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明細書 :緩衝材およびその緩衝材を用いた落橋防止構造

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3500463号 (P3500463)
公開番号 特開2000-161409 (P2000-161409A)
登録日 平成15年12月12日(2003.12.12)
発行日 平成16年2月23日(2004.2.23)
公開日 平成12年6月16日(2000.6.16)
発明の名称または考案の名称 緩衝材およびその緩衝材を用いた落橋防止構造
国際特許分類 F16F  7/12      
E01D 19/04      
F16F  7/00      
F16F 15/04      
FI F16F 7/12
E01D 19/04
F16F 7/00
F16F 15/04
請求項の数または発明の数 6
全頁数 5
出願番号 特願平10-341462 (P1998-341462)
出願日 平成10年12月1日(1998.12.1)
審査請求日 平成13年4月10日(2001.4.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000173784
【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所
【識別番号】000106955
【氏名又は名称】シバタ工業株式会社
発明者または考案者 【氏名】御船 直人
【氏名】崎畑 康典
【氏名】生駒 信康
【氏名】西川 信二郎
【氏名】西本 安志
【氏名】福知 幹男
個別代理人の代理人 【識別番号】100069615、【弁理士】、【氏名又は名称】金倉 喬二
審査官 【審査官】豊原 邦雄
参考文献・文献 特開 平9-105441(JP,A)
調査した分野 F16F 7/00
E01D 19/04 101
F16F 15/04
特許請求の範囲 【請求項1】
弾性体を剛性体内に納め、その両者の破壊点を設置側構造物やその対向側構造物の許容荷重よりも低く設定したことを特徴とする緩衝材。

【請求項2】
請求項1において、弾性体を、布状体を弾性材と交互に積層埋設したことを特徴とする緩衝材。

【請求項3】
請求項1において、剛性体の高さを弾性体の高さより高くしたことを特徴とする緩衝材。

【請求項4】
請求項1において、剛性体の高さと弾性体の高さを同じにしたことを特徴とする緩衝材。

【請求項5】
請求項1において、剛性体に破壊部を形成したことを特徴とする緩衝材。

【請求項6】
弾性体を剛性体内に納めた緩衝体を、橋脚と桁の任意の一方に水平方向に対向する状態で取り付け、桁の水平方向の移動に対して緩衝するようにしたことを特徴とする落橋防止構造。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衝撃の緩衝材およびその緩衝材を用いた橋脚と桁間に設置する落橋防止構造に関する。

【0002】
【従来の技術】従来、橋脚と桁間には、図13に示す如く、ゴムの中に鋼板を積層させて埋設した免震ゴム支承材1を鉛直荷重方向に配置してあり、水平方向には、桁の温度変化による伸縮に対応する弾性材によるパッド2が配置してある。

【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、兵庫県南部地震では、上記の構造のような線路橋や高速道路等の高架橋はその桁の落下や橋脚の破壊が発生した。それに対してさまざまな検討が行われ、地震力を軽減する緩衝材の必要性や桁の落下を防止するための緩衝材の必要性が提言された。

【0004】
そこで、ゴムを主体とした一般的な緩衝材では破壊点が明確でないために、地震のような巨大な力が作用した場合には緩衝材よりもその反力により取り付けてある構造物かもしくは相対する構造物を破壊してしまうという二次破壊が発生する問題がある。また、発生荷重が設計荷重を下回る小規模な地震の場合でも、緩衝材や桁構造物に大変位が発生し、むしろ支障が発生していない桁構造物に移動変位が発生してその後の復元に多大な労力と費用を必要とするという問題がある。

【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、弾性体を剛性体内に納めて複合させた緩衝体としたことを特徴とし、さらに、この緩衝体を橋脚と桁の任意の一方に水平方向に対向させた状態で取り付け、桁の水平方向の移動に対して緩衝するようにしたことを特徴とするもので、発生荷重が設計荷重以下の場合においては変位の少ない剛性体で負担することにより桁に発生する変位を設計許容量以内として地震の知の速やかな供用を可能とし、設計震度を上回る大規模な地震に対しては剛性体が座屈等により破壊した後に速やかに座屈経の可能な弾性体が負担する複合構造となっている。また、弾性体は破壊点を明確化するために布状体を積層埋設した構造とするとよい。

【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は緩衝材の断面図、図2は平面図である。図において、3は弾性体であり、天然ゴム、合成ゴム、合成樹脂等の弾性材4の中にその一部もしくは全体にわたって、天然繊維、合成繊維、金属繊維等による織布もしくは不織布による布状体5を弾性体3の水平方向に弾性材4と交互に積層させて埋設してある。この埋設状態は弾性体3全体にわたってもよくまた部分的であってもよい。なお、形状は、図2は平面形状を円形とした偏平な柱状体であるが、図3に示す如く、円錐台形でもよく、さらには平面形状が矩形や台形等の任意形状の長尺形状でもよい。

【0007】
6は上記弾性体3の外周の周面に密着させるか間隔をあけるかして配置したFRP、合成樹脂、金属等の剛性材料による中空状の剛性体であり、その高さは弾性体3の高さと同じかそれより高い高さとなっている。さらに、場合によっては図4に示す如く、蓋体7および/もしくは底板8を設けて一体性を高めて高い剛性を得ることができ、さらに図5に示す如く、固定用のフランジ部9を設けてもよい。

【0008】
剛性体6にはさらに必要に応じて図6に示す如く、切り欠きや溝等による破壊を集中させる箇所となる破壊部10を設けてもよく、剛性体6の剛性は構造物の設計荷重と同等かそれを少し上回る程度とする。この破壊部10により破壊荷重を定量化することが可能となる。このように緩衝材11を弾性体3と剛性体6とによって構成すると、初期に作用した荷重は剛性の高い剛性体6で負担することになるが、発生する変位は小さい。そこで、剛性体6が例えばFRPであると、座屈点に到達すると、FRPの内部繊維がつぎつぎに破断しながら変位が進行することになる。これによって、弾性体3によるばね特性の不足分を補うことになる。

【0009】
そこで、弾性体3と剛性体6とによる緩衝材11は、変位と荷重が一致してからは弾性体3と剛性体6の両者が荷重を負担することになる。また、弾性体3は、上記の如く布状体5を積層させることにより、エネルギーの吸収量を増大させることが可能となるばかりでなくばね特性を向上させると共に破壊点を明確化することが可能となる。また、積層された布状体5の一部に伸び破壊が発生することにより連鎖的に破断が進行し、最終的には完全に弾性対が破壊されることになり、最初の布状体5の破断した時点の反力が最大で布状体5の破断と共に荷重は低減する。このような弾性体1では吸収エネルギーは弾性材自体の歪みエネルギーに加えて布状体5の破壊エネルギーが加算されることとなるために通常の単体の弾性材に比べて大きな吸収エネルギーを発揮し、しかも反力の最大値を明確にすることが可能となる。

【0010】
さらに、剛性体6を弾性体3の高さより高くすると剛性体6の座屈破壊点を明確化するのに有効であるが、あまり高いと座屈後から屈服して弾性体3が作用するまでの荷重差が大きくなることから衝撃現象が発生するおそれがある。このように構成した緩衝材11を、図7に示す如く、橋脚12と桁13間に設置すると、新設の場合には緩衝材11の設置場所を予め設計することが可能であるが、既設の場合には設置スペースが狭いことが多く、緩衝材11の高さが制限されることになり、高耐荷重性のばね性が要求されることになる。

【0011】
そこで、高荷重に対応することになるために、橋脚12の取り付けに際して、構造物にボルトで固定すると、ボルトは太くなりナットは厚くなって全体として非常に巨大な係止部となる不都合が生じることから、図8に示す如く、構造物にアンカー14を埋設し、そのアンカー14に剛性体6を固定することにより取り付けることが好ましい。

【0012】
さらに、作業性を考慮して図9に示す如く、弾性体3の構造物側に鋼板等の支持板15を接着等により取り付けておくと位置決めが容易となる。また、図10に示す如く、剛性体6の頭部内側に弾性体3の高さに合わせた位置に係止部16を形成しておくことにより弾性体3の保持が可能となって作業性の向上をはかることができる。

【0013】
なお、緩衝材11は図11に示すように、桁13の長手方向ばかりではなく橋脚12上の桁13の幅方向の支持壁もあるために、桁13端部は橋脚12上で保護壁に囲まれるように設置されている。そこで、長手方向と幅方向それぞれに緩衝体11を設置してもよいが、図示する如く、緩衝体11を予めアングル状に形成しておいて橋脚12に設置する構造としてもよい。

【0014】
このようにして橋脚12と桁13間に取り付けた緩衝材によると、地震が発生した場合、その地震の震度が設計震度以内の場合には、桁13が振動し、緩衝材11に外力が伝わるが、剛性体6はその弾性変形内であるために、座屈や破壊は生ずることなく、地震の終息によってただちに復元する。そのために地震発生によって停止させていた電車や列車は施設の点検後にただちに運行再開することが可能となり、長時間の停車による交通障害はなくなる。

【0015】
なお、緩衝材11の先端と桁13端面との距離が大きいと、桁13の揺れによって緩衝材11に衝突して衝撃力が発生するおそれがあるために、緩衝材11の先端と桁13端面との距離を小さくするか、その間にライナーを介在させて距離を小さくするとよい。つぎに、設計震度より大きな地震が発生した場合には、桁13の運動を剛性体6の座屈破壊エネルギーと座屈変形による高吸収エネルギーに加えて弾性体3内部の布状体5等の破壊エネルギーをも加えて吸収し、最悪時の桁13の落下を防止するために桁の運動の収束または破壊の程度を大幅に現象させることにより損傷も最小限とすることができ、桁の落下を防止するのに有効とされる支承ヒューズ論を実現化することができる。

【0016】
また、緩衝材11の破壊荷重は桁13や橋脚12の許容荷重より低くするかもしくは同程度に設計し、かつその荷重に対する破壊点が明確であることから、桁13や橋脚12の損傷がなく、移動のみであった場合には桁13をもとの位置に戻し、新たな緩衝材11を設置するだけで復旧工事が終了する場合も生ずることになる。

【0017】
以上説明した緩衝材11の機能をグラフに示すと、図12に示す如くであり、剛性体6が弾性変形するA区間と剛性体6の破壊するX点、剛性体6が破壊する過程のB区間と弾性体3と剛性体6が荷重を負担するY区間、剛性体6の内部に埋設した布状体5が逐次破断するC区間と弾性体3が完全破断するまでのD区間に分かれ、設計地震以内では弾性変形で対応し、設計地震以上の場合には緩衝材11が自己破壊することにより桁13や橋脚12の被災を最小限にすることを可能とし、従来のばね材や緩衝材にはない多くの機能を発揮することになる。

【0018】
【発明の効果】以上詳細に説明した本発明によると、緩衝体を弾性体を剛性体内に納めて構成し、両者の破壊点を緩衝体の設置側構造物やその対向側構造物の許容荷重よりも低く設定した構造としたことから、橋脚と桁間に設置した場合には、設計震度以下の震度に対しては剛性体の剛性度で弾性対応し、設計震度以上の地震に対しては剛性体の座屈破壊エネルギーと弾性体の歪みエネルギーおよび積層した布状体の破断エネルギー等いより、構造物から受ける運動エネルギーを吸収して橋脚や桁等の構造物の損傷を最小限にすることができる効果を有する。

【0019】
さらに上記の結果、復旧工事の作業量の減少と迅速化をはかることができ、交通再開を速めることが可能となる効果を有する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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