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Specification :RNPモチーフを利用した、蛋白質応答型shRNA/RNAi制御システムの構築

Country 日本国特許庁(JP)
Gazette 特許公報(B2)
Patent Number 特許第5405489号 (P5405489)
Date of registration 平成25年11月8日(2013.11.8)
Date of issue 平成26年2月5日(2014.2.5)
Title of the invention, or title of the device RNPモチーフを利用した、蛋白質応答型shRNA/RNAi制御システムの構築
IPC (International Patent Classification) C12N  15/113       (2010.01)
G01N  33/533       (2006.01)
FI (File Index) C12N 15/00 ZNAG
G01N 33/533
Number of claims or invention 9
Total pages 34
Application Number 特願2010-542114 (P2010-542114)
Date of filing 平成21年12月9日(2009.12.9)
International application number PCT/JP2009/070580
International publication number WO2010/067811
Date of international publication 平成22年6月17日(2010.6.17)
Application number of the priority 2008312951
Priority date 平成20年12月9日(2008.12.9)
Claim of priority (country) 日本国(JP)
Date of request for substantive examination 平成23年8月5日(2011.8.5)
Patentee, or owner of utility model right 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
Inventor, or creator of device 【氏名】井上 丹
【氏名】齊藤 博英
【氏名】樫田 俊一
【氏名】林 香倫
Representative 【識別番号】100099623、【弁理士】、【氏名又は名称】奥山 尚一
【識別番号】100096769、【弁理士】、【氏名又は名称】有原 幸一
【識別番号】100107319、【弁理士】、【氏名又は名称】松島 鉄男
【識別番号】100114591、【弁理士】、【氏名又は名称】河村 英文
【識別番号】100118407、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 尚美
【識別番号】100125380、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 綾子
Examiner 【審査官】吉田 知美
Document or reference 長江脩, 外2名,人工RNAi/RNPを用いたヒト癌細胞での翻訳制御システムの構築,第80回日本生化学会大会 第30回日本分子生物学会年会 合同大会講演要旨集,2007年,4P-1321
AN, C.-I. et al.,Artificial control of gene expression in mammalian cells by modulating RNA interference through apta,RNA,2006年,Vol.12, No.5,p.710-716
大野博久, 外5名,RNA-タンパク質相互作用モチーフL7Ae-BoxC/Dを用いたナノスケール構造体の設計および構築,RNAミーティング,2008年 7月23日,Vol. 10th,p.144, P-44
樫田俊一, 外2名,RNP相互作用を用いた蛋白質応答型shRNAシステムの構築とアポトーシス経路の制御,第82回日本生化学会大会プログラム・講演要旨集,2009年 9月25日,4T15a-10
Field of search C12N 15/09、15/113
A61K 48/00
A61P 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/WPIDS/BIOSIS(STN)
Scope of claims 【請求項1】
細胞内で発現する蛋白質に応答するRNAi制御システムであって、
標的配列のmRNAに対して相補的な配列を有するガイド鎖と、該ガイド鎖と二本鎖を形成するパッセンジャー鎖と、該ガイド鎖とパッセンジャー鎖とをつなぐリンカー鎖であって、BoxCD配列を備えるリンカー鎖とを備えるshRNAを発現するベクターを含み、
前記細胞内で発現するL7Ae蛋白質もしくはL7Ae蛋白質を含む融合蛋白質が、前記shRNAに結合することによりDicerによる前記shRNAの切断を阻害する、システム。
【請求項2】
細胞内で発現する蛋白質に応答するRNAi制御方法(人の細胞に対するin vivoでの方法を除く)であって、
細胞内に、標的配列のmRNAに対して相補的な配列を有するガイド鎖と、該ガイド鎖と二本鎖を形成するパッセンジャー鎖と、該ガイド鎖とパッセンジャー鎖とをつなぐリンカー鎖であって、BoxCD配列を備えるリンカー鎖とを備えるshRNAを発現するベクターを導入する工程を含み、
前記細胞内で発現するL7Ae蛋白質もしくはL7Ae蛋白質を含む融合蛋白質が、前記shRNAに結合することによりDicerによる前記shRNAの切断を阻害する、方法。
【請求項3】
前記shRNAの標的配列が、Bcl-xLのmRNAである、請求項1に記載のRNAi制御システムであって、アポトーシス制御蛋白質を発現制御するRNAi制御システム。
【請求項4】
標的配列のmRNAに対して相補的な配列を有するガイド鎖と、該ガイド鎖と二本鎖を形成するパッセンジャー鎖と、該ガイド鎖とパッセンジャー鎖とをつなぐリンカー鎖であって、BoxCD配列を備えるリンカー鎖とを備えるshRNAであって、
細胞内で発現するL7Ae蛋白質もしくはL7Ae蛋白質を含む融合蛋白質に応答して、Dicerによる前記shRNAの切断を阻害し、前記標的配列のmRNAによりコードされる蛋白質の発現を制御するshRNA。
【請求項5】
前記L7Ae蛋白質もしくはL7Ae蛋白質を含む融合蛋白質を細胞内で発現するベクターをさらに含む、請求項1に記載のRNAi制御システム。
【請求項6】
前記shRNAの標的配列が、GFPのmRNAである、請求項1に記載のRNAi制御システム。
【請求項7】
前記shRNAの標的配列が、Bcl-xLのmRNAである、請求項2に記載のRNAi制御方法であって、アポトーシス制御蛋白質を発現制御するRNAi制御方法。
【請求項8】
前記細胞内に、前記L7Ae蛋白質もしくはL7Ae蛋白質を含む融合蛋白質を該細胞内で発現するベクターを導入する工程をさらに含む、請求項2に記載のRNAi制御方法。
【請求項9】
細胞を破壊することなく、細胞内マーカー蛋白質の発現を定量する方法であって、
GFPのmRNAに対して相補的な配列を有するガイド鎖と、該ガイド鎖と二本鎖を形成するパッセンジャー鎖と、該ガイド鎖とパッセンジャー鎖とをつなぐリンカー鎖であって、BoxCD配列を備えるリンカー鎖とを備えるshRNAが導入された細胞の、GFPの蛍光強度を観測する工程を含む方法。
Detailed description of the invention 【技術分野】
【0001】
本発明は、RNPモチーフを利用した、蛋白質応答型shRNA/RNAi制御システムの構築に関する。
【背景技術】
【0002】
RNA干渉(以下、RNAiと記載する)はmRNAを配列特異的に切断することで翻訳を一過的に抑制する現象で、short hairpin RNA(以下、shRNAと記載する)などの二重鎖RNAを導入することでこのRNAiを引き起こす、ノックダウンという手法が様々な生物種で確立されている。RNAiは、発見から10年という短期間で、遺伝子発現を一過的に抑制する簡便、かつ強力な手法として、治療法への検討を含め、広く普及してきている。しかし、そのメカニズムや導入技術については、現在も発展途上である。また、現時点では、ノックダウンを強く効かせるための研究や、目的の部位へRNAを運ぶデリバリー技術の開発が中心である。
【0003】
Chung等は、shRNAのループ部分に、カフェイン様の低分子化合物として知られているtheophyllineの結合部位を導入した人工RNAを作製し、theophyllineの濃度依存的にRNAiが阻害されることを示した(非特許文献1を参照。)。

【非特許文献1】Chung-Il An,Vu B.Trinh,and Yohei Yokobayashi,RNA,May 2006;12:710-716
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、阻害剤にRNAやタンパク質を用いた翻訳制御機構を新たに設計、作製し、生体内にこのような人工翻訳制御システムを組み込むことを目的として、RNPを利用したRNAi制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、一実施の形態によれば、shRNAであって、標的配列に対して相補的な配列を有するガイド鎖と、該ガイド鎖と二本鎖を形成するパッセンジャー鎖と、該ガイド鎖とパッセンジャー鎖とをつなぐリンカー鎖とを備えるshRNAであって、該リンカー鎖が、RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列を備えるshRNAに関する。本明細書において、かかるshRNAを、センサーshRNAとも呼ぶ、
前記RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列が、Box C/D配列であることが好ましい。
【0006】
本発明は、別の側面によれば、RNAi制御システムであって、上記センサーshRNAと、該shRNAの蛋白質結合モチーフ配列に特異的に結合するRNP由来の蛋白質とを含んでなる。
【0007】
本発明は、別の側面によれば、RNAi制御システムであって、上記センサーshRNAを発現するベクターと、該shRNAの蛋白質結合モチーフ配列に特異的に結合するRNP由来の蛋白質を発現するベクターとを含んでなる。
【0008】
本発明は、また別の側面によれば、RNAiの制御方法であって、上記センサーshRNAと、該shRNAの蛋白質結合モチーフ配列に特異的に結合するRNP由来の蛋白質とを溶液中で接触させる工程と、該shRNAと蛋白質とを含む溶液を、細胞内に導入する工程とを含む方法に関する。
【0009】
本発明のさらにまた別の側面によれば、RNAiの細胞内制御方法であって、細胞内に、上記センサーshRNAを発現するベクターを導入する工程と、該細胞と同一の細胞内に、該shRNAの蛋白質結合モチーフ配列に特異的に結合するRNP由来の蛋白質を発現するベクターを導入する工程と、該shRNAを発現するベクターと、該蛋白質を発現するベクターとを発現させる工程とを含む。
【0010】
本発明のさらにまた別の側面によれば、細胞内で発現する蛋白質に応答するRNAi制御システムであって、上記センサーshRNAであって、RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列が該細胞内で発現する蛋白質に特異的に結合する配列であるshRNA、または該shRNAを発現するベクターを含むシステム、及び細胞内で発現する蛋白質に応答するRNAi制御方法であって、細胞内に、上記センサーshRNAであって、RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列が該細胞内で発現する蛋白質に特異的に結合する配列であるshRNA、または該shRNAを発現するベクターを導入する工程を含む方法を提供する。
本発明のさらにまた別の側面によれば、アポトーシス制御蛋白質を発現制御するRNAi制御システムであって、前記shRNAの標的配列が、Bcl-xLのmRNAである、RNAi制御システム、及び、前記shRNAを用いた人工蛋白質情報変換システムであって、前記RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列に特異的に結合する蛋白質の情報を、前記shRNAの標的配列となるRNAによりコードされる蛋白質の情報に変換する人工蛋白質情報変換システムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、上記センサーshRNAを用いれば、該shRNAに特異的に結合する蛋白質に依存して、RNAiを抑制するように制御することが可能になる。これは、上記センサーshRNAが存在すれば、特定の蛋白質を入力信号として用いることで、特定のmRNAにおけるRNAiを抑制し、その特定のmRNAが発現する蛋白質量を相対的に増加させることができることを意味する。本発明に係るセンサーshRNAと、特定の蛋白質との組み合わせを用いることで、細胞を破壊することなく、細胞内マーカー蛋白質の発現を定量するバイオセンサーや、マーカー蛋白質の発現量に応じて目的蛋白質の翻訳を活性化できる、人工遺伝子回路の構築に有用である。たとえば、癌マーカー蛋白質の発現に応じて、アポトーシス誘導蛋白質を活性化することで、癌やアルツハイマーなどの疾病治療につながるという大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、第一実施形態によるshRNAを模式的に示す図である。
【図2】図2中、(A)は、第二実施形態によるRNAi制御システムを構成するshRNAを模式的に示す図であり、(B)は、第二実施形態によるRNAi制御システムを構成するRNP由来の蛋白質4を模式的に示す図であり、(C)はshRNAと、蛋白質4が共存する系におけるshRNAと、蛋白質4との複合体を、模式的に示す図である。
【図3】図3中、(A)は、invitrogenにより販売されている、pENTR(商標)/H1/TOベクターを示す図であり、(B)は、pENTR(商標)/H1/TOベクターに挿入するDNA二本鎖を模式的に示す図である。
【図4】図4は、蛋白質発現ベクターの作製例を示す図である。
【図5】図5中、(A)は、EGFPノックダウン用のshRNA-GFPの二次構造配列を示す図であり、(B)は、EGFPのノックダウンを起こさないネガティブコントロールとして用いられるshRNA-GFP-mutの二次構造配列を示す図であり、(C)は、L7Ae蛋白質とBoxC/D配列で特異的に結合することが期待されるshRNA-BoxC/D-GFPの二次構造配列を示す図であり、(D)は、L7Aeと結合しないshRNA-BoxC/D-mut-GFPの二次構造配列を示す図である。(A)~(D)において、楔形は、Dicerによる切断位置である。
【図6】図6は、ゲルシフトアッセイによるshRNA-GFP、shRNA-boxC/D-GFP、及びshRNA-boxC/D mut-GFPと、L7Aeとの結合を示す図である。
【図7】図7は、in vitro再構成Dicer系を用いたshRNA-boxC/D-GFPのL7AeによるDicer切断阻害の結果を示す図である。
【図8】図8は、RT-PCR解析による、L7AeによるRNAi阻害の結果を示すグラフである。
【図9】図9は、FACS解析による、L7AeによるRNAi阻害の結果を示すグラフである。
【図10】図10は、実施例2において、細胞内のGFPの蛍光画像と位相差画像を重ね合わせた画像である。
【図11】図11は、実施例2におけるFACS解析による蛍光強度分布の結果を示すグラフである。
【図12】図12は、AsRed2-L7AeによるshRNA-Box C/D-GFPのノックダウン機能抑制効果を示す、EGFPの蛍光画像である。
【図13】(A)は、BclxLノックダウン用のshRNA-BclxLの二次構造配列を示す図であり、(B)は、L7Ae蛋白質とBoxC/D配列で特異的に結合することが期待されるshRNA-BoxC/D-BclxLの二次構造配列を示す図であり、(C)は、L7Aeと結合しないshRNA-BoxC/D mut-BclxLの二次構造配列を示す図である。(A)~(C)において、楔形は、Dicerによる切断位置である。
【図14】図14は、in vitro再構成Dicer系を用いたshRNA-BoxC/D-Bcl-xL、及びshRNA-BoxC/D mut-Bcl-xLのL7AeによるDicer切断阻害の結果を示す図である。
【図15】図15は、細胞内でのBcl-xL発現を示す図である。
【図16】図16は、検出したBcl-xLのバンドの強度を積算した結果を示す図である。
【図17】図17は、細胞内でのBcl-xL発現を示す図である。
【図18】図18は、検出したBcl-xLのバンドの強度を積算した結果を示す図である。
【符号の説明】
【0013】
1 ガイド鎖
2 リンカー鎖
20 ベース配列
21 蛋白質結合モチーフ配列
3 パッセンジャー鎖
4 蛋白質
a Dicer切断位置
b Dicer切断位置
1d ガイド鎖をコードするDNA配列
2d リンカー鎖をコードするDNA配列
3d パッセンジャー鎖をコードするDNA配列
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を、実施形態を挙げて詳細に説明する。しかし、以下の説明は本発明を限定するものではない。
【0015】
近年、生体内で機能する様々なノンコーディングRNAが発見され、その役割に注目が集まっている。しかしながらこれらRNAは生体内で多くの場合、蛋白質と複合体(RNP)を形成している。このことから、人工RNPは、細胞機能を制御できる新しいナノブロックとして期待されている。天然に存在するRNPは、比較的短い配列から構成されるRNA-蛋白質相互作用モチーフ(RNP motif)を利用して、多くの複合体を形成していることがわかる。例えばHIV Rev蛋白質は、Revを認識するRNAモチーフと、高い親和性で相互作用している。したがってRNPは、シンセティックバイオロジー(生体分子を人工的に創り出す作業を通して生体分子や生命システムを再構築し、新しいテクノロジーを誘発する分野)研究の素材としての利用が期待されている。
【0016】
本願発明者らは、細胞内で発現する蛋白質に応答して、目的蛋白質の翻訳を制御するシステムを開発するために、このRNA-蛋白質相互作用モチーフを利用して、RNA干渉を制御し、これにより目的蛋白質の翻訳を制御することを考え、本発明を完成するに至った。
【0017】
本発明は、第一実施形態によれば、shRNAであって、標的配列に対して相補的な配列を有するガイド鎖と、該ガイド鎖と二本鎖を形成するパッセンジャー鎖と、該ガイド鎖とパッセンジャー鎖とをつなぐリンカー鎖とを備えるshRNAであって、該リンカー鎖が、RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列を備える。
【0018】
第一実施形態によるshRNAを図1に模式的に示す。第一実施形態によるshRNAは、3’側から順に、ガイド鎖1と、リンカー鎖2と、パッセンジャー鎖3とから構成される。リンカー鎖2は、その配列中に、RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列21を有する。
【0019】
ガイド鎖1は、shRNAにおいて、3’末端に位置する、約21塩基~26塩基のRNA塩基配列である。ガイド鎖1は、制御の対象とするmRNAの特定配列(以下、標的配列という)に相補的な配列を有し、制御の対象とするmRNAは、その目的によって、当業者が適宜選択することができる。例えば、アポトーシス誘導遺伝子のmRNA、アポトーシス抑制遺伝子のmRNA、癌マーカー遺伝子のmRNA等が挙げられるが、これらには限定されない。さらに具体的には、GFPのmRNA、BimELのmRNA、Bcl-xLのmRNA等が挙げられる。また、これらのmRNAにおいて、どの配列を標的配列とするかは、オフターゲット効果を抑制し、標的遺伝子がより効率良く発現抑制されることに留意して、その一次遺伝子配列の構成と種類の情報に基づき設計ソフトを利用して、当業者が適宜選択することができる。なお、ガイド鎖は、標的配列に対し、完全に相補的である必要がある。RNAiの作用を生じさせるためである。ガイド鎖1の3’末端の少なくとも2塩基は、パッセンジャー鎖と相補鎖を組まない、オーバーハング配列になっている。なお、ガイド鎖1は、Dicerにより切断された後に、siRNAとなる部分である。
【0020】
パッセンジャー鎖3は、shRNAの5’末端に位置する、約21塩基~26塩基のRNA塩基配列である。パッセンジャー鎖3が例えば21塩基の場合、パッセンジャー鎖3のうち、3’側から3塩基目から21塩基目までは、ガイド鎖1の3’側から3塩基目から21塩基目までと相補鎖を形成する配列を有する。パッセンジャー鎖3が21塩基からなる場合、通常、ガイド鎖も21塩基から構成される。なお、パッセンジャー鎖3とガイド鎖1を構成する塩基数が、22、23、24、25、26のいずれの場合であっても、パッセンジャー鎖3とガイド鎖5との塩基数は通常等しく、また、図1に示すように、パッセンジャー鎖3の3’末端3塩基目から5’末端の塩基までと、ガイド鎖1の5’末端の塩基から3’側末端手前3塩基目までとが相補鎖を形成する配列を有する。この場合、パッセンジャー鎖には、ガイド鎖とのあいだに、1塩基~2塩基のミスマッチが入ることも許容されうる。パッセンジャー鎖3は、Dicerにより切断された後に、3’端に少なくとも2塩基の、ガイド鎖1の一部とも、リンカー鎖の一部とも相補鎖を形成しないオーバーハング配列を有する。なお、パッセンジャー鎖3も、Dicerにより切断された後に、siRNAとなる部分である。
【0021】
リンカー鎖2は、ガイド鎖1とパッセンジャー鎖3とのリンカーの役割を果たす。リンカー鎖2は、ガイド鎖1の5’側であって、パッセンジャー鎖3の3’側に結合している。別の表現でいえば、リンカー鎖2は、Dicerによる切断後に、ガイド鎖1およびパッセンジャー鎖3から切り離される部分であるともいえる。なお、リンカー鎖2は、本願発明にかかるセンサーshRNAにおいて、図示するように、ハイブリダーゼーションしていないループ部分の主要部を構成しているが、ハイブリダーゼーションしていないループ部分の一部は、パッセンジャー鎖3の3’末端の一部に由来する場合もある。あるいは、図示はしないが、リンカー鎖2は、ハイブリダーゼーションしていないループ部分のすべてを構成し、かつリンカー鎖2の3’末端の数塩基と、リンカー鎖2の5’末端の数塩基とがハイブリダーゼーションして、ヘアピン構造のステム部分の一部を形成している場合もある。
【0022】
リンカー鎖2は、ベース配列20と、RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列21とから構成される。ここで、ベース配列20とは、本願発明において、リンカー鎖を構成する配列の一部であって、RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列21由来ではない部分をいう。リンカー鎖2は、別の形態としては、RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列21のみから構成されてもよい。リンカー鎖2が、ベース配列20と、RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列21とから構成される場合にも、リンカー鎖2が、RNP由来の蛋白質結合モチーフ配列21のみから構成される場合にも、リンカー鎖2は、その配列内に相補鎖を形成しない配列を有し、その配列がshRNAのループ部分を構成する。相補鎖を形成しない配列は、4~20塩基、好ましくは、4~11塩基で、塩基の種類は問わない。直接相補鎖を形成しない配列の好ましい一例としては、5’-AGCAUAG-3’、5’-GAAA-3’が挙げられるが、これらには限定されない。
【0023】
リンカー鎖2の3’末端の2塩基は、パッセンジャー鎖3の3’末端の2塩基と相補鎖を形成する。さらに、リンカー鎖2の3’末端の3~7塩基目と、リンカー鎖2の5’末端の1~4塩基とが相補鎖を形成してもよい。この場合、相補鎖を形成する塩基数は4塩基となるが、4塩基には限定されず、1~8塩基の間で決定することができる。
ベース配列20に、蛋白質結合モチーフ配列21が導入される場合、蛋白質結合モチーフ配列21の導入位置としては、限定されるものではないが、後に述べるDicerによる認識が保持される範囲であればよい。また、ベース配列を含まない場合には、蛋白質結合モチーフ配列21を直接、ガイド鎖1及びパッセンジャー鎖3に結合することができる。
【0024】
ここで、蛋白質結合モチーフ配列21とは、RNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ(RNPモチーフ)由来の塩基配列、あるいは当該塩基配列に変異を挿入した塩基配列が挙げられる。本発明において、RNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来の塩基配列とは、天然の、既知のRNA-蛋白質複合体における、RNAと蛋白質との相互作用モチーフの、RNA側の配列として知られている塩基配列と、試験管内進化法により得られた人工的なRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフにおけるRNA側の配列である塩基配列とが含まれる。RNA-蛋白質複合体とは、生体において多数確認されている蛋白質とRNAとの会合体であり、複雑な構造を持つ3Dオブジェクトである。天然のRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来の塩基配列は、通常、約10~80塩基で構成されており、特定の蛋白質の特定のアミノ酸配列と、非共有結合的に、すなわち水素結合により、特異的な結合を形成することが知られている。このような天然のRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来の塩基配列は、以下の表1及び表2、及びウェブサイト上で利用できるデータベース:http://gibk26.bse.kyutech.ac.jp/jouhou/image/dna-protein/rna/rna.htmlから選択することができる。本実施形態において好ましく用いられるRNA-蛋白質相互作用モチーフ由来の塩基配列である蛋白質結合モチーフ配列21は、shRNAに組み込まれたときに、以下に詳述するDicerに認識され、RNAiが生じうる配列である。立体構造条件的には、非天然塩基対を含む特徴的なRNA3次構造を形成し、さらにその箇所に結合する蛋白質との特異性が高いことが好ましい。また、RNA-蛋白質相互作用モチーフのKdが、約0.1nM~約1μM程度のものが好ましいが、かかるKdの範囲には限定されない。
【0025】
【表1】
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【0026】
【表2】
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【0027】
人工のRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来の塩基配列とは、人工的に設計したRNA-蛋白質複合体における、RNAと蛋白質との相互作用モチーフの、RNA側の塩基配列である。このような塩基配列は、通常、約10~80塩基で構成されており、特定の蛋白質の特定のアミノ酸配列と、非共有結合的に、すなわち水素結合により、特異的な結合を形成するように設計する。このような人工的なRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来の塩基配列としては、アポトーシス誘導蛋白質Bcl-2ファミリーに特異的に結合するRNAアプタマーや、がん細胞表面抗原を特異的に認識するRNAアプタマーなどが挙げられるが、これらには限定されない。また、以下の表3に挙げる塩基配列もしられており、これらもまた本発明のRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来の塩基配列2として用いることができる。
【0028】
【表3】
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【0029】
人工のRNA-蛋白質複合体は、分子デザイン方法と試験管内進化法を併用することで、作成することができる。試験管内進化法では、様々な配列多様性をもつ分子ライブラリーから、機能性RNAを選別し、その遺伝子(DNA)を増幅、転写するといった反応を繰り返すことで、アプタマーやリボザイムを得ることができる。従って、分子デザインであらかじめ目的の機能構造をもったRNPに適応したRNA-蛋白質相互作用モチーフを天然RNP分子から抽出、または試験管内進化法により人工的に作成することが可能となる。本実施形態において、RNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来の塩基配列2は、その塩基配列の由来となるRNA-蛋白質複合体の解離定数Kdが、約0.1nM~約1μM程度であるものが好ましい。具体的な蛋白質結合モチーフ配列21としては、RNAのメチル化やシュードウリジン化といったRNA修飾に関わることが知られているL7Ae(配列番号1)(Moore T et al., Structure Vol. 12, pp. 807-818 (2004))が結合する塩基配列であるBoxCD配列、5’-GGGCGUGAUGCGAAAGCUGACCC-3’(配列番号2)が挙げられる。
【0030】
本実施形態によるshRNAの構成は、分子設計により得ることができる。例えば、天然の、または非天然の既知のshRNAの配列に基づいて、リンカー鎖を形成する配列部分に、蛋白質結合モチーフ配列を導入することにより、あるいは、天然の、または非天然の既知のshRNAの配列に基づいて、リンカー鎖を形成する配列部分を蛋白質結合モチーフ配列で置換することにより、本実施形態のセンサーshRNAを得ることができる。この際、Dicer蛋白質の機能を阻害できるように、目的のRNPを適切に配置させることに留意して、蛋白質結合モチーフ配列の種類、導入位置を決定することができる。
【0031】
あるいは、所望の標的配列に合わせてガイド鎖の塩基配列を決定し、コンピュータ分子モデリングにより、リンカー鎖、パッセンジャー鎖をデザインすることができる。この際、ガイド鎖とパッセンジャー鎖が正しく二重鎖構造を形成することに留意する。
【0032】
第一実施形態によるshRNAは、pH6.5~8.0、温度が4~42℃、好ましくは、pH7.3~7.5、温度4~37℃の生理条件において、図1に示す、ヘアピン構造を形成して安定に存在する。第一実施形態によるshRNAがこの形態で生体内に存在するとき、shRNAは、二本鎖RNA切断酵素であるDicerによって認識される。そして、shRNAは、図1中の楔a位置及び楔b位置で切断されて、末端2塩基が突出した、各ストランドの長さが約19~24塩基程度の二本鎖RNAを生じる。その結果、RLCからRISCへと、標的mRNAに相補的なガイドRNAの受け渡しがされて、制御の対象とするmRNAの切断による翻訳抑制をすることができる。
【0033】
このように、第一実施形態によるshRNAは、図示する形態、すなわち、蛋白質結合モチーフ配列21に特定の蛋白質が結合していない形態においては、天然において知られているshRNAと同じ機能をすることを特徴とする。
【0034】
次に、本発明は、第二実施形態によれば、RNAi制御システムであって、第一実施形態に記載したshRNAと、該shRNAの蛋白質結合モチーフ配列に特異的に結合するRNP由来の蛋白質とを含んでなる。
【0035】
図2の(A)に、本実施形態によるRNAi制御システムを構成するshRNAを、(B)に、RNP由来の蛋白質4を模式的に示す。shRNAは、第一実施形態において説明したとおりであり、ここでは説明を省略する。図1と同一の符号は、同一の構成を指称するものとする。
【0036】
図2(B)に示す蛋白質4は、RNP由来であって、shRNA上の蛋白質結合モチーフ配列21に特異的に結合する蛋白質である。よって、この蛋白質4は、蛋白質結合モチーフ配列21として選択される配列特異的に決定することができる。具体的には、蛋白質結合モチーフ配列21として、Box C/D(配列番号2)が選択される場合に、蛋白質4は、L7Ae(配列番号1)である。蛋白質4は、また、蛋白質結合モチーフ配列21に特異的に結合する蛋白質を含む融合蛋白質であってもよく、蛋白質結合モチーフ配列21に特異的に結合する蛋白質に追加のペプチドが加わったものであってもよい。以下に述べるDicerによる認識を阻害することができればよいからである。
【0037】
本実施形態によるshRNAは、図2(A)に示す状態で、蛋白質4が存在しないときには、第一実施形態で説明したように、天然において知られているshRNAと同じように機能し、RNAiを生じて、特定のmRNAの翻訳機能を抑制する。
【0038】
次に、本実施形態によるshRNAと、蛋白質4が共存する系における、これらの分子の状態について説明する。shRNAと、蛋白質4が共存する系におけるshRNAと、蛋白質4を、図2(C)に模式的に示す。pH6.5~8.0、温度が4~42℃、好ましくは、pH7.0~7.5、温度4~37℃の生理条件において、shRNAと、蛋白質4とは特異的に結合し、RNP複合体を形成して安定に存在している。
【0039】
本実施形態においては、shRNA上の蛋白質結合モチーフ配列21と蛋白質4とが特異的に結合し、RNPを形成するときに、Dicerが、RNPを形成したshRNAを認識することができないことを特徴とする。その結果として、Dicerは、shRNAを切断することができない。すると、RNAiの次のステップに進むことができず、制御の対象とするmRNAの切断もできなくなる。言い換えると、本実施形態によるshRNAに、蛋白質4を共存させると、RNAiを抑制することができる。また、この形態は、蛋白質4を入力情報として、RNAiの抑制という出力が得られるともいうことができる。
【0040】
ここで、shRNAと、蛋白質4が共存する系とは、shRNAの分子と、蛋白質4の分子とをそれぞれ別個に調製して培地中で混合する場合であってもよい。あるいは、shRNA分子を発現するベクターをデザインし、蛋白質4の分子を発現するベクターをデザインし、これらのベクターを同一の細胞中で導入し、発現させることにより、shRNAと、蛋白質4が共存する系を実現することもできる。ベクターのデザインについては、後述する実施例において詳述する。
【0041】
本発明の第二実施形態によるRNAi制御システムによれば、蛋白質特異的にshRNAによるRNAiの抑制を実施することができる。
【0042】
次に、本発明は、第三実施形態によれば、RNAiの制御方法であって、第一実施形態に記載のセンサーshRNAと、該shRNAの蛋白質結合モチーフ配列に特異的に結合するRNP由来の蛋白質とを溶液中で接触させる工程と、該shRNAと蛋白質とを含む溶液を、細胞内に導入する工程とを含む方法に関する。本実施形態において用いるセンサーshRNAと、蛋白質との組み合わせは、第一実施形態及び第二実施形態に基づいて選択し、それぞれの配列を決定することが出来る。
【0043】
[センサーshRNAのin vitro合成]
ここで、センサーshRNAは、in vitro転写と呼ばれる、試験管内合成法により、得ることが出来る。shRNAの鋳型となる配列の3’末端に、19塩基のT7プロモーター配列のアンチセンス配列(TATAGTGAGTCGTATTAGC配列番号3)を結合した一本鎖DNAを人工合成し(北海道システムサイエンス)、これと同様に人工合成した19塩基のT7プロモーター配列(GCTAATACGACTCACTATA(配列番号4))を会合させる。これに、具体的には実施例に詳述するの通りに、リボ核酸や塩類とT7RNAポリメラーゼを混合して37℃で反応させることにより、得られる。
【0044】
[蛋白質の製造]
いっぽう、蛋白質は、当該蛋白質を発現するベクターを作成し、大腸菌を用いて発現させた後に精製して得ることができる。例えば、配列番号1で表されるbox-C/Dモチーフに特異的に結合する蛋白質であるL7Ae(配列番号2)を発現するベクターを、NucleicAcidResarch,2003,Vol.31,No.3 869-877を参照して作成することができる。大腸菌でL7Ae(配列番号2)を発現するベクターの一例を、配列番号5に示す。
【0045】
本実施形態において、接触させる工程は、上記のようにして調製したセンサーshRNAと、蛋白質とを同一の溶液系にて混合することによる。shRNAと、蛋白質との混合は、pH6.5~8.0、温度が4~42℃、好ましくは、pH7.3~7.5、温度4~37℃の生理条件において行う。これにより、shRNAと蛋白質とが特異的に相互作用し、RNP複合体を形成する。
【0046】
この条件に加えて、Dicer、ATP、Mgイオンが存在し、かつ適切生理条件下において、RNAiの抑制が生じる。よって、接触させる工程により、混合して、センサーshRNAと、蛋白質とのRNP複合体を形成させた後、細胞内に導入する工程を実施することができる。細胞内へ導入するRNP複合体の濃度は、例えば、shRNAが1nM~40nM、好ましくは1nM~20nMとする場合、その際の蛋白質濃度は1~10倍程度が好ましいが、この濃度範囲には限定されない。細胞内への導入方法は、リポソームを用いたトランスフェクションにより行うことができるが、これに限定されず、当業者には公知の細胞内導入方法によることができる。
【0047】
RNP複合体が細胞内に導入された後、Dicerが存在する細胞内では、第一実施形態において図2を用いて説明した現象が生ずる。すなわち、調製したセンサーshRNAと、蛋白質との複合体では、DicerによりRNA切断箇所が認識されず、shRNAの切断が生じない。そして、ガイド鎖に相補的なmRNAにおいて、RNAiが生じず、かかるmRNAがコードする蛋白質の発現が阻害されることとなる。
【0048】
本発明の第三実施形態によれば、in vitroで、RNAiの抑制を実施することが出来る。
第三実施形態の応用形態として、蛋白質を単独で細胞に直接投与することができる。この応用形態は、蛋白質を細胞に導入した後に、細胞内でセンサーshRNAと、蛋白質とのRNP複合体を形成させる点で、RNP複合体を形成させてから細胞に導入する第三実施形態と異なる。この場合、センサーshRNAは、蛋白質を細胞に導入する前に、あるいは蛋白質を細胞に導入した後に、細胞に導入することができる。蛋白質導入前の場合は、shRNAを発現するベクターを細胞に導入し、このベクター内のshRNAの発現がテトラサイクリンなどの低分子で制御できるようにデザインする。この方法では、蛋白質導入後に、テトラサイクリンでshRNAを発現させることができる。蛋白質導入後の場合は、細胞にダイレクトにshRNAを導入してもいいし、細胞にshRNAを発現するベクターを導入してもよい。細胞に導入された蛋白質は、センサーshRNAと、RNP複合体を形成し、細胞内で目的遺伝子の発現をRNAiで制御することが可能になり、蛋白質医薬の開発や、癌などの疾病治療に有効と思われる。
【0049】
本発明は、第四実施形態によれば、RNAiの細胞内制御方法であって、細胞内に、第一実施形態に記載のshRNAを発現するベクターを導入する工程と、該細胞と同一の細胞内に、該shRNAの蛋白質結合モチーフ配列に特異的に結合するRNP由来の蛋白質を発現するベクターを導入する工程と、該shRNAを発現するベクターと、該蛋白質を発現するベクターとを発現させる工程とを含む方法に関する。
【0050】
センサーshRNAを発現するベクターは、第一実施形態で説明したように決定されたセンサーshRNAの一次構造配列に基づいて、作成することができる。図3に、ベクターの作製法の一例を示す。図3(A)は、invitrogenにより販売されている、pENTR(商標)/H1/TOベクター(配列番号8)である。図3(A)の矢印で示す箇所に、本発明のshRNAをコードするDNA配列を挿入する。図3(B)に挿入するDNA二本鎖を模式的に示す。図3(B)中、上に表示してある鎖においては、5’側から順にオーバーハング配列CACC、ガイド鎖をコードするDNA配列1d、リンカー鎖をコードするDNA配列2d、パッセンジャー鎖をコードするDNA配列3dが位置する。下に表示してあるDNA鎖は、上に表示してある鎖の相補鎖で、5’側にオーバーハング配列AAAAが位置する。このように、市販のプラスミドに所望の配列を挿入することにより、当業者であれば、所望のセンサーshRNAを産生するプラスミドを作製し、所望のセンサーshRNAを得ることができる。
【0051】
蛋白質発現ベクターの作製は、哺乳類発現用のベクターに、発現させたい蛋白質をコードするDNA配列を組み込むことにより作成することができる。図4に、ベクターの作製例を示す。ここで図示するベクターは、配列番号1で表されるbox-C/Dモチーフに特異的に結合する蛋白質であるL7Ae(配列番号2)を発現するベクターである。配列を配列番号6に示す。このようなベクターは、NucleicAcidResarch,2003,Vol.31,No.3 869-877を参照し、ここから遺伝子を抽出して、哺乳類発現ベクターに組み換えることができる。このベクターは、invitrogenから市販されている、pcDNA3.1(+)myc His Aベクター(配列番号7)を用いて作製することができる。
【0052】
本実施形態においては、該shRNAを発現するベクターと、該蛋白質を発現するベクターとを同一の細胞内に導入し、発現させることを特徴とする。導入する工程は、トランスフェクションにより実施することができる。例えば、リポソームを用いたトランスフェクション、ダイレクトインジェクション、エレクトロポレーション、レンチウィルス導入法等が挙げられるが、これらには限定されない。細胞内に導入するshRNA発現ベクター及び蛋白質発現ベクターの量は、目的により異なるが、例えば、shRNA発現ベクターに対して、L7Ae蛋白質発現ベクターが1/4倍量~10倍量、好ましくは1倍量~4倍量である。
【0053】
第四実施形態によれば、細胞内において、shRNAと蛋白質を発現させ、RNAiを抑制することができる。この応用形態としては、例えば癌の治療が挙げられる。また、本実施形態で用いるセンサーshRNAを発現するベクターと、蛋白質発現ベクターとを組み合わせて、RNAi制御システムとすることもできる。
【0054】
応用形態として、図1、2に示される蛋白質結合モチーフ配列に特異的に結合する蛋白質が、例えば、癌のみで発現する生体分子であり、ガイド鎖の標的配列がアポトーシス促進遺伝子であるように、shRNAを設計することができる。このとき、癌細胞にshRNAを直接、あるいはベクターで導入すれば、癌細胞内で、癌のみで発現する生体分子とshRNAとがRNP複合体を形成し、Dicerによって認識されなくなる。そして、癌細胞では、アポトーシス促進遺伝子のRNAiが抑制される結果、アポトーシス促進遺伝子が選択的に発現されて、癌細胞のアポトーシスが促進されることとなる。いっぽうで、正常細胞では、同じshRNAが直接、あるいはベクターで導入されても、癌のみ発現する生体分子が存在しないから、RNAiは抑制されない。それゆえ、アポトーシス促進遺伝子の発現がRNAiにより抑制されることになる。
【0055】
また、この形態の変形として、図1、2に示される蛋白質結合モチーフに特異的に結合する蛋白質が、例えば、癌化すると発現しなくなる生体分子であり、ガイド鎖の標的配列がアポトーシス抑制遺伝子であるように、shRNAを設計することができる。このとき、正常細胞にshRNAを直接、あるいはベクターで導入すれば、正常細胞内で、癌化すると発現しなくなる生体分子と、shRNAとがRNP複合体を形成し、Dicerによって認識されなくなる。そして、正常細胞では、アポトーシス抑制遺伝子のRNAiが抑制される結果、アポトーシス抑制遺伝子が選択的に発現されて、正常細胞のアポトーシスが抑制されることになる。いっぽうで、癌細胞では、同じshRNAが直接、あるいはベクターで導入されても、癌化すると発現しなくなる生体分子が存在しないから、RNAiは抑制されない。それゆえ、アポトーシス抑制遺伝子の発現がRNAiにより抑制されることになる。
【0056】
さらに、L7Aeを利用した癌制御システム系の構築も可能である。このような癌関連の蛋白質を発現するプロモーターと同じプロモータをL7Ae蛋白質発現ベクターの上流に組み込むことで、癌関連蛋白質の発現に応答して、L7の発現を調節させ、Box C/Dをリンカー鎖に組み込んだアポトーシス制御型センサーshRNAのRNAi機能を自在に調節することが可能になる。
【実施例1】
【0057】
[蛋白質分子応答型shRNAの設計]
EGFPノックダウン用のshRNA-GFP(shRNA-GFP (59mer)GGCAUCAAGGUGAACUUCAAGAUCCAGCAUAGGGAUCUUGAAGUUCACCUUGAUGCCAG図5A(配列番号10))配列は東京大学の鈴木勉、加藤敬行両博士から譲り受けた。shRNA-GFP-mut(shRNA-GFP-mut (59mer)GCACUAGCGUAUGAAUGAAAGAUCCAGCAUAGGGAUCUUUCAUUCAUACGCUAGUGCAG図5B(配列番号12)については、まず、終止コドンの相補配列3つを、3つのコドンの読み枠に1つずつ挿入したガイド鎖を設計し、これをshRNA-GFPのガイド鎖と置換して設計した。このshRNA-GFP-mutをEGFPのノックダウンを起こさないネガティブコントロールとして用いた。次に、RNPモチーフであるL7Ae-BoxC/Dの構造より、BoxC/DのRNA配列を取得し、shRNAのDicer蛋白質切断部位にできるだけ近く、かつガイド鎖、パッセンジャー鎖の二重鎖構造が保たれるように挿入して、L7Ae蛋白質とBoxC/D配列で特異的に結合することが期待されるshRNA-BoxC/D-GFP(shRNA-BoxC/D-GFP (63mer)GGCAUCAAGGUGAACUUCAGCUGACCCGAAAGGGCGUGAUGCUGAAGUUCACCUUGAUGCCAG図5C(配列番号9))を設計した。この際、ガイド鎖については、shRNA-GFPのガイド鎖の3’末端から21塩基を使用している。さらに、このshRNA-BoxC/D-GFPの5’末端から24塩基目のアデニンを削除し、38塩基目のグアニンをシトシンに置換したshRNAを、L7Aeと結合しないshRNA-BoxC/D-mut-GFP(shRNA-BoxC/D-mut-GFP (62mer)GGCAUCAAGGUGAACUUCAGCUGCCCGAAAGGGCGUCAUGCUGAAGUUCACCUUGAUGCCAG図5(D)(配列番号11))として設計した。
【0058】
[shRNAのin vitro合成]
[shRNA-BoxC/D-GFP]
shRNAの鋳型DNA、L7Aer template(100μM、5’-CTGGCATCAAGGTGAACTTCAGCATCACGCCCTTTCGGGTCAGCTGAAGTTCACCTTGATGCCTATAGTGAGTCGTATTAGC-3’配列番号13)5.25μLと、T7 sense primer(100μM、5’-GCTAATACGACTCACTATA-3’配列番号4)5.25μL、T7RNAポリメラーゼ 30μL、1mg/mL ピロフォスファターゼ(ROCHE)5μL、20mg/mL BSA 1.75μL、1M Hepes-KOH 28μL、1M MgCl 14μL、1M DTT 3.5μL、0.1M スペルミジン 14μL、0.1M ATP 33.6μL(CTP、UTPに関しても同様)、0.1M GTP 8.96μL、0.1M GMP 89.6μL、超純水385μLを混合し、37℃で一晩反応させた。反応後、TURBO DNase 10μLを加えて37℃で30分間反応させ、鋳型DNAを分解させた。反応後にフェノール抽出、クロロホルム抽出を行い、上清をPD-10緩衝液(0.3M 酢酸カリウム、15%(v/v) エタノール、pH6.0)で平衡化したPD-10カラム(GEヘルスケア)に充填し、PD-10緩衝液 3mLで洗浄後、PD-10緩衝液 500μLで2回溶出させた。その後、溶出液に等量のエタノールを加えて、エタノール沈澱を行った。上清を廃棄しペレットを乾燥した後に、20μLの5×色素液(0.25% BPB、30% グリセロール)に溶かし、 非変性15%ポリアクリルアミド(1/30 ビスアクリルアミド)ゲルに重層し、室温で50分間電気泳動して分離した。目的のサイズのバンドを切り出し、500μLの溶出緩衝液(0.5M NaCl、0.1% SDS、1mM EDTA)を加え、37℃で一晩溶出した。その後、5mLシリンジ(テルモ)にマイクロフィルター(22μm Millex GP)を取り付け、シリンジに溶出液を加えてフィルター濾過した。このろ液に2.5倍量のエタノールを加えてエタノール沈澱を行った。上清を廃棄しペレットを乾燥した後に、22μLの超純水に溶解して濃度を測定し、以降の実験に用いた。
【0059】
[shRNA-BoxC/D mut-GFP]
shRNAの鋳型DNA、L7AerN template(100μM、5’-CTGGCATCAAGGTGAACTTCAGCATGACGCCCTTTCGGGCAGCTGAAGTTCACCTTGATGCCTATAGTGAGTCGTATTAGC-3’配列番号15)5.25μLと、T7 sense primer(100μM、配列番号4)5.25μL、を用いて、shRNA-BoxC/D-GFPと同様に転写合成と精製を行い、22μLの超純水に溶解して濃度を測定し、以降の実験に用いた。
【0060】
[shRNA-GFP]
shRNAの鋳型DNA、481P template(100μM、5’-CTGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCCTATGCTGGATCTTGAAGTTCACCTTGATGCCTATAGTGAGTCGTATTAGC-3’配列番号16)5.25μLと、T7 sense primer(100μM、配列番号4)5.25μL、を用いて、shRNA-BoxC/D-GFPと同様に転写合成と精製を行い、22μLの超純水に溶解して濃度を測定し、以降の実験に用いた。
【0061】
[L7Ae蛋白質の発現精製]
Huttenhofer博士に譲り受けた、pET-28b+にL7Ae蛋白質を組み込んだプラスミドを増幅した。大腸菌BL21(DE3)pLysSにpET-28b+L7Aeプラスミド(配列番号5)が形質転換された、—80℃グリセロール菌体ストックから、培地5mLに植菌し37℃で一晩振蕩培養した。続いて培養液全量を50μg/mLカナマイシン、100μg/mLクロラムフェニコールを含むLB培地500mLに植え継いだ。O.D.600が0.6~0.7になるまで37℃で振蕩培養し、その後、発現誘導をするため1M IPTGを500μL加え(終濃度1mM)、30℃で一晩振蕩培養した。遠心分離(4℃、6000rpm、20分)で菌体を回収し、ソニケーションバッファー(50mM Na phosphate、0.3M NaCl、2.5mM imidazole、pH8.0)5mLを加え、超音波処理を行い、菌体を破砕した。なお、超音波処理は、氷上で冷却後、15秒間超音波を当てる、という操作を6回繰り返した。その後、80℃ 15分で、不純蛋白質を変性させた。遠心分離(4℃、6000rpm 、20分)により、上清を回収し、ヒスチジンタグが付いた蛋白質をNi-NTAカラム(Qiagen)を用いてバッチ法により精製した。具体的には、まず上清とNi-NTA 1mLを混合し、4℃、1時間撹拌を行った。その後、カラムに充填し、washバッファー(50mM Na phosphate、0.3M NaCl、20mM imidazole、pH8.0)4mLで2回洗浄した。50mM、100mM、200mM、300mM imidazole溶出バッファー(50mM Na phosphate、0.3 M NaCl pH8.0にimidazoleを加えて作製)を各1mL 2回で段階的に溶出させた。確認は15% SDS-PAGEにより行った。続いて、マイクロコンYM-3(Millipore)を用いて、蛋白質の濃縮行い、透析バッファー(20mM Hepes-KOH、1.5mM MgCl、150mM KCl、5% グリセロール pH7.5)に置換した。また、蛋白質の濃度はプロテインアッセイ(BIO-RAD)を用い、Bradford法で決定した。
【0062】
[ゲルシフトアッセイによるRNP複合体の確認]
shRNAと蛋白質の結合の確認は以下のように行った。蛋白質濃度が80~640nMの最終濃度の25倍濃度になるように透析バッファーで希釈した後、各濃度の蛋白質溶液2μL、1μM shRNA-BoxC/D-GFP 2μL、超純水6μL、Opti-MEMI(商標、インビトロジェン)40μLを混合し、室温で30分間静置して、shRNA(40nM)とL7Ae(80nM、160nM、320nM、640nM)を結合させた。shRNA-GFP、shRNA-boxC/D mut-GFPについても、同様にしてL7Aeを結合させた。それぞれの溶液に5×色素液(0.25% BPB、30% グリセロール)13μLを加えて混合し、この混合液15μLを非変性15%ポリアクリルアミド(1/30 ビスアクリルアミド)ゲルに重層し、4℃で50分間、250Vで電気泳動を行った。泳動後、ゲルをSYBR Greenで15分間染色し、FLA-7000(FUJI FILM)でバンドを確認した。図6に、ゲルシフトアッセイによるshRNA-GFP、shRNA-boxC/D-GFP、及びshRNA-boxC/D mut-GFPと、L7Aeとの結合を示す。その結果、shRNA-BoxC/D-GFPとL7Aeが配列特異的に結合していることが示唆された。
【0063】
[in vitro Dicer切断アッセイによる、Dicer切断阻害の確認]
shRNA-BoxC/D-GFP、及びshRNA-boxC/D mut-GFPのL7AeによるDicer切断阻害の確認は、GTS.inc社のRecombinant Human Dicer Enzyme Kitを用い、プロトコルに従って以下のように行った。まず、1μM shRNA 0.4μL、4μM、8μM L7Ae 2μL、10mM ATP 1μL、50mM MgCl 0.5μL、Dicer Reaction Buffer (GTS.inc)4μL、0.5unit/μL Recombinant Dicer Enzyme 2μL、超純水0.1μLを混合し、37℃で15時間反応させた。その後、2μL Dicer Stop Solutionを加えて混合し、この混合液のうち8μLに5×色素液 2μLを加えて、非変性15%ポリアクリルアミド(1/30 ビスアクリルアミド)ゲルに重層し、4℃で50分間電気泳動を行った。泳動後、ゲルをSYBR Greenで染色し、FLA-7000(FUJI FILM)でバンドを確認した。図7に、in vitro再構成Dicer系を用いたshRNA-boxC/D-GFP、及びshRNA-boxC/D mut-GFPのL7AeによるDicer切断阻害の結果を示す。図7において、L7Aeの+は、4μMのL7Aeから調製されたサンプルを、++は、8μMのL7Aeから調製されたサンプルを示し、-は、L7Aeを用いなかった場合を示す。同様に、Dicerの+はDicerを用いた場合、-は、Dicerを用いなかった場合を示す。その結果、shRNA-BoxC/D-GFPとL7Aeが配列特異的に結合して、Dicerに切断されなくなることが示唆された。
【0064】
[shRNA発現プラスミドの構築・合成]
[pENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-GFP(配列番号17)の合成]
pENTR/H1/TOベクター(インビトロジェン)に挿入するshRNAコード配列を含む一本鎖DNA、pENTR L7Aer Top strand(200μM、5’-CACCGGCATCAAGGTGAACTTCAGCTGACCCGAAAGGGCGTGATGCTGAAGTTCACCTTGATGCC-3’配列番号18)5μLと、その相補鎖を含む一本鎖DNA、pENTR L7Aer Bottom strand(200μM、5’-AAAAGGCATCAAGGTGAACTTCAGCATCACGCCCTTTCGGGTCAGCTGAAGTTCACCTTGATGCC-3’配列番号19)5μL、10×Oligo Annealing Buffer(インビトロジェン)2μL、超純水2μLを混合し、95℃で4分間インキュベートした後に、室温で5分静置して、DNAの二重鎖を形成させた。なお、この二重鎖は、図3(B)に示す二本鎖である。この二重鎖DNA溶液を超純水で100倍希釈した後、1μLの希釈液、10×Oligo Annealing Buffer 10μL、超純水89μLを混合して100倍希釈した。その後、5×Ligation Buffer 4μL、0.75ng/μL pENTR/H1/TOベクター 2μL、1万倍希釈DNA溶液 5μL、超純水8μL、1U/μL T4 DNA Ligase 1μLを混合し、室温で5分間静置して、pENTR/H1/TOベクターにshRNAコード配列を組み込んだ。この反応液4μLを TOP10 Competent E.coliに加えて形質転換し、250μL S.O.C培地を加えて1時間振盪培養した後に、50μg/mLカナマイシン入りのLBプレートに播き、37℃で一晩培養した。形成されたコロニーを確認し、プラスミドベクターのインサートの確認には、H1 Foward Primer(10μM、5’-TGTTCTGGGAAATCACCATA-3’ 配列番号20)、M13 Reverse Primer(10μM、5’-CAGGAAACAGCTATGAC-3’ 配列番号21)、KOD-Plus-ver2(TOYOBO)、を用いてコロニーPCRを行った。このコロニーを 50μg/mL カナマイシン入りのLB培地 50mLに植え継ぎ、37℃で16時間振盪培養した。遠心分離(4℃、6000rpm、15分)で菌体を回収し、Plasmid精製キット(Qiagen)のプロトコルに従って精製を行い、イソプロパノール沈澱を行った。上清を廃棄しペレットを乾燥した後に、超純水55μLを加えて溶解した。プラスミドベクターの濃度を計測し、以降の実験に用いた。
【0065】
[pENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-mut-GFP(配列番号22)の合成]
pENTR/H1/TOベクター(インビトロジェン)に挿入するshRNAコード配列を含む一本鎖DNA、pENTR L7AerN Top strand(200μM、5’-CACCGGCATCAAGGTGAACTTCAGCTGCCCGAAAGGGCGTCATGCTGAAGTTCACCTTGATGCC-3’配列番号23)5μLと、その相補鎖を含む一本鎖DNA、pENTR L7AerN Bottom strand(200μM、5’-AAAAGGCATCAAGGTGAACTTCAGCATGACGCCCTTTCGGGCAGCTGAAGTTCACCTTGATGCC-3’配列番号24)を用いて、上述のようにpENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-mut-GFPを合成、精製し、超純水55μLを加えて溶解した。プラスミドベクターの濃度を計測し、以降の実験に用いた。
【0066】
[pENTR/H1/TO-shRNA-GFP(配列番号25)の合成]
pENTR/H1/TOベクター(インビトロジェン)に挿入するshRNAコード配列を含む一本鎖DNA、pENTR 481P Top strand(200μM、5’-CACCGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCAGCATAGGGATCTTGAAGTTCACCTTGATGCC-3’配列番号26)5μLと、その相補鎖を含む一本鎖DNA、pENTR 481P Bottom strand(200μM、5’-AAAAGGCATCAAGGTGAACTTCAAGATCCCTATGCTGGATCTTGAAGTTCACCTTGATGCC-3’配列番号27)を用いて、上述のようにpENTR/H1/TO-shRNA-GFPを合成、精製し、超純水55μLを加えて溶解した。プラスミドベクターの濃度を計測し、以降の実験に用いた。
【0067】
[pENTR/H1/TO-shRNA-GFP-mut(配列番号28)の合成]
pENTR/H1/TOベクター(インビトロジェン)に挿入するshRNAコード配列を含む一本鎖DNA、pENTR Sk-7N Top strand(200μM、5’-CACCGCACTAGCGTATGAATGAAAGATCCAGCATAGGGATCTTTCATTCATACGCTAGTGC-3’配列番号29)5μLと、その相補鎖を含む一本鎖DNA、pENTR Sk-7N Bottom strand(200μM、5’-AAAAGCACTAGCGTATGAATGAAAGATCCCTATGCTGGATCTTTCATTCATACGCTAGTGC-3’配列番号30)を用いて、上述のようにpENTR/H1/TO-shRNA-GFP-mutを合成、精製し、超純水55μLを加えて溶解した。プラスミドベクターの濃度を計測し、以降の実験に用いた。
【0068】
[pcDNA3.1‐L7Ae-myc-His6(配列番号6)の合成]
pET-28b+L7Ae(配列番号5)を鋳型DNA、BamHI-NdeI-NotI-L7Ae-primer(5’‐AAGGATCCATCATATGCGGCCGCTTATGTACGTGAGATTTGAGG‐3’)(配列番号32)、L7Ae-EcoRI-XhoI-primer(5’‐CACTCGAGTTGAATTCTCTTCTGAAGGCCTTTAATC‐3’)(配列番号33)をプライマーとして用いて PCRを行った。50μL反応液には、10ng/μL 鋳型DNA 2.5μL、各10μM DNAプライマー 1.5μL、2mM dNTPs 5μL、10×KOD‐PLUS‐buffer ver.2 5μL、25mM MgSO 2μL、KOD‐PLUS‐DNA Polymerase 1μL、超純水31.5μLが混合してあり、反応は初めに94℃ 2分インキュベートした後、98℃ 10秒、55℃、30秒、68℃ 1分を36サイクルで行った。できたPCR産物はPCR Purification Kit(QIAGEN)を用いて、DNAを精製した。ただし溶出の際には30μLの超純水で溶出を行い、テンプレートとして制限酵素処理に用いた。テンプレート27μL、B Buffer(ROCHE)5μL、10U/μL BamH1(ROCHE)1μL、10U/μL XhoI(ROCHE)1μL、超純水16μL、を混合し、37℃で2時間反応させて制限酵素処理した。pcDNA3.1(+)myc His Aベクター(インビトロジェン)も1.6μg/μL pcDNAベクター 1.88μL、B Buffer 5μL、10U/μL BamH1 1μL、10U/μL XhoI1μL、超純水41.12μLを混合して同様に制限酵素処理した。これらの処理産物はPCR Purification Kit(QIAGEN)を用いて精製した。ただし溶出の際にはDNAを10μLの超純水に溶出した。
【0069】
制限酵素処理したPCR産物 1.75μL、制限酵素処理したベクター0.25μL、Ligation High2μLを混合し、16℃で30分間インキュベートした。このLigation反応液全量に Top10 Chemically competent cell(インビトロジェン)20μLを加えて、氷上に45分間静置したのち、42℃で1分間水浴し、再び氷上で2分間静置して、形質転換した。さらにLB培地 160μLを加えて 50μg/mL アンピシリン入りLBプレートに播き、37℃で一晩インキュベートした。形成されたコロニーは、Extaq(TAKARA)と上述のDNAプライマーを用いてコロニーPCRを行い、インサートチェックを行った。インサートが確認できたコロニーを 50μg/mL アンピシリン入りLB培地 50mLに植え継ぎ、37℃で一晩、振盪培養した。遠心分離(4℃、6000rpm、15分)で菌体を回収し、Plasmid精製キット(Qiagen)のプロトコルに従って精製を行い、イソプロパノール沈澱を行った。上清を廃棄しペレットを乾燥した後に、超純水55μLを加えて溶解した。プラスミドベクターの濃度を計測した後に、このプラスミドベクターをT7promoterプライマー(5’-TAATACGACTCACTATAGGG-3’配列番号34)とBGHrevプライマー(5’-GCTGGCAACTAGAAGGCACAG-3’配列番号35)を用いてシーケンス確認し、以降の実験に用いた。
【0070】
[蛍光顕微鏡画像によるノックダウン機能制御の確認]
トランスフェクション前日にHeLa細胞を24wellプレートに、0.8×10cells/wellになるように捲種し、37℃のCOインキュベーター内で培養した。翌日Lipofectamine2000(invitrogen)(商標)によりpENTR/H1/TO shRNA発現ベクターとpcDNA3.1‐AsRed2-L7Ae-myc-His6(配列番号40)、pcDNA3.1‐EGFP-myc-His6(配列番号41)のコトランスフェクションを行った。pENTRshRNA-GFP、pENTRshRNA-GFP mut、pENTRshRNA-BoxC/D-GFP、pENTRshRNA-BoxC/D mut-GFP 0.3μgに、pcDNA3.1‐AsRed2-L7Ae-myc-His6またはpcDNA3.1‐AsRed2-myc-His6(配列番号42)を、0.3μg、pcDNA3.1‐EGFP-myc-His6を、0.2μg加え、1サンプルにつき1.25μl Lipofectamine2000を加えた。これらのDNA-脂質複合体を室温で20分インキュベーションし、HeLa細胞用培地に滴下した。4時間後に培地交換を行った。24時間後に細胞の蛍光顕微鏡画像を蛍光顕微鏡(OLYMPUS IX-81)で取得し、AsRed2-L7Ae発現によるshRNA-Box C/D-GFPの機能抑制の観察を行った。
図12は、488nm付近の波長の励起光を当て、510-550nmの波長フィルターを通して得られたEGFPの蛍光画像である。図12において、各パネルの下の「+」は、蛍光強度が高いことを、「-」は蛍光強度が低いことを示す。この画像からAsRed2-L7AeによるshRNA-Box C/D-GFPのノックダウン機能抑制効果が示された。
【0071】
[RT-PCR解析によるRNAi制御の確認]
L7AeによるRNAi抑制によるGFPのmRNA量の変化をReal time PCRにより測定した。
【0072】
前日にHeLa-GFP細胞を6wellプレートに0.5x10cells/wellになるように捲種し、37℃COインキュベーション内で培養した。そしてpENTR/H1/TO shRNA発現ベクターとpcDNA3.1‐L7Ae-myc-His6のコトランスフェクションを行った。pENTRshRNA-BoxC/D-GFP、pENTRshRNA-BoxC/D mut-GFP 4μgに、pcDNA3.1‐L7Ae-myc-His6を、各0、2、4μgを加え、1サンプルにつき5μl Lipofectamine2000を加えた。これらのDNA-脂質複合体を室温、20分インキュベーションを行い、細胞に滴下した。4時間後に培地交換を行った。トランスフェクション24時間後に細胞を回収し、RNAqueous 4PCR Kit (Ambion(商標))を用いてRNA抽出およびDNA除去を行った。
【0073】
抽出したRNA 1.5μg(または0.5μg)をテンプレートとしてHigh-Capacity cDNA Reverse Transcription Kits(Applied Biosystems(商標))を用いランダムプライマーと逆転写酵素によりcDNA合成をした。リアルタイムPCRは20分の1希釈したcDNAを鋳型として、LightCycler 480 Taqman probe (Roche)(商標)を用いることにより行った。PCR反応とリアルタイム蛍光検出は、ライトサイクラー480 (Roche)(商標)を用いて実施した。反応条件は、初期変性工程は95℃、5分間、増幅工程は、変性95℃、10秒、アニーリング・伸長60℃、25秒、でこれを45サイクル行った。最後に反応液を50℃、15秒間冷却して測定を終了した。Ct値をAbs Quant/fitpoint法により決定した。481P Fwd(5’-CAAGGAGGACGGCAACA-3’)(配列番号36)、Rev(5’-CCTTGATGCCGTTCTTCTGC-3’)(配列番号37)を用いて、目的遺伝子であるGFPの増幅を行った。GAPDH Fwd(5’-AGCCACATCGCTCAGACAC-3’)(配列番号38)、GAPDH Rev(5’-GCCCAATACGACCAAATCC-3’)(配列番号39)を用いて、リファレンス遺伝子であるGAPDHの増幅を行った。GFPのmRNAには、Universal probe Library probe #148(ROCHE)、GAPDHのmRNAには、Universal probe Library probe#60(ROCHE)を用いて、増幅効率を測った。電気泳動により増幅産物が単一であること目的産物あることを確認し、結果を相対定量により評価した。GAPDHによりEGFPの量を規格化し、その規格化した値を用いてpENTRshRNA-GFP mutのみを添加したサンプルのGFPのmRNA相対量を1としてサンプル間の比較を行った。図8に、RT-PCR解析による、L7AeによるRNAi阻害の結果を示す。サンプル間の発現量の差から、GFPのmRNA量が、pENTRshRNA-BoxC/D-GFPとpcDNA3.1‐L7Ae-myc-His6のコトランスフェクション時に回復しており、L7Ae存在下で、BoxC/Dの配列特異的にRNAiが阻害されていることを示唆している。
【0074】
[FACS解析によるL7AeのRNAi抑制確認]
トランスフェクション前日にHeLa-GFP細胞を24wellプレートに、0.5×10cells/wellになるように捲種し、37℃のCOインキュベーター内で培養した。翌日Lipofectamine2000(invitrogen)(商標)によりpENTR/H1/TO shRNA発現ベクターとpcDNA3.1‐L7Ae-myc-His6のコトランスフェクションを行った。pENTRshRNA-BoxC/D-GFP、pENTRshRNA-BoxC/D mut-GFP 0.8μgに、pcDNA3.1‐L7Ae-myc-His6を、各0、0.40、0.80μgを加え、1サンプルにつき2μl Lipofectamine2000を加えた。これらのDNA-脂質複合体を室温、20分インキュベーションを行い、細胞に滴下した。4時間後に培地交換を行った。
【0075】
トランスフェクション24時間後に、wellの培地を除去し、200μl Trypsine-EDTAで細胞をはく離し、200μl DMEM/F12を加えて懸濁した。細胞懸濁液をFACSチューブに移し、FACS Aria(BD)により解析を行った。ここでは、生細胞にゲーティングを行い20000個についてFITCを測定した。解析は、測定した全細胞の蛍光強度の平均値を算出する一般的な方法を用いて行った。図9に、FACS解析による結果を示した。(各サンプルにつき20000細胞の、GFP強度の平均値結果)。この結果によりpcDNA3.1‐L7Ae-myc-His6、pENTRshRNA-Box C/D-GFPをコトランスフェクションした細胞特異的に、GFP発現に回復が見られることが示された。このことから、RT-PCRと同様に、L7Ae存在下で、BoxC/Dの配列特異的にRNAiが阻害されていることを示唆している。
【実施例2】
【0076】
[蛋白質分子応答型shRNAの設計]
EGFPノックダウン用のshRNA-U1A-4(5’-GGCAUCAAGGUGAACUUCAGGGCGAAAGCCCUGAAGUUCACCUUGAUGCCAG-3’配列番号14)を設計した。shRNA-U1A-4は、5’末端から24塩基までが、実施例1で用いた、図5(A)に示すshRNA-GFPのパッセンジャー鎖と同一であり、これと2重鎖を形成するガイド鎖と、ハイブリダイゼーションしないループ構造GAAAを持つ。このshRNA-U1A-4はshRNA-GFPと同様の機能を持ち、ネガティブコントロールに用いた。また、shRNA-BoxC/D-GFP(配列番号9)は、実施例1で設計した、図5(C)のものを用いた。
【0077】
[shRNAのin vitro合成]
[shRNA-U1A-4]
shRNA-U1A-4の鋳型一本鎖DNA、(100μM、5’-CTGGCATCAAGGTGAACTTCAGGGCTTTCGCCCTGAAGTTCACCTTGATGCCTATAGTGAGTCGTATTAGC-3’ 配列番号31)5.25μLと、T7 sense primer(配列番号4)5.25μL、を用いて、shRNA-BoxC/D-GFPと同様に転写合成と精製を行い、22μLの超純水に溶解して濃度を測定し、以降の実験に用いた。
[shRNA-BoxC/D-GFP]
実施例1に記載したin vitro合成法に従って製造した。
[L7Ae蛋白質の発現精製]
実施例1に記載した、大腸菌を用いたL7Ae蛋白質の発現精製に従って、製造した。
【0078】
[培養細胞系での評価、RNP]
[蛍光顕微鏡観察によるL7Ae-shRNA複合体のRNAi抑制確認]
トランスフェクション前日にHeLa-GFP細胞を24wellプレートに、0.5×10cells/wellになるように捲種し、37℃のCOインキュベーター内で培養した。尚、ここでのHeLa-GFP細胞株は、GFPをハイグロマイシン耐性で安定発現させたHeLa細胞であり、鈴木勉博士より譲り受けたものである。翌日、24wellの培地をOpti-MEM(invitrogen)500μlに交換した。同時に、Lipofectamine2000(invitrogen)(商標)によりshRNA-BoxC/D-GFPとL7Ae蛋白質の複合体をトランスフェクションで細胞導入した。10μM shRNA-BoxC/D-GFP 0.6μl、20μM L7Ae蛋白質 0μl、0.6μl、1.2μl、2.4μl、4.8μl、9.6μl、5×バインディングバッファ2μlを混合し、超純水を加えて10μlとした(L7Ae蛋白質9.6μlに関しては超純水を加えず12.2μlとした)。さらにOpti-MEM 40μl(L7Ae蛋白質9.6μlに関しては37.8μl)を加えて混合し、4℃で30分間静置して、RNA蛋白質複合体を形成させた。Opti-MEM 48μlと2μl Lipofectamine2000を混合し5分間室温で静置したものに、RNA蛋白質複合体溶液 50μlを加えて混合し、20分間室温で静置してRNA蛋白質-脂質複合体を形成させて、細胞に滴下した。4時間後にDMEM/F12 500μlに培地を交換した。shRNAを加えないもの(Mock)、及びshRNA-U1A-4についても、同様にL7Ae蛋白質と混合して、RNA蛋白質複合体を形成させ複合体をトランスフェクションで細胞導入した。
トランスフェクション45時間後に細胞の蛍光顕微鏡観察を行った。各サンプルにつき蛍光顕微鏡(OLYMPUS)で、倍率20倍、488nMの励起波長のセッティングとし、細胞内のGFPの蛍光を撮影した。同時に透過光でも細胞の位相差像を撮影した。蛍光画像と位相差画像を重ね合わせた画像を図10に示す。
【0079】
[FACS解析によるL7Ae-shRNA複合体のRNAi抑制確認]
トランスフェクション47時間後に、wellの培地を除去し、200μl Trypsine-EDTAで細胞をはく離し、200μl DMEM/F12を加えて懸濁した。細胞懸濁液をFACSチューブに移し、FACS Aria(BD)により解析を行った。なおFACSとは遊離した細胞を細い管に通過させる際、レーザー光線を当てて、その細胞から発生する蛍光の強弱を解析する方法である。ここでは、生細胞にゲーティングを行い10000個についてFITCを測定した。図11に、FACS解析による蛍光強度分布の結果を示す。結果よりL7Ae、shRNA-BoxC/D-GFPの複合体をトランスフェクションした細胞特異的に、GFP発現に回復が見られることが示された。このことから、L7Ae存在下で、BoxC/Dの配列特異的にRNAiが阻害されていることを示唆している。Mockでは、RNAiが生じないため、L7Ae濃度に依存することなくGFP発現が見られ、いっぽうshRNA-U1A-4では、RNAiが阻害されることがないため、L7Ae濃度に依存することなくGFP発現が抑制されている。
【実施例3】
【0080】
[蛋白質分子応答型shRNAの設計]
shRNA-BoxC/D-Bcl-xL(図13(B))および、shRNA-BoxC/D mut-Bcl-xL(図13(C))は、shRNA-BoxC/D-GFP、shRNA-BoxC/D mut-GFPの5’末端から21塩基までの二重鎖部位をBcl-xL遺伝子の365塩基目から385塩基目までの配列の二重鎖に置換して設計した。
【0081】
[shRNAの合成]
[shRNA-BoxC/D-Bcl-xL(図13(B)(配列番号43))]
shRNAの鋳型DNA、shRNA-BoxC/D-BclxL template (100μM、5’-CTGCTTTGAACAGGTAGTGAATGATCACGCCCTTTCGGGTCACATTCACTACCTGTTCAAAGCTATAGTGAGTCGTATTAGC-3’(配列番号44))5.25μLと、T7 sense primer(100μM、5’-GCTAATACGACTCACTATA-3’(配列番号4)5.25μL、を用いて、shRNA-BoxC/D-GFPと同様に転写合成と精製を行い、22μLの超純水に溶解して濃度を測定し、以降の実験に用いた。
【0082】
[shRNA-BoxC/D mut-Bcl-xL(図13(C)(配列番号45))]
shRNAの鋳型DNA、shRNA-BoxC/D mut-BclxL template(100μM、5’-CTGCTTTGAACAGGTAGTGAATGATGACGCCCTTTCGGGCACATTCACTACCTGTTCAAAGCTATAGTGAGTCGTATTAGC-3’(配列番号46)5.25μLと、T7 sense primer(100μM、5’-GCTAATACGACTCACTATA-3’(配列番号4)5.25μL、を用いて、shRNA-BoxC/D-GFPと同様に転写合成と精製を行い、22μLの超純水に溶解して濃度を測定し、以降の実験に用いた。
【0083】
[shRNA-Bcl-xL(図13(A)(配列番号47]
shRNAの鋳型DNA、shRNA-Bcl-xL template(100μM、5’-CTGCTTTGAACAGGTAGTGAATGAACTCTATGCTAGTTCATTCACTACCTGTTCAAAGCTATAGTGAGTCGTATTAGC-3’(配列番号48)5.25μLと、T7 sense primer(100μM、5’-GCTAATACGACTCACTATA-3’(配列番号4)5.25μL、を用いて、shRNA-BoxC/D-GFPと同様に転写合成と精製を行い、22μLの超純水に溶解して濃度を測定し、以降の実験に用いた。
【0084】
[shRNA-Bcl-xLによるBcl‐xLのノックダウンの確認]
トランスフェクション前日にHeLa-GFP細胞を24wellプレートに、0.5×10cells/wellになるように捲種し、37℃のCO2インキュベーター内で培養した。翌日Lipofectamine2000(invitrogen)によりBcl-xL、発現ベクターとshRNAのコトランスフェクションを行った。pBcl-xL 0、または 0.4μgと10μM shRNA -Bcl-xLを混合し、 Opti-MEM I 培地(invitrogen)で50μlとした.その後1サンプルにつき1μl Lipofectamine2000に49μlのOpti-MEM I培地を加えて混合したものを加えた.これらのDNA-脂質複合体を、室温で20分インキュベーションし、Opti-MEM I培地を400μl加えて細胞に滴下した.4時間後に培地交換を行った。
【0085】
トランスフェクション24時間後に、wellの培地を採取した後、200μl Trypsine-EDTAで細胞を■離し、前段階で採取した各培地を加えて懸濁した。細胞懸濁液を4℃、500xg、5分 遠心沈降し、PBS 500μlで洗浄後、ペレット状の細胞に30μl RIPA buffer(1×PBS、1%NP40、0.5%Sodium deoxycholate、0.1%SDS、0.3mg/ml PMSF + 2μg/ml Aprotinin)を加え30分氷上に静置し、遠心分離(4℃、15000g、20分)により上清を回収した。蛋白質の濃度はDC-プロテインアッセイ(BIO-RAD)を用いLowry法で決定した。
【0086】
ウエスタンブロッティングにより、Bcl-xLの検出を行った。細胞より抽出した蛋白質をSDS-PAGEにより展開しウエスタンブロッティングを行った。一次抗体Anti-Bcl-xL(SC-634)(santa cruz biotechnology, inc.)(1/500)、二次抗体Goat Anti-Rabbit IgG (H+L)-HRP conjugate (BIORAD)(1/2000)を用いた。ECL Plus(GE healthcare)(商標)により発色させLAS3000(富士フィルム)を用いて検出した。shRNA -Bcl-xLをpBcl-xLと共導入すると、Bcl-xLの発現を示すバンドが消失した。この結果より、HeLa細胞内でshRNA-Bcl-xLによるBcl-xLのノックダウンを確認した。
【0087】
[in vitro Dicer切断アッセイによる、Dicer切断阻害の確認]
shRNA-BoxC/D-Bcl-xL及びshRNA-BoxC/D mut-Bcl-xLのL7AeによるDicer切断阻害の確認は、GTS.inc社のRecombinant Human Dicer Enzyme Kitを用い、プロトコルに従って以下のように行った。まず、1μM shRNA、0.4μL、4μM、8μM L7Ae 2μL、10mM ATP 1μL、50mM MgCl 0.5μL、Dicer Reaction Buffer (GTS.inc)4μL、0.5 unit/μL Recombinant Dicer Enzyme 2μL、超純水0.1μLを混合し、37℃で14時間反応させた。その後、2μL Dicer Stop Solutionを加えて混合し、この混合液のうち8μLに、5×色素液 2μLを加えて、非変性15%ポリアクリルアミド(1/30 ビスアクリルアミド)ゲルに重層し、4℃で50分間電気泳動を行った。泳動後、ゲルをSYBR Greenで染色し、FLA-7000(FUJI FILM)でバンドを確認した。図14に、in vitro再構成Dicer系を用いたshRNA-BoxC/D-Bcl-xL、及びshRNA-BoxC/D mut-Bcl-xLのL7AeによるDicer切断阻害の結果を示す。図14において、L7Aeの「-」は、L7Aeを用いなかった場合を示す。同様に、Dicerの「+」はDicerを用いた場合、「-」は、Dicerを用いなかった場合を示す。その結果、shRNA-BoxC/D-Bcl-xLとL7Aeが配列特異的に結合して、Dicerに切断されなくなることが示唆された。
【0088】
shRNA発現プラスミドの構築・合成
[pENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-Bcl-xL(配列番号49)の合成]
pENTR/H1/TOベクター(インビトロジェン)に挿入するshRNAコード配列を含む一本鎖DNA、BoxC/D Bcl-xL Top strand(200μM、5’-CACCGCTTTGAACAGGTAGTGAATGTGACCCGAAAGGGCGTGATCATTCACTACCTGTTCAAAGC-3’(配列番号50)5μLと、その相補鎖を含む一本鎖DNA、BoxC/D Bcl-xL Bottom strand(200μM、5’-AAAAGCTTTGAACAGGTAGTGAATGATCACGCCCTTTCGGGTCACATTCACTACCTGTTCAAAGC-3’(配列番号51)を用いて、上述のようにpENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-Bcl-xLを合成、精製し、超純水55μLを加えて溶解した。プラスミドベクターの濃度を計測し、以降の実験に用いた。
【0089】
[pENTR H1 TO-shRNA-BoxC/D mut-Bcl-xL(配列番号52)の合成]
pENTR/H1/TOベクター(インビトロジェン)に挿入するshRNAコード配列を含む一本鎖DNA、BoxC/D mut Bcl-xL Top strand(200μM、5’-CACCGCTTTGAACAGGTAGTGAATGTGCCCGAAAGGGCGTCATCATTCACTACCTGTTCAAAGC-3’(配列番号53)5μLと、その相補鎖を含む一本鎖DNA、BoxC/D mut Bcl-xL Bottom strand(200μM、5’-AAAAGCTTTGAACAGGTAGTGAATGATGACGCCCTTTCGGGCACATTCACTACCTGTTCAAAGC-3’(配列番号54)を用いて、上述のようにpENTR/H1/TO-BoxC/D mut-Bcl-xLを合成、精製し、超純水55μLを加えて溶解した。プラスミドベクターの濃度を計測し、以降の実験に用いた。
【0090】
[pENTR/H1/TO-shRNA-Bcl-xL (配列番号55)の合成]
pENTR/H1/TOベクター(インビトロジェン)に挿入するshRNAコード配列を含む一本鎖DNA、Bcl-xL Top strand(200μM、5’-CACCGCTTTGAACAGGTAGTGAATGAACTAGCATAGAGTTCATTCACTACCTGTTCAAAGC-3’(配列番号56)5μLと、その相補鎖を含む一本鎖DNA、Bcl-xL Bottom strand(200μM、5’-AAAAGCTTTGAACAGGTAGTGAATGAACTCTATGCTAGTTCATTCACTACCTGTTCAAAGC-3’(配列番号57)を用いて、上述のようにpENTR/H1/TO-shRNA-Bcl-xLを合成、精製し、超純水55μLを加えて溶解した。プラスミドベクターの濃度を計測し、以降の実験に用いた。
【0091】
[RNA蛋白質複合体導入実験]
ヒト癌培養細胞内でL7Ae蛋白質とshRNA-BoxC/D-Bcl-xLの結合によるBcl-xLのノックダウン制御を確認するために、RNA蛋白質複合体を細胞導入し、Bcl-xLの発現をウエスタンブロッティングで検出した。
【0092】
前日に子宮頸癌由来HeLa細胞を24wellプレートに1.0x10cells/wellになるように捲種し、37℃COインキュベーター内で培養した。翌日Lipofectamine2000(invitrogen)(商標)によりトランスフェクションを2度行った。pBcl-xLまたはpBimEL 0.4μgに、Lipofectamine2000を1μl加えた。これらのDNA-脂質複合体を室温で20分インキュベーションし、HeLa細胞用培地に滴下した。4時間半後に培地交換を行い、直後に2度目のトランスフェクションを行った。shRNA-BoxC/D-Bcl-xLまたは、shRNA-BoxC/D mut-Bcl-xL 2.5pmol(培地における濃度、5nM)と精製したL7Ae蛋白質0、200pmol(培地における濃度、400nM)を混合して複合体を形成させた。この複合体にLipofectamine2000を1μl加え、室温で20分インキュベーションし、HeLa細胞用培地に滴下した。5時間後に培地交換を行った。
【0093】
二度目のトランスフェクションの22時間後、wellの培地を採取した後、200μl Trypsine-EDTAで細胞を■離し、前段階で採取した各培地を加えて懸濁した。細胞懸濁液を4℃、500xg、5分 遠心沈降し、PBS 500μlで洗浄後、ペレット状の細胞に30μl RIPA buffer(1×PBS、1%NP40、0.5%Sodium deoxycholate、0.1%SDS、0.3mg/ml PMSF + 2μg/ml Aprotinin)を加え30分氷上に静置し、遠心分離(4℃、15000xg、20分)により上清を回収した。蛋白質の濃度はDC-プロテインアッセイ(BIO-RAD)を用いLowry法で決定した。
【0094】
ウエスタンブロッティングにより、Bcl-xL、GAPDHの検出を行った。細胞より抽出した蛋白質をSDS-PAGEにより展開しウエスタンブロッティングを行った。一次抗体Anti-Bcl-xL(SC-634)(santa cruz biotechnology, inc.)(1/500)、二次抗体Goat Anti-Rabbit IgG (H+L)-HRP conjugate (BIORAD)(1/2000)を用いた。ECL Plus(GE healthcare)(商標)により発色させLAS3000(富士フィルム)を用いて検出した。GAPDHについても、一次抗体Anti-GAPDH(MAB374)(Chemicon)(1/2000)、二次抗体Goat Anti-Mouse IgG (H+L)-HRP conjugate (BIORAD)(1/2000)を用いてウェスタンブロットを行った。これらの結果より、HeLa細胞内でL7Ae蛋白質とshRNA-BoxC/D-Bcl-xLの結合によるBcl-xLのノックダウンの抑制(レーン3)を確認できた。以下細胞の蛋白質抽出およびL7Aeの検出には同様の方法で行った。図15は、細胞内でのBcl-xL発現を示す図である。標準コントロールとして用いているGAPDHのタンパク質発現量は、変化しないことも確認した。検出したBcl-xLのバンドの強度を積算した。その結果を図16に記す。図15、16において、shは、「shRNA」の略である。
【0095】
[プラスミド導入実験]
ヒト癌培養細胞内でL7Ae蛋白質とshRNA-BoxC/D-Bcl-xLの結合によるBcl-xLのノックダウン制御を確認するために、Bcl-xL、L7Ae、shRNA、を発現するプラスミドを細胞内に共導入し、Bcl-xLの発現をウエスタンブロッティングで検出した。
【0096】
前日に子宮頸癌由来HeLa細胞を12wellプレートに3.0x10cells/wellになるように捲種し、37℃、COインキュベーター内で培養した。翌日Lipofectamine2000(invitrogen)(商標)によりトランスフェクションを行った。pBcl-xL 0.2μg、pcDNA3.1-L7Ae 0.4μg、 pENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-Bcl-xL0.6μgを混合し、Lipofectamine2000を2.5μl加えた。これらのDNA-脂質複合体を室温で20分インキュベーションし、HeLa細胞用培地に滴下した。pENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-mut Bcl-xL、pENTR/H1/TO-shRNA-Bcl-xL、pENTR/H1/TO-shRNA-GFP mut(ネガティブコントロール)についても同様の操作を行った。コントロールプラスミドとしてpcDNA-AmCyan-myc-His6((配列番号58)0.25μgとpBcl-xL 0.2μgをそれぞれ単独で導入した。4時間後に培地交換を行った。
【0097】
トランスフェクション24時間後、wellの培地を採取した後、200μl Trypsine-EDTAで細胞を■離し、前段階で採取した各培地を加えて懸濁した。細胞懸濁液を4℃、500xg、5分 遠心沈降し、PBS 500μlで洗浄後、ペレット状の細胞に100μl RIPA buffer(1×PBS、1%NP40、0.5%Sodium deoxycholate、0.1%SDS、0.3mg/ml PMSF + 2μg/ml Aprotinin)を加え30分氷上に静置し、遠心分離(4℃、15000g、20分)により上清を回収した。蛋白質の濃度はDC-プロテインアッセイ(BIO-RAD)を用いLowry法で決定した。
【0098】
ウエスタンブロッティングにより、Bcl-xL、GAPDHの検出を行った。細胞より抽出した蛋白質をSDS-PAGEにより展開しウエスタンブロッティングを行った。一次抗体Anti-Bcl-xL(SC-634)(santa cruz biotechnology, inc.)(1/500)、二次抗体Goat Anti-Rabbit IgG (H+L)-HRP conjugate (BIORAD)(1/2000)を用いた。ECL Plus(GE healthcare)(商標)により発色させLAS3000(富士フィルム)を用いて検出した。GAPDHについても、一次抗体Anti-GAPDH(MAB374)(Chemicon)(1/2000)、二次抗体Goat Anti-Mouse IgG (H+L)-HRP conjugate (BIORAD)(1/2000)を用いてウェスタンブロットを行った。これらの結果より、HeLa細胞内でL7Ae蛋白質とshRNA-BoxC/D-Bcl-xLの結合によるBcl-xLのノックダウンの抑制(レーン5)を確認できた。図17は、細胞内でのBcl-xL発現を示す図である。標準コントロールとして用いているGAPDHのタンパク質発現量は、変化しないことも確認した。検出したBcl-xLのバンドの強度を積算した。その結果が図18である。図18において、レーン3~6のshは、「shRNA」の略である。
【0099】
[L7Ae蛋白質に応答したBcl-xL発現量制御による細胞死制御実験]
アポトーシス促進蛋白質であるBim-ELと、アポトーシス抑制蛋白質であるBcl-xLは互いに拮抗作用し、相対的に量が多い方の蛋白質が細胞の運命に作用する。そこで、ヒト癌培養細胞内でL7Ae蛋白質とshRNA-BoxC/D-Bcl-xLの結合による、Bcl-xLのノックダウン制御を用いてBcl-xL発現量を制御し、Bim-ELに対するBcl-xLの相対量を変化させることで、細胞死を制御するという実験を行った。
【0100】
前日に子宮頸癌由来HeLa細胞を24wellプレートに0.5x10cells/wellになるように捲種し、37℃COインキュベーター内で培養した。翌日Lipofectamine2000(invitrogen)(商標)によりトランスフェクションを行った。pENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-Bcl-xL 0.3μgに、pBcl-xL 0.2μg、pBimEL 0.2μg、pcDNA3.1-AsRed2-L7Ae 0.2μgを加え、培地に混合し、Lipofectamine2000を1.25μl加えた。これらのDNA-脂質複合体を室温、20分でインキュベーションし、HeLa細胞用培地に滴下した。約4時間後に培地交換を行った。pcDNA3.1(+)myc His Aベクター(インビトロジェン、コントロールベクター)、pENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-mut Bcl-xL、pENTR/H1/TO-shRNA-Bcl-xL、pENTR/H1/TO-shRNA-GFP mut(ネガティブコントロール)についても同様の操作を行った。
【0101】
トランスフェクション24時間後、wellの培地を採取した後、200μl Trypsine-EDTAで細胞を剥離し、前段階で採取した各培地を加えて懸濁した。細胞懸濁液を4℃、500xg、3分 遠心沈降し、PBS 300μlで洗浄後、ペレット状の細胞に、3μl annexin V, Pacific Blue conjugate for flow cytometry(invitrogen社)と、50μl annexin-binding buffer(10mM HEPES、140mM NaCl、2.5mM CaCl、pH7.4)を混合した溶液を加え、タッピングした後に室温で30分静置して染色した。その後、各サンプルに200μl annexin-binding bufferを加えて懸濁し、細胞懸濁液をFACSチューブに移し、FACS Aria(BD)により解析を行った。ここでは細胞30000個について計測した。解析はまず、AsRed2-L7による赤色蛍光を発している細胞でゲーティングを行い、ゲート内の細胞について、励起波長405nm、蛍光波長430-470nmのフィルターを用いて、Pacific Blueの青色蛍光強度を測定し、この蛍光強度が基準より大きい細胞数の比率を測定した。細胞死を判定する基準には、死細胞の外膜特異的に存在する脂質である、フォスファチジルセリンを、annexin V, Pacific Blue conjugate for flow cytometry(invitrogen社)を用いて染色し、その青色蛍光強度が、未処理の細胞を同様に染色したサンプルの強度の上限より大きい強度を持つ細胞を死細胞としてカウントした。
【0102】
その結果、コントロールベクター(pcDNA3.1(+)myc His Aベクター)を加えたサンプルの死細胞率 8.3%、 pENTR/H1/TO-shRNA-GFP mut(ネガティブコントロール)を加えたサンプルの死細胞率 10.1%、 pENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-Bcl-xLを加えたサンプルの死細胞率 13.4%に対し、 pENTR/H1/TO-shRNA-Bcl-xLを加えたサンプルの死細胞率 34.5%、 pENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-mut Bcl-xLを加えたサンプルの死細胞率 42.5%、となった。この実験結果と図17、18で示したBcl-xLの検出結果から、Bcl-xLの発現量がノックダウンによって抑制された細胞が、Bcl-xLの発現を維持している細胞の約3-4倍程度死んでいることが示された。さらに、pENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-Bcl-xLを加えたサンプルの死細胞率 13.4%に対し、pENTR/H1/TO-shRNA-BoxC/D-mut Bcl-xLを加えたサンプルの死細胞率 42.5%という結果から、L7AeとBoxC/Dの配列特異的にBcl-xL蛋白質のノックダウンを抑制することによって、細胞死を抑制制御できたことを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明にかかるRNPモチーフを利用した、蛋白質応答型shRNA/RNAi制御システムによれば、センサーshRNAとこれに特異的に結合する蛋白質により、RNAiを制御することができ、細胞を破壊することなく、細胞内マーカー蛋白質の発現を定量するバイオセンサーや、マーカー蛋白質の発現量に応じて目的蛋白質の翻訳を活性化できる、人工遺伝子回路の構築に有用である。たとえば、癌マーカー蛋白質の発現に応じて、アポトーシス誘導蛋白質を活性化することで、あるいは、蛋白質医薬の開発の基礎技術として、癌やアルツハイマーなどの疾病治療につながるという大きな効果が得られる。
Drawing
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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