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Specification :燃料改質装置、一酸化炭素の選択的メタン化方法、一酸化炭素の選択的メタン化触媒及びその製造方法

Country 日本国特許庁(JP)
Gazette 特許公報(B2)
Patent Number 特許第5810421号 (P5810421)
Date of registration 平成27年10月2日(2015.10.2)
Date of issue 平成27年11月11日(2015.11.11)
Title of the invention, or title of the device 燃料改質装置、一酸化炭素の選択的メタン化方法、一酸化炭素の選択的メタン化触媒及びその製造方法
IPC (International Patent Classification) B01J  23/89        (2006.01)
B01J  27/06        (2006.01)
B01J  27/053       (2006.01)
H01M   8/06        (2006.01)
C01B   3/38        (2006.01)
H01M   8/10        (2006.01)
FI (File Index) B01J 23/89 M
B01J 27/06 M
B01J 27/053 M
H01M 8/06 G
C01B 3/38
H01M 8/10
Number of claims or invention 13
Total pages 29
Application Number 特願2012-514857 (P2012-514857)
Date of filing 平成23年5月12日(2011.5.12)
International application number PCT/JP2011/061468
International publication number WO2011/142481
Date of international publication 平成23年11月17日(2011.11.17)
Application number of the priority 2010111530
Priority date 平成22年5月13日(2010.5.13)
Claim of priority (country) 日本国(JP)
Date of request for substantive examination 平成24年10月23日(2012.10.23)
Patentee, or owner of utility model right 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
Inventor, or creator of device 【氏名】東山 和寿
【氏名】宮尾 敏広
【氏名】渡辺 政廣
【氏名】山下 壽生
【氏名】八木 清
【氏名】陳 愛華
Representative 【識別番号】100080322、【弁理士】、【氏名又は名称】牛久 健司
【識別番号】100104651、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 正
【識別番号】100114786、【弁理士】、【氏名又は名称】高城 貞晶
Examiner 【審査官】佐藤 哲
Document or reference 特開2006-062934(JP,A)
特開昭63-005034(JP,A)
特開2008-056539(JP,A)
特開2008-104906(JP,A)
国際公開第2005/094988(WO,A1)
Field of search B01J 21/00 - 38/74
C01B 3/00 - 3/58
H01M 8/06
H01M 8/10
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
Scope of claims 【請求項1】
一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する水素ガス中の一酸化炭素を選択的にメタン化する触媒であって、この触媒は酸化物担体に担持された活性成分が第8,9,10及び11族の第4周期から第6周期までの金属から選ばれた少なくとも一つであり、前記触媒に、バナジウム酸化物が、二酸化炭素のメタン化反応抑制剤として付着又は吸着していることを特徴とする一酸化炭素の選択的メタン化触媒。
【請求項2】
燃料電池に供給する水素ガスを炭化水素燃料から製造する燃料改質装置において、
改質途上の一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する水素ガス中の一酸化炭素を選択的にメタン化する一酸化炭素選択メタン化反応器を備え、
前記一酸化炭素選択メタン化反応器は、請求項1に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒を含む、
燃料改質装置。
【請求項3】
前記メタン化反応抑制剤の原料を含むガス又は溶液を、前記一酸化炭素選択メタン化反応器に補給する装置をさらに備えた請求項に記載の燃料改質装置。
【請求項4】
燃料電池に供給する水素ガスを炭化水素燃料から製造する燃料改質プロセスにおいて、
改質途上の一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する水素ガス中の一酸化炭素を、請求項1に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒に接触させて選択的にメタン化する、
一酸化炭素の選択的メタン化方法。
【請求項5】
燃料電池に供給する水素ガスを炭化水素燃料から製造する燃料改質プロセスにおいて、
改質途上の一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する水素ガスに対して、該水素ガス中の一酸化炭素を、請求項1に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒に接触させて 225℃を超える高温の反応温度で選択的にメタン化する、
一酸化炭素の選択的メタン化方法。
【請求項6】
前記メタン化反応抑制剤の原料を含むガス又は溶液を、前記触媒に補給することを特徴とする請求項に記載の一酸化炭素の選択的メタン化方法。
【請求項7】
前記活性成分はニッケル、ルテニウム、白金のうち少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒。
【請求項8】
前記酸化物担体は、ニッケル、アルミニウム、チタン、シリコン、ジルコニウム、セリウムのうち少なくとも一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒。
【請求項9】
前記活性成分として選ばれた金属の表面に吸着する二酸化炭素の脱離活性化エネルギーが10kJ/mol以下であることを特徴とする請求項1に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒。
【請求項10】
前記触媒のフーリエ変換赤外分光スペクトルによるCO吸着においてリニア型CO吸着のピーク面積を1.0としたときにCO2吸着のリニア型CO吸着のピーク面積が0.01~0.15であることを特徴とする請求項1に記載の一酸化炭素の選択的メタン化触媒。
【請求項11】
酸化物担体を作製する工程、触媒活性成分を添加する工程、ハロゲン(ただし、活性金属の塩化物から生じる塩素を除く)、無機酸(ただし、活性金属の無機酸塩から生じる塩酸、硫酸、硝酸を除く)、バナジウム酸アンモニウム及びホウ酸アンモニウムから選ばれた少なくとも一つを二酸化炭素のメタン化反応抑制剤の原料として添加する工程、ならびに前記添加工程の後の焼成工程からなることを特徴とする一酸化炭素の選択的メタン化触媒の製造方法。
【請求項12】
酸化物担体を作製する工程、触媒活性成分を添加する工程、ハロゲン、無機酸、バナジウム酸アンモニウム及びホウ酸アンモニウムから選ばれた少なくとも一つを二酸化炭素のメタン化反応抑制剤の原料として添加する工程、ならびに前記添加工程の後の焼成工程からなり、
酸化物担体及び二酸化炭素のメタン化反応抑制剤の原料が溶解する溶液から共沈法により前記酸化物担体及びメタン化反応抑制剤の原料からの析出物を析出させることにより、酸化物担体を作製する工程と二酸化炭素のメタン化反応抑制剤の前記原料を添加する工程と同時に行うことを特徴とする一酸化炭素の選択的メタン化触媒の製造方法。
【請求項13】
酸化物担体を作製する工程、触媒活性成分を添加する工程、二酸化炭素のメタン化反応抑制剤の原料として、塩素を酸化物担体及び触媒活性成分の総量に対して 0.2重量%以上、 1.0重量%以下を添加する工程、ならびに添加工程の後の焼成工程からなることを特徴とする一酸化炭素の選択的メタン化触媒の製造方法。
Detailed description of the invention 【技術分野】
【0001】
本発明は、天然ガス、LPG、灯油など各種の炭化水素燃料から水素ガスを製造する燃料改質装置、ならびに燃料改質の際、副生ガスとして生成される一酸化炭素(以下「CO」と記す。)及び二酸化炭素(以下「CO」と記す。)のうちCOを選択的にメタン(以下「CH」と記す。)に転換する方法、その方法で用いる触媒及び同触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子形燃料電池は80℃程度の低温で運転するため、燃料である水素リッチガス中に一酸化炭素が、あるレベル以上含まれていると、アノード白金触媒のCO被毒により、発電性能が低下したり遂には全く発電ができなくなったりするという問題が生じる。
このCO被毒を回避するため、都市ガス、LPガス又は灯油などを燃料改質器で水素リッチガスに転換して使用する家庭用固体高分子形燃料電池発電システムでは、燃料電池アノード入口ガスのCO濃度を常に10ppm以下に抑えることが望まれる。実システムの多くは、燃料改質プロセスの最終段階で生成ガスに空気を混合しガス中に含まれるCOをCOに酸化するCO選択酸化触媒を採用している。
CO + 1/2 O = CO (反応式1)
この触媒では反応式1に示すように外部から常に空気を取り込む必要があるため、空気ブロアやその制御システム、更には供給した空気を反応ガスと均一に混合するための複雑なガス混合構造体を燃料改質器に設置する必要がある。
最近、このCO選択酸化触媒に変わる新たな方法として、CO選択メタン化触媒が注目されている。特開平3-93602号公報、特開2007-252988号公報等にCO選択メタン化触媒が開示されている。更に特許第3865479号公報には、CO選択酸化触媒にCO選択メタン化触媒を組み合わせた方式も提案されている。
CO選択メタン化触媒は、反応式2に示すようにCOをHと反応させ白金電極触媒には無害なCHにするものであるため、外部から空気を供給する必要がない。
CO + 3H = CH + HO (反応式2)
ここで、COのメタン化反応には、反応式3に示すCOのメタン化反応が副反応として同時に起こる。COはCOに比べ高濃度で存在するため、COのメタン化反応が起こるとHを大量に消費することになり、その上発熱反応であるため、熱的な暴走を起こす恐れがある。
CO + 4H = CH + 2HO (反応式3)
このため、CO選択メタン化触媒ではCOのメタン化活性が高く、かつCOのメタン化活性が低い(CO選択性が高い)ことが要求される。またCOがHと反応してCOを生成する反応式4の逆水性シフト反応も高温度域では無視できなくなりその抑制も必要である。
CO + 2H = CO + 2HO (反応式4)
COの選択的メタン化触媒に関する研究として、Applied Catalysis A,326(2007)213-218(Robert A.Dagle et al.)、触媒,51(2009)135-137(宮尾敏広他)、第105回触媒討論会討論会予稿集,No.1 P29,京都,2010.3/24-25(浦崎浩平他)があり、これらはCOの選択的メタン化触媒としてRu/Al、Ru/NiAl、Ni/TiOが高いメタン活性を示すと同時にCO/CO選択性が高いことを報告している。
第104回触媒討論会予稿,No.4F06,宮崎,2009.9/27-30(小森信吾他)の報告では、1wt%Ru/Ni-Al系酸化物のCO選択メタン化触媒について、1kW燃料改質器を用いた実機サイズ触媒の性能評価試験を行い6時間に亘り安定な性能を示したことを報告している。
天然ガス、LPG、灯油など各種の炭化水素燃料から製造する水素ガスに含まれるCOをCHに転換する一方、COのメタン化反応は極力低レベルに抑制し、さらに長寿命化が期待できる新たな触媒が望まれている。共存するCOの入口濃度はCOの10倍近くあり、長期間の運転においても、COのメタン化反応や逆水性シフト反応が十分に低レベルに維持されることが必要であるからである。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、一酸化炭素を選択的にメタンに転換するとともに二酸化炭素のメタン化反応については選択的に抑制する新たな触媒及びその製造方法を提供するものである。
本発明はまた、前記触媒を用いた一酸化炭素の選択的メタン化方法、および前記触媒を利用した燃料改質装置を提供するものである。
本発明による一酸化炭素の選択的メタン化触媒は、一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する水素ガス中の一酸化炭素を選択的にメタン化する触媒であって、この触媒は酸化物担体に担持された活性成分が貴金属及び遷移金属から選ばれた少なくとも一つであり、前記触媒に、ハロゲン、無機酸、金属酸素酸から選ばれた少なくとも一つが二酸化炭素のメタン化反応抑制剤として、吸着又は結合していることを特徴とするものである。
すなわち、本発明は、水素ガスの精製反応において、触媒反応速度が促進されたり、逆に抑制されることを確認したことに基づき、一酸化炭素のメタン化反応には影響せず、二酸化炭素のメタン化反応のみを選択的に抑制する物質を触媒に添加したものである。
上記のような触媒構成とすることによって、次のような反応機構が推定される。
(1)触媒に二酸化炭素の反応抑制剤であるハロゲン、無機酸、金属酸素酸から選ばれた少なくとも1種が吸着又は結合する。活性成分の表面の他、活性成分と担体界面もしくは近傍の担体表面、又は活性成分もしくは担体の内部にも吸着、付着又は化合する抑制剤は、いずれも強く電子を吸引する作用により活性金属粒子表面の電荷を正の値δ+にする。これによって、気相中の二酸化炭素(以下CO(g)と記す)が活性金属粒子表面に吸着し難くなる。活性金属表面の電荷が+になる程、吸着した二酸化炭素(以下CO(a)と記す)が、吸着した一酸化炭素と酸素原子(以下それぞれCO(a)、O(a)と記す)に解離するよりは、そのまま脱着してCO(g)に戻りやすくなる。
(2)また活性成分の表面、担体界面又は近傍の担体表面上に存在する抑制剤は、CO吸着サイトを選択的に覆ってCOとHとの反応をブロックする効果も示す。
このようにして本発明によると、COを選択的にメタンに転換するとともにCOのメタン化反応を選択的に抑制する触媒が実現する。
一実施態様では、前記活性成分はニッケル、ルテニウム、白金のうち少なくとも一つである。
一実施態様では、前記酸化物担体は、ニッケル、アルミニウム、チタン、シリコン、ジルコニウム、セリウムのうち少なくとも一つ以上を含む。
これらの構成金属は、この種の触媒において広く採用されているものであり、工業的にも容易に入手できるものである。
一実施態様では、前記メタン化反応抑制剤は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、バナジウム酸、タングステン酸、クロム酸から選ばれた1つ以上を含む。
さらに具体的には、反応抑制剤として塩化アンモニウム、ホウ酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、バナジウム酸アンモニウム等を触媒の構成成分に添加して焼成したものである。
これらの反応抑制剤は、Hガス中のCOのメタン化を抑制するために利用可能な成分として、これまで認識されていないものである。
本発明の触媒性能を予測するものであり、触媒を管理する上でも有用な手法の一例を挙げると次の通りである。
前記活性成分の表面に吸着する二酸化炭素の脱離活性化エネルギーが10kJ/mol以下であることを特徴とする一酸化炭素の選択的メタン化触媒である。
脱離活性化エネルギーは、一般的に知られる密度汎関数法により算出する。特定の電荷を持つ活性金属表面上の二酸化炭素の安定吸着構造とそこから脱着に至る遷移状態の構造それぞれのエネルギーを求め、遷移状態から吸着状態の値を差し引いた値が脱離活性化エネルギーとなる。
前記触媒のフーリエ変換赤外分光スペクトルによるCO吸着においてリニア型CO吸着のピーク面積を1.0としたときにCO吸着のリニア型CO吸着のピーク面積が0.01~0.15であることを特徴とする一酸化炭素の選択的メタン化触媒である。
ここでCOとCOのピーク面積は、反応ガスを流通しながら試料を加熱できる一般的な拡散反射型のフーリエ変換赤外分光光度計を使用して計測する。所定濃度のCOあるいはCOを反応温度に加熱した触媒上に流通し、Heで余分なガスをパージした後に得られたスペクトルからそれぞれのリニア型COに相当するピーク面積を算出する。
この発明による一酸化炭素の選択的メタン化触媒の製造方法は、酸化物担体を作製する工程、触媒活性成分を添加する工程、二酸化炭素のメタン化反応抑制剤を添加する工程からなることを特徴とするものである。
一実施態様では、酸化物担体及び二酸化炭素のメタン化反応抑制材の原料塩が溶解する溶液から共沈法により前記酸化物担体及びメタン化反応抑制剤を析出させることにより、酸化物担体を作製する工程と二酸化炭素のメタン化反応抑制剤を添加する工程と同時に行う。
上記は本発明の触媒を工業的に生産する具体的方法である。特にナノメートルオーダーの微細な担体上に活性金属が均一に分布・析出していると、COのメタン化反応の効率が高い。
本発明は、上記触媒を用いた一酸化炭素のメタン化方法を提供している。
この方法は、燃料電池に供給する水素ガスを炭化水素燃料から製造する燃料改質プロセスにおいて、改質途上の一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する水素ガス中の一酸化炭素を触媒に接触させて選択的にメタン化する方法であり、前記触媒が、酸化物担体に担持された活性成分が貴金属及び遷移金属から選ばれた少なくとも一つであり、前記触媒に、ハロゲン、無機酸、金属酸素酸から選ばれた少なくとも一つが、二酸化炭素のメタン化反応抑制剤として吸着又は結合しているものである。
一実施態様では、前記メタン化反応抑制剤を含むガス又は溶液を、前記触媒に補給する。
この補給方法によると、水素ガスの精製反応の休止中に、反応抑制剤を含むガス又は溶液を、前記メタン化触媒に接触させることによって、抑制剤の性能を維持又は回復させることができる。これは触媒性能が低下した場合の対策であり、長期間にわたり触媒寿命を延ばすことができる、経済的な技術である。
この発明はさらに、上記触媒を利用した燃料改質装置を提供している。
この発明は、燃料電池に供給する水素ガスを炭化水素燃料から製造する燃料改質装置において、改質途上の一酸化炭素及び二酸化炭素を含有する水素ガス中の一酸化炭素を選択的にメタン化する一酸化炭素選択メタン化反応器を備え、前記一酸化炭素選択メタン化反応器は一酸化炭素を選択的にメタン化する触媒を含み、この触媒は酸化物担体に担持された活性成分が貴金属及び遷移金属から選ばれた少なくとも一つであり、前記触媒に、ハロゲン、無機酸、金属酸素酸から選ばれた少なくとも一つが、二酸化炭素のメタン化反応抑制剤として吸着又は結合しているものである。
触媒性能の低下した場合の対策として、前記メタン化反応抑制剤を含むガス又は溶液を、前記一酸化炭素選択メタン化反応器に補給する装置をさらに備えることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
第1a図から第1c図は、本発明のCO選択メタン化触媒の構成(基本は概念、モデル)の例を示す。
第2図は、水素製造システム全体のフローを示す。
第3図は、水素製造システム全体の概略構成を示すブロック図である。
第4a図及び第4b図はハニカム基材の例を示す斜視図である。
第5図は、ハニカムを触媒段に配置したCO選択メタン化触媒層の構成を示す。
第6図は、水素製造システム全体の他の構成例を示すブロック図である。
第7図は、触媒性能評価装置のブロック図を示す。
第8a図から第8e図は、COメタン化反応の選択性が少ない通常のメタネーション触媒の性能を示すグラフである。
第9a図から第9e図は、メタン化反応抑制剤として塩化アンモニウムを使用したCO選択メタン化触媒の性能を示すグラフである。
第10図は、触媒表面の塩素Cl量と反応選択性の定量的関係を示すグラフである。
第11a図から第11e図は、メタン化反応抑制剤としてホウ酸アンモニウムを使用したCO選択メタン化触媒の性能を示すグラフである。
第12a図から第12e図は、メタン化反応抑制剤として硫酸アンモニウムを使用したCO選択メタン化触媒の性能を示すグラフである。
第13a図から第13e図は、メタン化反応抑制剤としてバナジウム酸アンモニウムを使用したCO選択メタン化触媒の性能を示すグラフである。
第14a図から第14e図は、担体にメタン化反応抑制剤を添加して作製したCO選択メタン化触媒の性能を示すグラフである。
第15図は、通常のメタネーション触媒のFT-IRによるCOとCO吸着試験の評価結果を示すグラフである。
第16図は、メタン化反応抑制剤を添加したCO選択メタン化触媒のFT-IRによるCOとCO吸着試験の評価結果を示すグラフである。
第17a図は、活性金属種の一つであるNi粒子表面でのCOの吸着及び解離を示す模式図である。第17b図はNi粒子表面の電荷が反応抑制剤により変化した場合のCO吸着・解離エネルギーダイヤグラムの変化を計算により求めたものである。
第18a図及び第18b図は、共沈法によりCO選択メタン化触媒を作製し、Ni担持量を変えた場合の性能を示すグラフである。
第19a図から第19e図は、共沈法によりCO選択メタン化触媒を作製し、バナジウム比を変えた場合の性能を示すグラフである。
第20a図から第20e図は、触媒担体であるγアルミナに対して活性金属のニッケルとメタン化反応抑制剤であるバナジウム酸アンモニウムの添加を同時に実施する実施例における触媒のメタン化活性評価結果を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
[システム全体の構成]
第2図及び第3図は、原燃料(都市ガス等)から燃料電池(たとえば固体高分子形燃料電池(PEFCスタック))に供給する高い濃度の水素ガスを製造、精製するフロー及びシステム全体の概略構成を示すものである。破線で囲まれた部分が燃料改質装置(燃料処理装置)14に相当し、この中を、原燃料供給系4から供給される原燃料が流れ、各触媒層を通過する過程で改質とCOの除去を行い(10ppm以下)高い濃度の水素ガス(改質ガス:H約75%、CO約20%)を得る。
原燃料はまず脱硫器5で硫黄成分を除去した後,改質触媒層を含む改質器7において改質反応により水素(H)と一酸化炭素(CO)を生成し(水蒸気発生器6からの水蒸気を用いた水蒸気改質)、さらにCO変成触媒層を含むCO変成器8でCOを除去する。ここまでは従来の装置構成である。
COを0.5~1.0%程度含むガス(H、COなど)は本発明によるCO選択メタン化触媒を用いたCOの選択的メタン化触媒層を含むCO選択メタン化反応器11内に流入して、この触媒層を通過する過程でCO濃度が10ppm以下の高濃度Hガス(改質ガス)となり、PEFCスタック13に供給される。なお、符号12は温度調整系を示す。
CO選択メタン化触媒は、好ましくはハニカム基材上にコーティングして使用される。ハニカム基材の一例が第4a図、第4b図に示されている。第4a図はコージェライト製のハニカム基材の例であり、第4b図はメタル製のハニカム基材の例である。いずれにしても、筒体(円筒、角筒等)内部に、その長手方向に沿って配置された多数の縦、横、斜め、波形等の仕切り板(隔壁)が交叉して設けられ、隣接する仕切り板間がガスの通路となっている。これらの仕切り板の表面全体にCO選択メタン化触媒がコーティングされる。断面が六角形のみならず、四角形、正弦波形、その他の形状のガス通路(流路)(セル)を有するハニカム構造のものを、この明細書では、単にハニカムまたはハニカム基材と呼ぶ。
好ましくは、第5図に示すように、CO選択メタン化触媒をコーティングした複数のハニカムを、反応器11内に、ガスの流れの方向に沿って間隔をあけて多段に配置する。
第3図に示す燃料処理装置全体を燃料改質装置または水素製造・精製装置ということもできるし、その一部(たとえば、少なくともCO選択メタン化反応器11を含む部分)を燃料改質装置または水素製造・精製装置といってもよい。
第6図はCO選択メタン化反応器11内のCO選択メタン化触媒の性能が低下した場合に、その性能を回復させる構成を付加したシステム構成を示している。この図において、第3図に示すものと同一物には同一符号を付し、重複説明を避ける。
このシステムには、メタン化反応抑制剤供給系(タンク)10とバルブ9とが備えられている。供給系10からメタン化反応抑制剤を含むガス又は溶液を、反応器11内のCO選択メタン化触媒に補給するものである。バルブ9は常時は閉じられており、たとえば水素ガスの精製反応の休止中に、バルブ9を開いて反応抑制剤を含むガス又は溶液を、反応器11内のメタン化触媒に接触させることによって、抑制剤の性能を維持又は回復させることができる。これにより、CO選択メタン化触媒の寿命を長期間にわたり延ばすことができる。
[触媒の構成]
本発明の触媒の基本的概念図を第1a図に示す。担体1の表面に活性金属粒子2が担持され、それらの表面に二酸化炭素のメタン化反応を選択的に抑制するメタン化反応抑制剤3が分散している。メタン化反応抑制剤3の作用により活性金属粒子2の表面電荷はδ+になっている。
担体1としては各種金属の酸化物、複合酸化物、さらには窒化物、炭化物やそれらの混合物等が使用できるが、触媒活性の点から酸化物や複合酸化物が好ましく、特にニッケル、アルミニウム、チタン、シリコン、ジルコニウム、セリウムのうち少なくとも一つ以上を含むことが望ましい。
また、活性金属粒子2としては、種々の遷移金属元素、アルカリ/アルカリ土類金属元素等が使用できるが、好ましくは遷移金属元素、なかでもニッケル、ルテニウム、白金のうち少なくとも一つ以上を含むことが高い活性を得る上で好ましい。
COのメタン化反応抑制剤3としては、前記活性金属の表面電荷をδ+側にする材料、又はCOメタン化活性を抑制する効果のある種々の材料が適用できるが、特に、F、Cl、Br、I等のハロゲン、HCl、HNO、HSO、HPO等の無機酸、ホウ酸、バナジウム酸、タングステン酸、クロム酸などの金属酸素酸のいずれか又は二つ以上を含むことが望ましい。触媒上での存在形態としては、その作製工程に依存するため、前記化合物に限定されるものではなく、その前駆体、反応物、分解生成物でも良い。
第1a図は、担体1上にCOのメタン化反応抑制剤3を添加後、活性金属粒子2を形成したもの(後述する実施例1、4、6)、又は担体1に活性金属粒子2を担持させた後、COのメタン化反応抑制剤3を添加したもの(後述する実施例2、3、5)であり、COのメタン化反応抑制3は主に担体1や金属粒子2の表面に付着又は吸着している。
これに対して第1b図に示すモデルは担体1上に活性金属粒子2とCOのメタン化反応抑制剤3を同時に添加したもので、活性金属粒子2と担体1との界面、金属粒子2の内部にも吸着、付着している(後述する実施例11)。
第1c図に示すものは担体1の作製時にCOのメタン化反応抑制剤3を混合したもので(共沈法)、抑制剤3は担体1の内部にまで入っている(後述する実施例9、10)。
本発明の実施例を以下に説明するが、実施例および比較例に共通するハニカム触媒の作製方法と触媒性能の評価方法について、先にまとめて説明する。
[ハニカム触媒の作製方法]
触媒の利用形状としては粒状物、その他各種の成形物が使用できるが、本実施例では触媒粉末をハニカム基材上にコーティングしたハニカム触媒として用いた。
触媒粉末3gに対してアルミナゾル(日産化学工業製、アルミナゾル520)6g、純水25gの割合で加え、攪拌・混合してコーティング用スラリーを作製した。メタルハニカムは新日鐵マテリアルズ製の外径25.4mm(1インチφ)、長さ15mmのステンレス鋼(YUS205M1)製で表面を高温酸化処理したものである。セル数は400cpsi(ell er quare nch)で、セル壁の厚さは30μmである。このメタルハニカムを先のコーティング用スラリーに浸漬し、引き上げた後エアーポンプにより触媒内部・外壁面の余分なスラリーを除去した。電気炉で空気中500℃、5分の焼成後、コーティングしたハニカムを秤量する。正味のコーティング量がハニカム1リットル当り300gになるまでこの操作を繰り返し、最後に500℃で1時間の焼成を行った。これにより各セルの内壁に触媒層が均一に形成されたハニカム触媒を得た。
[性能評価]
ハニカム基体に塗布した触媒を、第7図に示す固定床常圧流通式反応評価装置によりCOとCOのメタン化活性を評価した。その条件と手順を以下に説明する。
活性評価に先立ち触媒試料の水素還元を行った。これは、触媒活性成分を還元するためである。還元は反応管に500ml/minのHガスを流し、20℃/minで400℃ないし500℃まで昇温した後、1時間温度保持した。還元終了後、HからNにガスを切り替え5分間流しHをパージした。還元終了後、触媒の活性評価を行う温度まで降温した。
水蒸気を反応管内に導入しはじめ、5分後に反応ガスを導入する。水蒸気供給速度は水蒸気/CO=34(モル比)に相当する値とし、イオン交換水をマイクロポンプ(アットモル社製)で200℃に保った気化器に送り、発生した水蒸気をNキャリアで反応管に導入した。各反応ガスはマスフローコントローラーにより反応管に導入し、組成はドライベースでCO 1vol%、H 80vol%、CO 19vol%とした。空塔速度SVは2400h-1とした。反応管は内径26mmの石英管を使用した。この反応管の中央所定位置にハニカム基体付き触媒をセットし、反応管内壁とハニカムとの間には石英ウールを密に充填し固定するとともに、ガスがハニカム部以外を流れないようにした。コージェライトハニカムの場合は、シース熱電対をハニカム触媒の上下それぞれ約1mmの位置にセットし触媒層の温度測定を行った。ハニカム触媒の場合は下からのシース熱電対の先端をセル内2~3mmの位置に挿入した。
反応管出口からのガスは、含まれる水分を冷却除去した後、オンラインTCDガスクロマトグラフ及びメタナイザーを備えたオンラインFID(ジーエルサイエンス社製)に導き、生成ガスの分析を行った。
得られた分析結果は、H、CO、CH、COごとに、その濃度を反応温度に対してプロットした。触媒性能の良否は、これらガス濃度の温度依存性から判断できる。例えば、COがより低い温度で除去されていれば、その触媒のCOメタン化活性は高いと云える。更にCOが入口濃度のまま高温まで減少せずに維持されていれば、同時にCOメタン化反応も十分抑制された優れたCO選択メタン化触媒であると判断できる。
[比較例]
本発明の比較例として、COのメタン化反応抑制剤を含まないメタン化触媒;Ru,Ni/NiAlxOyの作製方法を示す。
まずニッケル・アルミニウム複合酸化物の合成法を説明する。蒸留水100mLに対して硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO・6HO)4.67gと硝酸アルミニウム九水和物(Al(NO・9HO)17.66gを溶解し、Ni/Alモル比が0.34の原料水溶液を作製した。減圧高周波熱プラズマ装置内に出力100kW、4MHzでアルゴンプラズマを点火し,原料水溶液を酸素5%のアルゴン混合ガスでその中に噴霧した。プラズマトーチを経て生成した粉末はフィルターによって捕集し、合計500gの粉末が得られるまで実施した。捕集した粉末は、濃緑色の微粉末で収率は約70%であった。ここで得られた粉末はNiとAlから構成される複合酸化物アモルファス微粒子である。粉末のNi/Alモル比をエネルギー分散型X線分析装置(EDX)で分析したところ0.29であった。X線回折(XRD)測定を行った結果NiAlやAlの結晶に帰属される強い回折ピークは特に認められなかった。透過型電子顕微鏡(TEM)で観察した結果、粒子径は3~12nmの分布を示した。
前記ニッケル・アルミニウム複合酸化物前駆体粉末にニトロシル硝酸ルテニウム(III)水溶液(STREM CHEMICALS社製、Ru(NO)(NO水溶液、Ru含有率:1.5wt%)を用いてルテニウム1wt%を担持した。前記複合酸化物前駆体粉末8.0gに脱イオン水100gを加え、10分間攪拌した。同様に、担持後の金属ルテニウムの含有率が1wt%になる量のニトロシル硝酸ルテニウム(III)に脱イオン水28gを加え、10分間攪拌した。ビュレットを用いてニトロシル硝酸ルテニウム(III)溶液を、実施例1の複合酸化物前駆体粉末の懸濁液に約20分で全量を添加し、その後更に10分間攪拌した。懸濁液をナス型フラスコに導入した後、35~40℃の湯浴中で30分間攪拌した後、一旦室温まで冷却し35℃~40℃でエバポレーターにかけ、水分を蒸発させ、乾燥後に500ml/minの空気を流通しながら500℃で5時間焼成した。
作製した触媒粉の全量窒素分析を行い、ニトロシル硝酸ルテニウムを起源とする反応抑制剤の硝酸が含有されているか分析した。その結果、硝酸成分は全く検出されなかった。空気中500℃で5時間の焼成により気相中にNOxとして完全に放出したと考えられる。
前述の方法に従い、作製した粉末をハニカム化し第7図の評価装置にセットした。活性評価の前に水素気流中500℃での水素還元を1時間行った。ルテニウムの存在下でこの操作を行うことによりニッケル・アルミニウム複合酸化物から微細なニッケル粒子が析出し、ルテニウムとともに活性金属として作用し高いメタン化活性を示す。還元終了後、触媒の活性評価温度にまで放冷し、引き続き触媒性能を評価した。
評価結果を第8a図から第8e図に示す。第8b図の(b)COでは、220℃付近からCOが大きく減少し、それに対応して第8a図の(a)Hの減少と第8c図の(c)CHの増加も生じている。これは明らかに反応式3のCOメタン化反応が生じていることを示す。本触媒のように、反応抑制剤が添加されていない一般的なメタン化触媒はこのような低い温度でCOメタン化反応が進行しやすい。
第8d図、第8e図の(d)(e)はCO濃度を示している。第8e図は第8d図の縦軸を拡大し、CO濃度をppmオーダーで表示したものである。本触媒では200℃という比較的低い温度からCOの99.7%以上が除去されるものの、高温になるに従い逆水性シフト反応(反応式4)によりCOが大きく増加している。この結果、本触媒ではCOのみがメタン化されるのは200℃~220℃のごく狭い温度範囲に限られ、実用触媒の性能としては不十分と判断される。
【実施例】
【0006】
実施例1
本実施例では、前述の比較例の触媒にメタン化反応抑制剤として塩化アンモニウムを添加した本発明のCO選択メタン化触媒の作製方法を示す。
前記NiAl複合酸化物担体に活性成分としてルテニウム1wt%を担持した触媒粉末5.0gを120℃で1時間乾燥しデシケーター中で室温まで冷却した。触媒粉末5.0gの吸水量に相当する脱イオン水2.5gに塩化アンモニウム0.045gを溶解する。ここで添加した塩化アンモニウム中の塩素(Cl)は、触媒に含有されるルテニウムの3倍モル(第9a図から第9e図はプロットC)に相当する量となっている。乾燥した触媒粉末に塩化アンモニウム水溶液を一度に全量加え、スパチュラで1~2分間よく撹拌し粉末全体に溶液を浸透させた後、110℃で1時間乾燥した。更にその後500℃で3時間焼成した。
同様の手順により、触媒のルテニウムに対して当モル(第9a図から第9e図のプロットB)、0.5モル(第9a図から第9e図のプロットA)の塩素を添加した試料を作製した。またそれぞれに得られたCO選択メタン化触媒粉末は前述の方法でハニカム触媒とし触媒活性を評価した。
評価結果を第9a図から第9e図に示す。前述の比較例の触媒に塩化アンモニウムを添加した本実施例では、第9a図から第9e図に示す様に塩化アンモニウムの添加量が増すほど、高温側でのCHの増加と、H及びCOの減少が抑えられている。塩化アンモニウム添加の無い第8a図から第8c図と比較すると、COメタン化反応抑制に対する効果の大きさがより明確に理解できる。
一方、第9d図から、触媒出口のCOは塩化アンモニウムの添加量に依らずほぼ同程度まで除去されている。COメタン化反応が起こる温度は反応抑制剤の増加とともに高温側にシフトする傾向にあるが、これは塩化アンモニウムによる反応抑制効果がCOメタン化反応にも僅かに影響しているためと思われる。
第10図は、塩化アンモニウムを種々の濃度で添加した触媒のCOメタン化活性を触媒表面上のCl量に対してプロットしたものである。X線光電子分光計(X-ray Photoelectron Spectrometer)(XPS)により触媒表面上のClとNiのモル比を分析し、反応抑制剤添加前後の差で規格化した数値を横軸にとった。また触媒出口CH濃度が入口CO濃度の2倍になる温度、つまりCO選択率(全CHのうちCOから生成したCHの割合)が50%になる温度;T50を実験から求め、同様に反応抑制剤添加前後の変化割合で規格化して縦軸とした。この結果を見ると規格化したT50と規格化したCl量には正の相関があり、Cl量が増えるとCOメタン化反応が起こる温度は高温にシフトする、つまりCOメタン化反応が抑制されるということが明確に示されている。
実施例2
本実施例では、共沈法でニッケル・アルミニウム複合酸化物を作製し、ルテニウムを担持せずに直接水素還元する方法を用いた。本実施例での活性金属はニッケルだけである。さらにメタン化反応抑制剤も塩化アンモニウムからホウ酸アンモニウムに変更した。
硝酸ニッケルと硝酸アルミニウムを当モル溶解した水溶液を2500rpmで撹拌しながら溶液のPHが8になるまで炭酸アンモニウム水溶液を約15分程度で滴下し、更にその後30分撹拌を続ける。沈殿を0.2μmのメンブレンフィルターで濾過した後、1Lの純水で十分洗浄する。得られた沈殿を室温で半日減圧乾燥後、110℃で12時間乾燥した。得られたゲルを磨砕し、空気中500℃で3時間焼成してニッケル・アルミニウム複合酸化物粉末を得た。
今回ルテニウムを担持しないため、ニッケル・アルミニウム複合酸化物の還元は実施例1より高い水素気流中700℃で1時間とした。これにより前記複合酸化物担体上にニッケル粒子が析出したメタネーション触媒粉末;Ni/Ni0.5Al0.5を作製した。
次に脱イオン水15gにホウ酸アンモニウム((NHO・5B・8HO)1.61gを溶解した水溶液をこのメタネーション触媒粉末10.0gに全量加え、スパチュラで1~2分間よく撹拌し粉末全体に溶液を浸透させた後、110℃で1時間乾燥した。更にその後500℃で3時間焼成した(第11a図から第11e図のプロットC)。
得られた触媒粉末により、前述の手順でハニカム触媒を作製した。メタン化活性評価前の水素還元は、ホウ酸の溶融流出を防ぐために500℃で1時間とした。同じ手順により、ホウ酸アンモニウムが前記重量の1/2(第11a図から第11e図のプロットB)及びゼロ(第11a図から第11e図のプロットA)とした試料も作製した。
評価結果を第11a図から第11e図に示した。これらの図から、反応抑制剤をホウ酸アンモニウムにしても塩化アンモニウムと同様、COメタン化反応が抑制され、添加量の増加とともに抑制効果は大きくなることが分る。第11e図から、本触媒の到達CO濃度は100~250ppmとやや高く、実機適用には本実施例条件よりも触媒量を積み増す必要があるが、本触媒は量産に適した共沈法を採用していることに加え、貴金属のルテニウムを使用していないため触媒コストはむしろ低く抑えられる。ホウ酸アンモニウムの添加量が増すほどCOメタン化反応が高温側にシフトする現象は、塩化アンモニウムの場合と同様であるが、そのシフト幅は小さく抑えられている。
実施例3
本実施例では、実施例2のメタン化反応抑制剤をホウ酸アンモニウムから硫酸アンモニウムに変えた場合を示す。
実施例2の共沈法により作製したニッケル・アルミニウム複合酸化物粉末を水素気流中700℃で1時間還元処理することにより、前記複合酸化物担体上にニッケル粒子が析出したメタネーション触媒粉末;Ni/Ni0.5Al0.5をまず作製した。次に脱イオン水15gに硫酸アンモニウム0.39gを溶解した水溶液をこのメタン化触媒粉末10.0gに全量加え、スパチュラで1~2分間よく撹拌し粉末全体に溶液を浸透させた後、110℃で1時間乾燥した。更にその後500℃で3時間焼成した(第12a図から第12e図のプロットC)。
得られた触媒粉末は、前述の手順でハニカム触媒とし、水素気流中700℃で1時間還元処理した後メタン化活性を実施例2の手順により評価した。同じ手順により、硫酸アンモニウムが1/5(第12a図から第12e図のプロットB)及びゼロ(第12a図から第12e図のプロットA)の試料も作製した。
評価結果を第12a図から第12e図に示す。これらの図から、硫酸アンモニウムの場合も塩化アンモニウム、ホウ酸アンモニウムと同様、COメタン化反応が十分抑制されることが分かる。しかし、第12d図、第12e図の結果によればメタネーション触媒10gに対して硫酸アンモニウム0.39gの添加ではCOメタン化反応も大きく抑制されているため(プロットC)、添加量をさらに適正化するか、又は、より良い効果を示す別な触媒に適用するのが望ましい。
実施例4
本実施例では、比較例のメタン化触媒に反応抑制剤としてバナジウム酸アンモニウムを添加した本発明のCO選択メタン化触媒の作製方法を示す。
前記比較例のニッケル・アルミニウム複合酸化物粉末10.0gを50gの超純水に懸濁した。(NH)VO(関東化学、Cica特級)0.92gを100gの超純水に加え1時間加温して溶解した後、前記複合酸化物粉末の懸濁液に約10分間かけて全量滴下した(第13a図から第13e図のプロットB)。その際、ホットスターラーにより液温を60℃に保持した。滴下後の懸濁液をナスフラスコに移し、常圧下45℃、エバポレーター中で回転攪拌を行い均一化した後に、35℃に冷却しエバポレーションを行った。得られたゲルを110℃で3時間乾燥し、自動乳鉢で約15分磨砕した後、電気炉中で空気中500℃まで6時間かけて昇温し、500℃で5時間焼成を行った。
これによりニッケル・アルミニウム複合酸化物にメタン化反応抑制剤であるバナジウム酸アンモニウムが分散した前駆体が得られた。メタン化反応抑制剤は、酸化バナジウムの形態で存在していると思われるがXRDでは存在形態を分析できなかった。得られた粉末に、以下に述べる方法でルテニウムを担持させた(添加した)。粉末8.71gを70mlの超純水に懸濁した。Ru(NO)(NO水溶液5.42gを50mlの超純水で15分間攪拌させ溶解後、粉末懸濁液に約15分間かけ滴下した。滴下後の懸濁液をナスフラスコに移し、常圧下45℃、エバポレーター中で回転攪拌を行い均一化した後に、35℃に冷却しエバポレーションを行った。得られたゲルを110℃で12時間乾燥後、電気炉中で空気中500℃まで5時間かけて昇温し500℃で3時間焼成を行った。自動乳鉢で約30分磨砕した。同様の手順で(NH)VOを前記の2.5倍量(第13a図から第13e図のプロットC)および無添加(第13a図から第13e図のプロットA)の試料も作製した。
得られたCO選択メタン化触媒粉末は前述の方法に従いハニカム化し、メタン化活性を評価した。本実施例では活性評価に先立つ触媒の水素還元条件を700℃-1時間とした。
各触媒のメタン化活性評価結果を第13a図から第13e図に示す。メタン化抑制剤の酸化バナジウムが添加されていない触媒(プロットA)に対して、添加した触媒は添加量が増すほど高温側でのCH濃度の増加は抑制され、HとCOの濃度減少も抑制されている。これはバナジウムによるCOメタン化反応の抑制効果を明らかに示している。
実施例5
前述の実施例では、いずれも担体としてニッケル・アルミニウム複合酸化物を用い、還元によりニッケルを析出させる方法を用いた。本実施例では、担体として単一の酸化物であるγアルミナを用い、これに硝酸ニッケルを含浸法で担持した。メタン化反応抑制剤には塩化アンモニウムを用い、担持した硝酸ニッケルを焼成した後に含浸法で担持した。
γアルミナ粉末7.6gを脱イオン水30gに投入し懸濁液を作製した。金属ニッケルの含有量が10wt%になる量の硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO・6HO)4.5gを脱イオン水20gに加え10分間攪拌し溶解した。ビュレットを用いてこの硝酸ニッケル溶液をγアルミナ粉末の懸濁液に約20分で全量添加し、その後10分間攪拌した。懸濁液をナス型フラスコに導入した後、35~40℃の湯浴中で30分間攪拌し、一旦室温まで冷却し35℃~40℃でエバポレーターにかけ、水分を蒸発させた。得られた粉末を120℃で一晩乾燥させた後、空気中500℃で5時間焼成した。
次に作製したメタン化触媒;Ni/γ-Al触媒にメタン化反応抑制剤として塩素を塩化アンモニウムから添加した。前記メタネーション触媒粉末5.0gを120℃で1時間乾燥しデシケーター中で室温まで冷却した。触媒粉末5.0gの吸水量に相当する脱イオン水2.5gに塩化アンモニウム0.045gを溶解する。ここで添加した塩化アンモニウム中の塩素は、触媒に含有されるニッケルの3倍モルに相当する量とした。乾燥した触媒粉末に塩化アンモニウム水溶液を一度に全量加え、スパチュラで1~2分間よく撹拌し粉末全体に溶液を浸透させた後、110℃で1時間乾燥した。更にその後500℃で3時間焼成した。
Ni/γ-Al触媒では出口ガス中のCH濃度が1.6%を越える(CO選択率50%)温度は約220℃であったが、上記塩化アンモニウムを添加した触媒ではそれが240℃に増加した。通常の単一酸化物担体に含浸法で活性金属を担持する本実施例の方法でも反応抑制剤の添加効果が確認できた。またCOメタン化反応が開始する温度は200℃とこれまでの触媒と同等であったが、CO除去率が90%を大きく越えることはなく、実機においては触媒量の増加等が必要である。
実施例6
本実施例では、実施例5のγアルミナ担体に代えて酸化チタンを用いた。活性金属としてはニッケルを含浸法で担持した。メタン化反応抑制剤には塩化アンモニウムを用い、最初にTiO粉末に含浸する方法を行った。
塩化アンモニウムを使用して実施例1の手順に従い塩素として0.1wt%を含む酸化チタン粉末を作製した。塩素を含む酸化チタン粉末10.0gを脱イオン水30gに投入し懸濁液を作製した。金属ニッケルの含有量が10wt%になる量の硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO・6HO)4.95gを脱イオン水15gに加え10分間攪拌し溶解した。ビュレットを用いてこの硝酸ニッケル溶液を酸化チタン粉末の懸濁液に約20分で全量添加し、その後10分間攪拌した。懸濁液をナス型フラスコに導入した後、35~40℃の湯浴中で30分間攪拌し、一旦室温まで冷却し35℃~40℃でエバポレーターにかけ、水分を蒸発させた。得られた粉末を110℃で一晩乾燥させた後、空気中450℃で3時間焼成した。
本実施例では、触媒粉末をハニカム触媒とせず、そのまま打錠機で粒径1.2~2.0mmに成形し、前述の評価装置により触媒活性を評価した。入口ガス組成は1%CO 20%CO 79%H、水蒸気/COモル比15とした。また空塔速度SVは2400h-1とした。触媒は活性評価に先立ちH気流中で450℃-1時間の還元処理を行った。
結果を第14a図から第14e図に示す。単一の酸化物担体にニッケルを含浸担持した点は実施例5と同様であるが、担体が酸化チタンの方がCOメタン化活性も高くCOメタン化反応も比較的高温まで抑制されている。また、反応抑制剤を予め担体原料に添加しておいてもCOメタン化反応を抑制する効果のあることが本実施例から分かった。
実施例7
触媒粉末へのCOおよびCO吸着FTIRスペクトル(FTIR:Fourier Transform Infrared Spectrometer、フーリエ変換赤外分光光度計)は、常圧流通式加熱拡散反射装置(エスティージャパン製)とMCT検出器(MCT:Mercury Cadmium Telluride、水銀カドミウム・テルル化合物)を備えたフーリエ変換赤外分光光度計(サーモフィッシャー製)により測定した。試料への赤外光の入射は加熱拡散反射装置に装着したフッ化バリウム窓を介して行った。スペクトルの取得に際して、波数分解能は4cm-1、積算は512回とした。
各反応ガスH、CO2、CO、Heはマスフローコントローラーにより加熱拡散反射装置に導入した。触媒粉末試料は、内径5mm、深さ3mmのセラミックス製カップに充填し加熱拡散反射装置にセットした。吸着実験に先立ち試料の水素還元を行った。これは、触媒活性成分であるNiの還元処理を行うためである。還元は加熱拡散反射装置に100ml/minのHガスを流し、10℃/minで500℃まで昇温した後1時間温度保持して行った。次にHからHeにガスを切り替え230℃まで冷却した。230℃、He流通下でバックグラウンドスペクトルを測定した後、100ml/minの5%CO、95%He混合ガスを5分間流通し、次に100ml/minのHeガスに切り替え5分間気相のCOガスをパージした後に、赤外吸収スペクトルを測定した。次にHeガス流通下、10℃/minで500℃まで昇温した後5分間温度保持し、230℃まで冷却した。これは触媒粉末上の吸着COを除去するためである。続いてCO吸着測定を以下の方法で行った。230℃において100ml/minの5%CO、95%He混合ガスを5分間流通し、次に100ml/minのHeガスに切り替え5分間気相のCOガスをパージした後に、赤外吸収スペクトルを測定した。
まず試料として、実施例1で作製したニッケル・アルミニウム複合酸化物をルテニウムなしで水素気流中700℃で1時間還元処理することにより、微細ニッケル粒子を析出させたメタン化触媒;Ni/NiAlxOyを用いた。
第15図にその触媒で得られたCO、CO吸着FTIRスペクトルを示す。COおよびCOそれぞれの流通時において、2200~1700cm-1の範囲を積分しリニア型吸着COの面積を算出した値を図中に付記した。両者の面積比は、以下となった。
(CO流通時のリニアCO面積)/(CO流通時のリニアCO面積)=53.3/49.7
=1.07
これに対して、前記メタン化触媒に所定量の塩化アンモニウムを添加した触媒の結果を第16図に示す。第15図に比べるとCO流通時、CO流通時ともに吸着COのピーク面積は、塩化アンモニウムの添加により減少し、特にCO流通時にその減少が著しい。このことはメタン化反応抑制剤である塩化アンモニウムの添加により、反応式5に示す吸着COの解離による吸着COの生成が著しく減少し、そのことによりCOからのメタン発生が抑制されていることを示している。
CO(g) → CO(a) → CO(a)+ O(a) (反応式5)
ここでCO及びCO流通時のリニアCOの面積比を求めると、以下の様に塩化アンモニウムを添加しなかった場合の1.07より約一桁小さな値となった。
(CO流通時のリニアCO面積)/(CO流通時のリニアCO面積)=0.95/8.93
=0.11
FTIRによるこのようなリニア型COの面積比の変化は、塩化アンモニウムだけでなく、COメタン化反応の抑制に効果を示した他の反応抑制剤においても同様に確認され、その値は概ね0.01~0.15の範囲にあった。
実施例8
メタン化反応抑制剤は、活性金属表面や担体界面あるいは活性金属近傍の担体上に吸着、付着あるいは化合し、強く電子を吸引するものと思われる。例えば、メタン化反応抑制剤の一つである塩素Clは電気陰性度が大きく電子受容性が高いことで知られている。これが活性金属の表面及び近傍に吸着し活性金属の電子を引き寄せるため金属粒子表面の電荷はδ+に偏るものと予想される。
そこで本実施例では、活性金属であるNi表面の電荷がCO吸着および解離に与える影響を密度汎関数法により計算した。
計算プログラムはAccelrys社のMaterial Studio,DMol3を用いた。Ni表面モデルとして、Ni(111)-(3x3)を2layer含み、表面から10Åの真空を設けた箱を単位格子とする3次元周期境界条件モデル(スラブモデル)を使用した。単位格子内のNi原子数は18個である。このモデルを用いて、第17a図に示す反応スキームに対する計算を実行した。まず、CO分子を表面から約5Å離れた場所に配置し、構造最適化計算を行い、Ni表面+CO(g)を求めた。同様に、CO分子を表面近傍に配置した構造、CO分子とO原子を表面近傍に配置した構造をそれぞれ最適化し、Ni表面-CO(a)、Ni表面-CO(a),-O(a)を求めた。次に、それぞれの安定構造をつなぐ遷移状態を計算した。吸着過程の遷移状態は、Ni-Cの距離を固定した制限付き構造最適化により、Ni-C距離に対するエネルギープロファイルを作成し、エネルギーが最も高い個所を遷移状態とした。同様に、CO→CO+Oの遷移状態はC-O距離を固定した制限付き構造最適化により求めた。これらの計算を系の電荷q=1,0.5,0,-0.5,-1に対しそれぞれ実行した。なお詳細な計算オプションは以下の通りである。(1)汎関数:Revised PBE、(2)基底関数:DNP(double zetaレベルのスプリットバレンスに分極関数を含む数値基底)、(3)擬ポテンシャル:DSPP(Density functional Semi-core Pseudo Potential)、(4)thermal smearing=0.01 hartree。
得られたエネルギーダイヤグラムを第17b図に示す。計算結果から表面電荷が正の方向に増加するとともにCO(a)が不安定になる。q=0.5ではCO(a)が気相のCO(g)に脱離する活性化エネルギーは、10kJ/molまで小さくなり、q=1においてCO(a)はもはや安定構造ではなく、吸着過程の反応経路は反発的ポテンシャルになる。すなわち、表面が正に帯電することでCO吸着が阻害されることが分かる。CO(a)が比較的安定に存在し得るかどうかの閾値は、脱離活性化エネルギーで10kJ/mol程度といえる。
実施例9
触媒担体である酸化アルミニウムを形成する工程とメタン化反応抑制剤であるバナジウム酸アンモニウムを添加する工程を同時に実施する一例を示す。
バナジウム酸アンモニウム(NHVO 0.60gを純水61mlに入れ、加温し溶解させる。また、硝酸アルミニウム44.1gを純水235mlに溶解させる。これら二つの溶液を混合した後、2Lのビーカーに移し2500rpmで撹拌しながら炭酸アンモニウム水溶液を約15分でpH=8になるように滴下する。その後、30分撹拌を継続する。析出した沈殿は、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、1Lの純水で洗浄する。得られた沈殿は室温で半日減圧乾燥後、110℃の乾燥炉で12時間乾燥する。得られたゲルは、磨砕した後、空気中900℃で3時間焼成する。これによりAl:V=0.96:0.04のモル比の酸化物担体を得た。
上記Al0.960.04の酸化物担体粉末6.26gを純水50mLに投入し縣濁液とする。また硝酸ニッケルNi(NO・6HO(関東化学社製)7.43gを純水50mLに溶解する。酸化物担体の懸濁液を撹拌しながら硝酸ニッケル水溶液をビュレットを用いて約20分間で全量投入する。室温で30分、45°Cの湯浴中で30分攪拌した後、一度室温まで冷却する。その後、35~50°Cの湯浴中でエバポレーターにかけ、水分を全て飛ばす。得られた粉末を、110°Cで12時間乾燥させた後、500°Cで3時間焼成し、金属換算でNi20wt%を担持した20wt%Ni/Al0.960.04触媒を得た。同じく酸化物担体粉末6.26gに対し、硝酸ニッケル12.8g及び29.7gをそれぞれ同様の手順で添加し、30wt%Ni/Al0.960.04と50wt%Ni/Al0.960.04触媒を得た。
得られた3種類のCO選択メタン化触媒粉末は前述の方法に従いハニカム化し、メタン化活性を評価した。活性評価に先立つ触媒の水素還元条件を500℃-1時間とした。
各触媒のメタン化活性評価結果を第18a図、第18b図に示す。Ni担持率が30wt%と50wt%では出口CO濃度は最高65ppmまで低減している。これに対してNi担持率20wt%では出口CO濃度は100ppmであるが、COからのCH生成は最も低く抑えられている。バナジウムを酸化アルミニウム担体の作製時に混合する方が触媒上にバナジウムを添加した実施例4の場合よりもCOメタン化抑制効果が大きく現れることが分かる。また本触媒は、Ru貴金属を添加していないが、CO除去率はRuを添加した触媒に匹敵する性能を示していることから選択性への効果の他に経済的な効果も大きい。
実施例10
実施例9ではアルミニウムとバナジウムのモル比をAl:V=0.96:0.04としたが、本実施例ではバナジウムの添加比率をさらに増した場合の効果を示す。
バナジン酸アンモニウム(NHVO1.03gを純水100mlに入れ、加温し溶解させる。また、硝酸アルミニウム44.1gを純水235mlに溶解させる。これら二つの溶液を混合した後、2Lのビーカーに移し2500rpmで攪拌しながら炭酸アンモニウム水溶液を約15分でpH=8になるように滴下する。その後、30分攪拌を継続する。析出した沈殿は、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、1Lの純水で洗浄する。得られた沈殿は室温で半日減圧乾燥後、110℃の乾燥炉で12時間乾燥する。得られたゲルは、磨砕した後、空気中900℃で3時間焼成する。これによりAl:V=0.93:0.07のモル比の酸化物担体を得た。
バナジン酸アンモニウム(NHVO2.56gを純水200mlに入れ、加温し溶解させる。また、硝酸アルミニウム44.1gを純水235mlに溶解させる。これら二つの溶液を混合した後、2Lのビーカーに移し2500rpmで攪拌しながら炭酸アンモニウム水溶液を約15分でpH=8になるように滴下する。その後、30分攪拌を継続する。析出した沈殿は、0.2μmのメンブレンフィルターで濾過し、1Lの純水で洗浄する。得られた沈殿は室温で半日減圧乾燥後、110℃の乾燥炉で12時間乾燥する。得られたゲルは、磨砕した後、空気中900℃で3時間焼成する。これによりAl:V=0.84:0.16のモル比の酸化物担体を得た。
得られた酸化物担体に実施例9と同様の手順により活性金属Ni担持した後、ハニカム化した。第19a図から第19e図にNi担持率が30wt%で同一で、バナジウムの添加量が異なるそれぞれの触媒のメタン化活性評価結果を示す。入口CO濃度は0.8vol%、その他の条件もこれまでと同一である。
第19c図の触媒出口CH濃度から反応選択性に対するバナジウム添加効果を見ることができる。バナジウムを添加していない触媒(破線)では反応温度が高くなるに従ってCH生成濃度は増加している。出口CH濃度1.6%がCO選択率50%(全生成CHのうちCOから生成した割合が50%)に相当する。これを抑制剤の効果の目安とすると、バナジウム無添加では240℃を超えると反応選択率が50%を下回る。これに対して担体にバナジウムを添加した触媒では最大260℃まで選択率50%以上を維持できており、バナジウムのCOメタン化反応抑制剤として効果が認められる。その効果は、添加量がAl:V=0.84:0.16(モル比)において最も顕著に表れている。第19d図、第19e図は、COのメタン化反応活性へのバナジウムの効果を見ることができる。230℃以上の高温域ではいずれのバナジウム添加量においても無添加の場合よりCO出口濃度は大きく低減し高いCO除去効果を示している。また210℃から230℃までの低温域ではバナジウム添加量により効果が多少異なり、Al:V=0.96:0.04のバナジウム添加量が最も少なかった触媒において、最も高いCO除去効果を示した。
実施例11
触媒担体であるγアルミナに対して活性金属のニッケルとメタン化反応抑制剤であるバナジウム酸アンモニウムの添加を同時に実施する一例を示す。
アルミナ粉末5.00gを純水50mLに投入し縣濁液とする。硝酸ニッケルNi(NO・6HO(関東化学社製)6.19gを純水50mLに溶解する。またバナジウム酸アンモニウム(NHVO(関東化学社製)0.50gを純水50mLに入れ加熱溶解させる。これら2つの溶液を完全に混合し、γアルミナの懸濁液を撹拌しながら、混合溶液をビュレットを用いて約20分間で全量投入する。室温で30分、45°Cの湯浴中で30分攪拌した後、一度室温まで冷却する。その後、35~50°Cの湯浴中でエバポレーターにかけ、水分を全て飛ばす。得られた粉末を、110℃で12時間乾燥させた後、500℃で3時間焼成し、金属換算でNi20wt%、V/Niモル比0.2のバナジウムを担持した20wt%Ni-V/Al触媒を得た。
得られたCO選択メタン化触媒粉末は前述の方法に従いハニカム化し、メタン化活性を評価した。活性評価に先立つ触媒の水素還元条件を500℃-1時間とした。
この触媒のメタン化活性評価結果を第20a図から第20e図に示す。実施例10に示したバナジウムを添加せずニッケルのみ担持した触媒では出口CO濃度は250ppmまでしか除去できていないが、バナジウムをニッケルと同時に添加した本触媒では出口CO濃度は120ppmまで大きく低減し、バナジウムの新たな効果が認められた。これに対して、メタン生成量はバナジウムを含まない触媒とくらべてもほとんど変化がない。この方法で作製したバナジウム添加触媒でCOメタン化反応が抑制されず、COメタン化反応が促進される原因は、現状よく分かっていない。しかし、本触媒のX線回折パターンからNiとVが合金を形成していることが認められており、合金形成がバナジウム本来の効果を抑制している可能性がある。
【産業上の利用可能性】
【0007】
以上詳述したように、本発明は、一酸化炭素COを選択的にメタンCHに転換する方法、その方法で用いる触媒、及びその触媒の製造方法に係るものであり、本触媒材料を反応装置に適用することで、CO、CO、Hから成る混合ガスをCO含有濃度が10ppm以下の水素リッチガスに安定に精製できる。使用する触媒が安価に製造できることや、ガス中に存在するHでCOを除去するため従来システムの様に空気の供給が全く必要なく、従来のCO選択酸化触媒では不可欠であった大型の空気ポンプと流量調整器が一切不要となることからも、システムコストの大幅な低減を図ることができる。本発明は、例えば、家庭用固体高分子形燃料電池発電システムや燃料電池車用オンサイト型水素ステーションで使用される燃料改質器の触媒としての適用や、化学プラントにおける水素精製用触媒として有用である。本発明は、上記触媒を用いた燃料改質装置も提供している。
Drawing
【図1a】
0
【図1b】
1
【図1c】
2
【図2】
3
【図3】
4
【図4a】
5
【図4b】
6
【図5】
7
【図6】
8
【図8a】
9
【図8b】
10
【図8c】
11
【図8d】
12
【図8e】
13
【図9a】
14
【図9b】
15
【図9c】
16
【図9d】
17
【図9e】
18
【図10】
19
【図11a】
20
【図11b】
21
【図11c】
22
【図11d】
23
【図11e】
24
【図12a】
25
【図12b】
26
【図12c】
27
【図12d】
28
【図12e】
29
【図13a】
30
【図13b】
31
【図13c】
32
【図13d】
33
【図13e】
34
【図14a】
35
【図14b】
36
【図14c】
37
【図14d】
38
【図14e】
39
【図15】
40
【図16】
41
【図17a】
42
【図17b】
43
【図18a】
44
【図18b】
45
【図19a】
46
【図19b】
47
【図19c】
48
【図19d】
49
【図19e】
50
【図20a】
51
【図20b】
52
【図20c】
53
【図20d】
54
【図20e】
55
【図7】
56