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Specification :(In Japanese)光応答性金属イオン吸着材料および金属イオン回収方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4919447
Publication number P2003-053185A
Date of registration Feb 10, 2012
Date of issue Apr 18, 2012
Date of publication of application Feb 25, 2003
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)光応答性金属イオン吸着材料および金属イオン回収方法
IPC (International Patent Classification) B01J  20/26        (2006.01)
B01D  15/00        (2006.01)
B01J  45/00        (2006.01)
C09K   3/00        (2006.01)
FI (File Index) B01J 20/26 E
B01D 15/00 N
B01J 45/00 S
B01J 45/00 U
C09K 3/00 U
Number of claims or invention 7
Total pages 10
Application Number P2001-248134
Date of filing Aug 17, 2001
Date of request for substantive examination Aug 8, 2008
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】390033950
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】鈴木 隆之
Representative (In Japanese)【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
【識別番号】100100712、【弁理士】、【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
【識別番号】100100929、【弁理士】、【氏名又は名称】川又 澄雄
【識別番号】100095500、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 正和
【識別番号】100101247、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 俊一
【識別番号】100098327、【弁理士】、【氏名又は名称】高松 俊雄
Examiner (In Japanese)【審査官】松本 直子
Document or reference (In Japanese)特開2002-332480(JP,A)
特開昭63-199279(JP,A)
特開平03-072591(JP,A)
特開平05-320227(JP,A)
特開平07-159922(JP,A)
Field of search B01J 20/26
C09K 9/02
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
下式(1)に示すセグメント(a)およびセグメント(b)を必須セグメントとする共重合体を含むことを特徴とする光応答性金属イオン吸着材料。
【化1】
JP0004919447B2_000004t.gif
(ただし、式(1)中、R1、R2、R3およびR4は独立にHまたはCH3であり、R5はアルキル基またはアミド基であり、R6はフッ化アルキル基であり、Xは一個の水素原子を結合した炭素原子、または窒素原子であり、Yは酸素原子または硫黄原子である。)
【請求項2】
前記セグメント(a)の共重合体中含有率が70mol%以下である請求項1記載の光応答性金属イオン吸着材料。
【請求項3】
前記共重合体が極性溶媒に不溶または難溶である請求項1または2記載の光応答性金属イオン吸着材料。
【請求項4】
前記共重合体が、1´,3´,3´-トリメチル-6-(メタクリロイルオキシ)スピロ(2H-1-ベンゾピラン-2,2´-インドール)と、3-ペルフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレートとの共重合体である請求項1~3のいずれか記載の光応答性金属イオン吸着材料。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか記載の光応答性金属イオン吸着材料の共重合体と、金属イオンとを、暗所下で錯形成させる工程と、
可視光を照射して金属イオンを共重合体から遊離させる工程とを含むことを特徴とする金属イオン回収方法。
【請求項6】
前記錯形成させる工程では、金属イオン水溶液と、水以外の極性溶媒と光応答性金属イオン吸着材料とを混合する請求項5記載の金属イオン回収方法。
【請求項7】
前記錯形成させる工程は、水が90容量%以下である極性溶媒中で行う請求項5または6記載の金属イオン回収方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)
【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、光応答性金属イオン吸着材料と、それを用いた金属イオン回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、工場等から排出される産業廃液や産業廃棄物から、効率良く金属イオン、特に鉛イオン等の重金属イオンを回収する方法が、環境汚染防止、産業廃棄物の減量、資源再利用の理由から望まれている。
金属イオンを含む廃液を浄化する方法として、中和凝集沈殿法・硫化ソーダ法・重金属捕集剤法・フェライト法等が実用化されている。これらの方法で廃液を処理した後、金属を回収するステップ、さらに再利用するステップが設けられている。
このうち、重金属捕集剤法は、重金属イオンと錯化合物を形成する捕集剤(例えばシアン化合物)を用いる。捕集処理後の捕集剤に吸着した金属イオンを回収するには、該捕集剤が一般に溶液に可溶なため、捕集剤を酸化処理等の化学反応処理を経て金属イオンから分離した後、金属を陽イオンとして溶液中に単離させて精製・回収している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような捕集剤による重金属捕集後の重金属回収ステップにおける化学反応処理の実施にあたっては、専門的な知識や技術が要求されるだけでなく、煩雑な操作と、それによる長い処理時間や多大な処理コストとを要するという問題があった。
したがって、本発明の目的は、溶液中の金属イオンの捕集と回収の両機能を備え、操作が簡便な金属イオン吸着材料を提供することにある。
本発明者は、化合物への光の照射の有無により可逆的に変色するフォトクロミズムを示す化合物(以下、フォトクロミック化合物という。)に、金属イオンが可視光照射に応答して可逆的に錯形成して吸着することに着目し、諸条件を確立して本発明に至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、下式(1)に示すセグメント(a)およびセグメント(b)を必須セグメントとする共重合体を含む光応答性金属イオン吸着材料を要旨とする。
【化2】
JP0004919447B2_000002t.gifただし、式(1)中、R1、R2、R3およびR4は独立にHまたはCH3であり、R5はアルキル基またはアミド基であり、R6はフッ化アルキル基であり、Xは炭素原子、窒素原子または硫黄原子であり、Yは酸素原子または硫黄原子である。
【0005】
また、本発明は、上記光応答性金属イオン吸着材料の共重合体と、金属イオンとを、暗所下で錯形成させる工程と、
可視光を照射して金属イオンを共重合体から遊離させる工程とを含むことを特徴とする金属イオン回収方法を要旨とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
可視光照射に応答して、金属イオンを可逆的に液中で吸着し、かつ可逆的に変色するフォトクロミック化合物として、本発明では、メロシアニン構造を取り得るスピロピランやスピロオキサジン分子を利用する。
すなわち、本発明の金属イオン吸着材料に含まれる共重合体は、上記式(1)で示される、(a)のセグメントすなわちスピロピランセグメントまたはスピロオキサジンセグメントと、(b)のセグメントすなわちフッ化アルコールセグメントとを、必須セグメントとする。
式(1)中、R1、R2、R3およびR4は独立にHまたはCH3であり、重合体は、R1およびR2がHであればアクリレート共重合体、CH3であればメタクリレート重合体である。
【0007】
R5はアルキル基またはアミド基である。R5は、具体的にはメチル基、エチル基、ドデシル基等が例示される。
R6は、アルキル基の少なくとも1つの水素原子がフッ素で置換されているフッ化アルキル基である。R6は、例えば-(CF2)6CH2CH3のように、フッ化アルコールセグメントの水酸基に近い位置の水素がフッ化されているのが好ましく、ペルフルオロアルキル基であればさらに好ましい。R6は、具体的にはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペルフルオロオクチル基、ペルフルオロドデシル基等が例示される。
Xは炭素原子、窒素原子または硫黄原子であり、Yは酸素原子または硫黄原子である。
セグメント(a)とセグメント(b)との重合は、ブロック状の重合であっても、交互の重合であっても良く、特に限定されない。
以下、Xが炭素原子でYが酸素原子の場合、すなわちメロシアニン構造のために共重合体がセグメント(a)としてスピロピランセグメントを有する場合について説明する。
【0008】
上記共重合体におけるスピロピランセグメントは、電気的に中性な無色のスピロピラン構造体と、分子内に双性イオンを有するメロシアニン構造体とに、可視光照射によって液中で可逆的に異性化する光応答性を有する。スピロピラン構造体と、メロシアニン構造体とを次の式(2)に示す。なお、式(2)中、Mは陽イオン化できる金属を示し、R1~R6、X、Yは式(1)と同様である。
【化3】
JP0004919447B2_000003t.gif
【0009】
そして、暗所下では、上記共重合体は、前記スピロピランセグメントが異性化して、メロシアニン構造体をとるため着色している。このとき、前記液中に金属Mの陽イオンが溶存していると、メロシアニン構造における酸素原子すなわち式(1)、式(2)におけるY原子は、電子密度が高く、この部位で、陽イオンである金属イオンと式(2)に示すように、錯形成を生じる。
【0010】
この錯形成はメロシアニン構造体が可視光(>420nm)照射によりスピロピラン構造体に戻ると解消する。すなわち、上記暗所下にあった共重合体に、外部から可視光を照射すると、メロシアニン構造体が閉環してスピロピラン構造体に異性化するため、共重合体は無色(白色)となる。そして、これまで錯形成していた金属イオンは、液中に遊離する。
次に、可視光の照射を停止し、共重合体を暗所下に置くと、再度、共重合体中のスピロピランセグメントはメロシアニン構造となり、遊離していた金属イオンと錯形成し、かつ共重合体は再度着色する。
本発明の光応答性金属イオン吸着材料は、この可逆的な錯形成及び変色をおこなう共重合体を含むことにより、金属イオン溶液から金属イオンを吸着させて回収することができる。
【0011】
金属イオンを回収するには、例えば、該共重合体に金属イオンを吸着させたまま、濾別等で固液分離して共重合体を取り出し、次に可視光を照射して金属イオンを遊離させればよい。このためには、共重合体は、少なくとも錯形成時に、液に不溶または難溶であるのが好ましく、不溶であればより好ましい。
【0012】
金属イオン吸着材料において、スピロピランセグメント(a)の共重合体中含有率は、70mol%以下であるのが好ましい。70mol%以下であれば、共重合物が、各種溶剤中で実用可能な程度の上記不溶性または難溶性を示すことができる。また、スピロピランセグメントは金属イオンと錯形成する部位を有するため、該含有率が少なくなると錯形成される金属イオン量も減少する。よって、共重合体中のスピロピランセグメントの含有率は、不溶性と錯形成能とに合わせて適宜選択される。セグメント(a)の含有率は、例えばセグメント(a)とセグメント(b)からなる共重合体の場合は、モル比でのセグメント(a)/(セグメント(a)+セグメント(b))に相当する。
【0013】
本発明の光応答性金属イオン吸着材料は、上記共重合体単独であっても、共重合体の吸着作用を妨げない範囲で他の成分が含まれていても良い。
【0014】
本発明の金属イオン回収方法は、上記光応答性金属イオン吸着材料の共重合体と金属イオンとを暗所下で錯形成させる工程と、可視光を照射して金属イオンを共重合体から遊離させる工程とを含む。ここで、例えば、錯形成させて該共重合体に金属イオンを吸着させた状態で、固液分離して共重合体を取り出し、次に可視光をこの共重合体に照射して、別の液中に金属イオンを遊離させれば金属イオンを回収できる。
【0015】
上述のように、共重合体は液に不溶または難溶であるのが好ましく、この液のための溶剤としては、水、アルコール類、トルエン、アセトニトリル等が挙げられ、溶解しやすいフッ化アルコール類以外の溶剤を、特に制限なく単独でまたは2種以上で使用できる。
【0016】
一般的には、回収すべき金属イオンは水溶液の形態で提供されることが多い。共重合体と金属イオンとの吸着能を上昇させるためには、水の割合は少ないほど好ましい。このため、金属イオン水溶液と金属イオン吸着材料とで錯形成させる場合は、さらに水以外の極性溶媒を加えて混合するのが好ましい。水以外の極性溶媒を添加して、水が極性溶媒中で90容量%以下になるように調整した極性溶媒中で錯形成を行うのが好ましい。
水以外の極性溶媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトニトリル等が例示され、特に、揮発性の点でメタノールが好ましく、安全性の点でエタノールが好ましい。
【0017】
金属イオンの回収方法の実施態様の一例として、上記式(2)に沿って、2価の鉛イオンを、共重合体が1´,3´,3´-トリメチル-6-(メタクリロイルオキシ)スピロ(2H-1-ベンゾピラン-2,2´-インドール)および3-ペルフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレートの共重合体である金属イオン吸着材料で吸着する際の、金属イオン吸着材料の変化を以下に説明する。
【0018】
まず、あらかじめ、メタノール:水=9:1(容量比)の混合溶剤と、金属イオン吸着材料とを暗所下で混合すると、金属イオン吸着材料の共重合体は青色に呈色して溶けずに沈殿する。これは共重合体中にメロシアニン構造がある程度安定に存在していることを示す。
次に、吸着させる工程として、上記混合物に、2価鉛イオンの水溶液を、メタノールが液中で10容量%以上になるように暗所下で添加する。共重合体は迅速に青色から黄色へ変化し、鉛イオンは式(2)のようにメロシアニン構造体と錯体を形成して吸着される。
さらに、遊離させる工程として、可視光(>420nm)を照射すると、共重合物の沈殿は黄色から無色(白色)に変化する。これは、式(2)において左方向で示すように、メロシアニン構造体からスピロピラン構造体への光異性化と共に、錯形成していた鉛イオンが液中に遊離したことを示す。
そして、上記光照射を中止して暗所下とすると、式(2)において右方向で示すように、迅速に黄色に戻り、再度メロシアニン構造体へと異性化すると共に鉛イオンと再度錯形成する。上記いずれの段階でも共重合体は殆ど液中に溶けずに沈殿している。以上のように、金属イオンの吸着は目視により色と濃度で判断できる。
【0019】
錯形成させる工程では、上記のような、金属イオン吸着材料と極性溶媒、好ましくは水以外の極性溶媒とに、金属イオン水溶液を添加する方法の他、逆に金属イオン水溶液に、極性溶媒および共重合体を添加する方法、カラム等により連続的に金属イオン溶液と吸着剤とを接触させる方法も挙げられ、特に制限されない。
【0020】
上記した共重合体溶液の光応答性は、光の照射時間と同様に光の照射強度にも対応するため、例えば、可視光の照射強度や照射時間により、共重合体からの金属イオンの遊離速度を制御することができる。
また、暗所下とする際に、紫外光の照射で代用しても良く、ここで、次に可視光を照射する際は同時に紫外光照射を停止する。
【0021】
本発明の吸着材料により吸着して回収できる金属イオンとしては、鉛(II)、亜鉛(II)、銅(II)、ニッケル(II)、パラジウム(III)、リチウム(I)等が例示され、式(2)には2価のイオンが示されているが、特に価数に限定はない。
【0022】
以上、スピロピランのメタクリレート(以下、SPMAという。)として1´,3´,3´-トリメチル-6-(メタクリロイルオキシ)スピロ(2H-1-ベンゾピラン-2,2´-インドール)、フッ化アルコールのメタクリレート(以下、FHMAという。)として3-ペルフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレートを使用した場合について説明したが、他のスピロピラン、他のフッ化アルコール、アクリレートを使用した式(1)の共重合体も、同様な光応答性の金属イオン吸着を示す。また、スピロピランは式(1)におけるセグメント(a)のXが炭素原子、Yが酸素原子の場合であるが、他のX、Yの組み合わせの場合も同様である。
さらに、共重合体中には、式(1)の(a)および(b)のセグメント以外に、必要に応じて、他のセグメントを含んでも良い。これには、例えばエチレン性不飽和基を有する化合物を使用できる。
【0023】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、本実施例により本発明を限定するものではない。
(スピロピランメタクリレート(SPMA)の合成)
(1) 1´,3´,3´-トリメチル-6-ヒドロキシスピロ(2H-1-ベンゾピラン-2,2´-インドール) 4.72g(0.0161mol)(ACROS ORGANICS社製、純度99%、FW 293.37、品番42192-0050)をトルエン(関東化学社製、特級、純度99.5%、沸点110.625℃) 28ミリリットルに溶解させた。
(2) メタクリル酸クロライド(ACROS ORGANICS社製、760mmHgの沸点95~96℃) 1.84g(0.0176mol)を、トルエン(同上) 14ミリリットルに溶解させた。
(3) 別に、トリエチルアミン(以下、TEAという。)(和光純薬社製、純度99%、品番202-02646) 1.79g(0.0114mol)を用意した。また、アンモニア(関東化学社製、純度28.0~30.0%、品番01266-00) 400ミリリットルの純水 100ミリリットル溶液を1単位として、5単位用意した。
(4) 二口なすフラスコ内に上記(1)で得たスピロピランのトルエン溶液と、上記(3)のTEAとを投入し、二口なすフラスコの一つの口には球入冷却器、もう一方の口には円筒型分液ロートを装着した。二口なすフラスコを60℃に保温しながら円筒型分液ロートで上記(2)のメタクリル酸クロライドのトルエン溶液を少しずつ滴下した後、24時間反応させた。なお、この反応で発生した塩酸は、TEAで中和された。24時間後に、反応溶液から未反応のメタクリル酸クロライドとTEAを取り除くために、反応溶液をトルエン100ミリリットルで希釈し、次いで分液ロート内に移して上記(3)のアンモニア水溶液を1単位加えた。分液ロートを振り混ぜ、静置して下層のアンモニア水溶液を取り出し、残りの(3)のアンモニア水溶液の1単位を加え、同様にして分液を計5回繰り返した。
(5) アンモニア水溶液の代わりに純水を100ミリリットル加え、同様にしてpHが7になるまで計5回分液を繰り返した。
(6) 分液ロート上層の液を、エバポレータによりトルエンを蒸発させ、次いで減圧乾燥させた。これによって得られた褐色固体をジクロロメタンに溶かしてカラムクロマトグラフィにかけ、不純物を分離した。カラムはシリカゲル(関東化学社製、品番:9385-4M、Rf:0.86)、展開溶媒はジクロロメタンを使用した。
(7) カラムから排出した液を、エバポレータでジクロロメタンを蒸発させ、次いで減圧乾燥させてSPMA単量体である、1´,3´,3´-トリメチル-6-(メタクリロイルオキシ)スピロ(2H-1-ベンゾピラン-2,2´-インドール)を1.11g(収率23.5%)得た。
【0024】
(共重合体の合成)
上記で得たSPMA単量体の1´,3´,3´-トリメチル-6-(メタクリロイルオキシ)スピロ(2H-1-ベンゾピラン-2,2´-インドール) (分子量361.44)を500mg(1.38mmol)用意した。また、フッ化アルコールのメタクリレート(FHMA)として3-ペルフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(分子量562.22)をSPMAと等モル比の780mg(1.39mmol)用意した。
他に、DMSO 6ミリリットル、重合開始剤AIBN 5.7mg(SPMAとFHMAの合計モル数の1/80)、重合禁止剤ハイドロキノン(東京化成工業社製、99.0%、品番H0186) 15mg、純水を用意した。
【0025】
まず、SPMAとFHMAを、各々DMSOの3ミリリットルずつに溶かして得た2種の溶液を、一つの口には球入冷却器、もう一方の口にはゴム栓付きパスツールピペットを装着した二口なす形フラスコに入れて混合した。
前記フラスコ内に乾燥窒素をパスツールピペットから20分間フローさせて装置内から湿気および空気を除去した。
オイルバスでフラスコの温度を60℃に上げ、重合開始剤を加えて3時間反応させた後、重合禁止剤を加えて反応を止めた。
【0026】
フラスコ内の反応生成物を、大量の純水中に少しずつ滴下して沈殿精製した。この沈殿を、ろ紙で濾別し、さらにメタノール中で再沈殿処理した後、減圧乾燥して1´,3´,3´-トリメチル-6-(メタクリロイルオキシ)スピロ(2H-1-ベンゾピラン-2,2´-インドール)と3-ペルフルオロオクチル-2-ヒドロキシプロピルメタクリレートとの共重合体(以下、P(SPMA-FHMA)という。) 720mg(収率56.2%)を得た。この共重合体中の各セグメントのモル比を、元素分析の結果から算出したところ、SPMA:FHMAは56:44(スピロピランセグメント含有率が56mol%)であった。
【0027】
上記で得た共重合体P(SPMA-FHMA) 9.0mgを、メタノール9ミリリットルおよび純水1ミリリットルの混合溶剤に添加し、暗所、室温で撹拌したところ、共重合体は液中に溶けずに沈殿して薄い青色を呈した。次にPb(II)を、濃度が4.0×10-5Mとなるように液に添加し(過塩素酸鉛三水塩として約0.2mg)、暗所、室温で撹拌したところ、共重合体の沈殿の色が薄青色から黄色ヘ変化した(式(2)メロシアニン構造体参照)。充分に変化した後、可視光(>420nm)を照射した。沈殿は白く変化した(式(2)スピロピラン構造体参照)が、光照射を止めて暗所下とすると再度黄色に戻った(式(2)メロシアニン構造体参照)。この光照射と暗所との繰り返しによる、共重合体の色の変化は、繰り返し観測された。
【0028】
(鉛イオン濃度測定) 上記光照射状態および暗所状態の鉛イオンの液中濃度を、矩形波ボルタンメトリで電気化学的に定量した。図1にそのグラフを示す。図1中、プロット▲1▼は可視光(>420nm)を照射した状態(式(2)スピロピラン構造体参照)、プロット▲2▼は▲1▼の光照射を止めて暗所とした状態(式(2)メロシアニン構造体参照)である。
図1から、鉛イオン吸着による液中の鉛イオン濃度の増減が確認された。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、金属イオン吸着材料が、可視光照射に応答して、可逆的に液中の金属イオンを吸着すると共に、可逆的に呈色が変化する。そして、金属イオン吸着は色と濃度で目視でも判断できる。これにより、金属イオンを簡便な操作により容易に、かつ効率良く回収することができる。また、金属イオン吸着材料から金属イオンを遊離させた後の金属イオン吸着材料は、繰り返し使用でき、低コストで稼動できる。さらに、可視光は低エネルギーであるため吸着材料の劣化が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例において鉛イオンの液中濃度を矩形波ボルタンメトリで測定したグラフであり、
▲1▼は光応答性金属イオン吸着材料が沈殿している極性溶媒中に、2価の鉛イオンを添加して可視光照射した状態、▲2▼は▲1▼を暗所下に置いた状態である。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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