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Specification :(In Japanese)水素の製造方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4296259
Publication number P2004-330074A
Date of registration Apr 24, 2009
Date of issue Jul 15, 2009
Date of publication of application Nov 25, 2004
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)水素の製造方法
IPC (International Patent Classification) B01J  35/02        (2006.01)
B01J  21/18        (2006.01)
C01B   3/04        (2006.01)
C01B   3/22        (2006.01)
FI (File Index) B01J 35/02 J
B01J 21/18 M
C01B 3/04 A
C01B 3/22 A
Number of claims or invention 2
Total pages 6
Application Number P2003-129083
Date of filing May 7, 2003
Exceptions to lack of novelty of invention (In Japanese)特許法第30条第1項適用 2002年11月22日 日本化学会主催 第21回固体・表面光化学討論会に文書をもって発表
Date of request for substantive examination Apr 21, 2006
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】楠元 芳文
Representative (In Japanese)【識別番号】100090273、【弁理士】、【氏名又は名称】國分 孝悦
Examiner (In Japanese)【審査官】横山 敏志
Document or reference (In Japanese)特開平09-315915(JP,A)
特開2002-345933(JP,A)
特開2004-061003(JP,A)
Field of search B01J21/00-38/74
C01B3/04
C01B3/22
JSTPlus(JDreamII)
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
酸化チタンと、グラファイトシリカとを主成分とした光触媒を用い、反応溶液として水にアルコール類を10~90vol%添加し、アルコール水溶液とし、これに紫外線および可視光線を照射する水素の製造方法。
【請求項2】
前記光触媒として、前記グラファイトシリカの含有量が30~70wt%のものを用いることを特徴とする請求項1に記載の水素の製造方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、太陽光などに含まれる紫外線および可視光線を効率よく吸収する酸化チタンおよびグラファイトシリカからなる高活性な紫外線および可視光応答型光触媒、及び助触媒からなる水素製造用光触媒、水分解用光触媒及び有害物質分解除去用光触媒を用いた水素の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
新しいエネルギー源として原子力発電が実用化されているが、安全性や廃棄物処理等の問題を抱えているのでクリーンで安全な新エネルギーの開発が注目されている。現在、化石資源の制約やそれらの大量消費によって引き起こされた深刻な地球温暖化など環境問題が注目されている。
【0003】
これに対して、一年間で地上に届く太陽エネルギーは人類の年間エネルギー消費量の1万倍に相当するほど莫大なものであり、その効率的な利用研究が最近活発となっている。その代表的な研究に光触媒がある。この光触媒、たとえば紫外線および可視光応答型光触媒は、無尽蔵な太陽光と水から、クリーンな燃料となる水素と酸素を直接製造することができる極めて有用な触媒として注目されている。
酸化チタン(TiO2)単体の系、グラファイトと酸化チタンの混合系、活性炭と酸化チタンの混合系、シリカと酸化チタンの混合系の触媒系を用いても、ほとんど水素の発生は見られなかった。
【0004】
この反応は下記の反応式(a)に示すようにエネルギー蓄積型の反応であり、光合成において、光を必要とする明反応下で起こる酸素発生も、この分解反応にほかならない。
H2O→H2+(1/2)O2 (a)
一般に、この種の光触媒は、そのバンドギャップ以上のエネルギーを吸収すると、正孔と電子を生成しこれらがそれぞれ酸化反応、還元反応を行い、酸素、水素を発生させる。この光触媒の実用化を考えた場合、光源として太陽光の利用は不可欠である。地表に降り注ぐ太陽光は、可視光である波長500nm付近に放射の最大強度をもっており、波長が約400~750nmの可視光領域のエネルギー量は全太陽光の約43%である。
一方、波長が約400nm以下の紫外線領域では全太陽光の5%にも満たない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の多くの半導体光触媒はエネルギーの高い紫外光を照射したときには水素と酸素の双方を生成できることが知られているものの光触媒活性はそれほど高いものではなく効率の低いものであった。従って、太陽光を効率よく利用するための高効率の光触媒が望まれている。
【0006】
また、近年、このような光触媒の応用は有害化学物質の分解の分野で広く研究検討されている。たとえば、水中や大気中の農薬や悪臭物質などの有機物の分解除去あるいは光触媒を塗布した固体表面のセルフクリーニングなどの数多くの応用例がある。
【0007】
本発明は、太陽光などに含まれる紫外線および可視光線を効率よく吸収する光触媒を使用することによって、水素含有化合物(アルコール類)を含む水や有害化学物質に光を照射し、水素含有化合物(アルコール類)を含む水あるいは有害物質を分解して、高効率の水素の製造方法あるいは有害物質の無害化処理方法を提供しようというものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題をゼオライトと酸化チタンとの混合系、グラファイトシリカと酸化チタンとの混合系について検討し、水和クラスターに影響を及ぼす可能性のある中間赤外線の効用を持ったグラファイトシリカが酸化チタンの光触媒の活性を高める重要因子であることを見いだした。従来公知の光触媒である酸化チタンTiO2で代表される酸化物にグラファイトシリカを適切な比率で混合することにより高効率の水素発生の光触媒として有効であることを見いだし、本発明に至った。
【0009】
本発明で用いるグラファイトシリカは、C、SiO2、Fe2O3、Al2O3、CaO、MgO、TiO2、Na2O、K2O及びH2Oからなり、炭素含有量が約5%の黒色物で約80%のシリカ(SiO2)を主成分としていて、吸着作用がある。常温で高放射率の中間赤外線(波長4μm~14μmの育成光線)を放射する性質がある。グラファイトシリカは通称ブラックシリカ、シリカブラック、神明石などと呼ばれ数億年前の海底の珪藻類が地表に隆起して層状堆積して形成された天然鉱石であると考えられている。このグラファイトシリカは、光触媒の活性作用を高めるものとは考えられていなかった。
【0010】
本発明で用いるアルコール水溶液は、アルコール分子と水分子が水素結合でつながった会合体を形成し、さらに上下のアルコール会合体を水分子が水素結合のネットワークでつなぎ水和クラスターを形成していると考えられている。
【0011】
また、反応溶液として水に水素含有化合物(アルコール類)、たとえばメタノール、エタノール、1-プロパノールなどを添加し検討した結果、水にアルコール類を適正な比率で混合し反応溶液(アルコール水溶液)にすることで水素発生効率において高効率を達成できることを見いだし、本発明に至った。すなわち、
【0012】
発明の水素の製造方法は、酸化チタンと、グラファイトシリカとを主成分とした光触媒を用い、反応溶液として水にアルコール類を10~90vol%添加し、アルコール水溶液とし、これに紫外線および可視光線を照射することを特徴とする。このとき、光触媒として、グラファイトシリカの含有量が30~70wt%のものを用いることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は、この具体例のみに限られるものではない。本発明において、光触媒として使用する酸化チタンとグラファイトシリカの混合物は、40vol%のメタノール水溶液では酸化チタンに混合したグラファイトシリカの光触媒全体に対する割合が30~70wt%のとき、水素発生効率が良く、この範囲外ではグラファイトシリカが多くても少なくても水素発生効率は低下する。
【0014】
本発明で用いた光触媒である酸化チタンは、アナターゼを主成分とし、ルチルを少量含む粉末である。これにグラファイトシリカ粉末を混合する。
【0015】
本発明で用いる光触媒の形態は、粉末のまま、成形加工、あるいは焼結されて使用されるが、いずれにしても光を有効に利用するために、比表面積の大きいものが望ましいことは言うまでもない。一般に固相反応法で調製した酸化物は粒子が大きく、その比表面積は小さいが、ボールミルなどで粉砕を行うことなどにより粒子径を小さくできる。一般には粒子の大きさは小さいほどよいが、好ましくは10nm~200μmである。また微粒子を成型して板状および/または薄膜として使用することもできる。
【0016】
更に、本発明で用いる光触媒は、Ptなどの白金族元素、Niなどの遷移金属、NiO、IrO2、RuO2等からなる群から選択される1種又は2種以上の成分からなる助触媒によって修飾、担持することができる。担持方法は混練法や含浸法,光電着法などで行うことができる。
【0017】
反応溶液は、水に限らず、通常水の分解反応によく用いられるように、炭酸塩や炭酸水素塩、ヨウ素塩、臭素塩等の塩類を混合、溶解した水を用いてもよい。この溶液に水素含有化合物(アルコール類)を適正比率にて混合し、アルコール水溶液として、反応溶液を調製する。
【0018】
上記,反応溶液に本発明で用いる光触媒を添加する。触媒の添加量は、基本的に入射した光が効率よく吸収できる量を選ぶ。このように光分解用触媒を添加したアルコール水溶液に光を照射することによって水素が発生する。照射する光の波長は半導体光触媒の吸収がある領域の波長の光を含むことが必要である。本発明では太陽光を照射してもよい。
【0019】
本発明で用いる光触媒は、水素含有化合物(アルコール類)を含む水の分解だけでなく多くの光触媒反応に応用できる。たとえば有機物の分解の場合、アルコールや農薬、悪臭物質などは一般に電子供与体として働き、正孔によって酸化分解されるとともに、電子によって水素が発生するか、酸素が還元される。反応形態は、有機物を含む水溶液に触媒を懸濁して光照射しても良いし、触媒を基板に固定しても良い。悪臭物質の分解のように気相反応でも良い。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕
代表的光触媒である酸化チタンの光触媒活性を向上させるために、添加剤としてグラファイトシリカを加えた。アナターゼ80%、ルチル20%の酸化チタン粉末(粒径約0.021μm)とグラファイトシリカを粉砕した粉末(平均粒径5~6μm)を溶液中で混合し光触媒を得る。この光触媒を含む反応溶液(アルコール水溶液)に紫外線(300nm~410nm)を照射して生成する水素ガスを定量的に調べることによって、酸化チタンの光触媒活性を評価した。100ml(以下、1ml=1cm3である)シュレンク管の中に、酸化チタン粉末とグラファイトシリカ粉末の混合物を30mg、アルコール水溶液を20ml、そして攪拌用の攪拌子(反応に影響のないようにできるだけ小さいものを用いた)を1個入れた。アルコールとして、メタノール、エタノール、1-プロパノールを用いた。
【0021】
シュレンク管に密閉用のシリコンキャップを取り付け、1分間超音波で分散した。次に、アルゴンガスでバブリングすることによって、シュレンク管内の溶存空気を脱気した。バブリングは丁寧に1時間行い、その後常圧のまま気相にもアルゴンガスを加え、シュレンク管内をアルゴン雰囲気にした。
続いて、脱気した水—アルコール—光触媒—添加剤の懸濁溶液を攪拌しながら、超高圧水銀ランプからの光を紫外線透過フィルターと水フィルターに通した後、紫外線で光照射した。一定の光照射時間ごとに発生した水素ガスをロック型シリンジで採取し、ガスクロマトグラフを用いて発生量を測定した。光照射3時間後の懸濁溶液をシリンジフィルターでろ過して、水素ガス以外の生成物(溶液)を回収した。
【0022】
そこで、水素発生量のグラファイトシリカ含量(単位はwt%(重量百分率)である)依存性をメタノールの濃度が40vol%(体積百分率))の場合について調べた結果、酸化チタンとグラファイトシリカの両方を加えた系では、3時間照射後で約9100ppmの水素が発生した。酸化チタン単独の系よりも200倍以上の発生であった。グラファイトシリカの添加効果は非常に大きいと言える。
また、グラファイトシリカの添加量には最適値があり、メタノール、エタノール、1-プロパノールの各水溶液では光触媒に対して50wt%前後が最適含量であることがわかった。
【0023】
各アルコール水溶液(アルコール含量を40vol%に固定)について得られた水素発生量のグラファイトシリカ含量依存性を調べ、比較を行った。その結果、3時間照射後の最大水素発生量(グラファイトシリカ含量が光触媒に対して50wt%のときの水素発生量で比較した)は、メタノール(約6600ppm)>エタノール(約4100ppm)>1-プロパノール(約520ppm)の順で大きいことがわかった。
【0024】
〔比較例1〕
混合系の代わりに酸化チタンおよびグラファイトシリカ単独系で、実施例1と同様に実施した。酸化チタンおよびグラファイトシリカ単独では、3時間照射後それぞれ40ppm程度と15ppm程度しか水素ガスが発生しなかった。
混合系の200分の1の水素ガスしか発生しなかったことがわかる。
【0025】
〔比較例2〕
グラファイトシリカ粉末の代わりに、グラファイト、活性炭、シリカの各粉末を用いて調べた。グラファイトの場合は、酸化チタン単独の系での水素発生量と比較すると、3倍程度の水素しか発生しなかった。活性炭の場合は水素発生への効果は小さかった。シリカ(二酸化ケイ素)の場合は、その含量の増加と共に水素発生量は減少していき、むしろ酸化チタンの触媒活性を阻害していた。このようにグラファイトシリカの場合の方が比較にならないほど水素発生量が多いことがわかる。
【0026】
比較例3
吸着剤・触媒としてよく知られているゼオライト粉末をグラファイトシリカ粉末の代わりに用いて実験を行った。用いたゼオライトはA-4(A型)、F-9(X型)、HSZ-360HUA(Y型)である。最大の水素発生量を示したのは、10wt%のゼオライトA-4を含むメタノール水溶液(メタノール含量は30vol%)を用いた場合であった。この場合は、水素発生量は酸化チタン単独系の場合の約8倍であった。
このようにゼオライトと酸化チタンとの混合系においても、水素の発生に効果があった。
【0027】
【発明の効果】
本発明で用いる光触媒は、太陽光に対しても優れた触媒活性能を有する。従って、本発明によれば、太陽光エネルギーを直接利用してたとえば水と水素含有化合物(アルコール類)から高効率に水素を発生できる。将来的には無尽蔵の太陽光で効率よく水素を大量に製造できるなどといった利点を有するものであり、近年のエネルギー問題の克服に大きく貢献するものである