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明細書 :アルカリ性溶液から銅イオンを選択的に回収する方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3479677号 (P3479677)
公開番号 特開2000-256645 (P2000-256645A)
登録日 平成15年10月10日(2003.10.10)
発行日 平成15年12月15日(2003.12.15)
公開日 平成12年9月19日(2000.9.19)
発明の名称または考案の名称 アルカリ性溶液から銅イオンを選択的に回収する方法
国際特許分類 C09K  3/00      
C02F  1/62      
C22B 15/00      
FI C09K 3/00 108C
C02F 1/62
C22B 15/08
請求項の数または発明の数 7
全頁数 4
出願番号 特願平11-059954 (P1999-059954)
出願日 平成11年3月8日(1999.3.8)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用申請有り 1998年10月28日発行の「1998年・日本イオン交換学会・日本吸着学会・日本溶媒抽出学会連合研究発表会 講演要旨集」において発表
審判番号 不服 2000-019909(P2000-019909/J1)
審査請求日 平成11年3月8日(1999.3.8)
審判請求日 平成12年12月14日(2000.12.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】391055276
【氏名又は名称】宮崎大学長
発明者または考案者 【氏名】馬場 由成
【氏名】貝掛 勝也
【氏名】永見 英人
個別代理人の代理人 【識別番号】100058479、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外5名)
参考文献・文献 特開 昭49-132025(JP,A)
Kompleksn.Ispol’z.Miner.Syr’ya,1984,7,p.76-81
調査した分野 C07K 3/00
C02F 1/62
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の構造:
【化2】
JP0003479677B2_000002t.gif(ここで、R1はC1~C12の直鎖若しくは分枝アルキル基<HAN>、</HAN>R2はフェニル基)を有する化合物を用いて、pH2.5を超える溶液から銅イオンを選択的に回収する方法であって、
(1)銅イオンを含有する前記溶液に、前記化合物を添加して銅のキレート化合物を形成する工程と、
(2)前記溶液から、前記銅のキレート化合物を回収する工程と、
(3)回収した銅キレート化合物から銅イオンを遊離せしめる工程とを具備する方法。

【請求項2】
R1がオクチル基である請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記溶液のpHが10以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
前記溶液がアンモニア水溶液であることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の方法。

【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の方法において、工程(2)の回収が有機溶媒抽出によってなされることを特徴とする方法。

【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の方法において、工程(3)における銅イオン化合物からの銅イオンの遊離が、希酸水溶液による逆抽出によって行われることを特徴とする方法。

【請求項7】
前記希酸が、硫酸、過塩素酸、及び硝酸からなる群の少なくとも1つからなる選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、pH2.5を超える溶液から銅イオンを選択的に回収する方法に関する。

【0002】
【従来の技術】現在、銅の工業的湿式精練には、LIX65NやLIX860及びAcorga Pシリーズ等のヒドロキシオキシムのアルキル誘導体が使用されているが、これらの抽出剤は、金属による吸着pHの違いによって各金属イオンを分離している。

【0003】
しかし、高pHになると全ての金属が抽出されるようになるので、銅に対する選択性を発現することができなくなる。特にアンモニア性水溶液からの銅の抽出では、銅に対する選択性が低下する<HAN>。</HAN>例えば、銅鉱石の湿式精練では、アンモニアリーチング溶液から銅を回収しなければならないが、この場合、従来の抽出剤では銅に対する選択性が低下して、効果的な銅の湿式精練が行えない等の問題がある。

【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に存するこのような欠点を克服するためになされたものであり、pH2.5を超える溶液、好ましくはアルカリ性の溶液、より好ましくはアンモニア水溶液から銅イオンを選択的に回収する方法を提供することを目的とする。

【0005】

【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、以下の構造:
【化2】
JP0003479677B2_000003t.gif(ここで、R1はC1~C12の直鎖若しくは分枝アルキル基、R2はC1~C12の直鎖若しくは分枝アルキル基又はフェニル基)を有する化合物を用いて、pH2.5を超える溶液から銅イオンを選択的に回収する方法であって、
(1)銅イオンを含有する前記溶液に、前記化合物を添加して銅のキレート化合物を形成する工程と、
(2)前記溶液から、前記銅のキレート化合物を回収する工程と、
(3)回収した銅キレート化合物から銅イオンを遊離せしめる工程とを具備する方法を提供する。

【0007】
(ここで、R1はC1~C12の直鎖若しくは分枝アルキル基、R2はC1~C12の直鎖若しくは分枝アルキル基又はフェニル基)を有する化合物を具備する銅キレート剤を提供する。

【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を説明する。

【0009】
実施例1
本実施例では、以下の構造:
【化3】
JP0003479677B2_000004t.gif【0010】(ここでR1=オクチル基、R2=フェニル基)を有する化合物(2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノンオキシム)を用いた銅の選択的回収法を記載する。

【0011】
本実施例において、抽出実験は全てバッチ法で行った。

【0012】
水相は、1mol/dm3硝酸アンモニウム溶液であり、1mmol/dm3の濃度の各金属イオンを含有する。硝酸とアンモニアを用いて該水相のpHを調整した。

【0013】
有機相は、0.01mol/dm3の2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノンオキシムのトルエン溶液である。

【0014】
各相を当量ずつ三角フラスコに取り、30℃で24時間振盪した。振盪後、水相を分取し、水相に残存する各金属濃度を原子吸光光度計により測定し、次式を用いて抽出率を求めた。

【0015】
E=(C0-Ce)×100/C0 [%]
(ここで、C0は金属イオンの初濃度、Ceは平衡後の濃度を示す)
各金属の抽出結果を図1に示す。

【0016】
図1から明らかなように、pHが2以上の範囲では、Cu2+の抽出率は、ほぼ100%に達したが、Ag+、Pd2+、Ni2+、Fe3+、Cd2+、Cr3+の抽出率は、ほぼ0%であった。

【0017】
本実施例から、本実施例の化合物が、pH2~10の広範な範囲で、きわめて特異的に銅イオンを抽出し得ることが実証された。

【0018】
実施例2
本実施例では、銅の抽出率に対するアンモニア濃度の影響を調べた。

【0019】
2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノンオキシム0.01mol/dm3のトルエン溶液と、1mmol/dm3の濃度の各金属イオンを含有する0.05~1mol/dm3のアンモニア水とを等量ずつ取り、30℃の恒温槽中で24時間振盪した。

【0020】
各金属の抽出結果を図2に示す<HAN>。</HAN>図2から明らかなように、0.5mol/dm3までの低アンモニア濃度領域では、銅のみをほぼ100%抽出することができ、他の金属は殆ど抽出されない。

【0021】
本実施例によって、本実施例の銅キレート剤は、銅の湿式精練において、銅イオンをアンモニア溶液から選択的に抽出し得る抽出剤として利用できることが明らかとなった。

【0022】
本実施例では、それぞれ98ppm、54ppm、及び5ppmの銅を含有する2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノンオキシム(0.01mol/dm3)のトルエン溶液を用いて、逆抽出実験を行った。逆抽出剤として、2mol/dm3の硫酸を用いた。

【0023】
結果を下表に示す<HAN>。</HAN>
【表1】
JP0003479677B2_000005t.gif【0024】表から明らかなように、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノンオキシムは、銅に対してきわめて優れた選択性を有するにもかかわらず、希酸を用いることにより、ほぼ100%逆抽出することができる。かかる特性は、銅の回収に用いる上で、きわめて有用である。

【0025】
【発明の効果】本発明の方法によれば、pH2.5を超える溶液、とりわけアルカリ性溶液から、極めて選択的に銅イオンを回収することができる。

【0026】
従って、本発明の方法は、アンモニア溶液中から銅イオンを選択的に抽出するために用いることができ、銅の湿式精練に適用することが可能である。

【0027】
また、本発明の方法に用いる銅キレート化合物は、高い銅選択性を有するにもかかわらず、逆抽出によって、水溶液中に銅イオンを遊離させ得る。
図面
【図1】
0
【図2】
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