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Specification :新規ナリンゲニン誘導体及びその用途

Country 日本国特許庁(JP)
Gazette 特許公報(B2)
Patent Number 特許第3716975号 (P3716975)
Publication number 特開2003-137895 (P2003-137895A)
Date of registration 平成17年9月9日(2005.9.9)
Date of issue 平成17年11月16日(2005.11.16)
Date of publication of application 平成15年5月14日(2003.5.14)
Title of the invention, or title of the device 新規ナリンゲニン誘導体及びその用途
IPC (International Patent Classification) C07D311/32      
A01N 43/16      
C07M  7:00      
FI (File Index) C07D 311/32
A01N 43/16 C
C07M 7:00
Number of claims or invention 4
Total pages 21
Application Number 特願2001-331795 (P2001-331795)
Date of filing 平成13年10月30日(2001.10.30)
Date of request for substantive examination 平成13年10月30日(2001.10.30)
Patentee, or owner of utility model right 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
【識別番号】501167644
【氏名又は名称】独立行政法人農業生物資源研究所
【識別番号】501145295
【氏名又は名称】独立行政法人食品総合研究所
Inventor, or creator of device 【氏名】柏葉 晃一
【氏名】友岡 憲彦
【氏名】ダンカン・ヴォーン
【氏名】加賀 秋人
【氏名】小野 裕嗣
【氏名】亀山 眞由美
【氏名】吉田 充
Representative 【識別番号】100074077、【弁理士】、【氏名又は名称】久保田 藤郎
【識別番号】100086221、【弁理士】、【氏名又は名称】矢野 裕也
Examiner 【審査官】渡辺 仁
Document or reference 特許第3574866(JP,B2)
柏葉晃一他,ツルアズキのマメゾウムシ抵抗性要因の分析と評価,日本作物学会紀事,2001年,70巻/別1号,第264-265頁
ITO, Hideyuki et al.,Flavonoid and benzophenone glycosides from Coleogyne ramosissima,Phytochemistry,2000年,54巻,第695-700頁
HILLIS, W. E. et al.,NUCLEAR MAGNETIC RESONANCE SPECTRA AND STRUCTURES OF SOME C-GLYCOSYLFLAVONOIDS,Aust. J. Chem.,1965年,18巻,第531-542頁
Field of search C07D311/00-311/72
CA(STN)
REGISTRY(STN)
JICSTファイル(JOIS)
Scope of claims 【請求項1】
下記の一般式〔I〕
【化1】
JP0003716975B2_000007t.gif
(式中、RとRは、水素原子又はβ-D-グルコシル基を示すが、両者が同一の置換基である場合は除く。)
で表される新規ナリンゲニン誘導体。
【請求項2】
請求項1記載のナリンゲニン誘導体を有効成分として含有する殺虫性組成物。
【請求項3】
殺虫性組成物が、貯穀害虫用殺虫性組成物である請求項2記載の殺虫性組成物。
【請求項4】
貯穀害虫が、マメゾウムシ類である請求項3記載の殺虫性組成物。
Detailed description of the invention
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規ナリンゲニン誘導体及びその用途に関し、詳しくはマメゾウムシ類による食害からアズキ、ササゲ、リョクトウなどの食用マメ種子を有効に防除することのできる新規ナリンゲニン誘導体と、この新規ナリンゲニン誘導体を有効成分として含有する殺虫性組成物とに関する。
【0002】
【従来の技術】
作物を害虫から防除し、収量の安定と収穫物の品質を確保する方法は古来より行われてきた。
このような害虫防除には、20世紀初頭からは、有機塩素系、有機リン系などの合成殺虫剤が使用されてきており、農業生産に多大な貢献を果たしてきた。
【0003】
しかし、近年になると環境保護や安全性への意識が高まり、このような合成殺虫剤の使用が制限されるようになってきている。
また、合成殺虫剤の使用量の増加と共に、薬剤に対して抵抗性を獲得した害虫の出現が報告され、合成殺虫剤の使用による従来の防除に代わる新たな技術開発が求められている。
【0004】
一般に天然物由来の殺虫剤は、環境への負荷が少ないと考えられている。
特に植物由来の天然化合物は多種にわたり、ピレスロイドなどをはじめする化合物が利用されてきた。フラボノイド配糖体は、植物の生産する化合物のひとつである。フラボノイドの機能については不明な点も多いが、抗菌活性、酵素阻害、昆虫による食害の防衛、ホルモン作用などに寄与すると考えられている。
殺虫性を示すフラボノイドとしては、これまでにオオタバコガの幼虫に殺虫性を示す6-C-β-D-グルコシル-ルテオリンが報告されているが、マメゾウムシ類に対する殺虫性については全く記載がない。
【0005】
マメゾウムシ類は、熱帯地域から亜熱帯地域にかけて生息する小さな甲虫である。マメゾウムシ類としては、アズキゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシなどが知られ、いずれもアズキ、ツルアズキ、ササゲ、リョクトウ種子に甚大な食害をもたらす。そのうちヨツモンマメゾウムシは、アフリカ及び東南アジアを原産とするが、今後、温暖化と共に日本に侵入し定着する恐れのある貯穀害虫である。
【0006】
マメゾウムシ類の成虫は、マメの栽培圃場に飛来し、若莢に産卵する。孵化した幼虫は種子に侵入し、食害し、収穫後に羽化する。羽化した成虫は、貯蔵中のマメに産卵し、世代を繰り返す。
このようなマメゾウムシ類は、生育可能な環境条件さえ整えば加速度的に増殖し、食害による被害が深刻であるため、これまでマメの栽培圃場における農薬散布、収穫後における薬剤処理を中心とした防除方法が展開されてきた。
【0007】
しかし、成虫の移動能力が高いこと、マメ類種子に侵入した幼虫の駆除は難しいこと、食餌となる植物が野生植物にもあること、などから、マメ類種子に侵入したマメゾウムシ類の幼虫の駆除は難しく、充分な防除効果を上げていないのが現状である。
従って、新たな防除方法の確立が世界各国で切望されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、登熟中及び貯蔵中の食用マメ種子を食害するマメゾウムシ類を有効に防除することのできる、虫害抵抗性を有する、天然(植物)由来の新規ナリンゲニン誘導体と、この新規ナリンゲニン誘導体を有効成分として含有する殺虫性組成物とを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
虫害抵抗性の開発には、害虫に対して高い殺虫性を有する化学物質の利用が有効である。
本発明者らは、上記従来の問題点を解消するため鋭意検討を重ねた結果、農業生物資源研究所が収集した500系統のマメ科植物種子の中から、日本在来の食用ツルアズキ( Vigna umbellata )が、アズキゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシなどのマメゾウムシ類に対して高い殺虫性(虫害抵抗性)を有することを見出した。
【0010】
このためツルアズキ種子には、マメゾウムシ類に対して殺虫性(虫害抵抗性)を示す有効成分が含まれていると考えられた。しかも、ツルアズキ種子は食用であるため、その種子中に含まれる有効成分も安全性が高いと考えられた。
【0011】
本発明者らは、このようなツルアズキが示すマメゾウムシ類抵抗性の要因を明らかにするために、様々な抽出方法と抽出液とを検討し、ツルアズキ種子粉から殺虫活性物質の分離を進めた結果、これまでの文献に未記載な化合物である新規ナリンゲニン誘導体を見出し、この知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、請求項1に係る本発明は、下記の一般式〔I〕
【化2】
JP0003716975B2_000002t.gif(式中、RとRは、水素原子又はβ-D-グルコシル基を示すが、両者が同一の置換基である場合は除く。)
で表される新規ナリンゲニン誘導体を提供するものである。
【0013】
次に、請求項2に係る本発明は、請求項1記載のナリンゲニン誘導体を有効成分として含有する殺虫性組成物を提供するものである。
【0014】
また、請求項3に係る本発明は、殺虫性組成物が、貯穀害虫用殺虫性組成物である請求項2記載の殺虫性組成物を提供するものである。
【0015】
さらに、請求項4に係る本発明は、貯穀害虫が、マメゾウムシ類である請求項3記載の殺虫性組成物を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す。
請求項1に係る本発明は、上記一般式〔I〕で表される新規ナリンゲニン誘導体を提供するものである。
式中、RとRは、水素原子又はβ-D-グルコシル(β-D-Glc)基を示しているが、両者が同一の置換基である場合は除かれる。
【0017】
従って、上記一般式〔I〕で表される新規ナリンゲニン誘導体としては、次式〔II〕
【化3】
JP0003716975B2_000003t.gifで表される8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンが挙げられる。
【0018】
上記一般式〔I〕で表される新規ナリンゲニン誘導体としては、さらに次式〔III〕
【化4】
JP0003716975B2_000004t.gifで表される6-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンが挙げられる。
【0019】
上記一般式〔I〕で表されるナリンゲニン誘導体は、文献未記載の新規化合物であり、勿論、この新規ナリンゲニン誘導体がマメゾウムシ類に対して殺虫性(虫害抵抗性)があることは、これまで全く知られていない。
【0020】
上記一般式〔I〕で表されるナリンゲニン誘導体は、食用のツルアズキ種子粉をメタノール水溶液で抽出することにより得ることができる。
【0021】
上記一般式〔I〕で表されるナリンゲニン誘導体のうち、上記式〔II〕で表される8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンは、まずツルアズキ種子を粉砕し、得られたツルアズキ種子粉を85%メタノール水溶液で抽出する。得られた抽出液を濃縮した後、水飽和ヘキサン、酢酸エチル、水飽和ブタノールで分配し、マメゾウムシ類に対する殺虫活性を認めたブタノール層を濃縮しシリカゲルに吸着させた後、ヘキサン/酢酸エチル、酢酸エチル/メタノールの混合溶媒で溶出する。アズキゾウムシに殺虫活性を認めた酢酸エチル:メタノール(8:2)の濃縮画分を低圧液体クロマトグラフィーで精製する。その後、最も活性の強い濃縮画分を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で精製し、アズキゾウムシに殺虫活性を示すピークを得る。このピークをさらに精製することにより、文献未記載の新規化合物8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンが得られる。構造はMS、NMR、CDから決定された。
【0022】
この新規化合物8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンは、アズキゾウムシに対してのみ殺虫活性を示す。しかしながら、ツルアズキ種子はアズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシに高い殺虫活性を示すことから、矛盾が生じる。
そこで本発明者らは、新規化合物8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニン以外にマメゾウムシ類へ殺虫活性を有する化合物が存在すると考え、更なる分離方法の検討を進めた。
試行錯誤の結果、精製過程においてシリカゲルを使用せず、耐有機溶媒親水性ビニルポリマーに換えることによって、ヨツモンマメゾウムシなどに殺虫活性を示す化合物が分離されることを見出し、上記式〔III〕で表される、文献未記載の新規化合物6-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンを得た。
【0023】
従って、上記式〔III〕で表される新規化合物6-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンを得るには、まずツルアズキ種子を粉砕し、85%メタノール水溶液で抽出する。得られた抽出液を濃縮した後、水飽和ヘキサン、水飽和ブタノールで分配する。マメゾウムシ類に対する殺虫活性を認めたブタノール層を濃縮し、耐有機溶媒親水性ビニルポリマーを充填させた低圧液体クロマトグラフィーで精製する。そして最も活性の強い濃縮画分をHPLCで精製する。アズキゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシに殺虫活性を示すピーク画分を精製することにより、上記式〔III〕で表される6-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンが得られる。構造はMS、NMR、CDから決定された。
【0024】
以上のように、上記一般式〔I〕で表されるナリンゲニン誘導体は、食用のツルアズキ種子中に含まれる成分であることから、安全性が高いと考えられる。
【0025】
請求項1に係る本発明の新規ナリンゲニン誘導体は、上記した如きものである。
次に、請求項2に係る本発明は、このような請求項1記載のナリンゲニン誘導体を有効成分として含有する殺虫性組成物を提供するものである。
ここで請求項1記載のナリンゲニン誘導体として具体的には、式〔II〕で表される8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンと式〔III〕で表される6-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンとがあるが、請求項2に係る本発明においては、このような2種の新規化合物を併用することもできる。
【0026】
また、請求項2に係る本発明の殺虫性組成物は、上記した如き請求項1記載のナリンゲニン誘導体を有効成分として含有するものであればよく、本発明の目的を損なわない範囲において、既知の殺虫性物質と併用することもできる。
【0027】
このような請求項2に係る本発明の殺虫性組成物は、請求項3に記載したように、特に貯穀害虫用殺虫性組成物として有用である。
ここで貯穀害虫としては、請求項4に記載されているように、マメゾウムシ類が挙げられる。
請求項2に係る本発明の殺虫性組成物は、これらの貯穀害虫の中でも、アズキゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシなどのマメゾウムシ類に対して、特異的、選択的に虫害抵抗性がある。
請求項2に係る本発明の殺虫性組成物は、このようなマメゾウムシ類などの貯穀害虫による食害から、アズキ、ササゲ、リョクトウといった食用マメ種子を有効に防除することができる。
【0028】
請求項2に係る本発明の殺虫性組成物は、害虫体内への薬剤の侵入経路からみると、基本的には殺虫剤の内の消化中毒剤の範疇に属するものであって、これを食した害虫を中毒に陥らせ死に至らしめて防除するものである。請求項2に係る本発明の殺虫性組成物において、殺虫剤としての使用の態様は特に制限されないが、害虫によく食せしめるために、これを例えばマメを模した人工マメの形態に練り上げたものとしておくとよい。
【0029】
【実施例】
次に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
試験例1〔ツルアズキ種子粉の殺虫活性試験〕
マメゾウムシ類の幼虫は、食用ツルアズキ種子内部を食することによって死亡することが観察されたことから、マメゾウムシ類の幼虫にツルアズキ種子粉を含む人工マメを食べさせることにより、ツルアズキ種子(子葉)のマメゾウムシ類に対する殺虫活性を確認すべく、以下の試験を行った。
【0030】
(1)ツルアズキ
材料は、日本在来の栽培ツルアズキ( Vigna umbellata )を用いた。
【0031】
(2)マメゾウムシ類
マメゾウムシ類としては、日本産アズキソウムシ( Callosobruchus chinensis )とタイ産ヨツモンマメゾウムシ( C. maculatus )の2種を使用した。ヨツモンマメゾウムシは、植物防疫所より輸入禁止許可申請を受け、タイ国カセサート大学より導入し継代飼育した。
これらの2種類のマメゾウムシは同一の方法で飼育した。すなわち、リョクトウ種子300粒を用意した9cmシャーレに十数頭のマメゾウムシ成虫を放ち産卵させた。産卵後、成虫を除去し、30℃、湿度60%の恒温器内で飼育した。産卵後25-30日を経過すると成虫が羽化する。羽化した成虫を殺虫活性試験に供試した。
【0032】
(3)人工マメ(リョクトウ100%)の作成
殺虫活性物質の同定を行うためには、人工飼料によるマメゾウムシの飼育が必要である。そこで、マメゾウムシ類に感受性であるリョクトウ子葉粉から、人工マメ(人工飼料)を作成し、マメゾウムシ類の生育を調査した。リョクトウ子葉粉1gに少量の蒸留水を添加し、マメ状の固形物(約0.25g)を作成し、凍結乾燥した。この固形物を人工マメ(リョクトウ100%)と呼び、実験に供試した。
人工マメ(リョクトウ100%)を9cmシャーレに置き、羽化後間もない成虫を放ち、産卵をさせた。飼育環境は30℃、湿度60%に設定した。産卵後25-30日を経過すると人工マメ(リョクトウ100%)より成虫が正常に羽化した。このように、マメゾウムシ類は人工マメを利用して産卵、羽化を行うことが明らかとなり、人工マメはマメゾウムシ類の殺虫活性試験に有用であることが確認された。
【0033】
(4)ツルアズキ種子粉を含む人工マメの作成及び殺虫活性の測定
この試験区の人工マメを一粒ずつ9cmシャーレに置き、羽化後間もないアズキゾウムシおよびヨツモンマメゾウムシの成虫を放ち、産卵をさせた。産卵後は30度、湿度60%に設定した恒温器に入れて飼育した。人工マメへの産卵数を記録し、そして人工マメから羽化する成虫数を産卵後50日まで記録しつづけ、羽化率をもとめた。産卵50日目に羽化が認められない人工マメは、ピンセットで分割し成虫の有無を調査した。なお、人工マメによる殺虫性試験は4反復した。
ツルアズキ種子粉を各割合で混合した人工マメから羽化した成虫数を図1に示す。なお、図1中、散点部分はアズキゾウムシの結果、斜線部分はヨツモンマメゾウムシの結果である。
【0034】
図1より、ツルアズキ種子粉の割合が100%の人工マメ、及びツルアズキ種子粉80%+リョクトウ種子(子葉)粉20%の人工マメは、いずれも2種類のマメゾウムシ類の羽化を完全に阻害したことが明らかである。
この結果に基づいて、ツルアズキ種子粉の全活性(units)と比活性を算出した。
すなわち、まず上記人工マメについて殺虫活性(羽化率0%)を示すのに必要なツルアズキ種子粉の濃度を検討し、これを最小致死濃度とした。この最小致死濃度によって、ツルアズキ種子粉の総重量から作成することのできる人工マメの重量(g)で表わしたもの(ツルアズキ種子粉の総重量を、最小致死濃度で割ったもの)を、ツルアズキ種子粉の全活性とした。
さらに、ツルアズキ種子粉1g当たりの全活性を、比活性(units/g)として算出した。
【0035】
本試験例の場合、ツルアズキ種子粉の割合が100%の人工マメ、及びツルアズキ種子粉80%+リョクトウ種子(子葉)粉20%の人工マメが、いずれもマメゾウムシ類の羽化を完全に阻害したことから(図1参照)、最小致死濃度は80%であることが分かる。
この結果を基準としてツルアズキ種子粉の全活性を求めると、1000.0gのツルアズキ種子粉から、マメゾウムシ類を殺虫可能な1250.0gの人工マメを作れることから、全活性は1250.0unitsであることが明らかである。また、比活性は、1.3units/gであった。結果を第1表に示す。
【0036】
このように、マメゾウムシ類の幼虫はツルアズキ種子を混合した人工マメを食べることによって死亡することから、ツルアズキ種子はマメゾウムシ類に対し殺虫活性を有することが明らかとなった。
この結果から、ツルアズキにはマメゾウムシ類に対し殺虫性を示す有効成分が含まれていると考えられたので、以下の実施例1及び2により、ツルアズキ種子から殺虫活性物質の分離を進めることとした。
【0037】
実施例1〔8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンの製造〕
ツルアズキ種子から、マメゾウムシ類に対する殺虫活性を有する物質を、マメゾウムシ類に対する殺虫活性に基づいて分離精製した。分離精製の手順を図2に示す。
なお、殺虫活性については、各精製段階で得られる抽出物をツルアズキ種子粉の代わりに用いる他は、試験例1の条件及び手順と同様にして全活性、比活性を算出することにより観察した。
また、試験例1で得られたツルアズキ種子粉の全活性に対する、各精製段階で得られた抽出物の全活性の比率を百分率で示したものを、収率として算出した。
【0038】
(1)メタノール抽出
ツルアズキ種子粉に85%メタノール(メタノール:水=85:15)10Lを加え48時間連続抽出した(4℃)。抽出液を濾過し、上澄9.5Lを得た。この工程を3回行い、合計3000gの種子粉から約28Lのメタノール抽出液を得た。
メタノール抽出物について、試験例1と同様にして全活性、比活性及び収率を算出した。これらの結果を第1表に示す。
第1表から、メタノール抽出により、ツルアズキ種子粉100%の場合に比べ、殺虫活性が向上していることが明らかとなった。
【0039】
(2)各種溶媒への分配
メタノール抽出液を濃縮し、水飽和ヘキサン、酢酸エチル、水飽和ブタノール分配した。
得られた水飽和ヘキサン分配層、酢酸エチル分配層、水飽和ブタノール分配層及び水層残さのそれぞれについて、殺虫活性試験を行った。
すなわち、試験例1において、ツルアズキ種子粉の代わりにヘキサン分配層を3%、酢酸エチル分配層を3%、ブタノール分配層を1%、2%及び3%、水層残さを3%の各割合で混合した人工マメを用いた他は同様にして、羽化率を確認した。各抽出物を混合した人工マメの羽化率の結果を図3に示す。図3中、白色部分はアズキゾウムシの結果を、黒色部分はヨツモンマメゾウムシの結果を示す。
【0040】
図3から明らかなとおり、ヘキサン分配層、酢酸エチル分配層、水層残さを混合した人工マメの羽化率は高く、リョクトウ種子(子葉)粉100%の人工マメの場合と同様にマメゾウムシ類殺虫活性は認められなかった。一方、ブタノール分配層を混合した人工マメの羽化率は2種類のマメゾウムシ類のいずれについても低かった。ブタノール分配層の抽出物3%を混合した人工マメでは、羽化率が0%であったので、最小致死濃度は3%であることが分かった。
そこで、ブタノール分配層を混合した人工マメについて、試験例1と同様に、全活性及び比活性を算出した。さらに、収率を算出した。これらの結果を第1表に示す。
第1表から明らかなとおり、全活性及び比活性は、メタノール抽出物と比較して高いことが分かる。
以上の結果から、ブタノール分配層に2種類のマメゾウムシ類に対する殺虫活性を認め、以下の精製に供した。
【0041】
(3)シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる分離
ブタノール分配層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで溶出した。溶出液はヘキサン:酢酸エチル=90:10、ヘキサン:酢酸エチル=60:40、ヘキサン:酢酸エチル=40:60、酢酸エチル、続いて酢酸エチル:メタノール=80:20、酢酸エチル:メタノール=60:40、酢酸エチル:メタノール=40:60、メタノールとした。
【0042】
溶出した各溶液を濃縮し、アズキゾウムシに対する殺虫活性を確認した。
すなわち、試験例1と同様に殺虫試験を行った。その結果、酢酸エチル:メタノール=80:20により溶出した溶液の濃縮物にアズキゾウムシに対する殺虫活性を認めた。酢酸エチル:メタノール=80:20の濃縮物についてのアズキゾウムシに対する全活性、比活性及び収率の結果を第1表に示す。
【0043】
(4)ゲルクロマトグラフィーによる分離
この酢酸エチル:メタノール=80:20の濃縮物を、少量の10%メタノール(メタノール:水=10:90)に溶解し、LH-20で充填させたゲルクロマトグラフィー(2×120cm)で分離した。
すなわち、10%メタノールを開始溶媒とし、100%メタノールとの間で、1400分間の直線濃度勾配によって分離した(流速2ml/min、カラム温度20℃)。試料添加から10分間ごとに分取した。分取した各フラクションは減圧濃縮し、凍結乾燥した。
【0044】
各フラクションについて、アズキゾウムシに対する殺虫活性を確認した。
すなわち、上記各フラクションを混合した人工マメを作成し、試験例1と同様に殺虫試験を行い、羽化率、全活性、比活性を算出した。その結果、アズキゾウムシに対する殺虫活性の認められるフラクションが得られた。アズキゾウムシに対する殺虫活性の認められたフラクションの全活性、比活性及び収率の結果は、第1表に示す通りである。
【0045】
(5)HPLCによる分離
アズキゾウムシに対する殺虫活性の認められたフラクションを、HPLC(島津)で精製した。カラムはセンシュー科学ODS-C18(20×250mmと10×250mm)、資生堂ODS-UC18(4.6×250mm)を使用した。検出波長は200-400nmの吸光度とした。すなわち、まずアズキゾウムシに対する殺虫活性の認められたフラクションを、ODS-UC18(4.6×250mm)、流速0.8ml/min、カラム温度40℃、溶離液20%アセトニトリル(アセトニトリル:水=20:80)で分析した。HPLCの結果を図4に示す。図4から明らかなとおり、7本のピーク(No.1~7)が検出された。
【0046】
各ピークを分取して、殺虫活性を確認した。すなわち、各ピークを混合した人工マメを作成した他は試験例1と同様にして殺虫試験を行い、羽化率、全活性、比活性を算出した。
その結果、アズキゾウムシに殺虫活性を認めたのは溶出時間17-18分のピークであった(No.6と7)。17-18分のピーク(No.6と7)についてのアズキゾウムシに対する全活性、比活性及び収率の結果を第1表に示す。
【0047】
溶出時間17-18分のピーク(No.6と7)を、ODS-C18(20×250mmと10×250mm)で集めた。このピークは2本のピークからなるため、更に集めたピークの凍結乾燥物を資生堂ODS-C18(4.6×250mm)により分離した。
No. 7のピークについて、殺虫活性を確認した。すなわち、No. 7のピーク0.05%、0.1%、0.2%をそれぞれ混合した人工マメを作成した他は、試験例1と同様にして殺虫試験を行い、羽化率を算出した。No. 7のピークを混合した人工マメの羽化率の結果を図5に示す。図5中、白色部分はアズキゾウムシの結果を、黒色部分はヨツモンマメゾウムシの結果を示す。
【0048】
図5から明らかなとおり、No. 7のピークの抽出物を混合した人工マメの羽化率は、アズキゾウムシについて低かった。No. 7のピークを0.1%、0.2%の各割合で混合した人工マメでは、アズキゾウムシに対する羽化率が0%であったので、最小致死濃度は0.1%であることが分かった。
そこで、No. 7のピークの抽出物を混合した人工マメについて、試験例1と同様に、全活性及び比活性を算出した。さらに、収率を算出した。結果を第1表に示す。
【0049】
【表1】
第1表〔各精製段階における抽出物の殺虫活性〕
JP0003716975B2_000005t.gif
【0050】
第1表から明らかなとおり、No.7のピークは、全活性が低く、比活性が高いことが分かる。
以上の結果から、No.7のピークにアズキゾウムシ殺虫活性を認め、以下の分析に供した。
【0051】
フーリエ変換イオンサイクロトン共鳴質量分析計(FTICR-MS)により、No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物を分析した。質量分析結果(質量スペクトル)を図6に示す。また、精密質量分析結果(精密質量スペクトル)を図7、図8に示す。図7、図8に示すように、[M+H]がm/z 435.12859、[M-H]がm/z 433.11420に観測された。なお、C212310としたときの計算値は、[M+H]がm/z 435.12857、[M-H]がm/z 433.11402である。
次に、No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のUVスペクトルを図9に示す。290nm付近の強い吸収帯と330nm付近の弱い吸収帯は、フラバノン骨格のπ→π及びn→π遷移に由来している。
また、No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の円二色性スペクトル(CD)を図10に示す。290nm付近の強い正のCotton効果と、230nm付近の弱い負のCotton効果は、それぞれ対応するUV吸収帯より、π→π及びn→π遷移に由来することが分かる。これらCotton効果の符号を文献(W. Gaffield, Tetrahedron, 26, 4093-4108(1970))記載の符号と比較することにより、フラバノン骨格の2位の絶対配置が(R)と決定された。
さらに、H-NMRと、H-13C相関二次元NMR(HMBC,HSQC)とにより、No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物を分析した。結果を図11、並びに図12、図13にそれぞれ示す。
すなわち、図11はNo.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のH-NMRスペクトルを示す図であり、図12は該化合物のH-13C HMBC相関二次元NMRスペクトルを示す図であり、図13は該化合物のH-13C HSQC相関二次元NMRスペクトルを示す図である。
【0052】
これらの分析結果より、No.7のピークは、上記式〔II〕で表される、文献未記載の新規化合物8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンであることが判明した。
以上の結果から、ツルアズキ種子に含まれる、アズキゾウムシ殺虫性物質は、8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンであり、本発明者はその分離精製に成功したことが明らかとなった。
【0053】
実施例2〔6-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンの製造〕
実施例1において、ツルアズキから、アズキゾウムシ殺虫性物質8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンを分離した。
しかしながら、図1に示すように、ツルアズキ種子はヨツモンマメゾウムシにも抵抗性を示すため、8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニン以外の殺虫性物質を含むと推定される。
実施例1において、ヨツモンマメゾウムシに対する殺虫活性は、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで溶出すると失活することから、シリカゲルの使用を避け、アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシに対して殺虫性を有する物質の分離を試みた。分離精製の手順を図14に示す。
【0054】
(1)メタノール抽出
ツルアズキ種子(1000g)を高速粉砕器で粉砕した。粉砕した種子粉に85%メタノール(メタノール:水=85:15)10Lを加え48時間連続抽出した(4℃)。抽出液を濾過し、上澄を9.5L得た。この工程を4回行い、合計4000gの種子粉から約38Lのメタノール抽出液を得た。
このメタノール抽出物について、試験例1と同様にして全活性、比活性、収率を算出した。これらの結果を第2表に示す。
第2表から、メタノール抽出により殺虫活性が向上していることが明らかとなった。
【0055】
(2)各種溶媒への分配
メタノール抽出液を濃縮し、水飽和ヘキサン、酢酸エチル、水飽和ブタノール分配した。ブタノール層を濃縮し、凍結乾燥した。
各分配層の2種のマメゾウムシ類に対する殺虫活性を確認した。
すなわち、上記各分配層をそれぞれ混合した人工マメを作成し、試験例1と同様に殺虫試験を行った。その結果、ブタノール分離層に殺虫活性を認めた。ブタノール分離層の2種のマメゾウムシ類に対する全活性、比活性及び収率の結果を第2表に示す。
【0056】
(3)ゲルクロマトグラフィーによる分離
ブタノール分配層の凍結乾燥物を、少量の10%メタノール(メタノール:水=10:90)に溶解した。溶解した試料をLH-20で充填させたゲルクロマトグラフィー(6×100cm)で分離した。10%メタノールを開始溶媒とし、100%メタノールとの間で、48時間の直線濃度勾配により分離した(流速5ml/min、カラム温度20℃)。試料添加120分後から10分間ごとに分取した。分取した各フラクションを減圧濃縮した。アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシに殺虫性を示すフラクションを特定した。
【0057】
各フラクションについて、アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシとに対する殺虫活性を確認した。
すなわち、上記各フラクションを混合した人工マメを作成し、試験例1と同様に殺虫試験を行い、羽化率、全活性、比活性を算出した。その結果、2種のマメゾウムシ類に対する殺虫活性の認められるフラクションが得られた。殺虫活性の認められたフラクションの全活性、比活性及び収率の結果は、第2表に示す通りである。
【0058】
(4)HPLCによる分離
殺虫活性を認めたフラクションをHPLC(島津)で精製した。カラムはセンシュー科学ODS-C18(20×250mmと10×250mm)、資生堂ODS-UC18(4.6×250mm)を使用した。検出波長は200-400nmの吸光度とした。
すなわち、アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシとに殺虫活性を認めたフラクションをODS-UC18(4.6×250mm)、流速0.8ml/min、カラム温度30℃、溶離液15%アセトニトリル+0.1%ギ酸(アセトニトリル:水=15:75)で分析した結果、図15に示すように5本のピーク(No. 1~5)が検出された。
【0059】
各ピークを分取して、殺虫活性を確認した。すなわち、上記各ピークを混合した人工マメを作成し、試験例1と同様にして殺虫試験を行った結果、アズキゾウムシとヨツモンマメゾウムシとに殺虫活性を認めたのは溶出時間16-17分のピークであった(No.4と5)。
【0060】
この16-17分のピーク(No.4と5)を、ODS-C18(20×250mmと10×250mm)により分離した。
No.5のピークについて、殺虫活性を確認した。すなわち、No. 5のピーク0.05%、0.1%、0.2%をそれぞれ混合した人工マメを作成した他は試験例1と同様にして殺虫試験を行い、羽化率を算出した。
No. 5のピークを混合した人工マメの羽化率の結果を図16に示す。図16中、白色部分はアズキゾウムシの結果を、黒色部分はヨツモンマメゾウムシの結果を示す。
【0061】
図16から明らかなとおり、No. 5のピークの抽出物を混合した人工マメの羽化率は、2種類のマメゾウムシ類のいずれについても低かった。No. 5のピーク0.1%と0.2%をそれぞれ混合した人工マメでは、2種類のマメゾウムシ類に対する羽化率が0%であったので、最小致死濃度は0.1%であることが分かった。
そこで、No. 5のピークの抽出物を混合した人工マメについて、試験例1と同様に、全活性及び比活性を算出した。さらに、収率を算出した。結果を第2表に示す。
【0062】
【表2】
第2表〔各精製段階における抽出物の殺虫活性〕
JP0003716975B2_000006t.gif
【0063】
第2表から明らかなとおり、No.5のピークは、全活性が低く、比活性が高いことがわかる。
以上の結果から、No.5のピークにアズキゾウムシ及びヨツモンマメゾウムシに対する殺虫活性を認め、以下の分析に供した。
【0064】
フーリエ変換イオンサイクロトン共鳴質量分析計(FTICR-MS)により、No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物を分析した。質量分析結果(質量スペクトル)を図17に示す。また、精密質量分析結果(精密質量スペクトル)を図18、図19に示す。図18、図19に示すように、[M+H]がm/z 435.12855、[M-H]がm/z 433.11420に観測された。なお、C212310としたときの計算値は、[M+H]がm/z 435.12855、[M-H]がm/z 433.11402である。
次に、No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のUVスペクトルを図20に示す。290nm付近の強い吸収帯と330nm付近の弱い吸収帯は、フラバノン骨格のπ→π及びn→π遷移に由来している。
また、No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の円二色性スペクトル(CD)を図21に示す。290nm付近の強い正のCotton効果と、230nm付近の弱い負のCotton効果は、それぞれ対応するUV吸収帯より、π→π及びn→π遷移に由来することが分かる。これらCotton効果の符号を文献(W. Gaffield, Tetrahedron, 26, 4093-4108(1970))記載の符号と比較することにより、フラバノン骨格の2位の絶対配置が(R)と決定された。
さらに、H-NMRと13C-NMR、さらにH-13C相関二次元NMR(HMBC,HSQC)により、No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物を分析した。結果を図22と図23、並びに図24と図25にそれぞれ示す。
すなわち、図22はNo.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のH-NMRスペクトルを示す図であり、図23は該化合物の13C-NMRスペクトルを示す図であり、図24は該化合物のH-13C HMBC相関二次元NMRスペクトルを示す図であり、図25は該化合物のH-13C HSQC相関二次元NMRスペクトルを示す図である。
【0065】
これらの分析結果より、No.5のピークは、上記式〔III〕で表される、文献未記載の新規化合物6-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンであることが判明した。
以上の結果から、ツルアズキ種子に含まれる、アズキゾウムシ及びヨツモンマメゾウムシ殺虫性物質は、6-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンであることが明らかとなった。
【0066】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明のナリンゲニン誘導体は、文献未記載の新規化合物であって、虫害抵抗性を有しており、登熟中及び貯蔵中のマメ類種子を食害するマメゾウムシ類を有効に防除することができることから、殺虫剤(マメゾウムシ類防除剤)として有用である。
次に、上記請求項1記載の新規ナリンゲニン誘導体を有効成分として含有する、請求項2に係る本発明の殺虫性組成物は、虫害抵抗性を有しており、登熟中及び貯蔵中のマメ類種子を食害するマメゾウムシ類を有効に防除することができるしかも、請求項2に係る本発明の殺虫性組成物における有効成分は、有機合成を用いて製造されたものではなく、食用のツルアズキ種子中に含まれる成分であることから、天然(植物)由来のものともいうことができ、安全性が高いと考えられる。
請求項2に係る本発明の殺虫性組成物は、貯穀害虫の中でも、アズキゾウムシ、ヨツモンマメゾウムシなどのマメゾウムシ類に対して、特異的、選択的に虫害抵抗性がある。
請求項2に係る本発明の殺虫性組成物は、マメゾウムシ類による食害から、アズキ、ササゲ、リョクトウといった食用マメ種子を有効に防除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ツルアズキ種子粉を混合した人工マメから羽化した成虫数を示す図である。
【図2】 ツルアズキ種子から8-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンを分離精製するまでの手順を示す図である。
【図3】 各溶媒抽出物を混合した人工マメの羽化率を示す図である。
【図4】 HPLCの結果を示す図である。
【図5】 No. 7のピークを混合した人工マメの羽化率を示す図である。
【図6】 No. 7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の質量分析結果(質量スペクトル)を示す図である。
【図7】 No. 7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の精密質量分析結果(質量スペクトル:[M+H])を示す図である。
【図8】 No. 7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の精密質量分析結果(質量スペクトル:[M-H])を示す図である。
【図9】 No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のUVスペクトルを示す図である。
【図10】 No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の円二色性スペクトル(CD)を示す図である。
【図11】 No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のH-NMRスペクトルを示す図である。
【図12】 No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のH-13C HMBC相関二次元NMRスペクトルを示す図である。
【図13】 No.7のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のH-13C HSQC相関二次元NMRスペクトルを示す図である。
【図14】 ツルアズキ種子から6-C-β-D-グルコシル-(R)-ナリンゲニンを分離精製するまでの手順を示す図である。
【図15】 HPLCの結果を示す図である。
【図16】 No. 5のピークを混合した人工マメの羽化率を示す図である。
【図17】 No. 5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の質量分析結果(質量スペクトル)を示す図である。
【図18】 No. 5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の精密質量分析結果(質量スペクトル:[M+H])を示す図である。
【図19】 No. 5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の精密質量分析結果(質量スペクトル:[M-H])を示す図である。
【図20】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のUVスペクトルを示す図である。
【図21】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の円二色性スペクトル(CD)を示す図である。
【図22】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のH-NMRスペクトルを示す図である。
【図23】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物の13C-NMRスペクトルを示す図である。
【図24】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のH-13C HMBC相関二次元NMRスペクトルを示す図である。
【図25】 No.5のピークの凍結乾燥物に含まれる化合物のH-13C HSQC相関二次元NMRスペクトルを示す図である。
Drawing
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
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【図24】
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【図25】
24