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Specification :(In Japanese)超音波による卵子またはクローン胚の活性化方法ならびに該方法により活性化したクローン胚からのクローン動物の作出

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)特許公報(B2)
Patent Number P4774514
Publication number P2007-135543A
Date of registration Jul 8, 2011
Date of issue Sep 14, 2011
Date of publication of application Jun 7, 2007
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)超音波による卵子またはクローン胚の活性化方法ならびに該方法により活性化したクローン胚からのクローン動物の作出
IPC (International Patent Classification) C12N   5/073       (2010.01)
C12N   5/10        (2006.01)
C12N  13/00        (2006.01)
A01K  67/02        (2006.01)
FI (File Index) C12N 5/00 202B
C12N 5/00 102
C12N 13/00
A01K 67/02
Number of claims or invention 5
Total pages 10
Application Number P2005-337656
Date of filing Nov 22, 2005
Exceptions to lack of novelty of invention (In Japanese)特許法第30条第1項適用 (1)刊行物:日本畜産学会第105回大会 講演要旨 発行日:2005年8月25日 発行者:社団法人 日本畜産学会 講演場所:札幌コンベンションセンター 講演番号:III10-16
Date of request for substantive examination Jun 17, 2008
Patentee, or owner of utility model right (In Japanese)【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】三好 和睦
【氏名】吉田 光敏
Representative (In Japanese)【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100096183、【弁理士】、【氏名又は名称】石井 貞次
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100111741、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 夏夫
Examiner (In Japanese)【審査官】上條 肇
Document or reference (In Japanese)西日本畜産学会報,2005年10月15日,Vol.56,p.49
Molecular Reproduction and Development,2005年10月28日,Vol.72, No.3,p.396-403
Field of search C12N 5/07 - 5/10
A01K 67/02 - 67/027
C12N 13/00
JSTPlus(JDreamII)
PubMed
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
ブタクローン胚に超音波を照射して該ブタクローン胚を、胚発生のために活性化する方法であって、duty比が515、強度が25~85V、出力周波数が1~3MHz及びBurst rateが10~40Hzの超音波を15~45秒照射することを含むクローン胚活性化方法。
【請求項2】
duty比が10%の超音波を照射することを含む、請求項1記載のクローン胚活性化方法。
【請求項3】
ローン胚がミニブタ由来である請求項1記のクローン胚活性化方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法で活性化した卵割率75%以上、胚盤胞形成率15%以上の動物活性化クローン胚集団。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法で活性化したブタクローン胚をレシピエント雌動物に移植し、ブタクローン胚を発生させることを含む、クローン動物の作出方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、動物卵子およびクローン細胞の超音波処理による人為的活性化法ならびに該人為的活性化法を用いたクローン動物の作出法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
卵巣から排卵された卵子は、第2減数分裂中期で休止している。精子が卵子に侵入すると卵細胞質内におけるカルシウムイオン濃度が一時的に増加し、これが引き金となって減数分裂が再開される。この現象は卵子の活性化と呼ばれている。卵子の活性化は、人為的な刺激によって誘起することも可能であり、人為的活性化は顕微授精胚や核移植胚のような通常の受精以外の方法で作出された胚の発生を開始させるために必須である(非特許文献1)。人為的活性化法としては、各種化学物質で処理することにより、卵細胞質内におけるカルシウムイオン濃度の上昇あるいはM期促進因子の活性低下を促進させる方法(非特許文献2から4)と、電気パルスの印加により卵細胞膜に一時的に孔を開け、そこからカルシウムイオンを流入させることにより、卵細胞質内カルシウムイオン濃度を上昇させる方法がある(非特許文献5および6)。体細胞核移植によるクローン動物の作出においては、化学物質での処理が効果的でないことから、電気パルスの印加が広く用いられてきた(非特許文献7および8)。しかし、クローン動物の作出は低い値にとどまっており、電気パルスの印加に替わる新しい活性化法が望まれていた。
【0003】
最近になって超音波を用いた遺伝子導入法が開発された。超音波による遺伝子導入のメカニズムはまだ完全に解明されていないが、超音波エネルギーにより発生する直径1~100μmのミクロの気泡が関与していると推測されている。細胞外においてこれらの気泡の複雑な物理運動が発生し、細胞膜の透過性を促進する。また、時速600km以上の速さを持つ液体マイクロジェット流が気泡の周囲に発生し、これらが細胞膜に突き刺さるように衝突した際に一時的な孔が出現して細胞膜付近にある遺伝子が細胞内に取り込まれると考えられている。従来は、卵子の活性化と同様に、細胞に電気パルスを印加して細胞膜に一過性の孔を開けることにより、細胞内に遺伝子を導入するエレクトロポレーション法が多く用いられてきたが、超音波導入法はエレクトロポレーション法と比較して、細胞に与えるダメージの少ないことが示唆されている。
【0004】
本発明者らは、先に超音波を照射することによってブタ卵子の活性化を誘起し得ることを明らかにした(非特許文献9および特許文献1)。
しかしながら、効率的な活性化を誘起する超音波照射条件は解明されてなかった。
【0005】
体細胞核移植によるクローニング技術は、優良家畜の増産や遺伝子資源の保存に利用できる。さらに遺伝子を改変した体細胞を用いることにより、遺伝子改変動物を作出することも可能である。特にミニブタにおいては、臓器移植用のドナーとして用いるために、免疫反応を制御した遺伝子改変細胞に由来するクローンブタの作出が期待されている。しかしその作出効率は依然低く、改善すべき点も多い。近年、体細胞や受精卵を用いて、クローン動物を作出するためのクローン胚を作出する方法が開発されている(特許文献2および3)。クローン動物の作出のためには、核移植細胞を活性化し、発生を誘起させる必要があるが、発生の誘起には、主に電気刺激を用いて、クローン胚を活性化しているが、効率的なクローン動物の作出については依然報告されていない。
【0006】

【特許文献1】特開2005-210981号公報
【特許文献2】特表2003-513673号公報
【特許文献3】特表2002-511234号公報
【非特許文献1】Robl JM et al., New York Academic press (1992) pp535-551
【非特許文献2】Funabashi H et al., Biol Reprod (1994) 50:1072-1077
【非特許文献3】Mayes MA et al., Biol Reprod (1995) 53:270-275
【非特許文献4】Machaty Z et al., Biol Reprod (1998) 59:451-455
【非特許文献5】Hagen DR et al., Mol Reprod Dev (1991) 28:70-73
【非特許文献6】Kim NH et al., Biol Reprod (1996) 54: 1397-1404
【非特許文献7】Onishi A. et al, Science (2000) 289:1188-1190
【非特許文献8】Polejaeva IA et al., Nature (2000) 407:86-90
【非特許文献9】Sato et al., Mol Reprod Dev (2005) 72:396-403
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、超音波照射により卵子またはクローン胚を活性化させる方法であって、超音波照射のduty比を活性化に適した方法に最適化した方法の提供を目的とする。さらに、本発明は、クローン胚を超音波処理により活性化し、クローン動物を作出する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の卵子またはクローン胚活性化法は、カルシウムイオンを含む培地中で卵子またはクローン胚に超音波を照射することにより、卵子の卵細胞膜に一時的に孔を開け、孔からカルシウムイオンを流入させて卵細胞質内におけるカルシウムイオン濃度を上昇させることによって、活性化を誘起する。本発明者らは、先に、卵子を超音波照射により活性化する方法を開発した(特開2005-210981号公報)。
【0009】
本発明者らは、さらに超音波による活性化の方法において、最適な超音波処理について検討を行った。その結果、非常に効率的に卵子を活性化し得る超音波照射条件を見出した。
【0010】
さらに、本発明者らは超音波を用いて哺乳動物クローン胚を活性化しクローン動物を作出する方法について鋭意検討を行った。体細胞核移植によるクローン動物の作出率に影響を及ぼす要因の一つとして、活性化処理方法があげられる。これまでは電気パルスを印加する方法が主流であった。本発明者等は、体細胞クローン胚の活性化において超音波照射の有効性を明らかにすると共に、最適なクローン胚の活性化条件を見出した。
【0011】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 動物卵子またはクローン胚に超音波を照射して該卵子または動物クローン胚を、胚発生のために活性化する方法であって、duty比が10~30%の超音波を照射することを含む卵子またはクローン胚活性化方法。
[2] 動物卵子に超音波を照射して該卵子を、胚発生のために活性化する方法であって、duty比が20~30%の超音波を照射することを含む卵子またはクローン胚活性化方法。
[3] クローン胚に超音波を照射して動物クローン胚を、胚発生のために活性化するクローン胚活性化方法。
[4] クローン胚に超音波を照射して動物クローン胚を、胚発生のために活性化する方法であって、duty比が10%の超音波を照射することを含む卵子またはクローン胚活性化方法。
[5] 卵子またはクローン胚がミニブタ由来である[1]~[4]のいずれかの卵子またはクローン胚活性化方法。
[6] [1]~[5]のいずれかの方法で活性化した卵割率60%以上、胚盤胞形成率25%以上の動物活性化卵子。
[7] [1]~[5]のいずれかの方法で活性化した卵割率75%以上、胚盤胞形成率15%以上の動物活性化クローン胚。
[8] [1]~[5]のいずれかの方法で活性化したクローン胚をレシピエント雌動物に移植し、クローン胚を発生させることを含む、クローン動物の作出方法。
[9] 動物より未成熟卵子を採取し体外培養により成熟卵子へと発生させ、該成熟卵子に精子を顕微注入し顕微授精により受精させ、次いで、該受精卵を超音波処理により活性化し、該活性化受精卵をレシピエント雌に移植して個体を発生させることを含む動物の作出方法。
[10] duty比が20~30%の超音波を照射する、[9]の動物の作出方法。
[11] 動物がブタである[9]または[10]の動物の作出方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の超音波による卵子またはクローン胚活性化法により、適切なduty比の超音波を用いて、簡単な操作で短時間に効率的に卵子またはクローン胚の活性化を誘起し得る。さらに、活性化したクローン胚を用いて効率的にクローン動物を作出し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は哺乳動物卵子または哺乳動物クローン胚に超音波を照射して人為的に細胞を活性化し胚の発生を開始させる方法である。
【0014】
哺乳動物は限定されず、ブタ、ミニブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ等あらゆる哺乳動物の卵子またはクローン胚を本発明の方法で活性化し得る。
【0015】
クローン胚は、体細胞クローン胚および受精卵クローン胚を含む。受精卵クローン胚は、受精卵の細胞(割球)をばらばらにし、除核した未受精卵(卵母細胞)に融合法等により割球を移植することにより作出できる。体細胞クローン胚はドナー細胞として体細胞を用いて作出されるクローン細胞であり、除核した未受精卵(卵母細胞)に融合法等により、体細胞の核を移植することにより作出できる。体細胞クローン胚の作出において、用いる体細胞は限定されず、あらゆる体細胞を用いることができるが、例えば、線維芽細胞や卵丘細胞等を好適に用いることができる。
【0016】
超音波は、超音波プローブを備えた超音波照射装置により照射することができる。超音波照射装置は市販のものを使用することができ、出力周波数、出力ワット、パルスduty比およびBurst rate(繰り返し周期)が連続可変である装置が好ましい。市販の超音波照射装置として、例えばソニトロン1000N、ソニトロン2000N、ソノポールKTAC-3000(ネッパジーン株式会社)等があり、この中でも出力周波数、出力ワット、パルスduty比およびBurst rate(繰り返し周期)が連続可変であるソノポールが好ましい。
【0017】
超音波照射は、卵子またはクローン胚を適当な培地または溶液に懸濁し容器に入れ、超音波プローブを容器の中に挿入し、卵子またはクローン胚懸濁液をスターラー等を用いて攪拌しながら超音波を照射すればよい。容器は用いる卵子またはクローン胚の数に応じて変更すればよく、市販の細胞培養用プレート、例えば4ウェルプレート等を用いればよい。超音波処理時に卵子またはクローン胚を懸濁する培地または溶液は、カルシウムを含むソルビトール溶液を用いればよい。カルシウム濃度は0.1~0.5mMが好ましい。卵子またはクローン胚の密度は30~90細胞/ウェルが好ましい。
【0018】
超音波照射プローブは例えば、直径1~20mmの各サイズがあり、容器に対応したサイズのものを用いればよい。
【0019】
照射する超音波のduty比は、10~45%であり、卵子を活性化する場合は、15~35%、好ましくは20~30%、さらに好ましくは25%~30%、特に好ましくは30%である。また、クローン胚を活性化する場合は、5~20%、好ましくは5~15%、さらに好ましくは10~20%、特に好ましくは10%である。超音波強度は、25~85V、好ましくは65V、出力周波数は、1~3MHz、好ましくは1MHz、Burst rateは、10~40Hz、好ましくは10Hzである。また、照射時間は、10~120秒、好ましくは10~60秒、さらに好ましくは15~45秒である。
【0020】
超音波処理した卵子またはクローン胚は、細胞分裂を阻害するが核分裂は阻害しないように、サイトカラシンBのような薬剤で処理すればよい。この際、用いる卵子またはクローン胚に適した培地を用いればよい。動物がブタの場合、PZM3等を用いることができ、ウシの場合、CR1aa等を用いることができる。
【0021】
上記の超音波処理により卵子またはクローン胚が活性化されたかどうかは、超音波処理した卵子またはクローン胚の卵割率(超音波処理した細胞数に対する卵割した細胞の数の割合)を超音波処理の1~3日後に、胚盤胞形成率(超音波処理した細胞数に対する胚盤胞まで発生した細胞の数の割合)および胚盤胞中の細胞数を超音波処理の5~10日目に計測すればよい。本発明の超音波処理により活性化した卵子の卵割率は、55%以上、好ましくは60%以上であり、胚盤胞形成率は、22%以上、好ましくは25%以上であり、胚盤胞細胞数は、60個以上、好ましくは65個以上である。また、本発明の超音波処理により活性化したクローン胚の卵割率は70%以上、好ましくは75%以上であり、胚盤胞形成率は、12.5%以上、好ましくは15%以上である。さらに、胚盤胞の内部細胞塊中の細胞数は、好ましくは20個以上である。本発明は、上記の卵割率、胚盤胞形成率、胚盤胞中の細胞数を有する卵子集団またはクローン胚集団を包含する。
【0022】
本発明は、上記の超音波処理により活性化させたクローン胚を用いて、クローン動物を作出する方法を包含する。超音波処理により活性化させたクローン胚をレシピエント雌哺乳動物の卵管あるいは子宮に移植すればよい。本発明のクローン動物の作出は以下の工程を含む。(a)レシピエント卵母細胞の核除去、(b)核ドナー細胞である体細胞の体外培養、(c)核を除去した卵母細胞への体細胞の注入、(d)核を除去した卵母細胞とドナー体細胞との電気融合、(e)超音波処理による胚の活性化、(f)核移植胚の体外培養ならびに(g)核移植胚のレシピエント哺乳動物への移植。
【0023】
本発明のクローン動物の作出方法を用いて、遺伝子改変動物を作出することが可能である。ドナー細胞である体細胞または受精卵の遺伝子を改変することにより遺伝子改変動物を作出することができる。遺伝子の改変は公知の技術により行うことができる。例えば、ヒト等の他種動物または同種動物の外来遺伝子を導入する場合、ドナー細胞またはクローン胚に、公知の静電パルス法、リポソーム法、リン酸カルシウム法等も利用できるが、エレクトロポレーション法等により遺伝子を導入すればよい。
【0024】
本発明は、顕微授精により受精させた卵子を活性化させ、該受精卵を個体まで発生させる方法をも包含する。該方法は、動物より未成熟卵子を採取し、体外培養により成熟卵子へと発生させ、該成熟卵子に精子を顕微注入し、顕微授精により受精させる。次いで、該受精卵を本発明の超音波処理による卵子活性化法により活性化し、該活性化受精卵をレシピエント雌に移植して個体を発生させる。
【実施例】
【0025】
本発明を以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0026】
実施例1 超音波によるミニブタ体細胞クローン胚の活性化
方法
レシピエント卵子
食肉センター由来のブタ卵巣から採取した卵丘-卵子複合体を42時間成熟培養後、ヒアルロニダーゼで卵丘細胞を剥離し第1極体が確認された卵子のみを選抜した。
ドナー細胞
クラウン系ミニブタの皮膚細胞と胎児線維芽細胞(1)および(2)をコンフルエントの状態で1週間培養した後に用いた。
核移植
卵子を吸引除去法により除核し、ドナー細胞を囲卵腔に挿入後、微細電極による電気刺激により融合させてクローン胚を作出した。2時間後実体顕微鏡下で融合胚を選抜し、活性化処理を行った。
【0027】
超音波による活性化
ソルビトール液を加えた4ウェルプレートに卵子あるいは胚を投入した。マグネットスターラーで攪拌しながら超音波プローブを直接培地中に挿入し、超音波を照射した。活性化処理後の卵子あるいは胚はサイトカラシンBを2.2μg/ml添加した修正PZM3中で2時間培養後、修正PZM3に移し発生培養に供した。2日後に卵割状況、7日後に胚盤胞形成状況の観察を行い、得られた胚盤胞はHoechst33342あるいは免疫二重染色法により染色し、細胞数をカウントした。
【0028】
修正PZM3培地は、ブタ卵子の体外培養に広く用いられている培地であり、以下の組成からなる。1リットル中、6.322g NaCl、0.746g KCl、0.099g MgSO4・7H2O、0.048g KH2PO4、2.106g NaHCO3、0.24g Na pyruvate、0.218g Ca (lactate)2・5H2O、0.146g Glutamine、0.546g Hypotaurine、20ml Basal Medium Eagle amino acid solution(x50)、10ml Minimum Essential Medium nonessential amino acid solution (x100)、3g BSAを加える。
【0029】
実験1
成熟卵子に異なったduty比(10、20、30、40、50%)の超音波を30秒間照射した後に、体外発生状況を観察した。
実験2
クローン胚に異なったduty比(10、30あるいは50%)の超音波を30秒間照射した後に、体外発生状況を観察した。
実験3
duty比10%の超音波を30秒間照射したクローン胚をレシピエント雌に移植し、体内発生状況を観察した。
【0030】
結果
実験1
結果は表1に示した。卵割率は、30% duty比区(84.0%)において10% duty比区(55.7%)および40% duty比区(50.0%)より高くなった(P<0.05)。胚盤胞形成率は、20-30% duty比区(28.7-30.7%)において10% duty比区(11.4%)より高くなった(P<0.05)。
【0031】
【表1】
JP0004774514B2_000002t.gif

【0032】
実験2
結果は表2に示した。10% duty比区(16.7%)において50% duty比区(7.8%)より高い胚盤胞形成率が得られた(P<0.05)。10% duty比区で得られた胚盤胞の内部細胞塊細胞数(24.2±5.0)は、30% duty比区で得られた胚盤胞(12.1±1.3)と比較して多かった(P<0.05)。
【0033】
【表2】
JP0004774514B2_000003t.gif

【0034】
実験3
結果は表3に示した。いずれのレシピエント雌も、妊娠21日目までに発情を回帰しなかった。レシピエント雌を妊娠113~114日目で帝王切開した結果、ミニブタ1、2および産業豚1からは胎児は得られなかったが産業豚2から2頭の胎児が得られた。1頭は帝王切開時にすでに死亡していた。残りの1頭は現在順調に育っている。
【0035】
【表3】
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【0036】
結論
本研究の結果から、卵子およびクローン胚のいずれにおいても、超音波のduty比は活性化後の発生にとって重要な要因であることが示された。また卵子とクローン胚では活性化に最適なduty比が異なることが明らかになった。さらに、超音波により活性化されたミニブタ体細胞クローン胚は、産仔にまで発生し得ることが証明された。
【0037】
実施例2 超音波処理により活性化した卵子の顕微授精による豚の作出
食肉センター(鹿児島食肉センター)で採取した黒ブタ雌性卵巣より、未成熟卵子を回収した。黒ブタ未成熟卵子を体外培養し、成熟卵子へと発生させた。0.57mM cysteine・HCl, 10ng/ml上皮成長因子、10IU/ml妊馬血清性性腺刺激ホルモン、10IU/mlヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、3.05mMグルコース、0.91mMピルビン酸ナトリウム,0.1mg/mlアミカマイシンを添加したTCM199へ10%ブタ卵胞液を添加した培地を体外培養に用いた。培養条件は38.5℃、5%炭酸ガス+95%空気で42時間であった。
【0038】
成熟卵子にスムーズインジェクション装置(smooth injection driver)を用いて黒ブタ雄から採取した精子を卵子細胞質へ直接顕微注入した。スムーズインジェクション装置は、駿河精機社製のものを用い、実施条件はINDICATOR(V):10-25、FREQUENCY Hz:9であった。
【0039】
次いで、精子を顕微注入した卵子について、超音波照射装置で活性化処理を施した。超音波照射装置としては、ソノポール(SONOPORE)を用い、照射条件は、1MHz,65V,burst rate 10.0Hz,duty比 20%,30secであった。
活性化処理卵を交雑白ブタ雌の卵管へ外科的に移植した。移植114日後に正常な黒ブタ産仔が3頭誕生した。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】核移植を用いた遺伝子改変動物の作出の概要を示す図である。
【図2】体細胞クローンミニブタの作出方法の概要を示す図である。
【図3】クローン胚の発生の開始に対する人為的活性化の効果を示す図である。
【図4】超音波処理における、周波数(KHz)、Burst Rate(Hz)、duty比(%)および超音波強度の関係を示す図である。
【図5】本発明の方法により作出されたミニブタの写真である。
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4