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Specification :3次元左手系メタマテリアル

Country 日本国特許庁(JP)
Gazette 特許公報(B2)
Patent Number 特許第4644824号 (P4644824)
Publication number 特開2008-244683 (P2008-244683A)
Date of registration 平成22年12月17日(2010.12.17)
Date of issue 平成23年3月9日(2011.3.9)
Date of publication of application 平成20年10月9日(2008.10.9)
Title of the invention, or title of the device 3次元左手系メタマテリアル
IPC (International Patent Classification) H01P   3/00        (2006.01)
H01P   3/18        (2006.01)
FI (File Index) H01P 3/00
H01P 3/18
Number of claims or invention 4
Total pages 10
Application Number 特願2007-080445 (P2007-080445)
Date of filing 平成19年3月27日(2007.3.27)
Date of request for substantive examination 平成21年11月9日(2009.11.9)
Patentee, or owner of utility model right 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
Inventor, or creator of device 【氏名】真田 篤志
Examiner 【審査官】佐藤 当秀
Document or reference 特開2006-350232(JP,A)
特開2006-114489(JP,A)
特開2004-120260(JP,A)
特開2003-078341(JP,A)
Field of search G02B 5/30
H01B 3/00
H01P 3/00- 3/20
Scope of claims 【請求項1】
立方体の単位格子(4)を3次元空間の互いに直交する3方向に繰り返し配置した構造の3次元左手系メタマテリアルであって、
前記単位格子(4)の各頂点を前記3方向に連結する第1腕部(1)の集合からなる第1格子体(10)と、
前記単位格子(4)の各中心点を前記3方向に連結する第2腕部(2)の集合からなる第2格子体(20)とを有し、
前記第1格子体(10)および前記第2格子体(20)は、それぞれ導体からなるものであり、かつ、互いに他と接触しないように間隙を持って配置されているものである3次元左手系メタマテリアル。
【請求項2】
請求項1に記載した3次元左手系メタマテリアルであって、
前記第1腕部(1)および前記第2腕部(2)は、両端部の近傍が細く形成され、中央部が太く形成されたものである3次元左手系メタマテリアル。
【請求項3】
請求項2に記載した3次元左手系メタマテリアルであって、
前記第1腕部(1)の中央部の太い部分の断面形状は正方形であり、その1辺の寸法が前記単位格子(4)の1辺の寸法の0.30~0.49倍である3次元左手系メタマテリアル。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載した3次元左手系メタマテリアルであって、
前記第1腕部(1)および前記第2腕部(2)は、中央部の太い部分の太さが両端部の細い部分の太さの3倍以上のものである3次元左手系メタマテリアル。
Detailed description of the invention 【技術分野】
【0001】
本発明は電磁波を伝播させるための人工的な媒質(メタマテリアル)に関し、詳しくは、3次元の電磁波伝播媒質として機能し、媒質の等価的な誘電率と透磁率の両者が負となる3次元左手系メタマテリアルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属、誘電体、磁性体、超伝導体などの小片(単位構造体)を、波長に対して十分短い間隔(波長の10分の1程度以下)で並べることで自然にはない性質を持った媒質を人工的に構成することができる。この媒質を自然にある媒質のカテゴリに比べてより大きいカテゴリに属する媒質と言う意味でメタマテリアル(metamaterials)と呼んでいる。メタマテリアルの性質は、単位構造体の形状、材質およびそれらの配置により様々に変化する。
【0003】
中でも、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に負となるメタマテリアルは、その電界と磁界と波数ベクトルが左手系をなすことから「左手系媒質(LHM:Left-Handed Materials)」と名付けられた。この左手系媒質を本明細書においては左手系メタマテリアルと呼ぶ。これに対して、等価的な誘電率εと透磁率μとが同時に正となる通常の媒質は「右手系媒質(RHM:Right-Handed Materials)」と呼ばれる。これら誘電率ε、透磁率μと媒質との関係領域は、図1に示すように、誘電率εの正負および透磁率μの正負に応じた第1象限~第4象限の媒質に分類できる。右手系媒質は第1象限の媒質であり、左手系媒質は第3象限の媒質である。
【0004】
特に、左手系メタマテリアルは、波の群速度(エネルギーの伝播する速度)と位相速度(位相の進む速度)の符号が逆転している波(バックワード波と呼ばれる)の存在や、また、非伝播領域で指数関数的に減衰する波であるエバネセント波の増幅、等の特異な性質を持つものである。そして、左手系メタマテリアルによるバックワード波を伝送する線路を人工的に構成することができる。このことは、下記の非特許文献1、非特許文献2にも記載されているように公知である。
【0005】
この左手系媒質構成の概念に基づき、金属パターンからなる単位セルを周期的に並べてバックワード波を伝播させる線路が提案されている。これまで、その伝送特性が理論的に取り扱われ、この線路が左手系伝送帯域を持つこと、左手系伝送帯域と右手系伝送帯域との間にバンドギャップが生じること、そのバンドギャップ幅は単位セル中のリアクタンスによりコントロールすることができること等が理論的に明らかになっている。これらに関しては、下記の非特許文献3に記載されている。

【非特許文献1】D. R. Smith, W. J. Padilla, D. C.Vier, S. C. Nemat-Nasser, and S. Schultz, “Composite medium with simultaneouslynegative permeability and permittivity,” Phys. Rev. Lett., vol. 84, no. 18,pp.4184-4187, May 2000
【非特許文献2】C. Caloz, and T. Itoh,“Application of the transmission line theory of left-handed (LH) materials tothe realization of a microstrip LH line”, IEEE-APS Int'l Symp. Digest, vol. 2,pp. 412-415, June 2002
【非特許文献3】Atsushi Sanada, Chritophe Calozand Tatsuo Itoh,“Characteristics of the Composite Right/Left-HandedTransmission Lines,” IEEE Microwave and Wireless Component Letters, Vol.14,No.2, pp. 68-70, February 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
左手系メタマテリアルは、その構成上から共振型と非共振型に大別できる。最初に作成された左手系メタマテリアルは共振型である。共振型の左手系メタマテリアルは、人工誘電体の誘電率および人工磁性体の透磁率が、共振周波数の近傍でともに負になる領域を使用するものである。このため、左手系媒質として機能する周波数帯域幅が狭いという欠点がある。さらに、共振周波数の近傍周波数を使用するため損失が大きくなるという欠点がある。
【0007】
これに対して、非共振型の左手系メタマテリアルは、通常の媒質における伝送線路の分布定数インダクタンス(L)、分布定数キャパシタンス(C)を逆に配置した伝送線路の特性に基づいている。このような分布定数LCを逆転させた伝送線路においては、前述のバックワード波が伝送され、左手系メタマテリアルとしての性質を持つのである。非共振型の左手系メタマテリアルは、共振型と比較すると、左手系媒質として機能する周波数帯域幅が広く、損失が小さくなるという特徴がある。
【0008】
非共振型の左手系メタマテリアルとしては、集中定数LC素子(チップインダクタ、チップコンデンサ等)を使用した伝送回路や、伝送路に周期的な構造を配置した分布定数型の媒質があった。しかし、集中定数LC素子を使用したものは動作周波数に上限(素子の自己共振周波数以下でのみ動作可能)があるという問題点があり、数GHz以上で動作する左手系メタマテリアルは実現困難であった。また、集中定数LC素子を多数使用するため製作が困難であり、製造コストも高くなる。
【0009】
いずれにしても、非共振型の左手系メタマテリアルは、1次元または2次元の電磁波伝播媒質として機能するものに限られていた。3次元の電磁波伝播媒質として機能する非共振型の左手系メタマテリアルはこれまで実現されていない。
【0010】
そこで、本発明は、3次元の電磁波伝播媒質として機能し、媒質の等価的な誘電率と透磁率の両者が同時に負の値となる非共振型の3次元左手系メタマテリアルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の3次元左手系メタマテリアルは、立方体の単位格子を3次元空間の互いに直交する3方向に繰り返し配置した構造の3次元左手系メタマテリアルであって、前記単位格子の各頂点を前記3方向に連結する第1腕部の集合からなる第1格子体と、前記単位格子の各中心点を前記3方向に連結する第2腕部の集合からなる第2格子体とを有する。そして、前記第1格子体および前記第2格子体は、それぞれ導体からなるものであり、かつ、互いに他と接触しないように間隙を持って配置されているものである。
【0012】
また、上記の3次元左手系メタマテリアルにおいて、前記第1腕部および前記第2腕部は、両端部の近傍が細く形成され、中央部が太く形成されたものであることが好ましい。
【0013】
また、上記の3次元左手系メタマテリアルにおいて、前記第1腕部の中央部の太い部分の断面形状は正方形であり、その1辺の寸法が前記単位格子の1辺の寸法の0.30~0.49倍であることが好ましい。
【0014】
また、上記の3次元左手系メタマテリアルにおいて、前記第1腕部および前記第2腕部は、中央部の太い部分の太さが両端部の細い部分の太さの3倍以上のものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。
【0016】
本発明によれば、3次元の電磁波伝播媒質として機能し、媒質の等価的な誘電率と透磁率の両者が同時に負の値となる非共振型の3次元左手系メタマテリアルを実現することができる。非共振型であるため、左手系媒質として機能する周波数帯域幅が広く低損失である。また、その3次元左手系メタマテリアルを利用してスーパーレンズやスーパーレンズを使用したレンズアンテナや、分散特性を利用したカプラや共振器などの種々の応用機器を実現することができる。
【0017】
第1腕部および第2腕部の中央部の太い部分の太さ寸法を単位格子の1辺の寸法の0.30~0.49倍とすることにより、動作周波数を低下させることができる。換言すれば、電磁波の波長と比較した単位構造体の寸法を小さくでき、左手系メタマテリアルをより均一媒質に近付けることができる。
【0018】
第1腕部および第2腕部の中央部の太い部分の太さを両端部の細い部分の太さの3倍以上とすることにより、動作周波数を低下させることができる。換言すれば、電磁波の波長と比較した単位構造体の寸法を小さくでき、左手系メタマテリアルをより均一媒質に近付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図2は、本発明のメタマテリアル3の構成を示す斜視図である。図2では、メタマテリアル3の全体構成を示すために、細部の形状は正確に表示されていない。メタマテリアル3は、立方体の単位格子4(図3、図4参照)を3次元空間の互いに直交する3方向(xyz軸方向)に繰り返し配置した構造となっている。なお、図2は、メタマテリアル3を単位格子4の境界面で切断した状態を表している。図2では、3×3×3=27個の単位格子4のみが表示されているが、実際のメタマテリアルではさらに多数の単位格子4が配列される。
【0020】
図3は、メタマテリアル3を上方(z軸+側)から見た平面図である。単位格子4を二点鎖線で表示しており、単位格子4の頂点41と中心点40も表示している。単位格子4は立方体であり、その各頂点41をxyz軸それぞれの方向に連結する第1腕部1によって第1格子体10(図5参照)が形成されている。すなわち、第1格子体10は、メタマテリアル3内部の各頂点41において6本の第1腕部1が連結されたものである。第1腕部1および第1格子体10は、導体(典型的には金属)からなるものである。
【0021】
また、隣接する単位格子4の中心点40をxyz軸それぞれの方向に連結する第2腕部2によって第2格子体20(図6参照)が形成されている。第2格子体20も、メタマテリアル3内部の各中心点40において6本の第2腕部2が連結されている。第2腕部2および第2格子体20も、導体(典型的には金属)からなるものである。第1格子体10は全体が導体からなり電気的に接続されている。また、第2格子体20も全体が導体からなり電気的に接続されている。
【0022】
しかし、第1格子体10と第2格子体20とは、互いに間隙を有し接触しないように配置されている。すなわち、第1格子体10と第2格子体20とは、直流的には絶縁されている。第1格子体10と第2格子体20とは、全体が絶縁体内に埋め込まれてもよいし、その一部が絶縁体によって固定され位置決めされていてもよい。
【0023】
図4は、1つの単位格子4によって切断された第1腕部1および第2腕部2の構成を示す斜視図である。なお、図2および図4において、第2腕部2の切断面はハッチングを付して表示している。図4では、第1腕部1の集合した第1格子体10と、第2腕部2の集合した第2格子体20とが、互いに接触しないように間隙を有して配置されていることが示されている。
【0024】
図5は、第1腕部1の集合した第1格子体10を上方(z軸+側)から見た平面図である。第1腕部1は、互いに隣接配置された単位格子4の各頂点41をxyz軸それぞれの方向に連結するものである。これらの第1腕部1が集合して第1格子体10を形成している。
【0025】
図6は、第2腕部2の集合した第2格子体20を上方(z軸+側)から見た平面図である。第2腕部2は、互いに隣接配置された単位格子4の各中心点40をxyz軸それぞれの方向に連結するものである。これらの第2腕部2が集合して第2格子体20を形成している。
【0026】
この第1腕部1と第2腕部2とは、全く同じ形状に形成されている。また、第1格子体10と第2格子体20に関しても、両者は実は同等の構成である。第1格子体10と第2格子体20とは、互いに構成は同等であり、一方は他方を所定量だけ平行移動した位置に配置されているのである。平行移動のベクトルは単位格子4の中心点40と頂点41とを結ぶベクトルとなる。
【0027】
図7は、第1腕部1の構成を示す斜視図である。第1腕部1は連結点(頂点41)側が細く形成されており、中央部が太く形成されている。中央部は立方体を形成しており、その立方体の1辺の長さは単位格子4の1辺の長さの1/2より小さい。なお、この図は第1腕部1の形状を示しているが、第2腕部2も全く同じ形状である。
【0028】
図8は、第1腕部1の各部の寸法を示す平面図である。図示のように、単位格子4の頂点41間の距離(単位格子4の配列ピッチ)を寸法Pとし、第1腕部1の中央部の立方体の各辺の長さを寸法Aとする。そして、第1腕部1の連結点側部分の長さを寸法Bとし、連結点側部分の太さを寸法Cとする。連結点側部分は、断面形状が正方形(1辺の長さが寸法C)の四角柱である。寸法Bは、寸法Pと寸法Aによって次の式1のように表される。
【0029】
B=(P-A)/2 ・・・ 式1
また、第1腕部1の中央部の立方体と、第2腕部2の中央部の立方体との間の間隙の大きさを寸法Gとすると、寸法Gは、寸法Pと寸法Aによって次の式2のように表される。式2は、図3から導き出される。
【0030】
G=P/2-A ・・・ 式2
図3に示されるように、第1腕部1の立方体の寸法Aは、単位格子4の配列ピッチの寸法Pの1/2よりもやや小さく設定される。例えば、A=0.4Pとすれば、式1、式2より、B=0.3P,G=0.1Pとなる。なお、図8は第1腕部1の形状・寸法を示しているが、第2腕部2も全く同じ形状・寸法である。
【0031】
以上のようなメタマテリアル3は、隣接する第1腕部1の立方体と第2腕部2の立方体との間にキャパシタンスを持ち、かつ、第1腕部1および第2腕部2の両端連結部によるインダクタンスを持つ。このため、メタマテリアル3が非共振型の左手系メタマテリアルの特性を示すものと考えられる。
【0032】
このようなメタマテリアル3の各部の寸法の実例を示す。第1腕部1および第2腕部2の寸法P:10.0mm、寸法A:4.0mm、寸法B:3.0mm、寸法C:1.0mmとする。このとき、第1腕部1の中央部と第2腕部2の中央部との間の間隙は寸法G:1.0mmとなる。このような寸法・配置のメタマテリアル3は、後述のように5.0~8.0GHz付近で左手系媒質の特性を示す伝播モードを持つ。なお、この寸法例は一例であり、他の任意の寸法とすることができる。メタマテリアルの寸法・配置を変更すれば、左手系媒質の特性を示す周波数も変化する。
【0033】
図9に、上記の寸法・配置によるメタマテリアル3の分散特性を示す。これは図3、図4の単位格子4においてx,y,z軸方向に周期境界条件を与えて計算した有限要素法による電磁界シミュレーション結果である。x軸方向の波数をkx、y軸方向の波数をky、z軸方向の波数をkzとすると、伝搬定数βは、β=(kx2+ky2+kz21/2である。図5の横軸のΓ、X、MおよびRはそれぞれ波数(kx,ky,kz)空間上の高対称点すなわち点Γ(0,0,0)、点X(π/P,0,0)、点M(π/P,π/P,0)、点R(π/P,π/P,π/P)である。ただし、πは円周率、Pは単位格子4の配列ピッチである。
【0034】
Γ-X区間はβをkx=0→π/Pかつky=kz=0なる関係で変化させた区間を、X-M区間はβをkx=π/P,ky=0→π/P,kz=0なる関係で変化させた区間を示す。また、M-R区間はβをkx=ky=π/P,kz=0→π/Pなる関係で変化させた区間を、およびR-Γ区間はβをkx=ky=kz,kx=π/P→0なる関係で変化させた区間をそれぞれ示す。
【0035】
また図9の縦軸は周波数fである。この分散曲線のΓ-X区間およびR-Γ区間中の任意の点において、点Γから引いた直線の傾きに2πを乗じたもの2πf/β(=ω/β;ωは角周波数)は位相速度(vp)を示し、またこの点における接線の傾きに2πを乗じたもの2π∂f/∂β(=∂ω/∂β)は群速度(vg)を示す。
【0036】
本分散曲線のΓ-X区間およびR-Γ区間において、βの絶対値が増加するに従って周波数が低くなる領域を持つ伝播モードがある。例えば、Γ-X区間の下から2番目のモードがそうである。これらの領域では群速度と位相速度との符号が異なるバックワード波が伝播することが分かる。これは、この領域でメタマテリアル3が左手系媒質の特性となっていることを示すものである。すなわち、この伝播モードにおいてはメタマテリアル3が5.0~8.0GHz付近で左手系媒質の特性を示す。
【0037】
以上のメタマテリアル3において、第1腕部1および第2腕部2の両端部の連結点側部分の形状は断面が正方形の四角柱としているが、断面形状はどのようなものでもよく円や任意の多角形とすることもできる。また、連結点側部分の太さ(断面寸法)は小さくするほど左手系媒質として動作する周波数が低下し、メタマテリアル3がより均質媒質として機能することが分かっている。具体的には、中央部の太さ(寸法A)が両端部の太さ(寸法C)の3倍以上であることが好ましい。
【0038】
また、第1腕部1の中央部と第2腕部2の中央部との間の間隙の寸法Gは、小さい方が左手系媒質として動作する周波数が低下し、メタマテリアル3がより均質媒質として機能することが分かっている。具体的には、G≦0.2Pであることが好ましい。すなわち、中央部立方体の寸法Aは、式2より、A≧0.3Pであることが好ましい。メタマテリアル3の製造しやすさを考慮に入れれば、0.01P≦G≦0.2Pの範囲、すなわち0.3P≦A≦0.49Pの範囲が実用範囲と考えられる。
【0039】
単位格子4は直交3軸(xyz軸)方向に等間隔で周期的に配置されていることが望ましい。しかし、単位格子4の位置および内部構造各部の寸法が厳密に正確な周期性を持っていなくとも、左手系メタマテリアルとしての特性を示し、ある程度の範囲での位置ずれおよび寸法誤差は許容される。
【0040】
以上のように、本発明によれば、3次元の電磁波伝播媒質として機能し、媒質の等価的な誘電率と透磁率の両者が同時に負の値となる非共振型の3次元左手系メタマテリアルを実現することができる。非共振型であるため、左手系媒質として機能する周波数帯域幅が広く低損失である。
【0041】
なお、本発明の実施の形態においては、第1腕部1と第2腕部2の中央部に立方体形状の太い部分を形成しているが、これらの太い部分は必ずしも立方体でなくともよく、例えば直方体などでもよい。さらに、第1腕部1と第2腕部2の中央部に太い部分を形成せずに、全体を同じ太さとしてもよい。ただし、全体を同じ太さにした場合には、左手系媒質として機能する領域が減少することがあり、太さの範囲にも制限が加わる。
【0042】
以上のような、3次元左手系メタマテリアルの応用例としては、媒質が負の屈折率となることを利用したレンズがある。この負屈折率レンズは結像した像の分解能が波源の大きさ以下となり、いわゆるスーパーレンズとして動作する。スーパーレンズとは、分解能が波の回折限界(波長程度)を超えて高くなるレンズである。通常の右手系媒質によるレンズでは、結像の分解能は波の回折限界によって波源の波長よりも大きくなってしまう。3次元左手系メタマテリアルの応用例としては、さらに、上記のスーパーレンズによる短波長領域での高分解能フォトリソグラフィや、負屈折率を利用したビーム走査アンテナ、分散特性を利用したカプラや共振器など種々のデバイスが考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、3次元の電磁波伝播媒質として機能し、媒質の等価的な誘電率と透磁率の両者が同時に負の値となる非共振型の3次元左手系メタマテリアルを実現することができる。また、その3次元左手系メタマテリアルを利用してスーパーレンズやスーパーレンズによる高分解能フォトリソグラフィや、分散特性を利用したカプラや共振器などの種々の応用機器・デバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】誘電率ε、透磁率μの正負領域と媒質との関係を示す図である。
【図2】本発明のメタマテリアル3の構成を示す斜視図である。
【図3】メタマテリアル3を上方から見た平面図である。
【図4】1つの単位格子4によって切断された第1腕部1および第2腕部2の構成を示す斜視図である。
【図5】第1腕部1の集合した第1格子体10を上方から見た平面図である。
【図6】第2腕部2の集合した第2格子体20を上方から見た平面図である。
【図7】第1腕部1の構成を示す斜視図である。
【図8】第1腕部1の各部の寸法を示す平面図である。
【図9】メタマテリアル3の分散特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0045】
1 第1腕部
2 第2腕部
3 メタマテリアル
4 単位格子
10 第1格子体
20 第2格子体
40 中心点
41 頂点
Drawing
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8