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明細書 :勃起機能不全改善剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3232067号 (P3232067)
公開番号 特開2001-081032 (P2001-081032A)
登録日 平成13年9月14日(2001.9.14)
発行日 平成13年11月26日(2001.11.26)
公開日 平成13年3月27日(2001.3.27)
発明の名称または考案の名称 勃起機能不全改善剤
国際特許分類 A61K 31/522     
A61K 31/198     
A61P 15/10      
C07D473/12      
FI A61K 31/522
A61K 31/198
A61P 15/10
C07D 473/12
請求項の数または発明の数 1
全頁数 3
出願番号 特願平11-255644 (P1999-255644)
出願日 平成11年9月9日(1999.9.9)
審査請求日 平成11年9月30日(1999.9.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】597105773
【氏名又は名称】東 洋
【識別番号】000234605
【氏名又は名称】白鳥製薬株式会社
発明者または考案者 【氏名】東 洋
個別代理人の代理人 【識別番号】100068700、【弁理士】、【氏名又は名称】有賀 三幸 (外4名)
審査官 【審査官】田村 聖子
参考文献・文献 石井 延久,NOとインポテンス診療,別冊・医学のあゆみ NOのすべて,282-286
調査した分野 A61K 31/198
A61K 31/522
C07D 473/12
A61P 15/10
特許請求の範囲 【請求項1】
成分(A)及び(B)
(A)L-アルギニン又はその塩、(B)カフェイン又はその塩、を含有する勃起機能不全改善剤。
発明の詳細な説明 【発明の詳細な説明】

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、陰茎勃起機能不全の改善剤に関する。

【0002】
【従来の技術】高齢者人口の増加に伴い、男性の陰茎勃起機能不全症患者は急増しているといわれている。勃起は、海綿体組織の弛緩、陰茎動脈血流の増加及び陰茎静脈からの血液漏出の抑制により起こるが、かかる海綿体の弛緩、陰茎動脈血流の増加等は、次のような機序で起こることが明らかとなっている。すなわち、まず内皮細胞内で一酸化窒素(NO)合成酵素により合成されたNOが、陰茎海綿体に存在する平滑筋細胞中に拡散する。次いでNOがグアニル酸シクラーゼのヘム成分と結合することにより該酵素が活性化され、これによりグアノシントリホスフェートからサイクリックグアノシンモノホスフェート(cGMP)が合成される。cGMPは、平滑筋細胞中のカルシウム濃度を減少させるため、cGMP濃度の増大に伴い平滑筋の弛緩が進行し、陰茎動脈の血流が増加する。

【0003】
上記のいずれかのステップが阻害されると勃起機能不全になりうる。又陰茎海綿体に局在するホスホジエステラーゼ-5(PDE-5)は、cGMP分解酵素であり、PDE-5濃度の増大により勃起機能不全が生じることが知られている。かかる観点から、DPE-5阻害剤であるシルデナフィルクエン酸塩(以下、「シルデナフィル」と略す)がFDAにより経口投与が可能な勃起機能不全治療剤として製造承認された。しかしながら、シルデナフィルは、有効率が約50%にすぎず、また血流を増加させる血管選択性がないことから、副作用も問題となっている。

【0004】
一方、L-アルギニンは、内皮細胞における一酸化窒素合成酵素の基質であることから、NO産生促進作用による勃起機能不全の改善効果を期待して臨床試験が行われたが、有効率が低く、開発が中止されている。

【0005】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は、安全でかつ優れた効果を有する勃起機能不全改善剤を提供することを目的とする。

【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は、安全性の高いL-アルギニン又はその塩に着目して種々検討した結果、これと、カフェイン又はその塩とを併用すれば、意外にも海綿体血流量が相乗的に増加し、これらを含む薬剤が勃起機能不全改善剤として有用であることを見出し、本発明を完成した。

【0007】
すなわち、本発明は、成分(A)及び(B)
(A)L-アルギニン又はその塩、(B)カフェイン又はその塩、を含有する勃起機能不全改善剤を提供するものである。

【0008】
【発明の実施の形態】上記のように、L-アルギニンは、ある程度の勃起機能不全改善効果を有することは知られていたが、その単独効果は必ずしも十分ではなく、医薬としての開発が中止されていた。しかしながら、カフェインについては、中枢刺激作用や強心作用は知られているが、勃起機能不全改善効果については全く知られていなかった。

【0009】
本発明に用いるL-アルギニン、カフェインの塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等の鉱酸塩、酢酸塩、クエン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。

【0010】
本発明の勃起機能不全改善剤は、L-アルギニン又はその塩と、カフェイン又はその塩とを含有していればよく、これら以外に前記のシルデナフィルクエン酸塩等を併用してもよい。

【0011】
本発明の勃起機能不全改善剤は、上記成分(A)及び(B)以外に、必要な添加剤を配合して各種投与形態にすることができる。固形経口製剤を調製する場合、成分(A)及び(B)に賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等とすることができる。経口用液体製剤を調製する場合、成分(A)及び(B)に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法により内服液剤、シロップ剤、ジェリー剤、エリキシル剤等とすることができる。注射剤を製造する場合、成分(A)及び(B)にpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下、筋肉内、静脈内及び陰茎海綿体内用注射剤等とすることができる。軟膏剤を調製する場合、成分(A)及び(B)に通常使用される基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等を必要に応じて配合し、常法により混合、製剤化すればよい。貼付剤を調製する場合、通常の支持体に前記軟膏、クリーム、ゲル、ペースト等を常法により塗布すればよい。また、本発明の勃起機能不全改善剤は、L-アルギニン又はその塩と、カフェイン又はその塩とを別々に調製し、キットの形態としてもよい。

【0012】
本発明の勃起機能不全改善剤中の、L-アルギニン又はその塩と、カフェイン又はその塩の配合比(重量比)は、勃起機能不全改善効果向上の観点から、99.95:0.05~33:67が好ましく、99.5:0.5~80:20が特に好ましい。本発明の勃起機能不全改善剤の投与方法としては、陰茎の勃起を所望する30分~1時間前に投与するのが好ましい。また、投与量は、経口の場合、(A)及び(B)成分の合計で、1回当たり0.2~5gが適当である。貼付剤の場合は、(A)及び(B)成分の合計で、1回当たり0.02~1g含有するテープ等を用いるのが適当である。塗布剤の場合は、(A)及び(B)成分の合計で、1回当たり0.02~1g含有する軟膏やクリーム等を用いるのが適当である。

【0013】
【実施例】次に実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

【0014】
実施例1
ウサギ陰茎海綿体拡張反応に対するL-アルギニン及びカフェインの効果の検討
体重約2.5kgの日本白色在来種雄性ウサギを、ペントバルビタールナトリウム(25mg/kg、i.v.)麻酔下に、大腿動脈から放血して致死させた後、速やかに陰茎を切除した。氷冷下のクレブス液中にて陰茎海綿体を切り離し、長さ約7mm、直径約2mmの円柱状標本を作製した。標本の一端を固定し、他端を張力測定用トランスデューサー(日本光電工業社製「TB-612T」)に接続した。95%酸素と5%炭酸ガスを飽和し、37℃に加温したクレブス中に標本を保持し、各種薬物添加によって生じる等尺性張力変化をペン描きオシログラフ(理科電気工業社製「R-64」)に記録した。薬物添加方法は、以下の通りである(各群ともn=5)。第1群(コントロール):10-5Mフェニレフリンを添加。第2群:10-5Mフェニレフリン添加15分後(この15分とは、フェニレフリン添加による収縮が安定化するまでの時間である。)に3×10-3MのL-アルギニンを添加。第3群:10-5Mフェニレフリン添加15分後に10-5Mのカフェインを添加。第4群:10-5Mのカフェインを添加し、その20分後に10-5Mフェニレフリンを添加する。さらにその15分後に3×10-3MのL-アルギニンを添加。

【0015】
10-5Mのフェニレフリンを添加した第1群の陰茎海綿体は、収縮力が952±210mg(±の左側の数値は5匹の平均値を示し、右側の数値は標準誤差を示す。以下同じ)であり、顕著に収縮した。第1群の陰茎海綿体のフェニレフリン誘発収縮に対する第2群~第4群の弛緩率(%)を図1に示す。第2群の弛緩率は6.9±0.8%、第3群の弛緩率は3.6±0.3%であり、L-アルギニン又はカフェインを単独で添加すると、わずかに弛緩反応が惹起された。これに対し、第4群の弛緩率は30.4±1.3%であり、L-アルギニンとカフェインを併用することにより、顕著な弛緩反応が惹起されることが確認された。第2群と第3群の弛緩率の和(算術和)は10.5±0.9%であり(図1に第4群の予測値として示した。)、第4群の実際の弛緩率との間には高度な有意差があった(P<0.0001)。この結果は、L-アルギニンとカフェインの併用によって陰茎海綿体が相乗的に拡張することを示している。

【0016】
【発明の効果】本発明の勃起機能不全改善剤は、L-アルギニン又はその塩と、カフェイン又はその塩が相乗的に作用し、それぞれを単独で用いた場合と比べて、顕著に優れた勃起機能不全改善効果を示す。また、L-アルギニン、カフェインは、安全性が十分確認されたものであり、本発明の勃起機能不全改善剤は、安全性にも優れたものである。
図面
【図1】
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