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Specification :(In Japanese)生体組織測定用イメージセンサ及び該センサを用いた生体組織測定方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4332628
Publication number P2005-227155A
Date of registration Jul 3, 2009
Date of issue Sep 16, 2009
Date of publication of application Aug 25, 2005
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)生体組織測定用イメージセンサ及び該センサを用いた生体組織測定方法
IPC (International Patent Classification) G01N  21/64        (2006.01)
FI (File Index) G01N 21/64 Z
Number of claims or invention 10
Total pages 17
Application Number P2004-036690
Date of filing Feb 13, 2004
Date of request for substantive examination Feb 7, 2007
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】徳田 崇
【氏名】太田 淳
【氏名】香川 景一郎
【氏名】上原 昭宏
Representative (In Japanese)【識別番号】100095670、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 良平
Examiner (In Japanese)【審査官】横井 亜矢子
Document or reference (In Japanese)特開2002-202303(JP,A)
特表平07-508831(JP,A)
特表平11-503316(JP,A)
特開2004-205335(JP,A)
特開2003-083932(JP,A)
特表2002-525587(JP,A)
特開2000-146910(JP,A)
国際公開第03/025546(WO,A2)
特開2003-075135(JP,A)
特開平11-064215(JP,A)
特開平06-311879(JP,A)
国際公開第02/099408(WO,A1)
Field of search G01N 21/00-21/01
G01N 21/17-21/83
G01N 33/48-33/98
G01N 27/26-27/49
JSTPlus(JDream2)
JMEDPlus(JDream2)
JST7580(JDream2)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
観察対象物である生体組織の光現象による2次元画像を取得するための生体組織測定用イメージセンサであって、
a)多数の微小受光素子が2次元状に配置されて成る光電変換部と、
b)該光電変換部を被覆する、生体組織を害しない材料から成る保護膜層と、
c)前記光電変換部の領域内に、前記微小受光素子が配置されるべき画素領域を用いて該微小受光素子の配置よりも疎らな所定間隔で2次元状に配置され、それぞれその上端が前記保護膜層から露出又は突出するように設けられ、且つそれぞれ独立に外部からの電流の注入が可能である複数の電極部と、
を備え、観察対象物を前記保護膜層に接触させた状態で、前記電極部により前記観察対象物に電気的刺激を与えつつ、前記光電変換部により前記観察対象物を撮像することを特徴とする生体組織測定用イメージセンサ。
【請求項2】
観察対象物である生体組織の光現象による2次元画像を取得するための生体組織測定用イメージセンサであって、
a)多数の微小受光素子が2次元状に配置されて成る光電変換部と、
b)該光電変換部を被覆する、生体組織を害しない材料から成る保護膜層と、
c)前記光電変換部の領域内に、前記微小受光素子が配置されるべき画素領域を用いて該微小受光素子の配置よりも疎らな所定間隔で2次元状に配置され、それぞれその上端が前記保護膜層から露出又は突出するように設けられ、且つそれぞれ独立に信号の取り出しが可能である複数の電極部と、
を備え、観察対象物を前記保護膜層に接触させた状態で、前記光電変換部により前記観察対象物を撮像するとともに、前記電極部により前記観察対象物の局所的な電位を検出することを特徴とする生体組織測定用イメージセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の生体組織測定用イメージセンサであって
記各微小受光素子で受光した光強度信号をパルス幅変調又はパルス周波数変調することでパルス幅又はパルス頻度に情報を有するパルス信号列に変換する信号変換手段さらにえることを特徴とする生体組織測定用イメージセンサ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の生体組織測定用イメージセンサであって
前記微小受光素子はそれぞれ、基板内部の浅い部分に形成された主として相対的に短い波長の光を検出する短波長検出領域と、該短波長検出領域よりも基板内部の深い部分に形成された主として相対的に長い波長の光を検出する長波長検出領域とを有し、
前記短波長検出領域で光電変換により発生した電気信号と前記長波長検出領域で光電変換により発生した電気信号とをそれぞれ独立に取り出すための信号取り出し手段
さらに備え、観察対象物を前記保護膜層に接触させた状態で、該観察対象物から互いに異なる2つの波長で以て放出された光に対する電気信号を前記短波長検出領域及び長波長検出領域で同時に取得することを特徴とする生体組織測定用イメージセンサ。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の生体組織測定用イメージセンサであって、
1個の微小受光素子と、第1、第2なる2個の電荷蓄積部と、前記1個の微小受光素子から第1及び第2電荷蓄積部へ電荷を選択的に転送するための電荷転送部と、前記第1及び第2電荷蓄積部の蓄積電荷に応じた電圧を出力する第1、第2なる2個の出力部と、を含んで1個の画素セルが構成され、該画素セルが2次元状に配置されることで前記光電変換部が構成され
観察対象物を前記保護膜層に接触させた状態で、該観察対象物に対して互いに波長の異なる2種の励起光を時分割で照射し、該励起光に応じて該観察対象物から放出された光によって各微小受光素子でそれぞれ発生した電荷信号を2種の励起光の時分割の切替えタイミングに同期して電荷転送部により振り分けて第1及び第2電荷蓄積部に蓄積し、その後にそれぞれ第1及び第2出力部から出力することを特徴とする生体組織測定用イメージセンサ。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の生体組織測定用イメージセンサであって
前記保護膜層に接触して配置された観察対象物に対し照射される励起光の波長帯域の通過を阻止する一方、該励起光に応じて観察対象物から放出される蛍光光の波長帯域を通過させる光学フィルタ層さらに備えることを特徴とする生体組織測定用イメージセンサ。
【請求項7】
請求項6に記載の生体組織測定用イメージセンサであって、
当該センサに含まれる撮像素子はCMOS構造を有し、該CMOS構造を形成するための多結晶シリコン層を前記光学フィルタ層としたことを特徴とする生体組織測定用イメージセンサ。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の生体組織測定用イメージセンサであって
前記保護膜層に接触して配置された観察対象物に対し照射される相対的に短波長の励起光によって前記微小受光素子の基板表面付近で発生した電荷を不要な電荷として排出するための電荷排出手段と
前記励起光に応じて観察対象物から放出された蛍光によって前記微小受光素子の基板深部で発生した電荷を有効な電荷として取り出すための信号取り出し手段と、
さらに備えることを特徴とする生体組織測定用イメージセンサ。
【請求項9】
生体から単離した又は生体外で培養した生体組織を、請求項1~8のいずれかに記載の生体組織測定用イメージセンサの前記保護膜層上に直接載せた状態で該生体組織の光現象による2次元画像を取得することを特徴とする生体組織測定方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載の生体組織測定用イメージセンサを生体内部に埋植し、該生体内部で前記保護膜層を該生体組織に直接接触させた状態で該生体組織の光現象による2次元画像を取得することを特徴とする生体組織測定方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、生化学、分子生物学、臨床医学等の分野において、生体細胞、タンパク質、DNA、ペプチド、糖類などの各種生体組織の測定・観察を行うために好適な生体組織測定用のイメージセンサと、該センサを用いた生体組織測定方法に関する。なお、ここで言う「イメージセンサ」とは、固体撮像素子(半導体チップ)そのものと該固体撮像素子を中心として構成されたセンサユニットとの両方を含むものとする。
【背景技術】
【0002】
近年、バイオイメージング技術として、生体細胞における光学的な現象を観察する技術の重要性が非常に増大している。こうした技術としては、例えば、エクオリン、ハウスタウリン等の発光タンパク質を用いた発光観察、GFP(Green Fluoresence Protein)等を利用した蛍光観察、Fura-2,Indo-1等のCa2+イオン感受性色素や電位感受性色素を用いた細胞活動観察、などが挙げられる。こうした生体組織の発光現象や蛍光現象を利用した現在のバイオイメージング技術は、いずれも顕微鏡下で生じた現象を拡大して観察するものである。
【0003】
上記顕微鏡としては主として近接場顕微鏡(全反射蛍光顕微鏡)などが利用されるが(非特許文献1など参照)、こうした特殊な顕微鏡は光学系が非常に複雑であって装置自体が大きく、価格もかなり高い。そのため、より簡便に且つ低廉なコストで以て生体組織の光学的現象による画像を取得できる装置の開発が強く要望されている。
【0004】
また一般に、生体組織の蛍光発光や自己発光はかなり微弱であるが、従来のような装置では、こうした微弱な光が光学系を通る間に更に弱められてしまい、十分な蛍光画像・発光画像を得られない場合もあった。また、光学系の収差などの歪み要因によって、蛍光画像・発光画像の一部に歪みが生じる場合もあった。
【0005】
さらにまた、従来の顕微鏡のような装置によって観察が可能である観察対象物は、顕微鏡にセットできるサイズや形態に限られる。そのため、基本的には生体から単離した生体組織しか観察することができないため、例えば比較的大形の動物等の生体組織を生体内に存在する状態のまま(つまりその動物から採取すること無しに)観察することは非常に困難であり、観察可能な現象に限界があった。
【0006】

【非特許文献1】“アーク光源全反射蛍光顕微システム IX71-ARCEVA”、[online]、オリンパス株式会社、[平成16年1月20日検索]、インターネット、<URL : http://www.olympus.co.jp/jp/lisg/bio-micro/product/ix71-arceva.h>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこうした課題に鑑みて成されたものであり、その主な目的は、生体細胞等の各種の生体組織による自己発光現象、蛍光現象、或いは吸光現象などの様々な光学現象による2次元画像を簡便に且つ低廉なコストで取得することができる生体組織測定用イメージセンサ及び生体組織測定方法を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的とするところは、生体組織の動的態様などの観察のために従来から行われている各種の光学的測定法に好適であって、高い感度で良好な2次元画像を取得することができる生体組織測定用イメージセンサ及び生体組織測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段、及び発明の効果】
【0009】
上記課題を解決するために成された第1発明に係る生体組織測定用イメージセンサは、観察対象物である生体組織の光現象による2次元画像を取得するための生体組織測定用イメージセンサであって、
a)多数の微小受光素子が2次元状に配置されて成る光電変換部と、
b)該光電変換部を被覆する、生体組織を害しない材料から成る保護膜層と、
c)前記光電変換部の領域内に、前記微小受光素子が配置されるべき画素領域を用いて該微小受光素子の配置よりも疎らな所定間隔で2次元状に配置され、それぞれその上端が前記保護膜層から露出又は突出するように設けられ、且つそれぞれ独立に外部からの電流の注入が可能である複数の電極部と、
を備え、観察対象物を前記保護膜層に接触させた状態で、前記電極部により前記観察対象物に電気的刺激を与えつつ、前記光電変換部により前記観察対象物を撮像することを特徴としている。
また、上記課題を解決するために成された第2発明に係る生体組織測定用イメージセンサは、観察対象物である生体組織の光現象による2次元画像を取得するための生体組織測定用イメージセンサであって、
a)多数の微小受光素子が2次元状に配置されて成る光電変換部と、
b)該光電変換部を被覆する、生体組織を害しない材料から成る保護膜層と、
c)前記光電変換部の領域内に、前記微小受光素子が配置されるべき画素領域を用いて該微小受光素子の配置よりも疎らな所定間隔で2次元状に配置され、それぞれその上端が前記保護膜層から露出又は突出するように設けられ、且つそれぞれ独立に信号の取り出しが可能である複数の電極部と、
を備え、観察対象物を前記保護膜層に接触させた状態で、前記光電変換部により前記観察対象物を撮像するとともに、前記電極部により前記観察対象物の局所的な電位を検出することを特徴としている。

【符号の説明】
【0011】
この第1及び第2発明に係る生体組織測定用イメージセンサを用いて測定を行う場合に、観察対象物である生体組織例えば生体細胞などは、センサの光電変換部の表面を覆う保護膜層に直接的に接触するように配置される。この状態では、生体組織が保護膜層を挟んで光電変換部にごく近接するため、その生体組織から放出される光(蛍光光や自己発光光はもちろんのこと、それ以外に生体組織自体が放出するのではなく生体組織を透過して来る光も含む)が微弱であっても、殆ど減衰することなく2次元状に配置された微小受光素子に到達して光電変換される。そのため、光の伝送距離はきわめて短く拡がりも殆ど無視できる程度であるので、光電変換部上での投影像はほぼ観察対象物と同サイズとなる。

【0012】
したがって、この第1及び第2発明に係る生体組織測定用イメージセンサを生体組織の観察に用いれば、高感度で鮮明な画像を得ることができる。また、近接場顕微鏡のように複雑な光学系を必要としないので、従来よりも格段に低廉なコストで撮像を行うことができる。なお、生体組織が接触する保護膜層は生体組織を害さないものであるため、上記のような測定の際に生体組織の活動を阻害したり生体組織を損傷したりすることもなく、目的とする生体組織の動的態様などを正確に捉えることができる。この点は後述する第2乃至第6発明に係る生体組織測定用イメージセンサでも同様である。

【0013】
この第1及び第2発明に係る生体組織測定用イメージセンサにおいて、生体組織が保護膜層に接触する状態では保護膜層から露出又は突出して設けられた電極部の先端がその生体組織に接触する。この電極部は2つの機能を果たし得る。すなわち、第1発明では、電極部に所定電位を印加することにより又は電極部から所定の微小電流を流すことにより、生体組織に電気的な刺激を与えることである。こうした生体組織に対する電気的刺激と生体組織の光学現象の撮像とを組み合わせることにより、例えば電気的刺激を生体組織に加えたときの光学現象の変化などを観察したり、逆に生体組織の撮影画像から収集した情報に基づいて所定の電気的刺激を生体組織に与えるといった、様々な形態の測定が可能となる。特に電極部を2次元状に複数設けているため、生体組織に局所的に電気的刺激を与えたり、時間経過に従って電気的刺激を与える部位を変化させたりするといったことが可能となり、測定のバリエーションが広がる。

【0014】
第2発明において、電極部の機能は生体組織内で発生する電気信号の計測である。これによって、生体組織の光学現象の撮像と生体組織の電気的計測とを同時に行うことができる。

【0015】
ところで、一般的な固体撮像素子では、各画素セルの微小受光素子で入射光強度を電気信号に変換するに際し、一定時間内における光電荷量を電位として検出する方法が用いられるが、生体組織を対象とするイメージングでは、例えば発光性タンパク質の観察のようにもともとの発光強度が非常に微弱である場合や、蛍光標識されたタンパク質の蛍光を観察するときのように大きな強度の励起光が同時に存在する条件の下で蛍光光を検出しなければならない場合など、かなり厳しい条件の下での撮影が要求されることがある。こうした条件の下では、従来のような検出方法では十分なS/N比を確保することが難しい。
【0016】
そこでこうした点に鑑みて、第1及び第2発明に係る生体組織測定用イメージセンサの一態様で、前記各微小受光素子で受光した光強度信号をパルス幅変調又はパルス周波数変調することでパルス幅又はパルス頻度に情報を有するパルス信号列に変換する信号変換手段さらに備えことを特徴としている。

【0017】
すなわち、上記態様の生体組織測定用イメージセンサでは、微小受光素子に入射した光強度をアナログレベルの電気信号に変換するのではなく、信号変換手段により、パルス周波数変調又はパルス幅変調のいずれかの方式で所定高さ(電圧)のパルス信号列に変換して出力する。パルス周波数変調はアナログ値である光強度をパルス信号の頻度に変換するもので、生体神経系における出力形態として知られており、光強度の絶対値よりもむしろ光強度の変化を精度良く検出することができる。したがって、上述したような大きな強度の励起光が同時に存在する条件の下で微小な蛍光光を検出しなければならない場合などに特に好適である。一方、パルス幅変調はアナログ値である光強度をパルス幅に変換して出力するもので、好ましくは、光強度が小さいほどパルス幅が大きくなるように回路を構成する。この構成においては、極めて微弱な光が入射した場合に、微弱な光強度の差がパルス幅の差として拡大されて検出される。したがって、上述したような入射光強度が非常に微弱である場合などに特に好適である。また、いずれの場合でもパルスの高さは光強度に依存しないので、外来ノイズへの耐性が強い。

【0018】
このように上記態様の生体組織測定用イメージセンサによれば、生体組織の光学現象の測定に特有の厳しい条件の下でも、目的とする入射光強度やその変化を高い感度及び精度で検出することができる。したがって、生体組織による光学現象を鮮明に捉えた画像を取得することができる。

【0019】
また、第1及び第2発明の他の態様による生体組織測定用イメージセンサは、
前記微小受光素子がそれぞれ、基板内部の浅い部分に形成された主として相対的に短い波長の光を検出する短波長検出領域と、該短波長検出領域よりも基板内部の深い部分に形成された主として相対的に長い波長の光を検出する長波長検出領域とを有し、
前記短波長検出領域で光電変換により発生した電気信号と前記長波長検出領域で光電変換により発生した電気信号とをそれぞれ独立に取り出すための信号取り出し手段
さらに備え、観察対象物を前記保護膜層に接触させた状態で、該観察対象物から互いに異なる2つの波長で以て放出された光に対する電気信号を前記短波長検出領域及び長波長検出領域で同時に取得することを特徴としている。

【0020】
上記態様による生体組織測定用イメージセンサは、例えば1波長励起・2波長蛍光レシオメトリ測定などに好適である。1波長励起・2波長蛍光測定では、保護膜層に接触するように配置した生体組織に所定波長の励起光を照射したときに、その生体組織の構成要素や活動状況等に応じて互いに異なる2波長の蛍光光が放出され得る。生体組織から放出される蛍光は互いに異なる2つの波長(ピークトップ波長)が混合したものとなっている可能性がある。こうした蛍光が微小受光素子に入射すると、相対的に長い波長成分を持つ光は基板内部の深い位置まで浸透するから、長波長検出領域にまで達して光電荷を生成する。一方、相対的に短い波長成分を持つ光は基板内部の浅い位置の短波長検出領域で光電荷を生成する。これらそれぞれ異なる領域で生成された光電荷に由来する電気信号は信号取り出し手段により個別に取り出される。

【0021】
従来、1つのイメージセンサ(又はカメラ)により蛍光検出を行う場合には、例えば2波長蛍光を時分割で検出する必要があったが、上記態様による生体組織測定用イメージセンサを用いることにより、2波長の蛍光を時分割でなく同時に、つまり時間的に全く同一条件の下で検出することができる。また、従来、時間的なずれを回避するために顕微鏡内で光学系により像を2つに分割して2つのイメージセンサ(又はカメラ)でそれぞれ蛍光検出を行うことも行われているが、この場合には時間的なずれはないものの光学系に依存する空間的なずれが発生することが避けられない。それに対し、上記態様による生体組織測定用イメージセンサを用いることにより、上述したような空間的なずれもない全く同一箇所の蛍光の光強度を検出することができる。こうしたことから、例えば2波長蛍光の光強度比を算出する場合に、時間的にも空間的にも同一条件の下での光強度を比較することができるので測定精度が向上する。

【0022】
また、第1及び第2発明の他の態様による生体組織測定用イメージセンサは
1個の微小受光素子と、第1、第2なる2個の電荷蓄積部と、前記1個の微小受光素子から第1及び第2電荷蓄積部へ電荷を選択的に転送するための電荷転送部と、前記第1及び第2電荷蓄積部の蓄積電荷に応じた電圧を出力する第1、第2なる2個の出力部と、を含んで1個の画素セルが構成され、該画素セルが2次元状に配置されることで前記光電変換部が構成され
観察対象物を前記保護膜層に接触させた状態で、該観察対象物に対して互いに波長の異なる2種の励起光を時分割で照射し、該励起光に応じて該観察対象物から放出された光によって各微小受光素子でそれぞれ発生した電荷信号を2種の励起光の時分割の切替えタイミングに同期して電荷転送部により振り分けて第1及び第2電荷蓄積部に蓄積し、その後にそれぞれ第1及び第2出力部から出力することを特徴としている。

【0023】
上記態様による生体組織測定用イメージセンサは、例えば2波長励起・1波長蛍光測定などに好適である。2波長励起・1波長蛍光測定では、保護膜層に接触するように配置した生体組織に2つの異なる波長の励起光を時分割で交互に照射する。各励起光によって生体組織内で生じた蛍光は同一の微小受光素子へと入射し、光電変換されて電荷が生じるが、励起光の時分割の切替えタイミングに同期して駆動される電荷転送部により、各励起光に対応した蛍光に由来する電荷毎に振り分けられ、それぞれの電荷蓄積部に蓄積される。したがって、上記態様による生体組織測定用イメージセンサを用いれば、2波長励起に対する蛍光に由来する2系統の信号を同時に取り出すことができ、例えば両者の光強度を比較する等の処理が容易に行える。

【0024】
さらにまた、上述したような各種形態による励起光照射・蛍光検出測定においては、一般に蛍光の光強度は励起光の光強度に比べて格段に小さい。そのため、例えば上述したように信号変換手段を導入したとしても、それだけでは十分な検出感度・精度を得られない場合があり得る。そこで、こうした場合には、励起光による影響を相対的に減少させることが有効である。

【0025】
こうしたことを目的とした第1及び第2発明の他の態様による生体組織測定用イメージセンサは、前記保護膜層に接触して配置された観察対象物に対し照射される励起光の波長帯域の通過を阻止する一方、該励起光に応じて観察対象物から放出される蛍光光の波長帯域を通過させる光学フィルタ層さらに備えることを特徴としている。

【0026】
ここで、光学フィルタ層としては、励起光の波長帯域の光を選択的に吸収する吸収フィルタ、又は励起光の波長帯域の光を選択的に反射する干渉フィルタとすることができる。また、当該センサに含まれる撮像素子をCMOS構造とする場合には、ゲート等に多結晶シリコン層を用いるから、これを励起光を阻止するための光学フィルタ層として利用することもできる。
【0027】
上記態様による生体組織測定用イメージセンサによれば、微小受光素子に入射する励起光の光強度が光学フィルタ層によって大幅に低減されるので、相対的に蛍光の光強度が大きくなり、蛍光の検出性が高まる。

【0028】
また、上記目的を達成するために、シリコン固体撮像素子において短波長側では基板内部の表面付近で光吸収が生じるために検出感度が相対的に低下してしまうという感度曲線の特徴を利用して、紫外光や短波長側の可視光である励起光によって生成される光電荷を除去することが考え得る。
【0029】
すなわち、第1及び第2発明の他の態様による生体組織測定用イメージセンサは
記保護膜層に接触して配置された観察対象物に対し照射される相対的に短波長の励起光によって前記微小受光素子の基板表面付近で発生した電荷を不要な電荷として排出するための電荷排出手段と、
前記励起光に応じて観察対象物から放出された蛍光によって前記微小受光素子の基板深部で発生した電荷を有効な電荷として取り出すための信号取り出し手段と、
さらに備えることを特徴としている。

【0030】
ここでは電荷排出手段としては例えばフォトゲートなどを利用することができる。この構成では、比較的短波長である励起光はフォトゲート直下の基板表面付近で光電荷を生成するが、これら電荷は電荷排出手段によって排出されてしまい出力には寄与しない。一方、励起光に比べて長波長である蛍光は基板内の深部まで入り込んで光電荷を生成し、この電荷による信号は信号取り出し手段により取り出されて画像形成等に利用される。したがって、このように基板深部で発生した光電荷に由来する電気信号のみを取り出すことで、励起光の影響を軽減した信号を得ることができる。
【0031】
上記態様による生体組織測定用イメージセンサによっても、微小受光素子に入射する励起光の光強度が大幅に低下するので、相対的に蛍光の光強度が大きくなり、蛍光の検出性が高まる。

【0032】
第1及び第2発明に係る生体組織測定用イメージセンサを用いた生体組織測定方法として、大別にして2つの方法が考え得る。その1つは、生体から単離した又は生体外で培養した生体組織を、上記いずれかの発明による生体組織測定用イメージセンサの保護膜層上に直接載せた状態で該生体組織の光現象による2次元画像を取得する方法である。この測定方法では、従来の顕微鏡下で観察することが可能であるような各種の蛍光検出などを行うことが可能である。
【0033】
一方、他の1つの測定方法は、上記いずれかの発明による生体組織測定用イメージセンサを生きた状態にある生体内部に埋植し、該生体内部で保護膜層を該生体組織に直接接触させた状態で該生体組織の光現象による2次元画像を取得する方法である。この方法では、観察対象である生体組織の蛍光標識などに制約があるものの、生体が通常活動している状態での観察が可能であり、従来、得ることが困難であった生体情報を比較的容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
[第1実施例]
本発明に係る生体組織測定用イメージセンサの一実施例とそれを用いた生体組織測定方法について、図面を参照して説明する。
図1は第1実施例によるセンサユニット2に利用される撮像素子1の概略構造を示す平面図、図2はこのセンサユニット2の概略縦断面である。この撮像素子1は、シリコン等の半導体基板10上に多数の微小受光素子が2次元状に配列された光電変換領域11と、この光電変換領域11に含まれる各画素セルから信号を読み出すための列選択制御回路17及び行選択制御回路18とを備える。
【0035】
光電変換領域11内には縦に8列、横に8行の合計64個の画素ユニット12が設けられ、各画素ユニット12にはそれぞれ縦に15列、横に15行の合計225個の画素領域が存在する。但し、各画素ユニット12内の225個の画素領域の中で、中央の25個分の画素領域は受光のためではなく突起電極の領域に充てられる。すなわち、この25個分の画素領域には略正方形状の電極形成用パッド15が設けられ、その上には上方に略円柱状に突出した金属製の突起電極16が形成される。各画素ユニット12においては、中央の電極形成用パッド15を取り囲む200個分の画素領域がそれぞれ受光用の画素セル13に充てられる。各画素セル13は、本発明における微小受光素子としてのフォトダイオード14を含むほか、フォトダイオード14で得られた電流信号を電圧信号に変換したりその電圧信号を増幅したりするための各種回路を含む。
【0036】
したがって、この撮像素子1では、光電変換領域11内に、全部で64個の突起電極16が縦方向及び横方向に略等間隔で設けられるとともに、12800個の画素セル13が設けられている。1個の画素領域のサイズや電極形成用パッド15のサイズなどは製造に使用する半導体プロセスやこのセンサの目的などに応じて適宜に決めることができるが、例えば画素領域を5μm□、電極形成用パッドを25μm□とすることができる。もちろん、こうしたサイズや画素数などはここでの記載に限定されるものではない。なお、各画素セル13毎に光電変換によって取得された電気信号は従来の固体撮像素子と同様にシリアルに外部へと取り出すことができるように構成されているが、突起電極16に対してはそれぞれ独立に信号の取り出しや電流の注入が可能であるように構成されている。
【0037】
本実施例のセンサユニット2においては、図2に示すように、上記構成の撮像素子1が例えばポリイミド樹脂などから成るセンサ基板20の上に固着され、撮像素子1上に形成されたワイヤボンディングパッドとセンサ基板20上に設けられた電極部との間はアルミニウム又は金などのワイヤ23によって電気的に接続される。さらに、撮像素子1表面全体及びワイヤ23などはエポキシ樹脂などによる保護層22で被覆される。但し、突起電極16の上端部のみは保護層22の上に露出する。このセンサユニット2は生体組織に直接的に接触した状態で、しかも場合によってはかなりの長期間その状態を保って使用されるため、電解質等を含む生体液による侵食から回路や配線等を保護する必要がある。一方、生体組織に直接接触するため、保護層22自体が生体組織に損傷を与えたり生理活動を阻害したりすることも避ける必要がある。こうしたことから保護層22としては例えばエポキシ樹脂などの生体組織を害さない材料を使用する。
【0038】
図3は1個の画素セル13における回路構成を示す図、図4はこの回路の動作を説明するための波形図である。ここでは、生体細胞等からのきわめて微弱な発光や蛍光を検出することができるように、入射光量の強弱に応じてアナログ電圧値を出力する通常のCMOSアクティブピクセルセンサ(図4(a)参照)のほか、パルス周波数変調(PFM)方式及びパルス幅変調(PWM)方式の動作を可能とするための回路を組み込んでいる。
【0039】
ずなわち、画素セル13には、入射光を電気信号に光電変換するとともにその接合容量によって光電変換で生じた電荷を蓄積する電荷蓄積部として機能するフォトダイオード31と、蓄積された電荷を消去するためのリセット用のゲートスイッチ部32と、電荷を増幅して電圧信号として出力する増幅部33、34と、増幅された電圧信号を所定の基準電圧Vrefと比較するコンパレータ35と、コンパレータ出力をデータ入力として所定周波数のクロック信号CLKにより読み込むフリップフロップ回路36と、フリップフロップ出力とリセットタイミング信号を受けてゲートスイッチ部32にリセット信号を送るANDゲート37と、出力を反転するインバータ38とを含む。
【0040】
まず、上記構成をPFM方式で動作させる場合の動作について説明する。リセット信号RSTが入力されてゲートスイッチ部32がオンすることによりフォトダイオード31の電位VPDはVDD近傍まで充電され、ゲートスイッチ部32がオフするとフロート状態のフォトダイオード31の電位VPDは光電荷による放電量に応じて減少する。したがって、フォトダイオード31への入射光強度が大きいほど電位VPDの下がり方は速くなる。電位VPDに応じた電位VPD'がVrefを下回ると、コンパレータ35の出力はL→Hと変化する。これを受けてフリップフロップ回路36の出力は、次にクロック信号CLKが立ち上がるときにL→Hと変化する。すると、この変化から適度に遅延してANDゲート37の出力は立ち上がりリセット信号RSTをゲートスイッチ部32に与えるから、フォトダイオード31の電位VPDは再びVDD近傍まで上昇する。それによって、コンパレータ35の出力はH→Lと変化するから、次にクロック信号CLKが立ち上がるときにフリップフロップ回路36の出力はH→Lと変化する。
【0041】
フリップフロップ回路36の出力パルスの幅はANDゲート37の遅延時間などに依存しており入射光強度とは無関係であるため常に一定であるが、出力パルスの発生頻度は電位VPDの減少速度が速いほど頻繁になるから、入射光量が大きいほどパルス周波数は高くなる(図4(b)参照)。この出力パルスを受けた回路ではパルス数を積算するが、多数回の計測を行ったときのパルス数の積算は多数回の計測の平均を採るのと同じ効果が得られる。したがって、このPFM方式は、入射光強度の変化を高い精度で検出できるという特徴を有している。そのため、例えば、蛍光タンパク質などの観察のように、強い励起光が同時に存在するという条件の下で蛍光による微小な光強度の変化を捉える必要がある場合に特に好適である。
【0042】
次に、上記構成をPWM方式で動作させる場合の動作について説明する。基本的な動作はPFM方式と同様であるが、PWM方式では、リセット信号RSTが入力されてゲートスイッチ部32がオンすることによりフォトダイオード31の電位VPDはVDD近傍まで充電され、それによってコンパレータ35の出力がH→Lと変化した時点から、光電荷による放電量に応じて電位VPDは減少してゆき電位VPD'がVrefを下回ってコンパレータ35の出力がL→Hと変化するまでの時間幅のパルス信号を得る。入射光量が小さいほど電位VPDの減少速度は遅くなるから、パルス幅は長くなる(図4(c)参照)。したがって、このPWM方式は、きわめて微弱な光が入射した場合でも、その微弱な光強度の僅かな差がパルス幅の差として拡大されて検出されるという特徴を有している。そのため、発光タンパク質の観察などのように、入射光強度がきわめて微弱であるような場合に特に好適である。
【0043】
このようにこの撮像素子では、目的に応じてPFM方式又はPWM方式の一方を適宜に選択して入射光強度に対応したパルス信号列を出力として取り出すことができる。
【0044】
次に、上記構成のセンサユニット2を利用した生体組織の測定方法の具体例について説明する。
代表的な測定方法の一つはインビトロ(in vitro)である。すなわち、図5に示すように、生体から採取した単離細胞や試験管内等で培養した細胞Sをセンサの保護層22上に直接載せた状態で発光・蛍光イメージングを行う。このとき、突起電極16の一部が観察対象である細胞Sに接触するから、突起電極16に選択的に所定電位を印加することにより、細胞Sにあってそれに接触した部位に対して局所的な電気的刺激を加えることができる。また、電圧を印加する代わりに突起電極16に生じた電圧を検出することにより、細胞S内部での電気信号による情報を取得してもよい。こうした電気的刺激又は電気的計測と発光・蛍光イメージングによる撮像とは適宜に組み合わせることができる。
【0045】
代表的な他の測定方法はインビボ(in vivo)である。すなわち、生きた状態にあるマウス等の実験動物の生体組織内部に上記センサを埋植し、センサによって取得した信号を有線又は無線によって外部装置に伝送してイメージングによる画像を得る。こうした測定では、通常の活動状態を維持した状態での生体組織の観察が可能である。もちろん、このような測定でも、インビトロと同様に電気的刺激又は電気的計測との組み合わせが可能である。
【0046】
[第2実施例]
次に、第2実施例によるイメージセンサについて図6により説明する。図6はこの第2実施例によるイメージセンサの1個の画素セル13の概略縦断面図である。
現在のバイオイメージング技術においてよく利用される蛍光測定では、所定波長の励起光を観察対象物に照射し、その励起光によって蛍光色素などが励起されて生じる励起光を計測して蛍光画像を作成する。こうした測定では、撮像素子の光電変換領域に蛍光のほかに励起光も同時に入射するため、本来の測定対象である蛍光光の強度変化を高い精度で測定するには、励起光による影響を極力除去することが重要である。
【0047】
一般に励起光は高エネルギーを付与する必要があるため、紫外光又は可視光でも短波長側の可視光が利用される。これに対し、蛍光色素等から放出される蛍光は励起光よりも波長が長い。そこで、この第2実施例によるイメージセンサでは、図6に示すように、各画素セル13のフォトダイオード14の上面に励起光の波長帯域を遮断し、蛍光の波長帯域を通過させるような特性を有する光学フィルタ層41を設けている。この光学フィルタ層41として具体的には、通常の半導体製造プロセスによって画素回路を形成した後、その保護膜の上に励起光の波長帯域を吸収する特性を有する吸収フィルタ層を形成するか、或いは励起光の波長帯域を反射させる特性を有する干渉膜フィルタ層を形成すればよい。
【0048】
また、CCDやCMOSプロセスでは、ゲート電極等を形成するために多結晶シリコン層を利用している。一般的にこうした多結晶シリコン層の標準的な膜厚は300nm程度であるが、こうした膜厚であっても、励起光として用いられる紫外光や短波長の可視光の大部分を吸収するのには十分な膜厚である。そこで、例えばフォトゲート構造をフォトダイオード14に採用することで、このゲート構造のために形成した多結晶シリコン層42を励起光に対する吸収フィルタとして利用することができる(図7参照)。
【0049】
[第3実施例]
この第3実施例によるイメージセンサの目的も上記第2実施例と同様であるが、フォトダイオード14に到達する前に励起光を遮蔽するのではなく、フォトダイオード14に入射して生成された電荷のうちの励起光に由来するものを除去するようにしたものである。すなわち、半導体基板の素材であるシリコンの吸収係数の波長依存性を鑑みると、光の波長が長いほど基板深部まで到達する。上述したように、通常、励起光は波長が短く、蛍光は長波長である。したがって、励起光と蛍光とが同時にフォトダイオードに入射した場合、蛍光は基板のより深い部分まで到達してその付近で電荷を生起するのに対し、励起光は基板深部には到達せず主として基板表面近傍で電荷を生起する。
【0050】
そこで、この第3実施例によるイメージセンサでは、図8に示すように、蛍光を検出するためのPN接合を基板10の比較的深い部分に形成し、基板10表面にはフォトゲート43による電荷排出手段を設けている。比較的長波長である蛍光は基板10の深部まで達成して長波長検出領域P2近傍で光電荷を生成するが、比較的短波長である励起光はフォトゲート43直下の浅い部分にある短波長検出領域P1近傍で光電荷を生成する。この短波長検出領域P1に溜まった電荷を電極44から排出することで、フォトダイオード14内部に蛍光に由来する光電荷のみを残して検出することができる。なお、フォトゲート構造の代わりにPN接合を利用してもよい。
【0051】
この構造では、基板表面に設けたフォトゲート(又はPN接合)に印加するバイアス電圧を制御することでそのフォトゲート(又はPN接合)の直下の空乏層の深さを変化させることができる。したがって、どの程度の深さまでの範囲で発生した電荷を排出するか、という動作条件を調整することが可能であり、励起光と蛍光との波長の差などを考慮して適宜に動作条件を定めればよい。なお、フォトゲート構造を用いた場合には、第2実施例で説明したようにフォトゲートの多結晶シリコン層による短波長の励起光を吸収するフィルタ効果も期待できる。
【0052】
[第4実施例]
次に、第4実施例によるイメージセンサについて図9、図10により説明する。上述した蛍光測定の一手法として、所定波長の励起光を観察対象物に照射し、その励起光を照射した際に蛍光色素が励起して発せられる蛍光を異なる2波長で検出し、その発光強度を比較する、1波長励起2波長検出レシオメトリと呼ばれる手法がある。例えば、図9はカルシウムCa反応性を有する蛍光色素Indo-1による標識の際の発光スペクトルである。このように、Ca+が存在する場合と存在しない場合とでは蛍光スペクトルが相違するから、両スペクトルのピーク波長で同時に蛍光の光強度を検出し、その光強度比を求めることによりCa+の存在の有無を判断することができる。
【0053】
この第4実施例のイメージセンサはこうした2波長蛍光を検出するためのものであり、基本的には上記第3実施例と同様に、入射光の基板深さ方向の侵入度合の波長依存性を利用する。すなわち、CMOSの製造プロセスでは、基板内の同一位置に基板の深さ方向にPN接合を複数配列した構造を形成することができる。例えば、N-Well構造内にP-diffがある場合、N-WellとP型基板との間、P-diffとN-Wellとの間、の2つのPN接合が存在する。入射光の波長によってシリコンの吸収係数は異なるため、この複数のPN接合における信号強度は波長に依存する。そこで、この第4実施例によるイメージングセンサでは、図10に示すように、フォトダイオード14において、深い部分のPN接合を長波長検出領域Q1、浅い部分のPN接合を短波長検出領域Q2とし、それぞれ独立に信号読み出し回路51、52を設ける。これにより、本イメージセンサを用いて図5に示したような測定方法で以て生体組織からの蛍光を検出したとき、異なる2波長の蛍光を同時に得ることができる。
【0054】
このときに得られる蛍光は時間的なずれがないのみならず、空間的なずれもない。したがって、第4実施例によるイメージセンサを用いて生体組織測定を行えば、2波長蛍光の強度比を算出する際にきわめて高い精度を得ることができる。
【0055】
[第5実施例]
次に、第5実施例によるイメージセンサについて図11、図12により説明する。蛍光測定の他の手法として、互いに異なる2つの波長の励起光を時分割で交互に観察対象物に照射し、それぞれの励起光を照射した際の発光状態を計測し、同一箇所における発光強度を比較する、2波長励起1波長検出レシオメトリと呼ばれる手法がある。例えばpH感受性のGFPを生体組織内に導入し、2波長励起(410nm、488nm)による2つの蛍光の強度比を調べることで組織内のpHを推定することができる。
【0056】
この第5実施例のイメージセンサはこうした2波長の時分割励起において2つの蛍光を同時に検出するためのものである。図11に示すように、1個の画素セル60は、1個のフォトゲート(PG)61と、フォトゲート61で発生した光電荷を蓄積するための2個の電荷蓄積部である第1、第2浮遊拡散層(FD)62、63と、フォトゲート61に蓄積された信号電荷を所定のタイミングで第1及び第2浮遊拡散層62、63へと転送するための電荷転送部としての第1、第2転送ゲート(TG)64、65と、第1及び第2浮遊拡散層62、63に加算蓄積した信号電荷を増幅して電圧として出力するための出力部66、67とを備える。
【0057】
2波長励起1波長検出を行う際には、例えば図5に示すように本イメージセンサの上に載せた生体組織に対して、所定の2つの波長λ1、λ2を有する励起光を所定周波数で以て時分割で照射する。これに応じて生体組織からは2波長励起に対応した2つの蛍光が放出され、各画素セル60のフォトゲート61に入射する。上記構成の画素セル60では、励起光の切替え周期と同期して回路を動作させる。すなわち、第1波長λ1の励起光の照射期間では、フォトゲート61に第1波長λ1の励起光に応じた蛍光が入射し、この受光強度に応じた信号電荷がフォトゲート61の直下に発生する(図12(a))。この期間が終了する直前に第1転送ゲート64を開き、第1浮遊拡散層62に信号電荷を転送して蓄積する(図12(b))。一方、第2波長λ2の励起光の照射期間では、フォトゲート61に第2波長λ2の励起光に応じた蛍光が入射し、この受光強度に応じた信号電荷がフォトゲート61の直下に発生する(図12(a))。そして、この期間が終了する直前に第2転送ゲート65を開き、第2浮遊拡散層63に信号電荷を転送して蓄積する(図12(c))。
【0058】
1フレームの期間中に上記動作を励起光の切替え周期と同期して多数回繰り返すことにより、第1浮遊拡散層62には第1波長λ1の励起光に由来する蛍光に対応した信号電荷が、第2浮遊拡散層63には第2波長λ2の励起光に由来する蛍光に対応した信号電荷が加算蓄積されてゆく。そして、1フレーム期間が終了した後に、第1及び第2出力部66、67を通してそれぞれの加算蓄積電荷を電圧として取り出す(図12(d))。これによって、2つの蛍光画像を構成する信号を同時に得ることができる。
【0059】
なお、上記画素セル60を一般的なCMOSプロセスにより形成した場合、図11中に描いたように、フォトゲート61と第1、第2転送ゲート64、65との間に寄生的なn+拡散層68が形成される。この寄生拡散層68はフォトゲート61と転送ゲート64、65との間にいわば電位ポケットを形成するため、フォトゲート61から転送ゲート64、65を介して浮遊拡散層62、63に信号電荷を転送する場合に一部の信号電荷を捕捉してしまう。そこで、こうした影響を軽減するために、寄生拡散層68をドレイン(又はソース)とし、リセット電源ラインVrsにソース(又はドレイン)を接続したMOSトランジスタ69を設けている。
【0060】
そして、フォトゲート61の直下に形成された空乏層に信号電荷を蓄積し、図12(a)に示すようにフォトゲート61直下の電位が上昇する際にMOSトランジスタ69を導通させることにより、寄生拡散層68の電位をほぼVrsに近い値にセットする。つまり、信号電荷の転送に先立って寄生拡散層68の電位を上げておくことにより、その部分に形成される電位ポケットの底を浅くする。これによって、転送ゲート64又は65を開けた際に信号電荷は電位ポケットに捕捉されないか又は捕捉されたとしても少量で済み、寄生拡散層68の影響を軽減することができる。
【0061】
このようにして、第4実施例によるイメージセンサを用いて生体組織測定を行えば、2波長励起に対する2つの蛍光に応じた信号を同時に得ることができ、強度比を算出する際の処理も簡単になる。
【0062】
なお、上記各実施例は一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や修正を行っても、本願の請求の範囲に包含されることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施例(第1実施例)によるセンサユニットに利用される撮像素子の概略構造を示す平面図。
【図2】第1実施例によるセンサユニットの概略縦断面。
【図3】第1実施例における撮像素子の1画素セルの回路構成図。
【図4】図3の回路による動作を説明するための波形図。
【図5】第1実施例によるセンサユニットをインビトロ測定に適用したときの概略図。
【図6】第2実施例によるイメージセンサの1個の画素セルの概略縦断面図。
【図7】第2実施例の変形例によるイメージセンサの1個の画素セルの概略縦断面図。
【図8】第3実施例によるイメージセンサの1個の画素セルの概略縦断面図。
【図9】蛍光色素Indo-1による標識の際の発光スペクトルを示す図。
【図10】第4実施例によるイメージセンサの受光部の概略構成図。
【図11】第5実施例によるイメージセンサの1個の画素セルの概略構成図。
【図12】第5実施例における画素回路の動作説明図。
【0064】
1…撮像素子
10…半導体基板
11…光電変換領域
12…画素ユニット
13…画素セル
14、31…フォトダイオード
15…電極形成用パッド
16…突起電極
17…列選択制御回路
18…行選択制御回路
20…センサ基板
22…保護層
23…ワイヤ
32…ゲートスイッチ部
33…増幅部
35…コンパレータ
36…フリップフロップ回路
37…ANDゲート
38…インバータ
41…光学フィルタ層
42…多結晶シリコン層
43…フォトゲート
44…電極
51、52…信号読み出し回路
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
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(In Japanese)【図11】
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(In Japanese)【図12】
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