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Specification :(In Japanese)磁気付与型ハイドロゲル薄膜

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4817847
Publication number P2007-185107A
Date of registration Sep 9, 2011
Date of issue Nov 16, 2011
Date of publication of application Jul 26, 2007
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)磁気付与型ハイドロゲル薄膜
IPC (International Patent Classification) C12N   5/071       (2010.01)
C12N   5/07        (2010.01)
FI (File Index) C12N 5/00 202A
C12N 5/00 202Z
Number of claims or invention 15
Total pages 13
Application Number P2006-003468
Date of filing Jan 11, 2006
Date of request for substantive examination Nov 25, 2008
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】501167644
【氏名又は名称】独立行政法人農業生物資源研究所
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】竹澤 俊明
Representative (In Japanese)【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
Examiner (In Japanese)【審査官】中村 正展
Document or reference (In Japanese)特開平8-228768(JP,A)
国際公開第2005/014774(WO,A1)
Cell Transplant.,2004年,vol. 13,463-473
J. Biosci. Bioeng.,2005年,vol. 99,529-540
Am J. Physiol.,1995年,vol. 269,C1093-C1104
Field of search C12N 5/00- 5/28
MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
CA/CONFSCI/SCISEARCH(STN)
BIOENG/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)

Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
磁気ビーズとともに細胞外マトリックス成分を含有するガラス化されたマトリックスゲル薄膜の再水和物からなる薄膜であることを特徴とする磁気付与型ハイドロゲル薄膜。
【請求項2】
複数の細胞外マトリックス成分を含有する請求項1の磁気付与型ハイドロゲル薄膜。
【請求項3】
細胞外マトリックス成分が、コラーゲンである請求項1または2の磁気付与型ハイドロゲル薄膜。
【請求項4】
細胞培養液成分を有する請求項1から3いずれかの磁気付与型ハイドロゲル薄膜。
【請求項5】
細胞外マトリックス成分を含有するガラス化されたマトリックスゲルの再水和物からなる薄膜の周縁部に保持体が一体化形成されてなり、この保持体において少なくとも2つの磁石シートによって挟持されてなることを特徴とする磁気付与型ハイドロゲル薄膜。
【請求項6】
保持体が、環状体である請求項5の磁気付与型ハイドロゲル薄膜。
【請求項7】
保持体が、生体吸収材からなる請求項5または6の磁気付与型ハイドロゲル薄膜。
【請求項8】
磁石シートが、前記保持体の形状と略同一形状である請求項5から7いずれかの磁気付与型ハイドロゲル薄膜。
【請求項9】
磁気ビーズ含有溶液と細胞外マトリックス成分含有溶液とを混合し、この混合溶液をゲル化させて、さらに乾燥させてガラス化し、次いで再水和することを特徴とする磁気付与型ハイドロゲル薄膜の製造方法。
【請求項10】
磁気ビーズ含有溶液と細胞外マトリックス成分含有溶液との混合比率が、1:100~1:1の範囲内である請求項9の磁気付与型ハイドロゲル薄膜薄膜の製造方法。
【請求項11】
複数の細胞外マトリックス成分を有する請求項9または10の磁気付与型ハイドロゲル薄膜の製造方法。
【請求項12】
細胞外マトリックス成分がコラーゲンである請求項9から11いずれかの磁気付与型ハイドロゲル薄膜の製造方法。
【請求項13】
細胞培養液成分を有する請求項9から12のいずれかの磁気付与型ハイドロゲル薄膜の製造方法。
【請求項14】
請求項1から8のいずれかの磁気付与型ハイドロゲル薄膜からなる細胞培養基質体。
【請求項15】
請求項14の基質体に細胞を播種して、培養することを特徴とする磁気付与型ハイドロゲル薄膜を用いた細胞培養方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本願発明は、磁気付与型ハイドロゲル薄膜に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、細胞培養は、様々な医療技術や医薬品の開発等を目的として種々の態様において実施されてきている。この細胞培養のための方法の一つとして、コラーゲン等の細胞外マトリックス成分を用いる方法が知られている。また、この方法では、例えば、コラーゲンの場合のように、通常の細胞培養の二次元平面培養としての制約を緩和して、生体の組織形態や機能発現にできるだけ近い状態での三次元性を確保しようとする様々な試みもなされている。
【0003】
ただ、その利用について注目されているコラーゲン等を用いての培養法については、例えば、コラーゲンハイドロゲルの場合には、そのものがやわらかく、取り扱いが難しいこと等の問題があり、細胞培養基質としての調製が必ずしも容易でなく、より簡便な利用法が確立されていないのが実情であった。本願発明の発明者は、コラーゲン等の細胞外マトリックス成分の利用について様々な観点から検討を進めた結果、細胞培養基質としての調製が容易で、その使用が簡便であって、しかも、培養基質としての性能が良好で、臓器癒着防止等への応用も可能とされるマトリックス物質の利用方策として、細胞外マトリックス成分を含有するガラス化されたマトリックスゲル薄膜の水和物からなる薄膜を提案した(特許文献1、非特許文献1)。
【0004】
しかしながら、上記のようなハイドロゲル薄膜は、気相や液体中での移動や固定が困難であり、例えば、羊水中で行われる胎児手術において、修復材料として病変部に被覆させることが難しいという問題があった。
【0005】
また、培養液等の液中での平面形状の維持や、両面培養が困難であるという問題もあった。

【特許文献1】特開平8-228768号公報
【非特許文献1】Cell Transplant., volume 13, pages 463-473, 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本願発明は、以上のとおりの背景よりなされたものであって、気相のみならず液体中でも磁力で移動および固定することができ、例えば、羊水という液相中で施行される胎児手術においての病変部の修復材料として利用が可能な、新しい磁気付与型ハイドロゲル薄膜を提供することを課題としている。
【0007】
また、本願発明は、既存のコラーゲン等のハイドロゲルを磁力で移動および固定することができ、例えば、培養液中でも平面形状の維持が向上し、両面培養に有効な新しい磁気付与型ハイドロゲル薄膜を提供することをも課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、磁気ビーズとともに細胞外マトリックス成分を含有するガラス化されたマトリックスゲル薄膜の再水和物からなる薄膜であることを特徴とする磁気付与型ハイドロゲル薄膜を提供する。また、第2には、この薄膜において、複数の細胞外マトリックス成分を含有すること、第3には、細胞外マトリックス成分がコラーゲンであること、第4には、細胞培養液成分を有することを特徴とする。
【0009】
さらに、本願発明は、第5には、細胞外マトリックス成分を含有するガラス化されたマトリックスゲルの再水和物からなる薄膜の周縁部に保持体が一体化形成されてなり、この保持体において少なくとも2つの磁石シートによって挟持されてなることを特徴とする磁気付与型ハイドロゲル薄膜を提供し、この薄膜において、第6には、保持体が環状体であること、第7には、保持体が生体吸収材からなること、第8には、磁石シートが前記保持体の形状と略同一形状であることを特徴とする。
【0010】
さらにまた、第9には、磁気ビーズ含有溶液と細胞外マトリックス成分含有溶液とを混合し、この混合溶液をゲル化させて、さらに乾燥させてガラス化し、次いで再水和することを特徴とする磁気付与型ハイドロゲル薄膜の製造方法を提供する。そして、この製造方法において、第10には、磁気ビーズ含有溶液と細胞外マトリックス成分含有溶液との混合比率が、1:100~1:1の範囲内であること、第11には、複数の細胞外マトリックス成分を有すること、第12には、細胞外マトリックス成分がコラーゲンであること、第13には、細胞培養液成分を有することを特徴とする。
【0011】
本願発明は、第14には、上記第1から第8いずれかの発明である磁気付与型ハイドロゲル薄膜からなる細胞培養基質体を提供する。
【0012】
そして、第15には、上記第14の発明である基質体に、細胞を播種して培養することを特徴とする磁気付与型ハイドロゲル薄膜を用いた細胞培養方法をも提供する。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、気相のみならず液体中でも磁力で移動および固定することができ、例えば、羊水という液相中で施行される胎児手術においての病変部の修復材料として利用することができる。
【0014】
そして、第2、第3の発明によれば、上記第1の発明の効果に加えて、生体への適合性を向上させることができる。
【0015】
第4の発明によれば、上記第1から第3の発明の効果に加えて、細胞の培養効率をさらに高めることができる。
【0016】
第5の発明によれば、既存のコラーゲン等のハイドロゲル薄膜を磁力で移動および固定することができ、培養液中でも平面形状の維持が向上し、細胞の両面培養をも実現することができる。
【0017】
第6の発明によれば、上記第5の発明の効果に加え、取り扱い性をさらに向上させることができる。
【0018】
第7の発明によれば、上記第5および第6の発明の効果に加え、生体適合性をさらに向上させることができる。
【0019】
第8の発明によれば、上記第5から第7の発明の効果に加え、磁石シートによる保持力をさらに向上させることができる。
【0020】
第9の発明によれば、上記第1の発明である磁気付与型ハイドロゲル薄膜を効率よく製造することができる。
【0021】
第10の発明によれば、上記第9の発明における製造効率を、さらに向上させることができる。
【0022】
第11の発明によれば、上記第2の発明である磁気付与型ハイドロゲル薄膜を効率よく製造することができる。
【0023】
第12の発明によれば、上記第3の発明である磁気付与型ハイドロゲル薄膜を効率よく製造することができる。
【0024】
第13の発明によれば、上記第4の発明である磁気付与型ハイドロゲル薄膜を効率よく製造することができる。
【0025】
第14の発明によれば、培養する細胞の基質体への接着性および成長性を向上させることができる。
【0026】
そして、第15の発明によれば、細胞を効率よく培養することができ、さらに、細胞培養後には、上記第14の発明である基質体を、臓器癒着防止機能を有する生体修復材料として活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本願発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0028】
本願発明の磁気付与型ハイドロゲル薄膜の第1の実施形態例は、磁気ビーズとともに細胞外マトリックス成分を含有するガラス化されたマトリックスゲル薄膜の再水和物からなる薄膜であることを特徴としている(以下、磁気ビーズ含有型ハイドロゲル薄膜とすることがある)。また、この薄膜における磁気ビーズの分散状態は、例えば、図1(A)のように薄膜全体に均一に分散している状態でもよいし、図1(B)のように薄膜の中心に集合している状態でもよいし、さらには、図1(C)のように薄膜の周縁部に環状に集合している状態等でもよく、薄膜の使用箇所や使用目的等に応じて、適宜に設定することができる。これらの設定については、具体的には、たとえば、磁気ビーズ含有溶液と細胞外マトリックス成分含有溶液の混合溶液を注ぐ培養皿の直下に円形状、あるいは環状の磁石を置くことでパターニングして設定することができる。さらには、磁石形状の工夫で、任意の位置に磁気ビーズの集合パターンとして各種に設定することが可能である。
【0029】
このように、磁気ビーズを含有させることで、気相のみならず液体中でも磁力で移動および固定することができ、具体的には、例えば、羊水という液相中で施行される胎児手術においての病変部の修復材料として、本願発明の薄膜を活用することができる。
【0030】
ここで、本願発明における磁気ビーズについては、各種のものが使用できるが、その代表的なものとしては、例えば、Dynabeads(商品名)等がある。
【0031】
また、細胞外マトリックス成分については、その代表的なものとしてコラーゲンがあり、その応用が注目されているところである。コラーゲンについては、I、II、III、IV、V、VI、VIII、IX、X型等のものがあるが、本願発明においては、これらのいずれも使用することができる。このコラーゲンの他にも、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン、マトリゲル(商品名)等があり、これらを適宜に使用することができ、生体への適合性を向上させることができる。
【0032】
また、本願発明の薄膜には、さらに細胞培養液成分を有してもよい。細胞培養液を含有させることで、生体への適合性をさらに向上させることができる。細胞培養液成分については、特に限定はなく、至適な塩組成、その濃度、pH等が選択される。また、標準培地、例えば、イスコフ培地、RPMI培地、ダルベッコMEM培地、MEM培地、F12培地等を使用することができる。
【0033】
本願発明は、別の実施形態例として、従来の磁気機能を有していないハイドロゲル薄膜に磁気付与して、磁気付与型ハイドロゲル薄膜(以下、磁石シート挟持型ハイドロゲル薄膜とすることがある)とすることもできる。具体的には、図2(A)(B)の例のように、細胞外マトリックス成分を含有するガラス化されたマトリックスゲルの再水和物からなるハイドロゲル薄膜の周縁部に保持体が一体化形成されてなるハイドロゲル薄膜において、この保持体にて少なくとも2つ(すなわち、少なくとも1対)の磁石シートによって挟持してなることを特徴とする。ここで、磁石シートは、通常、図2のように、保持体全体にて挟持する形状のものを使用するが、例えば、図3のように、保持体の一部のみにて挟持する形状でもよい。
【0034】
このように薄膜の保持体を2つの磁石シート、例えば、シート状のゴム磁石で挟持することで、磁石シートの磁力で固定されることになり、既存のコラーゲン等のハイドロゲル薄膜を磁力で移動および固定することができ、培養液中でも平面形状の維持が向上し、細胞の両面培養をも効率よく実現することができる。
【0035】
このようなハイドロゲル薄膜においては、保持体については、ナイロン膜、ワイヤ、針金等によって形成した環状体や、ガーゼ、その他の織成体等からなる網状体等の適宜なものであってよく、生体吸収体としてもよい。その使用態様に応じてその形状、大きさ、素材等を選択すればよい。
【0036】
例えば、図2(A)(B)に例示したように、特に保持体を環状体とすることで、取り扱い性をさらに向上させることができるとともに、薄膜の中心において細胞の培養領域を確保することができる。
【0037】
また、上記のとおり、保持体が生体吸収材からなることを特徴とすることで、生体適合性をさらに向上させることができる。生体吸収材としては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ヒアルロン酸、プロテオグリカン、アグリカン、コンドロイチン硫酸、ゼラチン等、各種のものが使用することができる。
【0038】
さらに、磁石シートが前記保持体の形状と略同一形状であること、例えば、保持体が上記のように環状体である場合、磁石シートも環状体とすることで、磁石シートによる薄膜への保持力をさらに向上させることができる。
【0039】
そして、本願発明は、上記のとおりの磁気ビーズ含有型ハイドロ薄膜を効率よく製造することのできる製造方法も提供する。具体的には、磁気ビーズ含有溶液と細胞外マトリックス成分含有溶液とを混合し、この混合溶液をゲル化させて、さらに乾燥させてガラス化し、次いで再水和することで、上記の磁気ビーズを含有する、磁気付与型ハイドロゲル薄膜を効率よく製造することができる。
【0040】
また、上記製造方法において、磁気ビーズ含有溶液と細胞外マトリックス成分含有溶液との混合比率を1:100~1:1の範囲内に設定することで、より効率よく磁気付与型ハイドロゲル薄膜を製造することができる。
【0041】
さらに、このとき、細胞外マトリックス成分含有溶液には、複数の細胞外マトリックス成分を含有せしめることで、生体適合性にさらに優れた磁気付与型ハイドロゲル薄膜を製造することができる。さらにまた、細胞外マトリックス成分がコラーゲンとすることで、生体適合性はもちろん、その取り扱い性も向上した磁気付与型ハイドロゲル薄膜を得ることができる。そして、このとき、上記のとおりの、例えば、イスコフ培地、RPMI培地、ダルベッコMEM培地、MEM培地、F12培地等の細胞培養液成分を有することで、細胞の培養効率が高い磁気付与型ハイドロゲル薄膜を製造することができる。
【0042】
本願発明は、上記のような磁気付与型ハイドロゲル薄膜からなる細胞培養基質体をも提供する。具体的には、細胞培養基質体としての製造においては、例えば、まず、<1>磁気ビーズ含有型ハイドロゲル薄膜の場合、培地や血清等を有する組成物に、磁気ビーズ溶液とコラーゲン等のマトリックス水溶液を混合し、これを至適な温度でインキュベートとしてゲル化する。このとき、上記混合液中に、所望により各種の保持体を入れることもできる。一方、磁石シート挟持型ハイドロゲル薄膜の場合においても、基本的には同様にして、ゲル化させる。ただし、磁気ビーズは含有させていない点と、保持体を一体化させることを必須としている点で相違している。
【0043】
次いで、このゲル体は、磁気ビーズ含有型ハイドロゲル薄膜と磁石シート挟持型ハイドロゲル薄膜と共通して、さらに風乾等で乾燥するとガラス化する。このガラス化の現象や、ガラス化したゲルをさらに改変して利用すること、さらには、この改変によって細胞培養基質体等として利用すること等は知られておらず、本願発明によってはじめて実現されたことである。
【0044】
すなわち、本願発明の製造方法では、磁気ビーズ含有型ハイドロゲル薄膜の場合は、このガラス化した磁気ビーズとコラーゲン等の細胞外マトリックス成分を含有するゲルを再水和処理する。また、磁石シート挟持型ハイドロゲル薄膜の場合は、コラーゲン等の細胞外マトリックス成分を含有するゲルを水和処理して得られる薄膜を、2つの磁石シートで挟持する。
【0045】
このことによって、強度のある磁気付与型ハイドロゲル薄膜を得る。これらのものは、細胞培養基質体とすることができ、臓器癒着防止にも有効となる。
【0046】
ガラス化については、この発明では、一般的には、終濃度0.05~5%程度の細胞外マトリックス成分含有ゲルを、ゆっくりと無菌的に完全に乾燥(例えば、風乾)する。こうすることでガラス化する。そして、このガラス化したゲルの再水和は、PBS(リン酸緩衝液)等の緩衝液で処理することで容易に実施される。
【0047】
そして、磁気付与型ハイドロゲル薄膜を用いた細胞培養方法として、上記のような基質体に、各種の細胞を播種して培養することで、細胞を効率よく、しかも三次元的に培養することができ、細胞培養後には、臓器癒着防止機能を有する生体修復材料として活用することができる。本願発明において、培養できる細胞は、特に限定されるものではなく、例えば、全能性を有する胚性幹細胞や、肝臓や腎臓、心臓等の各臓器由来の細胞、株化細胞等、各種の細胞を培養することができる。
【0048】
そして、上記のとおりの本願発明の磁気付与型ハイドロゲル薄膜は、薄膜そのものとして、あるいは、保持体と一体化された薄膜として、いずれも取り扱いが容易で適度な強度と、薄膜形状を有し、細胞培養基質としての組成を持たせることができるため、培養のための調製が容易で、極めて利便性に優れたものとなる。
【0049】
以下、さらに詳しくコラーゲンを例とする実施例を示し、本願発明の構成並びに作用効果について説明する。もちろん、本願発明は、上記のとおりの実施形態および以下の実施例に限定されるものではなく、その細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
【実施例】
【0050】
実施例1:磁気ビーズ含有型のハイドロゲル薄膜の製造
1. 磁気ビーズとして直径4.5μm±0.2μmのDynabeads(商品名)を使用し、細胞外マトリックス成分としてI型コラーゲンを使用して、磁気ビーズ含有型のハイドロゲル薄膜を製造した。
(1) Dynabeads(商品名)を培養液:10%牛胎仔血清(FBS)含有のダルベッコ改変イーグル培養液(DMEM)に、4×108ビーズ/mLの密度となるように懸濁し、磁気ビーズ含有溶液を調製した。
(2) 上記磁気ビーズ含有溶液と等量の0.5%I型コラーゲン溶液と混合し、混合液を調製した。
(3) 上記混合溶液を、37℃で2時間保温し、ゲル化させた。
(4) 次いで、10℃、40%湿度の条件下で、ガラス化させた。
(5) PBSで再水和処理して、薄膜全体に磁気ビーズが均一分散した含有型のハイドロゲル薄膜を製造した(図1(A))。
2. 得られたハイドロゲル薄膜に磁石を近づけて、磁力を加えたところ、図4(A)(B)に例示したように、ハイドロゲル薄膜は磁石に引き寄せられるように移動し、最終的には磁石に付着して固定された。
実施例2:磁石シート挟持型のハイドロゲル薄膜の製造
1. 細胞外マトリックス成分としてI型コラーゲンを使用して、従来の保持体が一体化しているハイドロゲル薄膜を製造し、これを用いて磁石シート挟持型のハイドロゲル薄膜を製造した。
(1) 公知の方法(例えば、特開平8-228768号公報)で、従来の保持体が一体化している円盤状のハイドロゲル薄膜を製造し、用意した。保持体は、ナイロン膜をしようした。
(2) シート状のゴム磁石を環状にカット、成型した。これを2枚用意した。
(3) 上記2枚の環状ゴム磁石の間に、従来のハイドロゲル薄膜を入れ、挟持させて磁力で固定することで、磁石シート挟持型のハイドロゲル薄膜を製造した(図2(A)(B))。
2. 図には示していないが、得られた磁石シート挟持型のハイドロゲル薄膜に磁石を近づけたところ、磁石に引き寄せられて移動し、しかも培養液中でも平面形状を維持していた。したがって、平面形状を維持して、任意の場所へ容易に移動させることができることを確認することができた。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本願発明の磁気付与型ハイドロゲル薄膜の一実施形態として、磁気ビーズ含有型のハイドロゲル薄膜を例示した図であり、(A)は磁気ビーズが薄膜全体に均一分散した例、(B)は磁気ビーズが薄膜の中心部に集合した例、(C)は磁気ビーズが薄膜の周縁部に集合した例を示している。
【図2】本願発明の磁気付与型ハイドロゲル薄膜の別の実施形態として、磁石シート挟持型のハイドロゲル薄膜を例示した図であり、(A)はハイドロゲル薄膜の一面に磁石シートを設置した状態、(B)ハイドロゲル薄膜の両面それぞれに磁石シートを設置した状態を示している。
【図3】磁石シート挟持型のハイドロゲル薄膜においての別の実施形態を例示した図である。
【図4】実施例1の実験結果を示した図であり、(A)は本願発明の薄膜が磁石に引き寄せられている状態、(B)は本願発明の薄膜が磁石に付着した状態を示している。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3