な粒子が簡単な操作で得られることから広く用いられているが、生成した粒子の成長を制御することが困難という問題がある。気相法は純度の高い粒子が得られるが、生成した粒子の凝集、装置壁への付着などが問題になっている。
【0004】
これらの方法に加え、近年では、高分子ゲルを金属酸化物ナノ粒子生成の場として用い、そのなかでナノ粒子を合成する方法が提案されている(非特許文献1)。この方法はin situ法と呼ばれ、まず、乾燥した高分子ゲルを金属イオン溶液に浸漬させて、金属イオンを高分子ゲル中に取り込む。そして、金属イオンが取り込まれた高分子ゲルを塩基性溶液に浸漬させることで、高分子ゲル中に金属酸化物のナノ粒子を生成させている。
【0005】
高分子ゲル中での金属酸化物ナノ粒子の合成は、有効細孔径が数nm程度のゲルネットワーク内部で行われるので、ネットワークが粒子の凝集・成長を妨げ、ネットワークの有効細孔径より大きな粒子は生成しにくいという利点がある。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】後藤健彦、迫原修治;高分子ゲルと金属ナノ粒子との複合体の合成;株式会社エヌ・ティー・エヌ,ゲルテクノロジーハンドブック 別刷り,p448-p453,2014年10月20日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1の合成方法では、一旦、高分子ゲルに金属イオン溶液に浸漬させて金属イオンを取り込ませ、その後、塩基性溶液に浸漬させる必要があるため、工程が多くなり操作が煩雑となるとともに、別途塩基性溶液を準備しなければならず製造コストが高くなる。
【0008】
本発明は上記事項に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塩基性溶液を必要とせずに、高分子ゲルネットワーク内部に金属酸化物ナノ粒子を合成することが可能な金属酸化物ナノ粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、
末端のアミノ基とアクリルアミド基又はメタクリルアミド基との間に炭素数が2以上のアルキレン鎖を有するアクリルアミドモノマー又はメタクリルアミドモノマーが重合して得られた親水性の高分子ゲルに水分子の存在下で金属イオンを介在させて、前記高分子ゲルのネットワーク空間内にて金属酸化物のナノ粒子を生成させる、
ことを特徴とする。
【0010】
また、炭素数が3以上の前記アルキレン鎖を有する前記アクリルアミドモノマー又は前記メタクリルアミドモノマーが重合して得られた前記高分子ゲルを用いることが好ましい。
【0011】
また、前記金属イオンを含有する水溶液に乾燥された前記高分子ゲルを浸漬させてもよい。
【0012】
また、水素イオンよりも酸化還元電位が大きい前記金属イオンと水酸化物イオンよりも陰イオン化傾向が大きい陰イオンとの金属塩が溶解された前記水溶液に前記高分子ゲルを浸漬させることが好ましい。
【0013】
また、アクリルアミド系の架橋剤又はメタクリルアミド系の架橋剤と前記アクリルアミドモノマー又は前記メタクリルアミドモノマーとの共重合により得られた前記高分子ゲルを用い、
前記架橋剤に対して1.5モル以上の前記アクリルアミドモノマー又は前記メタクリルアミドモノマーを加えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る金属酸化物ナノ粒子の製造方法では、水分子の解離によって生じる水素イオンがアミノ基に引き付けられ、一方の水酸化物イオンは高分子ゲルの外部に拡散しないので、高分子ゲル内が塩基性に保たれる。この塩基性環境下にて金属イオンから金属酸化物ナノ粒子が合成されるので、塩基性溶液を別途必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1における高分子ゲル複合体のXRD測定結果を示す図である。
【図2】実施例1における高分子ゲル複合体の写真である。
【図3】実施例2における高分子ゲル複合体のXRD測定結果を示す図である。
【図4】実施例2における高分子ゲル複合体の写真である。
【図5】実施例3における粒子含有率の結果を示すグラフである。
【図6】実施例3における膨潤度の結果を示すグラフである。
【図7】実施例4における高分子ゲル複合体のXRD測定結果を示す図である。
【図8】実施例4における高分子ゲル複合体のTEM写真である。
【図9】実施例5における高分子ゲル複合体の写真である。
【図10】図10(A)~(G)は、実施例6における高分子ゲル複合体の写真である。
【図11】実施例7における砒素吸着量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、金属酸化物ナノ粒子の合成の場として、末端のアミノ基とアクリルアミド基又はメタクリルアミド基との間に炭素数が2以上のアルキレン鎖を有するアクリルアミドモノマー又はメタクリルアミドモノマー(以下、主モノマーと記す)が重合して得られた親水性の高分子ゲルを用いる。そして、水分子の存在下でこの高分子ゲルと金属イオンを介在させることにより、高分子ゲルのネットワーク空間内にて金属酸化物のナノ粒子を生成させることができる。

【0017】
例えば、金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、高分子ゲルの乾燥体を、金属イオンを含有する水溶液(水に金属塩を溶解させて得られた水溶液)に浸漬させることにより行うことができる。

【0018】
主モノマーとして、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを重合して得られ、乾燥させた高分子ゲルを硫酸銅水溶液に浸漬させて酸化銅のナノ粒子を合成する例をもってメカニズムについて説明する。

【0019】
乾燥した高分子ゲルを硫酸銅水溶液に浸漬させると、高分子ゲルが水を吸収して膨潤する。そして、下式1に示すように、水分子の解離により生じる水素イオンがアミノ基(-N(CH)に引き付けられ、アミノ基がプロトン化される。一方の水酸化物イオンは、イオン化した高分子鎖のアミノ基とのイオン性相互作用により、高分子ゲルの外部に拡散しない(Donnan平衡)。このため、高分子ゲル内部が塩基性に保たれる。

【0020】
【化1】
JP0006399656B2_000002t.gif

【0021】
この性質により、塩基性となった高分子ゲル内にて、下式2に示すように、金属イオンと水酸化物イオンとの反応により、水酸化物が形成される。更に、式3に示すように、水酸化物が分解されて金属酸化物のナノ粒子が合成されると考えられる。

【0022】
【化2】
JP0006399656B2_000003t.gif

【0023】
このように、本実施の形態に係る金属酸化物ナノ粒子の製造方法では、水分子の解離によって生じた水酸化物イオンによって塩基性となった高分子ゲル内部にて、金属イオンが水酸化物を経由して、金属酸化物ナノ粒子の合成が行われるため、引用文献1のように塩基性溶液を必要としない。したがって、高分子ゲルに金属イオンを取り込んだ後に、塩基性溶液に浸漬させる工程が不要であり、製造コストの低下にもつながる。

【0024】
また、高分子ゲルの3次元網目構造により、金属酸化物ナノ粒子の成長や凝集が制限されるため、金属酸化物ナノ粒子の粒径制御が可能になる。

【0025】
上述した主モノマーとして、式4、式5で表される化合物が用いられる。

【0026】
【化3】
JP0006399656B2_000004t.gif

【0027】
式4及び式5中のnは2以上、より好ましくは3以上である。高分子ゲルにおけるアミノ基のプロトン化は、アミノ基(-N(CH)の窒素原子の孤立電子対をプロトン(H)と共有することによって起こる。この孤立電子対は、sp混成軌道に入っており、窒素の原子核からの引力がsp軌道、sp混成軌道より弱いので、カルボニル基が近くにあるとHはカルボニル基に流れ込みやすい。そのため、アルキレン鎖(-(CH-)の長さが短いと(n=0,1)、NがNHになりにくい。nが2以上の場合であり、溶液が酸性でHが豊富に介在する場合では、Hがアミノ基の窒素に作用しやすくなりアミノ基のプロトン化が可能になる。更に、nが3以上であれば、水などの中性溶液においてもアミノ基のプロトン化が生じる。

【0028】
金属イオンを含有する水溶液として、金属塩を水に溶解した水溶液が用いられる。金属塩として、水素イオンよりも酸化還元電位の高い金属イオンと水酸化物イオンよりも陰イオン化傾向が大きい陰イオンとの塩であることが好ましい。

【0029】
水酸化物イオンよりも陰イオン化傾向が小さい陰イオンが介在した場合、金属イオンと水酸化物イオンとの反応が進行しない結果、金属酸化物のナノ粒子が生成されないためである。また、金属イオンは、水素イオンよりも酸化還元電位が大きい金属イオンであれば、金属酸化物のナノ粒子が合成されやすい。

【0030】
また、高分子ゲルとして、上記の主モノマーとアクリルアミド系の架橋剤又はメタクリルアミド系の架橋剤とを共重合させて得られたものを用いてもよい。この場合、主モノマーと架橋剤との配合比が6:4~10:0であることが好ましい。架橋剤が多い場合、後述の実施例に示すように、金属イオンと陰イオンが結晶として析出しやすくなり、金属酸化物のナノ粒子が合成されにくくなるためである。アクリルアミド系の架橋剤として、メチレンビスアクリルアミド等、メタクリルアミド系の架橋剤としてエチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。
【実施例】
【0031】
(実施例1:主モノマー濃度が金属酸化物ナノ粒子の合成に及ぼす影響)
【実施例】
【0032】
(高分子ゲルの合成)
メスフラスコ内に主モノマーであるN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(N,N-dimethylaminopropyl acrylamid(DMAPAA))、架橋材のN,N’-メチレンビスアクリルアミド(N,N’-methylenbisacrylamid(MBAA))、重合促進剤としてテトラメチルエチレンジアミン(N,N,N’,N’-tetraethylmethylendiamine(TEMED))を加え、蒸留水で所定の濃度に調整した。
【実施例】
【0033】
別のメスフラスコ内に開始剤の過硫酸アンモニウム(Ammonium peroxodisulfate(APS))を加えた水溶液を調製した。
【実施例】
【0034】
両水溶液をそれぞれ1時間室温で窒素曝気したのち窒素雰囲気下で素早く混合し、内径6mmのポリプロピレン管に注入して、パラフィルムで密閉した。
【実施例】
【0035】
このポリプロピレン管を温度7℃の恒温水槽で4時間保持し重合を行った。重合により得られたゲルをポリプロピレン管から取り出し、長さ3mmに切断して円柱状の金属酸化物ナノ粒子担持用高分子ゲル(高分子ゲル1~6)を合成した。合成した高分子ゲル1~6の合成に用いた原料を表1に記す。
【実施例】
【0036】
【表1】
JP0006399656B2_000005t.gif
【実施例】
【0037】
(高分子ゲルとナノ粒子の複合体の作製)
高分子ゲル1~6の乾燥体をそれぞれ、0.01mol/Lの銅イオン溶液(0.01mol/L CuSO水溶液)中に浸漬させ(20℃、24時間)、高分子ゲル1~6内部に酸化銅のナノ粒子を合成させ、酸化銅のナノ粒子を含有する高分子ゲル複合体(高分子複合体1~6)を得た。酸化銅のナノ粒子の生成はXRD測定により確認した。
【実施例】
【0038】
図1に、高分子ゲル複合体1,3,6のXRD測定結果を示す。また、図2に、高分子ゲル複合体1~6の写真を示す。
【実施例】
【0039】
図1をみると、高分子ゲル複合体6では、CuOの生成を表すピーク(33°、36°)に現れており、CuOが合成されていることがわかる。また、高分子ゲル3では、CuOの生成を表すピークのほか、Cu(OH)の生成を表すピークが現れている。また、高分子ゲル1では、CuO、Cu(OH)の生成を表すピークはいずれも現れなかった。
【実施例】
【0040】
また、図2をみると、高分子ゲル4~6では、高分子ゲル複合体は黒色であり、CuOが合成されていることがわかった。一方、高分子ゲル2,3では、高分子ゲル複合体は薄青色であり、水酸化銅が生成していることを確認した。また、高分子ゲル複合体1の色は変化がなく、CuO、Cu(OH)のいずれも生成されておらず、水溶液中の銅イオンはそのままであることを確認した。
【実施例】
【0041】
この結果から、架橋剤を用いて得られた高分子ゲルを利用する場合、架橋剤に対し、主モノマーを1.5モル以上加えて得られた高分子ゲルであれば、これを用いて酸化銅のナノ粒子を合成できることがわかった。
【実施例】
【0042】
(実施例2:水溶液中の銅イオン濃度が金属酸化物ナノ粒子の合成に及ぼす影響1)
実施例1と同様の手法で、高分子ゲル7を合成した。高分子ゲル7の合成で用いた原料を表2に示す。
【実施例】
【0043】
【表2】
JP0006399656B2_000006t.gif
【実施例】
【0044】
銅イオン濃度0.01mol/L、0.10mol/Lの硫酸銅水溶液に、高分子ゲル7をそれぞれ浸漬(20℃、24時間)させて、酸化銅ナノ粒子を高分子ゲル7内部で合成させ、酸化銅のナノ粒子を含有する高分子ゲル複合体を得た。そして、酸化銅のナノ粒子の生成をXRD測定により確認した。
【実施例】
【0045】
0.1mol/L水溶液、0.01mol/L水溶液を用いて得られた高分子ゲル複合体のXRD測定結果を図3に、写真を図4に示す。
【実施例】
【0046】
0.01mol/L水溶液では、CuOの生成を示すピークが見られ、CuOの純度が高いことがわかる。一方、0.1mol/L水溶液では、CuOの生成を示すピークのほか、Cu(OH)の生成を示すピークが見られた。
【実施例】
【0047】
高分子ゲル7を用いた場合、硫酸銅水溶液の濃度は、0.1mol/Lよりも0.01mol/Lの方が酸化銅のナノ粒子を得られる結果となった。
【実施例】
【0048】
(実施例3:水溶液中の銅イオン濃度が金属酸化物ナノ粒子の合成に及ぼす影響2)
実施例1と同様の手順で、高分子ゲル8を合成した。高分子ゲル8の合成で用いた原料を表3に示す。
【実施例】
【0049】
【表3】
JP0006399656B2_000007t.gif
【実施例】
【0050】
高分子ゲル8の乾燥体と実施例2で合成した高分子ゲル7の乾燥体を、それぞれ各種濃度の銅イオン水溶液(CuSO水溶液)に浸漬させて(20℃,24時間)、酸化銅ナノ粒子を高分子ゲル7、8内部で合成させ、酸化銅のナノ粒子を含有する高分子ゲル複合体(高分子ゲル複合体7,8)を得た。
【実施例】
【0051】
そして、高分子ゲル複合体7,8中の粒子含有率を熱量測定により求め、高分子ゲルの膨潤度を下式6に基づいて算出した。
【実施例】
【0052】
【数1】
JP0006399656B2_000008t.gif
【実施例】
【0053】
粒子含有率の結果を図5に、膨潤度の結果を図6にそれぞれ示す。高分子ゲル7では、水溶液中の銅イオン濃度が高くなるにつれて粒子含有率が高くなっているが、0.1mol/Lあたりで頭打ちになっている。一方の、高分子ゲル8についても、銅イオン濃度が高くなるにつれて粒子含有率が高くなっているが、0.07mol/Lあたりで頭打ちになっている。
【実施例】
【0054】
図6を見ると、粒子含有率が頭打ちになっている点の銅イオン濃度と膨潤度が低下する点の銅イオン濃度が凡そ一致していることがわかる。銅イオン濃度が濃くなると高分子ゲルが膨潤しなくなり、高分子ゲルが銅イオンを取り込みにくくなるため、粒子含有率が頭打ちになったと考えられる。
【実施例】
【0055】
実施例2、3から、高分子ゲル内の粒子含有率を向上させるためには、銅イオン濃度が高くても膨潤する高分子ゲルを用いるとよく、高分子ゲルを合成する際の主モノマー濃度及び膨潤度に応じ、水溶液の銅イオン濃度を設定する必要がある。
【実施例】
【0056】
(実施例4:種々の銅イオン溶液が金属酸化物ナノ粒子の合成に及ぼす影響)
実施例2で合成した高分子ゲル7を、酢酸銅(Cu(CHCOO))水溶液、塩化銅(CuCl)水溶液、硫酸銅(CuSO)水溶液にそれぞれ浸漬させて(20℃,24時間)、酸化銅ナノ粒子を高分子ゲル7内部で合成させ、酸化銅のナノ粒子を含有する高分子ゲル複合体を得た。なお、それぞれの水溶液の銅イオン濃度は0.1mol/Lである。
【実施例】
【0057】
そして、それぞれの高分子ゲル複合体中の粒子含有率を熱量測定により求めた。また、粒子の結晶子サイズを下式7に基づいて算出した。
【実施例】
【0058】
【数2】
JP0006399656B2_000009t.gif
【実施例】
【0059】
図7に、それぞれのXRD測定結果を示す。また、表4に結晶子サイズ及び粒子含有率を示す。また、図8に、酢酸銅水溶液に浸漬させて得られた高分子ゲル複合体のTEM画像を示す。
【実施例】
【0060】
【表4】
JP0006399656B2_000010t.gif
【実施例】
【0061】
酢酸銅水溶液及び硫酸銅水溶液に高分子ゲル7を浸漬させると、CuOの生成を示すピークが見られ、酸化銅のナノ粒子が合成された。また、硫酸銅水溶液よりも酢酸銅水溶液の方が、小さな粒子が得られるとともに、粒子含有率も高い結果であった。
【実施例】
【0062】
一方で、塩化銅水溶液に浸漬させた場合、CuOの生成を示すピークがみられず、酸化銅は合成されなかった。
【実施例】
【0063】
陰イオン化傾向は、CHCOO>SO2->OH>Clであることから、陰イオン化傾向がOHよりも小さい塩化物イオンと銅イオンの金属塩の水溶液では、塩化物イオンが銅イオンと結合し、塩化銅として結晶化していると考えられる。一方、陰イオン化傾向がOHよりも大きい陰イオンと銅イオンの金属塩の水溶液の場合では、酸化銅ナノ粒子が合成されることがわかった。
【実施例】
【0064】
(実施例5:種々の金属イオン溶液が金属酸化物ナノ粒子の合成に及ぼす影響)
【実施例】
【0065】
主モノマーとしてDMAPAAN、架橋剤としてイソプロピルアクリルアミド(N-Isopropylacrylamide:NIPA)を用い、実施例1と同様の手法で高分子ゲル(高分子ゲル9)を合成した。高分子ゲル9の合成で用いた原料を表5示す。
【実施例】
【0066】
【表5】
JP0006399656B2_000011t.gif
【実施例】
【0067】
この高分子ゲル9と実施例1で合成した高分子ゲル1の乾燥体を、各種硝酸塩水溶液に浸漬(20℃,24時間)させて、各種金属酸化物ナノ粒子を高分子ゲル内部で合成させ、金属酸化物ナノ粒子を含有する高分子ゲル複合体を得た。
【実施例】
【0068】
用いた硝酸塩水溶液は、硝酸銅(Cu(NO)水溶液、硝酸銀(AgNO)水溶液、硝酸鉛(Pb(NO)水溶液、硝酸ニッケル(Ni(NO)水溶液であり、それぞれついて、0.1mol/L、1.0mol/L、5mol/Lに調製して用いた。
【実施例】
【0069】
それぞれの高分子ゲル複合体の写真を図9に示す。硝酸銅水溶液、硝酸銀水溶液の場合は、高分子ゲル複合体は着色されており、高分子ゲル内に微粒子が生成している様子が確認できた。一方、硝酸鉛水溶液、硝酸ニッケル水溶液の場合は、高分子ゲル複合体は着色されておらず、肉眼では微粒子の生成は確認できなかった。
【実施例】
【0070】
酸化還元電位は、Fe<Ni<Pb<H<Cu<Hg<Ag<Auであり、式1に示した高分子ゲルの反応機構から、水素イオンより酸化還元電位の大きい金属イオンの場合は、イオン状態のままとどまり、微粒子化しにくく、水素イオンより酸化還元電位の大きい金属イオンの場合は、イオン化により生じた水酸化物イオン(OH-)と反応し、水酸化物を形成した後、金属酸化物として微粒子化しやすいことがわかった。
【実施例】
【0071】
(実施例6:種々の金属塩の溶液が金属酸化物ナノ粒子の合成に及ぼす影響)
【実施例】
【0072】
AgCl水溶液(9.26mmol/L)、CuNO水溶液(15.7mmol/L)、PbCl水溶液(4.82mmol/L)、SnCl水溶液(8.42mmol/L)、NiCl水溶液(17.0mmol/L)、CdNO水溶液(8.89mmol/L)、MnSO水溶液(18.2mmol/L)
の各種金属塩を水に溶解した水溶液を調製した。
【実施例】
【0073】
実施例2で合成した高分子ゲル7の乾燥体を、上記の各種金属塩を水に溶解した水溶液に浸漬(20℃,24時間)させて、各種金属酸化物ナノ粒子を高分子ゲル内部で合成させ、金属酸化物ナノ粒子を含有する高分子ゲル複合体を得た。
【実施例】
【0074】
高分子ゲル複合体の写真を図10に示す。図10(A)がAgCl水溶液、図10(B)がCuNO水溶液、図10(C)がPbCl水溶液、図10(D)がSnCl水溶液、図10(E)がNiCl水溶液、図10(F)がCdNO水溶液、図10(G)がMnSO水溶液に浸漬させた結果である。
【実施例】
【0075】
水素イオンより酸化還元電位の大きい金属イオンが溶解しているAgCl水溶液、CuNO水溶液に加え、水素イオンより酸化還元電位の小さい金属イオンが溶解しているMnSO水溶液においても、金属酸化物ナノ粒子の形成が見られた。この結果から、水素イオンより酸化還元電位の小さい金属イオンであっても、高分子ゲル中に形成される弱塩基性場で、水酸化物イオンと反応して水酸化物を形成するもので、この水酸化物が熱的に不安定なものであれば、分解、脱水により金属酸化物のナノ粒子が形成されるものと考えられる。
【実施例】
【0076】
(実施例7:高分子ゲル複合体中にて酸化銅ナノ粒子が分散して形成されていることの検証)
【実施例】
【0077】
NaHAsO・7HOを使用し、砒素濃度が20,30,40,80ppmの水溶液を調製した。この水溶液に、実施例2で得られた高分子ゲル複合体7(0.1g)を添加し、室温で24時間、砒素の吸着を行った。比較例1として、高分子ゲル7のみ(0.1g)、比較例として高分子ゲル複合体7(0.1g)に含まれるのと同量の酸化銅ナノ粒子のみを用い、上記と同様の実験を行った。
【実施例】
【0078】
その結果を図11に示す。比較例1(高分子ゲル7のみ)、比較例2(酸化銅微粒子のみ)のそれぞれの砒素の吸着量を合わせたよりも、高分子ゲル複合体7の砒素の吸着量が大きく上回っていることがわかる。これは、酸化銅ナノ粒子が高分子ゲル7内部で分散して形成されており、比表面積が著しく増加したために、吸着量が増加したことを示していると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
塗料や吸着剤等、金属酸化物ナノ粒子が利用され得る種々の分野に利用可能である。
Drawing
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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