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明細書 :立体ラーメン形式の高架橋構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第3081833号 (P3081833)
登録日 平成12年6月23日(2000.6.23)
発行日 平成12年8月28日(2000.8.28)
発明の名称または考案の名称 立体ラーメン形式の高架橋構造
国際特許分類 E01D  2/00      
FI E01D 7/00
E01D 9/00
請求項の数または発明の数 2
全頁数 5
出願番号 特願平11-071599 (P1999-071599)
出願日 平成11年3月17日(1999.3.17)
審査請求日 平成11年3月17日(1999.3.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】390036515
【氏名又は名称】株式会社鴻池組
【識別番号】000002118
【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】涌井 一
【氏名】松本 信之
【氏名】加津 憲章
【氏名】山田 富夫
【氏名】井澤 衛
【氏名】金子 悦三
個別代理人の代理人 【識別番号】100102211、【弁理士】、【氏名又は名称】森 治 (外1名)
審査官 【審査官】川島 陵司
調査した分野 E01D 2/00
要約 【課題】 上部構造の重量を軽量化するとともに、下部構造の定着方法に特定の方法を採用すること等により剪断破壊の抑制、高い靱性能の確保及び地中梁の省略を図ることができる立体ラーメン形式の高架橋構造を提供すること。
【解決手段】 柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱3の下部を、場所打ち杭1の上部に一体に形成した合成鋼管杭2に定着させるとともに、橋軸方向に隣接するコンクリート充填鋼管柱3,3間に、縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の鉄筋コンクリート梁4を架設する。
特許請求の範囲 【請求項1】
柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱の下部を、場所打ち杭の上部に一体に形成した合成鋼管杭に定着させるとともに、橋軸方向に隣接するコンクリート充填鋼管柱間に、縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の桁を架設したことを特徴とする立体ラーメン形式の高架橋構造。

【請求項2】
柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱及び縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の桁を橋軸方向に平行に設けるとともに、橋軸方向に対して直角方向に隣接するコンクリート充填鋼管柱間に、横桁部材としての桁を設けて、前記縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の桁と接続したことを特徴とする請求項1記載の立体ラーメン形式の高架橋構造。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高架橋構造に関し、特に、上部構造の軽量化、剪断破壊の抑制、高い靱性能の確保及び地中梁の省略を図ることができる立体ラーメン形式の高架橋構造に関するものである。

【0002】
【従来の技術】従来、立体ラーメン形式の高架橋構造は、鉄筋コンクリート場所打ち杭、鉄筋コンクリート場所打ち地中梁、鉄筋コンクリート場所打ち柱、鉄筋コンクリート場所打ち梁、鉄筋コンクリート場所打ちスラブ等から構成されていた。

【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の立体ラーメン形式の高架橋構造は、大規模地震に対する耐震性能を確保するために、大断面の構造部材を用いなければならず、梁及びスラブ等の上部構造の重量が大きくなるため、橋軸方向のスパンを短くしなければならず、このため、工期が長くなるとともに、建設コストが高くなるという問題があった。また、地中梁が必須となるため、直上高架化工事が不可能となり、このため、高架化に伴い、都市部での用地の確保が困難になるという問題があった。

【0004】
本発明は、上記従来の立体ラーメン形式の高架橋構造の有する問題点に鑑み、従来工法による各構造部材の重量や、構造特性、接合、定着方法等について総合的に検討した結果、上部構造の重量を軽量化するとともに、下部構造の定着方法に特定の方法を採用すること等により剪断破壊の抑制、高い靱性能の確保及び地中梁の省略を図ることができる立体ラーメン形式の高架橋構造を提供することを目的とする。

【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の立体ラーメン形式の高架橋構造は、柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱の下部を、場所打ち杭の上部に一体に形成した合成鋼管杭に定着させるとともに、橋軸方向に隣接するコンクリート充填鋼管柱間に、縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の桁を架設したことを特徴とする。ここで、「中空断面あるいは開断面の桁」としては、例えば、中空断面あるいは開断面の鉄筋コンクリート桁、鋼部材を用いることにより中空断面あるいは開断面に形成した鋼コンクリート合成桁等を適用することができる。

【0006】
この高架橋構造は、柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱の下部を、場所打ち杭の上部に一体に形成した合成鋼管杭に定着させるようにしているので、下部構造の剪断破壊の抑制と高い靱性能を確保することができ、また、橋軸方向に隣接するコンクリート充填鋼管柱間に、縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の桁を架設するようにしているので、上部構造の軽量化を図ることができ、橋軸方向のスパンを長くすることができ、下部構造の定着方法に上記の特定の方法を採用することにより地中梁を省略できることと相俟って、工期を短縮化して、建設コストを低廉化することができる。これにより、大規模地震に対する耐震性能の確保、地中梁不要構造による直上高架化工事の実現、柱断面の縮減による高架下空間の有効利用が可能となる。

【0007】
この場合において、柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱及び縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の桁を橋軸方向に平行に設けるとともに、橋軸方向に対して直角方向に隣接するコンクリート充填鋼管柱間に、横桁部材としての桁を設けて、前記縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の桁と接続することができる。

【0008】
これにより、上部構造の軽量化を図りながら、上部構造の剛性を向上することができる。

【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の立体ラーメン形式の高架橋構造を図示の実施の形態に基づいて説明する。

【0010】
図1~図3に、本発明の立体ラーメン形式の高架橋構造を、鉄道高架橋に適用した第1実施例を示す。この鉄道高架橋は、柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱(CFT柱)3の下部を、場所打ち杭1の上部に一体に形成した合成鋼管杭2に定着させるとともに、橋軸方向に隣接するコンクリート充填鋼管柱3,3間に、縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の鉄筋コンクリート桁(ホロー桁)4を架設するようにする。そして、柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱3及び縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の鉄筋コンクリート桁4を橋軸方向に平行に設けるとともに、橋軸方向に対して直角方向に隣接するコンクリート充填鋼管柱3,3間に、横桁部材としての鉄筋コンクリート桁5を設けて、縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の鉄筋コンクリート桁3と接続するようにする。

【0011】
この場合において、鉄道高架橋を施工する位置に沿って構築する場所打ち杭1は、縦桁部材として中空断面あるいは開断面の鉄筋コンクリート桁4を架設すること等により上部構造の軽量化を図るようにしていることから、その橋軸方向のスパン間隔Lを、従来の地中梁を有する鉄筋コンクリート製の立体ラーメン形式の高架橋構造の場合の一般的なスパン間隔、例えば、約8mよりも長い、12m(一般的なスパン間隔1.5倍)程度に設定することが可能である。また、軸方向に対して直角方向のスパン間隔Wは、鉄道高架橋の幅に合わせて、特に限定されるものではないが、例えば、3.6m程度に設定するようにする。なお、場所打ち杭1は、設計強度、地盤支持力等を考慮して、その径、長さ等を設定するようにする。なお、場所打ち杭1の構築には、アースドリル工法のほか、従来公知の工法を適用することができる。

【0012】
各場所打ち杭1の上部には、場所打ち杭1の外径と略同径の合成鋼管杭2を一体に構築する。この合成鋼管杭2には、高強度鋼管を採用するとともに、その内部に普通コンクリートを充填して構築することにより、柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱3の下部を定着するようにする。このため、合成鋼管杭2は、上端が地盤10の表面から数m程度の深さになるように施工し、かつ場所打ち杭1の鉄筋によって、連続性を保つようにしながら、合成構造による大きな曲げ抵抗を備えるようにする。合成鋼管杭2の長さは、柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱3の定着を十分に行えるように定めるようにする。具体的には、本実施例においては、合成鋼管杭2の長さを3mに、この合成鋼管杭2に対する長柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱3の挿入深さHを2mに、それぞれ設定するようにしている。

【0013】
柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱3は、合成鋼管杭2と同様、高強度鋼管を採用するとともに、その内部に自己充填性コンクリートを充填して構築する。これにより、型枠が不要となるだけでなく、大きな剪断抵抗と、合成構造による大きな曲げ抵抗を得ることができ、さらには、コンクリートに対する鋼管による拘束効果による高い靱性能を確保することができる。

【0014】
縦桁部材としての鉄筋コンクリート桁4は、具体的には、軽量化を図るため、横桁部材としての鉄筋コンクリート桁5との接続部を除いて、内部に円形型枠41を用いて橋軸方向に中空部を形成するようにするとともに、所要の引張降伏強度を備えた鉄筋(図示省略)を配筋し、コンクリートを現場で打設して、横桁部材としての鉄筋コンクリート桁5と共に、一体に構築する。この縦桁部材としての鉄筋コンクリート桁4は、その直上に鉄道の軌道Rを敷設することにより、活荷重による曲げモーメントに対して合理的な抵抗力を発揮できるようにしている。

【0015】
横桁部材としての鉄筋コンクリート桁5は、所要の引張降伏強度を備えた鉄筋(図示省略)を配筋し、コンクリートを現場で打設して、縦桁部材としての鉄筋コンクリート桁4と共に、一体に構築する。なお、横桁部材として、鉄筋コンクリート桁5に代えて、鋼桁を用いることもできる。

【0016】
そして、柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱3と、縦桁部材及び横桁部材としての鉄筋コンクリート桁4,5との接合部は、コンクリート充填鋼管柱3をそのまま延出するようにしたり、本実施例に示すように、コンクリート充填鋼管柱3よりも小径の継手金具6を配設し、必要に応じて、その表面にシヤコネクタを溶接し、空間にコンクリートを現場で打設して、密実断面の一体構造となるように構築するようにする。

【0017】
なお、縦桁部材としての鉄筋コンクリート桁4,4の桁間及び桁の側方には、橋軸方向に歩道用グレーチング7を配設するようにしている。この歩道用グレーチング7は、横桁部材としての鉄筋コンクリート桁5の外側突出部分に配設したブラケット8及び梁9によって支持するようにする。

【0018】
また、本発明の立体ラーメン形式の高架橋構造を、鉄道高架橋に適用した実施例について説明したが、本発明の立体ラーメン形式の高架橋構造の適用対象は、これに限定されず、例えば、道路高架橋に適用することもできる。

【0019】
ところで、上記第1実施例においては、軽量化を図るため、縦桁部材に中空断面あるいは開断面の鉄筋コンクリート桁4を用いるようにしたが、縦桁部材の構成は、これに限定されず、例えば、図4(A)及び(B)に示す、本発明の立体ラーメン形式の高架橋構造の第2実施例のように、縦桁部材として、横桁部材としての鉄筋コンクリート桁5との接続部を除いて、鋼管部材41Aの上面にシヤコネクタ42Aを溶接し、床版コンクリート43Aを現場で打設して中空断面あるいは開断面に形成した鋼コンクリート合成桁4Aを用いることができる。また、図4(C)に示す、本発明の立体ラーメン形式の高架橋構造の第2実施例の変形例のように、縦桁部材として、横桁部材としての鉄筋コンクリート桁5との接続部を除いて、U字形鋼部材41Bの上部にシヤコネクタ42Bを溶接し、床版コンクリート43Bを現場で打設して中空断面あるいは開断面に形成した鋼コンクリート合成桁4Bを用いることもできる。この場合、横桁部材としては、鋼桁、鉄筋コンクリート桁のほか、図4(A)及び(B)並びに(C)の縦桁部材と同様、鋼管部材やU字形鋼部材を使用し、中空断面あるいは開断面に形成した鋼コンクリート合成桁5Aを用いることができる。

【0020】
【実施例】以下、本発明の立体ラーメン形式の高架橋構造のより具体的な各構造部材の実施例を以下に示す。
[場所打ち杭1]
・外径1.3m、長さ9.45m
・引張降伏強度3500kgf/cm2のD22×20本の単鉄筋
・設計基準強度300kgf/cm2の普通コンクリート
・橋軸方向のスパン間隔L:12m
・軸方向に対して直角方向のスパン間隔W:3.6m
[合成鋼管杭2]
・引張降伏強度3200kgf/cm2、外径1.3m、管厚:16mm、長さ3mの鋼管
・設計基準強度240kgf/cm2の普通コンクリート
[コンクリート充填鋼管柱3]
・引張降伏強度3200kgf/cm2、外径660mm、管厚16mm、長さ5.2mの鋼管
・設計基準強度450kgf/cm2の自己充填性コンクリート
[鉄筋コンクリート桁(縦桁部材)4]
・最大幅2.5m(最少幅1.6m)、高さ1.3m
・引張降伏強度3500kgf/cm2のD29×11本の複鉄筋
・設計基準強度300kgf/cm2の普通コンクリート
・φ800mmの円筒型枠
[鉄筋コンクリート桁(横桁部材)5]
・幅1.0m、高さ1.2m
・引張降伏強度3500kgf/cm2のD22×9本の複鉄筋
・設計基準強度300kgf/cm2の普通コンクリート

【0021】
【発明の効果】本発明の立体ラーメン形式の高架橋構造によれば、柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱の下部を、場所打ち杭の上部に一体に形成した合成鋼管杭に定着させるようにしているので、下部構造の剪断破壊の抑制と高い靱性能を確保することができ、また、橋軸方向に隣接するコンクリート充填鋼管柱間に、縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の桁を架設するようにしているので、上部構造の軽量化を図ることができ、橋軸方向のスパンを長くすることができ、下部構造の定着方法に上記の特定の方法を採用することにより地中梁を省略できることと相俟って、工期を短縮化して、建設コストを低廉化することができる。これにより、大規模地震に対する耐震性能の確保、地中梁を省略することによる直上高架化工事の実現、柱断面の縮減による高架下空間の有効利用が可能となる等の利点がある。

【0022】
この場合において、柱部材としてのコンクリート充填鋼管柱及び縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の桁を橋軸方向に平行に設けるとともに、橋軸方向に対して直角方向に隣接するコンクリート充填鋼管柱間に、横桁部材としての桁を設けて、縦桁部材としての中空断面あるいは開断面の鉄筋コンクリート桁と接続することにより、上部構造の軽量化を図りながら、上部構造の剛性を向上することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3