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Specification :(In Japanese)撥水性を有する貴金属含有触媒

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4759731
Publication number P2007-021438A
Date of registration Jun 17, 2011
Date of issue Aug 31, 2011
Date of publication of application Feb 1, 2007
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)撥水性を有する貴金属含有触媒
IPC (International Patent Classification) B01J  31/28        (2006.01)
B01J  31/38        (2006.01)
C02F   1/70        (2006.01)
FI (File Index) B01J 31/28 ZABM
B01J 31/38 M
C02F 1/70 Z
Number of claims or invention 7
Total pages 18
Application Number P2005-210159
Date of filing Jul 20, 2005
Exceptions to lack of novelty of invention (In Japanese)特許法第30条第1項適用 2005年2月1日 日本分析化学会北海道支部、日本化学会北海道支部、日本エネルギー学会北海道支部、触媒学会北海道地区共催の「北海道支部2005年冬季研究発表会」において文書をもって発表
Date of request for substantive examination Jul 18, 2008
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】三上 一行
【氏名】神谷 裕一
【氏名】奥原 敏夫
Representative (In Japanese)【識別番号】100085545、【弁理士】、【氏名又は名称】松井 光夫
Examiner (In Japanese)【審査官】佐藤 哲
Document or reference (In Japanese)特開平02-111495(JP,A)
特開昭46-000700(JP,A)
特開2004-097893(JP,A)
特開2001-000866(JP,A)
特開2002-336850(JP,A)
特開平09-285793(JP,A)
特開平06-134315(JP,A)
特開昭55-121839(JP,A)
特開平03-056194(JP,A)
Field of search B01J 21/00 - 38/74
C02F 1/70
JSTPlus(JDreamII)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
Pd、Pt、Ir、Ru及びRhより成る群から選ばれる一つ以上の金属、並びにCu、Sn及びInより成る群から選ばれる一つ以上の金属が、活性炭、Al2O3、SiO2、TiO2及びZnO2より成る群から選ばれる一つ以上の担体に担持された、撥水性を有する
水に含まれる硝酸イオンを還元する
触媒。
【請求項2】
Pd、Pt、Ir、Ru及びRhより成る群から選ばれる一つ以上の金属がPdであり、Cu、Sn及びInより成る群から選ばれる一つ以上の金属がCuであり、かつ担体が活性炭であるところの請求項1記載の触媒。
【請求項3】
撥水性がフッ素系樹脂を含むことにより発現されているところの請求項1又は2記載の触媒。
【請求項4】
フッ素系樹脂がポリテトラフルオロエチレンであるところの請求項3記載の触媒。
【請求項5】
活性炭が椰子殻から製造されたものであるところの請求項1~4のいずれか一つに記載の触媒。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一つに記載の触媒を使用して、水に含まれる硝酸イオンを還元する方法。
【請求項7】
還元剤として水素を使用するところの請求項6記載の方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、撥水性を有する貴金属含有触媒、及びそれを使用して水中の硝酸イオンを除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地下水の硝酸イオンによる汚染が世界中で顕在化しており、例えば、汚染された地下水を飲用として浄化するために、水中に含まれる低濃度の硝酸イオンを簡便かつ安価に無害化する技術が求められている。
【0003】
硝酸イオンを除去する技術としては、微生物による生物学的方法及びイオン交換法、電気透析法、逆浸透法等の物理化学的方法が知られている。生物学的方法は、廃水処理として広く普及しつつあり、技術的にもほぼ確立されている。しかし、この方法は、硝酸イオンを窒素ガスに還元する脱窒菌、及びこの脱窒菌のエネルギー源としてエタノール又はメタノール等の有機物が必要である。この脱窒菌の維持管理には多大な注意が必要である。更には、硝酸イオンを除去した後の水を飲料水にするためには、残存した有機物及び脱窒菌を除去しなければならず、小規模な処理には適していない。イオン交換法は、浄水場において飲料水の硝酸除去に使用されている実績がある。しかし、硫酸イオン等の共存するイオンにより硝酸イオンの除去率が大幅に低下したり、イオン交換樹脂の再生が必要であったり、更には樹脂の再生時に二次廃水が発生する等の問題がある。逆浸透法及び電気透析法は、水質の変化にどのようにして対応するかと言う問題、二次廃液の処理の問題、及びコスト高になると言う問題を抱えている。このように従来の硝酸イオンの除去法には解決すべき課題が多く、新たな除去法の開発が望まれている。
【0004】
新たな方法として、固体触媒を使用し、還元剤として水素を使用することにより硝酸イオンを窒素へと浄化する、いわゆる触媒法が提案されている(特許文献1~8及び非特許文献1~4参照)。しかし、これらの触媒は活性及びN2選択性の面で劣っており、かつ水素を大過剰に流す必要があること等の問題も多く、実用化に向けては更なる改良が必要であった。
【0005】

【特許文献1】特開2001-866号公報
【特許文献2】特開平8-332490号公報
【特許文献3】特開2000-334477号公報
【特許文献4】特開平9-285793号公報
【特許文献5】特開2003-71461号公報
【特許文献6】特開2005-95784号公報
【特許文献7】特開2003-333281号公報
【特許文献8】特開2002-336850号公報
【非特許文献1】Catal. Today,第17号、第21頁、1993年
【非特許文献2】Catal. Today,第55号、第139頁、2000年
【非特許文献3】Catal. Today,第55号、第79頁、2000年
【非特許文献4】J.Catal. 第207号、第37頁、2002年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、迅速かつ高選択的に水中の硝酸イオンを還元して、水を浄化することができる触媒及び該触媒を使用して硝酸イオンで汚染された水を浄化する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、水中の硝酸イオンを窒素に還元する触媒法において、従来、使用されていた触媒の活性及びN2選択性を向上すべく鋭意研究を重ねた。その結果、該触媒を撥水性にすれば、触媒の活性点と、還元剤として好ましく使用される水素ガスとの接触を高め得て、従来に比べて、低い水素圧力で著しく高い触媒活性が得られることを見出した。加えて、触媒金属として、好ましくはPdを使用すれば、水に含まれる硝酸のアンモニア選択性を著しく低くし得、好ましくはCuを使用すれば、水に含まれる硝酸のN2選択性を高くし得、かつ活性炭を使用すれば、N2選択性を高くし得ることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、
(1)Pd、Pt、Ir、Ru及びRhより成る群から選ばれる一つ以上の金属、並びにCu、Sn及びInより成る群から選ばれる一つ以上の金属が、活性炭、Al2O3、SiO2、TiO2及びZnO2より成る群から選ばれる一つ以上の担体に担持された、撥水性を有する触媒である。
【0009】
好ましい態様として、
(2)Pd、Pt、Ir、Ru及びRhより成る群から選ばれる一つ以上の金属が1~10重量%含まれるところの上記(1)記載の触媒、
(3)Pd、Pt、Ir、Ru及びRhより成る群から選ばれる一つ以上の金属が2~5重量%含まれるところの上記(1)記載の触媒、
(4)Pd、Pt、Ir、Ru及びRhより成る群から選ばれる一つ以上の金属がPdであるところの上記(1)~(3)のいずれか一つに記載の触媒、
(5)Cu、Sn及びInより成る群から選ばれる一つ以上の金属が0.2~3重量%含まれるところの上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の触媒、
(6)Cu、Sn及びInより成る群から選ばれる一つ以上の金属が0.4~1.5重量%含まれるところの上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の触媒、
(7)Cu、Sn及びInより成る群から選ばれる一つ以上の金属がCuであるところの上記(1)~(6)のいずれか一つに記載の触媒、
(8)担体が活性炭であるところの上記(1)~(7)のいずれか一つに記載の触媒、
(9)活性炭が椰子殻から製造されたものであるところの上記(8)記載の触媒、
(10)撥水性がフッ素系樹脂を含むことにより発現されているところの上記(1)~(9)のいずれか一つに記載の触媒、
(11)フッ素系樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、フルオロエチレンビニルエーテル(FEVE)及びエチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)より成る群から選ばれるところの上記(10)記載の触媒、
(12)フッ素系樹脂がポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であるところ上記(10)記載の触媒、
(13)フッ素系樹脂が0.1~20重量%含まれるところの上記(10)~(12)のいずれか一つに記載の触媒、
(14)フッ素系樹脂が0.2~5重量%含まれるところの上記(10)~(12)のいずれか一つに記載の触媒、
(15)水に含まれる硝酸イオンを還元するための上記(1)~(14)のいずれか一つに記載の触媒、
(16)上記(1)~(15)のいずれか一つに記載の触媒を使用して、水に含まれる硝酸イオンを還元する方法、
(17)還元剤として水素を使用するところの上記(16)記載の方法、
(18)温度が5~60℃であるところの上記(16)又は(17)記載の方法
(19)水素圧力が0.001~0.2MPaであるところの上記(16)~(18)のいずれか一つに記載の方法、
(20)水素圧力が0.003~0.1MPaであるところの上記(16)~(18)のいずれか一つに記載の方法、
(21)水素圧力が0.005~0.05MPaであるところの上記(16)~(18)のいずれか一つに記載の方法、
を挙げることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の触媒は、水に含まれる硝酸イオンを除去するために従来から使用されている触媒に比べて、低水素圧条件下での触媒活性及び窒素選択性が著しく高い。これにより、還元剤として使用する水素ガスの圧力を低下することが可能である。低水素圧において反応できることにより、所望されない副生成物であるアンモニア及び亜硝酸イオンの生成を抑制し得、かつ水素消費量を抑制し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の触媒において、Pd、Pt、Ir、Ru及びRhより成る群から選ばれる一つ以上の金属が使用される。これら金属のうち、好ましくはPdが使用される。Pdを使用することにより、他の金属を使用したときに比べて、水に含まれる硝酸のアンモニアへの選択率を著しく低くすることができる。本発明の触媒における上記金属の含有量の上限は、担体重量に対して、好ましくは10重量%、より好ましくは7重量%、更に好ましくは5重量%であり、下限は、担体重量に対して、好ましくは1重量%、より好ましくは1.5重量%、更に好ましくは2重量%である。上記上限を超えては、効果の著しい増加が認められないばかりかコスト高を生ずる。上記下限未満では、十分な触媒作用を発揮しない。
【0012】
本発明の触媒には、Cu、Sn及びInより成る群から選ばれる一つ以上の金属が使用される。これらのうち、好ましくはCuが使用される。Cuを使用することにより、他の金属を使用したときに比べて、触媒の活性を高めることができると共に、水に含まれる硝酸の窒素への選択率を高くすることができる。Cu、Sn及びInより成る群から選ばれる一つ以上の金属の含有量の上限は、担体重量に対して、好ましくは3重量%、より好ましくは2重量%、更に好ましくは1.5重量%であり、下限は、担体重量に対して、好ましくは0.2重量%、より好ましくは0.3重量%、更に好ましくは0.4重量%である。上記上限を超えては、効果の著しい増加が認められないばかりかコスト高を生ずる。上記下限未満では、十分な触媒作用を発揮しない。該金属として、好ましくはCuが使用される。
【0013】
本発明の触媒における担体として、活性炭、Al2O3、SiO2、TiO2及びZnO2より成る群から選ばれる一つ以上が使用される。好ましくは活性炭が使用され、より好ましくは椰子殻から製造される活性炭が使用される。活性炭を使用することにより、他の担体を使用した場合に比べて、より高い活性が得られると共に、有害な副生成物を更に低減することができる。とりわけ、椰子殻から製造される活性炭を使用することによりアンモニアの副生を抑制することができる。
【0014】
本発明の触媒は撥水性を有する。該撥水性は触媒に好ましくはフッ素系樹脂を含めることにより発現される。該フッ素系樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、フルオロエチレンビニルエーテル(FEVE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)が挙げられる。これらのうち、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が好ましい。
【0015】
該フッ素系樹脂含有量の上限は、担体重量に対して、好ましくは20重量%、より好ましくは10重量%、更に好ましくは5重量%であり、下限は、担体重量に対して、好ましくは0.1重量%、より好ましくは0.15重量%、更に好ましくは0.2重量%である。上記上限を超えては、効果の著しい増加が認められないばかりかコスト高を生ずる。上記下限未満では、十分な撥水性を触媒に施与することができない。
【0016】
本発明の触媒は、公知の方法、例えば、含浸法、スプレー法等を使用して製造することができる。好ましくは、上記担体に、Pd、Pt、Ir、Ru及びRhより成る群から選ばれる一つ以上の金属、並びにCu、Sn及びInより成る群から選ばれる一つ以上の金属を順次含浸し、次いで、フッ素系樹脂を含浸することにより製造することができる。
【0017】
本発明の触媒には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記物質の他、例えば、安定剤等の添加剤、及び他の金属等を含むことができる。
【0018】
本発明の触媒は、好ましくは、水に含まれる硝酸イオンを還元する方法に使用することができる。該方法においては還元剤が使用される。還元剤としては、好ましくは水素、ギ酸、ヒドラジン等が使用される。還元した水を飲料水に使用するに際しては、ギ酸、ヒドラジン等を還元剤として使用すると、これらを還元処理後に除去しなければならない。従って、飲料水の製造に際しては水素が好ましい。還元剤として水素が使用されるとき、下記の反応により硝酸イオンが還元されて窒素ガスとなる。
【0019】
(化1)
2NO3+5H2 → N2+4H2O+2OH
【0020】
上記の反応における水素圧力は、上限が好ましくは0.2MPa、より好ましくは0.1MPa、更に好ましくは0.05MPaであり、下限が好ましくは0.001MPa、より好ましくは0.003MPa、更に好ましくは0.005MPaである。上記上限を超えては、圧力の増加による装置の耐圧等にコストがかかり、上記下限未満では、硝酸イオンの還元が不十分となる。水素は単独で使用することができ、又は他のガス、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素等と混合して使用することもできる。また、反応中には好ましくはpH調節剤として二酸化炭素ガスを使用することができる。二酸化炭素ガスを使用することにより、硝酸イオンの還元反応の進行により発生するOHイオン量を低減することができ、OHイオンの触媒活性点への吸着を防止して硝酸イオンの還元反応を促進することができる。また、触媒の活性を高めることもできる。反応中のpHは好ましくは4.0~8.0、より好ましくは6.0~6.5に調節される。
【0021】
還元の際の温度は、上限が好ましくは80℃、より好ましくは60℃、更に好ましくは50℃であり、下限が好ましくは5℃、より好ましくは10℃、更に好ましくは20℃である。上記上限を超えては、加熱のためにコストがかかり、上記下限未満では、硝酸イオンの還元が不十分となる。
【0022】
反応は連続式又は回分式により可能であるが、連続式がより好ましい。触媒は固定床及び流動床のいずれでも可能である。反応装置としては固定床連続式装置を使用することが好ましい。また、一段又は二段以上の多段反応のいずれも使用することができる。連続式の場合、原料液の供給速度は、液空間速度(LHSV)の上限が、好ましくは5000時間-1、より好ましくは1000時間-1、更に好ましくは100時間-1であり、下限が、好ましくは5時間-1、より好ましくは10時間-1、更に好ましくは20時間-1である。上記上限を超えては、硝酸イオンの還元が不十分となり、上記下限未満では、大きな処理設備が必要となる。
【0023】
本発明の方法において還元処理される水としては、例えば、硝酸イオン濃度が40~5000ミリグラム/リットルの地下水、廃水、工業用水等が使用される。とりわけ、地下水を飲料水にするために適している。本発明の方法によれば、硝酸濃度を好ましくは0~20ミリグラム/リットル、より好ましくは0~5ミリグラム/リットル程度まで下げることができる。
【0024】
以下の実施例において、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0025】
(実施例)
【0026】
(実施例1)
触媒の調製
活性炭(AC、木屑及び籾殻を原料とするもの)(和光純薬工業株式会社製、活性炭素、粉末、037-02115)に、PdCl2(和光純薬工業株式会社)及びCu(NO3)2・3H2O(和光純薬工業株式会社)水溶液を逐次含浸し、Pd及びCuの担持量が夫々、5重量%及び0.6重量%となるようにした。このようにして得た活性炭を100℃において一晩、窒素気流下で乾燥して、Pd及びCuを担持した活性炭(5wt%Pd-0.6wt%Cu/AC)を製造した。次いで、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を水に分散した分散物(名古屋合成株式会社製、PTFE分散液 NS-01)を、担持量が5重量%となるように乾燥後の該Pd及びCuを担持した活性炭に含浸した。得られた試料を250℃において2時間、空気雰囲気下において焼成した後、水素気流下250℃において2時間還元処理して、Pd及びCuを担持した活性炭に更にPTFEを担持した触媒(5wt%PTFE/5wt%Pd-0.6wt%Cu/AC)を製造した。
【0027】
反応試験
上記のようにして製造した5wt%PTFE/5wt%Pd-0.6wt%Cu/ACの0.3グラムを連続式反応器(パイレックス(登録商標)ガラス製円筒管、内径8mm×長さ10cm、触媒は脱脂綿で固定した)に充填した。
【0028】
次いで、硝酸イオン濃度が200ミリグラム/リットルである水を33cm3/時間で反応器に供給し、同時に、水素ガス及び二酸化炭素ガスをいずれも98cm3/時間で反応器に供給した。この際、硝酸イオン含有水並びに水素ガス及び二酸化炭素ガスはいずれも反応器の下部から導入された。また、該水はその温度が反応器に導入される時点で反応器内温度と同一になるように、予め内径4mm、長さ1mのガラス管を通して温度調節された。反応器内の圧力は0.1MPaであり、水素分圧は0.05MPaであった。二酸化炭素ガスは反応器内のpHを調節するために使用された。これによりPHは6.0~6.5程度に調節された。反応器内温度は60℃であり、LHSVは110時間-1であった。
【0029】
反応器から出た水を採取して、N2、N2O、NO3、NO2及びNH3の濃度を測定した。ここで、N2及びN2O測定にはガスクロマトグラフィー(島津製作所製、型式GC‐8A)を使用し、NO3、NO2及びNH3測定には吸光光度法(FIA法、サヌキ工業株式会社製、型式FI‐710)を使用した。
【0030】
硝酸イオンの転化率は100%であった。
【0031】
反応速度は以下のようにして求めた。触媒充填量を0.012グラム及び0.025グラムとし、かつ夫々の触媒充填量について、硝酸イオン含有水の供給速度を59cm3/時間及び83cm3/時間とした以外は、上記反応試験と同じくして還元反応を実施した。次いで、これら二つの実験結果から、接触時間と転化率との関係をグラフにプロットし、その傾きから反応速度を算出した。結果を表1に示す。
【0032】
(実施例2)
水素ガスにヘリウムガスを混合し、反応器内の水素分圧を0.005 MPaとした以外は、実施例1と同一に実施した。硝酸イオンの転化率は100%であった。
【0033】
反応速度は以下のようにして求めた。触媒充填量を0.025グラムとし、硝酸イオン含有水の供給速度を60cm3/時間及び82cm3/時間とした以外は、上記と同じくして求めた。結果を表1に示す。
【0034】
(比較例1及び2)
ポリテトラフルオロエチレンを含まない触媒を使用した以外は、夫々、実施例1及び2と同一に実施した。硝酸イオンの転化率はいずれも100%であった。
【0035】
反応速度は以下のようにして求めた。触媒充填量を0.05グラムとし、かつ硝酸イオン含有水の供給速度を比較例1では83cm3/時間及び177cm3/時間とし、比較例2では60cm3/時間及び83cm3/時間とした以外は、上記と同じくして求めた。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
JP0004759731B2_000002t.gif

【0037】
実施例1及び2は水素分圧を変えたものである。水素分圧を低くすると、反応速度を低下させることなく、生成窒素量を著しく多くすることができ、生成アンモニア量を著しく少なくすることができた。一方、比較例1及び2は反応速度が著しく低かった。本発明の触媒を使用すると著しく高い反応速度で高いN2選択率を得ることできることが分かった。
【0038】
(実施例3)
触媒の調製
椰子殻を原料とする活性炭(和光純薬工業株式会社製、活性炭素、顆粒状、034-02125)を顆粒状で使用し、Pd及びCuの担持量を夫々、2重量%及び0.4重量%とし、かつ水素化ホウ酸ナトリウムにより還元処理した以外は、実施例1と同一にした触媒(5wt%PTFE/2wt%Pd-0.4wt%Cu/AC)を製造した。
【0039】
反応試験
上記のようにして製造した5wt%PTFE/2wt%Pd-0.4wt%Cu/ACの0.3グラムを実施例1で使用したと同一の連続反応器に充填した。
【0040】
次いで、硝酸イオン濃度が200ミリグラム/リットルである水を39cm3/時間で反応器に供給し、同時に、水素ガス(ヘリウムガスを含む混合ガス)及び二酸化炭素ガスをいずれも98cm3/時間で反応器に供給した。反応器内の圧力は0.1MPaであり、水素分圧は0.005 MPaであった。反応器温度は25℃であり、LHSVは130時間-1であった。
【0041】
硝酸イオンの転化率は58.1%であった。結果を表2に示す。
【0042】
(比較例3)
ポリテトラフルオロエチレンを含まない触媒を使用した以外は、実施例3と同一に実施した。
【0043】
硝酸イオンの転化率は42.8%であった。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
JP0004759731B2_000003t.gif

【0045】
実施例3及び比較例3から、本発明の触媒を使用すると硝酸イオンの転化率を著しく高くすることができる。アンモニア・亜硝酸イオン選択率は多少高くなったが、転化率が著しく増加していることから、本発明の効果を損なうものではなかった。
【0046】
下記の実施例4~7は、担体である活性炭の種類を変えて、その影響を調べたものである。
【0047】
(実施例4~6)
触媒の調製
活性炭として、夫々、木屑及び籾殻を原料とするもの、石炭を原料とするもの(クラレケミカル株式会社製、クラレコールGWC‐H、破砕片を乳鉢で粉砕して使用)、及び椰子殻を原料とするもの(顆粒を乳鉢で粉砕して使用)を使用した以外は、実施例1と同一にして触媒(5wt%PTFE/5wt%Pd-0.6wt%Cu/AC)を製造した。
【0048】
反応試験
上記のようにして製造した5wt%PTFE/5wt%Pd-0.6wt%Cu/ACの0.5グラムを実施例1で使用したと同一の連続反応器に充填した。
【0049】
次いで、硝酸イオン濃度が200ミリグラム/リットルである水を27cm3/時間で反応器に供給し、同時に、水素ガス(ヘリウムガスを含む混合ガス)及び二酸化炭素ガスをいずれも98cm3/時間で反応器に供給した。反応器内の圧力は0.1MPaであり、水素分圧は0.005 MPaであった。反応器温度は60℃であり、LHSVは54時間-1であった。
【0050】
硝酸イオンの転化率はいずれも100%であった。結果を表3に示す。
【0051】
(実施例7)
Pd及びCuの担持量を夫々、2重量%及び0.4重量%とし、顆粒状のままの活性炭に金属を担持した以外は、実施例6と同一に実施した。
【0052】
硝酸イオンの転化率は100%であった。結果を表3に示す。
【0053】
【表3】
JP0004759731B2_000004t.gif

【0054】
実施例4~6から、椰子殻を原料とする活性炭を使用すると、木屑及び籾殻を原料とする活性炭及び石炭を原料とする活性炭を使用した場合に比べて、アンモニアの選択率を著しく下げることができることが分かった。また、実施例7から、顆粒状で金属を担持し金属担持量を少なくするとアンモニア生成を抑制し得ることが分かった。
【0055】
下記の実施例8~10は、Pdと一緒に使用する金属の種類を変えて、その影響を調べたものである。金属としてCu、In又はSnを使用し、Pd/ Cu、Pd/In又はPd/Snのモル比をいずれも0.6にした。
【0056】
(実施例8)
触媒の調製
活性炭(AC、木屑及び籾殻を原料とするもの)(和光純薬工業株式会社製、活性炭素、粉末状、037-02115)に、PdCl2(和光純薬工業株式会社製)及びCu(NO3)2・3H2O(和光純薬工業株式会社製)水溶液を逐次含浸し、Pd及びCuの担持量が夫々、1重量%及び1重量%となるようにした。このようにして得た活性炭を100℃において一晩、窒素気流下で乾燥して、Pd及びCuを担持した活性炭(1wt%Pd-1wt%Cu/AC)を製造した。次いで、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(名古屋合成株式会社製、NS-01、商標)を水に分散した分散物を、担持量が5重量%となるように乾燥後の該Pd及びCuを担持した活性炭に含浸した。得られた試料を250℃において2時間、空気雰囲気下において焼成した後、水素気流下300℃において2時間還元処理して、Pd及びCuを担持した活性炭に更にPTFEを担持した触媒(5wt%PTFE/1wt%Pd-1wt%Cu/AC)を製造した。
【0057】
反応試験
上記のようにして製造した5wt%PTFE/1wt%Pd-1wt%Cu/ACの0.5グラムを実施例1で使用したと同一の連続反応器に充填した。
【0058】
次いで、硝酸イオン含有水を117cm3/時間で反応器に供給し、二酸化炭素は供給せず、かつLHSVを234時間-1としたこと以外は、実施例1と同一にして還元反応を実施し、各成分の濃度を測定した。
【0059】
(実施例9)
Cu(NO3)2・3H2O水溶液に代えて、In(NO3)2(キシダ化学株式会社製)水溶液を使用して、In担持量を1.8重量%とした以外は、実施例8と同一にして、触媒(5wt%PTFE/1wt%Pd-1.8wt%In / AC)を製造し、次いで、反応試験を実施した。
【0060】
(実施例10)
Cu(NO3)2・3H2O水溶液に代えて、SnCl2・2H2O(和光純薬工業株式会社製)水溶液を使用して、Sn担持量を1.9重量%とした以外は、実施例8と同一にして、触媒(5wt%PTFE/1wt%Pd-1.9wt%Sn / AC)を製造し、次いで、反応試験を実施した。
【0061】
実施例8~10の結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
JP0004759731B2_000005t.gif
*:転化率が低く測定不能
【0063】
実施例8~10の結果から、金属としてCuを使用すると、In又はSnを使用したときに比べて著しく高い転化率が得られ、かつアンモニア選択率が低くなることが分かった。InはCuほどではないが同様に高い転化率及び低いアンモニア選択率が得られた。金属としてSnを使用すると、Cu又はInを使用したときに比べて転化率は著しく低くなった。但し、単位時間当りの硝酸イオン供給量を低下することにより、転化率を高めることが可能である。
【0064】
下記の実施例11~15は、担体の種類を変えて、その影響を調べたものである。担体として活性炭(実施例8で使用したものと同一)の他、TiO2(日本アエロジル株式会社製、P-25、商標)、ZrO2[Zr水酸化物(第一稀元素工業株式会社製)を450℃で焼成したもの]、SiO2(日本アエロジル株式会社製、Aerosil 300、商標)及びAl2O3(JRC-ALO-4)を使用した。
【0065】
(実施例11~15)
触媒の調製
上記の各担体に、PdCl2(和光純薬工業株式会社製)及びCu(NO3)2・3H2O(和光純薬工業株式会社製)水溶液を逐次含浸し、Pd及びCuの担持量が夫々、5重量%及び0.6重量%となるようにした。このようにして得た物質を100℃において一晩、窒素気流下で乾燥して、各担体にPd及びCuを担持した物質(5wt%Pd-0.6wt%Cu/AC,TiO2,ZrO2,SiO2,Al2O3)を製造した。次いで、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(名古屋合成株式会社製、NS-01、商標)を水に分散した分散物を、担持量が5重量%となるように乾燥後の該Pd及びCuを担持した物質に含浸した。得られた試料を250℃において2時間、空気雰囲気下において焼成した後、水素気流下300℃において2時間還元処理して、Pd及びCuを担持した物質に更にPTFEを担持した触媒(5wt%PTFE/5wt%Pd-0.6wt%Cu/AC,TiO2,ZrO2,SiO2,Al2O3)を製造した。
【0066】
反応試験
上記のようにして製造した5wt%PTFE/5wt%Pd-0.6wt%Cu/AC,TiO2,ZrO2,SiO2,Al2O3の1.0グラムを実施例1で使用したと同一の連続反応器に充填した。
【0067】
次いで、硝酸イオン含有水を39cm3/時間で反応器に供給し、二酸化炭素は供給せず、かつLHSVを39時間-1としたこと以外は、実施例1と同一にして還元反応を実施し、各成分の濃度を測定した。
【0068】
実施例11~15の結果を表5に示す。
【0069】
【表5】
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【0070】
実施例11~15の結果から、担体として活性炭を使用すると、他の担体を使用したときに比べて、著しく高い転化率及び著しく低いアンモニア選択率を兼ね備え得ることが分かった。担体として、TiO2又はZrO2を使用すると高い転化率が得られた。アンモニア選択率は活性炭に比べて高くはなるものの本発明の効果を損なうものではなかった。SiO2を使用すると著しく高い転化率が得られ、Al2O3を使用すると著しく低いアンモニア選択率が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の触媒は、硝酸イオンを含む地下水等から該イオンを除去して、地下水を飲料水にする方法に有効である。廃水処理又は工業用水の浄化に使用することもできる。