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明細書 :光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体及びそれを用いた不斉合成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4639327号 (P4639327)
公開番号 特開2006-028105 (P2006-028105A)
登録日 平成22年12月10日(2010.12.10)
発行日 平成23年2月23日(2011.2.23)
公開日 平成18年2月2日(2006.2.2)
発明の名称または考案の名称 光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体及びそれを用いた不斉合成方法
国際特許分類 C07D 401/06        (2006.01)
B01J  31/02        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
C07D 333/12        (2006.01)
C07D 335/02        (2006.01)
FI C07D 401/06 CSP
B01J 31/02 102Z
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
C07D 333/12
C07D 335/02
請求項の数または発明の数 4
全頁数 12
出願番号 特願2004-210403 (P2004-210403)
出願日 平成16年7月16日(2004.7.16)
審査請求日 平成19年6月19日(2007.6.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504174180
【氏名又は名称】国立大学法人高知大学
発明者または考案者 【氏名】小槻 日吉三
審査官 【審査官】熊谷 祥平
参考文献・文献 特表平09-508648(JP,A)
J. Am. Chem. Soc.,2002年,vol. 124, no.13,p.3220-3221
Monatshefte fur Chemie Chemical Monthly,1994年,vol.125, no.12,p.1293-1300
Organic Letters,2003年,vol.5, no.14,p.2559-2561
J. Am. Chem. Soc.,2000年,vol.122, no.10,p.2395-2396
J. Am. Chem. Soc.,2001年,vol.123, no.22,p.5260-5267
Synlett,2002年,no.1,p.26-28
調査した分野 C07D 401/06
B01J 31/02
C07B 53/00
C07B 61/00
C07D 333/12
C07D 335/02
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記化学式(I)
【化1】
JP0004639327B2_000015t.gif
(式(I)中、-R、-Rは、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又は互いに連結されたアルキレン基若しくはアルケニレン基; nは、0~2; *は、光学活性炭素の表示)
で示されることを特徴とする光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体。
【請求項2】
少なくとも、請求項1に記載の光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体が含まれていることを特徴とする不斉合成触媒。
【請求項3】
有機酸が含まれていることを特徴とする請求項2に記載の不斉合成触媒。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の不斉合成触媒存在下、求核試薬と求電子試薬とによるマイケル付加反応を行わせることを特徴とする不斉合成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光学活性化合物を光学収率よく不斉合成する際に、触媒として使用される光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体、及びそれを用いた不斉合成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化成品・医薬品には、光学活性化合物を原料にして製造されるものが数多くある。
【0003】
このような光学活性化合物をマイケル付加反応、アルドール縮合反応等の炭素-炭素結合形成反応により合成する際に、固体の金属含有不斉合成触媒が用いられていた。金属含有不斉合成触媒は、水や酸素に不安定である。またこの触媒を用いると、反応の生成物の精製過程で固体の触媒の除去処理や金属汚染防止処置等の煩雑で面倒な操作が必要となる。
【0004】
そこで最近では、金属不含有の不斉合成触媒が用いられている。例えば、非特許文献1及び2には、下記化学反応式
【0005】
JP0004639327B2_000002t.gif
【0006】
で示されるように、L-プロリンを不斉合成触媒として用いたアルドール縮合反応やマイケル付加反応により、光学活性ケトン化合物を合成する方法が記載されている。
【0007】

【非特許文献1】B. Listら, J. Am. Chem. Soc., 122, 2395 (2000)
【非特許文献2】D. Ender, A. Seki, Synlett, 2002, No.1, 26.
【0008】
また、非特許文献3には、光学活性ピロリジン環含有アミン化合物を不斉合成触媒として用いたマイケル付加反応により、光学活性ケトン化合物を合成する方法が記載されている。
【0009】

【非特許文献3】O. Andrey, A. Alexakis, G. Bernardinelli, Org. Lett., 5, 2559 (2003)
【0010】
しかし従来の金属不含有の不斉合成触媒をマイケル付加反応等の炭素-炭素結合形成反応に用いても、反応生成物のエナンチオ選択性及び/又はジアステレオ選択性がさほど高くないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、金属を含有せず、エナンチオ選択性のみならずジアステレオ選択性に優れた炭素-炭素結合形成反応の不斉合成触媒として使用でき、簡便かつ安価に得られる安定な光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体、及びそれを用いた不斉合成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するためになされた本発明の光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体は、下記化学式(I)の構造を有する。
【0013】
【化2】
JP0004639327B2_000003t.gif
(I)

【0014】
(式(I)中、-R、-Rは、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又は互いに連結されたアルキレン基若しくはアルケニレン基; nは、0~2; *は、光学活性炭素の表示)
で示されるものである。
【0015】
式(I)中、-R、-Rは、各々同一若しくは異なり、例えば、炭素数1~6であって直鎖状、分岐鎖状、又は環状のアルキル基;フェニル基のようなアリール基;ベンジル基のようなアラルキル基が挙げられる。また、-R、-Rは、互いに連結されており、アルキル基やアリーレン基が置換していてもよいアルキレン基例えばブチレン基;アルキル基やアリーレン基が置換していてもよく、主鎖の一部にアリーレン基を含んでいてもよいアルケニレン基が挙げられる。
【0016】
光学活性炭素は、S型であってもR型であってもよい。
【0017】
光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体は、ピリジン環の2位に-(CH-基を介してピロリジン環が結合していることが好ましい。下記化学式(II)
【0018】
【化3】
JP0004639327B2_000004t.gif
(II)

【0019】
(式(II)中、-R、-R、及び*は、前記と同じ)で示されるものであることが好ましい。その中でも、下記化学式(III)又は(IV)
【0020】
JP0004639327B2_000005t.gif
【0021】
で示されるものであるとなお一層好ましい。
【0022】
本発明の不斉合成触媒は、前記式(I)で示される光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体を含有するというものである。
【0023】
不斉合成触媒は、さらに有機酸を含有していることが好ましい。有機酸は、例えば2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸のような有機スルホン酸が挙げられる。
【0024】
本発明の不斉合成方法は、前記の不斉合成触媒存在下、求核試薬と求電子試薬とによる炭素-炭素結合形成反応を行わせるというものである。
【0025】
不斉合成触媒は、求核試薬又は求電子試薬1モル当量に対して、例えば0.05~0.2モル当量用いられる。
【0026】
炭素-炭素結合形成反応は、マイケル付加反応であることが好ましい。
【0027】
求核試薬として、例えばシクロヘキサノンやテトラヒドロチオピラノンのようなケトン誘導体、アルデヒド誘導体が挙げられる。求電子試薬として、β-ニトロスチレンのようなα,β-不飽和ニトロ誘導体、α,β-不飽和ニトリル誘導体;ケイ皮酸のようなα,β-不飽和カルボン酸誘導体、それの酸アミド誘導体やエステル誘導体で例示される求核試薬受容体が挙げられる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体は、マイケル付加反応等の炭素-炭素結合形成反応を行う際に、不斉合成触媒として用いられる。このピロリジン誘導体は、有害な金属を含有しておらず、環境汚染を引起こさない。このピロリジン誘導体を用いて炭素-炭素結合形成反応を行うと、ジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的に、高い光学純度の生成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明を適用する光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体、及びそれを用いた不斉合成方法の詳細について説明する。
【0030】
光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体は、次のようにして合成される。
【0031】
D. Alker, K. J. Doyle, L. M. Harwood 及び A. McCregor, Tetrahedron: Asymmetry, 1, 877 (1990)に記載された方法により、下記化学反応式で示すとおり、第3級アミン存在下、光学活性なL-プロリノール(V)に塩化スルフリルを反応させると、S型の環状スルファマート(VI)が誘導される。
【0032】
【化5】
JP0004639327B2_000006t.gif
(V) (VI)

【0033】
次いで、下記化学反応式に示すように、この環状スルファマート(VI)と、4位に-NR基を有した2-ブロモピリジン誘導体がリチオ化した2-リチオピリジン誘導体とを、反応させた後、酸性条件下で加水分解させる。すると、(S)-2-(2-ピリジルメチル)ピロリジン骨格を有する所望の光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体(IIs)が得られる。
【0034】
【化6】
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【0035】
また、L-プロリノールに代えてD-プロリノールから誘導した環状スルファマートを用いると、R型の光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体を合成できる。
【0036】
得られた光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体を不斉合成触媒として共存させて、マイケル付加反応のような炭素-炭素結合形成反応が行われる。
【0037】
不斉合成触媒(cat.)として、(S)-2-(2-ピリジルメチル)ピロリジン骨格を有するS型の光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体(IIs)を用い、下記化学反応式で示されるように、求核試薬であるシクロヘキサノンと、求電子試薬であるβ-ニトロスチレンとのマイケル付加反応を行った例について、説明する。
【0038】
JP0004639327B2_000008t.gif
【0039】
過剰量のシクロヘキサノンと、β-ニトロスチレン1モル当量と、光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体(IIs)の0.05~0.2モル当量とを混合して撹拌すると、主生成物としてsyn型の(2S,1’R)-(2-ニトロ-1-フェニル)エチルシクロヘキサノン(VII)が、ジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的に、高い光学純度で得られた。
【0040】
光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体が、マイケル付加反応を行う際に、このような優れたジアステレオ選択性とエナンチオ選択性とを発現させる反応機構は、次の化学反応式に示すとおりであると考えられる。
【0041】
【化8】
JP0004639327B2_000009t.gif

【0042】
まず、シクロヘキサノンのカルボニル基のα位のプロトンが、光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体(IIs)のピリジン環に引き抜かれる結果、速やかにエナミン中間体(VIII)が形成される。これによって形成されたピリジニウム環は、エナミン中間体(VIII)の二重結合の一方の面を立体的に遮蔽している。次いでβ-ニトロスチレンがそれの非遮蔽面側から接近し、遷移状態(IX)を経て、マイケル付加反応が進行する結果、(2S,1’R)型の生成物(VII)がジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的に、高い光学純度で得られる。一方、光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体(IIs)は、遊離し再びマイケル付加反応の触媒として働く。
【実施例】
【0043】
次に、光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体の合成例、及びそれを用いてマイケル付加反応を行った実施例について、説明する。
【0044】
(合成例1)
n-ブチルリチウムの1.59Mヘキサン溶液7ml(n-ブチルリチウム:11mmol)を、-78℃にて、乾燥したテトラヒドロフラン(THF)の12mlに溶解させた2-ブロモ-4-ジメチルアミノ-ピリジン1.05ml(11mmol)に加え、一時間撹拌した。次いで、-78℃にてTHF10mlに溶解させたS型の環状スルファマート(VI)の1.37g(8.4mmol)を滴下し、室温に戻して一夜撹拌した。溶媒を減圧留去し、ベージュ色の泡状物を得た。これに、2N塩酸16mlとエタノール16mlを加え、一晩撹拌した。反応混合物を50%水酸化ナトリウム溶液で塩基性にした後、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/イソプロピルアミン=19/1)にかけると、下記化学式で示される淡黄色油状物の(S)-2-[4-(ジメチルアミノ)ピリジン-2-イルメチル]ピロリジン(IIIs)を収率80%で得た。それについて、薄層クロマトグラフ分析、施光度測定、赤外分光分析(FT-IR)、核磁気共鳴分析(NMR)を行った。その分析結果を以下に示す。分光学的データはこの構造を支持している。
【0045】
【化9】
JP0004639327B2_000010t.gif
(IIIs)

【0046】
Rf 0.19 (CHCl3/i-PrNH2 = 9 : 1).
[α]D22 -7.9 (c 0.76, CHCl3).
FTIR (neat)ν 3327, 1602, 1542, 1507, 1374, 995, 805, 750 cm-1.
H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.43 (1H, ddt, J = 12.0, 9.3, 7.6 Hz), 1.67-1.93 (3H, m), 2.47 (1H, br), 2.74 (1H, dd, J = 13.2, 8.0 Hz), 2.81-2.86 (1H, m), 2.85 (1H, dd, J = 13.2, 5.6 Hz), 2.98 (6H, s), 2.95-3.06 (1H, m), 3.46 (1H, quintet, J = 6.6 Hz), 6.35 (1H, dd, J = 6.1, 2.7 Hz), 6.40 (1H, d, J = 2.7 Hz), 8.15 (1H, d, J = 6.1 Hz).
13C NMR(100 MHz, CDCl) δ24.82, 31.18, 39.02 (×2), 44.80, 46.11, 58.92, 104.53, 105.93, 149.19, 154.71, 159.98.

【0047】
(合成例2)
2-ブロモ-4-ジメチルアミノピリジンに代えて2-ブロモ-4-ピロリジノピリジンを用いたこと以外は、合成例1と同様にして、下記化学式で示される淡黄色油状物の(S)-2-[4-(ピロリジノ)ピリジン-2-イルメチル]ピロリジン(IVs)を収率50%で得た。
【0048】
【化10】
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(IVs)

【0049】
この化合物のその分析結果を以下に示す。分光学的データはこの構造を支持している。
Rf 0.50 (CHCl3/i-PrNH2 = 9 : 1).
[α]D24 -12.5 (c 0.56, CHCl3).
FTIR (neat) ν 3330, 1602, 1541, 1502, 1485, 1457, 1389 cm-1.
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.43 (1H, ddt, J = 12.0, 9.5, 7.6 Hz), 1.67-1.92 (3H, m), 2.00 (4H, m), 2.37 (1H, br), 2.72 (1H, dd, J = 13.2, 8.0 Hz), 2.80-2.84 (1H, m), 2.83 (1H, dd, J = 13.2, 5.6 Hz), 3.03 (1H, ddd, J = 10.0, 7.6, 5.1 Hz), 3.29 (4H, m), 3.45 (1H, quintet, J = 6.4 Hz), 6.23 (1H, dd, J = 5.9, 2.4 Hz), 6.28 (1H, d, J = 2.4 Hz), 8.12 (1H, d, J = 5.9 Hz).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 24.87, 25.26 (×2), 31.22, 44.80, 46.15, 46.87 (×2), 58.97, 104.89, 106.21, 149.11, 152.16, 159.86.
【0050】
次に、シクロヘキサンとβ-ニトロスチレンとのマイケル付加反応について、本発明を適用する光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体を不斉合成触媒として用いた実施例と、本発明を適用外の光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体を触媒として用いた比較例とについて説明する。
【0051】
(実施例1)
シクロヘキサノン0.5mlと、β-ニトロスチレン38mg(0.25mmol;1モル当量)と、不斉合成触媒として合成例1で得た光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体(IIIs)4mg(0.025mml;0.1モル当量)とを、クロロホルム2mlに加えた。これを、薄層クロマトグラフィーにより反応が完結したかを確認しながら、24時間室温で撹拌した。次いで、反応液を0℃にて1N塩酸2mlでクエンチし、ジクロロメタン3mlで2回抽出を行った。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥後、濾過した。炉液から溶媒を減圧留去し、薄層クロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1)にかけ、前記式(VII)で示す主生成物とその異性体混合物である白色固形物を、単離収率78%で得た。
【0052】
異性体混合物のsyn体とanti体とのジアステレオ比(dr)を、H-NMRにより測定したところ、95:5であった。syn体の光学純度(ee)を、分析用キラルHPLC(Chiralpak ADカラム0.46×25cm;ヘキサン/2-プロパノール=90/10;0.5cm/分)により測定し、Rt[(2R,1'S)]13.5分;Rt[(2S,1'R)]15.4分のピークの面積比から算出したところ、88ee(%)であった。それらの結果をまとめて表1に示す。
【0053】
(実施例2~5)
不斉合成触媒、反応時間、反応温度を表1に記載の条件としたこと以外は、実施例1と同様にして、マイケル付加反応を行った。得られた生成物について、単離収率、syn体とanti体とのジアステレオ比(dr)、syn体の光学純度(ee)を実施例1と同様にして求めた。それらの結果をまとめて表1に示す。
【0054】
〔比較例1~3〕
比較例1~3は、各々下記化学式(X)~(XII)
【0055】
【化11】
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(X) (XI) (XII)

【0056】
を用い、反応時間、反応温度を表1に記載の条件としたこと以外は、実施例1と同様にして、マイケル付加反応を行った。得られた生成物について、単離収率、syn体とanti体とのジアステレオ比(dr)、syn体の光学純度(ee)を実施例1と同様にして求めた。それらの結果をまとめて表1に示す。
【0057】
【表1】
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【0058】
表1から明らかなとおり、実施例1~5のマイケル付加反応のように、ピリジン環の4位にジメチルアミノ基、又はピロリジノ基を有する光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体を不斉合成触媒として用いた場合、その生成物は、単離収率が78~99%で、syn体とanti体とのジアスレテオ選択性が95:5~98:2と優れているうえ、syn体の光学純度が88~99ee(%)と高いものであった。中でも実施例5は、0℃で有機酸を共存させた場合に、95%の単離収率で、syn体とanti体とのジアスレテオ選択性が98:2であり、syn体の光学純度が99ee(%)と、特に優れている。
【0059】
それに対し、比較例1~3のようにピリジン環にジメチルアミノ基もピロリジノ基も有しない光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体を触媒として用いた場合、生成物は、単離収率、ジアスレテオ比、光学純度の全てがさほど高くないものであった。
【0060】
次に、種々のケトン誘導体又はアルデヒド誘導体と、種々のα、β-不飽和ニトロ化合物とのマイケル付加反応について、本発明を適用する光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体を不斉合成触媒として用いた実施例について説明する。
【0061】
(実施例6~19)
クロロホルム2mlに、種々のα、β-不飽和ニトロ化合物の0.25mmolと、それの表2に記載の光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体10mol%、及び2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸5mol%と、種々のケトン誘導体又はアルデヒド誘導体20容量%とを加え0℃で、表2に記載の時間、反応させたこと以外は、実施例1と同様にして、マイケル付加反応を行った。得られた生成物について、単離収率、syn体とanti体とのジアステレオ比(dr)、syn体の光学純度(ee)を実施例1と同様にして求めた。それらの結果をまとめて表2に示す。
【0062】
なお、主生成物の絶対構造は、前記非特許文献2に記載の方法と同様にして推定した。
【0063】
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【0064】
表2から明らかなとおり、実施例6~15のようにシクロヘキサノンを求核試薬とし種々のβ-ニトロスチレンタイプ誘導体を求電子試薬とするマイケル付加反応では、単離収率がほぼ定量的であり、syn体とanti体とのジアステレオ比が最高で99:1、光学純度が最高で98ee(%)であって優れたエナンチオ選択性のみならずジアステレオ選択性を示していた。また、実施例16~17のようにテトラヒドロチオピラン-4-オンを求核試薬としβ-ニトロスチレンを求電子試薬とするマイケル付加反応でも、同様に優れたエナンチオ選択性のみならずジアステレオ選択性を示した。さらに、実施例18~19のようにイソバレルアルデヒドを求核試薬としβ-ニトロスチレンを求電子試薬とするマイケル付加反応では優れたジアステレオ選択性を示した。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体は、マイケル付加反応等の炭素-炭素結合形成反応を行う際に、不斉合成触媒として用いられる。これを用いて炭素-炭素結合形成反応を行わせる不斉合成方法によれば、化成品・医薬品の原料として有用な光学活性化合物を高い単離収率で、ジアステレオ選択的かつエナンチオ選択的に、高い光学純度で合成することができる。さらに、光学活性アミノピリジル基含有ピロリジン誘導体自体は、化成品・医薬品の原料として使用することも可能である。