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明細書 :ナノホーン担持体とその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3432818号 (P3432818)
登録日 平成15年5月23日(2003.5.23)
発行日 平成15年8月4日(2003.8.4)
発明の名称または考案の名称 ナノホーン担持体とその製造方法
国際特許分類 C01B 31/02      
B01J 20/20      
B01J 20/30      
FI C01B 31/02 101F
B01J 20/20
B01J 20/30
請求項の数または発明の数 24
全頁数 9
出願番号 特願2002-062530 (P2002-062530)
出願日 平成14年3月7日(2002.3.7)
審査請求日 平成14年3月14日(2002.3.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
発明者または考案者 【氏名】飯島 澄男
【氏名】湯田坂 雅子
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査官 【審査官】宮澤 尚之
参考文献・文献 特開2001-35361(JP,A)
S.Iijima,Chem.Phys.Lett.,1999年 8月13日.VOL.309,P.165-170
調査した分野 C01B 31/02
B01J 20/20 - 20/30
要約 【課題】 カーボンナノホーンの先端形状をより有効にかつ簡便に利用することができるナノホーン担持体とその製造方法を提供する。
【解決手段】 カーボンナノホーン集合体(1)を分散液に分散させ、この分散液を基材(3)上に供給したのち、分散液のみを除去することでカーボンナノホーン集合体(1)を配置し、次いでこのカーボンナノホーン集合体(1)の一部あるいは全部を固定材料(2)で被覆して固定材料(2)に担持させることで、1つあるいは2つ以上のカーボンナノホーン集合体(1)の一部または全部が固定材料(2)によって担持されているナノホーン担持体とする。
特許請求の範囲 【請求項1】
2つ以上のカーボンナノホーン集合体が結合して互いに担持されていることを特徴とするナノホーン担持体。

【請求項2】
担持されているカーボンナノホーン集合体の一部または全部が基材上に固定されていることを特徴とする請求項1記載のナノホーン担持体。

【請求項3】
カーボンナノホーン集合体が固定材料により基材上に固定されていることを特徴とする請求項2記載のナノホーン担持体。

【請求項4】
基材が任意の形状を有することを特徴とする請求項2または3に記載のナノホーン担持体。

【請求項5】
基材がガラス、セラミックス、金属、合金、半導体あるいは有機物のいずれかであることを特徴とする請求項2ないし4いずれかに記載のナノホーン担持体。

【請求項6】
形状が可変とされていることを特徴とする請求項1ないし5いずれかに記載のナノホーン担持体。

【請求項7】
カーボンナノホーンの先端が、固定材料の表面から突出されていることを特徴とする請求項1ないし6いずれかに記載のナノホーン担持体。

【請求項8】
カーボンナノホーン集合体を分散液に分散させ、この分散液を基材上に供給したのち、分散液のみを除去することでカーボンナノホーン集合体を配置し、次いでこのカーボンナノホーン集合体の一部あるいは全部を固定材料で被覆して固定材料に担持させることを特徴とするナノホーン担持体の製造方法。

【請求項9】
カーボンナノホーン集合体を分散液に分散させ、この分散液を予め固定材料層を形成した基材上に供給したのち、分散液のみを除去することでカーボンナノホーン集合体を配置し、次いで固定材料層を軟化させた状態でカーボンナノホーン集合体を上方より押圧することで固定材料に担持させることを特徴とするナノホーン担持体の製造方法。

【請求項10】
カーボンナノホーン集合体を分散液に分散させ、この分散液を基材上に供給したのち、分散液のみを除去することでカーボンナノホーン集合体を配置し、1200~2000℃で加熱することでカーボンナノホーン集合体同士を結合させて互いに担持させることを特徴とするナノホーン担持体の製造方法。

【請求項11】
基材が任意の形状を有することを特徴とする請求項8ないし10いずれかに記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項12】
基材がガラス、セラミックス、金属、合金、半導体あるいは有機物のいずれかであることを特徴とする請求項8ないし11いずれかに記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項13】
基材が、化学的あるいは熱的に不安定な材料からなることを特徴とする請求項8ないし12いずれかに記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項14】
基材を除去することを特徴とする請求項8ないし13いずれかに記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項15】
溶剤により基材を除去することを特徴とする請求項14記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項16】
加熱により基材を除去することを特徴とする請求項14記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項17】
固定材料が、有機高分子、金属または合金あるいは無機物のいずれかであることを特徴とする請求項8ないし16いずれかに記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項18】
固定材料が、1500℃以下の加熱により軟化する材料であることを特徴とする請求項8ないし17いずれかに記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項19】
固定材料が、融点が1500℃以下の金属または合金であることを特徴とする請求項18記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項20】
固定材料が、1500℃以下で炭化物を形成する材料であることを特徴とする請求項8ないし17いずれかに記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項21】
カーボンナノホーン集合体を被覆している固定材料(2)の一部を選択的に除去することを特徴とする請求項8ないし20いずれかに記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項22】
固定材料を溶剤により選択的に除去することを特徴とする請求項21記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項23】
固定材料を酸素プラズマエッチングにより選択的に除去することを特徴とする請求項21記載のナノホーン担持体の製造方法。

【請求項24】
固定材料を酸素雰囲気中で加熱することにより選択的に除去することを特徴とする請求項21記載のナノホーン担持体の製造方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】この出願の発明は、ナノホーン担持体とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、カーボンナノホーンの先端形状をより有効にかつ簡便に利用することができるナノホーン担持体とその製造方法に関するものである。

【0002】
【従来の技術とその課題】この出願の発明者らにより発見されたカーボンナノホーンは、カーボンナノチューブの先端部が角(ホーン)状に尖った形状を有し、カーボンナノチューブと同様に主にグラファイト構造の炭素原子面から構成されている。そしてこのカーボンナノホーンは、一般に、多数のカーボンナノホーンが角状の先端部を外にして直径80~100nm程度の球状に集合した、いわゆるダリヤ状カーボンナノホーン集合体として製造されている。また、ダリア状カーボンナノホーン集合体とは違ってその表面に角状の突起が見られず、かなり滑らかな表面を有する、ダリアの花に対してつぼみ状と表現されているつぼみ状カーボンナノホーン集合体も知られている。このつぼみ状カーボンナノホーン集合体は、直径0.3nm~3nm程度、長さ数nm~50nm程度で、ほぼチューブ状のカーボンナノホーンが多数集合した球状体である。

【0003】
これらのカーボンナノホーン集合体は、表面積が非常に大きく、高純度での大量合成が容易であることなどから、軽量で低コストな吸着材料等としての利用が期待されている。その一方で、角状の先端角が約20°というカーボンナノホーンの鋭利な先端形状を、たとえば薄型ディスプレイ用の電界電子放出素子に利用するなどといった、カーボンナノホーンの先端形状を利用するようにした応用等にも高い可能性が認められている。

【0004】
しかしながら、後者の、カーボンナノホーンの先端形状を応用する研究については、カーボンナノホーンの材料としての特性に関する基礎研究が進められているものの、実用化に際しての実際的な利用形態についての研究はほとんどなされていなかった。すなわち、たとえば、この出願の発明者らにより、その特長的な先端形状を利用してカーボンナノホーンが電界電子放出特性を示すことが確認されているものの、このカーボンナノホーンを実際に素子等として利用する場合の設置の形態やその制御等については深く研究されていなかった。

【0005】
そこで、この出願の発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、カーボンナノホーンの先端形状をより有効にかつ簡便に利用することができるナノホーン担持体とその製造方法を提供することを課題としている。

【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、以下の通りの発明を提供する。

【0007】
すなわち、まず第1には、この出願の発明は、2つ以上のカーボンナノホーン集合体が結合して互いに担持されていることを特徴とするナノホーン担持体を提供する。

【0008】
そしてこの出願の発明は、上記の発明において、第2には、担持されているカーボンナノホーン集合体の一部または全部が基材上に固定されていることを特徴とするナノホーン担持体を、第3には、カーボンナノホーン集合体が固定材料により基材上に固定されていることを特徴とするナノホーン担持体を、第4には、基材が任意の形状を有することを特徴とするナノホーン担持体を、第5には、基材がガラス、セラミックス、金属、合金、半導体あるいは有機物のいずれかであることを特徴とするナノホーン担持体を、第6には、形状が可変とされていることを特徴とするナノホーン担持体を、第7には、カーボンナノホーンの先端が、固定材料の表面から突出されていることを特徴とするナノホーン担持体を提供する。

【0009】
一方でこの出願の発明は、第8には、カーボンナノホーン集合体を分散液に分散させ、この分散液を基材上に供給したのち、分散液のみを除去することでカーボンナノホーン集合体を配置し、次いでこのカーボンナノホーン集合体の一部あるいは全部を固定材料で被覆して固定材料に担持させることを特徴とするナノホーン担持体の製造方法を、第9には、カーボンナノホーン集合体を分散液に分散させ、この分散液を予め固定材料層を形成した基材上に供給したのち、分散液のみを除去することでカーボンナノホーン集合体を配置し、次いで固定材料層を軟化させた状態でカーボンナノホーン集合体を上方より押圧することで固定材料に担持させることを特徴とするナノホーン担持体の製造方法を、第10には、カーボンナノホーン集合体を分散液に分散させ、この分散液を基材上に供給したのち、分散液のみを除去することでカーボンナノホーン集合体を配置し、1200~2000℃で加熱することでカーボンナノホーン集合体同士を結合させて互いに担持させることを特徴とするナノホーン担持体の製造方法を提供する。

【0010】
加えてこの出願の発明は、上記の発明の方法において、第11には、基材が任意の形状を有するナノホーン担持体の製造方法を、第12には、基材がガラス、セラミックス、金属、合金、半導体あるいは有機物のいずれかであるナノホーン担持体の製造方法を、第13には、基材が、化学的あるいは熱的に不安定な材料からなるナノホーン担持体の製造方法を、第14には、基材を除去するナノホーン担持体の製造方法を、第15には、溶剤により基材を除去するナノホーン担持体の製造方法を、第16には、加熱により基材を除去するナノホーン担持体の製造方法を、第17には、固定材料が、有機高分子、金属あるいは無機物のいずれかであるナノホーン担持体の製造方法を、第18には、固定材料が、1500℃以下の加熱により軟化する材料であるナノホーン担持体の製造方法を、第19には、固定材料が、融点が1500℃以下の金属または合金であるナノホーン担持体の製造方法を、第20には、固定材料が、1500℃以下で炭化物を形成する材料であるナノホーン担持体の製造方法を、第21には、カーボンナノホーン集合体を被覆している固定材料の一部を選択的に除去するナノホーン担持体の製造方法を、第22には、固定材料を溶剤により選択的に除去するナノホーン担持体の製造方法を、第23には、固定材料を酸素プラズマエッチングにより選択的に除去するナノホーン担持体の製造方法を、第24には、固定材料を酸素雰囲気中で加熱することにより選択的に除去するナノホーン担持体の製造方法を提供する。

【0011】
【発明の実施の形態】この出願の発明は、上記の通りの特徴を持つものであるが、以下にその実施の形態について説明する。

【0012】
この出願の発明が提供するナノホーン担持体の一例を、図1(a)~(f)に例示した。この出願の発明が提供するナノホーン担持体は、1つあるいは2つ以上のカーボンナノホーン集合体(1)の一部または全部が固定材料(2)によって担持されていることを特徴としている。このナノホーン担持体において、カーボンナノホーン集合体(1)としては、多数のカーボンナノホーンが角状の先端部を外にして直径80~100nm程度の球状に集合したダリヤ状カーボンナノホーン集合体(1)や、その表面に角状の突起が見られず、滑らかな表面を有するつぼみ状カーボンナノホーン集合体(1)を用いることができる。そして、このナノホーン担持体において、カーボンナノホーン集合体(1)は、たとえば(a)に示したように、1つだけが担持されていてもよいし、(b)~(f)に示したように2つ以上が担持されていてもよい。また、このナノホーン担持体において2つ以上のカーボンナノホーン集合体(1)が担持されている場合、カーボンナノホーン集合体(1)は、たとえば(b)に示したように、任意の規則的あるいは不規則的な間隔をおいて配置されていてもよいし、(c)に示したように、隣接するように密に規則的あるいは不規則的に配置されていてもよい。さらに、このナノホーン担持体においては、厚さ方向について一つのカーボンナノホーン集合体(1)が配置されるようにしてもよいし、二つ以上のカーボンナノホーン集合体(1)が配置されるようにしてもよい。すなわち、この出願の発明のナノホーン担持体は、所望の特性あるいは形状等が得られるように、カーボンナノホーン集合体(1)を配置することができる。また、この出願の発明のナノホーン担持体においては、たとえば(a)~(e)に示したように、全てのカーボンナノホーン集合体(1)が固定材料(2)に担持されていてもよいし、たとえば(f)に示したように、カーボンナノホーン集合体(1)の凝集体等の一部が固定材料(2)に担持されていてもよい。

【0013】
また、この出願の発明において、たとえば(a)~(c)に示したように、固定材料(2)は、カーボンナノホーン集合体(1)の全部を担持するようにしていてもよいし、(d)~(f)に示したように、一部を担持するようにしていてもよい。固定材料(2)としては、上記のように所望の配置のカーボンナノホーン集合体(1)間に供給することができ、たとえば固化するなどしてカーボンナノホーン集合体(1)の一部または全部を担持できるものであればその種類等に制限はない。このような固定材料(2)としては、各種の有機高分子、金属または合金、あるいは無機物等を用いることができる。具体的には、たとえば、目的に応じてエポキシ樹脂系接着剤、ゴム系接着剤や、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の高分子等を例示することができる。また、1500℃以下の加熱により軟化する材料、たとえば、具体的には、インジウム、ガリウム、鉛、金等の融点が1500℃以下の金属や合金等や、さらには、たとえばケイ素(Si)やチタン(Ti)等の1500℃以下で炭化物を形成する材料等を考慮することができる。

【0014】
さらにこの出願の発明のナノホーン担持体は、たとえば図2に示したように、2つ以上のカーボンナノホーン集合体(1)が結合して互いに担持されているものをも考慮することができる。この2つ以上のカーボンナノホーン集合体(1)の配置については前記のとおり、任意のものとすることができる。

【0015】
以上のようなこの出願の発明のナノホーン担持体は、たとえば図3(a)~(d)に例示したように、さらにその一部または全部が、基材(3)上に固定されているものとしても考慮することができる。この基材(3)上への固定には、各種の材料を利用することができ、たとえば前記の固定材料(2)等を利用することができる。

【0016】
また、この出願の発明において、基材(3)としては、その材質および形状に特に制限はなく、ガラス、セラミックス、金属、合金、半導体、無機物あるいは有機物等の各種の材料を用いることができる。また形状については、たとえば、板状、網状、繊維状、針状、球体状、幾何学形状等の任意の形状であってよく、またそれらの表面形状についても平面であってよいのはもちろんのこと、凹凸や曲面やスリット等が付与されていてもよい。

【0017】
このようなこの出願の発明のナノホーン担持体は、固定材料(2)および基材(3)の材質等を適切に選択することで、一定の形状を有するナノホーン担持体を実現することもできるし、形状が可変とされているナノホーン担持体を実現することもできる。より具体的には、たとえば、基材(3)として紙や高分子等の各種の材料からなる、布、シートあるいはファイバー等を用いることで、湾曲、屈曲、伸縮等が自在のナノホーン担持体が実現される。このように、この出願の発明のナノホーン担持体は、目的に応じて固定材料(2)および基材(3)を適切に選択することができ、応用に際してより広い可能性を有するものとして実現される。

【0018】
また、この出願の発明のナノホーン担持体は、任意に配置されているカーボンナノホーン集合体(1)が固定材料(2)で完全に被覆されていてナノホーン担持体の表面が固定材料(2)のみから構成されていてもよいし、たとえば図1(d)(e)に示したように、カーボンナノホーン集合体(1)の一部が表面に露出されていてもよい。さらに特徴的には、この出願の発明のナノホーン担持体においては、たとえば図1(e)に示したように、カーボンナノホーンの先端のみが、固定材料(2)の表面から突出されているものを考慮することができる。なお、このようなカーボンナノホーンの先端が突出されたナノホーン担持体は、後に詳しく説明するが、前記の表面が固定材料(2)で完全に被覆されているこの出願の発明のナノホーン担持体から、必要に応じて容易に製造することも可能とされている。すなわち、この出願の発明のナノホーン担持体は、必要に応じて、その形態を用意に変化することも可能とされている。

【0019】
以上のようなこの出願の発明のナノホーン担持体は、目的とする形態に応じて、各種の方法により製造することができる。たとえばこの出願の発明が提供するナノホーン担持体の製造方法は、カーボンナノホーン集合体(1)を分散液に分散させ、この分散液を基材(3)上に供給したのち、分散液のみを除去することでカーボンナノホーン集合体(1)を配置し、次いでこのカーボンナノホーン集合体(1)の一部あるいは全部を固定材料(2)で被覆して固定材料(2)に担持させることを特徴としている。

【0020】
この出願の発明において、カーボンナノホーン集合体(1)は、公知の各種の方法で製造したものを用いることができる。たとえば、このカーボンナノホーン集合体(1)は、室温、760TorrのAr雰囲気中で、触媒無しのグラファイトターゲットを使用するCO2レーザーアブレーションによる合成方法等によって製造することができる。

【0021】
分散液としては、たとえば、水、二硫化炭素、酸等の無機溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素や、メタノール、エタノール等のアルコール、エーテル、およびその誘導体等の有機溶媒およびこれらの混合物等を使用することができる。また、分散液の除去を容易とするために、揮発性を有する分散液を用いることもできる。この分散液にカーボンナノホーン集合体(1)を入れて分散させる。分散液中にカーボンナノホーン集合体(1)を分散させるには、たとえば、スターラー等で攪拌することや、超音波洗浄器等を利用して軽く超音波を照射することなどが例示される。

【0022】
そして、このカーボンナノホーン集合体(1)が分散された分散液を基材(3)上に供給する。この基材(3)については、前記のとおり材質および形状等については特に制限はなく、任意のものとすることができる。また、カーボンナノホーン集合体(1)の分散液の基材(3)上への供給には、公知の各種の方法を利用することができる。具体的には、たとえば、キャスト法や、塗布法、スピンコート法、スプレー法等を例示することができる。

【0023】
そしてこの分散液のみを除去することで、基材(3)上にカーボンナノホーン集合体(1)を配置させることができる。ここで、分散液中のカーボンナノホーン集合体(1)の濃度や分散液の供給方法を適切に選択することで、ナノホーン担持体におけるカーボンナノホーン集合体(1)の配置を調整することができる。分散液の除去については、用いた分散液の特性に応じて除去するようにする。たとえば、適切な温度に保持することにより、分散液を揮発させて除去することなどができる。また、たとえば、基材(3)として金属、ガラスあるいは樹脂等からなるフィルターを用い、吸引ろ過しながら分散液を基材(3)上へ供給することで、分散液のみを除去することが例示される。

【0024】
次いで、基材(3)上に配置されたこのカーボンナノホーン集合体(1)の一部あるいは全部を固定材料(2)で被覆して、固定材料(2)に担持させるようにする。この固定材料(2)としては、前記のとおり、各種の高分子等の有機物、金属または合金あるいは無機物等や、1500℃以下の加熱により軟化する材料、さらには1500℃以下で炭化物を形成する材料等を用いることができる。被覆の方法については、様々な方法を考慮することができる。たとえば、この固定材料(2)を液体状にして、キャスト法、塗布法、スプレー法等によりカーボンナノホーン集合体(1)の間に供給したのち固化させることで、カーボンナノホーン集合体(1)の一部あるいは全部を固定材料(2)で被覆し、固定材料(2)に担持させることができる。

【0025】
また、基材(3)上に配置されたカーボンナノホーン集合体(1)上に、たとえばシート状あるいは粉末状等の固定材料(2)を被せて加熱し、固定材料(2)を融解させてカーボンナノホーン集合体(1)の間に供給し、次いで固化させることで、カーボンナノホーン集合体(1)の一部あるいは全部を固定材料(2)で被覆し、固定材料(2)に担持させることなどが例示される。

【0026】
これによって、カーボンナノホーン集合体(1)の一部または全部が固定材料(2)によって担持されて、基材(3)上に固定されているこの出願の発明のナノホーン担持体を製造することができる。

【0027】
さらにこの出願の発明が提供するナノホーン担持体の製造方法は、固定材料(2)を含む分散液にカーボンナノホーン集合体(1)を分散させ、この分散液を基材(3)上に供給して固化させることを特徴としている。すなわち、基材(3)上に供給したカーボンナノホーン集合体(1)の分散液自体を固化させるようにしている。

【0028】
この出願の発明の方法において、固定材料(2)を含む分散液としては、反応の進行により経時的に固化するもの、あるいは、加熱、冷却もしくは紫外線照射等の処理によって固化するものを使用することができる。具体的には、たとえば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)等や、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の高分子を前記の分散液に混合したもの等を使用することが好適な例として示される。ここで、カーボンナノホーン集合体(1)を固定材料(2)を含む分散液に分散させる方法や、この分散液を基材(3)上に供給する方法等については、前記の方法と同様に行なうことができる。これによって、カーボンナノホーン集合体(1)の一部または全部が固定材料(2)によって担持されて、基材(3)上に固定されているこの出願の発明のナノホーン担持体を製造することができる。

【0029】
さらにこの出願の発明の方法においては、前記の分散液を除去した後の基材(3)上に配置されたカーボンナノホーン集合体(1)について、1200~2000℃で加熱することでカーボンナノホーン集合体(1)同士を結合させて互いに担持させるようにしている。これによって、カーボンナノホーンの先端が、固定材料(2)の表面から突出されているナノホーン担持体を製造することができる。

【0030】
この方法によって、カーボンナノホーン集合体(1)の一部または全部が互いに担持されて基材(3)上に固定されているこの出願の発明のナノホーン担持体を製造することができる。

【0031】
またこの出願の発明の方法においては、前記の発明の方法により製造されたカーボンナノホーン担持体について、カーボンナノホーン集合体(1)を被覆している固定材料(2)の一部を選択的に除去することで、カーボンナノホーンの先端を表面に突出させることを考慮することができる。この固定材料(2)の選択的な除去は、カーボンナノホーン集合体(1)を固定材料(2)で被覆して担持させる工程に引き続いて行なってもよいし、必要な任意の時点で行なってもよい。この出願の発明の方法においては、たとえば、用いた固定材料(2)に対して溶解能力のある溶剤等により固定材料(2)を溶解することで、固定材料(2)の一部を選択的に除去することができる。また、たとえば、酸素プラズマ等によるエッチングにより、表面およびカーボンナノホーンの先端を被覆している固定材料(2)を灰化して選択的に除去することや、酸素雰囲気中で加熱することにより選択的に除去するなども可能である。

【0032】
これによって、カーボンナノホーンの先端が、固定材料(2)の表面から突出されているこの出願の発明のナノホーン担持体を製造することができる。

【0033】
さらにこの出願の発明が提供するナノホーン担持体の製造方法は、カーボンナノホーン集合体(1)を分散液に分散させ、この分散液を予め固定材料(2)層を形成した基材(3)上に供給したのち、分散液のみを除去することでカーボンナノホーン集合体(1)を配置し、次いで固定材料(2)層を軟化させた状態でカーボンナノホーン集合体(1)を上方より押圧することで固定材料(2)に担持させることを特徴としている。すなわち、このナノホーン担持体の製造方法においては、前記の発明の方法とは異なり、予め基材(3)上へ固定材料(2)を供給して固定材料(2)層を形成しておき、その上に分散液を供給してカーボンナノホーン集合体(1)を配置させるようにしている。

【0034】
そして、この方法においては、固定材料(2)として何らかの手段により軟化する材料を用いることが好適な例として示される。たとえば、前記のとおり、固体材料として、1500℃以下の加熱により軟化する材料等を用いることができる。より具体的には、たとえば、融点が1500℃以下のインジウム、ガリウム、鉛、金等の金属やその合金、酸化物あるいは塩等を例示することができる。このような固定材料(2)を基材(3)上へ任意の方法により供給し、固定材料(2)層を形成する。そして、この固定材料(2)層上にカーボンナノホーン集合体(1)の分散液を供給して、分散液のみを除去することでカーボンナノホーン集合体(1)を配置したのち、たとえば、加熱等の手段により固定材料(2)層を軟化させるようにする。ここで、この発明の方法において、カーボンナノホーン集合体(1)を分散液に分散させる方法や、この分散液を予め固定材料(2)層を形成した基材(3)上へ供給する方法、分散液のみを除去する方法については、前記の発明の方法と同様に行なうことができる。

【0035】
次いで、固定材料(2)層を軟化させた状態でカーボンナノホーン集合体(1)をたとえば基材(3)と同じ表面形状を有する加圧板等により上方から押圧し、カーボンナノホーン集合体(1)の一部あるいは全部を固定材料(2)層中に配置させるようにする。次いで固定材料(2)を固化させることで、カーボンナノホーン集合体(1)を固定材料(2)に担持させることができる。

【0036】
これによっても、カーボンナノホーン集合体(1)の一部または全部が固定材料(2)によって担持されて基材(3)上に固定されているこの出願の発明のナノホーン担持体を製造することができる。

【0037】
またこの出願の発明の方法によると、押圧の程度を調節することにより、固定材料(2)層中のカーボンナノホーン集合体(1)の配置を制御することができる。したがって、押圧の程度を少なくすることにより、カーボンナノホーン集合体(1)が固定材料(2)の表面に露出していたり、カーボンナノホーンの先端が固定材料(2)の表面から突出していたりして、基材(3)上に固定されているこの出願のナノホーン担持体を製造することができる。

【0038】
ここで、カーボンナノホーンを固定材料(2)層に埋め込みすぎた場合などには、前記のとおり、溶剤により固定材料(2)を融解したり、酸素プラズマエッチングあるいは酸素雰囲気中で加熱すること等により、固体材料を選択的に除去することができる。これによって、カーボンナノホーンの先端が固定材料(2)の表面から突出されているナノホーン担持体を製造することができる。

【0039】
一方で、この出願の発明の方法においては、上記の各種の方法により製造されたナノホーン担持体の基材(3)を除去することなども考慮することができる。このように基材(3)を除去すると、基材(3)に固定されていないこの出願の発明のナノホーン担持体を実現することができる。加えて、このように基材(3)を除去すると、たとえば基材(3)に接していたカーボンナノホーンの先端のみが固定材料(2)の表面から突出されるため、カーボンナノホーンの先端のみが固定材料(2)の表面から突出されているナノホーン担持体を、より簡便に製造することができる。

【0040】
この基材(3)の除去については、たとえば、基材(3)と固定材料(2)との組み合わせによっては、一部または全部を固定材料(2)によって担持されているカーボンナノホーン集合体(1)と基材(3)とを剥離することで容易に実現することができる。剥離によって基材(3)の除去を試みる場合には、基材(3)の表面を平滑にしておくことが好ましい。これ以外にも、基材(3)の除去としては、たとえば、固定材料(2)に対しては融解能がなく、基材(3)に対して融解能を有する溶剤により基材(3)を融解することで基材(3)を除去することや、基材(3)の材料によっては加熱により溶解あるいは揮発させることなどにより除去すること等が例示される。さらには、酸素プラズマエッチングにより基材(3)を選択的に除去すること等も可能とされる。すなわち、固定材料(2)には化学的あるいは熱的に安定な材料を用い、基材(3)には化学的あるいは熱的に不安定な材料を用いるようにすることで、化学的あるいは熱的手法により基材(3)を除去することができるのである。

【0041】
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。

【0042】
【実施例】(実施例1)カーボンナノホーン集合体を分散液としてのヘキサンに入れ、超音波を照射することでヘキサン中に分散させた。この分散液を、基材として用いたNaClの結晶面に厚さ数μm程度に供給し、ヘキサンを揮発させて基材上にカーボンナノホーン集合体を配置させた。なおNaClの結晶面は、後のSEM観察のために予め研磨しておいた。次いで、このカーボンナノホーン集合体の上から、固定材料としてのエポキシ樹脂を塗布し、このエポキシ樹脂が硬化したのを確認した後、NaClを水で溶解して除去した。これにより、エポキシ樹脂の表面にカーボンナノホーンの先端部が突出した状態のナノホーン担持体が得られた。

【0043】
このナノホーン担持体の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、カーボンナノホーンが表面に突出しているためにチャージアップが起こることがなく、高い分解能で観察することができた。

【0044】
このように、この出願の発明のナノホーン担持体は、カーボンナノホーン先端からの電子放出特性が保たれた状態でカーボンナノホーン集合体が固定材料に担持されている。したがって、このナノホーン担持体は、たとえばカーボンナノホーン集合体の電界電子放出素子等としての利用に極めて有用であることが確認された。

【0045】
この突出しているカーボンナノホーンの一部にエポキシ樹脂が付着していたため、酸素プラズマエッチングによりエポキシ樹脂を取り除いた。このナノホーン担持体の表面を分子間力顕微鏡(AFM)でさらに詳細に観察した。そのAFM像を図4に示した。基材の表面からカーボンナノホーンの先端がきれいに突出している状態を確認することができた。
(実施例2)ガラス基材上に固定材料としてのインジウムを厚さ約50nmの薄膜として堆積させた。この基材のインジウム薄膜上に、カーボンナノホーン集合体のヘキサン分散液を滴下してカーボンナノホーン集合体を配置させた。次いでこの基材全体を120~150℃程度に加熱してインジウム薄膜を軟化させ、上方から平板でカーボンナノホーン集合体層を押圧することで、カーボンナノホーン集合体の下部をインジウムに融着させた。

【0046】
これによって、カーボンナノホーン集合体の下部がインジウム薄膜に担持され、ガラス基材上に固定されたナノホーン担持体を得ることができた。

【0047】
もちろん、この発明は以上の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。

【0048】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によって、カーボンナノホーンの先端形状をより有効にかつ簡便に利用することができるナノホーン担持体とその製造方法が提供される。
図面
【図2】
0
【図1】
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【図3】
2
【図4】
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