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明細書 :慣性正矢法軌道狂い検測装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3411861号 (P3411861)
公開番号 特開2001-063570 (P2001-063570A)
登録日 平成15年3月20日(2003.3.20)
発行日 平成15年6月3日(2003.6.3)
公開日 平成13年3月13日(2001.3.13)
発明の名称または考案の名称 慣性正矢法軌道狂い検測装置
国際特許分類 B61K  9/08      
G01B 21/00      
FI B61K 9/08
G01B 21/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 23
出願番号 特願平11-242720 (P1999-242720)
出願日 平成11年8月30日(1999.8.30)
審査請求日 平成13年11月16日(2001.11.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
発明者または考案者 【氏名】竹下 邦夫
【氏名】矢澤 英治
【氏名】高木 喜内
【氏名】佐藤 正男
個別代理人の代理人 【識別番号】100089761、【弁理士】、【氏名又は名称】八幡 義博
審査官 【審査官】山内 康明
参考文献・文献 特開 平7-223539(JP,A)
特開 平9-311032(JP,A)
特開 平6-34357(JP,A)
特開 平11-257942(JP,A)
特開 平8-184426(JP,A)
特開 平6-207830(JP,A)
特開 平6-116903(JP,A)
特開 昭55-144701(JP,A)
調査した分野 B61K 9/08
G01B 21/00
特許請求の範囲 【請求項1】
以下の各手段を具備したことを特徴とする慣性正矢法軌道狂い検測装置。車上機器として
(イ)下記の(a)ないし(g)の各検出器を具備し、車両の台車枠に取り付けられる検出器ユニット
(a)左側レールとの左右変位を検出する左レール左右変位検出器
(b)右側レールとの左右変位を検出する右レール左右変位検出器
(c)左側レールとの上下変位を検出する左レール上下変位検出器
(d)右側レールとの上下変位を検出する右レール上下変位検出器
(e)左右加速度を検出する左右加速度計
(f)上下加速度を検出する上下加速度計
(g)左右の傾きを検出するジャイロスコープ
(ロ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器から左右変位信号を受けて、レールの軌間狂いを算出する軌間狂い演算回路
(ハ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器からの左右変位信号を受けて、軌間中心に対する検出器ユニット中心の左右変位を算出する検出器ユニット左右変位演算回路
(ニ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、前記検出器ユニット左右変位演算回路からの左右変位信号を傾き分だけ補正する第1の左右傾き補正回路
(ホ)前記第1の左右傾き補正回路からの出力のうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第1のハイパスフィルタ回路
(ヘ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、左右加速度計からの左右加速度信号を傾き分だけ補正する第2の左右傾き補正回路
(ト)前記第2の左右傾き補正回路からの左右加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ、時間積分を2回行って左右変位データとして出力する第1の積分フィルタ回路
(チ)前記第1の積分フィルタ回路の出力と前記第1のハイパスフィルタ回路の出力を加算して左右狂いデータとして出力する第1の加算回路
(リ)左レール上下変位検出器および右レール上下変位検出器から上下変位信号を受けて、左右レールの高低差を算出する左右レール高低差演算回路
(ヌ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、左右レール高低差演算回路からの左右レール高低差信号を傾き分だけ補正して左右高低差(水準狂い)データを出力する第2の加算回路
(ル)左レール上下変位検出器および右レール上下変位検出器からの上下変位信号を受けて、軌間中心に対する検出器ユニット中心の上下変位を算出する検出器ユニット上下変位演算回路
(オ)前記検出器ユニット上下変位演算回路からの出力のうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第2のハイパスフィルタ回路
(ワ)上下加速度計からの上下加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って上下変位データとして出力する第2の積分フィルタ回路
(カ)前記第2の積分フィルタ回路の出力と前記第2のハイパスフィルタ回路の出力を加算して上下狂いデータとして出力する第3の加算回路
(ヨ)車輪の回転と連動して走行速度情報を発生し、この速度情報を前記第1、第2のハイパスフィルタ回路および前記第1、第2の積分フィルタ回路へ送りそれらの周波数特性を空間周波数特性に変換する速度情報発生回路
(タ)前記軌間狂い演算回路からの軌間狂いデータ、前記第1の加算回路からの左右狂いデータ、前記第2の加算回路からの左右高低差(水準狂い)データおよび前記第3の加算回路からの上下狂いデータをそれぞれディジタルデータに変換して可搬記憶媒体に格納する格納手段
地上機器として
(イ)可搬記憶媒体からデータを読み出す読出し手段
(ロ)読み出された軌間狂いデータを受けて、正矢法の検測特性を持たせた軌間狂いデータを出力する第1の正矢フィルタ回路
(ハ)読み出された左右狂いデータを受けて、前記第1の積分フィルタ回路および前記第1のハイパスフィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左右狂いデータを出力する第1の正矢復元フィルタ回路
(ニ)前記第1の正矢復元フィルタ回路の出力から前記第1の正矢フィルタ回路の出力の2分の1を減算して左レール通り狂いとして出力する第1の減算回路
(ホ)前記第1の正矢復元フィルタ回路の出力に前記第1の正矢フィルタ回路の出力の2分の1を加算して右レール通り狂いとして出力する第4の加算回路
(ヘ)読み出された左右高低差(水準狂い)データの任意に定めた走行位置におけるデータから予め定められた距離を走行した位置におけるデータを減じて平面性狂いデータとして出力する平面性狂い演算回路
(ト)読み出された左右高低差(水準狂い)データを受けて、正矢法の検測特性を持たせた左右高低差データを出力する第2の正矢フィルタ回路
(チ)読み出された上下狂いデータを受けて、前記第2の積分フィルタ回路および前記第2のハイパスフィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた上下狂いデータを出力する第2の正矢復元フィルタ回路
(リ)前記第2の正矢復元フィルタ回路の出力から前記第2の正矢フィルタ回路の出力の2分の1を減算して左レール上下狂い(高低狂い)データとして出力する第2の減算回路
(ヌ)前記第2の正矢復元フィルタ回路の出力に前記第2の正矢フィルタ回路の出力の2分の1を加算して右レール上下狂い(高低狂い)データとして出力する第5の加算回路

【請求項2】
以下の各手段を具備したことを特徴とする慣性正矢法軌道狂い検測装置。車上機器として
(イ)下記の(a)ないし(g)の各検出器を具備し、車両の台車枠に取り付けられる検出器ユニット
(a)左側レールとの左右変位を検出する左レール左右変位検出器
(b)右側レールとの左右変位を検出する右レール左右変位検出器
(c)左側レールとの上下変位を検出する左レール上下変位検出器
(d)右側レールとの上下変位を検出する右レール上下変位検出器
(e)左右加速度を検出する左右加速度計
(f)左側の上下加速度を検出する左側上下加速度計
(g)右側の上下加速度を検出する右側上下加速度計
(ロ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器から左右変位信号を受けて、レールの軌間狂いを算出する軌間狂い演算回路
(ハ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器からの左右変位信号を受けて、軌間中心に対する検出器ユニット中心の左右変位を算出する検出器ユニット左右変位演算回路
(ニ)前記検出器ユニット左右変位演算回路からの左右変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第1のハイパスフィルタ回路
(ホ)左右加速度計からの左右加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って左右変位データとして出力する第1の積分フィルタ回路
(ヘ)前記第1のハイパスフィルタ回路の出力と前記第1の積分フィルタ回路の出力を加算して左右狂いデータとして出力する第1の加算回路
(ト)左側上下加速度計からの左側上下加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ、時間積分を2回行って左側上下変位データとして出力する第2の積分フィルタ回路
(チ)左レール上下変位検出器からの左側上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第2のハイパスフィルタ回路
(リ)前記第2の積分フィルタ回路の出力と前記第2のハイパスフィルタ回路の出力を加算して、左レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第2の加算回路
(ヌ)右側上下加速度計からの右側上下加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って右側上下変位データとして出力する第3の積分フィルタ回路
(ル)右レール上下変位検出器からの右側上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第3のハイパスフィルタ回路
(オ)前記第3の積分フィルタ回路の出力と前記第3のハイパスフィルタ回路の出力を加算して右レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第3の加算回路
(ワ)車輪の回転と連動して走行速度情報を発生し、この速度情報を、前記第1ないし第3のハイパスフィルタ回路および前記第1ないし第3の積分フィルタ回路へ送り、それらの周波数特性を空間周波数特性に変換する速度情報発生回路
(カ)前記軌間狂い演算回路からの軌間狂いデータ、前記第1の加算回路からの左右狂いデータ、前記第2の加算回路からの左レールの上下狂い(高低狂い)データおよび第3の加算回路からの右レールの上下狂い(高低狂い)データをそれぞれディジタルデータに変換して可搬記憶媒体に格納する格納手段
地上機器として
(イ)可搬記憶媒体からデータを読み出す読出し手段
(ロ)読み出された軌間狂いデータを受けて、正矢法の検測特性を持たせた軌間狂いデータを出力する正矢フィルタ回路
(ハ)読み出された左右狂いデータを受けて、前記第1の積分フィルタ回路および前記第1のハイパスフィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左右狂いデータを出力する第1の正矢復元フィルタ回路
(ニ)前記第1の正矢復元フィルタ回路の出力から前記正矢フィルタ回路の出力の2分の1を減算して左レールの通り狂いとして出力する第1の減算回路
(ホ)前記第1の正矢復元フィルタ回路の出力に前記正矢フィルタ回路の出力の2分の1を加算して右レールの通り狂いとして出力する第4の加算回路
(ヘ)読み出された左レールの上下狂い(高低狂い)データを受けて、前記第2の積分フィルタ回路および前記第2のハイパスフィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左レール上下狂いデータを出力する第2の正矢復元フィルタ回路
(ト)読み出された右レールの上下狂い(高低狂い)データを受けて、前記第3の積分フィルタ回路および前記第3のハイパスフィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた右レール上下狂いデータを出力する第3の正矢復元フィルタ回路
(チ)読み出された左レールの上下狂いデータと右レールの上下狂いデータとの減算を行い左右高低差(水準狂い)データを出力する第2の減算回路
(リ)前記第2の減算回路出力の左右高低差データを受けて、前記第2、第3の積分フィルタ回路および前記第2、第3のハイパスフィルタ回路の周波数特性で出力を抑制された相対的に低い周波数成分を強めて復元させて出力する復元フィルタ回路
(ヌ)前記復元フィルタ回路からの左右高低差(水準狂い)データの任意に定めた走行位置におけるデータから予め定められた距離を走行した位置におけるデータを減じて平面性狂いデータとして出力する平面性狂い演算回路

【請求項3】
以下の各手段を具備したことを特徴とする慣性正矢法軌道狂い検測装置。
(イ)下記の(a)ないし(g)の各検出器を具備し、車両の台車枠に取り付けられる検出器ユニット
(a)左側レールとの左右変位を検出する左レール左右変位検出器
(b)右側レールとの左右変位を検出する右レール左右変位検出器
(c)左側レールとの上下変位を検出する左レール上下変位検出器
(d)右側レールとの上下変位を検出する右レール上下変位検出器
(e)左右加速度を検出する左右加速度計
(f)上下加速度を検出する上下加速度計
(g)左右の傾きを検出するジャイロスコープ
(ロ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器から左右変位信号を受けて、レールの軌間狂いを算出する軌間狂い演算回路
(ハ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、左レール左右変位検出器からの左レール左右変位信号を傾き分だけ補正する第1の左右傾き補正回路
(ニ)前記第1の左右傾き補正回路からの左レール左右変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第1のハイパスフィルタ回路
(ホ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、右レール左右変位検出器からの右レール左右変位信号を傾き分だけ補正する第2の左右傾き補正回路
(ヘ)前記第2の左右傾き補正回路からの右レール左右変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第2のハイパスフィルタ回路
(ト)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、左右加速度計からの左右加速度信号を傾き分だけ補正する第3の左右傾き補正回路
(チ)前記第3の左右傾き補正回路からの左右加速度データを、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ、時間積分を2回行って左右変位データとして出力する第1の積分フィルタ回路
(リ)前記第1のハイパスフィルタ回路からの左レール左右変位データと前記第1の積分フィルタ回路からの左右変位データを加算して左レール左右狂い(通り狂い)データとして出力する第1の加算回路
(ヌ)前記第2のハイパスフィルタ回路からの右レール左右変位データと前記第1の積分フィルタ回路からの左右変位データを加算して右レール左右狂い(通り狂い)データとして出力する第2の加算回路
(ル)上下加速度計からの上下加速度データを、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って上下変位データとして出力する第2の積分フィルタ回路
(オ)左レール上下変位検出器からの左レール上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第3のハイパスフィルタ回路
(ワ)右レール上下変位検出器からの右レール上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第4のハイパスフィルタ回路
(カ)前記第3のハイパスフィルタ回路からの左レール上下変位データと前記第2の積分フィルタ回路からの上下変位データを加算して左レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第3の加算回路
(ヨ)前記第4のハイパスフィルタ回路からの右レール上下変位データと前記第2の積分フィルタ回路からの上下変位データを加算して右レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第4の加算回路
(タ)車輪の回転と連動して走行速度情報を発生し、この速度情報を、前記第1ないし第4のハイパスフィルタ回路および前記第1、第2の積分フィルタ回路へ送り、それらの周波数特性を空間周波数特性に変換する速度情報発生回路
(レ)左レール上下変位検出器および右レール上下変位検出器から上下変位信号を受けて左右レールの高低差を算出する左右レール高低差演算回路
(ソ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、前記左右高低差演算回路からの左右レール高低差信号を、傾き分だけ補正して左右高低差(水準狂い)データを出力する第5の加算回路
(ツ)軌間狂い演算回路からの軌間狂いデータ、第1の加算回路からの左レール左右狂いデータ、第2の加算回路からの右レール左右狂いデータ、第3の加算回路からの左レール上下狂いデータ、第4の加算回路からの右レール上下狂いデータおよび第5の加算回路からの左右高低差データをそれぞれディジタルデータに変換し出力するA/D変換器
(ネ)A/D変換された左レール左右狂いデータを受けて、前記第1のハイパスフィルタ回路および前記第1の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左レール左右狂いデータを出力する第1の正矢復元フィルタ回路
(ナ)A/D変換された右レール左右狂いデータを受けて、前記第2のハイパスフィルタ回路および前記第1の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた右レール左右狂いデータを出力する第2の正矢復元フィルタ回路
(ラ)A/D変換された左レール上下狂いデータを受けて、前記第3のハイパスフィルタ回路および前記第2の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左レール上下狂いデータを出力する第3の正矢復元フィルタ回路
(ム)A/D変換された右レール上下狂いデータを受けて、前記第4のハイパスフィルタ回路および前記第2の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた右レール上下狂いデータを出力する第4の正矢復元フィルタ回路
(ウ)A/D変換された左右高低差(水準狂い)データの任意に定めた走行位置におけるデータから予め定められた距離を走行した位置におけるデータを減じて平面性狂いデータとして出力する平面性狂い演算回路

【請求項4】
以下の各手段を具備したことを特徴とする慣性正矢法軌道狂い検測装置。
(イ)下記の(a)ないし(g)の各検出器を具備し、車両の台車枠に取り付けられる検出器ユニット
(a)左側レールとの左右変位を検出する左レール左右変位検出器
(b)右側レールとの左右変位を検出する右レール左右変位検出器
(c)左側レールとの上下変位を検出する左レール上下変位検出器
(d)右側レールとの上下変位を検出する右レール上下変位検出器
(e)左右加速度を検出する左右加速度計
(f)左側の上下加速度を検出する左側上下加速度計
(g)右側の上下加速度を検出する右側上下加速度計
(ロ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器から左右変位信号を受けてレールの軌間狂いを算出する軌間狂い演算回路
(ハ)左レール左右変位検出器からの左レール左右変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第1のハイパスフィルタ回路
(ニ)右レール左右変位検出器からの右レール左右変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第2のハイパスフィルタ回路
(ホ)左右加速度計からの左右加速度データを、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って左右変位データとして出力する第1の積分フィルタ回路
(ヘ)前記第1のハイパスフィルタ回路からの左レール左右変位データと前記第1の積分フィルタ回路からの左右変位データを加算して、左レール左右狂い(通り狂い)データとして出力する第1の加算回路
(ト)前記第2のハイパスフィルタ回路からの右レール左右変位データと前記第1の積分フィルタ回路からの左右変位データを加算して右レール左右狂い(通り狂い)データとして出力する第2の加算回路
(チ)左側上下加速度計からの左側上下加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って左側上下変位データとして出力する第2の積分フィルタ回路
(リ)左レール上下変位検出器からの左側上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第3のハイパスフィルタ回路
(ヌ)前記第2の積分フィルタ回路の出力と前記第3のハイパスフィルタ回路の出力を加算して左レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第3の加算回路
(ル)右側上下加速度計からの右側上下加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って右側上下変位データとして出力する第3の積分フィルタ回路
(オ)右レール上下変位検出器からの右側上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第4のハイパスフィルタ回路
(ワ)前記第3の積分フィルタ回路の出力と前記第4のハイパスフィルタ回路の出力を加算して右レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第4の加算回路
(カ)車輪の回転と連動して走行速度情報を発生し、この速度情報を、前記第1ないし第4のハイパスフィルタ回路および第1ないし第3の積分フィルタ回路へ送り、それらの周波数特性を空間周波数特性に変換する速度情報発生回路
(ヨ)軌間狂い演算回路からの軌間狂いデータ、第1の加算回路からの左レール左右狂いデータ、第2の加算回路からの右レール左右狂いデータ、第3の加算回路からの左レール上下狂いデータおよび第4の加算回路からの右レール上下狂いデータをそれぞれディジタルデータに変換して出力するA/D変換器
(タ)前記第3の加算回路出力の左レール上下狂いデータと前記第4の加算回路出力の右レール上下狂いデータとの減算を行い左右高低差(水準狂い)データを出力する減算回路
(レ)A/D変換された左レール左右狂いデータを受けて、前記第1のハイパスフィルタ回路および前記第1の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左レール左右狂いデータを出力する第1の正矢復元フィルタ回路
(ソ)A/D変換された右レール左右狂いデータを受けて、前記第2のハイパスフィルタ回路および前記第1の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた右レール左右狂いデータを出力する第2の正矢復元フィルタ回路
(ツ)A/D変換された左レール上下狂いデータを受けて、前記第3のハイパスフィルタ回路および前記第2の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左レール上下狂いデータを出力する第3の正矢復元フィルタ回路
(ネ)A/D変換された右レール上下狂いデータを受けて、前記第4のハイパスフィルタ回路および前記第2の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた右レール上下狂いデータを出力する第4の正矢復元フィルタ回路
(ナ)前記減算回路からの左右高低差(水準狂い)データを受けて、前記第3、第4のハイパスフィルタ回路および第2、第3の積分フィルタ回路の周波数特性で出力を抑制された相対的に低い周波数成分を強めて復元させて出力する復元フィルタ回路
(ラ)前記復元フィルタ回路からの左右高低差(水準狂い)データの任意に定めた走行位置におけるデータから予め定めた距離を走行した位置におけるデータを減じて平面性狂いデータとして出力する平面性狂い演算回路
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道におけるレールの狂いを検測する技術の分野に属する。

【0002】
【従来の技術】鉄道におけるレールの狂いには、左右方向の狂い(通り狂いとも言う)、上下方向の狂い(高低狂いとも言う)、左右レールの間隔の狂い(軌間狂いとも言う)、左右レールの高低差(水準狂いとも言う)および高低差が或る距離の間で変化する線路のねじれ(平面性狂いとも言う)がある。このうち、通り狂いと高低狂いについては、差分法の1つである10m弦正矢法が世界的に多く用いられて来た。この方法は図10に示すように、車両に10mの間隔を置いて車輪を設け、更にその中点に、レールの変位に応じて車体との距離が変化し得る車輪を設け、左側の車輪とレールとの接点と、右側の車輪とレールとの接点とを結んだ点線(これを弦と言いその長さを弦長と言う)を想定し、この点線と中央車輪がレールと接する点との間の距離(これを正矢と言う)を以て狂いとするものである。今車体から左側の車輪のレール接点までの距離をa、右側車輪のレール接点までの距離をc、中央の車輪のレール接点までの距離をbとすれば、軌道狂いは(a+c)/2-bで表される。

【0003】
この10m弦正矢法は、レールが正弦波状に狂っていると仮定した場合、その波長によって図11に示すような検測倍率を有する検測特性を有する。もし弦長が一般的にLmとすれば、図11の横軸の数字にL/10を掛けたものに読み替えればよい。このような特性を正矢法の特性と呼ぶ。この特性図の横軸を波長の逆数(空間周波数)の対数目盛とし、縦軸を検測倍率の20log 目盛にすると図12のようになる。

【0004】
もう1つの軌道狂いの検測手法として慣性測定法がある。これは、加速度を2回積分すると変位が計算できるという物理法測を利用して、軸箱や車体に取り付けた加速度計の出力から軌道狂いを計算する方法である。そしてこうして得られた軌道狂いデータに対し、従来から検測作業者が扱い馴れた正矢法(主として10m弦正矢法)の検測特性を持たせるべくフィルタ回路による処理を行っている。そしてこのような手法を慣性正矢法と呼んでいる。

【0005】
従来の慣性測定法の構成例その1としては、上下加速度計、左右加速度計、レール左右変位計等のすべての検出器を図13に示すように車輪軸箱に取り付けていた。また、構成例その2としては、図14に示すように、ジャイロ、上下加速度計、左右加速度計および上下変位計は車体に取り付け、別途に測定枠を設けて、測定枠にレール左右変位計を取り付けそれを左右の軸箱に渡すように取付けている。そのため車体-測定枠間の変位計を設けて軌道狂いの測定を行っている。

【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の構成例その1は、取付け車両を選ばないという利点はあるものの、加速度計の数が多くなるとか、加速度計の傾きの影響が補正できないとか、軸箱に多くの部品を取り付けると走行安定性の上で問題を生じることがあるとか等の問題点がある。

【0007】
また、従来の構成例その2ではジャイロにより加速度計の傾きの影響を補正でき、加速度計の数が減るという利点はあるものの、変位計の数が多くなるとか、取付車両が限定されるとか、軸箱に多くの部品を取り付けると走行安定性の上で問題を生じることがある等の問題がある。

【0008】
本発明の目的は、上記従来の構成における問題点に鑑みて、各検出器を取り付けた検出器ユニットを構成し、この検出器ユニットを車両の台車枠に取り付けるようにすることにより、加速度計の傾きの影響を回避し、加速度計、変位計ともに個数が少なくて済み、取付車両を選ばず、軸箱に部品を取り付ける必要のない慣性正矢法軌道狂い検測装置を提供することにある。

【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。第1の発明は、以下の各手段を具備したことを特徴とする慣性正矢法軌道狂い検測装置である。車上機器として
(イ)下記の(a)ないし(g)の各検出器を具備し、車両の台車枠に取り付けられる検出器ユニット
(a)左側レールとの左右変位を検出する左レール左右変位検出器
(b)右側レールとの左右変位を検出する右レール左右変位検出器
(c)左側レールとの上下変位を検出する左レール上下変位検出器
(d)右側レールとの上下変位を検出する右レール上下変位検出器
(e)左右加速度を検出する左右加速度計
(f)上下加速度を検出する上下加速度計
(g)左右の傾きを検出するジャイロスコープ
(ロ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器から左右変位信号を受けて、レールの軌間狂いを算出する軌間狂い演算回路
(ハ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器からの左右変位信号を受けて、軌間中心に対する検出器ユニット中心の左右変位を算出する検出器ユニット左右変位演算回路
(ニ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、前記検出器ユニット左右変位演算回路からの左右変位信号を傾き分だけ補正する第1の左右傾き補正回路
(ホ)前記第1の左右傾き補正回路からの出力のうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第1のハイパスフィルタ回路
(ヘ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、左右加速度計からの左右加速度信号を傾き分だけ補正する第2の左右傾き補正回路
(ト)前記第2の左右傾き補正回路からの左右加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ、時間積分を2回行って左右変位データとして出力する第1の積分フィルタ回路
(チ)前記第1の積分フィルタ回路の出力と前記第1のハイパスフィルタ回路の出力を加算して左右狂いデータとして出力する第1の加算回路
(リ)左レール上下変位検出器および右レール上下変位検出器から上下変位信号を受けて、左右レールの高低差を算出する左右レール高低差演算回路
(ヌ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、左右レール高低差演算回路からの左右レール高低差信号を傾き分だけ補正して左右高低差(水準狂い)データを出力する第2の加算回路
(ル)左レール上下変位検出器および右レール上下変位検出器からの上下変位信号を受けて、軌間中心に対する検出器ユニット中心の上下変位を算出する検出器ユニット上下変位演算回路
(オ)前記検出器ユニット上下変位演算回路からの出力のうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第2のハイパスフィルタ回路
(ワ)上下加速度計からの上下加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って上下変位データとして出力する第2の積分フィルタ回路
(カ)前記第2の積分フィルタ回路の出力と前記第2のハイパスフィルタ回路の出力を加算して上下狂いデータとして出力する第3の加算回路
(ヨ)車輪の回転と連動して走行速度情報を発生し、この速度情報を前記第1、第2のハイパスフィルタ回路および前記第1、第2の積分フィルタ回路へ送りそれらの周波数特性を空間周波数特性に変換する速度情報発生回路
(タ)前記軌間狂い演算回路からの軌間狂いデータ、前記第1の加算回路からの左右狂いデータ、前記第2の加算回路からの左右高低差(水準狂い)データおよび前記第3の加算回路からの上下狂いデータをそれぞれディジタルデータに変換して可搬記憶媒体に格納する格納手段
地上機器として
(イ)可搬記憶媒体からデータを読み出す読出し手段
(ロ)読み出された軌間狂いデータを受けて、正矢法の検測特性を持たせた軌間狂いデータを出力する第1の正矢フィルタ回路
(ハ)読み出された左右狂いデータを受けて、前記第1の積分フィルタ回路および前記第1のハイパスフィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左右狂いデータを出力する第1の正矢復元フィルタ回路
(ニ)前記第1の正矢復元フィルタ回路の出力から前記第1の正矢フィルタ回路の出力の2分の1を減算して左レール通り狂いとして出力する第1の減算回路
(ホ)前記第1の正矢復元フィルタ回路の出力に前記第1の正矢フィルタ回路の出力の2分の1を加算して右レール通り狂いとして出力する第4の加算回路
(ヘ)読み出された左右高低差(水準狂い)データの任意に定めた走行位置におけるデータから予め定められた距離を走行した位置におけるデータを減じて平面性狂いデータとして出力する平面性狂い演算回路
(ト)読み出された左右高低差(水準狂い)データを受けて、正矢法の検測特性を持たせた左右高低差データを出力する第2の正矢フィルタ回路
(チ)読み出された上下狂いデータを受けて、前記第2の積分フィルタ回路および前記第2のハイパスフィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた上下狂いデータを出力する第2の正矢復元フィルタ回路
(リ)前記第2の正矢復元フィルタ回路の出力から前記第2の正矢フィルタ回路の出力の2分の1を減算して左レール上下狂い(高低狂い)データとして出力する第2の減算回路
(ヌ)前記第2の正矢復元フィルタ回路の出力に前記第2の正矢フィルタ回路の出力の2分の1を加算して右レール上下狂い(高低狂い)データとして出力する第5の加算回路
なお、(ロ)から(ヌ)までは、個々の回路を組むだけではなくコンピュータでのソフトウェア処理も可能である。

【0010】
第2発明は、以下の各手段を具備したことを特徴とする慣性正矢法軌道狂い検測装置である。車上機器として
(イ)下記の(a)ないし(g)の各検出器を具備し、車両の台車枠に取り付けられる検出器ユニット
(a)左側レールとの左右変位を検出する左レール左右変位検出器
(b)右側レールとの左右変位を検出する右レール左右変位検出器
(c)左側レールとの上下変位を検出する左レール上下変位検出器
(d)右側レールとの上下変位を検出する右レール上下変位検出器
(e)左右加速度を検出する左右加速度計
(f)左側の上下加速度を検出する左側上下加速度計
(g)右側の上下加速度を検出する右側上下加速度計
(ロ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器から左右変位信号を受けて、レールの軌間狂いを算出する軌間狂い演算回路
(ハ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器からの左右変位信号を受けて、軌間中心に対する検出器ユニット中心の左右変位を算出する検出器ユニット左右変位演算回路
(ニ)前記検出器ユニット左右変位演算回路からの左右変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第1のハイパスフィルタ回路
(ホ)左右加速度計からの左右加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って左右変位データとして出力する第1の積分フィルタ回路
(ヘ)前記第1のハイパスフィルタ回路の出力と前記第1の積分フィルタ回路の出力を加算して左右狂いデータとして出力する第1の加算回路
(ト)左側上下加速度計からの左側上下加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ、時間積分を2回行って左側上下変位データとして出力する第2の積分フィルタ回路
(チ)左レール上下変位検出器からの左側上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第2のハイパスフィルタ回路
(リ)前記第2の積分フィルタ回路の出力と前記第2のハイパスフィルタ回路の出力を加算して、左レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第2の加算回路
(ヌ)右側上下加速度計からの右側上下加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って右側上下変位データとして出力する第3の積分フィルタ回路
(ル)右レール上下変位検出器からの右側上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第3のハイパスフィルタ回路
(オ)前記第3の積分フィルタ回路の出力と前記第3のハイパスフィルタ回路の出力を加算して右レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第3の加算回路
(ワ)車輪の回転と連動して走行速度情報を発生し、この速度情報を、前記第1ないし第3のハイパスフィルタ回路および前記第1ないし第3の積分フィルタ回路へ送り、それらの周波数特性を空間周波数特性に変換する速度情報発生回路
(カ)前記軌間狂い演算回路からの軌間狂いデータ、前記第1の加算回路からの左右狂いデータ、前記第2の加算回路からの左レールの上下狂い(高低狂い)データおよび第3の加算回路からの右レールの上下狂い(高低狂い)データをそれぞれディジタルデータに変換して可搬記憶媒体に格納する格納手段
地上機器として
(イ)可搬記憶媒体からデータを読み出す読出し手段
(ロ)読み出された軌間狂いデータを受けて、正矢法の検測特性を持たせた軌間狂いデータを出力する正矢フィルタ回路
(ハ)読み出された左右狂いデータを受けて、前記第1の積分フィルタ回路および前記第1のハイパスフィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左右狂いデータを出力する第1の正矢復元フィルタ回路
(ニ)前記第1の正矢復元フィルタ回路の出力から前記正矢フィルタ回路の出力の2分の1を減算して左レールの通り狂いとして出力する第1の減算回路
(ホ)前記第1の正矢復元フィルタ回路の出力に前記正矢フィルタ回路の出力の2分の1を加算して右レールの通り狂いとして出力する第4の加算回路
(ヘ)読み出された左レールの上下狂い(高低狂い)データを受けて、前記第2の積分フィルタ回路および前記第2のハイパスフィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左レール上下狂いデータを出力する第2の正矢復元フィルタ回路
(ト)読み出された右レールの上下狂い(高低狂い)データを受けて、前記第3の積分フィルタ回路および前記第3のハイパスフィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた右レール上下狂いデータを出力する第3の正矢復元フィルタ回路
(チ)読み出された左レールの上下狂いデータと右レールの上下狂いデータとの減算を行い左右高低差(水準狂い)データを出力する第2の減算回路
(リ)前記第2の減算回路出力の左右高低差データを受けて、前記第2、第3の積分フィルタ回路および前記第2、第3のハイパスフィルタ回路の周波数特性で出力を抑制された相対的に低い周波数成分を強めて復元させて出力する復元フィルタ回路
(ヌ)前記復元フィルタ回路からの左右高低差(水準狂い)データの任意に定めた走行位置におけるデータから予め定められた距離を走行した位置におけるデータを減じて平面性狂いデータとして出力する平面性狂い演算回路
なお、(ロ)から(ヌ)までは、個々の回路を組むだけではなくコンピュータでのソフトウェア処理も可能である。

【0011】
第3の発明は、以下の各手段を具備したことを特徴とする慣性正矢法軌道狂い検測装置である。
(イ)下記の(a)ないし(g)の各検出器を具備し、車両の台車枠に取り付けられる検出器ユニット
(a)左側レールとの左右変位を検出する左レール左右変位検出器
(b)右側レールとの左右変位を検出する右レール左右変位検出器
(c)左側レールとの上下変位を検出する左レール上下変位検出器
(d)右側レールとの上下変位を検出する右レール上下変位検出器
(e)左右加速度を検出する左右加速度計
(f)上下加速度を検出する上下加速度計
(g)左右の傾きを検出するジャイロスコープ
(ロ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器から左右変位信号を受けて、レールの軌間狂いを算出する軌間狂い演算回路
(ハ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、左レール左右変位検出器からの左レール左右変位信号を傾き分だけ補正する第1の左右傾き補正回路
(ニ)前記第1の左右傾き補正回路からの左レール左右変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第1のハイパスフィルタ回路
(ホ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、右レール左右変位検出器からの右レール左右変位信号を傾き分だけ補正する第2の左右傾き補正回路
(ヘ)前記第2の左右傾き補正回路からの右レール左右変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第2のハイパスフィルタ回路
(ト)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、左右加速度計からの左右加速度信号を傾き分だけ補正する第3の左右傾き補正回路
(チ)前記第3の左右傾き補正回路からの左右加速度データを、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ、時間積分を2回行って左右変位データとして出力する第1の積分フィルタ回路
(リ)前記第1のハイパスフィルタ回路からの左レール左右変位データと前記第1の積分フィルタ回路からの左右変位データを加算して左レール左右狂い(通り狂い)データとして出力する第1の加算回路
(ヌ)前記第2のハイパスフィルタ回路からの右レール左右変位データと前記第1の積分フィルタ回路からの左右変位データを加算して右レール左右狂い(通り狂い)データとして出力する第2の加算回路
(ル)上下加速度計からの上下加速度データを、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って上下変位データとして出力する第2の積分フィルタ回路
(オ)左レール上下変位検出器からの左レール上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第3のハイパスフィルタ回路
(ワ)右レール上下変位検出器からの右レール上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第4のハイパスフィルタ回路
(カ)前記第3のハイパスフィルタ回路からの左レール上下変位データと前記第2の積分フィルタ回路からの上下変位データを加算して左レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第3の加算回路
(ヨ)前記第4のハイパスフィルタ回路からの右レール上下変位データと前記第2の積分フィルタ回路からの上下変位データを加算して右レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第4の加算回路
(タ)車輪の回転と連動して走行速度情報を発生し、この速度情報を、前記第1ないし第4のハイパスフィルタ回路および前記第1、第2の積分フィルタ回路へ送り、それらの周波数特性を空間周波数特性に変換する速度情報発生回路
(レ)左レール上下変位検出器および右レール上下変位検出器から上下変位信号を受けて左右レールの高低差を算出する左右レール高低差演算回路
(ソ)ジャイロスコープからの左右傾き信号を受けて、前記左右高低差演算回路からの左右レール高低差信号を、傾き分だけ補正して左右高低差(水準狂い)データを出力する第5の加算回路
(ツ)軌間狂い演算回路からの軌間狂いデータ、第1の加算回路からの左レール左右狂いデータ、第2の加算回路からの右レール左右狂いデータ、第3の加算回路からの左レール上下狂いデータ、第4の加算回路からの右レール上下狂いデータおよび第5の加算回路からの左右高低差データをそれぞれディジタルデータに変換し出力するA/D変換器
(ネ)A/D変換された左レール左右狂いデータを受けて、前記第1のハイパスフィルタ回路および前記第1の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左レール左右狂いデータを出力する第1の正矢復元フィルタ回路
(ナ)A/D変換された右レール左右狂いデータを受けて、前記第2のハイパスフィルタ回路および前記第1の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた右レール左右狂いデータを出力する第2の正矢復元フィルタ回路
(ラ)A/D変換された左レール上下狂いデータを受けて、前記第3のハイパスフィルタ回路および前記第2の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左レール上下狂いデータを出力する第3の正矢復元フィルタ回路
(ム)A/D変換された右レール上下狂いデータを受けて、前記第4のハイパスフィルタ回路および前記第2の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた右レール上下狂いデータを出力する第4の正矢復元フィルタ回路
(ウ)A/D変換された左右高低差(水準狂い)データの任意に定めた走行位置におけるデータから予め定められた距離を走行した位置におけるデータを減じて平面性狂いデータとして出力する平面性狂い演算回路

【0012】
第4の発明は、以下の各手段を具備したことを特徴とする慣性正矢法軌道狂い検測装置である。
(イ)下記の(a)ないし(g)の各検出器を具備し、車両の台車枠に取り付けられる検出器ユニット
(a)左側レールとの左右変位を検出する左レール左右変位検出器
(b)右側レールとの左右変位を検出する右レール左右変位検出器
(c)左側レールとの上下変位を検出する左レール上下変位検出器
(d)右側レールとの上下変位を検出する右レール上下変位検出器
(e)左右加速度を検出する左右加速度計
(f)左側の上下加速度を検出する左側上下加速度計
(g)右側の上下加速度を検出する右側上下加速度計
(ロ)左レール左右変位検出器および右レール左右変位検出器から左右変位信号を受けてレールの軌間狂いを算出する軌間狂い演算回路
(ハ)左レール左右変位検出器からの左レール左右変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第1のハイパスフィルタ回路
(ニ)右レール左右変位検出器からの右レール左右変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第2のハイパスフィルタ回路
(ホ)左右加速度計からの左右加速度データを、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って左右変位データとして出力する第1の積分フィルタ回路
(ヘ)前記第1のハイパスフィルタ回路からの左レール左右変位データと前記第1の積分フィルタ回路からの左右変位データを加算して、左レール左右狂い(通り狂い)データとして出力する第1の加算回路
(ト)前記第2のハイパスフィルタ回路からの右レール左右変位データと前記第1の積分フィルタ回路からの左右変位データを加算して右レール左右狂い(通り狂い)データとして出力する第2の加算回路
(チ)左側上下加速度計からの左側上下加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って左側上下変位データとして出力する第2の積分フィルタ回路
(リ)左レール上下変位検出器からの左側上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第3のハイパスフィルタ回路
(ヌ)前記第2の積分フィルタ回路の出力と前記第3のハイパスフィルタ回路の出力を加算して左レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第3の加算回路
(ル)右側上下加速度計からの右側上下加速度信号を、相対的に低い空間周波数成分を抑制しつつ時間積分を2回行って右側上下変位データとして出力する第3の積分フィルタ回路
(オ)右レール上下変位検出器からの右側上下変位データのうち相対的に低い空間周波数成分の出力を抑制して出力する第4のハイパスフィルタ回路
(ワ)前記第3の積分フィルタ回路の出力と前記第4のハイパスフィルタ回路の出力を加算して右レールの上下狂い(高低狂い)データとして出力する第4の加算回路
(カ)車輪の回転と連動して走行速度情報を発生し、この速度情報を、前記第1ないし第4のハイパスフィルタ回路および第1ないし第3の積分フィルタ回路へ送り、それらの周波数特性を空間周波数特性に変換する速度情報発生回路
(ヨ)軌間狂い演算回路からの軌間狂いデータ、第1の加算回路からの左レール左右狂いデータ、第2の加算回路からの右レール左右狂いデータ、第3の加算回路からの左レール上下狂いデータおよび第4の加算回路からの右レール上下狂いデータをそれぞれディジタルデータに変換して出力するA/D変換器
(タ)前記第3の加算回路出力の左レール上下狂いデータと前記第4の加算回路出力の右レール上下狂いデータとの減算を行い左右高低差(水準狂い)データを出力する減算回路
(レ)A/D変換された左レール左右狂いデータを受けて、前記第1のハイパスフィルタ回路および前記第1の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左レール左右狂いデータを出力する第1の正矢復元フィルタ回路
(ソ)A/D変換された右レール左右狂いデータを受けて、前記第2のハイパスフィルタ回路および前記第1の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた右レール左右狂いデータを出力する第2の正矢復元フィルタ回路
(ツ)A/D変換された左レール上下狂いデータを受けて、前記第3のハイパスフィルタ回路および前記第2の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた左レール上下狂いデータを出力する第3の正矢復元フィルタ回路
(ネ)A/D変換された右レール上下狂いデータを受けて、前記第4のハイパスフィルタ回路および前記第2の積分フィルタ回路の周波数特性と協働して正矢法の検測特性を持たせた右レール上下狂いデータを出力する第4の正矢復元フィルタ回路
(ナ)前記減算回路からの左右高低差(水準狂い)データを受けて、前記第3、第4のハイパスフィルタ回路および第2、第3の積分フィルタ回路の周波数特性で出力を抑制された相対的に低い周波数成分を強めて復元させて出力する復元フィルタ回路
(ラ)前記復元フィルタ回路からの左右高低差(水準狂い)データの任意に定めた走行位置におけるデータから予め定めた距離を走行した位置におけるデータを減じて平面性狂いデータとして出力する平面性狂い演算回路

【0013】
【発明の実施の形態】本発明は慣性測定法を用いるものであるから、左右狂い(通り狂い)や上下狂い(高低狂い)を検測するには左右加速度計および上下加速度計を用いることとなる。そして、これら加速度計がレールの左右狂いや上下狂いにぴたりと沿って移動するのであれば加速度計から得られたデータで狂いを算出することができるが、車両には車輪と台車枠の間や台車枠と車体との間にはばねが介在しているから加速度計の取付場所によっては、レールの狂いの通りに移動せずにそれからなにがしかの寸法だけ変位した状態で移動することになる。このため、加速度計で得られたデータに基づく変位量(2回時間積分したもの)に、上記加速度計自体の変位を加減しなければならない。このために、左右のレールに対する左右方向と上下方向の変位計を設けている。

【0014】
この他に、加速度計の左右傾きによって影響を受けるレールの左右高低差(水準狂い)のデータや、左右加速度計の出力値や左右のレールの左右変位検出器の値を傾きに応じて補正するために左右傾き検測用のジャイロスコープを設ける構成がある。

【0015】
これに対して、ジャイロスコープを設けない構成では上下加速度計を左側と右側の両方に別々に設けて、レールの左右高低差(水準狂い)および上下狂い(高低狂い)を求めている。

【0016】
以上のような、左右加速度計、左レールとの左右変位検出器、右レールとの左右変位検出器、上下加速度計、左レールとの上下変位検出器、右レールとの上下変位検出器やジャイロスコープ等の検出器類を、従来のように軸箱や車体に設けずに、1つの構造体に取り付けて検出器ユニットとしたものを台車枠に取り付けるようにしたのが本発明である。

【0017】
従って、本発明では、検出器ユニットにジャイロスコープを設ける場合と、もう1つはジャイロスコープを設けずに上下加速度計を検出器ユニットの左レール側と右レール側とのそれぞれに設ける実施の形態がある。

【0018】
更に、本発明では、検測装置を構成する各機器を車上機器と地上機器に分けて構成する実施の形態と、すべての機器即ち最終データを得るまでの機器をすべて車上に搭載する実施の形態がある。車上機器と地上機器に分ける構成は、車上に搭載する機器類をなるべる少なくしようとするための構成である。

【0019】
分けて構成する場合は、車上で記録したデータを車上から下ろし地上で最終データに構成するものであるから、車上での記録データは持ち運びのできる記憶媒体に格納する格納手段が車上機器として必要であり、地上機器においては運ばれて来た記憶媒体から記録データを読み出すための読出し手段が必要となる。そして、この場合、格納したり読み出したりする情報量を合理的に減らす工夫が施されている。

【0020】
それは、通り狂いについて言えば、左レール通り狂いと右レール通り狂いを別々に格納するのではなく、軌間中心の通り狂いを格納し、別途必ず格納される軌間狂いデータを利用して、地上では、軌間中心の通り狂いから、軌間狂いの2分の1を減ずることによって左レールの通り狂いを、また、軌間中心の通り狂いに軌間狂いの2分の1を加えることにより右レールの通り狂いを得るようにしている。

【0021】
同様のことは、上下狂いについも言える。即ち、左レール上下狂いと右レール上下狂いを別々に格納するのではなく、軌間中心の上下狂いを格納し、別途必ず格納される左右高低差(水準狂い)のデータを利用して、地上では軌間中心の通り狂いから、左右高低差の2分の1を減ずることによって左レールの上下狂いを、また、軌間中心の上下狂いに左右高低差の2分の1を加えることにより右レールの上下狂いを得るようにしている。このようにすることによって、合わせて2つのデータの格納、読出しを減らすことができる。

【0022】
以上述べて来たところから、本発明では、検出器ユニットにジャイロスコープを設ける場合と設けない場合の2つの形態があり、更にそのそれぞれについて、車上機器と地上機器に分ける場合と分けない場合の2つの形態があるので合わせて4つの形態がある。第1の発明は、検出器ユニットにジャイロスコープを設けるとともに、車上機器と地上機器に分ける場合の構成である。第2の発明は、検出器ユニットにジャイロスコープを設けるとともに構成のすべてが車上機器という構成である。第3の発明は、検出器ユニットにジャイロスコープを設けず、車上機器と地上機器を分ける構成である。第4の発明は、検出器ユニットにジャイロスコープを設けず、構成のすべてが車上機器という構成である。

【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は第1の発明の車上機器の実施例の構成を示すブロック図であり、図2は第1の発明の地上機器の実施例の構成を示すブロック図である。図1の検出器ユニット1にはジャイロスコープ6を含む種々の検出器が固定収納されているがその取付配置は図7の(a)に示す通りである。この検出器ユニット1が検測車両の台車枠に取り付けられることになる。検出器ユニット1に取り付けられている加速度計は、検出器ユニット1の動きに基づく加速度を出力するものであるが、検出器ユニット1が取り付けられている台車枠と車輪の間にはばねが介在するため、検出器ユニット1の動きはレールの狂いに完全に一致するものではなくそれから変位しているのでその変位を加算する必要があるため、左右のレールとの左右変位および上下変位を計測している。

【0024】
左レール左右変位検出器3および右レール左右変位検出器4の変位出力は、ともに軌間狂い演算回路10および検出器ユニット左右変位演算回路11へ送られる。軌間狂い演算回路10では左レール、右レールそれぞれの左右変位から軌間(左右レールの間隔)狂いが算出され格納手段24へ送られる。検出器ユニット左右変位演算回路11では、左レール、右レールそれぞれの左右変位から軌間中心を求めそれと検出器ユニット1の中心との左右変位(中心左右変位信号と呼ぶことにする)を算出する。この出力は第1の左右傾き補正回路14へ送られ、ここでジャイロスコープ6からの左右傾き信号によって、検出器ユニット1の傾きによる誤差の補正が行われる。

【0025】
左右加速度計5からの加速度信号も、第2の左右傾き補正回路15で同様の左右傾き補正を受けた後、第1の積分フィルタ回路18へ送られる。第1の積分フィルタ回路18では入力された加速度信号に対し2回の時間積分を行い変位を求める。ところで、入力信号が正弦波状と仮定した場合の2回積分の特性は図8のような特性となる。

【0026】
即ち、横軸の周波数を対数目盛とし縦軸をゲイン(dB)の等間隔目として特性を描くと左上りの直線となる。これは周波数が低くなると、換言すれば空間周波数が低く加速度が小さい部分では利得が大となり、本来の加速度よりは雑音が積分されて無意味な値が出力されることを意味している。

【0027】
そこで、本発明における積分フィルタ回路は図9の(b)に示すように、図8の特性に比べて相対的に低い空間周波数での2回積分出力を抑制する特性を持たせるようにしている。このような特性を持った積分フィルタ回路で積分され「変位」となった信号は第1の加算回路21へ送られる。一方、第1の左右傾き補正回路14からの中心左右変位信号も、第1のハイパスフィルタ回路17で、積分フィルタ回路の特性が、左上りの直線に対して相対的に低い空間周波数部分で下がっている分と同じだけ、低い空間周波数成分の抑制、即ち図9の(e)に示すような特性の抑制を受けて第1の加算回路21へ送られ、ここで、第1の積分フィルタ回路18からの変位信号と加算され軌道中心の左右狂いデータが得られ格納手段24へ送られる。格納手段24で、持ち運びのできる記憶媒体に格納された後、記憶媒体は地上へ運ばれ地上機器(図2)の読出し手段25で読み出される。

【0028】
読み出された左右狂いデータは第1の正矢復元フィルタ回路27へ送られる。ここでは、前記第1のハイパスフィルタ回路17および第1の積分フィルタ回路18における低い空間周波数成分における抑制特性と協働して、左右狂いデータに図12に示すような正矢法の検測特性を持たせるためのフィルタ回路であり、その特性は図9の(g)に示すようなものである。

【0029】
ここで、加速度計の出力系統と、変位検出器の出力系統の特性について見ておくこととする。今、レールの狂いが左右あるいは上下について振幅一定の正弦波状の波打ち狂いであると仮定した場合、加速度計をこのレールに沿って一定速度で進行させた場合の加速度計の出力は、2回積分であるから、横軸を波長の逆数である空間周波数の対数目盛とし縦軸を出力デジベル(dB)とする座標で表すと理論的に図9の(a)に示すような右上り直線になる。

【0030】
このような出力を図9の(b)に示す特性の2回積分フィルタ回路を通すと図9の(c)に示すような変位の出力が得られることになる。(c)の空間周波数の低い部分が下がって(抑制されて)いる度合は(b)における空間周波数の低い部分が左上り直線より下がって(抑制されて)いる度合に等しい。もし(b)の特性が図8に示すような単なる2回積分の左上り直線であれば(c)においては0dBの横一直線の特性となる。

【0031】
一方、変位検出器(変位計)の出力は、空間周波数の変化による増減がなく一定であるから図9の(d)に示すように0dBで横一直線である。この出力を、(b)における空間周波数の低い部分が左上り直線より下がって(抑制されて)いると同じ度合だけ空間周波数の低い部分で抑制された特性のハイパスフィルタを通すとこれと全く同じ特性である(f)の特性の出力が得られる。

【0032】
結局、(c)の特性も(f)の特性も(b)の特性に基づくものであるから同じ特性ということになる。このように特性の揃った、第1の積分フィルタ回路18の出力と第1のハイパスフィルタ回路17の出力が第1の加算回路21で加算されて左右狂いデータとして得られるのである。この左右狂いデータを図9の(g)の特性を持った第1の正矢復元フィルタ回路27を通すことにより図9の(h)に示すような、図12と同様の正矢法の検測特性を持った左右狂いデータが得られる。

【0033】
ところで、このデータは軌道中心の左右狂いであるので、これより、左レール、右レールそれぞれの左右狂いを求めるため軌間狂いデータを用いるが、こちらは正矢法の検測特性を持たないで来ているので左右狂いデータの正矢法の検測特性を揃えるために第1の正矢フィルタ回路26を通している。そして、第1の減算回路30および第4の加算回路31へ2分の1ずつ出力を送っている。

【0034】
一方、第1の正矢復元フィルタ回路27からも第1の減算回路30および第4の加算回路31へ軌間中心の左右狂いデータが送られており、第1の減算回路30では軌間中心左右狂いデータから軌間狂いデータの2分の1を減ずることにより左レールの左右狂いを求め、第4の加算回路31では軌間中心左右狂いデータに軌間狂いデータの2分の1を加算することにより右レールの左右狂いを求めている。

【0035】
次に、上下狂いについて述べる。左レール上下変位検出器8および右レール上下変位検出器9の出力はともに、左右レール高低差演算回路12および検出器ユニット上下変位演算回路13へ送られる。左右レール高低差演算回路12では、左レール、右レールそれぞれの上下変位から左右レールの高低差を算出する。この高低差信号は第2の加算回路22へ送られ、ここで、ジャイロスコープ6から左右傾き信号により、検出器ユニット1の左右傾き分だけ補正されて、左右高低差(水準狂い)データとして格納手段24へ送られる。検出器ユニット上下変位演算回路13では、左レール、右レールそれぞれの上下変位から軌間中心を求めそれと検出器ユニット1の中心との上下変位(中心上下変位信号と呼ぶことにする)を算出する。この中心上下変位信号は、第2のハイパスフィルタ回路20を経て第3の加算回路23へ送られる。

【0036】
一方、上下加速度計7からの上下加速度信号は、第2の積分フィルタ回路19へ送られここで2回の時間積分が行われて上下変位が得られる。この上下変位信号も第3の加算回路23へ送られる。なお、第2の積分フィルタ回路19および第2のハイパスフィルタ回路20の特性は、第1の積分フィルタ回路18および第1のハイパスフィルタ回路17のそれと同様である。第3の加算回路23では上下加速度計7のデータに基づく変位と左レール上下変位検出器8および右レール上下変位検出器9からのデータに基づく変位とが加算されて軌間中心の上下狂いデータとして格納手段24へ出力される。ここでデータが可搬型記憶媒体に格納される。

【0037】
地上機器の読出し手段25で記憶媒体から読み出された上下狂いデータは第2の正矢復元フィルタ回路29を経て、第2の減算回路33および第5の加算回路34へ送られる。第2の正矢復元フィルタ回路29は第1の正矢復元フィルタ回路27と同一目的で設けられておりその特性も同じである。

【0038】
一方、読み出された左右高低差データはそのまま表示器へ送られるとともに、第2の正矢フィルタ回路28および平面性狂い演算回路32へ送られる。第2の正矢フィルタ回路28も第1の正矢フィルタ回路26と同じ特性で正矢法の検測特性を持っていない左右高低差データに正矢法の検測特性を持たせる目的で設けられており、その出力は第2の減算回路33と第5の加算回路34へ送られる。

【0039】
第2の減算回路33では軌間中心上下狂いデータから左右高低差データの2分の1を減算することにより左レールの上下狂いを求め、第5の加算回路34では軌間中心上下狂いデータに左右高低差データの2分の1を加算することにより右レールの上下狂いを求めている。平面性狂い演算回路32では、受けた左右高低差データの予め定められた距離間隔毎の値をピックアップし、順次、隣り合う地点の値同士の差をとりこれを平面性狂いとして出力している。

【0040】
なお、図1における、各積分フィルタ回路および各ハイパスフィルタの特性は図9の(b)および(e)に示すような空間周波数に対する特性として説明して来たが、実際に入力されて来る信号は時間の経過に対して変化する信号であるから、各フィルタ回路がこのような信号に対して所期の特性を示すように機能する必要があるから速度情報発生回路16から各フィルタ回路へ、装置搭載車両の速度情報を送ることによって時間の要素を付与し、実際の入力信号に対して図9で説明した特性が妥当するようになされている。なお、読出し手段25より後の処理はコンピュータでのソフトウェア処理によっても可能である。

【0041】
次に、第2の発明の実施例について説明する。第2の発明は、検出器ユニット2にジャイロスコープを具備せず、装置構成が車上機器と地上機器に分けられている構成のものである。検出器ユニット2内の各検出器取付け配置は図7の(b)に示すとおりである。図3が車上機器の実施例の構成を示すブロック図であり、図4が地上機器の実施例の構成を示すブロック図である。図3に置いて、検出器ユニット2はジャイロスコープが設けられていない代わりに上下方向の加速度計として左側上下加速度計35と右側上下加速度計36の2つが設けられている。左右狂いデータの系列については、ジャイロスコープがないので図1の構成から第1の左右傾き補正回路14と第2の左右傾き補正回路15を除いた構成と同じである。軌間狂いの系列についても図1と同じである。従って、図4の地上機器の構成においても、軌間狂いの系列および左右狂いの系列は図2の構成と同じである。

【0042】
従って、上下加速度計を左側と右側に2個設けたことによる上下狂いの系統が第1の発明と異なっている。まず、左側上下加速度計35からの加速度信号は、第2の積分フィルタ回路19へ送られここで変位量となり第2の加算回路22へ送られる。また、左レール上下変位検出器8の出力は第2のハイパスフィルタ回路20へ送られここで低い空間周波数の方の出力が抑制されて第2の加算回路22へ送られる。なお、第1の発明から第4の発明まで用いられている積分フィルタ回路、ハイパスフィルタ回路、正矢復元フィルタ回路、正矢フィルタ回路、復元フィルタ回路については、第番号を除いた名称が同一のもの同士は同じ特性を有するものである。

【0043】
第2の加算回路22では、変位信号が加算されて左レール上下狂いデータとして格納手段24へ送られる。右側についても、右側上下加速度計36からの加速度信号は、第3の積分フィルタ回路37へ送られ、積分された後、第3の加算回路23へ送られ、一方右レール上下変位検出器9の出力も第3のハイパスフィルタ回路38を経て、第3の加算回路23へ送られ、ここで両者が加算されて右レール上下狂いデータとして格納手段24へ送られる。速度情報発生回路16の機能は第1の発明の場合と同じである。これは以下の第3、第4の発明についても同様である。

【0044】
図4の地上機器の読出し手段25で読み出された左レール上下狂いデータは、第2の正矢復元フィルタ回路29を経て正矢法の検測特性を持ったデータとして出力される。右レール上下狂いデータも第3の正矢復元フィルタ回路41を経て正矢法の検測特性を持ったデータとして出力される。

【0045】
更に、読み出された左レール上下狂いデータおよび右レール上下狂いデータは、第2の減算回路33へも導かれここで両者の差がとられる。これは左右の上下狂いの差であるから、左右のレール高低差を表すことになる。ただこのデータは、車上機器の方で積分フィルタ回路やハイパスフィルタ回路によって、図9の(c)や(f)のような周波数特性を持たされて来ているので、この低い周波数の方で下がっている特性を持ち上げて横一直線の特性に復元するために復元フィルタ回路40を経由させて左右高低差データとして出力される。

【0046】
これは軌間狂いや左右高低差は、正矢法による測定でなく、従来正矢法その他の周波数特性を持たないデータであるから、前段処理である周波数特性を帯びるに至った場合にはそれを除去する必要があるからである。更に左右高低差データを平面性狂い演算回路32へ送り、平面性狂いデータを算出出力していることは第1の発明と同じである。なお、読出し手段25より後の処理はコンピュータでのソフトウェア処理によっても可能である。

【0047】
次に、第3の発明の実施例について説明する。図5は第3の発明の実施例の構成を示すブロック図である。第3の発明は、ジャイロスコープ6を具備する第1の発明と同じ検出器ユニット1を用い、すべての構成が車上にある場合の構成である。従って、格納手段、可搬の記憶媒体、読出し手段は不要となるため、データ項目数を少なくするという要請が少なくなるので左右のレールそれぞれについて、加速度計および変位検出器の出力から左右狂いおよび上下狂いを求める構成となっている。左レール左右変位検出器3の変位信号の出力は、第1の左右傾き補正回路14および第1のハイパスフィルタ回路17を経て第1の加算回路21へ送られる。右レール左右変位検出器4の変位信号出力は、第2の左右傾き補正回路15および第2ハイパスフィルタ回路20を経て第2の加算回路22へ送られる。

【0048】
左右加速度計5の加速度信号は、第3の左右傾き補正回路42を経て第1の積分フィルタ回路18へ送られ、ここで積分されて変位信号として第1の加算回路21および第2の加算回路22へ送られる。各左右傾き補正回路の目的、機能は第1の発明の場合と同じである。

【0049】
第1の加算回路21は、第1のハイパスフィルタ回路17からの変位信号と第1の積分フィルタ回路18からの変位信号を加算して左レールの左右変位信号として出力する。第2の加算回路22は、第2のハイパスフィルタ回路20からの変位信号と第1の積分フィルタ回路18からの変位信号を加算して右レールの左右変位信号として出力する。左レール左右変位検出器3および右レール左右変位検出器4の変位信号出力は軌間狂い演算回路10へも送られここで軌間狂いが算出出力されることは第1、第2の発明と同じである。

【0050】
次に、上下変位については、左レール上下変位検出器8の変位信号出力は第3のハイパスフィルタ回路38を経て第3の加算回路23へ送られる。右レール上下変位検出器9の変位信号出力は第4のハイパスフィルタ回路43を経て第4の加算回路31へ送られる。上下加速度計7の加速度信号出力は第2の積分フィルタ回路19へ送られここで積分されて変位信号として第3の加算回路23および第4の加算回路31へ送られる。

【0051】
第3の加算回路23は、第3のハイパスフィルタ回路38からの変位信号と第2の積分フィルタ回路19からの変位信号を加算して左レールの上下変位信号として出力する。第4の加算回路31は、第4のハイパスフィルタ回路43からの変位信号と第2積分フィルタ回路19からの変位信号を加算して右レールの上下変位信号として出力する。左レール上下変位検出器8および右レール上下変位検出器9の変位信号出力は、左右レール高低差演算回路12へも送られここで左右レールの高低差が算出出力されることは第1の発明と同じである。この高低差信号は第5の加算回路34へ送られ、ここで、ジャイロスコープ6からの左右傾き信号によって検出器ユニット1の傾き分だけ補正されて左右高低差(水準狂い)として出力される。

【0052】
速度情報発生回路16の目的、機能は第1,第2の発明の場合と同じである。軌間狂い演算回路10および第1ないし第5の加算回路の各出力は、A/D変換器44でディジタル信号に変換される。ディジタル変換後の第1の加算回路21の左レール左右変位信号は、第1の正矢復元フィルタ回路27を経て左レール左右狂いデータとして出力される。同じく、第2の加算回路22の右レール左右変位信号は、第2の正矢復元フィルタ回路29を経て右レール左右狂いデータとして出力される。同じく、第3の加算回路23の左レール上下変位信号は、第3の正矢復元フィルタ回路41を経て左レール上下狂いデータとして出力される。第4の加算回路31の右レール上下変位信号は、第4の正矢復元フィルタ回路45を経て右レール上下狂いデータとして出力される。

【0053】
次に、第4の発明の実施例について説明する。第4の発明は、ジャイロスコープを有しない、第2の発明と同じ検出器ユニット2を用い、すべての構成が車上にある場合の構成である。すべての構成が車上にある点では第3の発明と同様である。図6は第4の発明の実施例の構成を示すブロック図である。左レール左右変位検出器3、右レール左右変位検出器4および左右加速度計5の各検出器の出力の処理は、第3の発明の実施例の図5の構成から第1ないし第3の左右傾き補正回路を除いて直通にした構成と同じである。

【0054】
また、左側上下加速度計35、左レール上下変位検出器8、右側上下加速度計36および右レール上下変位検出器9の各検出器の出力は、第2の発明の実施例の図3、図4の構成から格納手段24と読出し手段25を除き、A/D変換器を介在させたものと同じである。速度情報発生回路16の目的、機能は第1ないし第3の発明と同じである。

【0055】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、各検出器類を1つの構造体に取り付け検出器ユニットを構成しこれを台車枠に取付けるようにしたので、従来の構成例その1のように検出器を軸箱に取り付ける例や、従来の構成例その2のように軸箱と車体に分散して取り付ける場合に較べて検出器の数を減らすことができる。また、検出器類が1つのユニット構成になっているためその左右傾きは同じであるため、1個のジャイロスコープを取り付けるだけで各検出器類の傾きの補正が可能である。

【0056】
また、ユニット化されているので取付け車両を選ばないという利点がある。また、軸箱に検出器類を取り付けないので走行安定性の問題が生じない。更に、レールの左右狂い(通り狂い)および高低狂い(上下狂い)については正矢法の検出特性を持たせる処理を行っているので、従来この特性を有するデータの扱いに手馴れた検測および保線作業者が従来の経験を生かした検測および保線作業を行うことができる。本発明には以上の利点がある。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図4】
2
【図3】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図10】
8
【図11】
9
【図12】
10
【図9】
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【図13】
12
【図14】
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