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Specification :(In Japanese)歯根膜又は靭帯細胞の作製方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2020-036550A
Date of publication of application Mar 12, 2020
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)歯根膜又は靭帯細胞の作製方法
IPC (International Patent Classification) C12N   5/077       (2010.01)
A61P   1/02        (2006.01)
A61L  27/36        (2006.01)
A61L  27/38        (2006.01)
A61L  27/40        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61K  35/32        (2015.01)
A61C   8/00        (2006.01)
C12N   5/0775      (2010.01)
A61K  35/28        (2015.01)
A61K  35/36        (2015.01)
A61K  35/38        (2015.01)
FI (File Index) C12N 5/077
A61P 1/02
A61L 27/36 100
A61L 27/36 400
A61L 27/38 100
A61L 27/38 300
A61L 27/40
A61L 27/36 300
A61L 27/38 110
A61P 43/00 107
A61K 35/32
A61P 43/00 121
A61C 8/00 Z
C12N 5/0775
A61K 35/28
A61K 35/36
A61K 35/38
Number of claims or invention 11
Filing form OL
Total pages 8
Application Number P2018-165015
Date of filing Sep 4, 2018
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】各務 秀明
【氏名】李 憲起
Applicant (In Japanese)【識別番号】591248348
【氏名又は名称】学校法人松本歯科大学
Representative (In Japanese)【識別番号】100092783、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 浩
【識別番号】100120134、【弁理士】、【氏名又は名称】大森 規雄
【識別番号】100104282、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 康仁
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 4B065
4C081
4C087
4C159
F-term 4B065AA91X
4B065BC01
4C081AB06
4C081AB11
4C081BA12
4C081BC01
4C081CD34
4C081DC15
4C081EA02
4C087AA03
4C087BB46
4C087BB48
4C087BB63
4C087CA04
4C087MA02
4C087MA57
4C087MA67
4C087NA20
4C087ZA67
4C087ZB22
4C087ZC75
4C159AA28
Abstract (In Japanese)【課題】歯根膜細胞の製造方法の提供。
【解決手段】間葉系幹細胞と皮膚又は粘膜由来幹細胞とを共培養することを特徴とする、間葉系幹細胞から靭帯細胞又は歯根膜細胞への分化誘導方法、靭帯細胞又は歯根膜細胞の製造方法、並びに誘導歯根膜細胞を用いた歯根膜付きインプラントおよび再生歯の製造方法。
【選択図】なし
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
間葉系幹細胞と皮膚又は粘膜由来幹細胞とを共培養することを特徴とする、間葉系幹細胞から靭帯細胞又は歯根膜細胞への分化誘導方法。
【請求項2】
間葉系幹細胞を、皮膚又は粘膜由来幹細胞を培養した培地の存在下で培養することを特徴とする、間葉系幹細胞から靭帯細胞又は歯根膜細胞への分化誘導方法。
【請求項3】
間葉系幹細胞が骨髄由来間葉系幹細胞である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
皮膚又は粘膜由来幹細胞が皮膚細胞又は粘膜細胞由来スフェロイドである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
間葉系幹細胞と皮膚又は粘膜由来幹細胞とを共培養し、得られる培養物から靭帯細胞又は歯根膜細胞を採取することを特徴とする、靭帯細胞又は歯根膜細胞の製造方法。
【請求項6】
間葉系幹細胞を、皮膚又は粘膜由来幹細胞を培養した培地の存在下で培養し、得られる培養物から靭帯細胞又は歯根膜細胞を採取することを特徴とする、靭帯細胞又は歯根膜細胞の製造方法。
【請求項7】
間葉系幹細胞が骨髄由来間葉系幹細胞である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
皮膚又は粘膜由来幹細胞が皮膚細胞又は粘膜細胞由来スフェロイドである、請求項5~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法によって作製された靭帯細胞又は歯根膜細胞を含む、歯周組織再生材料。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の方法により得られた靭帯細胞若しくは歯根膜細胞、又は請求項9に記載の歯周組織再生材料をインプラント原材料に播種することを特徴とする、歯根膜付きインプラントの作製方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法により得られた歯根膜付きインプラントに、再生象牙質を組み合わせることを特徴とする、再生歯の作製方法。

Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚及び粘膜由来幹細胞を用いた歯根膜又は靭帯細胞の作製法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯根膜は、歯槽骨に歯を植立する懸架組織であり、歯周靭帯とも呼ばれる。歯根膜は、歯根部分の表面(セメント質)と歯槽骨との間を結び付ける繊維性の結合組織を主体とした歯周組織であり、食べ物をかむ際、歯にかかる力を吸収又は緩和し、歯に加わる力が直接歯槽骨に伝わるのを和らげるクッションの働きをしている。
歯根膜の主な成分は、線維芽細胞を主とする細胞成分と、細胞外マトリックス(線維成分及び線維間マトリックス)である。その主な構成要素はコラーゲンの太い束からなる歯根膜線維であり、タイプIII型コラーゲンを少量に含むタイプI型コラーゲンを主成分とし、また少量のオキシタラン線維が存在する。
【0003】
欠損した歯の治療法としては、現在ではブリッジ、義歯、インプラントなどがある。しかしながら、天然歯と同様の機能を持った修復物はない。ブリッジは、欠損歯が少ない部分であれば使用できるが、大きい欠損には適応することができない。また、健康な隣在歯を削らなければならないこともある。義歯は咬合力が不十分であり、違和感が強いなどの問題がある。
このため、骨に金属のインプラントを直接埋入し、その上に人工の歯を作製する治療が行われている。インプラントは優れた治療技術であるが、天然歯と異なり歯根膜を持たないため、噛んだときに沈み込まず(クッションの役割を果たせず)、周囲の天然歯との調和を取ることが難しい。また骨との癒合期間が3~6か月必要であるため、治療期間はときに1年という長い期間が必要となる。これらの問題を解決する手段として、天然歯にあるような歯根膜(歯と骨をつなぐ軟組織)を持ったインプラントの開発が試みられているが、未だに実用化していない。また、歯根膜は国民の過半数が罹患する歯周病でも失われ、人工骨、bFGFなどの増殖因子や、アメロジェニンというブタの歯胚由来蛋白を用いた再生治療も試みられているが、重症例に適用することが困難である。
【0004】
これらの問題を解決するために、従来より、細胞を用いた再生医療が研究されている。特に歯根膜の再生には、歯根膜由来細胞が用いられていることから、歯根膜細胞の再生は、新たなインプラント体、あるいは歯周病の治療につながるだけでなく、将来的に歯の再生につながる点で重要な基盤技術であるといえる(特許文献1~7)。
しかしながら、歯根膜細胞を得るためには歯根膜を採取する必要がある。歯根膜を採取するためには健康な歯を犠牲にする必要があり、実際には抜歯の必要がある智歯を持つ患者など、ごく限られた患者からしか採取することはできない。さらに、靭帯や腱を再生するために靱帯や腱を採取して細胞を得て再生靱帯、再生腱を作ることも行われている。しかしながら、体の靭帯又は腱を採取して移植する必要があり、患者に負担がかかる。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】国際公開2013/115128号パンフレット
【特許文献2】特開2011-115604号公報
【特許文献3】国際公開2010/027008号パンフレット
【特許文献4】国際公開2010/016492号パンフレット
【特許文献5】特開2008-295420号公報
【特許文献6】特開2004-000497号公報
【特許文献7】特開2003-190273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記事情により、歯根膜細胞あるいは靱帯細胞の細胞源を得るための代替技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、間葉系幹細胞と、皮膚又は粘膜由来幹細胞とを共培養することにより、間葉系幹細胞を歯根膜細胞あるいは靱帯細胞に誘導することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)間葉系幹細胞と皮膚又は粘膜由来幹細胞とを共培養することを特徴とする、間葉系幹細胞から靭帯細胞又は歯根膜細胞への分化誘導方法。
(2)間葉系幹細胞を、皮膚又は粘膜由来幹細胞を培養した培地の存在下で培養することを特徴とする、間葉系幹細胞から靭帯細胞又は歯根膜細胞への分化誘導方法。
(3)間葉系幹細胞が骨髄由来間葉系幹細胞である、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)皮膚又は粘膜由来幹細胞が皮膚細胞又は粘膜細胞由来スフェロイドである、(1)~(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5)間葉系幹細胞と皮膚又は粘膜由来幹細胞とを共培養し、得られる培養物から靭帯細胞又は歯根膜細胞を採取することを特徴とする、靭帯細胞又は歯根膜細胞の製造方法。
(6)間葉系幹細胞を、皮膚又は粘膜由来幹細胞を培養した培地の存在下で培養し、得られる培養物から靭帯細胞又は歯根膜細胞を採取することを特徴とする、靭帯細胞又は歯根膜細胞の製造方法。
(7)間葉系幹細胞が骨髄由来間葉系幹細胞である、(5)又は(6)に記載の方法。
(8)皮膚又は粘膜由来幹細胞が皮膚細胞又は粘膜細胞由来スフェロイドである、(5)~(7)のいずれか1項に記載の方法。
(9)前記(1)~(8)のいずれか1項に記載の方法よって作製された靭帯細胞又は歯根膜細胞を含む、歯周組織再生材料。
(10)前記(1)~(8)のいずれか1項に記載の方法により得られた靭帯細胞若しくは歯根膜細胞、又は前記(9)に記載の歯周組織再生材料をインプラント原材料に播種することを特徴とする、歯根膜インプラントの作製方法。
(11)前記(10)に記載の方法により得られた歯根膜付きインプラントに、再生象牙質を組み合わせることを特徴とする、再生歯の作製方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、間葉系幹細胞を靭帯細胞又は歯根膜細胞に分化誘導することが可能となった。本発明により得られる歯根膜細胞は、余剰な智歯などから得られる歯根膜細胞の代替として、歯周病の治療や歯の移植治療、さらに再生歯や歯根膜付きインプラントの作製に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明における培養方法の概念図である。
【図2】骨髄由来間葉系幹細胞と上皮幹細胞との共培養を行った結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.概要
本発明は、間葉系幹細胞と皮膚又は粘膜由来幹細胞とを共培養することを特徴とする、間葉系幹細胞から靭帯細胞又は歯根膜細胞への分化誘導方法である。
また本発明の分化誘導方法は、間葉系幹細胞を、皮膚又は粘膜由来幹細胞を培養した培地の存在下で培養することを特徴とする。
さらに、本発明は、間葉系幹細胞と皮膚又は粘膜由来幹細胞とを共培養し、得られる培養物から靭帯細胞又は歯根膜細胞を採取することを特徴とする、靭帯細胞又は歯根膜細胞の製造方法を提供する。
さらに、本発明の製造方法は、間葉系幹細胞を、皮膚又は粘膜由来幹細胞を培養した培地の存在下で培養し、得られる培養物から靭帯細胞又は歯根膜細胞を採取することを特徴とする。

【0012】
本発明者は、複数の体性幹細胞、具体的には間葉系幹細胞と皮膚又は粘膜由来の幹細胞とを組み合わせることで、靭帯細胞又は歯根膜細胞へと分化させる技術を開発した。歯周組織は靭帯で作られているが、靭帯は歯根膜のみでなく全身に存在するため、この方法を応用することで、新たな歯根膜付きインプラントや再生歯の作製、歯周病の治療のみならず、整形外科領域におけるスポーツ外傷などの治療にもつながることが期待される。

【0013】
2.間葉系幹細胞
本発明において用いる間葉系幹細胞は、骨髄由来、骨膜由来、脂肪由来、臍帯由来、羊膜由来、歯髄由来、皮膚由来又は末梢血由来であり、脂肪組織、軟骨組織、骨組織等に分化し得る多能性未分化細胞である。
間葉系幹細胞は、当該細胞を有する任意の骨髄、骨膜又は末梢血から採取することができるが、多量の細胞が採取可能であること及び採取が容易であるという観点から、腸骨、脂肪、皮膚、臍帯、又は羊膜から採取することができる。

【0014】
間葉系幹細胞の採取方法は当業者に公知であり、通常の採取方法を用いることができる。例えば、ヒト腸骨、顎骨等の組織又は器官から、注射器、穿刺針などを用いて必要量を採取する。次に、培養容器に播種して浮遊系細胞と接着系細胞とを分離することで使用するか、あるいはフローサイトメトリー、密度勾配遠心分離法等の手法により間葉系幹細胞を採取分離する。脂肪等からの間葉系幹細胞の採取では、酵素処理によって細胞を単離した後、培養を行う。その際、フローサイトメトリー、密度勾配遠心分離法、マグネットビーズによる分離等の手法により間葉系幹細胞を採取分離する。
ヒト以外の哺乳動物の骨髄から間葉系幹細胞を採取する際には、例えば骨(大腿骨、脛骨)の両端を切断し、間葉系幹細胞の培養に適する培地で骨内を洗浄して、洗い出された培養液から間葉系幹細胞を取得することができる。

【0015】
間葉系幹細胞の初代培養及び継代培養を行うには、採取した細胞を適当な培地(例えば、DMEM、α-MEM培地等)を用い、細胞培養用培養皿に細胞を播種して初代培養及び継代培養を行う。必要に応じて、ウシ胎児血清(FBS)などを添加することができる。
細胞の培養は、動物細胞の培養に用いる通常の血清含有培地又は無血清培地を用いて、通常の動物細胞の培養条件(例えば、37℃、5%CO2雰囲気下)で、インキュベーター内で行う。培養の形態は特に限定されないが、例えば、静置培養で行うことができる。

【0016】
3.皮膚又は粘膜由来幹細胞
本発明において使用される皮膚又は粘膜由来幹細胞は、優れた幹細胞性を有する細胞であり、口腔粘膜を5mm x 5mm程度採取する、あるいは手術時に余剰となった皮膚や粘膜を利用することにより得ることができる。平面培養された細胞をスフェロイド形成用培養ディッシュへ播種し、皮膚又は粘膜由来幹細胞によるスフェロイドを得る。これを共培養まで培養する。
細胞の培養は、動物細胞の培養に用いる通常の血清含有培地又は無血清培地を用いて、通常の動物細胞の培養条件(例えば、37℃、5%CO2雰囲気下)で、インキュベーター内で行う。培養の形態は特に限定されないが、例えば、静置培養で行うことができる。

【0017】
4.共培養
本発明の一態様において、間葉系幹細胞と皮膚又は粘膜由来幹細胞との共培養は、図1に示す2段式培養容器を用いることができる。

【0018】
図1に示すように、本願発明において共培養に使用する培養容器1は、ウェル11と、ウェル11の上部に吊り下げる態様で設置するためのウェル12とを有する。ウェル11は間葉系幹細胞14を培養するためのウェルであり、ウェル12は皮膚又は粘膜由来幹細胞15を培養するためのウェルであるが、その逆であってもよい。なお、これらのウェルはマルチウェルプレートであってもよい。
ウェル11に間葉系幹細胞14を播種すると、細胞はウェル11の底部に接着する。また、ウェル12に皮膚又は粘膜由来幹細胞15を播種すると、細胞はウェル12の底部に接着する。ウェル12の底部には、培養液16が通過できる貫通孔13が設けられている。このため、例えば一方の細胞から出される各種因子は、貫通孔13を通り抜けて、他方の細胞に接触することができる。本発明においては、皮膚又は粘膜由来幹細胞として、皮膚細胞又は粘膜細胞由来スフェロイドを用いることができる。

【0019】
また、本発明の別の態様では、間葉系幹細胞と皮膚又は粘膜由来幹細胞との共培養ではなく、間葉系幹細胞を単独で培養することもできる。その場合は、培養液として、皮膚又は粘膜由来幹細胞を培養した培養上清を用いる。皮膚又は粘膜由来幹細胞を培養した培養上清は、間葉系幹細胞の培養に使用した培養液に替えて置換してもよく、間葉系幹細胞の培養液に添加してもよい。

【0020】
共培養を実施する際、間葉系幹細胞の播種密度(シャーレの単位面積あたりの細胞数)は、1×102~1×106細胞/cm2、好ましくは1×103~2×104細胞/cm2である。また、皮膚又は粘膜由来幹細胞の細胞数は、スフェロイドの数として5~1×104/cm2、好ましくは10~1×102/cm2である。
また、皮膚又は粘膜由来幹細胞の培養上清を用いる場合は、皮膚又は粘膜由来幹細胞を5×102~5×106細胞/ml、好ましくは5×103~5×105細胞/mlの濃度で培養したときの培養上清を使用する。そして、間葉系幹細胞と共培養する場合における細胞比と同じ比となるように培養された培養上清を用いることが好ましい。

【0021】
このようにして、間葉系幹細胞は靭帯細胞又は歯根膜細胞に分化し、所定のウェルから歯根膜細胞を回収する。回収方法は特に限定されるものではなく、例えば、酵素による剥離、あるいは温度感受性培養皿を用いた剥離などが挙げられる。

【0022】
5.靭帯細胞又は歯根膜細胞
上記のようにして、間葉系幹細胞は靭帯細胞又は歯根膜細胞に分化誘導される。靭帯細胞又は歯根膜細胞に分化したことの確認は、これらの細胞のマーカー遺伝子を検出すればよい。マーカー遺伝子としては、例えばテノモジュリン遺伝子(tenomodulin、Tnmd)、スクレラキシス遺伝子(scleraxis, SCX)、ペリオスチン(periostin)遺伝子などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
遺伝子の検出は、例えばRT-PCR、定量リアルタイムPCRなどにより行うことができ、手法は公知である(例えばItaya T. et al., J. Prdidont Res 2009; 44: 425-433)。

【0023】
6.歯根膜細胞の骨化
上記のようにして分化誘導された靭帯細胞又は歯根膜細胞は、天然の歯根膜細胞と同様に2相性の性質を有する(Inoue M. et al., Oral Diseases (2012) 18, 206-212)。すなわち、歯根膜細胞は、軟組織としてコラーゲンを産生するほか、硬組織である骨又はセメント質を形成する骨形成性細胞の性質を示す。
従って、本発明においては、靭帯細胞又は歯根膜細胞を歯周組織再生材料として使用することができる。例えば、再生歯用の形状に加工したインプラント原材料に靭帯細胞又は歯根膜細胞を播種することにより、歯根膜付きインプラントを作製することができる。さらに再生象牙質と組み合わせれば再生歯を作製することができる。
再生象牙質とは、象牙芽細胞により再生された象牙質を意味する。すなわち、歯根膜細胞と象牙芽細胞とを組み合わせて移植することにより、象牙質、セメント質及び歯根膜からなる歯が再生される。この歯を再生歯と呼び、上記移植操作を「再生象牙質と組み合わせる」と表現する。
このように作製された歯根膜付きインプラントあるいは再生歯を移植すると、歯根に接触する部分はセメント質を形成するとともに、歯槽骨に接する部分は骨を形成し、その間にはこれらを連結する歯根膜線維が形成されることが期待される。これにより、人工歯に対し、本来の歯根膜としての機能が付与される。

【0024】
実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
(1)方法
C57BL/Jマウス大腿骨及び脛骨より骨髄細胞を採取した。得られた細胞を密度勾配遠心によって分離し、単核球分画を得た。単核球分画をαMEM+10%FBS培地にて培養し、2継代目の細胞を実験に用いた。RNAからcDNAを合成し、スクレラキシス、テノモジュリンのプライマーを用いた定量的PCRにてRNA量を測定した。
【実施例1】
【0026】
(2)結果
結果を図2に示す。
図2において、横軸の表示は以下の通りである。
BM:骨髄細胞単独培養(コントロール群)
BM-Sphare control:骨髄由来間葉系幹細胞と上皮幹細胞との共培養(実験群)
【実施例1】
【0027】
骨髄細胞からは、靭帯マーカー遺伝子(tenomodulin, Tnmd; scleraxis, SCX)の発現はわずかしか認めない(BM)。しかしながら、上皮幹細胞と共培養を行うことにより、靭帯マーカー遺伝子の発現は大幅に上昇した(BM-Sphare control)。
【符号の説明】
【0028】
1:培養容器、11:ウェル、12:ウェル、13:貫通孔、14:間葉系幹細胞、15:皮膚又は粘膜由来幹細胞、16:培養液
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1