TOP > 国内特許検索 > 圧力センサー用シート、圧力センサーおよび圧力センサー用シートの製造方法 > 明細書

Specification :圧力センサー用シート、圧力センサーおよび圧力センサー用シートの製造方法

Country 日本国特許庁(JP)
Gazette 特許公報(B2)
Patent Number 特許第6424408号 (P6424408)
Date of registration 平成30年11月2日(2018.11.2)
Date of issue 平成30年11月21日(2018.11.21)
Title of the invention, or title of the device 圧力センサー用シート、圧力センサーおよび圧力センサー用シートの製造方法
IPC (International Patent Classification) G01L   1/20        (2006.01)
FI (File Index) G01L 1/20 Z
Number of claims or invention 18
Total pages 26
Application Number 特願2015-561033 (P2015-561033)
Date of filing 平成27年2月5日(2015.2.5)
International application number PCT/JP2015/053287
International publication number WO2015/119211
Date of international publication 平成27年8月13日(2015.8.13)
Application number of the priority 2014021488
Priority date 平成26年2月6日(2014.2.6)
Claim of priority (country) 日本国(JP)
Date of request for substantive examination 平成30年1月31日(2018.1.31)
Patentee, or owner of utility model right 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
Inventor, or creator of device 【氏名】李 誠遠
【氏名】染谷 隆夫
【氏名】関谷 毅
Representative 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100094400、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 三義
【識別番号】100147267、【弁理士】、【氏名又は名称】大槻 真紀子
Examiner 【審査官】公文代 康祐
Document or reference 特開昭57-132033(JP,A)
特表2010-537438(JP,A)
特開2012-028051(JP,A)
特開2006-153471(JP,A)
特開2011-102457(JP,A)
特開2004-125571(JP,A)
特開2010-101827(JP,A)
特開2013-195331(JP,A)
国際公開第2011/065921(WO,A1)
Field of search G01L 1/20
G01L 5/00
Scope of claims 【請求項1】
第1の電極シートと、第2の電極シートと、前記第1の電極シートと前記第2の電極シートの間に配置され、押しつぶされることで抵抗値が変化する導電性繊維が絡み合ってなる綿状の感圧導電層と、を備え、
前記導電性繊維は二つの電極シートに平行な方向に配向して延在し、かつ垂直な方向に積層して配設され、
さらに前記感圧導電層を構成する前記導電性繊維同士の間に、空隙部を有し、
前記導電性繊維が、高分子材料に導電性材料が分散されたものであり、
前記導電性材料が、第1の導電性材料及び第2の導電性材料からなり、
前記第1の導電性材料は線状の導電性材料であり、
前記第2の導電性材料は粒子状(鱗片状を含む)の導電性材料であり、
前記導電性繊維の直径が100nm~10μmであることを特徴とする圧力センサー用シート。
【請求項2】
前記第1の導電性材料が、カーボンナノチューブまたはカーボンナノホーンであり、
前記第2の導電性材料が、グラフェンまたはカーボンブラックであることを特徴とする請求項に記載の圧力センサー用シート。
【請求項3】
前記導電性繊維における、前記第1の導電性材料の質量比は、前記第2の導電性材料の質量比より小さいことを特徴とする請求項に記載の圧力センサー用シート。
【請求項4】
前記感圧導電層を構成する前記導電性繊維のうち、前記第1の電極シートまたは前記第2の電極シートに接触する部分の少なくとも一部が、前記第1の電極シートまたは前記第2の電極シートに結着していることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー用シート。
【請求項5】
前記感圧導電層と前記第2電極シートとの間に、第2の導電性繊維が絡み合ってなる第2の感圧導電層をさらに有し、
前記導電性繊維の前記第1の電極シートに接触する部分の少なくとも一部が前記第1の電極シートに結着し、
前記第2の導電性繊維の前記第2の電極シートに接触する部分の少なくとも一部が前記第2の電極シートに結着していることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー用シート。
【請求項6】
前記感圧導電層と前記第2の感圧導電層とが接着されていることを特徴とする請求項5に記載の圧力センサー用シート。
【請求項7】
前記高分子材料が、エラストマーであることを特徴とする請求項に記載の圧力センサー用シート。
【請求項8】
前記第1の電極シートおよび前記第2の電極シートが、透明電極であることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー用シート。
【請求項9】
前記感圧導電層は、前記電極シートに垂直な方向から見て、前記導電性繊維がない空隙部を有していることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー用シート。
【請求項10】
前記導電性繊維の直径は、前記第1の電極シートおよび前記第2の電極シートの厚さより小さいことを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー用シート。
【請求項11】
前記感圧導電層の厚さは、前記第1の電極シートと前記第2の電極シートの厚さの合計より小さいことを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー用シート。
【請求項12】
前記第1の電極シートと前記第2の電極シートの厚さは、略同等であることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー用シート。
【請求項13】
前記第1の電極シートまたは前記第2の電極シートは通気性を有することを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー用シート。
【請求項14】
前記感圧導電層の厚さが、前記導電性繊維の直径の2倍以上、100倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー用シート。
【請求項15】
前記感圧導電層の厚さが、0.5μm~100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー用シート。
【請求項16】
前記感圧導電層中に、非導電性繊維が混在していることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサー用シート。
【請求項17】
請求項1に記載の圧力センサー用シートの、前記第1の電極シートまたは前記第2の電極シートの少なくとも一方の電極が、トランジスタに接続されていることを特徴とする圧力センサー。
【請求項18】
溶媒に、第1の導電材料とイオン液体とを混合し、溶媒中に第1の導電材料が分散した第1の分散系を得る第1の工程と、
溶媒に、第2の導電材料を混合し、溶媒中に第2の導電材料が分散した第2の分散系を得る第2の工程と、
第1の分散系と第2の分散系を混合し、第3の分散系を得る第3の工程と、
第3の分散系に高分子材料を加え、撹拌し、第4の分散系を得る第4の工程と、
第4の分散系をエレクトロスピニングデポジション法で第1の電極シート上に噴射して、導電性繊維が絡み合ってなる感圧導電層を形成する第5の工程と、
を有することを特徴とする圧力センサー用シートの製造方法。
Detailed description of the invention 【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサー用シート、圧力センサーおよび圧力センサー用シートの製造方法に関する。
本願は、2014年2月6日に、日本に出願された特願2014-021488号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体でつくるフレキシブルエレクトロニクスは、素材の軟らかさから、人体の表面や体内にフィットする。そのため、細胞や組織から直接生体情報を得る手段として、フレキシブルエレクトロニクスを利用することに、近年注目が集まっている。
【0003】
圧力センサーは、その応用の一つとして注目されている。圧力センサーは、加えられた圧力を電気的な信号として出力するものである。圧力センサーは、例えば、人工皮膚やロボットの操作等において広く利用されている(特許文献1)。これらの技術は日夜進歩しており、より精密なデータを得ることが求められている。より精密なデータを得る為には、圧力センサーが、被測定物の形状によりフィットすることや、曲げ伸ばし等の動きにも追従することが必要である。したがって、よりフレキシブルでかつ薄い圧力センサーが求められている。
【0004】
このような圧力センサーを実現するために、以下のような検討が進められている。
特許文献2には、単純マトリクスの感圧センサーとして、円筒状弾性体と、その円筒状弾性体の外周面に層状に形成された導電体層と、その導電体層上に形成された誘電体層とからなる感圧用線材を縦横に編み込んだ感圧シートが開示されている。
特許文献3には、電極と感圧導電シートとトランジスタを利用したアクティブマトリクスの感圧センサーが開示されており、シリコンゴムにグラファイトが添加された感圧導電シートが開示されている。
特許文献4には、感圧導電シートとして、ゴム基材の表面に導電材を含有する樹脂塗膜を形成して、二層以上の構成としたフレキシブルな感圧センサーが開示されている。二層以上の構成とすることで、圧力-抵抗変化のヒステリシスを改善することができる。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2013-136141号公報
【特許文献2】特開2008-170425号公報
【特許文献3】特開2013-068562号公報
【特許文献4】特開2012-145447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1~4に開示された圧力センサー用シートは、厚さが数百μm~数mmの厚さを有している。そのため、これらの圧力センサー用シートでは、複雑な形状を有する物体や動く物体に対して十分な追従性を得ることができず、精密なデータを得ることができなかった。例えば、特許文献2に記載された圧力センサー用シートの感圧用線材の基材である円筒状弾性体の外径は、250μmφである。圧力センサー用シートとして動作させるためには、圧力センサー全体の厚みが、この外径の以上の厚みを有する必要があることが記載されている。また特許文献3には、圧力センサー用シートの一部であるゴム基材の厚さだけで、mmオーダーの厚さを要することが記載されている。
【0007】
またこれらの圧力センサー用シートは、印加圧力に対する抵抗値の変化が十分ではないため、わずかな圧力変化を出力信号として十分に反映することができなかった。すなわち、これらの圧力センサー用シートでは、高感度なデータを得ることができなかった。例えば、特許文献2の図3には、印加圧力に対する抵抗値の変化が、数百kΩに過ぎないことが記載されている。
【0008】
ゴム基材や樹脂塗膜に導電性の材料を含有させた圧力センサー用シートを用いると、圧力センサー用シートに対して垂直方向の圧力変化による抵抗値の変化以外にも、圧力センサー用シートが平行方向に伸びた場合にも抵抗値が変化してしまう。本来測定したい抵抗値変化は、圧力センサー用シートに対して垂直方向の圧力変化に伴うものである。これに対し、平行方向に延びたことに伴う抵抗値変化はノイズである。そのため、従来の圧力センサー用シートを用いると、圧力センサー用シートを曲げた状態と伸ばした状態で測定結果に差異が生じてしまう。つまり、これらの圧力センサー用シートは、より複雑な形状を持つ物体や動く物体に加わる圧力を、高感度に測定することができなかった。
【0009】
さらにアクティブマトリクスの圧力センサーは、トランジスタの上に感圧導電層と電極シートをそれぞれ配置する必要がある。しかしながら、感圧導電層は、黒色のゴムからなるため、装着後に貼り付け表面を目視することができなかった。また、生体にこのような圧力センサー用シートを装着した場合(例えば皮膚の表面に装着した場合)、通気性の無いゴムからなる感圧導電層は、水分や空気が透過せず、また空気の移流による熱の放散がなされない。そのため、装着箇所が蒸れることによる不快感や皮膚等の炎症を生み出す場合があった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、フレキシブル性が高く、より高感度な極薄の圧力センサー用シート及び圧力センサー並びに圧力センサー用シートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用した。
(1)第1の電極シートと、第2の電極シートと、前記第1の電極シートと前記第2の電極シートの間に配置され、押しつぶされることで抵抗値が変化する導電性繊維が絡み合ってなる綿状の感圧導電層と、を備え、前記導電性繊維は二つの電極シートに平行な方向に配向して延在し、かつ垂直な方向に積層して配設され、さらに前記感圧導電層を構成する前記導電性繊維同士の間に、空隙部を有することを特徴とする圧力センサー用シート。
(2)前記導電性繊維が、高分子材料に導電性材料が分散されたものであることを特徴とする(1)に記載の圧力センサー用シート。
(3)前記導電性材料が、第1の導電性材料及び第2の導電性材料からなり、前記第1の導電性材料は線状の導電性材料であり、前記第2の導電性材料は粒子状(鱗片状を含む)の導電性材料であることを特徴とする(2)に記載の圧力センサー用シート。
(4)前記第1の導電性材料が、カーボンナノチューブまたはカーボンナノホーンであり、前記第2の導電性材料が、グラフェンまたはカーボンブラックであることを特徴とする(3)に記載の圧力センサー用シート。
(5)前記導電性繊維における、前記第1の導電性材料の質量比は、前記第2の導電性材料の質量比より小さいことを特徴とする(3)または(4)のいずれかに記載の圧力センサー用シート。
(6)前記感圧導電層を構成する前記導電性繊維のうち、前記第1の電極シートまたは前記第2の電極シートに接触する部分の少なくとも一部が、前記第1の電極シートまたは前記第2の電極シートに結着していることを特徴とする(1)~(5)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
【0012】
(7)前記感圧導電層と前記第2電極との間に、第2の導電性繊維が絡み合ってなる第2の感圧導電層をさらに有し、前記導電性繊維の前記第1の電極シートに接触する部分の少なくとも一部が前記第1の電極シートに結着し、前記第2の導電性繊維の前記第2の電極シートに接触する部分の少なくとも一部が前記第2の電極シートに結着していることを特徴とする(1)~(6)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
(8)前記感圧導電層と前記第2の感圧導電層とが接着されていることを特徴とする(7)に記載の圧力センサー用シート。
(9)前記高分子材料が、エラストマーであることを特徴とする(2)~(7)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
(10)前記第1の電極シートと前記第2の電極シートが、透明電極であることを特徴とする(1)~(9)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
(11)前記感圧導電層は、前記電極シートに垂直な方向から見て、前記導電性繊維がない空隙部を有していることを特徴とする(1)~(10)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
【0013】
(12)前記導電性繊維の直径は、前記第1の電極シートおよび前記第2の電極シートの厚さより小さいことを特徴とする(1)~(11)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
(13)前記導電性繊維の直径が100nm~10μmであることを特徴とする(1)~(12)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
(14)前記感圧導電層の厚さは、前記第1の電極シートと前記第2の電極シートの厚さの合計より小さいことを特徴とする(1)~(13)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
(15)前記第1の電極シートおよび前記第2の電極シートの厚さは、略同等であることを特徴とする(1)~(14)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
(16)前記第1の電極シートまたは前記第2の電極シートは通気性を有することを特徴とする(1)~(15)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
【0014】
(17)前記感圧導電層の厚さが、前記導電性繊維の直径の2倍以上、100倍以下であることを特徴とする(1)~(16)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
(18)前記感圧導電層の厚さが、0.5μm~100μm以下であることを特徴とする(1)~(17)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
(19)前記感圧導電層中に、非導電性繊維が混在していることを特徴とする(1)~(18)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シート。
(20)(1)~(19)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シートの、前記第1の電極シートまたは前記第2の電極シートの少なくとも一方の電極が、トランジスタに接続されていることを特徴とする圧力センサー。
(21)(1)~(19)のいずれか一項に記載の圧力センサー用シートの製造方法であって、高分子材料と導電性材料とを含む分散系液体をエレクトロスピニングデポジション法で第1の電極シート上に噴射して、導電性繊維が絡み合ってなる感圧導電層を形成することを特徴とする圧力センサー用シートの製造方法。
【0015】
(22)溶媒に、第1の導電材料とイオン液体とを混合し、溶媒中に第1の導電材料が分散した第1の分散系を得る第1の工程と、溶媒に、第2の導電材料を混合し、溶媒中に第2の導電材料が分散した第2の分散系を得る第2の工程と、第1の分散系と第2の分散系を混合し、第3の分散系を得る第3の工程と、第3の分散系に高分子材料を加え、撹拌し、第4の分散系を得る第4の工程と、第4の分散系をエレクトロスピニングデポジション法で第1の電極シート上に噴射して、導電性繊維が絡み合ってなる感圧導電層を形成する第5の工程と、を有することを特徴とする圧力センサー用シートの製造方法。
(23)前記高分子材料と前記導電性材料とを含む分散系液体を、エレクトロスピニングデポジション法で第2の電極シート上に噴射して、導電性繊維が絡み合ってなる第2の感圧導電層を形成する工程と、前記感圧導電層と、前記第2の感圧導電層を結着させる工程と、をさらに有することを特徴とする(21)または(22)のいずれかに記載の圧力センサー用シートの製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、第1の電極シートと第2の電極シートと、これら電極シートの間に配置された、押しつぶされることで抵抗値が変化する導電性繊維が絡み合ってなる綿状の感圧導電層とを備える。導電性繊維は電極シートに平行な方向に配向して延在し、さらに垂直な方向に積層して配設される。感圧導電層を構成する導電性繊維同士の間には、空隙部を有する。圧力センサー用シートに加わる圧力に変化が生じると、綿状に絡み合った導電性繊維同士の粗密が変わり、導電性繊維同士の積層具合に変化が生じる。この積層具合が変化すると、第1の電極シートと第2の電極シート間の抵抗値が変化する。導電性繊維は、二つの電極シートに平行な方向と垂直な方向とで異方性を有する。そのため、垂直な厚さ方向の外力に対して、積層方向の抵抗値変化が極めて大きく、平行な方向への歪に対する抵抗値変化が極めて小さい。圧力センサー用シートが曲げ変形を受ける場合、曲げ変形による歪は電極シートと並行方向であるため、曲げ変形による抵抗値変化が小さい。つまり、測定のノイズが小さく精度の高い計測が可能となる。
【0017】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、導電性繊維が、高分子材料に導電性材料が分散されたものであってもよい。また導電性繊維が第1の導電性材料と第2の導電性材料が分散された高分子材料からなり、この第1の導電性材料は線状の導電性材料であり、第2の導電性材料は粒子状(鱗片状を含む)の導電性材料であってもよい。線状の第1の導電性材料は、粒子状の第2の導電性材料同士を、高分子材料中で電気的に接続する。圧力センサー用シートに弱い圧力が作用した場合に、線状の第1の導電性材料を介した導電性が変化し、導電性繊維の抵抗値が低下する。この作用により、低い圧力でのセンサー感度と、センサー感度の安定性を向上させることができる。線状の第1の導電性材料は、繊維の作成工程における粒子状の第2の導電性材料の分散安定性を向上させるという副次的効果も有する。
更に、導電性繊維における、第1の導電性材料の質量比を、第2の導電性材料の質量比より小さくすることで、圧力による抵抗値変化のダイナミックレンジが極めて大きく取れる。第2の導電性材料を高質量比で分散させることで、高い圧力が作用したときに大きな抵抗値低下が得られるためである。
【0018】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、第1の導電性材料がカーボンナノチューブ、カーボンナノホーンであり、第2の導電性材料がグラフェン、カーボンブラックであってもよい。カーボンからなる導電性材料は、酸素や水分に対する耐久性が高く、比表面積の高い繊維で構成される感圧導電層には最も適している。
【0019】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、感圧導電層を構成する導電性繊維の第1の電極シートまたは第2の電極シートに接触する部分の少なくとも一部が、第1の電極シートまたは第2の電極シートに結着されていてもよい。導電性繊維と電極シート間の接続状態が不安定であると、弱い圧力下での測定に大きなノイズが発生する。少なくとも導電性繊維の一部が電極シートに結着されることで、電気的な接続状態が極めて安定するため、ノイズの少ない計測が可能となる。
【0020】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、感圧導電層と第2電極との間に、第2の導電性繊維が絡み合ってなる第2の感圧導電層をさらに有し、導電性繊維の第1の電極シートに接触する部分の少なくとも一部が第1の電極シートに結着し、第2の導電性繊維の第2の電極シートに接触する部分の少なくとも一部が第2の電極シートに結着していてもよい。これらの二つの感圧導電層は、それぞれが各電極シートに結着しているため、感圧導電層と電極との間の接続状態が安定であり、ノイズの少ない計測が可能となる。更に、これらの二つの感圧導電層を接着することで、二つの電極シート間での感圧導電層の構造的、電気的状態が高く安定する。そのため、更にノイズの少ない計測が可能となる。
【0021】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、導電性繊維の高分子材料としエラストマーを用いてもよい。エラストマーは、柔らかく大きな歪が繰り返し作用しても、機械的特性の変化が極めて小さい。圧力が作用すると、繊維同士の重なり部に大きな歪が生じるが、エラストマーを母材として使用することで、圧力センサー用シートの高い柔軟性と、高い耐久性が両立できる。
【0022】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、第1の電極シートと第2の電極シートが、透明電極でもよい。綿状の感圧導電層は光の透過性を有するため、二つの電極シートを透明にすることで、光を透過する圧力センサー用シートが実現できる。これにより、圧力計測箇所を、圧力センサー用シートを透過して観察することができる。また、圧力計測と圧力センサー用シート上からの光計測を同時に行えるなど、多様な計測への展開が可能となる。更に、圧力センサー用シートの光透過性を向上させるため、電極シートに垂直な方向から見て、感圧導電層を構成する導電性繊維の間に空隙部を有することが好ましい。空隙部を有することにより光透過性が高く、かつ光散乱が小さくなるため、観察や計測がよりやり易くなる。
【0023】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、導電性繊維の直径が、第1の電極シートおよび第2の電極シートの厚さより小さくてもよい。導電性繊維の直径が電極シートより大きいと、導電性繊維の表面に沿って、電極シートの局所的な変形が生じ易くなる。電極シートが局所的に変形しやすくなると、圧力印加時に導電性繊維と電極シートの接触状態が不規則になる。導電性繊維の直径が、第1の電極シートおよび第2の電極シートの厚さより小さいと、このような接触状態の不規則性に伴う、圧力に対する抵抗値変化のばらつきを抑制することができる。
【0024】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、導電性繊維の直径が100nm~10μmであってもよい。細い導電性繊維は圧力によって接触状態が大きく変化するため、高感度である。逆に、太い導電性繊維は圧力に対する抵抗変化が低感度である。極度に細い導電性繊維は強度が低く、極度に太い導電性繊維は剛性が高い。そのため、導電性繊維の直径が当該範囲であることで、感度と柔軟性を両立することができる。
【0025】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、感圧導電層の厚さが、第1の電極シートと第2の電極シートの厚さの合計より小さくてもよく、第1の電極シートおよび第2の電極シートの厚さより小さいことが好ましい。極めてしなやかで、曲げ変形が生じても低ノイズで正確な圧力を計測するには、曲げに対してシートの剛性を低く抑えるとともに、電極における応力を低く抑えなければならない。感圧導電層を挟んで二枚の電極シートからなる圧力センサー用シートでは、感圧導電層が厚くなると、極度にシート剛性が高くなる。また、感圧導電層と電極シートとの界面での応力が大きくなるため、導電性繊維と電極の安定した接続が破壊されてしまう。感圧導電層の厚さを二枚の電極シートの厚さより小さくすることで、電極シートの屈曲時に不測の故障や精度変化を低くすることができる。これは、電極シート外面の歪に対して、導電性繊維と電極シートとの界面の歪が概略半分になるためである。更に、感圧導電層の厚さが、第1の電極シートおよび第2の電極シートの厚さより小さくなると、導電性繊維と電極の接続部の歪を可及的に低くすることができる。第1の電極シートと第2の電極シートの厚さが略同等であると、曲げが作用した時に感圧導電層に作用する歪を可及的に小さくすることができ、曲げによって圧力測定値に誤差が生じることが抑えられる。
【0026】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、第1の電極シートまたは第2の電極シートが通気性を有してもよい。通気性を持たない電極シートで、感圧導電層の両側を封止すると、密閉された空間に空気を内包することになる。密封された空気は、温度が変化すると収縮または膨張し、内部に圧力を発生させる。この内部圧力は、感圧導電層の抵抗値を変化させ、計測の誤差となる。また、電極シートを圧着積層する工程でも、内部の空気が圧縮を受け、計測の誤差を生む。電極シートが通気性を有することで、これらの内部圧力が解放され、計測誤差を生じないようにすることが可能となる。
第1の電極シートおよび第2の電極シートの両方の電極シートは、通気性を有していてもよい。通気性を有する感圧導電層に加えて、両方の電極シートに通気性を持たせることで、圧力センサー用シート全体が通気性を有する。これにより、発汗する皮膚等の表面にセンサーシートを貼りつけた時に、皮膚等からの水分の放散できる。そのため、皮膚等からの水分による、体表に作用する圧力誤差を抑制し、精密な計測を行うことができる。このような構成は、長期間装着における、不快感や障害を生じさせない計測システムを可能にする。
【0027】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、感圧導電層の厚さが、導電性繊維の直径の2倍以上、100倍以下であってもよい。感圧導電層は、導電性繊維同士の接触が圧力によって増加することにより抵抗値低下が生じる。この導電性繊維同士の接触が、圧力を抵抗値として測定できる原理の一つである。そのため、感圧導電層の厚みは、導電性繊維の2層または3層分以上に相当する厚さである必要がある。すなわち、感圧導電層の厚みは、導電性繊維の直径の2倍以上の厚さが必要である。導電性繊維の重なる層数を増やすことで、導電性繊維間の接触数が増加し、電極シートの局所的な抵抗値ばらつきを抑制する。これに対し、積層数が増えると圧力センサー用シートの曲げ剛性の増加と抵抗値の増加も引き起こす。層数を100倍以下に抑えることで、抵抗値の大きさ、抵抗値の測定精度及び機械的剛性が適切な状態になる。感圧導電層の厚さを100μm以下にすることで、柔軟な圧力センサー用シートを構成できる。
【0028】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、感圧導電層中に、非導電性繊維が混在していてもよい。圧力センサー用シートの感度を低くし、高い圧力まで計測を可能にするには、導電性材料の質量比を低くする方法や、導電性繊維を太くして剛性を高める方法がある。しかしながら、質量比を少なくすると一定した抵抗値が得られない。これに対し、繊維を太くすると圧力センサー用シートの柔軟性が損なわれる。そのため、非導電性繊維を混ぜることで、高精度に圧力と抵抗値の関係を制御することができる。非導電性繊維を混在させることで、測定したい圧力変化値に合せて、圧力センサー用シートを作製することができ、様々な用途での応用が可能となる。
【0029】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートは、第1の電極シートまたは第2の電極シートの少なくとも一方の電極が、トランジスタに接続されている。高い柔軟性を持つ圧力センサー用シートは、細かい凹凸を有する表面での計測に適している。そのため、圧力分布を高い空間分解能で計測するために、電極を多数のセグメントに分割して、複数の測定点を一つの圧力センサー用シートに配設する。電極セグメントをマトリックス状に多数配設するには、それぞれの電極セグメントをトランジスタでスイッチングすることが有効である。これにより、高機能な圧力センサーを実現できる。
【0030】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートの製造方法では、高分子材料と導電性材料とを含む分散系液体をエレクトロスピニングデポジション法で電極シート上に噴射して、導電性繊維が絡み合ってなる感圧導電層を形成する。エレクトロスピニング法は電極シート上において、導電性繊維を、特別な接着剤や処理を行うことなく結着させることができる。そのため、エレクトロスピニング法は、極細の繊維からなる感圧導電層を形成するのに好適である。
【0031】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートの製造方法では、溶媒に、第1の導電材料とイオン液体とを混合し、溶媒中に第1の導電材料が分散した第1の分散系を得る第1の工程と、溶媒に、第2の導電材料を混合し、溶媒中に第2の導電材料が分散した第2の分散系を得る第2の工程と、第1の分散系と第2の分散系を混合し、第3の分散系を得る第3の工程と、第3の分散系に高分子材料を加え、撹拌し、第4の分散系を得る第4の工程と、第4の分散系をエレクトロスピニングデポジション法で、第1の電極シート上に導電性繊維が絡み合ってなる感圧導電層を形成する第5の工程とを有する。そのため、導電性繊維中に第1の導電材料および第2の導電材料を均一に分散することができる。
【0032】
特に、第1の分散系と第2の分散系をそれぞれ別に作製することで、第1の導電材料および第2の導電材料をより均一に分散させることができる。第4の工程で、第1の導電材料および第2の導電材料が均一に分散した第3の分散系を合成した後に、高分子材料を加えることで、導電性繊維中に導電材料をより均一に分散することができる。これに対し、先に高分子材料を溶媒に溶かした後に、第1の導電材料や第2の導電材料を加えると、高分子材料を溶かした段階で溶液の粘度が上がり、均一に分散させることができない。さらに第5の工程でエレクトロスピニングデポジション法を用いることで、強い電圧で第4の分散系を引っ張るため、より導電性繊維中に第1の導電材料および第2の導電材料を均一に分散させることができる。
【0033】
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートの製造方法では、第1の電極シート上に、第1の導電性繊維が絡み合ってなる綿状の感圧導電層を形成する工程と、第2の電極シート上に、第2の導電性繊維が絡み合ってなる綿状の第2の感圧導電層を形成する工程と、前記感圧導電層と、前記第2の感圧導電層を結着する工程と、を備えてもよい。各電極シートと導電性繊維の結着を確実に行った後に、第1の感圧導電層と第2の感圧導電層を結着することで、構造的にも電気的にも安定した圧力センサー用シートを製造できる。特に、電極シート上にエレクトロスピニング法で導電性繊維を積層する方法は、特別な接着工程を用いることなく結着することができるので、極めて安定で高速な製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シートの断面を模式的に示した断面模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る感圧導電層を平面視で光学顕微鏡を用いて観察した写真である。
【図3】本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シートに対して印加された圧力に対する抵抗値の変化を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シートを二つに完全に折り曲げて、その上に重りを置いた状態の写真である。
【図5】本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シートを折り曲げた状態で、圧力センサー用シートに加える圧力を変化させた際の、流れる電流量の変化を測定したグラフである。
【図6A】本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シート上に2kPa、300Pa、80Paの圧力それぞれを1000回繰り返し印加した際の最初の10回の測定結果である。
【図6B】本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シート上に2kPa、300Pa、80Paの圧力それぞれを1000回繰り返し印加した際の最後の10回の測定結果である。
【図7】本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シートの断面模式図であって、電極シート上に導電性繊維をエレクトロスピニングデポジション法で形成した際に、導電性繊維と電極シートが接着している高分解断面透過電子顕微鏡画像(TEM画像)である。
【図8A】本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シートを構成する導電性繊維の断面を模式的に示した図である。
【図8B】本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シートを構成する導電性繊維の断面の高分解断面透過電子顕微鏡画像(TEM画像)である。
【図9】本発明の一実施形態に係る圧力センサーの断面模式図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シートの製造方法の第5工程におけるエレクトロスピニングデポジション法について示した模式図である。
【図11】本発明の圧力センサー用シート(実施例1)の写真である
【図12】実施例1と実施例2に係る圧力センサー用シートに対して印加された圧力に対する抵抗値の変化を示すグラフである。
【図13】実施例1、実施例3および実施例4の圧力センサー用シートを曲げた際の、曲げ半径に対する抵抗値変化を示したグラフである。
【図14A】実施例1の圧力センサー用シートを、シリコンチューブからなる人工血管に設置した写真である。
【図14B】実施例1の圧力センサー用シートを設置した人工血管を脈動させた際の測定結果を示す。
【図15】実施例1と実施例6に係る圧力センサー用シートに対して印加された圧力に対する抵抗値の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を適用した圧力センサー用シート、圧力センサーおよび圧力センサー用シートの製造方法について、図面を用いてその構成を説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。本発明の圧力センサー用シートおよび圧力センサーは本発明の効果を損ねない範囲で以下に記載していない層などの構成要素を備えてもよい。

【0036】
(圧力センサー用シート)
図1は、本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シートの断面を模式的に示した図である。図2は、本発明の一実施形態に係る感圧導電層を平面視で光学顕微鏡を用いて観察した写真である。

【0037】
以下、図1および図2を用いて、本発明の一実施形態に係る感圧フィルムについて説明する。圧力センサー用シート10は、第1の電極シート1aと第2の電極シート1bと、第1の電極シート1aと第2の電極シート1bの間に配置され、押しつぶされることで抵抗値が変化する導電性繊維2が絡み合ってなる綿状の感圧導電層3とを、備える。導電性繊維2は、二つの電極シートに平行な方向に配向して延在し、かつ垂直な方向に積層して配設されている。感圧導電層3は、構成する導電性繊維2の間に、空隙部を有する。ここで、導電性繊維が、高分子材料に導電性材料が分散されたものであってもよい。導電性材料は、微粒子からなり、一種類でもよく複数種類でもよい。微粒子とは、例えばナノサイズのナノ材料や、ピコサイズのピコ材料を示し、ミリメートルサイズ以下のものを意味する。

【0038】
圧力センサー用シート10に対し圧力を加えると、導電性繊維2が絡み合ってなる綿状の感圧導電層3がつぶされるため、導電性繊維2同士が密に重なり合う。またそれに伴い、第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bと、導電性繊維2との接触面積も増える。さらに導電性繊維2自体の形状も変形する。一方、圧力を弱めると、導電性繊維2同士の重なりが疎になり、第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bと、導電性繊維2との接触面積も少なくなり、かつ導電性繊維2自体の形状も元にもどる。圧力センサー用シート10では、これらの変化に伴う第1の電極シート1aと第2の電極シート1b間の抵抗値変化により、圧力変化量を測定する。すなわち、圧力センサー用シート10は、抵抗値の変化に寄与する要因が多く、非常にわずかな圧力変化に対しても敏感に応答することができる。

【0039】
図3は、圧力センサー用シート10に印加された圧力に対する抵抗値変化を示したグラフである。
圧力を加えていない状態では、導電性繊維2同士の重なりが弱いため、圧力センサー用シート10はほとんど導通せず、第1の電極シート1aと第2の電極シート1b間で1010Ωオーダーの抵抗値を示す。一方で、圧力を印加すると導電性繊維2同士の重なりが強くなり、第1の電極シート1aと第2の電極シート1b間で、圧力センサー用シート10は、10Ωオーダーの抵抗値を示す。これは、第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bと導電性繊維2の接触面が多くなるためである。つまり、この圧力センサー用シート10は、10Ωオーダーから1010Ωオーダーまでの幅広い抵抗値変化を示す。
この圧力センサー用シート10は、0~200Paの弱い圧力を加えた際の抵抗値変化が非常に顕著である。すなわち、圧力センサー用シート10は、わずかな圧力変化に対しても高感度なセンサーとして機能する。

【0040】
図2の光学顕微鏡写真で示すように、導電性繊維2は、主に圧力の印加方向に対して垂直な方向に沿って配向して延在している。つまり圧力センサー用シート10を断面視した図1においては、導電性繊維2は主に二つの電極シートに平行になるように配向している。そのため、電極シートに平行な方向に、圧力センサー用シート10をある程度横引っ張っても、抵抗値に大きな変化は生じない。そのため、圧力センサー用シート10は、高感度に圧力変化を測定することができる。
圧力センサー用シート10は、二つの電極シートに平行な方向の伸縮に対して応答量が大きく変化しないため、曲げた状態で圧力を印加した場合と伸ばした状態で圧力を印加した場合とで、ほぼ同一の応答量を得ることができる。つまり、圧力センサー用シート10は、動的な部分における圧力変化も、測定のノイズの小さい高精度な測定を行うことができる。このような高精度な測定は、例えば、従来のゴム中に導電粒子を分散させた圧力センサー用シートでは高感度に測定することができなかった。

【0041】
図4は、圧力センサー用シートを折り曲げて、その上に重りを置いた状態を示す写真である。図5は、図4の重りを取外ししたときの、抵抗値変化を示したグラフである。
図5の測定時には、二つの電極シート間に2Vの電圧を印加している。図5の測定は、測定開始から3秒後に0.4gの重りを圧力センサー用シート上に置き、測定開始から8秒後に0.4gの重りを圧力センサー用シート上から除いた。さらに、測定開始から14秒後に1.6gの重りを圧力センサー用シート上に置き、測定開始から20秒後に1. 6gの重りを圧力センサー用シート上から除いた。
図5に示すように、圧力センサー用シート10は折り曲げられた状態でも圧力が加わることで抵抗値に変化が生じている。また、0.4gの重りと1.6gの重りを置いたときでは、流れる電流量に差があり、圧力センサー用シート10は、わずかな圧力差も検出することができる。

【0042】
図2の光学顕微鏡写真で示すように、各電極シートに垂直な方向から見て、導電性繊維2は、隙間(空隙部)を有して絡まっている。そのため、この隙間を通して光を透過することができる。圧力を加えた状態での表面状態の観察や、光を用いた測定や光により刺激を加えることを圧力の印加と同時に行うことができる。

【0043】
図6A及び図6Bは、圧力センサー用シート10上に2kPa、300Pa、80Paの圧力それぞれを1000回繰り返し印加した結果である。図6Aは最初の10回の結果であり、図6Bは最後の10回の結果である。図6A及びBの結果から、信号強度は、最初の10回と最後の10回で大きな変化が生じていない。すなわち、圧力センサー用シート10は、繰り返し再現性を有する。

【0044】
第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bは、特に限定されない。例えば、金属を圧延等の方法で引き延ばしたシートでもよいし、薄いフィルム基材上に金属や透明電極等を蒸着、スパッタ等で形成したシートでもよい。透明電極は、一般に用いられるITO,IZO,AZO等を用いることができる。非常に薄膜の金属を蒸着、スパッタ等することで、透明電極としてもよい。
第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bは、透明電極であることが好ましい。前述のように導電性繊維2は空隙部を有し、光を透過する。そのため、電極を透明にすることで、光を透過する圧力センサー用シートを実現することができる。これにより、圧力計測箇所を、圧力センサー用シートを透過して観察することができる。また、圧力計測と圧力センサー用シート上からの光計測を同時に行えるなど、多様な計測への展開が可能となる。

【0045】
フィルム基材上に金属、透明電極等を蒸着、スパッタ等をする場合、そのフィルム基材の厚みは1μm以上15μm以下であることが好ましく、1μm以上5μm以下であることがより好ましい。このフィルム基材が1μm以上であれば、フィルム基材を安定的に生産することができ、かつ十分なフィルム強度を得ることができる。一方、15μm以下であれば、金属シートを折り曲げたときと、折り曲げた状態から伸ばしたときとで、同じ曲げ半径において、圧力センサー用シート10がほぼ同一の抵抗値を示す。そのため、曲げ伸ばし等の動作にも、十分適応することができる圧力センサー用シート10を得ることができる。さらに、5μm以下であれば、圧力センサー用シート10を曲げた状態と伸ばした状態での抵抗値変化がほとんどない。すなわち、圧力センサー用シート10に垂直な方向の圧力にのみ感度を有することができ、曲げ伸ばし等の動作する部分に用いた際のノイズが少なくなり、高い感度を維持することができる。

【0046】
フィルム基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を用いることができる。
蒸着、スパッタ等される金属等としては、Au、Ag、Cu、Cr、Ti、Al、In、Sn、またはこれら金属の積層、透明導電材料としてITO、PEDOT/PSS等を用いることができる。

【0047】
第1の電極シート1aまたは第2の電極シート1bは、通気性を有していることが好ましい。「通気性」とは、気体の通過を完全に遮断しないことを意味する。第1の電極シート1aまたは第2の電極シート1bの通気性は、第1の電極シート1aまたは第2の電極シート1bに微小な孔を形成することで得てもよいし、通気性を有するフィルム上に第1の電極シート1aまたは第2の電極シート1bを形成してもよい。
感圧導電層3は、通気性を持たない二つの電極シートで両側を封止された場合、密閉された空間に空気を内包することになる。そのため、温度が変化すると密封された空気が収縮または膨張し、内部に圧力を発生させる。この内部圧力は、感圧導電層3の抵抗値を変化させ、計測の誤差を生み出す。また、二つの電極シートを圧着積層する工程で、内部の空気が圧縮されると、その内部圧力が計測の誤差を生む。各電極シートが通気性を有することで、これらの内部圧力が解放され、計測誤差を生じないようにすることが可能となる。
通気性を有する感圧導電層3に加えて、第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bに通気性を有することがより好ましい。第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bが通気性を有することで、圧力センサー用シート10全体が通気性を有することができる。これにより、発汗する皮膚表面にセンサーシートを貼りつけた時に、圧力センサー用シート10が皮膚からの水分の放散を阻害することなく、体表に作用する圧力を計測することができる。これは、長期間装着における、不快感や障害を生じさせない計測システムを可能にする。

【0048】
第1の電極シート1aと第2の電極シート1bの厚さが略同等であることが好ましい。
第1の電極シート1aと第2の電極シート1bの厚さが略同等であれば、曲げが作用した時に感圧導電層3に作用する歪を可及的に小さくすることができる。そのため、圧力センサー用シート10を曲げることによって圧力測定値に誤差が生じることが抑えられる。

【0049】
感圧導電層3を構成する導電性繊維2のうち、第1の電極シート1aまたは前記第2の電極シート1bに接触する部分の少なくとも一部が、第1の電極シート1aまたは第2の電極シート1bに結着していることが好ましい。ここで結着とは、導電性繊維2のうち、第1の電極シート1aまたは前記第2の電極シート1bに接触する導電性繊維2が、外的なエネルギーを加えられることなく、第1の電極シート1aまたは前記第2の電極シート1bに自然と接着することを意味する。具体的には、第1の電極シート1aまたは前記第2の電極シート1b上に形成された導電性繊維2中にわずかに残留した溶媒が蒸発することで、導電性繊維2の形状が変化すると共に、第1の電極シート1aまたは第2の電極シート1bに結着する。導電性繊維2と各電極シート間の接続状態が不安定であると、弱い圧力下での測定に大きなノイズが発生する。
感圧導電層3を構成する導電性繊維2のうち、第1の電極シート1aまたは第2の電極シート1bに接触する部分の少なくとも一部が、第1の電極シート1aまたは第2の電極シート1bに結着していることで、接続状態が極めて安定する。そのため、圧力センサーシート10を用いて、ノイズの少ない計測が可能となる。
感圧導電層3を構成する導電性繊維2は、第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bの両方と少なくとも一部で結着していることが好ましい。これにより導電パスを形成する第1の電極シート1a/感圧導電層3/第2の電極シート1bが、構造的に安定につながる。また構造的な安定は、電気的状態もより高く安定させる。そのため、圧力センサーシート10を用いて、ノイズのさらに少ない計測が可能になる。
また、接着剤等を用いる必要もなく、非常に簡便に圧力センサー用シート10を形成することができる。
図7は、基板上に導電性繊維2をエレクトロスピニングデポジション法でスプレーした際に、導電性繊維2と基板が結着している高分解断面透過電子顕微鏡画像(TEM画像)である。

【0050】
感圧導電層3と第2電極1bとの間に、第2の導電性繊維が絡み合ってなる第2の感圧導電層をさらに有し、導電性繊維2の第1の電極シート1aに接触する部分の少なくとも一部が第1の電極シート1aに結着し、第2の導電性繊維の第2の電極シート1bに接触する部分の少なくとも一部が第2の電極シート1bに結着していることが好ましい。
これらの二つの感圧導電層は、それぞれが各電極シートに結着しているため、感圧導電層と電極との間の接続状態が安定になり、ノイズの少ない計測が可能となる。第2の感圧導電層を構成する第2の導電性繊維は、後述する導電性繊維と同じものを用いることができる。また必ずしも同一のものを用いる必要は無く、導電性繊維と、第2の導電性繊維が異なるものでもよい。
さらに、感圧導電層と第2の感圧導電層とが接着されていることが好ましい。また感圧導電層と第2の感圧導電層とが結着されていることがより好ましい。感圧導電層と第2の感圧導電層とが接着されていることで圧力センサー用シート10が構造的に安定する。それに伴い、電気的状態もさらに高く安定し、更にノイズの少ない計測が可能となる。また感圧導電層と第2の感圧導電層が結着されていると、感圧導電層と第2の感圧導電層を電気的に阻害するものがなく、より電気的状態が高く安定し、さらにノイズの少ない計測が可能となる。
なお、ここで言う「接着」とは、本明細書において「結着」と記載する自己組織的な接合でもよく、その他の接着剤等を用いた接合でもよい。

【0051】
感圧導電層3は、導電性繊維2だけでなく、図示していない非導電性繊維を混合させてもよい。感圧導電層3中の、導電性繊維2と非導電性繊維の混合比を調整することで、容易に圧力センサー用シート10の感度を調整することができる。圧力センサー用シート10の感度を低くし、高い圧力まで計測を可能にするには、導電性材料の質量比を低くする方法や、導電性繊維2を太くして剛性を高める方法がある。しかしながら、導電性材料の質量比を少なくすると、一定した抵抗値が得られない。導電性繊維を太くすると圧力センサー用シート10の柔軟性が損なわれる。非導電性繊維を混ぜることで、高精度に圧力と抵抗値の関係を制御することができる。すなわち、測定したい圧力変化値に合せて、圧力センサー用シート10を作製することができ、様々な用途での応用が可能となる。

【0052】
感圧導電層3の厚さは、第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bの厚さの合計より小さいことが好ましく、第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bのそれぞれの厚さより小さいことがより好ましい。極めてしなやかで、曲げ変形が生じても低ノイズで正確な圧力を計測するには、曲げに対してシートの剛性を低く抑えるとともに、電極における応力を低く抑えなければならない。感圧導電層3を挟んで二枚の電極シートからなる圧力センサー用シート10では、感圧導電層3が厚くなると、極度にシート剛性が高くなる。また、導電性繊維2と各電極シートとの界面の応力が大きくなり、導電性繊維2と電極シートの安定した接続が破壊されてしまう。感圧導電層3の厚さを二枚の電極シートの厚さより小さくすると、電極シート外面の歪に対して、導電性繊維2と各電極シートとの界面の歪が概略半分になり、電極シートの屈曲時に不測の故障や精度変化を低くすることができる。更に、感圧導電層3の厚さが、第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bのそれぞれの厚さより小さくなると、導電性繊維2と各電極シートの接続部の歪を可及的に低くすることができる。

【0053】
感圧導電層3の厚さは、導電性繊維2の直径の2倍以上、100倍以下であることが好ましい。感圧導電層3は、導電性繊維2同士の接触が圧力によって増加することにより抵抗値低下が生じる。この導電性繊維2同士の接触が、圧力を抵抗値として測定できる原理の一つである。そのため、感圧導電層3の厚みは、導電性繊維2の2層または3層分以上に相当する厚さであることが好ましい。すなわち、感圧導電層3の厚みは、導電性繊維2の直径の2倍以上の厚さであることが好ましい。導電性繊維2の重なる層数を増やすことで、導電性繊維2間の接触数が増加し、電極シートの局所的な抵抗値ばらつきを抑制する。これに対し、積層数が増えると圧力センサー用シート10の曲げ剛性の増加と抵抗値の増加が起こる。層数を100倍以下に抑えることで、抵抗値の大きさ、抵抗値の測定精度及び機械的剛性が適切な状態になる。
また具体的には、100μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。感圧導電層3の厚さが100μm以下であると、フレキシブル性が高く、複雑な形状を持つ物体や動く物体にも追従することができ、高感度でかつフレキシブルな圧力センサー用シートとして機能することができる。その厚さが10μm以下であると、十分な透明性を維持することができる。

【0054】
図8A、本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シート10を構成する導電性繊維2の断面模式図であり、図8Bは、本発明の一実施形態に係る圧力センサー用シート10を構成する導電性繊維2の高分解断面透過電子顕微鏡画像(TEM画像)である。
導電性繊維2は、第1の導電性材料2aと、第2の導電性材料2bと高分子材料2cとを少なくとも有することが好ましい。第1の導電性材料2aと、第2の導電性材料2bは導電性繊維2中に均一に分散している。均一に分散していないと、導電性繊維2が良好な導電性を示すことができない。また本発明の導電性材料とは、微粒子サイズの導電性物質を構成要素とする材料をいう。

【0055】
第1の導電性材料2aは線状の導電性材料であり、第2の導電性材料2bは粒子状(鱗片状を含む)の導電性材料であることが好ましい。なお、「線状」とは、その導電性材料の直径に対して、その長さが10倍以上であることを意味する。
線状の第1の導電性材料2aは、粒子状の第2の導電性材料2bを高分子材料2c中で電気的に接続する。圧力センサー用シート10に弱い圧力が作用した場合に、線状の第1の導電性材料2aを経た導電性変化の寄与により、導電性繊維の抵抗値が低下する。この作用により、低い圧力でのセンサー感度とその安定性の向上が得られる。また、線状の第1の導電性材料2aが導電性繊維2の作成工程における粒子状の第2の導電性材料2bの分散安定性を向上させるという副次的効果も得られる。
更に、導電性繊維における、第1の導電性材料2aの質量比を、第2の導電性材料2bの質量比より小さくすることで、圧力による抵抗値変化のダイナミックレンジが極めて大きく取れる。第2の導電性材料を高質量比で分散させることで、高い圧力が作用したときに大きな抵抗値低下が得られるためである。

【0056】
第1の導電性材料2aとしては特に限定されない。例えばカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、金ナノワイヤー、銀ナノワイヤー等を用いることができる。第1の導電性材料2aとしてはカーボンナノチューブ、カーボンナノホーンであることが好ましい。カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンは、ある程度の長さを有するため、分散した第2の導電性材料2b同士の導電を助け、またその形状により第2の導電材料2bが均一に分散を補助することができると考えられる。

【0057】
カーボンナノチューブは、炭素原子が六角網目状に配列したグラフェンシートが単層または多層で円筒状に丸まった構造を有するものである。単層ナノチューブ(SWNT)、2層ナノチューブ(DWNT),多層ナノチューブ(MWNT)のいずれを用いることもでき、単層ナノチューブ(SWNT)であることが好ましい。これは、均一で品質的に安定した材料が得られることと、分散安定性が得られやすいためである。
カーボンナノチューブは一般にレーザーアブレーション法、アーク放電、熱CVD法、プラズマCVD法、気相法、燃焼法などで製造することができるが、どのような方法で製造したカーボンナノチューブを用いても構わない。

【0058】
第2の導電性材料2bは、グラフェン、金ナノフレーク、銀ナノフレーク、アルミニウムフレーク、カーボンブラック、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、銅ナノ粒子等を用いることができる。第2の導電性材料2bは、グラフェン、カーボンブラックであることが好ましい。グラフェン、カーボンブラックは導電性が非常に高く安定であるためである。

【0059】
第1の導電性材料2aと第2の導電性材料2bの組み合わせとしては、第1の導電性材料2aがカーボンナノチューブ、カーボンナノホーンであり、第2の導電性材料2bがグラフェン、カーボンブラックであることが好ましい。カーボンからなる導電性材料は、酸素や水分に対する耐久性が高く、比表面積の高い繊維で構成される感圧導電層3には最も適している。

【0060】
第2の導電性材料2bの質量比に対し、第1の導電性材料2aの質量比は少ないことが好ましい。その質量比は、第2の導電性材料2b:第1の導電性材料2aが3:1~25:1の範囲であることが好ましい。この範囲であれは、高分子材料2c中に、第1の導電性材料2aと第2の導電性材料2bとを均一に分散することができ、かつ十分な導電性繊維2の導電性を確保することができる。
特に導電性繊維における、第1の導電性材料2aの質量比が0.5wt%~5wt%であり、第2の導電性材料2bの質量比が5wt%~50wt%であることが好ましい。
第2の導電性材料2bが、導電性の主要因であるため、第2の導電性材料2bの質量比が、第1の導電性材料2aの質量比よりも多いことで、圧力センサー用シート10の抵抗値変化量を大きくすることができ、圧力センサー用シート10の感度を高くすることができる。
第1の導電性材料2aの質量比が1wt%~5wt%であり、第2の導電性材料2bの質量比が15wt%~50wt%であれば、より感度のよい圧力センサー用シート10として機能することができる。

【0061】
導電性繊維2における第1の導電性材料2aと第2の導電性材料2bとをあわせた質量比が20wt%~50wt%であることが好ましく、30wt%~40wt%であることがより好ましい。導電性繊維における第1の導電性材料2aと第2の導電性材料2bの合わせた存在比を変更すると、圧力センサー用シート10が変化できる抵抗値の値を制御することができる。第1の導電性材料2aおよび第2の導電性材料2bの合わせた存在比が20wt%より低いと、導電性繊維2に圧力印加時の導電性が劣化し、圧力センサー用シート10の感度が低下してしまう。また第1の導電性材料2aおよび第2の導電性材料2bの存在比が50wt%より大きいと、導電性繊維2中に第1の導電性材料2aおよび第2の導電性材料2bを均一に分散させることができなくなる。

【0062】
高分子材料2cは、フッ素系ゴム、ウレタン系ゴム、シリコン系ゴム等の一般に使用されているエラストマーや、アクリル、ナイロン、ポリエステル等のエラストマー以外の高分子材料も用いることができる。中でも、導電性繊維2の高分子材料2cとして、エラストマーを用いることが好ましい。エラストマーは、柔らかく大きな歪が繰り返し作用しても機械的特性の変化が極めて小さい。圧力が作用した時に、導電性繊維2同士の重なり部に大きな歪が生じるが、エラストマーを母材として使用することで、圧力センサー用シートの高い柔軟性と、高い耐久性が両立できる。
高分子材料2cに硬い物質を選択すると、圧力センサー用シート10に圧力を加えた際の導電性繊維2同士の重なりが少なくなり、圧力センサー用シート10の感度が低下する。一方、軟らかい物質を選択すると、その逆で導電性繊維2同士の重なりが大きくなるため、圧力センサー用シート10の感度を上昇させることができる。そのため、圧力センサー用シート10の使用目的によって高分子材料2cは変更することができる。

【0063】
導電性繊維2の直径は、第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bの厚さより小さいことが好ましい。導電性繊維2の直径が各電極シートより大きいと、導電性繊維2の表面に沿って各電極シートが局所的に変形し易くなる。その結果、圧力印加時に導電性繊維2と電極シートの接触状態が不規則になる。導電性繊維2の直径が、第1の電極シート1aおよび第2の電極シート1bの厚さより小さいと、このような接触状態の不規則性に伴う、圧力に対する抵抗値変化のばらつきを抑制することができる。

【0064】
導電性繊維2は、その直径が100nm~10μmであることが好ましく、200nm~2000nmであることがより好ましい。導電性繊維2の直径が変化すると、導電性繊維の剛性と比表面積と導電性繊維同士の接触面積が変化するため、圧力センサー用シート10の感度が変化する。その直径が200nm~2000nmであれば、十分感度の高い圧力センサー用シートとして機能することができる。極度に細い導電性繊維2は強度が低く、極度に太い導電性繊維2は剛性が高く、センサーシートの柔軟性を損なう。そのため、導電性繊維2の直径が当該範囲であることで、感度と柔軟性を両立することができる。

【0065】
(圧力センサー)
図9は本発明の一実施形態に係る圧力センサー100の断面模式図である。図9に示すように圧力センサー用シート10と、圧力センサー用シート10の第1の電極シート1aまたは第2の電極シート1bの少なくとも一方がトランジスタ20と接続されている。
高い柔軟性を持つ圧力センサー用シート10では、細かい凹凸を有する表面での計測に適している。そのため、圧力分布を高い空間分解能で計測するために、電極を多数のセグメントに分割して、複数の測定点を一つの圧力センサー用シート10に配設する。電極セグメントをマトリックス状に多数配設するには、それぞれの電極セグメントをトランジスタでスイッチングすることが有効である。これにより、高機能な圧力センサーを実現できる。

【0066】
圧力センサー100では、圧力センサー用シート10の抵抗値が変化することでトランジスタ20を流れる電流量が変化し、その電流値に応じた信号を外部に出力することで圧力センサー100として機能する。例えば、トランジスタ20として図9に示すような電界効果トランジスタを用いた場合、圧力印加によって圧力センサー用シート10の抵抗値が低下するため、ソース電極21とドレイン電極22間の電位差は大きくなり、流れる電流量が増加する。圧力センサー用シート10に印加する圧力と電流量との関係を予め取得しておけば、電流量に応じた信号出力の変化を読み取ることで圧力センサー100に印加された圧力量を検知することができる。

【0067】
圧力センサー100の総厚は、100μm以下であることが好ましい。100μmより薄ければ、非常にフレキシブルな圧力センサーとして複雑な形状にも追従することができる。

【0068】
トランジスタ20は、圧力センサー100をフレキシブルにするために、有機トランジスタであることが好ましい。その構造は特に限定するものではないが、例えば図9に示すような電界効果トランジスタ等を用いることができる。

【0069】
一般に、有機トランジスタのオン抵抗はMΩオーダーと高く、ソース電極21とドレイン電極22間の電位差を変動させるためには、押圧時の圧力センサー用シート10の抵抗変化は、数MΩから100kΩのオーダーで変動することが望ましいと考えられている。本実施形態に係る圧力センサー用シート10は、前述のように10Ωオーダーから1010Ωオーダーまでの幅広い抵抗値変化を示すため好適に用いることができる。

【0070】
(圧力センサー用シートの製造方法)
本発明の一態様に係る圧力センサー用シートの製造方法は、高分子材料と導電性材料とを含む分散系液体をエレクトロスピニングデポジション法で電極シート上に噴射して、導電性繊維が絡み合ってなる感圧導電層を形成する。エレクトロスピニング法は第1の電極シート上において、導電性繊維が特別な接着剤や処理を行うことなく結着させることができるため、極細の繊維からなる感圧導電層を形成するのに好適である。
圧力センサー用シートの製造方法は、溶媒に、第1の導電材料とイオン液体とを混合し、溶媒中に第1の導電材料が分散した第1の分散系を得る第1の工程と、溶媒に、第2の導電材料を混合し、溶媒中に第2の導電材料が分散した第2の分散系を得る第2の工程と、第1の分散系と第2の分散系を混合し、第3の分散系を得る第3の工程と、第3の分散系にエラストマーを加え、撹拌し、第4の分散系を得る第4の工程と、第4の分散系をエレクトロスピニングデポジション法で第1の電極シート上に導電性繊維が絡み合ってなる感圧導電層を形成する第5の工程と、を有することが好ましい。以下、第1~第5の工程を有する好ましい製造条件に基づいて圧力センサー用シートの製造方法について説明する。

【0071】
〔第1の工程〕
第1の工程は、溶媒に、第1の導電材料とイオン液体とを混合し、第1の溶媒中に第1の導電材料が分散した第1の分散系を得る。
溶媒としては、4-メチル2ペンタノン(4-methyl-2-pentanone)が好適である。第1の導電材料としては、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、金属ナノワイヤー等を用いることができる。イオン液体としては、EMIBF、DEMEBF等を用いることができる。イオン液体は、第1の導電材料同士が凝集することを防ぐ役割がある。

【0072】
第1の工程において、第1の導電性材料同士を凝集させずに、効率的に分散させるためには、せん断力を加えることが好ましい。せん断力を加える方法は特に限定するものではないが、ボールミル、ローラーミル、振動ミル、ジェットミルなどを用いることができる。

【0073】
第1の工程において、第1の溶媒に対し第1の導電材料を0.2wt%~20wt%の範囲で加えることが好ましい。第1の導電材料の割合が、0.2wt%より少ないと良好な導電性を得にくい。一方、第1の材料の割合が、20wt%より多いと均一に分散させにくい。

【0074】
第1の工程において、第1の溶媒に対しイオン液体を1wt%~20wt%の範囲で加えることが好ましい。イオン液体の割合が、1wt%より少ないと第1の導電材料同士が凝集することを十分抑制することができない。一方、イオン液体の割合が、20wt%より多いと過剰なイオン液体を除去する必要がある。

【0075】
〔第2の工程〕
第2の工程は、溶媒に、第2の導電材料を混合し、溶媒中に第2の導電材料が分散した第2の分散系を得る。
溶媒は、第1の工程の溶媒と同一のものを用いることができる。第2の導電材料としては、グラフェン、金ナノフレーク、銀ナノフレーク、アルミニウムフレーク、カーボンブラック、金ナノ粒子、銀ナノ粒子、銅ナノ粒子等を用いることができる。第2の工程においてもせん断力を加えることが好ましく、第1の工程と同一のものを用いることができる。
第2の工程においても、第1の工程と同様にイオン液体を更に、混合してもよい。

【0076】
第2の工程において、第2の溶媒に対し第2の導電材料を10wt%~80wt%の範囲で加えることが好ましく、6wt%~8wt%の範囲で加えることがより好ましい。第2の導電材料の割合が、10wt%より少ないと良好な導電性を得ることができない。一方、第2の材料の割合が、80wt%より多いと均一に分散させることができない。

【0077】
〔第3の工程〕
第3の工程は、第1の分散系と第2の分散系を混合し、第3の分散系を得る。第1の工程と第2の工程とで用いる溶媒は同一であるため、溶媒に第1の導電材料と第2の導電材料を一度に投入することも考えられる。しかしながら、一度に第1の導電材料と第2の導電材料を投入すると、それぞれが均一に溶媒中に分散しづらくなる。そのため、第1の分散系と第2の分散系をそれぞれ作製し、その後これらを混合し第3の分散系を得ることが重要である。

【0078】
第3の工程において、第1の分散系と第2の分散系を十分混ぜ合わせるために撹拌することが好ましい。この時の撹拌は機械的な撹拌で十分であり、熱等を印加する必要は無い。

【0079】
〔第4の工程〕
第4の工程は、第3の分散系にエラストマーを加え、撹拌し、第4の分散系を得る。
エラストマーとしては、フッ素系ゴム、ウレタン系ゴム、シリコン系ゴム等の一般に使用されるものを用いることができる。エラストマーの他に、アクリル、ナイロン、ポリエステル等の高分子材料も用いることができる。第3の分散系に追加するエラストマー材料を選択することで、第4の分散系の粘度が変化する。粘度が変化することで、最終的に形成される導電性繊維の直径及び硬度が変化する。これにより、圧力センサー用シートの感度が変化する。すなわち、エラストマーを変えることで圧力センサー用シートの感度を変化させることができる。

【0080】
第4の分散系におけるエラストマーの質量比は、10wt%~50wt%であることが好ましい。第4の分散系における第1の導電材料の質量比は、0.1wt%~5wt%であることが好ましく、第2の導電材料の質量比は、0.5wt%~25wt%であることが好ましい。

【0081】
エラストマーの質量比が10wt%より小さいとエレクトロスピニングの工程で溶媒蒸発に時間がかかり、良好に繊維が形成するのが難しくなる。一方、エラストマーの質量比が50wt%より大きいと粘度が高くなり、第1の導電材料および第2の導電材料を均一に分散させることが難しくなる。

【0082】
エラストマー、第1の導電材料、第2の導電材料のそれぞれの比率を、この範囲内で調整することにより、圧力センサー用シートの抵抗値の範囲や感度を調整することができる。

【0083】
第4の工程における撹拌は4時間以上行うことが好ましい。エラストマーを追加することで、溶液の粘度が上がるため、十分に撹拌する必要があるためである。

【0084】
〔第5の工程〕
第5の工程は、第4の分散系をエレクトロスピニングデポジション法で、導電性繊維を有する感圧導電層を形成する。ここで、エレクトロスピニングデポジション法について、図10を用いて説明する。

【0085】
本実施形態に係るエレクトロスピニングデポジション法では、シリンジ5のニードル5aと第1の電極シート1aの間に高電圧を印加しながら、シリンジ5中の第4の分散系4を押し出す。このときニードル5aと第1の電極シート1aの電位差によって、第4の分散系4がシリンジ5から急激に引き出され、第1の電極シート1aに向かってスプレーされる。スプレーされた第4の分散系4は、第1の電極シート1a上に導電性繊維2として綿状に堆積する。第4の分散系4の溶媒は、ニードル5aと第1の電極シート1aの間でほとんど蒸発するため、導電性繊維2中の溶媒の多くは、第1の電極シート1a上に綿状に堆積した時点でほとんど蒸発している。

【0086】
第1の電極シート1a上に堆積した導電性繊維2中の溶媒は完全に蒸発していないことが好ましい。第1の電極シート1a上に堆積した導電性繊維2中にわずかに溶媒が残っていることにより、第1の電極シート1a上で導電性繊維2中の溶媒が蒸発する。その際に導電性繊維2の形状が図7に示すようにかまぼこ状に変化し、第1の電極シート1aと導電性繊維2が結着する。これにより、余計な接着剤等を用いずに、第1の電極シート1aと導電性繊維2を結着することができ、より高感度な圧力センサーを作製することができる。そのため、ニードル5aと第1の電極シート1a間の距離は、10cm~50cmであることが好ましい。

【0087】
高分子材料と導電性材料とを含む分散系液体を、エレクトロスピニングデポジション法で第2の電極シート上に噴射して、導電性繊維が絡み合ってなる第2の感圧導電層を作製する工程と、第1の電極シート上に作製した感圧導電層と、第2の電極シート上に作製した第2の感圧導電層を結着する工程と、をさらに有してもよい。各電極シートと導電性繊維の結着を確実に行った後に、感圧導電層と第2の感圧導電層を結着することで、構造的にも電気的にも安定した圧力センサー用シートを製造できる。このときの結着は、前述と同様に溶媒の蒸発により結着してもよい。感圧導電層および第2の感圧導電層は、それぞれ絡み合った導電性繊維からなるため、感圧導電層と第2の感圧導電層とを接触させるだけでも、互いの導電性繊維が絡み合うことで結着し、十分な構造的安定性を示す。

【0088】
エレクトロスピニングデポジション法では、ニードル5aの細孔中を第4の分散系4が電位差によって素早く引き出される。このとき、第4の分散系4にせん断力が生じる為、第4の分散系4中で分散しきれず凝集している第1の導電材料および第2の導電材料の凝集を解消される。そのため、ニードル5aの細孔は、0.2mm~2mmの範囲であることが好ましい。

【0089】
電極シート上に形成する感圧導電層中に、非導電性繊維を混在させる場合、二つのシリンジにそれぞれの原料を注入し、同時にエレクトロスピニングデポジション法により感圧導電層を形成することが好ましい。エレクトロスピニングデポジション法により導電性繊維2と、非導電性繊維とを順に堆積させると、感圧導電層中に導電性を有する領域と有さない領域ができてしまい、導電性に不均一が生じてしまう。

【0090】
第4の工程後、24時間以内に第5の工程を行うことが好ましい。さらに好ましくは12時間以内に行うことが好ましい。24時間より長く、第4の分散系を放置すると、分散した第1の導電材料および第2の導電材料が再凝集する。12時間より長く第4の分散系を放置すると、ニードル5aの細孔中を通過する際のせん断力を用いても、第1の導電材料および第2の導電材料を再分散させることができなくなる。
【実施例】
【0091】
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0092】
(実施例1)
第1の工程として、4-メチル2ペンタノンからなる溶媒に、カーボンナノチューブを0.6wt%、イオン液体を2wt%の割合で混合した。この混合液を高圧ジェットミルホモジナイザー(60MPa;Nano-jet pal,JN10,Jokoh)によってせん断力を加えることで、4-メチル2ペンタノンからなる溶媒にカーボンナノチューブが均一に分散された第1の分散系を得た。
【実施例】
【0093】
同様に、第2の工程として、4-メチル2ペンタノンからなる溶媒に、グラフェンを6wt%の割合で混合した。この混合液を高圧ジェットミルホモジナイザー(60MPa;Nano-jet pal,JN10,Jokoh)によってせん断力を加えることで、4-メチル2ペンタノンからなる溶媒にグラフェンが均一に分散された第2の分散系を得た。
【実施例】
【0094】
次に第3の工程として、第1の分散系と第2の分散系をスターラーで2時間撹拌し、第3の分散系を得た。
さらに第4の工程として、フッ素系ゴムであるG-912(商品名、ダイキン工業社製)を、第3の分散系に対し、25wt%の割合で混合し、スターラーで4時間撹拌し、第4の分散系を得た。このとき第4の分散系における、エラストマーとカーボンナノチューブとグラフェンの割合はそれぞれ、0.3wt%、3wt%、25wt%であった。
【実施例】
【0095】
最後に第5の工程として、得られた第4の分散系をニードル細孔が20nmのシリンジに注入し、ニードルの先端から25cmの位置に電極シートを設置した。そして、ニードルと電極シートの間に25kVの電圧をかけ、シリンジから第4の分散系を10μl/minの速度で送り出しながら、エレクトロスピニングデポジション法により電極シート上に導電性繊維が絡み合ってなる感圧導電層を、20cm×20cm角のサイズで作製した。
得られた感圧導電層の膜厚は、4μmであった。このとき電極シートは1.4μmのPETフィルム上に、Auを50nm積層して作製した。
導電性繊維の直径は、300nm~400nmであり、導電性繊維中の第1の導電材料の質量比は、1wt%であり、第2の導電材料の質量比は、12wt%であった。
図11は実施例1の圧力センサー用シートの写真である。この圧力センサー用シートの総厚は7μmであった。
【実施例】
【0096】
(実施例2)
実施例2は、第5の工程以外は、実施例1と同様の製造方法を用いて圧力センサーを作製した。実施例2では第5の工程において、第4の分散系を注入したシリンジと共に、第4の分散系とは導電性材料を含まないことだけが異なる溶液を注入したシリンジを用意した。これら二つのシリンジから第4の分散系と導電性材料を含まない溶液とを同時にそれぞれ送り出しながら、エレクトロスピニングデポジション法により電極シート上に20cm×20cm角の感圧導電層を作製した。このとき用いたシリンジのニードル径や、ニードルと電極シートとの距離や、ニードルと電極シート間に印加する電圧は、実施例1と同一とした。
得られた感圧導電層の膜厚は、4μmであり、感圧導電層中には、非導電性繊維を、導電性繊維:非導電繊維が1:1の割合で混合した。電極シートは1.4μmのPETフィルム上に、Auを50nm積層して作製した。導電性繊維の直径は、300nm~400nmであり、導電性繊維中の第1の導電材料の質量比は、1wt%であり、第2の導電材料の質量比は、12wt%であった。得られた圧力センサーの総厚は、7μmであった。
【実施例】
【0097】
図12は、実施例1および実施例2の圧力センサー用シートに対して印加された圧力に対する抵抗値の変化を示すグラフである。
実施例1の圧力センサー用シートは、10Ωオーダーから1010Ωオーダーまでの抵抗値変化を示し、実施例2の圧力センサー用シートは、10Ωオーダーから1010Ωオーダーまでの抵抗値変化を示し、共に印加された圧力に対し、非常に大きな抵抗値変化を示している。
実施例1の圧力センサー用シートに対し、実施例2の圧力センサー用シートは抵抗値変化が小さく感度が異なっている。これは、実施例2の圧力センサー用シートは、導電性繊維と非導電性繊維が混在しており、実施例1の導電性繊維からなる圧力センサー用シートと比較して感度が鈍くなっている。すなわち、圧力センサー用シートの導電性繊維と非導電性繊維との混在割合を変化させることで、容易に圧力センサー用シートの感度を調整することができる。
【実施例】
【0098】
(実施例3)
実施例3は、有機電界効果トランジスタが、12.5μm厚のPIフィルム上に形成されていること以外は、実施例1と同様の製造方法を用いて圧力センサーを作製した。得られた圧力センサーの層厚は29μmであった。
【実施例】
【0099】
(実施例4)
実施例4は、有機電界効果トランジスタが、75μm厚のPIフィルム上に形成されていること以外は、実施例1と同様の製造方法を用いて圧力センサーを作製した。得られた圧力センサーの層厚は154μmであった。
【実施例】
【0100】
図13は、実施例1、実施例3および実施例4の圧力センサー用シートを曲げた際の、曲げ半径に対する抵抗値変化を示したグラフである。
実施例1および2は、曲げ伸ばしを行っても、同じ曲げ半径において同じ抵抗値を示しており、曲げ伸ばし等にも適応しており、フレキシブルな温度センサー用シートとして機能していることが分かる。中でも、実施例1の圧力センサー用シートは、曲げ半径が0に近づいた状態(圧力センサー用シートがほぼ二つに折り重なった状態)でも、伸ばした状態と抵抗値の値が変わらない。すなわち、圧力センサー用シートに平行方向の圧力には、ほとんど反応していないことが分かる。言い換えると、圧力センサー用シートに垂直に印加された圧力のみを正確に測ることができ、複雑な形状や、曲げ伸ばし等の動きのある物体への圧力センサー用シートとしてより適している。
【実施例】
【0101】
図14Aは、実施例1の圧力センサー用シートを、シリコンチューブからなる人工血管に設置した写真であり、図14Bはその人工血管を脈動させた際の測定結果を示す。
血管の脈動は、人工血管内に80mmHgと120mmHgの圧力で交互に液体を送ることで模擬した。図14Bで示すように、脈動に応じて、得られる電流値が変化していることがわかる。すなわち、動く物体にも適切に追従し、動く物体に加わる圧力を、高感度に測定できていることがわかる。
【実施例】
【0102】
(実施例6)
実施例6では、実施例1の第1の工程を行っていない点が異なる。すなわち、実施例6の圧力センサー用シートは、導電性繊維内の導電材料としてグラフェンのみを用いている点が、実施例1の圧力センサー用シートと異なる。
【実施例】
【0103】
図15は、実施例1と実施例6に係る圧力センサー用シートに対して印加された圧力に対する抵抗値の変化を示すグラフである。実施例6の圧力センサー用シートは、実施例1の圧力センサー用シートと比較して、圧力に対する抵抗値変化の感度は劣るが、十分圧力センサーとして機能できることを示している。
【符号の説明】
【0104】
1a 第1の電極シート、1b 第2の電極シート、2 導電性繊維、2a 第1の導電材料、2b 第1の導電材料、2c 高分子材料、3 感圧導電層、4 第4の分散系、5 シリンジ、5a ニードル、10 圧力センサー用シート、20 トランジスタ、21 ソース電極、22 ドレイン電極、100 圧力センサー
Drawing
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6A】
5
【図6B】
6
【図7】
7
【図8A】
8
【図8B】
9
【図9】
10
【図10】
11
【図11】
12
【図12】
13
【図13】
14
【図14A】
15
【図14B】
16
【図15】
17